(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151004
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ガラスフィルム製造方法及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/03 20060101AFI20220929BHJP
C03B 17/06 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C03B33/03
C03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053862
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】森 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 周三
(72)【発明者】
【氏名】古後 修
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015FA04
4G015FB02
4G015FC04
(57)【要約】
【課題】成形後に横方向に搬送中の帯状ガラスフィルムの切断処理を容易且つ簡素に行えるようにして作業能率を向上させると共に、厚みが如何に小さくても作用部材からの押し込み力によって適切な切断処理を行えるようにする。
【解決手段】帯状ガラスフィルムGを成形する成形工程と、横搬送手段4により帯状ガラスフィルムGを横方向に搬送する横搬送工程と、横搬送工程の実行中に帯状ガラスフィルムGを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムG1を切り取る切断工程とを備え、切断工程では、帯状ガラスフィルムGの下面Gb一部に切断起点となる傷Gxを形成する処理と、帯状ガラスフィルムGの上方に配置された作用部材13から帯状ガラスフィルムGに押し付け力を作用させる処理とを行い、作用部材13からの押し付け力により、傷Gxを帯状ガラスフィルムGの幅方向に進展させて、帯状ガラスフィルムGを切断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状ガラスフィルムを成形する成形工程と、横搬送手段により前記帯状ガラスフィルムを横方向に搬送する横搬送工程と、前記横搬送工程の実行中に前記帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムを切り取る切断工程とを備えたガラスフィルム製造方法であって、
前記切断工程では、前記帯状ガラスフィルムの下面の一部に切断起点となる傷を形成する処理と、前記帯状ガラスフィルムの上方に配置された作用部材から前記帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させる処理とを行い、前記作用部材からの押し付け力により、前記傷を前記帯状ガラスの幅方向に進展させて、前記帯状ガラスフィルムを切断することを特徴とするガラスフィルム製造方法。
【請求項2】
前記切断工程では、前記帯状ガラスフィルムに前記傷を形成した後、前記傷の形成領域に前記押し付け力を作用させるか、または、前記帯状ガラスフィルムの前記押し付け力を作用させている領域に、前記傷を形成する請求項1に記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項3】
前記作用部材は、前記帯状ガラスフィルムの幅方向に沿う中心軸線を有するローラであって、前記ローラは、少なくとも前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させる時に、前記中心軸線の廻りに回転する請求項1または2に記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項4】
前記帯状ガラスフィルムは、幅方向両端部にその中央側よりも厚みが大きい耳部をそれぞれ有し、それら耳部の一方のみまたは双方のみと、前記作用部材との押し付け動作によって、前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させる請求項1~3の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項5】
前記横搬送手段として、第一搬送手段と、前記第一搬送手段の下流側に隣り合って配置され且つ前記第一搬送手段よりも低い位置に配置された第二搬送手段とを有する請求項1~4の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項6】
前記第一搬送手段と前記第二搬送手段との間の隙間を利用して、前記帯状ガラスフィルムの下面に前記傷を形成する請求項5に記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項7】
前記帯状ガラスフィルムが前記第一搬送手段の下流側端部から前記第二搬送手段の上部に至るまでの間に、前記帯状ガラスフィルムの下面に前記傷を形成する請求項6に記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項8】
