IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 澁谷工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-キャップ搬送装置 図1
  • 特開-キャップ搬送装置 図2
  • 特開-キャップ搬送装置 図3
  • 特開-キャップ搬送装置 図4
  • 特開-キャップ搬送装置 図5
  • 特開-キャップ搬送装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015111
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】キャップ搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/06 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B67B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117750
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】石山 陵司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 純
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】合田 剛志
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA06
3E080CF07
3E080DD12
3E080DD30
(57)【要約】
【課題】チューブ付きのキャップを供給部から取り出して搬送する装置を提供する。
【解決手段】シュート12からチューブ付きのキャップをチューブを下方に垂下させた状態で、キャップC本体を支持するプレート24とチューブTを把持するグリッパ26とを備えたピッカー14に供給する。ピッカー14が設けられたピッカー移動装置を駆動して、ピッカー14をシュート12からキャップCを受取る受取位置P1からキャップが取り出される受渡位置まで移動可能とする。受取位置P1から受渡位置までのキャップ搬送経路上に、ピッカー14により保持されるキャップCの搬送方向側面と係合してキャップCの搬送姿勢を規制するガイド機構54を設ける。キャップCの姿勢がガイド機構54により規制されている間にカムフォロア48を第2カム50Bと係合させることによりグリッパ26を一時的に開放してチューブTを把持し直す。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ供給手段によりチューブを下方に垂下させた状態で供給されるチューブ付きのキャップのキャップ本体を支持する支持部とチューブを把持するグリッパとを備えたピッカーと、
前記グリッパを開閉させる開閉手段と、
前記ピッカーが設けられ、前記ピッカーを前記キャップ供給手段からキャップを受取る受取位置からキャップが取り出される受渡位置まで移動する移動手段と、
前記受取位置から受渡位置までのキャップ搬送経路上に配置され、前記ピッカーにより保持されるキャップの搬送方向側面と係合して当該キャップの搬送姿勢を規制するガイドとを備え、
前記開閉手段は、キャップの姿勢が前記ガイドにより規制されている間に当該グリッパを一時的に開放してチューブを把持し直す
ことを特徴とするキャップ搬送装置。
【請求項2】
前記ピッカーを複数備え、前記移動手段は、前記ピッカーが前記キャップ供給手段からキャップを受取るために、前記ピッカーを順次前記キャップ供給手段の下流端で一時停止させ、所定数の前記ピッカーがキャップを保持すると、キャップを保持する前記所定数のピッカーを一斉に前記受渡位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載のキャップ搬送装置。
【請求項3】
前記移動手段を複数備え、1つの移動手段のピッカーにおいてキャップを受け取る間に、別の移動手段のピッカーからキャップを受渡可能であることを特徴とする請求項2に記載のキャップ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを受取り所定位置まで搬送するキャップ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シュート上のキャップを、コンベヤに設けられた複数のピッカーにより順次取り出し、複数個同時にキャッピングヘッドの下方へ搬送するキャップ供給装置が知られている(特許文献1、2)。特許文献1、2のキャップ供給装置では、突起状のピッカーを、シュートの先端に位置するキャップの内側に引掛けてキャップをシュートから取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平4-59233号公報
