IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-流量調節器及び改質器 図1
  • 特開-流量調節器及び改質器 図2
  • 特開-流量調節器及び改質器 図3
  • 特開-流量調節器及び改質器 図4
  • 特開-流量調節器及び改質器 図5
  • 特開-流量調節器及び改質器 図6
  • 特開-流量調節器及び改質器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151100
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】流量調節器及び改質器
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20220929BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F16L55/00 H
C01B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054014
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】中神 翔
(72)【発明者】
【氏名】松村 南月
(72)【発明者】
【氏名】松尾 日向子
【テーマコード(参考)】
3H025
4G140
【Fターム(参考)】
3H025BA16
3H025BA18
3H025BA25
3H025BB02
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB04
4G140EB12
4G140EB46
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でありながらも、高温状態においてガス漏れを回避できる流量調節器を提供する。
【解決手段】ボディZが、上流側管部Lu及び下流側管部Lsに溶接にて接続される一対の管接続部Dを両端に備え且つ内部流路Qを備える筒状の本体部Zhと、本体部Zhの長手方向の中央箇所から延びる筒状の延出部Znとを備えられる形態に構成され、延出部Znの内部に、内部流路Qに対して交差する方向から突入する軸状の抵抗体Pが配設され、抵抗体Pの端部を止まり穴Uに挿入させた状態で支持する支持体12が設けられ、延出部Znの端部に形成した延出部側シール部S1と支持体12に形成した支持体側シール部S2とが、シール体13を介在させた状態で内部流路Qに対して交差する方向から接当する状態で設けられ、支持体12を延出部Znに対して締結する締結部Vが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側管部及び下流側管部の間に配設される流量調節器であって、
ボディが、前記上流側管部及び前記下流側管部に溶接にて接続される一対の管接続部を両端に備え且つ前記一対の管接続部に亘る内部流路を備える筒状の本体部と、当該本体部の長手方向の中央箇所から前記内部流路に対して交差方向に延びる筒状の延出部とを備えられる形態に構成され、
前記延出部の内部に、前記内部流路に対して交差する方向から突入する軸状の抵抗体が配設され、
前記抵抗体の端部を止まり穴に挿入させた状態で支持する支持体が設けられ、
前記延出部の端部に形成した延出部側シール部と前記支持体に形成した支持体側シール部とが、シール体を介在させた状態で前記内部流路に対して交差する方向から接当する状態で設けられ、
前記支持体を前記内部流路に対して交差する方向に沿って押圧する状態で前記延出部に対して締結する締結部が設けられている流量調節器。
【請求項2】
長さの異なる複数の前記抵抗体が、前記支持体に付替自在に設けられている請求項1に記載の流量調節器。
【請求項3】
前記抵抗体の端部が前記止まり穴に螺合されて、前記抵抗体と前記支持体との相対回転により前記抵抗体の前記止まり穴に対する挿入量が変更調節される請求項1に記載の流量調節器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の流量調節器を備える改質器であって、
