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  • 特開-角形建築材の積み上げ具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151040
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】角形建築材の積み上げ具
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B65G57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053931
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】松下 八大
(57)【要約】
【課題】工場敷地内等に多くの角形建築材を配置することを可能とする積み上げ具を提供する。
【解決手段】積み上げ具1は、長尺の角形鋼管11と、短尺の角形鋼管12,13とを相互に溶接固定されてなり、上記角形鋼管11,12,13による4本の突出部がX字形をなすように位置し、当該X字形の4か所の直角凹部のうちの下側直角凹部1aは、横置きされる角形建築材の上側角部に嵌り、上記4か所の直角凹部のうちの上側直角凹部1bに、上記角形建築材上に横置きで積まれる別の角形建築材の下側角部が嵌る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本の突出部がX字形をなして位置しており、当該X字形の4か所の直角凹部のうちの下側直角凹部は、横置きされる角形建築材の上側角部に嵌り、上記4か所の直角凹部のうちの上側直角凹部に、上記角形建築材上に横置きで積まれる別の角形建築材の下側角部が嵌ることを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【請求項2】
請求項1に記載の角形建築材の積み上げ具において、上記下側直角凹部を形成する2本の突出部の各々に、当該積み上げ具の転倒を抑制する転倒抑制部材を備えることを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【請求項3】
請求項2に記載の角形建築材の積み上げ具において、各転倒抑制部材は、上記突出部における上記角形建築材に接触する面の隣の立上面に一方の面部が固定された山形部材からなり、これら山形部材の固定されない他方の面部が上記接触する面と面一に位置し、且つ、これら山形部材の上記他方の面部は互いに反対方向を向いて突出することを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の角形建築材の積み上げ具において、2個分相当の上記突出部をなす1本の長尺の角形管の中央側に、他の2本の上記突出部をなす短尺の2本の角形管が接合されてX字形をなすことを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【請求項5】
請求項4に記載の角形建築材の積み上げ具において、上記短尺の2本の角形管のうち、上記上側直角凹部を形成する短尺の角形管の下端側に水抜孔が形成されていることを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の角形建築材の積み上げ具において、上記下側直角凹部を形成する上記突出部の下部側に、当該積み上げ具を上記角形建築材に固縛するベルトを引っ掛ける引っ掛け部を有することを特徴とする角形建築材の積み上げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角形鋼管柱等の角形建築材を積み上げるのに用いることができる積み上げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場において角形建築材を作製することが行われている。上記角形建築材は、例えば、角形鋼管柱に梁連結用突出部材が溶接されたものである。なお、特許文献1には、船倉の底面にスペーサ部材を介して鉄骨柱を支承し、この鉄骨柱上に他の鉄骨柱を支承した状態で主柱を包囲する枠体を位置決め固定し、枠体の上部枠部材に主柱を支承させた状態で鉄骨柱を積み付け、鉄骨柱の積み付けおよび枠体の位置決め固定を必要段数だけ反復することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-239348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、工場において作製した角形建築材の出荷が滞るような場合には、工場敷地内において角形建築材の置き場が不足することがある。