【特許文献2】特開平6-329192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のキャップ供給装置では、突起状のピッカーをキャップの内側に引掛けてキャップを取り出すため、トリガーキャップやポンプキャップのように、キャップの内側から下方にチューブが伸びているキャップに適用することはできない。
【0005】
本発明は、チューブ付きのキャップを供給部から取り出して搬送する装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明であるキャップ搬送装置は、キャップ供給手段によりチューブを下方に垂下させた状態で供給されるチューブ付きのキャップのキャップ本体を支持する支持部とチューブを把持するグリッパとを備えたピッカーと、前記グリッパを開閉させる開閉手段と、前記ピッカーが設けられ、前記ピッカーを前記キャップ供給手段からキャップを受取る受取位置からキャップが取り出される受渡位置まで移動する移動手段と、前記受取位置から受渡位置までのキャップ搬送経路上に配置され、前記ピッカーにより保持されるキャップの搬送方向側面と係合して当該キャップの搬送姿勢を規制するガイドとを備え、前記開閉手段は、キャップの姿勢が前記ガイドにより規制されている間に当該グリッパを一時的に開放してチューブを把持し直すことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明であるキャップ搬送装置は、第1の発明において、前記ピッカーを複数備え、前記移動手段は、前記ピッカーが前記キャップ供給手段からキャップを受取るために、前記ピッカーを順次前記キャップ供給手段の下流端で一時停止させ、所定数の前記ピッカーがキャップを保持すると、キャップを保持する前記所定数のピッカーを一斉に前記受渡位置へ移動することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明であるキャップ搬送装置は、第2の発明において、前記移動手段を複数備え、1つの移動手段のピッカーにおいてキャップを受け取る間に、別の移動手段のピッカーからキャップを受渡可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チューブ付きのキャップを供給部から取り出して搬送する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるキャップ搬送装置の配置を示す平面図である。
図2図1のキャップ搬送装置10のA-A断面矢視図である。
図3】ピッカーの拡大平面図である。
図4】受取位置P1近傍におけるキャップ搬送の拡大平面図である。
図5】ガイド機構周辺におけるキャップを保持するピッカーを下流側から見た図4のB-B矢視図である。
図6】キャップを保持するピッカーの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるキャップ搬送装置の配置を示す平面図である。
【0012】
キャップ搬送装置10は、受取位置P1においてキャップCを受け取り、受渡位置(区間)P2まで搬送し、例えばキャッパなどの下流側装置にキャップCを受け渡す。キャップCは、その中央下側にチューブTを備え、チューブTを下方に垂下した状態でシュート(キャップ供給手段)12からキャップ搬送装置10に供給される。キャップ搬送装置10は、シュート12からのキャップCを、例えば、複数の第1ピッカー14Aにより順次受け取る。
【0013】
第1ピッカー14Aは、第1ピッカー移動装置(移動手段)16Aにより受取位置P1と受渡位置P2の間を移動される。第1ピッカー移動装置16Aは、例えば、垂直軸周りに回転される第1原動スプロケット18Aおよび第1従動スプロケット20Aに掛け回される上下一対の第1無端チェーン22Aの外周に沿って取り付けられる。受取位置P1と受渡位置P2は、互いに第1無端チェーン22Aの反対側のスパン側に配置される。
【0014】