天井壁と底壁との間に円筒状の側壁が配置された炉本体における前記天井壁の中央箇所に、下向きに燃焼する改質用バーナが設けられ、
前記改質用バーナの周囲に、原燃料としての炭化水素系ガスを水蒸気改質処理する触媒が装填された改質反応管が前記天井壁から垂下する姿勢で設けられ、
前記側壁に、前記改質用バーナの燃焼ガスを排出する排出部が開口され、
前記複数の改質反応管の原料ガス入口側の入口管の途中又は改質ガス出口側の出口管の途中に、前記流量調節器が配設されている改質器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側管部及び下流側管部の間に配設される流量調節器及び流量調節器を備える改質器に関する。
【背景技術】
【0002】
流量調節器の従来例として、ニードル弁がある(例えば、特許文献1参照)。この従来のニードル弁は、ニードル弁体を流路に対して交差する方向に沿って外部より移動操作することにより流量を調整できるように構成されている。また、ガス漏れ防止のシール構造がニードル弁体の径方向においてシール作用する構造として構成されている。
【0003】
改質器の従来例として、天井壁と底壁との間に円筒状の側壁が配置された炉本体における天井壁の中央箇所に、下向きに燃焼する改質用バーナが設けられ、改質用バーナの周囲に、原燃料としての炭化水素系ガスを水蒸気改質処理する触媒が装填された改質反応管が天井壁から垂下する姿勢で設けられたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
すなわち、複数の改質反応管の夫々には、原料ガス入口側の入口管及び改質ガス出口側の出口管が備えられ、水蒸気が混合された原料ガスが入口管に導入され、改質反応管の内部にて水蒸気改質処理された改質ガスが出口管より排出されることになる。
ちなみに、複数の改質反応管の夫々の入口管が、原料ガスを供給する原料ガス管から分岐する状態で設けられ、複数の改質反応管の夫々の出口管が、改質ガスを案内する案内管に合流接続される状態で設けられることになる。
【0005】
従来の改質炉においては、水蒸気が混合された原料ガスを、入口管を通して単に改質反応管の内部に導入し、改質反応管の内部にて生成された改質ガスを、出口管を通して単に排出させるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-42333号公報
【特許文献2】特開2020-158334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のニードル弁は、ニードル弁体を流路に対して交差する方向に沿って外部より移動操作する操作構造を備えることに起因して、全体構成が複雑であり、しかも、漏れ防止のシール構造がニードル弁体の径方向においてシール作用する構成であるため、高温(例えば、500℃)の流体を流動させる配管に装備すると、構成部品の熱膨張により、ガス漏れを起こす虞があった。
【0008】
従来の改質器では、改質用バーナによる加熱むら等により、複数の改質反応管に装填された触媒の温度を同等にできないため、改質ガスの生成能力を向上できない不都合があった。
すなわち、改質反応管に装填された改質処理用の触媒の温度が水蒸気改質処理を最も効率良く行う適正温度に維持されると、改質ガスの生産能力を向上できるものとなるが、改質反応管に装填された改質処理用の触媒の温度が適正温度よりも高温に加熱されると、当該触媒が割れる等の損傷を生じることになるため、触媒の温度を適正温度以下に維持させる必要がある。
【0009】
したがって、複数の改質反応管に装填された触媒の温度が同等にならないときには、改質用バーナの燃焼量の調節や原料ガスの供給量の調節により、複数の改質反応管に装填された触媒の温度のうちの最も高温の温度を適正温度に維持させるようにすることになるが、この場合には、複数の改質反応管のうちには、装填された触媒が適正温度よりも低い温度に維持されるものが存在することになる結果、改質ガスの生成能力を向上できない不都合があった。