前記帯状ガラスフィルムが前記第一搬送手段の下流側端部から前記第二搬送手段の上部に至るまでの間に、前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させる請求項5~7の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項9】
前記作用部材を下降させて前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させることで前記帯状ガラスフィルムを切断する際に、前記作用部材が前記第二搬送手段の上部を押し付ける以前に前記作用部材の下降を規制する請求項8に記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項10】
前記第一搬送手段よりも前記第二搬送手段の方が、搬送速度が高い請求項5~9の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項11】
前記横搬送手段として、前記第二搬送手段の下流側に隣り合って配置された第三搬送手段をさらに有し、前記第二搬送手段よりも前記第三搬送手段の方が、搬送速度が高い請求項5~10の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項12】
前記作用部材を下降させることで前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させて前記帯状ガラスを切断した後、前記作用部材を上昇させる請求項1~11の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項13】
前記作用部材よりも下流側の位置で、前記帯状ガラスフィルムを上方に持ち上げることで、前記作用部材から前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させる請求項1~4の何れかに記載のガラスフィルム製造方法。
【請求項14】
帯状ガラスフィルムを成形する成形手段と、前記帯状ガラスフィルムを横方向に搬送する横搬送手段と、前記横搬送手段により搬送中の前記帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムを切り取る切断手段とを備えたガラスフィルム製造装置であって、
前記切断手段は、前記帯状ガラスフィルムの下面の一部に切断起点となる傷を形成する処理と、前記帯状ガラスフィルムの上方に配置された作用部材から前記帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させる処理とを行う構成とされ、且つ、前記作用部材からの押し付け力により、前記傷を前記帯状ガラスの幅方向に進展させて、前記帯状ガラスフィルムを切断する構成とされることを特徴とするガラスフィルム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムの製造技術に係り、詳しくは、成形後に横方向に搬送される帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルを得るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスフィルム製造の分野では、ダウンドロー法やフロート法などで連続して成形される帯状ガラスフィルムを横方向に搬送している途中で、該帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムを得ることが行われている。
【0003】
その具体例として、特許文献1には、成形後に横方向に搬送される薄板ガラスの下面に幅方向に沿う刻線(スクライブ線)を形成した後、そのスクライブ線の形成領域に折り割りローラを下降させることで、薄板ガラスを折り割り切断する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の装置では、横方向に搬送される薄板ガラスの下面に対して、カッターホイールを幅方向一端から他端まで移動させることでスクライブ線を形成することが行われる(同文献の段落[0021]等参照)。このような手法によれば、薄板ガラスの切断処理が面倒且つ煩雑となって作業能率が悪化する。
【0006】
また、同文献には、薄板ガラスの厚みが例えば1.5mm以下であることが記載されている(同文献の段落[0010]参照)。この厚みの範囲内にある薄板ガラスのうち、ガラスフィルムと称される程度まで薄いものの中には、厚みが小さ過ぎることによってスクライブ線を形成できないものが存在する。この問題は、ガラスフィルムの上面にスクライブ線を形成する場合よりも、下面にスクライブ線を形成する場合の方が顕著となる。そのため、同文献に開示のように作用部材(折割りローラ)を下降させることによる押し込み力によって切断を行う技術においては、ガラスフィルムの厚みが小さくなるに連れて切断処理を適切に行えなくなるという難点がある。
【0007】
