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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151050
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20220929BHJP
   B65G 23/28 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B65G17/12 J
B65G23/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053943
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】521130332
【氏名又は名称】株式会社HOKUTO
(71)【出願人】
【識別番号】509190738
【氏名又は名称】クラフトエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034FA02
3F034FB03
3F034FC07
(57)【要約】
【課題】簡素な機械的手段でベルト搬送装置同士を同期させる。
【解決手段】搬送装置は、複数が連結されて協働する搬送装置であって、第1回転軸と、第2回転軸と、上記第1回転軸および上記第2回転軸の双方に掛け回されて循環移動する循環体と、上記循環体に各々が固定され、各々が搬送対象物を載せて移動する一連の移動具と、上記第1回転軸を駆動する駆動器と、を備え、上記一連の移動具は、上記第1回転軸側および上記第2回転軸側のうち一方側で上記搬送対象物を載せ、他方側で上記搬送対象物を降ろし、上記第2回転軸が、上記循環体を介して上記第1回転軸と連動するとともに、歯車機構を介して他の搬送装置の上記第1回転軸と連動する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数が連結されて協働する搬送装置であって、
第1回転軸と、
第2回転軸と、
前記第1回転軸および前記第2回転軸の双方に掛け回されて循環移動する循環体と、
前記循環体に各々が固定され、各々が搬送対象物を載せて移動する一連の移動具と、
前記第1回転軸を駆動する駆動器と、
を備え、
前記一連の移動具は、前記第1回転軸側および前記第2回転軸側のうち一方側で前記搬送対象物を載せ、他方側で前記搬送対象物を降ろし、
前記第2回転軸が、前記循環体を介して前記第1回転軸と連動するとともに、歯車機構を介して他の搬送装置の前記第1回転軸と連動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1回転軸に結合された前記歯車機構の一部である第1歯車機構部と、
前記第2回転軸に結合された前記歯車機構の他の一部である第2歯車機構部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1歯車機構部が、前記第1回転軸に固定された固定歯車と、当該固定歯車と噛み合った中間歯車とを備え、
前記第2歯車機構部が、前記第2回転軸に固定された固定歯車と、当該固定歯車と噛み合った中間歯車とを備え、
前記第1歯車機構部の前記中間歯車と前記第2歯車機構部の前記中間歯車とが噛み合うことで前記歯車機構となることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1歯車機構部および前記第2歯車機構部の少なくとも一方は、前記中間歯車を自転可能に保持する保持部を備え、当該保持部は当該中間歯車を、前記固定歯車と噛み合ったまま当該固定歯車を巡って回転可能に保持したことを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記保持部が、前記中間歯車の前記固定歯車を巡る回転を固定する固定具を備えたことを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1歯車機構部および前記第2歯車機構部の双方について、前記固定歯車と前記中間歯車とが同歯数であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記循環体と前記移動具とを内部に収容し、前記第1回転軸および第2回転軸が内外に貫いた筐体を備え、
前記第1歯車機構部および前記第2歯車機構部が前記筐体外に設けられたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、循環移動するベルトやチェーンの駆動力で搬送対象物を搬送する搬送装置が知られている。また、ベルトやチェーンに等間隔で取り付けられたバケットやフォークなどに搬送対象物を載せて搬送するタイプの搬送装置や、複数の搬送装置を組み合わせて搬送長を変更することができる搬送システムも知られている。