【0005】
この発明は、工場敷地内等に多くの角形建築材を配置することを可能とする角形建築材の積み上げ具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の角形建築材の積み上げ具は、4本の突出部がX字形をなして位置しており、当該X字形の4か所の直角凹部のうちの下側直角凹部は、横置きされる角形建築材の上側角部に嵌り、上記4か所の直角凹部のうちの上側直角凹部に、上記角形建築材上に横置きで積まれる別の角形建築材の下側角部が嵌ることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、横置きされる角形建築材上に別の角形建築材を、当該積み上げ具を介して横置きで積むことができるので、同じ敷地等に2倍の本数の角形建築材を配置することが可能となる。また、この積み上げ具は、4本の突出部により構成されるので、軽量化が図りやすく、この積み上げ具を作業者が手で持ち上げて上記角形建築材上に載せ置くことが容易になる。
【0008】
上記下側直角凹部を形成する2本の突出部の各々に、当該積み上げ具の転倒を抑制する転倒抑制部材を備えてもよい。これによれば、上記突出部の上記角形建築材との接触幅が狭くても、上記転倒抑制部材によって積み上げ具の転倒を抑制することができる。すなわち、上記突出部の断面積等を小さくして積み上げ具の軽量化を図りつつ、積み上げ具の転倒を抑制できる。
【0009】
各転倒抑制部材は、上記突出部における上記角形建築材に接触する面の隣の立上面に一方の面部が固定された山形部材からなり、これら山形部材の固定されない他方の面部が上記接触する面と面一に位置し、且つ、これら山形部材の上記他方の面部は互いに反対方向を向いて突出してもよい。これによれば、当該積み上げ具の積み上げ収納や横並べ収納が嵩張らずに行える。また、上記積み上げ具を、積み上げ収納した状態で上記山形部材によって位置決めができ、また崩れも抑制できる。
【0010】
2個分相当の上記突出部をなす1本の長尺の角形管の中央側に、他の2本の上記突出部をなす短尺の2本の角形管が接合されてX字形をなしてもよい。これによれば、角形管を用いて積み上げ具のさらなる軽量化を図ることができる。
【0011】
上記短尺の2本の角形管のうち、上記上側直角凹部を形成する短尺の角形管の下端側に水抜孔が形成されていてもよい。これによれば、上記短尺の角形管内に雨水が溜まるのを防止できる。
【0012】
上記下側直角凹部を形成する上記突出部の下部側に、当該積み上げ具を上記角形建築材に固縛するベルトを引っ掛ける引っ掛け部を有してもよい。これによれば、上記引っ掛け部にベルトを引っ掛けて上記角形建築材上に積み上げ具を固縛することができるので、別の角形建築材を上記積み上げ具で支持する際に、当該積み上げ具が下側の角形建築材上でずれ動くのを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明であれば、工場敷地内等に多くの角形建築材を配置することができる。また、積み上げ具を軽量化でき、この積み上げ具を作業者が手で持ち上げて角形建築材上に載せ置くことが容易になる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】同図(A)および同図(B)は、実施形態の角形建築材の積み上げ具を示した斜視図である。
図2図1の角形建築材の積み上げ具の使用例(積み上げ直前)を示した斜視図である。
図3図1の角形建築材の積み上げ具の使用例(積み上げ状態)を示した斜視図である。
図4図3の一部拡大図である。
図5図1の角形建築材の積み上げ具の収納例を示した説明図である。
図6図1の角形建築材の積み上げ具の他の収納例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(A)および図1(B)に示すように、実施形態にかかる角形建築材の積み上げ具1は、例えば、3本の角形鋼管(角形管)11,12,13を用いてX字形をなす4本の突出部を形成しており、これら4本の突出部によって4か所の直角凹部が形成されている。