以上の観点から、本発明は、成形後に横方向に搬送中の帯状ガラスフィルムにその上方の作用部材から押し込み力を作用させることによる切断処理を容易且つ簡素に行えるようにして作業能率を向上させると共に、帯状ガラスフィルムの厚みが如何に小さくても上記切断処理を適切に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために創案された本発明の第一の側面は、帯状ガラスフィルムを成形する成形工程と、横搬送手段により前記帯状ガラスフィルムを横方向に搬送する横搬送工程と、前記横搬送工程の実行中に前記帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムを切り取る切断工程とを備えたガラスフィルム製造方法であって、前記切断工程では、前記帯状ガラスフィルムの下面の一部に切断起点となる傷を形成する処理と、前記帯状ガラスフィルムの上方に配置された作用部材から前記帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させる処理とを行い、前記作用部材からの押し付け力により、前記傷を前記帯状ガラスの幅方向に進展させて、前記帯状ガラスフィルムを切断することに特徴づけられる。
【0009】
このような構成によれば、横搬送工程の実行中、すなわち成形後の帯状ガラスフィルムの横方向への搬送中に、その下面の一部に切断起点となる傷を形成するという簡単な処理が行われる。そして、この傷を作用部材からの押し付け力によって幅方向に進展させることで、帯状ガラスフィルムが切断される。したがって、帯状ガラスフィルムにその上方の作用部材から押し込み力を作用させることによる切断処理を容易且つ簡素に行えるようになって作業能率が向上する。しかも、切断起点となる傷はスクライブ線ではないため、如何に厚みが小さい帯状ガラスフィルムであっても、その下面に適切に傷を形成することができる。したがって、帯状ガラスフィルムの厚みに関わらず、作用部材からの押し込み力により適切な切断処理を行うことが可能となる。
【0010】
この構成において、前記切断工程では、前記帯状ガラスフィルムに前記傷を形成した後、前記傷の形成領域に前記押し付け力を作用させるか、または、前記帯状ガラスフィルムの前記押し付け力を作用させている領域に、前記傷を形成するようにしてもよい。
【0011】
以上の構成において、前記作用部材は、前記帯状ガラスフィルムの幅方向に沿う中心軸線を有するローラであって、前記ローラは、少なくとも前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させる時に、前記中心軸線の廻りに回転する
【0012】
このようにすれば、回転するローラによって帯状ガラスフィルムに押し付け力が作用するため、帯状ガラスフィルムに擦れによる傷が付く等の不具合が回避される。この場合、ローラは、フリーローラであってもよく、回転駆動力が付与される駆動ローラであってもよい。駆動ローラの場合は、帯状ガラスフィルムの搬送速度と周速度が同一であることが好ましい。
【0013】
以上の構成において、前記帯状ガラスフィルムは、幅方向両端部にその中央側よりも厚みが大きい耳部をそれぞれ有し、それら耳部の一方のみまたは双方のみと、前記作用部材との押し付け動作によって、前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させてもよい。
【0014】
このようにすれば、帯状ガラスフィルムに押し付け力をさせる際には、不要部である耳部(一方の耳部または双方の耳部)のみと、作用部材との押し付け動作が行われるため、作用部材は、双方の耳部の間にある中央側の有効領域には接触しない。そのため、帯状ガラスフィルムの有効領域には傷等が付かず、有効領域の適切な保護がなされる。
【0015】
以上の構成において、前記横搬送手段として、第一搬送手段と、前記第一搬送手段の下流側に隣り合って配置され且つ前記第一搬送手段よりも低い位置に配置された第二搬送手段とを有するようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、第一搬送手段と第二搬送手段との段差を、切断工程の実行に有効利用することができる。
【0017】
この構成において、前記第一搬送手段と前記第二搬送手段との間の隙間を利用して、前記帯状ガラスフィルムの下面に前記傷を形成してもよい。
【0018】
このようにすれば、両搬送手段間の隙間が、帯状ガラスフィルムの下面に傷を形成するための工具の挿入用隙間として有効利用される。
【0019】
この構成において、前記帯状ガラスフィルムが前記第一搬送手段の下流側端部から前記第二搬送手段の上部に至るまでの間に、前記帯状ガラスフィルムの下面に前記傷を形成してもよい。
【0020】
このようにすれば、帯状ガラスフィルムが第一搬送手段の下流側端部から第二搬送手段の上部に至るまでの間は、帯状ガラスフィルムは下流側に向かって下降傾斜した状態にある。この傾斜状態にある帯状ガラスフィルムの下方には、十分な大きさの空間が存在している。この空間は、工具により帯状ガラスフィルムの下面に傷を形成するための作業用空間として有効利用される。そのため、傷を形成する作業を行う際の作業性が良くなる。
【0021】
これらの構成において、前記帯状ガラスフィルムが前記第一搬送手段の下流側端部から前記第二搬送手段の上部に至るまでの間に、前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させてもよい。