例えば特許文献1には、複数の無端状搬送体を縦に組み合わせて移送物を上下に搬送する移送物搬送システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-040241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、複数の無端状搬送体が各々のモータによって互いに同期して駆動されることが前提となっているが同期方法については開示がない。同期を取る方法としては、例えば、モータやベルトの動きをセンサで検知し、制御装置で搬送動作を同期させるといった方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、搬送対象物の高精度な受け渡しが実現されるためには高精度な制御アルゴリズムが必要となり、センサの設置箇所の検討や調整も不可欠で、大がかりで複雑なシステムとなってしまう。
そこで本発明は、簡素な機械的手段で搬送動作を同期させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、複数が連結されて協働する搬送装置であって、第1回転軸と、第2回転軸と、上記第1回転軸および上記第2回転軸の双方に掛け回されて循環移動する循環体と、上記循環体に各々が固定され、各々が搬送対象物を載せて移動する一連の移動具と、上記第1回転軸を駆動する駆動器と、を備え、上記一連の移動具は、上記第1回転軸側および上記第2回転軸側のうち一方側で上記搬送対象物を載せ、他方側で上記搬送対象物を降ろし、上記第2回転軸が、上記循環体を介して上記第1回転軸と連動するとともに、歯車機構を介して他の搬送装置の上記第1回転軸と連動することを特徴とする。
【0007】
このような搬送装置によれば、連結された搬送装置の相互間で、第1回転軸と第2回転軸が歯車機構で同期され、この結果、搬送対象物が受け渡される箇所の近辺で、循環体や移動具の動作が同期する。つまり、簡素な機械的手段で搬送動作が同期し、特に受け渡し箇所の近辺で高精度な同期が容易に実現されるので、搬送対象物の受け渡し精度が高い。また、動作を同期させるための構造として、歯車機構という簡素な機械的構造が用いられるため、搬送装置の連結・分離も容易である。
【0008】
本発明の搬送装置において、上記第1回転軸に結合された上記歯車機構の一部である第1歯車機構部と、上記第2回転軸に結合された上記歯車機構の他の一部である第2歯車機構部と、を備えることが好ましい。歯車機構を構成する各部を搬送装置が備えることで、搬送装置の連結に際して歯車機構の組み上げが容易である。
【0009】
また、本発明の搬送装置において、上記第1歯車機構部が、上記第1回転軸に固定された固定歯車と、当該固定歯車と噛み合った中間歯車とを備え、上記第2歯車機構部が、上記第2回転軸に固定された固定歯車と、当該固定歯車と噛み合った中間歯車とを備え、上記第1歯車機構部の上記中間歯車と上記第2歯車機構部の上記中間歯車とが噛み合うことで上記歯車機構となることが好ましい。中間歯車が介在することにより、歯車機構の組み上げが容易である。
【0010】
更に、本発明の搬送装置において、上記第1歯車機構部および上記第2歯車機構部の少なくとも一方は、上記中間歯車を自転可能に保持する保持部を備え、当該保持部は当該中間歯車を、上記固定歯車と噛み合ったまま当該固定歯車を巡って回転可能に保持したことが好適である。保持部を備えることで歯車機構の組み上げに際して中間歯車同士の噛み合わせが容易となり、歯車機構の組み上げが更に容易である。
【0011】
本発明の搬送装置において、上記保持部が、上記中間歯車の上記固定歯車を巡る回転を固定する固定具を備えることが更に好ましい。組み上がった歯車機構が固定具によって固定される。
【0012】
本発明の搬送装置において、上記第1歯車機構部および上記第2歯車機構部の双方について、上記固定歯車と上記中間歯車とが同歯数であることも好ましい。同歯数であることにより、各歯車に掛かるトルクがほぼ均等となって摩耗や損傷が抑制される。
【0013】
本発明の搬送装置において、上記循環体と前記移動具とを内部に収容し、上記第1回転軸および第2回転軸が内外に貫いた筐体を備え、上記第1歯車機構部および上記第2歯車機構部が上記筐体外に設けられたことも好ましい。筐体を備えることで連結時や分離時に循環体や移動具が保護され、第1歯車機構部および第2歯車機構部が筐体外に設けられることで歯車機構の組み上げや分解が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素な機械的手段でベルト搬送装置同士を同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ボール搬送システムを示す外観斜視図である。