【0016】
そして、図2および図3に示すように、上記4か所の直角凹部のうち下側に位置する下側直角凹部1aは、横置きされる角形建築材P1の上側角部に嵌り、上記4か所の直角凹部のうち上側に位置する上側直角凹部1bに、上記角形建築材P1上に横置きで積まれる別の角形建築材P2の下側角部が嵌る。角形建築材P1、P2は、例えば、角形鋼管柱Paに梁連結部Pbが溶接固定されたものであり、概ね4t程度の重量を有する。
【0017】
上記3本の角形鋼管11,12,13のうち、角形鋼管11は長尺であり、他の角形鋼管12,13は上記角形鋼管11よりも短尺である。具体的には、上記積み上げ具1は、2個分相当の上記突出部をなす1本の長尺の角形鋼管11の中央側に、他の2本の上記突出部をなす短尺の2本の角形鋼管12,13が接合されてX字形をなしている。
【0018】
上記長尺の角形鋼管11の長さは、例えば、700mmであり、上記短尺の角形鋼管12,13の長さは、例えば、300mmであり、X字形の各突出部の突出長さは300mm程度となる。上記突出部の突出長さは、角形建築材P1、P2の柱幅よりも短いが、当該突出部の先端は柱幅の中央部を超えて位置するようにしている。上記角形鋼管11,12,13としては、例えば、100mm×100mm×6mmの規格品である四角形鋼管が用いられており、積み上げ具1の重量は約23kgである。
【0019】
上記上側直角凹部1bを形成する短尺の角形鋼管13の下端側には、当該短尺の角形鋼管13内に入り込んだ雨水を抜くための水抜孔13aが形成されている。また、上記下側直角凹部1aを形成する2本の角形鋼管11,12の各々の先端側であって上記角形建築材P1の上側角部に接触しうる位置には、当該積み上げ具1の転倒を抑制する転倒抑制部材2A,2Bが取り付けられている。この実施形態では、転倒抑制部材2A,2Bは、角形建築材P1、P2の柱幅の略中央に当たる。
【0020】
各転倒抑制部材2A,2Bは、例えば、山形部材(等辺山形鋼等)からなる。各転倒抑制部材2A,2Bは、上記角形鋼管11,12における上記角形建築材P1に接触することになる接触面111,121の隣の立上面112,122に、一方の面部の3辺が溶接固定される。
【0021】
そして、上記転倒抑制部材2A,2Bの固定されない他方の面部は、上記接触面111,121と面一に位置し、上記2本の角形鋼管11,12の上記他方の面部は、互いに反対方向に突出しており、上記転倒抑制部材2Aによって一方側への転倒が抑制され、上記転倒抑制部材2Bによって反対側への転倒が抑制される。なお、上記角形建築材P1、P2には、所定の配置間隔でライズタラップ受け金具が溶接されており、上記転倒抑制部材2A,2Bの突出部と角形鋼管幅とのトータル幅は、上記ライズタラップ受け金具の配置間隔よりも狭くされる。
【0022】
また、積み上げ具1は、上記下側直角凹部1aを形成する長尺の角形鋼管11の下端側および短尺の角形鋼管12の各々の接触面111,121に背向する面113,123の下端の側であって、当該下端から距離をおいた位置に、ラッシング用孔部11a,12aを有している。ラッシング用孔部11a,12aは、当該積み上げ具1を角形建築材P1に固縛するラッシングベルト7のフック71を引っ掛ける引っ掛け部となる。そして、各ラッシング用孔部11a,12aは、図4にも示すように、上記2本の角形鋼管11,12の長手方向に長い長孔とされている。換言すれば、各ラッシング用孔部11a,12aは、ラッシングベルト7が引っ張られる方向に長い長孔である。
【0023】
さらに、積み上げ具1は、上側直角凹部1bを形成する長尺の角形鋼管11および短尺の角形鋼管13の各々の角形建築材P2が接触する側の接触面114,131の上端の側であって、当該上端から所定距離をおいた位置に、それぞれ吊り上げ用孔部11b,13bを有する。吊り上げ用孔部11b,13bを有すると、クレーン等を使って積み上げ具1を角形建築材P1上にセットすることもできる。
【0024】
上記の構成であれば、横置きされる角形建築材P1における角形鋼管柱Paの上側角部上に、積み上げ具1を2個互いに離間させて配置し、これら2個の積み上げ具1によって、横置きで積まれる別の角形建築材P2を支持することができる。これにより、同じ敷地等に2倍の本数の角形建築材P1,P2を配置することが可能となる。