【0022】
このようにした場合も、上記と同様に、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムの下方には、十分な大きさの空間が存在している。この空間は、帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させるための空間として有効利用される。そのため、押し付け力を作用させる作業を行う際の作業性が良くなる。
【0023】
この構成において、前記作用部材を下降させて前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させることで前記帯状ガラスフィルムを切断する際に、前記作用部材が前記第二搬送手段の上部を押し付ける以前に前記作用部材の下降を規制してもよい。
【0024】
このようにすれば、上記空間の存在により、傷を進展させるために十分な大きさの押し付け力が帯状ガラスフィルムに作用するまで作用部材を下降させることができる。しかも、作用部材を帯状ガラスフィルムが切断するまで下降させても、作用部材が第二搬送手段の上部を押し付けることはない。これにより、第二搬送手段が作用部材からの衝撃を受けて損傷する等の不具合が回避される。
【0025】
これらの構成において、前記第一搬送手段よりも前記第二搬送手段の方が、搬送速度が高くてもよい。
【0026】
このようにすれば、切断後に帯状ガラスフィルム及び切り取られたガラスフィルムの両切断側端部が第二搬送手段の上部で受け止められた場合に、この両切断側端部が適切に離間した状態で搬送される。これにより、この両切断側端部同士が接触することによる両者の割れや破損等の発生が抑止される。
【0027】
これらの構成において、前記横搬送手段として、前記第二搬送手段の下流側に隣り合って配置された第三搬送手段をさらに有し、前記第二搬送手段よりも前記第三搬送手段の方が、搬送速度が高くてもよい。
【0028】
このようにすれば、順々に切り取られるガラスフィルムは第二搬送手段から第三搬送手段に移乗しつつ搬送され、これに伴って、隣り合うガラスフィルムの両切断側端部の離間長さがさらに長くなる。そのため、隣り合うガラスフィルムの両切断側端部同士の接触がより確実に阻止されるだけでなく、各ガラスフィルムに対して後処理を行う際に、隣り合うガラスフィルムが邪魔になることを阻止できる。
【0029】
以上の構成において、前記作用部材を下降させることで前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させて前記帯状ガラスを切断した後、前記作用部材を上昇させてもよい。
【0030】
このようにすれば、帯状ガラスフィルムを切断した後に、その切断側端部が作用部材に引っ掛かる等の事態が生じ難くなり、帯状ガラスフィルムの搬送が円滑に行われる。
【0031】
前述の構成において、前記作用部材よりも下流側の位置で、前記帯状ガラスフィルムを上方に持ち上げることで、前記作用部材から前記帯状ガラスフィルムに前記押し付け力を作用させてもよい。
【0032】
このようにすれば、作用部材を下方に移動させる必要がなくなり、作用部材からの押し付け力が第二搬送手段の上部に作用する等の不具合が確実に回避される。
【0033】
上記課題を解決するために創案された本発明の第二の側面は、帯状ガラスフィルムを成形する成形手段と、前記帯状ガラスフィルムを横方向に搬送する横搬送手段と、前記横搬送手段により搬送中の前記帯状ガラスフィルムを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムを切り取る切断手段とを備えたガラスフィルム製造装置であって、前記切断手段は、前記帯状ガラスフィルムの下面の一部に切断起点となる傷を形成する処理と、前記帯状ガラスフィルムの上方に配置された作用部材から前記帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させる処理とを行う構成とされ、且つ、前記作用部材からの押し付け力により、前記傷を前記帯状ガラスの幅方向に進展させて、前記帯状ガラスフィルムを切断する構成とされることに特徴づけられる。
【0034】
これによれば、この製造装置と実質的に構成が同一である既述の製造方法と同一の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、成形後に横方向に搬送中の帯状ガラスフィルムにその上方の作用部材から押し込み力を作用させることによる切断処理が容易且つ簡素に行えるようになって作業能率が向上すると共に、帯状ガラスフィルムの厚みが如何に小さくても上記切断処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略平面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の構成要素である刃付き部材の動作を示す概略側面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置を使用して得られた帯状ガラスフィルムを示す下面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略正面図である。