【0010】
ところで、複数の改質反応管に装填された触媒の温度を同等にするには、複数の改質反応管の夫々に導入される原料ガスの導入量を調節することが考えられる。例えば、複数の改質反応管夫々の入口管の途中又は出口管の途中に、上述のニードル弁を配設することが考えられる。
しかしながら、改質反応管夫々の入口管又は出口管は、改質処理中は、高温(例えば、500℃)になるものであるから、ニードル弁がガス漏れを起こす虞があり、実用できないものであった。つまり、原料ガスや改質ガスは可燃性ガスであるため、ガス漏れを的確に回避する必要があり、高温状態でガス漏れを起こすニードル弁は実用できないものであった。
【0011】
複数の改質反応管に導入される原料ガスの導入量を調節する別の例として、複数の改質反応管夫々の入口管又は出口管に流量制限用オリフィスを設けて、複数の改質反応管の夫々に導入される原料ガスの導入量を調節することが考えられる。
【0012】
この場合の具体例として、オリフィス孔が形成されているオリフィス形成板を、複数の改質反応管夫々の入口管又は出口管の途中に、流路上流側の管部分及び流路下流側の管部分に対して溶接にて接続する形態で設けることが考えられる。しかしながら、この具体例の場合には、原料ガスの導入量を微調節するために、異なる大きさのオリフィス孔を備えるオリフィス形成板に交換する作業が面倒で大がかりな作業となり、実用できないものであった。
【0013】
尚、別の具体例として、オリフィス孔が形成されているオリフィス形成板を、複数の改質反応管夫々の入口管又は出口管の途中に設けた一対のフランジの間に挟み込む形態で設けることが考えられる。つまり、流路上流側の管部分に設けたフランジと流路下流側の管部分に設けたフランジとの間にオリフィス形成板を位置させ、一対のフランジをボルトとナットにて締結する形態で設けることが考えられる。しかしながら、この具体例の場合には、改質反応管夫々の入口管又は出口管が熱膨張することに起因して、ガス漏れの発生を起こす虞があり、実用できないものであった。
【0014】
本発明は、かかる実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、簡素な構成でありながらも、高温状態においてガス漏れを回避できる流量調節器を提供する点にある。
また、本発明の別の目的は、流量調節器を用いて、複数の改質反応管に装填された触媒の温度を同等化することができる改質器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の流量調節器は、上流側管部及び下流側管部の間に配設されるものであって、その特徴構成は、
ボディが、前記上流側管部及び前記下流側管部に溶接にて接続される一対の管接続部を両端に備え且つ前記一対の管接続部に亘る内部流路を備える筒状の本体部と、当該本体部の長手方向の中央箇所から前記内部流路に対して交差方向に延びる筒状の延出部とを備えられる形態に構成され、
前記延出部の内部に、前記内部流路に対して交差する方向から突入する軸状の抵抗体が配設され、
前記抵抗体の端部を止まり穴に挿入させた状態で支持する支持体が設けられ、
前記延出部の端部に形成した環状の延出部側シール部と前記支持体に形成した環状の支持体側シール部とが、シール体を介在させた状態で前記内部流路に対して交差する方向から接当する状態で設けられ、
前記支持体を前記内部流路に対して交差する方向に沿って押圧する状態で前記延出部に対して締結する締結部が設けられている点にある。
【0016】
すなわち、端部が止まり穴に挿入された状態で支持体に支持される抵抗体を、ボディの本体部の内部流路に対して交差する方向から突入させることにより、内部流路を流れる流体の流量を調節できる。ちなみに、流量を変更調節するには、例えば、長さの異なる抵抗体を付け替えることにより行うことができる。
【0017】