図2】ボール搬送装置の表側を示す斜視図である。
図3】ボール搬送装置の裏側を示す斜視図である。
図4】ボール搬送装置の側面図である。
図5】ボール搬送装置の内部構造を示す内部構成図である。
図6】ボール搬送装置同士の連結箇所を示す断面図である。
図7】連結箇所における内部構造を示す斜視図である。
図8】連結箇所におけるボールの受け渡し構造を示す図である。
図9】保持バーの回転構造を示した断面図である。
図10】第1ギヤセットおよび第2ギヤセットからなるギア機構におけるギヤの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図1は、ボール搬送システムを示す外観斜視図である。
【0017】
ボール搬送システム1は、中空の金属支柱2内にゴム製のボールを投入して金属支柱2の強度を増すためのシステムである。ボール搬送システム1は、同一のボール搬送装置10が複数台(ここでは一例として4台)連結された構造を有する。連結されたボール搬送装置10は図示が省略されたワイヤーによって相互に支持される。また、図1では、一部のボール搬送装置10(下から1台目と3台目)について、筐体の一部が取り除かれて内部が露出した状態が図示されている。
【0018】
各ボール搬送装置10はボールを上方へと搬送し、複数のボール搬送装置10が下方から順次にボールを上方へと受け渡して金属支柱2よりも高くまでボールを到達させる。最高点に到達したボールはチューブ3を通って金属支柱2内に投入される。ボール搬送システム1を構成するボール搬送装置10の数は、金属支柱2の高さなどに応じて変更される。
【0019】
各ボール搬送装置10は本発明の搬送装置の一実施形態に相当する。ボール搬送装置10の搬送対象はゴム製のボールであるが、本発明の搬送装置における搬送対象は、箱形など他の形状でもよく、金属などゴム以外の固体物でもよく、粒状物や粉体などであってもよい。また、本発明の搬送装置が連結される場合、複数種類の搬送装置が連結されてもよい。
【0020】
各ボール搬送装置10は個別のモータ11を備え、各モータ11によって各ボール搬送装置10が個別に駆動される。モータ11は本発明にいう駆動器の一例に相当する。ボール搬送装置10の相互間におけるボールの受け渡しは、ボール搬送装置10同士で動作が同期することにより、直接の受け渡しが可能となっている。このため、ボール搬送装置10の相互間には移送装置などが不要であり、ボール搬送システム1全体の小型化や組み立て容易性が実現している。以下の説明では、ボール搬送装置10の表裏のうちモータ11が設けられている側を表側と称し、表側の反対側を裏側と称する場合がある。
【0021】
複数のボール搬送装置10は上述したように同一の装置であるが、ボール搬送システム1の組み上げに際し、表側向きのボール搬送装置10と裏側向きのボール搬送装置10とが交互に連結される。
以下、ボール搬送装置10の詳細構造について説明する。
図2は、ボール搬送装置の表側を示す斜視図であり、図3は、ボール搬送装置の裏側を示す斜視図であり、図4は、ボール搬送装置の側面図である。
ボール搬送装置10は、外観上、モータ11と、筐体12と、連結具13と、第1ギヤセット16と、第2ギヤセット17とを有する。
モータ11はボール搬送装置10の例えば上部に設けられており、上述したようにボール搬送装置10を駆動する。
【0022】
筐体12は例えば箱状の形状を有し、内部構造を保護するとともにボール搬送装置10全体を保持する。筐体12の側面には、ボール5が送り込まれる送入口14が下部に設けられ、ボール5が送り出される送出口15が上部に設けられている。なお、本実施形態のボール搬送装置10は、ボール5を上下方向のどちらにも搬送することができるが、ボール5を上方へと搬送する機能が主な機能であるので、以下ではボール5を上方へと搬送する機能に着目して説明する。
連結具13はボール搬送装置10の例えば上部に固定され、他のボール搬送装置10の例えば下部に連結して筐体12同士を一体化させる。
第1ギヤセット16はボール搬送装置10の裏側の上部に設けられ、筐体12を挟んでモータ11の反対に位置している。
第2ギヤセット17はボール搬送装置10の表側の下部に設けられている。
【0023】
第1ギヤセット16と第2ギヤセット17は、2つのボール搬送装置10が連結される際に、一方のボール搬送装置10の第1ギヤセット16と他方のボール搬送装置10の第2ギヤセット17とが噛み合う。