【
図9】本発明の第一実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図11】本発明の第三実施形態に係るガラス板製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図12】本発明の第二実施形態に係るガラス板製造装置の要部を示す概略側面図である。
【
図13】本発明の実施形態の変形例の要部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態に係る帯状ガラスフィルム製造装置(以下、単に製造装置という)及びガラスフィルム製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0038】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る製造装置1の全体構成を模式的に示す概略側面図である。同図に示すように、製造装置1は、主たる構成要素として、帯状ガラスフィルムGを成形する成形手段2と、成形後に連続して下降する帯状ガラスフィルムGの搬送方向を変換する方向変換部3と、方向変換部3を経た帯状ガラスフィルムGを横方向に搬送する横搬送手段4とを備える。さらに、製造装置1は、横搬送手段4により搬送される帯状ガラスフィルムGを所定長さ毎に幅方向(搬送方向と直交する方向)に切断する切断手段5と、切断手段5により順々に切り取られて横搬送手段4により搬送される所定長さのガラスフィルムG1を平置き姿勢で積層状に収納するパレット6とを備える。この場合、パレット6上では、ガラスフィルムG1と発泡樹脂シートや樹脂フィルムシート等の保護シート(図示略)とが交互に積み重ねられる構成にすることが好ましい。ここで、帯状ガラスフィルムGの厚み(有効領域の厚み)は、300μm以下もしくは200μm以下または100μm以下であることが好ましい。
【0039】
成形手段2は、上端部にオーバーフロー溝7aを有する断面が略楔形の成形体7を備える。成形体7の下方では、帯状の溶融ガラスを所定幅の帯状ガラスフィルムGにした後、帯状ガラスフィルムGを徐冷する熱処理を行い、然る後、帯状ガラスフィルムGを常温の外部雰囲気に開放して室温付近まで冷却する冷却処理を行う。
【0040】
方向変換部3は、成形後の帯状ガラスフィルムGの方向変換を案内するものである。本実施形態では、方向変換部3は、湾曲状に配列された複数のガイドローラ8を備える。これらのガイドローラ8は、帯状ガラスフィルムGの裏面に接触している。
【0041】
横搬送手段4は、横方向に沿うように配列された複数台(図例では便宜上3台)の搬送手段(第一搬送手段9、第二搬送手段10、第三搬送手段11)を備える。本実施形態では、これら搬送手段9、10、11は、何れも、ベルトコンベアである。以下、これらベルトコンベアを、上流側から順に、第一コンベア9、第二コンベア10及び第三コンベア11と称する。
【0042】
第二コンベア10は、第一コンベア9よりも低い位置に配置されている。第二コンベア10と第三コンベア11とは、同じ高さ位置に配置されている。本実施形態では、第一コンベア9の下部(下面部)9bよりも第二コンベア10の上部(上面部)10aの方が低い位置にある。換言すれば、第一コンベア9と第二コンベア10とは、上下方向で離間している。また、第一コンベア9の下流側部位の真下には、第二コンベア10の上流側部位が位置している。換言すれば、第一コンベア9と第二コンベア10とは、横方向で重なり合っている。さらに、第二コンベア10は、第一コンベア9よりも搬送速度が高く、第三コンベア11は、第二コンベア10よりも搬送速度が高い。
【0043】
切断手段5は、帯状ガラスフィルムGの下面Gbの一部に傷Gx(詳細は後述する)を形成するための刃付き部材12と、帯状ガラスフィルムGに押し付け力を作用させる作用部材としてのローラ13とを備える。
【0044】
詳述すると、
図2に示すように、刃付き部材12は、先端に切れ刃12aを有し、図示の退避位置から矢印Aで示す方向に移動可能とされている。
図3に示すように、刃付き部材12の切れ刃12aは、帯状ガラスフィルムGの幅方向一端側に配置されている。切れ刃12aの幅方向長さは、帯状ガラスフィルムGの幅方向長さの一部に対応する長さとされている。本実施形態では、刃付き部材12は、図外のエアシリンダやボールねじ機構等により矢印A方向に一直線に沿って移動する(
図2参照)。刃付き部材12を移動させる構成は、これに限らず、例えば
図4に示すような構成であってもよい。この構成は、第一コンベア9の下流側位置で保持台14に保持され且つ正逆回転可能に回転駆動力を付与される回転軸15と、この回転軸15と一体的に回転する支持部材16とを設け、この支持部材16の先端部16aに刃付き部材12を連結したものである。保持台14は、床面等の上に固定設置されている。なお、この支持部材16の先端部16aは、幅方向中央側に折れ曲がっており、この折れ曲がり部に刃付き部材12が固定されている。このようにすれば、刃付き部材12は、同図に鎖線で示す退避位置から矢印Xで示すように円弧に沿って移動して帯状ガラスフィルムGの下面Gbに到達し、その後に円弧に沿って退避位置に戻ることができる。また、これら以外に、刃付き部材12を作業者による手作業で移動させてもよい。