そして、ボディの本体部の一対の管接続部が、上流側管部及び下流側管部に溶接にて接続され、抵抗体が、端部を止まり穴に挿入させた状態で支持体に支持され、延出部の端部に形成した環状の延出部側シール部と支持体に形成した環状の支持体側シール部とが、シール体を介在させた状態で内部流路に対して交差する方向から接当する状態で設けられているから、締結部により、支持体を内部流路に対して交差する方向に沿って押圧する状態で延出部に対して締結することにより、高温状態になっても的確にガス漏れを抑制できる。
【0018】
説明を加えると、ボディの本体部の一対の管接続部が上流側管部及び下流側管部に溶接にて接続されているから、高温状態になっても、一対の管接続部と上流側管部及び下流側管部との接続箇所からガス漏れを生じることがない。
【0019】
そして、内部流路を流動する流体は、ボディにおける延出部の内面と抵抗体との間を通して延出部の端部側に流動することになるが、端部を止まり穴に挿入させた状態で抵抗体が支持体に支持されているから、延出部の端部側に流動する流体が、高温状態になっても、支持体における抵抗体の挿入箇所から漏れることがない。しかも、環状の延出部側シール部と環状の支持体側シール部とが、シール体を介在させて接当する状態で締結部にて締結されているから、延出部の端部側に流動する流体が、高温状態になっても、延出部や支持体の外部に漏出することがなくなる。
【0020】
つまり、端部を止まり穴に挿入させた状態で抵抗体を支持体に支持させ、延出部側シール部と支持体側シール部とを、シール体を介在させて接当させて、内部流路に対して交差する方向から接当させるという簡素な構成にて、高温状態になっても的確にガス漏れを抑制できる。
【0021】
ちなみに、ボディの本体部の内部流路を通して高温の流体を流動させる場合には、ボディの本体部の外周部を断熱材にて覆うことになるが、ボディの延出部の外周部は断熱材にて覆う必要がないため、ボディの延出部をボディの本体部よりも低温状態に維持して熱膨張量を抑制できるものとなり、この点からも、的確にガス漏れを抑制できる。
【0022】
要するに、本発明の流量調節器の特徴構成によれば、簡素な構成でありながらも、高温状態においてガス漏れを回避できる。
【0023】
本発明の流量調節器の更なる特徴構成は、長さの異なる複数の前記抵抗体が、前記支持体に付替自在に設けられている点にある。
【0024】
すなわち、長さの異なる複数の抵抗体を、支持体に付け替えることにより、内部流路に対して交差する方向から突入する抵抗体の突入量を変更して、内部流路を流動する流体の流量を適切に変更調節できる。
【0025】
ちなみに、長さの異なる複数の抵抗体を支持体に付け替えるには、締結部を緩めて、支持体及び抵抗体を延出部から取り外し、支持体に支持させる抵抗体を付け替えた後、支持体及び抵抗体を延出部に装着し、締結部を締結することになる。
【0026】
要するに、本発明の流量調節器の更なる特徴構成によれば、内部流路を流動する流体の流量を適切に変更調節できる。
【0027】
本発明の流量調節器の更なる特徴構成は、前記抵抗体の端部が前記止まり穴に螺合されて、前記抵抗体と前記支持体との相対回転により前記抵抗体の前記止まり穴に対する挿入量が変更調節される点にある。
【0028】
すなわち、抵抗体と支持体との相対回転により抵抗体の止まり穴に対する挿入量を変更調節することにより、内部流路に対して交差する方向から突入する抵抗体の突入量を変更して、内部流路を流動する流体の流量を適切に変更調節できる。
つまり、単一の抵抗体を用いて、内部流路を流動する流体の流量を適切に変更調節できる。
【0029】
ちなみに、抵抗体と支持体とを相対回転させるには、締結部を緩めて、支持体及び抵抗体を延出部から取り外し、抵抗体と支持体とを相対回転させた後、支持体及び抵抗体を延出部に装着し、締結部を締結することになる。
【0030】
要するに、本発明の流量調節器の更なる特徴構成によれば、単一の抵抗体を用いて、内部流路を流動する流体の流量を適切に変更調節できる。
【0031】
本発明の改質炉は、上述した流量調節器を備えるものであって、その特徴構成は、
天井壁と底壁との間に円筒状の側壁が配置された炉本体における前記天井壁の中央箇所に、下向きに燃焼する改質用バーナが設けられ、