図5は、ボール搬送装置の内部構造を示す内部構成図である。
ボール搬送装置10は、内部構造として、駆動軸(プーリ)21と、従動軸(プーリ)22と、無端ベルト23と、バケット24とを備える。
駆動軸21は、モータ11に連結されてモータ11の駆動力で回転駆動される。
【0024】
無端ベルト23は、駆動軸21と従動軸22とに掛け回され、駆動軸21の回転駆動によって循環移動する。本実施形態では無端ベルト23としていわゆるタイミングベルトが用いられる。
従動軸22は、無端ベルト23を介して駆動軸21から伝達される駆動力によって回転する。
【0025】
バケット24は、無端ベルト23に一連で固定され、無端ベルト23の循環移動に伴って移動する。各バケット24は、搬送対象物(ここに示す例ではボール5)を載せて移動し、従動軸22側の送入口14でボール5を載せ、駆動軸21側の送出口15でボール5を降ろす。
【0026】
駆動軸21は本発明にいう第1回転軸の一例に相当し、従動軸22は本発明にいう第2回転軸の一例に相当する。また、無端ベルト23は本発明にいう循環体の一例に相当し、バケット24は本発明にいう移動具の一例に相当する。本実施形態では、駆動軸21が上方に位置して従動軸22が下方に位置するが、本発明にいう第1回転軸および第2回転軸は、第1回転軸が下方に位置して第2回転軸が上方に位置してもよい。また、本発明にいう循環体としては例えばチェーンが用いられてもよい。
【0027】
駆動軸21には上述した第1ギヤセット16が結合されており、第1ギヤセット16のギヤは駆動軸21と連動して回転する。また、従動軸22には上述した第2ギヤセット17が結合されており、第2ギヤセット17のギヤは従動軸22と連動して回転する。
図6は、ボール搬送装置同士の連結箇所を示す断面図であり、図7は、連結箇所における内部構造を示す斜視図であり、図8は、連結箇所におけるボールの受け渡し構造を示す図である。
【0028】
図6図8には、2台のボール搬送装置10_1,10_2が示され、送り側のボール搬送装置10_1から受け取り側のボール搬送装置10_2へとボール5が送り込まれる。図6および図8には、図の左側に送り側のボール搬送装置10_1が示され、図の右側に受け取り側のボール搬送装置10_2が示されている。また、図7には、図の右側に送り側のボール搬送装置10_1が示され、図の左側に受け取り側のボール搬送装置10_2が示されている。
2台のボール搬送装置10_1,10_2は、送入口14と送出口15とが重なり合った状態で連結される。送り側のボール搬送装置10_1は、図6の奥側から手前側(図7および図8の下側から上側)へとボール5を搬送し、送出口15に達したボール5は送出案内板25に当たって送り側のボール搬送装置10_1から押し出される。即ち、ボール5が送出口15および送入口14を通って受け取り側のボール搬送装置10_2に送り込まれる。受け取り側のボール搬送装置10_2では送り込まれたボール5をバケット24で受け取って図6の奥側から手前側(図7および図8の下側から上側)へと更に搬送する。
【0029】
第1ギヤセット16および第2ギヤセット17は、固定ギヤ161,171と、中間ギヤ162,172と、保持バー163,173と、ロック機構164,174とを備えている。
【0030】
第1ギヤセット16の固定ギヤ161は駆動軸21に固定されており、駆動軸21と共に固定ギヤ161が回転する。第2ギヤセット17の固定ギヤ171は従動軸22に固定されており、従動軸22と共に固定ギヤ171が回転する。
【0031】
中間ギヤ162,172は自転可能に保持バー163,173に保持され、固定ギヤ161,171と噛み合って回転する。本実施形態においては中間ギヤ162,172および固定ギヤ161,171の歯数が同数となっており、これにより各ギヤ161,162,171,172におけるトルクが同等になるので、トルクの偏りによる損傷や摩耗が抑制される。
【0032】
保持バー163,173は、中間ギヤ162,172を固定ギヤ161,171に対して一定距離に保って保持すると共に、固定ギヤ161,171を中心として回転自在となっている。これにより、中間ギヤ162,172は、固定ギヤ161,171との噛み合いを維持したままで固定ギヤ161,171を巡って回転可能となっている。保持バー163,173は、本発明にいう保持具の一例に相当する。
【0033】
ロック機構164,174は、回転可能な保持バー163,173の回転を固定するものである。ロック機構164,174は、本発明にいう固定具の一例に相当する。
ここで、保持バー163,173の回転構造について説明する。
図9は、保持バーの回転構造を示した断面図である。