【0045】
図2に示すように、ローラ13は、第二コンベア10の上面部10aから上方に離間して配置されている。また、
図3に示すように、ローラ13は、帯状ガラスフィルムGの幅方向両端部に対応する位置に一対が設けられている。これらローラ13は、中心軸(中心軸線)17の廻りに回転可能とされたフリーローラ(回転駆動力が付与されないローラ)である。また、これらローラ13は、第一コンベア9の幅方向両端の外側に配置された一対のアーム19の先端部19aに中心軸17を介して保持されている。一対のアーム19は、第一コンベア9の下流側位置で基台20に保持され且つ正逆回転可能に回転駆動力を付与される回転軸21と一体的に回転する。基台20は、床面等の上に固定設置されている。したがって、これらローラ13は、
図2に示す退避位置から矢印Bで示すように円弧に沿って下降し、その後に円弧に沿って退避位置まで上昇することができる。この場合、これらローラ13の下降及び上昇はそれぞれ所定位置で規制される。この規制は、一対のアーム19の正方向の回転動作及び逆方向の回転動作をそれぞれ所定位置で止めるストッパ(図示略)によって行われる。これらローラ13の移動経路(矢印Bで示す経路)は、刃付き部材12の移動経路(矢印Aで示す経路)よりも下流側に位置している。なお、ローラ13は、帯状ガラスフィルムGの幅方向一端部に対応する位置から幅方向他端部に対応する位置まで延びる単一のローラ13であってもよい。また、ローラ13を下降及び上昇させる構成も、例えばエアシリンダやボールねじ機構等を用いたものであってもよい。このようにした場合には、ローラ13を、例えば鉛直方向で一直線に沿って移動させることができる。
【0046】
次に、以上のような構成を備えたガラス板製造装置1を用いたガラス板製造方法について説明する。
【0047】
本実施形態に係るガラス板製造方法は、成形工程と、横搬送工程と、切断工程とを備えている。
【0048】
成形工程は、成形体7、熱処理部、及び冷却部により帯状ガラスフィルムGを成形する工程である。
【0049】
横搬送工程は、成形後の帯状ガラスフィルムG及び切り取られた所定長さのガラスフィルムG1を横方向に搬送する工程である。
【0050】
切断工程は、横搬送手段4により搬送されている帯状ガラスフィルムGを幅方向に切断して所定長さのガラスフィルムG1を切り取る工程である。
【0051】
詳述すると、切断工程では、先ず、
図5に示すように、刃付き部材12を矢印A方向に移動させて、切れ刃12aを帯状ガラスフィルムGの下面Gbに突き当てる。詳しくは、帯状ガラスフィルムGが第一コンベア9の下流側端部9xから第二コンベア10の上面部10aに至るまでの間、つまり傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGの下面Gbに切れ刃12aを突き当てる。これにより、当該下面Gbに傷Gxが形成される。この場合、第一コンベア9と第二コンベア10との間の隙間22が、刃付き部材12の挿入用隙間として有効利用される。本実施形態では、第一コンベア9と第二コンベア10とが上下に離間しているため、刃付き部材12を矢印Aで示すように傾斜させて挿入する際には、十分な大きさの隙間22を確保でき、作業性が良くなる。なお、切れ刃12aを帯状ガラスフィルムGの下面Gbに突き当てた際には、突き当てと同時に、刃付き部材12を帯状ガラスフィルムGの幅方向に所定長さだけスライドさせてもよい。
【0052】
さらに、帯状ガラスフィルムGが第一コンベア9の下流側端部9xから第二コンベア10の上面部10aに至るまでの間は、帯状ガラスフィルムGは下流側に向かって下降傾斜している。これに対して、刃付き部材12は、下流側に向かって上昇傾斜する方向(矢印A方向)に移動する。したがって、刃付き部材12を移動させる方向は、帯状ガラスフィルムGに対して、適切な角度で交差することになる。すなわち、交差角度を直角に近づけることができる。これにより、帯状ガラスフィルムGの下面Gbに適切に傷Gxを形成することができる。
【0053】
しかも、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGの下方には大きな空間23が形成されている。この大きな空間23は、刃付き部材12で上記の傷Gxを形成するための作業用空間として有効利用される。詳述すると、帯状ガラスフィルムGの厚みや品種が変更された場合には、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGの水平面に対する傾斜角度が変わる。この場合には、刃付き部材12を移動させる際の水平面に対する傾斜角度も変える必要がある。ここでの構成では、上記の作業用空間23が大きいことで、このような要請に的確に応じることができ、作業性が良くなる。
【0054】
図6は、帯状ガラスフィルムGの下面Gbに傷Gxが形成された状態を示す下面図である。同図に示すように、傷Gxは、帯状ガラスフィルムGの幅方向一端側に形成されている。帯状ガラスフィルムGの幅方向両端部には、その中央側領域(有効領域)Gcよりも厚みの大きな耳部Gdがそれぞれ形成されている。本実施形態では、傷Gxは、一方の耳部Gdから有効領域Gcに跨って形成されている。傷Gxは、幅方向に沿って延び、その幅方向長さは、例えば5~30mm、好ましくは下限値が10mm、上限値が20mmである。なお、傷Gxの形成箇所は、耳部Gdの近傍の有効領域Gcのみであってもよく、耳部Gdのみであってもよい。また、傷Gxは、帯状ガラスフィルムGの幅方向両端側にそれぞれ形成されていてもよい。