第1原動スプロケット18Aの回転により、第1ピッカー14Aは受取位置P1と受渡位置P2の間で循環移動可能である。キャップCの受け取りを行う際、第1無端チェーン22Aは間欠移動され、各第1ピッカー14Aはシュート12の前で一時停止される。第1ピッカー14Aは、第1無端チェーン22Aが停止している間にシュート12からキャップCを1つ受け取る。一方、受渡位置(区間)P2では、第1ピッカー14Aと同数のキャッピングヘッド23が各第1ピッカー14Aの上方に配置され、各第1ピッカー14Aに保持されたキャップCは、キャッピングヘッド23により同時に取り出される。
【0015】
図2は、図1のキャップ搬送装置10のA-A断面矢視図である。図2に示されるように、本実施形態のキャップ搬送装置10は、第1ピッカー移動装置16Aと並行して、第2ピッカー移動装置(移動手段)16Bを備える。第2ピッカー移動装置16Bは、第1ピッカー移動装置16Aの下方に配置され、第2原動スプロケット18Bと、第2従動スプロケット20Bに掛け回される上下一対の第2無端チェーン22Bの外周に沿って第1ピッカー14Aと同じ数の第2ピッカー14Bを備える。
【0016】
第1、第2ピッカー14A、14Bの構成は同一であるため、共通部分に関しては以下ピッカー14として説明を行う。図2、および図3のピッカーの拡大平面図、図4の受取位置P1近傍の拡大平面図に示されるように、ピッカー14は、キャップ本体を支持するプレート(支持部)24とチューブTを把持するためのグリッパ26を備える。プレート24の外側縁中央には、キャップCがプレート24上に移載される際、キャップCの中央から垂下するチューブTが挿入される切り欠き24Aが設けられる。切り欠き24Aは、プレート24の外側縁に対して垂直に形成され、切り欠き24Aの幅は、チューブTの外径よりも広く、その長さはキャップCの半径よりも僅かに長い。また、プレート24の頂面の切り欠き24Aの周囲には、プレート24上に移載されたキャップC本体の位置決めを行うための例えば3個の突起部24Bが設けられる。
【0017】
なお、後述するように、本実施形態で搬送されるキャップCは、ノズルとトリガを備えるディスペンサ付きのキャップであり、プレート24の外側縁の切り欠き24Aの搬送方向後側には、トリガーが挿入されるトリガーガイド24Cが設けられる。
【0018】
第1、第2ピッカー14A、14Bの各プレート24は、それぞれ垂直に延在する第1、第2支持部材28A、28Bを介して、第1、第2無端チェーン22A、22Bに保持される。すなわち、第1、第2支持部材28A、28Bの上端部にプレート24の内側縁(外側縁の反対側)が取り付けられ、第1、第2支持部材28A、28Bの基端部30は、それぞれ一対の第1無端チェーン22Aの間、一対の第2無端チェーン22Bの間に保持される。なお、図2には、第1ピッカー14Aが第1ピッカー移動装置16Aの左側に、第2ピッカー14Bが第2ピッカー移動装置16Bの右側に示される。
【0019】
基端部30は、垂直軸周りに回転する一対のローラ30Aを上下に合計4個と、内側面中央に水平軸周りに回転するローラ30Bを備える。ローラ30Aは、一対の第1無端チェーン22Aの上下、一対の第2無端チェーン22Bの上下にそれぞれ沿って配置されるガイドレール32Aの溝内を走行し、ローラ30Bは、基端部30の軌道の内側に沿って配置されるガイドレール32Bの溝内を走行する(図6参照)。これにより、基端部30、すなわちピッカー14が移動する軌道が規定される。
【0020】
第2支持部材28Bの上下方向の長さは、第2無端チェーン22Bが第1無端チェーン22Aよりも下方に位置する分、第1支持部材28Aの上下方向の長さよりも長い。これにより第1ピッカー14Aと第2ピッカー14Bは同じ高さに配置され、同一軌道を循環する。
【0021】
第1原動スプロケット18Aは、シャフト34の周りに一体的に取り付けられ、第2原動スプロケット18Bは、シャフト34に対して回転自在にシャフト34の周りに取り付けられる。シャフト34の下端にはギア36Aが設けられ、モータ38Aの駆動により回転される。また、第2原動スプロケット18Bの下端にはギア36Bが設けられ、モータ38Bの駆動によりシャフト34周りに回転される。なお、モータ38A、38Bは独立して駆動制御可能である。
【0022】
グリッパ26は、プレート24の下面に取り付けられる。グリッパ26は、左右一対のグリッパ片26A、26Bを備え、その基端部はプレート24の下方に軸支される回転軸40A、40Bに取り付けられる。図2図3に示されるように、回転軸40A、40Bは、互いに係合するギア42A、42Bをそれぞれ備え、互いに反対向きに同じ角度回転する。