前記改質用バーナの周囲に、原燃料としての炭化水素系ガスを水蒸気改質処理する触媒が装填された改質反応管が前記天井壁から垂下する姿勢で設けられ、
前記側壁に、前記改質用バーナの燃焼ガスを排出する排出部が開口され、
前記複数の改質反応管の原料ガス入口側の入口管の途中又は改質ガス出口側の出口管の途中に、前記流量調節器が配設されている点にある。
【0032】
すなわち、複数の改質反応管の原料ガス入口側の入口管又は改質ガス出口側の出口管に設けた流量調節器の流量調節作用により、複数の改質反応管の夫々に導入される原料ガス量を調節することにより、複数の改質反応管における触媒の温度を同等化することができる。
その結果、複数の改質反応管の全てにおける触媒の温度を、水蒸気改質処理を最も効率良く行う適正温度に維持させることができるものとなり、改質ガスの生成能力を向上できる。
【0033】
要するに、本発明の改質器によれば、高温状態になっても的確にガス漏れを抑制できる流量調節器を用いて、複数の改質反応管に装填された触媒の温度を同等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】改質器を示す縦断正面図である。
図2】改質器における空気供給管の配置構成を示す平面図である。
図3】改質反応管を示す一部省略縦断正面図である。
図4】改質器の原料ガス及び改質ガスの流動状態を示す概略図である。
図5】流量調節器の縦断正面図である。
図6】抵抗体の内部流路に対する突入状態を示す側面図である。
図7】別実施形態の流量調節器の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(改質器の全体構成)
図1に示すように、改質器Hは、天然ガスやナフサ等の炭化水素系の原料ガスGを水蒸気改質処理により水素成分が多い改質ガスKに改質するものであって、改質反応管A及び当該改質反応管Aを加熱する改質用バーナBを装備した炉本体2を備えている。
【0036】
炉本体2が、天井壁2Uと、底壁2Dと、天井壁2Uと底壁2Dとの間に配置される円筒状の側壁2Sを備える形態に構成されている。
そして、改質器Hにおける天井壁2Uの中央箇所に、改質用バーナBが下向きに燃焼する形態に設けられ、側壁2Sの上方側箇所に、改質用バーナBの燃焼ガスEを排出する排出部2Eが開口されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、複数の改質反応管Aが、改質器Hの天井壁2Uから垂下する姿勢で、且つ、改質用バーナBの周囲に沿って間隔を隔てて並置される形態で設けられている。
尚、本実施形態においては、複数の改質反応管Aとして、4つの改質反応管Aを設ける場合を例示するが、3つや5つ以上の改質反応管Aを設ける形態で実施してもよい。
【0038】
また、図1に示すように、円筒状の外方壁2Gが、改質器Hの側壁2Sの外方側箇所に、天井壁2Uと底壁2Dとの間に配置される状態で設けられている。
そして、側壁2Sと外方壁2Gとの間の外部空間Cに、改質反応管Aの上部に供給する原料ガスGに混合する水蒸気を生成する水蒸気生成用熱交換器Jが配置され、また、外方壁2Gの下方側箇所に、排出部2Eから外部空間Cを通して流動する燃焼ガスEを排出する外部排出口2Zが設けられている。
【0039】
さらに、図1及び図2に示すように、外部空間Cにおける水蒸気生成用熱交換器Jと外方壁2Gとの間に、改質用バーナBに供給する空気を予熱する空気予熱用熱交換器Nが設けられている。
【0040】
(改質反応管の詳細)
改質反応管Aは、図3に示すように、底部が閉塞された外管3と、当該外管3の内部に配置される内管4とを備え、内管4が、底部を開口する状態に形成され、外管3と内管4との間に、粒状の改質処理用の触媒Sが充填された充填部が上下方向に向かう姿勢で形成されている。
外管3の上端側部分が、改質器Hの天井壁2Uを貫通する状態で当該天井壁2Uに支持され、内管4の上端側部分が、外管3の管上壁3uを貫通する状態で、当該管上壁3uに支持されている。
【0041】