図9では、第1ギヤセット16と第2ギヤセット17が区別せずに示されている。
【0034】
駆動軸21および従動軸22は、軸受26によって回転自在に筐体12に保持されている。保持バー163,173は、軸受26の外周に嵌まったリング165,175を中心として回転自在となっており、保持バー163,173の回転は、駆動軸21および従動軸22に固定された固定ギヤ161,171の回転とは独立である。保持バー163,173の一端には中間ギヤ162,172が回転自在に保持され、保持バー163,173の他端にはロック機構164,174が設けられている。ロック機構164,174が筐体12上のロック受け166,176に嵌まることで保持バー163,173の回転が固定され、中間ギヤ162,172の位置も固定される。
図6図8に戻って説明を続ける。
【0035】
2台のボール搬送装置10_1,10_2の連結に際しては、ロック機構164,174のロックが外されて保持バー163,173が回転可能となり、第1ギヤセット16と第2ギヤセット17との結合(即ち中間ギヤ162,172同士の噛み合わせ)が容易である。そして、2台のボール搬送装置10_1,10_2の連結が完了した時点で保持バー163,173の回転がロック機構164,174で固定されることにより、第1ギヤセット16および第2ギヤセット17が一体のギア機構として固定される。第1ギヤセット16および第2ギヤセット17からなるギア機構が、本発明にいう歯車機構の一例に相当し、第1ギヤセット16が、本発明にいう第1歯車機構部の一例に相当し、第2ギヤセット17が、本発明にいう第2歯車機構部の一例に相当する。
【0036】
なお、本発明にいう歯車機構は、2台のボール搬送装置10_1,10_2の片方に歯車機構の全体が備えられていてボール搬送装置10_1,10_2の連結時に駆動軸21あるいは従動軸22に結合されるものでもよい。あるいは、本発明にいう歯車機構は、ボール搬送装置10_1,10_2の分離時は2台のボール搬送装置10_1,10_2の双方から外れていて、連結時に駆動軸21および従動軸22に結合されるものでもよい。
【0037】
第1ギヤセット16および第2ギヤセット17からなるギア機構により、受け取り側のボール搬送装置10_2における従動軸22が、送り側のボール搬送装置10_1における駆動軸21と同期して回転する。その結果、特に送入口14および送出口15の付近では2台のボール搬送装置10_1,10_2における無端ベルト23の周速が一致するのでバケット24の動きが同期して、ボール5の受け渡しが円滑に行われる。
【0038】
送入口14および送出口15の付近では、ギア機構によって2台のボール搬送装置10_1,10_2における無端ベルト23の周速が強制的に合わせられるが、ボール搬送装置10_1,10_2には、各モータ11の駆動誤差や各ボール搬送装置10_1,10_2における駆動負荷のバラツキなどがある。このため、1台のボール搬送装置10内で駆動軸21側と従動軸22側とで無端ベルト23に周速差が生じる場合がある。この周速差は、駆動軸21と従動軸22との軸間距離が長いため無端ベルト23の弛みや引っ張りによって吸収され、ボール搬送システム1全体としては円滑な搬送が実現される。
図10は、第1ギヤセットおよび第2ギヤセットからなるギヤ機構におけるギヤの配置を示す図である。
【0039】
図10には、ロック機構164,174によって保持バー163,173の回転が固定された状態が示されている。ギヤ機構を構成する第1ギヤセット16および第2ギヤセット17はこの状態で固定されており、固定ギヤ161,171と中間ギヤ162,172の合計4つのギヤは、直線上には並んでいない。即ち、駆動軸21と従動軸22との距離は、噛み合ったギヤ同士の中心間距離の合計よりも短い。このため、ボール搬送装置10の連結時には、保持バー163,173の回転によって中間ギヤ162,172同士が確実に接触し、容易にギヤ機構を組み上げることができる。また、ボール搬送装置10の連結に誤差が生じてもギヤ機構の組み上げには影響が少ない。
【符号の説明】
【0040】
1……ボール搬送システム、 2……金属支柱、
10,10_1,10_2……ボール搬送装置、 11……モータ、
12……筐体、 13……連結具、 14……送入口、 15……送出口、
16……第1ギヤセット、 17……第2ギヤセット、
161,171……固定ギヤ、 162,172……中間ギヤ、
163,173……保持バー、 164,174……ロック機構、
21……駆動軸(プーリ)、 22……従動軸(プーリ)、
23……無端ベルト、 24……バケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10