【0023】
ギア42Aには、第1レバーアーム44Aが取り付けられる。第1レバーアーム44Aの先端には、スプリングなどの付勢部材46の一端が取り付けられ、付勢部材46の他端はプレート24に取り付けられる。ギア42Bには、第2レバーアーム44Bが取り付けられ、第2レバーアーム44Bの先端にはグリッパ開閉用のカムフォロア48が設けられる。カムフォロア48は、ピッカー14の移動方向に沿って設けられるグリッパ開閉用のカム50に係合する(図4参照)。
【0024】
すなわち、第1レバーアーム44Aは、付勢部材46により、グリッパ片26A、およびギア42A、42Bを介したグリッパ片26Bを閉じる方向に付勢する。これにより第2レバーアーム44Bは、カムフォロア48をカム50に押し当てる方向に回動する。カム50の形状(突出)によりカムフォロア48が無限軌道に対して外側に向けて押し出されると、第1レバーアーム44Aは付勢部材46の付勢力に抗して回動され、グリッパ片26A、26Bが開放される。
【0025】
図1図2図4に示されるように、シュート12は、ピッカー14の軌道に対して外側から垂直に配置され、キャップCは、シュート12の一対のスライドバー12A、12Bの間にチューブTを差し込んだ状態で供給される。本実施形態において、キャップCはディスペンサ付きキャップであり、キャップ本体の上方にはポンプ(不図示)を内蔵する縦長のヘッドHと、ヘッド部Hの先端に設けられるノズルNと、ノズルNの下方にあって、ヘッド部Hから下方に延出するトリガーレバーLとを備える(図6参照)。
【0026】
キャップCはヘッド部Hの長手方向をシュート12の搬送方向に対して垂直にして密接してシュート12上を搬送される。図2に示されるように、シュート12の上方には、ヘッドHの天面にガイドする一対の天面ガイドバー51が設けられる。また、シュート12の下流端の上方には、第1~第3ストッパ51A、51B、51Cが配置される。ストッパ51A、51B、51Cは、搬送方向前側においてヘッド部Hの側面に当接してキャップCの移動を規制する係止部材52Aと、係止部材52Aの上方にあって、係止部材52Aを昇降するシリンダ52Bを備える。
【0027】
係止部材52Aは、一対の天面ガイドバー51の間から下方へと延出可能であり、シリンダ52Bにより係止部材52Aが下降されると、係止部材52Aはヘッド部Hと係合してキャップCの移動を規制し、上昇されると、係止部材52Aの下端はヘッド部Hよりも高い位置に移動して、キャップCの移動規制が解除される。なお、天面ガイドバー51の先端(下流端)は、受取位置P1におけるピッカー14の上方まで延出されて下方に折り曲げられており、ピッカー14上に移載されたキャップCのヘッド部Hの側面(シュート搬送方向前面)に当接して、移載されたキャップCの転倒を防止する。
【0028】
本実施形態では3台のストッパ51A~51Cにより、シュート12上のキャップCがピッカー14に向けて順次送り出される。これにより先頭のキャップCがピッカー14のプレート24上へ移載され、チューブTは切り欠き24Aに挿入される。このときグリッパ26は、カム50の第1カム50Aとのカムフォロア48の接触により開かれている。ピッカー14が受取位置P1から搬送方向に移動を開始すると、グリッパ26は一旦閉じられる。
【0029】
図5は、ガイド機構周辺におけるキャップを保持するピッカーを下流側から見た図4のB-B矢視図である。図5に示されるように、受取位置P1の直ぐ下流側には、ヘッド部Hの姿勢、向きを規制することにより、キャップCの姿勢を保持するガイド機構54が配置される。ガイド機構54は、搬送方向に延在する3枚のガイド板からなり、搬送されるヘッド部Hの天面をガイドするガイド板54Aと両側面をガイドするガイド板54Bを備える。左右のガイド板54Bの本体部分は、ヘッド部Hの横幅よりも僅かに広い間隔で互いに平行に配置されるが、その上流部は互いに外側に折り曲げられ上流側に行くにしたがって両ガイド板54B同士の距離は広げられている。これにより、ヘッド部Hの長手方向の向きが搬送方向からずれているキャップCの向きが全て搬送方向に揃えられる。
【0030】