外管3と内管4との間には、改質処理用の触媒Sを受止め支持する多孔状の触媒支持部Tが設けられている。
触媒支持部Tは、外管3の底部側に向けて外管3と内管4との間を通して流動する改質ガスKを通流させる通流孔を備える状態に形成され、そして、内管4の下端部に支持されている。
ちなみに、図3においては、触媒支持部Tとして、通流孔が全体に亘って形成されている多孔板状の形態を例示するが、例えば、通流孔が周方向に沿って一列状に並ぶ状態に形成された板状の形態に構成する等、触媒支持部Tとしては、改質処理用の触媒Sを受止め且つ改質ガスKを通流させる通流孔を備える形態であれば、各種の形態に構成できる。
【0042】
外管3における改質器Hの天井壁2Uから突出する部分には、水蒸気が混合された原料ガスGを導入する原料ガス導入管5a(原料ガス入口側の入口管に相当)が接続されている。この原料ガス導入管5aが、図1及び図4に示す如く、環状の原料ガス分配管5bに接続され、この原料ガス分配管5bに、水蒸気が混合された原料ガスGを供給する原料ガス管5が接続されている。
つまり、原料ガス管5から環状の原料ガス分配管5bに、水蒸気が混合された原料ガスGが供給され、環状の原料ガス分配管5bから複数の改質反応管Aに、水蒸気が混合された原料ガスGが分配供給されるように構成されている(図4参照)。
【0043】
ちなみに、図1に示す如く、原料ガス管5には、後述の如く、水蒸気生成用熱交換器Jにて生成された水蒸気が供給されることになり、原料ガス管5を通して、原料ガスGと水蒸気とが混合された状態で外管3に供給されることになる。
また、図1及び図4に示す如く、改質反応管Aの夫々に対応する原料ガス導入管5aの途中には、流量調節器Fが配設されている。流量調節器Fの詳細は後述する。
【0044】
図1及び図3に示すように、内管4における外管3から突出する部分には、改質ガスKを排出する排出管6a(改質ガス出口側の出口管に相当)が接続されている。この排出管6aが、図1及び図4に示すように、環状の合流管6bに接続され、この合流管6bに改質ガスKを案内する案内管6が接続されている。
つまり、改質反応管Aから排出管6aを通して改質ガスKが排出され、その改質ガスKが、環状の合流管6bを経由して案内管6を通して流動するように構成されている。
【0045】
ちなみに、改質ガスKが原料ガスGよりも体積が増大することになるため、排出管6aが原料ガス導入管5aよりも大径に、合流管6bが原料ガス分配管5bよりも大径に、案内管6が原料ガス管5よりも大径に形成されている。
尚、改質器Hが、CO変成器を備える改質処理装置に装備される場合には、改質ガスKが案内管6を通してCO変成器に向けて流動されることになる。
【0046】
(水蒸気生成用熱交換器の詳細)
水蒸気生成用熱交換器Jは、図1に示すように、改質器Hの側壁2Sの外周に沿って伝熱用管7を螺旋状に配置する形態に構成されている。
つまり、伝熱用管7の下端部に、純水Wが供給される純水導入管部7aが形成され、伝熱用管7の上端部に、水蒸気を原料ガス管5に供給する水蒸気排出管部7bが形成されている。
【0047】
したがって、水蒸気生成用熱交換器Jは、純水導入管部7aに供給された純水Wを、外部空間Cを流動する燃焼ガスEにて加熱される伝熱用管7の内部を通して流動させることにより、水蒸気を生成し、そして、生成した水蒸気を、水蒸気排出管部7bを通して原料ガス管5に供給するように構成されている。
【0048】
(空気予熱用熱交換器の詳細)
空気予熱用熱交換器Nは、図1及び図2に示すように、円筒状の内壁8nと円筒状の外壁8gとの間で空気を流動させる円筒状に構成されている。
そして、空気予熱用熱交換器Nの下方側箇所に、送風機(図示せず)から供給される燃焼用空気ARを導入する空気導入部8dが設けられている。
空気予熱用熱交換器Nの上方側箇所と改質用バーナBとを接続する複数の空気供給管9が、改質用バーナBの周囲に沿って放射状に配置される状態で、改質器Hの天井壁2Uの内部に設けられている。
【0049】