【0025】
また、積み上げ具1は、4本の突出部により構成されるので、軽量化が図りやすく、この積み上げ具1を作業者が手で持ち上げて上記角形建築材P1,P2上に載せ置くことが可能になる。
【0026】
積み上げ具1が角形鋼管11,12,13からなると、積み上げ具1のさらなる軽量化が図れる。この実施形態では、積み上げ具1におけるX字形の上記突出部の突出長さは、その先端が上記角形建築材P1、P2の柱幅の中央部を超えて位置するが、上記角形建築材P1、P2の柱幅よりも短くされており、これによっても積み上げ具1の軽量化が図られている。なお、X字形の各突出部の突出長さを等しくすることに限らず、下側に突出する突出部の方が上側に突出する突出部よりも長いX字形としてもよい。
【0027】
積み上げ具1は、上記上側直角凹部1bを形成する短尺の角形鋼管13の底が角形鋼管11で塞がれた構造となるが、角形鋼管13の下端側には、水抜孔13aが形成されているので、上記角形鋼管13内に雨水が溜まるのを防止できる。
【0028】
上記下側直角凹部1aを形成する2本の角形鋼管11,12の各々に、当該積み上げ具の転倒を抑制する転倒抑制部材2A,2Bを備えると、角形鋼管11,12,13の断面積等が小さくても、積み上げ具1の転倒を抑制することができる。すなわち、角形鋼管11,12,13の断面積等を小さくして積み上げ具1の軽量化を図りつつ、積み上げ具1の転倒を抑制できる。
【0029】
転倒抑制部材2A,2Bが山形部材からなると、積み上げ具1の積み上げ収納や横並べ収納が嵩張らずに行え、また、当該積み上げ具1を積み上げ収納する状態で上記転倒抑制部材2A,2Bによって、積み上げの位置決めや崩れ防止も図れる。図4は、パレット8上に積み上げ具1を積み上げて収納した例を示している。また、図5は、山形の収納座9を用いて積み上げ具1を横に並べて収納する例を示している。
【0030】
なお、転倒抑制部材2A,2Bは山形部材とするのが望ましいが、山形部材には限定されない。また、1個の積み上げ具1において、上記角形建築材P1に接触することになる接触面111,121の両隣の立上面112,122にそれぞれ転倒抑制部材2A,2Bを固定して合計4個の転倒抑制部材2A,2Bを有してもよい。ただし、積み上げ具1の軽量化や収納性の観点から、2個の転倒抑制部材2A,2Bとするのがよい。
【0031】
また、積み上げ具1が有するラッシング用孔部11a,12aにラッシングベルト7を引っ掛けて、積み上げ具1を角形建築材P1に固縛できると、別の角形建築材P2を積み上げ具1で支持する際に、当該積み上げ具1が下側の角形建築材P1上でずれ動くのを防止することができる。
【0032】
なお、ラッシングベルト7を引っ掛ける引っ掛け部は、ラッシング用孔部11a,12aに限らず、凸状の引っ掛け部としてもよい。ただし、積み上げ具1の軽量化のためには、孔とするのがよい。
【0033】
また、積み上げ具1は角形鋼管で構成することに限らず、例えば、長尺の1本のH形鋼と、短尺の2本のH形鋼とをX字形に溶接固定した構造としてもよい。この構造において、ラッシング用孔部11a,12aおよび吊り上げ用孔部11b,13bは、H形鋼のウェブ等に形成することができる。転倒抑制部材2A,2BはH形鋼のフランジに取り付けることが可能である。また、互いに離間させた2枚のX字形の鋼板間に複数の連結棒材を介在させ、各連結棒材とX字形の鋼板を溶接固定した構造の積み上げ具としてもよい。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 :積み上げ具
1a :下側直角凹部
1b :上側直角凹部
2A :転倒抑制部材(山形部材)
2B :転倒抑制部材(山形部材)
7 :ラッシングベルト
8 :パレット
9 :収納座
11 :角形鋼管(突出部、角形管)
11a :ラッシング用孔部
11b :吊り上げ用孔部
12 :角形鋼管(突出部、角形管)
13 :角形鋼管(突出部、角形管)
13a :水抜孔
71 :フック
111 :接触面
112 :立上面
113 :背向する面
114 :接触面
121 :接触面
122 :立上面
123 :背向する面
131 :接触面
P1 :角形建築材
P2 :角形建築材
Pa :角形鋼管柱
Pb :梁連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6