【0055】
この後は、
図7に示すように、刃付き部材12を退避させた状態で、ローラ13を矢印B方向に下降させ、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGの上面Gaに接触して押し付け力を作用させる。このとき、ローラ13は、矢印Z方向に回転する。これにより、帯状ガラスフィルムGの上面Gaに擦れ傷が付く等の不具合が回避される。また、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGは、第二コンベア10の上面部10aに滑らかに湾曲して連なっているため、この連なり部に屈曲変形等が生じない。したがって、帯状ガラスフィルムGが、この連なり部で破損する等の不具合が回避される。
【0056】
この時点では、
図8に示すように、一対のローラ13は、帯状ガラスフィルムGの幅方向両端部の耳部Gdのみをそれぞれ押し付けており、有効領域Gcには接触していない。これにより、有効領域Gcに接触傷が付く等の不具合が回避され、有効領域Gcが適切に保護される。なお、一対のローラ13に代えて、既述の単一のローラを使用した場合であっても、同様にして有効領域Gcが適切に保護される。
【0057】
ここで、
図7を参照して、傾斜状態にある帯状ガラスフィルムGの下方には、既述のように大きな空間23が形成されていたため、ローラ13を下降させる際には、帯状ガラスフィルムGに十分な大きさの押し付け力が作用するまでローラ13を下降させることができる。この十分な大きさの押し付け力が、帯状ガラスフィルムGの傷Gxの形成領域に作用した場合には、傷Gxが帯状ガラスフィルムGの幅方向に進展する。本実施形態では、帯状ガラスフィルムGの搬送に伴って傷Gxがローラ13の移動経路(矢印Bに沿う経路)に到達した時点で、傷Gxを進展させるために十分な押し付け力が帯状ガラスフィルムGに作用するようにローラ13が下降する。なお、上述の「傷Gxの形成領域」とは、帯状ガラスフィルムGの傷Gxを含むその幅方向全長に亘る領域を意味している。なぜなら、傷Gxのみに上述の十分な押し付け力が作用しても、傷Gxが適切に進展するとは限らず、傷Gxが進展すべき幅方向全長にわたる領域に上述の十分な押し付け力が作用することで、傷Gxが適切に進展するからである。
【0058】
そして、傷Gxが帯状ガラスフィルムGの幅方向に適切に進展することで、
図9に示すように、帯状ガラスフィルムGが幅方向に切断されて、所定長さのガラスフィルムG1が切り取られる。この場合、ローラ13は、第二コンベア10の上面部10aを押し付ける以前に、その下降が既述のストッパによって規制される。そのため、ローラ13を帯状ガラスフィルムが切断するまで下降させても、ローラ13が第二コンベア10の上面部10aを押し付けることはない。これにより、第二コンベア10がローラ13からの衝撃を受けて損傷する等の不具合が回避される。
【0059】
この切断が行われた後に、ローラ13は鎖線で示す退避位置に向かって上昇する。したがって、帯状ガラスフィルムGの切断側端部Geがローラ13に引っ掛かる等の事態が生じ難くなり、帯状ガラスフィルムGの搬送が円滑に行われる。また、この時点では、帯状ガラスフィルムGの切断側端部Geと、切り取られたガラスフィルムG1の切断側端部Gfとが、第二コンベア10の上面部10aで適正に受け止められる。したがって、この両切断側端部Ge、Gfが垂れ下がったり或いは屈曲変形したりする等の不具合が回避される。さらに、この時点では、第一コンベア9よりも第二コンベア10の方が搬送速度が高いため、両切断側端部Ge、Gfは適切に離間した状態になる。これにより、両切断側端部Ge、Gf同士が接触することによって両者G、G1に破損や損傷が生じる等の不具合が回避される。また、このとき、先行して切り取られているガラスフィルムG1には、第三コンベア11からの搬送力が主として働いている。第三コンベア11は、第二コンベア10よりも搬送速度が高いため、これらガラスフィルムG1の両切断側端部Gh、Giは、より一層離間した状態になる。これにより、これらガラスフィルムG1の両切断側端部Gh、Gi同士の接触が確実に阻止されるだけでなく、先行するガラスフィルムG1に対して後処理(例えばパレット6への収納処理)をする際に後続のガラスフィルムG1が邪魔になる等の不具合が回避される。
【0060】
<第二実施形態>
図10は、本発明の第二実施形態に係る切断工程を実行している状態を示す要部概略側面図である。この第二実施形態に係る切断工程が、既述の第一実施形態に係る切断工程と相違している点は、帯状ガラスフィルムGのローラ13による押し付け力が作用している領域に、刃付き部材12の切れ刃12aを突き当てるところにある。この場合、帯状ガラスフィルムGに押し付け力を作用させる時と、切れ刃12aを突き当てる時とは同時であってもよく、或いは、帯状ガラスフィルムGに押し付け力を作用させた後に、切れ刃12aを突き当てるようにしてもよい。その他の構成は、既述の第一実施形態と同一であるので、両実施形態に共通の構成要素については