したがって、空気予熱用熱交換器Nは、空気導入部8dに供給された燃焼用空気ARを、外部空間Cを流動する燃焼ガスEにて加熱される内壁8nと外壁8gとの間を通して流動させることにより、高温状態に加熱するように構成され、そして、空気供給管9を通して高温に加熱された燃焼用空気ARを改質用バーナBに供給するように構成されている。
【0050】
ちなみに、改質用バーナBの詳細な構成は省略するが、改質用バーナBには、空気供給管9が接続されることに加えて、燃料ガス供給部(図示せず)からの燃料ガスMを供給する燃料ガス供給管10が接続されている。そして、燃料ガス供給管10から供給される燃料ガスMを、空気供給管9を通して供給される燃焼用空気ARにて燃焼させるように構成されている。
【0051】
(改質器の補足説明)
改質反応管Aは、改質用バーナBにて改質反応用の目標温度に加熱されることによって、外管3が高温(例えば、平均温度が800℃程度)に加熱され、それに伴って、改質処理用の触媒Sや内管4が、外管3よりも低い温度(例えば、平均温度が650℃程度)に加熱されることになる。
ちなみに、改質反応管Aが加熱されると、原料ガス導入管5a及び排出管6aが高温状態(例えば、平均温度が500℃程度)に昇温されることになる。
【0052】
そして、原料ガス管5から導入される水蒸気を混合した原料ガスGが、外管3と内管4との間の改質処理用の触媒Sの充填部を通して下方に向けて流動することにより、水蒸気改質処理により水素成分が多い改質ガスKに改質され、改質ガスKが内管4の内部を通して流動するように構成されている。
【0053】
(流量調節器の詳細)
図5に示すように、流量調節器Fが、原料ガス導入管5aの一部である上流側管部Lu及び下流側管部Lsの間に配設されている。
説明を加えると、流量調節器FのボディZが、上流側管部Lu及び下流側管部Lsに溶接にて接続される一対の管接続部Dを両端に備え且つ一対の管接続部Dに亘る直線状の内部流路Qを備える筒状の本体部Zhと、当該本体部Zhの長手方向の中央箇所から内部流路Qに対して交差方向に延びる筒状の延出部Znとを備える形態に構成されている。
【0054】
尚、本体部Zhと延出部Znの本体部側部分とが一体成形され、延出部Znにおける本体部Zhから離れる部分が、別材の筒状材11を延出部Znの本体部側部分に溶接接続する形態で構成されている。
ちなみに、本体部Zhと延出部Znの本体部側部分とが金属(例えば、ステンレス材)にて構成され、筒状材11が金属(例えば、スチール材)にて構成されている。
【0055】
延出部Znの内部に、内部流路Qに対して交差する方向から突入する軸状の抵抗体Pが配設され、抵抗体Pの端部を止まり穴Uに挿入させた状態で支持する支持体12が設けられている。ちなみに、止まり穴Uとは、一端が開口し他端が閉じた有底筒状の穴を意味する。
抵抗体Pにおける止まり穴Uに挿入される部分には、雄ネジが形成され、止まり穴Uには雌ネジが形成され、抵抗体Pの端部が止まり穴Uに螺合させた状態で挿入されることにより、抵抗体Pが支持体12に支持されている。
【0056】
支持体12は、金属(例えば、スチール材)にて大径の軸状に形成され、径方向の中央箇所に、止まり穴Uを備え、延出部Znに接近する側の端部の外周部に、径方向外方に突出する支持体側環状部12Aを備えている。
そして、支持体側環状部12Aが、支持体12に形成する環状の支持体側シール部S2として機能するように構成されている。
【0057】
延出部Znにおける筒状材11の端部に、径方向外方に突出する筒状材側環状部11Aを備えている。
そして、筒状材側環状部11Aが、延出部Znの端部に形成した環状の延出部側シール部S1として機能するように構成されている。
【0058】
つまり、延出部Znの端部に形成した環状の延出部側シール部S1と支持体12に形成した環状の支持体側シール部S2とが、シール体13を介在させた状態で内部流路Qに対して交差する方向から接当する状態で設けられている。
シール体13は、金属(例えば、スチール材)にて、中央部に抵抗体Pを挿通する孔を備える環状の板材として形成されている。
【0059】