なお、受取位置P1でプレート24上に移載されたキャップCのチューブTは、その直後にグリッパ26により把持されているため、このままではガイド機構54によりヘッド部Hの向きを修正することはできない。そのため、ヘッド部Hが上流部の左右ガイド板54Bの間に差し掛かると、当該ピッカー14の第2レバーアームのカムフォロア48が、第2カム50Bにより外側に押し出され(図4参照)、グリッパ26が一時的に開放される。グリッパ26は、ヘッド部Hが平行に配置されたガイド板54B同士の間にある間に再び閉じられ、キャップCは、ピッカー14に確りと保持される。
【0031】
また、図4図6(b)に示されるように、本実施形態では、ヘッド部HのノズルNを搬送方向後側に向けてキャップCの搬送を行う。ノズルNの下に設けらた本実施形態のトリガーレバーLの下端は、キャップCの本体よりも下方にまで延在する。そのため本実施形態のプレート24には、トリガーレバーLを収容するトリガーガイド24Cが設けられる。なお、図6は、キャップCを保持するピッカー14の構成を示す図であり、図6(a)は、キャップCを保持するピッカー14を上流側から見た縦断面図であり、図6(b)は、キャップCを保持するピッカー14をピッカー側縁側からみたプレート24とグリッパ26のみを描いた側面図である。図6(c)は、キャップCを保持するピッカー14を下流側から見た縦断面図である。また、図6(d)は、図6(b)において省略されたグリッパ26の開閉機構の構成を示す側面図であり、本図では、キャップCは描かれていない。
【0032】
一方、図1に示されるように、受渡位置(区間)P2では、同区間に配置される複数のピッカー14のグリッパ26を同時に開閉させるために、各ピッカー14のカムフォロア48を外側に押し出す押出カム56が設けられる。押出カム56は、受渡位置(区間)P2において、カムフォロア48の高さに、第1ピッカー移動装置16Aに沿って配置され、シリンダ58により外側に向けて進退自在である。本実施形態では、受渡位置(区間)P2に、2組の押出カム56とシリンダ58が配置され、本実施形態では、第1ピッカー14Aの組および第2ピッカー14Bの組のそれぞれが8つのピッカー14を備え、1台の押出カム56は、それぞれ4つのピッカー14のグリッパ26の開閉を同時に行う。
【0033】
次に本実施形態のキャップ搬送装置10におけるキャップCの搬送動作について説明する。前述したように、第1ピッカー移動装置16Aと第2ピッカー移動装置16Bは独立に駆動可能である。本実施形態では第1ピッカー14Aの一方のスパンにおいて、シュート12からのキャップCの受取作業を行っている間に、第2ピッカー移動装置16Bにより反対側のスパンに移動された第2ピッカー14Bにおいてキャッピングヘッド23へのキャップCの受渡作業が行われる。また逆に、第2ピッカー14Bにおいてシュート12からのキャップCの受取作業を行うとき、第1ピッカー14Aでは、反対側のスパンにおいてキャッピングヘッド23へのキャップCの受渡作業が行われる。そして、この作業は交互に繰り返される。
【0034】
受取位置P1において受取作業を行うピッカー移動装置(16Aまたは16B)は、ピッカー14をシュート12の前で一時停止させる。受取位置P1の手前で同ピッカー14のグリッパ26は第1カム50Aにより開かれ、受取位置P1では開かれた状態に維持される。このとき、第1~第3ストッパ51A、51B、51Cは、各々係止部材52Aを下降させている。すなわち、シュート12上の先頭のキャップCは、第1ストッパ51A、2番目のキャップCは第2ストッパ51B、3番目のキャップCは第3ストッパ51Cの係止部材52Aによりそれぞれ係止され、4番目以降のキャップCはそれぞれ密接した状態で3番目のキャップCに押し当てられている。
【0035】
ピッカー14が受取位置P1で停止すると、第1ストッパ51Aの係止部材52Aが引き上げられ、先頭のキャップCがシュート12からピッカー14のプレート24上へ移載される。移載が完了するタイミング(時間)でピッカー移動装置は、ピッカー14をピッカー1つ分、搬送方向に移動する。また、第1ストッパ51Aが係止部材52Aを下降させた後、第2ストッパ51Bの係止部材52Aを引き上げて、2番目のキャップCを第1ストッパ51Aの係止部材52Aに係止させる。更に、第2ストッパ51Bの係止部材52Aを下降させた後、第3ストッパ51Cの係止部材52Aを引き上げて3番目のキャップCを第2ストッパ51Bの係止部材52Aに係止させるとともに、第3ストッパ51Cの係止部材52Aを第4キャップCの前に下降させる。なお、第1~第3ストッパ51A、51B、51Cの駆動は、第1ピッカー移動装置16Aや第2ピッカー移動装置16Bの駆動と並行して行われる。