図10に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
<第三実施形態>
図11は、本発明の第三実施形態に係る製造装置1の全体構成を模式的に示す概略側面図である。同図に示すように、この第三実施形態に係る製造装置1が、既述の第一実施形態に係る製造装置1と相違している点は、第一コンベア9の上流側に、帯状ガラスフィルムGの耳部Gd(詳しくは、耳部Gdを含む不要部)を切断して除去する装置24を配備したとこにある。この装置24は、方向変換部3を経た帯状ガラスフィルムGを2台の上流側コンベア25により横方向に搬送している途中で、レーザー切断機26により帯状ガラスフィルムGの耳部Gdを切断分離し、切断分離後の耳部Gdを傾斜コンベア27により搬送して回収するものである。なお、レーザー切断機26は、その下方の帯状ガラスフィルムGに対して、レーザー28の照射と冷媒29の噴射とを行うことで耳部Gdの切断分離を行う。この第三実施形態によれば、耳部Gdが除去された有効領域の帯状ガラスフィルムGccに対して、既述の第一実施形態と同様の切断工程を実行し、所定長さのガラスフィルムG1cを切り取ることができる。その他の構成は、既述の第一実施形態と同一であるので、両実施形態に共通の構成要素については
図11に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
<第四実施形態>
図12は、本発明の第四実施形態に係る切断工程を実行している状態を示す要部概略側面図である。この第四実施形態に係る切断工程が、既述の第一実施形態に係る切断工程と相違している点は、ローラ13よりも下流側の位置で帯状ガラスフィルムGを上方に持ち上げることで、帯状ガラスフィルムGの傷Gxの形成領域に、ローラ13による押し付け力を作用させて、帯状ガラスフィルムGを切断するところにある。この場合も、帯状ガラスフィルムGを持ち上げてローラ13による押し付け力を作用させている領域に、傷Gxを形成してもよい。この切断工程の実行に際しては、横搬送手段4として、第一コンベア9の下流側にコンベアを設けなくてもよい。この場合、ローラ13は、第一コンベア9の上面部9aと同一の高さ位置もしくは僅かに低い位置に固定設置されることが好ましい。また、刃付き部材12は、真上に移動して帯状ガラスフィルムGの下面Gbに傷Gxを形成することが好ましい。さらに、帯状ガラスフィルムGの持ち上げは、作業者の手作業で行うことが好ましい。この場合、ローラ13よりも高い位置まで帯状ガラスフィルムGを持ち上げることが好ましい。なお、作業者の手作業に代えて、帯状ガラスフィルムGを把持部材や吸着パッドで保持した状態でそれらを上動させる機構などを用いて持ち上げるようにしてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態に係るガラス板製造装置及びその製造方法について説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を施すことが可能である。
【0064】
以上の実施形態では、帯状ガラスフィルムGをオーバーフローダウンドロー法により成形したが、スロットダウンドロー法やリドロー法などの他のダウンドロー法や、フロート法などにより成形してもよい。
【0065】
以上の実施形態では、作用部材をローラとしたが、帯状ガラスフィルムに押し付け力を作用させることができる部材であれば、他の部材であってもよい。
【0066】
以上の実施形態では、横搬送工程で帯状ガラスフィルムの下面が各コンベアの上面部と接触しているが、帯状ガラスフィルムと各コンベアの上面部との間に発泡樹脂シート等の保護シートが介在されるようにしてもよい。このようにする場合には、第一コンベア9での搬送終了時に保護シートを回収するか、帯状ガラスフィルムの下面に傷を形成することができるように、保護シートの幅方向長さを短くしておく必要がある。
【0067】
以上の実施形態では、第一コンベアと第二コンベアとが横方向で重なり合い且つ上下方向で離間しているが、
図13に符号Y1で示すように、第一コンベア9と第二コンベア10とが横方向で離間し且つ上下方向で離間するようにしてもよく、或いは、同図に符号Y2で示すように、第一コンベア9と第二コンベア10とが横方向で離間し且つ上下方向で重なり合うようにしてもよい。
【0068】
以上の実施形態では、横搬送手段を構成する第一搬送手段、第二搬送手段及び第三搬送手段を、ベルトコンベアとしたが、ローラコンベア等の他の搬送手段であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ガラス板製造装置
2 成形手段
4 横搬送手段
5 切断手段
9 第一コンベア(第一搬送手段)
9a 第一コンベアの上部(上面部)
9x 第一コンベアの下流側端部
10 第二コンベア(第二搬送手段)
10a 第二コンベアの上部(上面部)
11 第三コンベア(第三搬送手段)
13 ローラ(作用部材)
17 ローラの中心軸(中心軸線)
22 両搬送手段間の隙間
G 帯状ガラスフィルム
Gc 有効領域の帯状ガラスフィルム
G1 ガラスフィルム
G1c ガラスフィルム
Gb 帯状ガラスフィルムの下面
Gd 耳部
Gx 傷