そして、支持体12を内部流路Qに対して交差する方向に沿って押圧する状態で延出部Znに対して締結する締結部Vが設けられている。
つまり、支持体側環状部12Aを押圧する筒状の押圧体14が、支持体12を外嵌する状態で設けられ、筒状材側環状部11Aに接当するフランジ部15aを備えた筒状の係止体15が、押圧体14の外周部を囲む状態で設けられている。
押圧体14及び係止体15は、金属(例えば、スチール材)にて形成されている。
【0060】
係止体15の内面に雌ネジが形成され、その雌ネジに螺合する雄ネジが押圧体14の外周部形成されている。
従って、締結部Vは、押圧体14を係止体15の内部に入り込む回転方向に沿って回転操作することにより、支持体12を内部流路Qに対して交差する方向に沿って押圧する状態で延出部Znに対して締結する状態にすることができ、また、押圧体14を係止体15の内部から離間する回転方向に沿って回転操作することにより、締結を解除することができるように構成されている。
【0061】
そして、図示は省略するが、長さの異なる複数の抵抗体Pが予め用意され、長さの異なる複数の抵抗体Pを支持体12に付替自在に設けられている。
つまり、締結部Vの解除操作や締結操作を行いながら、長さの異なる複数の抵抗体Pを支持体12に対して付け替えることより、図5及び図6に示す如く、抵抗体Pが内部流路Qに突入する突入量Yを変更調節して、内部流路Qを流体の流量を調節できるように構成されている。
尚、本実施形態では、抵抗体Pを支持体12に対して付け替える際には、抵抗体Pを止まり穴Uの挿入端部までねじ込む形態で装着することになる。
【0062】
ちなみに、図示は省略するが、流量調節器FのボディZにおける本体部Zhの外周部には、断熱材が装着され、延出部Znの外周部は、断熱材が装着されることなく、露出する状態で設けられることになる。その結果、延出部Znは、本体部Zhよりも低温状態に維持されることになる。
【0063】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、長さの異なる抵抗体Pを支持体12に対して付け替えることにより、流量を調節する場合を例示したが、これに代えて、抵抗体Pと支持体12との相対回転により抵抗体Pの止まり穴Uに対する挿入量を変更調節することにより、流量を調節するようにしてもよい。
つまり、図7に示すように、止まり穴Uの深さを深くし、抵抗体Pの止まり穴Uに螺合状態で挿入できる部分の長さを長く形成し、抵抗体Pと支持体12との相対回転により抵抗体Pの止まり穴Uに対する挿入量を変更調節するように構成してもよい。
尚、図7において図示を省略するが、抵抗体Pの止まり穴Uに対する挿入量を変更調節した状態において、抵抗体Pに螺合する回り止め用ナットを支持体12の端面に接当する状態に締め付ける形態で設けるようにしてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、流量調節器Fを改質反応管Aの原料ガス導入管5aの途中に設ける場合を例示したが、流量調節器Fを改質反応管Aの排出管6aの途中に設ける形態で実施してもよい。
ただし、原料ガス導入管5aは排出管6aよりも小径であるから、流量調節器Fを原料ガス導入管5aに配設した方が、流量調節器Fを小型に形成できる等の利点がある。
【0065】
(3)上記実施形態では、本発明の流量調節器Fを改質反応管Aに装着する場合を例示したが、本発明の流量調節器Fは、その他の各種用途に使用できるものである。
【0066】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
2D 底壁
2S 側壁
2U 天井壁
2e 排出部
5a 入口管
6a 出口管
12 支持体
13 シール体
A 改質反応管
B 改質用バーナ
D 管接続部
Lu 上流側管部
Ls 下流側管部
P 抵抗体
Q 内部流路
S 触媒
S1 延出部側シール部
S2 支持体側シール部
U 止まり穴
V 締結部
Z ボディ
Zh 本体部
Zn 延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7