【0036】
ピッカー14のグリッパ26は、ピッカー14の移動に従って第1カム50Aの形状に合わせて閉じられ、キャップCのチューブTがグリッパ26に把持されキャップCはプレート24上に確りと保持される。次のピッカー14が受取位置P1に向かう間に、このピッカー14に保持されたキャップCのヘッド部Hは、ガイド機構54の上流部のガイド板54Bの間に搬送され、このときグリッパ26は第2カム50Bとの係合により一時的に開放される。なお、同位置におけるグリッパ26の開度は、受取位置P1での開度よりも狭くてよい。
【0037】
次のピッカー14が受取位置P1で停止するタイミングにおいて、キャップCを載せた先のピッカー14は、グリッパ26を開放したままガイド板54Bの平行部に移動し、ヘッド部Hの姿勢や向きが所定の姿勢、向きに規制される。次のピッカー14へのキャップCの移載が終了し、再びピッカー移動装置がピッカー14の移動を開始すると、先のピッカー14のグリッパ26は閉じられ、キャップCはプレート24上において適正な姿勢で固定され、ガイド機構54の外へと移動される。受取作業を行うピッカー移動装置(16Aまたは16B)は、上記動作をピッカー移動装置に設けられたピッカー数分(本実施形態では8回)繰り返す。
【0038】
例えば図1に示されるように、第1ピッカー14A全てがキャップCを受け取り、第2ピッカー14B全てからキャップCがキャッピングヘッド23に受け渡されると、第1ピッカー14Aが第1ピッカー移動装置16Aにより一斉に受渡位置(区間)P2へと移動されるとともに、第2ピッカー移動装置16Bが間欠的に駆動され、第2ピッカー14Bが順次受取位置P1に停止され、上述したように、シュート12上のキャップCが各第2ピッカー14Bに供給される。なお、このとき第1、第2ピッカー移動装置16A、16Bは、互いのピッカー14A、14Bが衝突しないように制御される。
【0039】
以上のように、本実施形態のキャップ搬送装置によれば、チューブ付きのキャップを供給部から取り出して搬送することができる。
【0040】
本実施形態では、キャップ本体をピッカーのプレート上に載せ、プレートに設けられた切り欠きを通して下方に垂下されたチューブをグリッパで把持することでキャップを安定して確りとピッカー上に保持できる。また、本実施形態では、チューブをグリッパで把持した後、グリッパを一時的に開放してチューブを解放した状態で、ヘッド部の姿勢や向きをガイド機構を用いて修正することでキャップの姿勢を常に適正に維持できる。これにより、キャップが受け渡される際、あるいは下流へ移動する際に、ディスペンサ付きキャップが傾いたり、プレートからキャップ本体が浮いたりした姿勢で一旦把持されたとしても、その姿勢は修正され、キャップはその状態で保持され直される。したがって、受渡位置において、キャッピングヘッドがキャプを上手く保持できないという問題が防止され、取り出しミスの発生が防止される。
【0041】
なお、キャップのチューブを掴みなおす位置は、受取位置に隣接する位置である必要はなく、受渡位置(区間)の上流であって受取位置の下流であれば、適宜変更することができる。また、本実施形態のようにスパンに沿って直線状にキャッピングヘッドへキャップを受け渡すライン式に限らず、回転体に取り付けられたキャッピングヘッドにキャップを受け渡す構成に適用することもできる。
【0042】
本実施形態では、独立駆動可能な2組のピッカー搬送装置を用いたが、1組のピッカー搬送装置のみを用いることもできるし、3組以上のピッカー搬送装置を用いることもできる。また、間欠搬送ではなく連続搬送を適用することも可能である。さらに、本実施形態のシュートでは、ストッパを3台用いたが、ストッパの数は2台でもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 キャップ搬送装置
12 シュート(キャップ供給手段)
14 ピッカー
14A 第1ピッカー
14B 第2ピッカー
16A 第1ピッカー移動装置(移動手段)
16B 第2ピッカー移動装置(移動手段)
24 プレート(支持部)
26 グリッパ
44A 第1レバーアーム(開閉手段)
44B 第2レバーアーム(開閉手段)
48 カムフォロア(開閉手段)
50A 第1カム(開閉手段)
50B 第2カム(開閉手段)
54 ガイド機構
C キャップ
P1 受取位置
P2 受渡位置(区間)
T チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6