(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151157
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】投薬情報管理装置、管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20220929BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220929BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20220929BHJP
【FI】
G16H10/60
G06Q50/10
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054090
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 陽一
(72)【発明者】
【氏名】梅田 建
(72)【発明者】
【氏名】小久保 龍太
(72)【発明者】
【氏名】太田 光憲
(72)【発明者】
【氏名】泉 博明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC22
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】投薬済の情報に止まらず投薬後の状態を示す情報まで証明することを可能にする。
【解決手段】対象者に対する投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された投薬済情報を対象者の固有識別情報と対応付けて記憶すると共に、投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報をユーザ端末から取得し、取得された投薬後情報を投薬済情報と関連付けて記憶する。そして、記憶された上記投薬済情報および投薬後情報に基づいて投薬証明情報を作成し、作成された上記投薬証明情報の前記対象者から前記事業者への提出処理を制御する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な投薬情報管理装置であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する投薬済情報取得処理部と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する投薬後情報取得処理部と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する投薬証明情報作成処理部と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する提出制御処理部と
を備える投薬情報管理装置。
【請求項2】
前記対象者に対する認証処理と、前記事業者による前記投薬証明情報の利用に対する前記対象者の同意を確認する同意処理とを実行する処理部を、さらに備える、請求項1に記載の投薬情報管理装置。
【請求項3】
前記提出制御処理部は、前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証処理部を、さらに備える、請求項1に記載の投薬情報管理装置。
【請求項4】
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部を、さらに備え、
前記提出制御処理部は、
前記ユーザ端末から送られる前記投薬証明情報の取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記ユーザ端末へ送信する処理部と、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の転送処理後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する処理部と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、検証結果を表す情報を前記事業者端末へ返送する処理部と
を備える、請求項3に記載の投薬情報管理装置。
【請求項5】
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部を、さらに備え、
前記提出制御処理部は、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の確認要求の送信後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の取得要求を受信する処理部と、
前記取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記事業者端末へ送信する処理部と、
前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する処理部と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、当該検証の結果を表す情報を前記事業者端末へ送信する処理部と
を備える、請求項3に記載の投薬情報管理装置。
【請求項6】
前記証跡情報管理処理部は、複数の分散台帳をP2P(Peer to Peer)ネットワークを介して接続したブロックチェーン基盤を用いて前記証跡情報を管理する、請求項4又は5に記載の投薬情報管理装置。
【請求項7】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な情報管理装置が実行する投薬情報管理方法であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する過程と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する過程と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する過程と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する過程と
を備える投薬情報管理方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の投薬情報管理装置が備える前記各処理部による処理を、前記投薬情報管理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えばワクチン接種等の投薬に関する情報を管理する投薬情報管理装置、管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
疫病の予防対策として特に有効性の高いものにワクチンの接種がある。ところが、ワクチン接種が行われた場合、その記録は医療機関等のカルテに記載されるのみで、接種の有無等に関する証明書が発行されることはない。
【0003】
一方、家畜やペットに関しては、接種が義務づけられているワクチンの接種証明を個体識別情報と共にサーバに登録し、必要に応じてサーバから上記接種証明を取得できるようにするシステムが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された技術は、単にワクチンの接種記録を獣医師または家畜の所有者が所定のフォーマットに従い入力してサーバに記憶し、この接種記録をそのまま接種証明として使用するものとなっている。このため、接種記録からは接種済であることしか把握できず、接種後の個体の状態変化等までは確認することができない。また、発行された接種証明に対し改ざん等の不正な変更が加えられることも想定されるが、その対策までは十分に考慮されていない。このため、接種証明に対する信頼性に課題がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一側面では、投薬済の情報に止まらず投薬後の状態を示す情報を含めた投薬証明を可能にする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な投薬情報の管理装置または管理方法に関するものである。
【0008】
この発明の第1の態様に係る管理装置または管理方法は、前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶すると共に、前記投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する。そして、前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成し、作成された前記投薬証明情報の前記対象者から前記事業者に対する提出処理を制御するようにしたものである。
【0009】
この発明の第1の態様によれば、例えば、投薬された対象者について、その投薬事実を示す投薬済情報に加え、投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報が取得され、これら投薬済情報および投薬後情報が共に反映された投薬証明情報が作成される。そして、作成された上記投薬証明情報が対象者から提出先の事業者に提出される際の提出処理が制御される。この結果、投薬を受けた対象者について、投薬の事実を示す投薬済情報だけでなく、投薬後の対象者の副反応等の状態変化を示す投薬後情報までを含めて証明することが可能となる。
【0010】
またこの発明の第2の態様は、前記投薬証明情報の提出処理を制御する際に、提出された投薬証明情報の検証手順を、さらに実行するようにしたものである。この結果、投薬証明情報に対し改ざん等の不正な変更が加えられていないかどうか、つまり真正かどうかを検証することが可能となり、投薬証明情報の信頼性を高く保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
すなわちこの発明の一態様によれば、投薬済の情報に止まらず投薬後の状態を示す情報を含めた投薬証明を可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る投薬情報管理装置を含むシステムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したシステムで使用される接種者端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した接種者端末のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した投薬情報管理装置が備える接種情報管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した接種情報管理サーバのソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した投薬情報管理装置が備える接種証明管理サーバのソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図3に示した接種者端末の制御部による処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図5に示した接種情報管理サーバの制御部による処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図6に示した接種証明管理サーバの制御部による処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図1に示したシステムにおける全体の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した処理のうち接種証明確認処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、この発明の第2の実施形態に係る接種証明確認処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の第1の実施形態に係る投薬情報管理装置PFを含むシステム全体の構成の一例を示す図である。なお、投薬情報管理装置PFを以後プラットフォームとも称する。
【0015】
プラットフォームPFは、例えばクラウド上に設けられ、この例では接種情報管理サーバASVと、接種証明管理サーバBSVとを備える。プラットフォームPFには、ネットワークNWを介して認証サーバNSVおよび証跡管理システムBCが接続可能である。
【0016】
なお、プラットフォームPFは、上記接種情報管理サーバASVおよび接種証明管理サーバBSVに加えて、上記認証サーバNSVおよび証跡管理システムBCの少なくとも一方を、さらに含むように構成されてもよい。また、プラットフォームPFは複数のサーバの集合体として構成されてもよいし、単一のサーバにより構成されてもよい。
【0017】
プラットフォームPFは、接種者が使用する複数の接種者端末UT1~UTn(以後まとめてUTと称する)、医師等の医療従事者が使用する医療者端末MT、および接種者の接種証明データの提出先となる事業者等が使用する事業者端末WTとの間で、ネットワークNWを介してそれぞれ情報データの伝送が可能となっている。このうち、医療者端末MTとしては例えばパーソナルコンピュータが用いられ、また事業者端末WTとしては例えばパーソナルコンピュータまたはPOS(Pont of sale)端末が使用される。
【0018】
認証サーバNSVは、接種者端末UTとの間で接種者に対する認証処理を実行する。例えば、公的個人認証サービス(JPKI)を利用して接種者の本人確認を行った後、認証IDおよびパスワードを含む認証情報を設定する。また、接種者の固有識別情報を発行して接種情報管理サーバASVおよび証跡管理システムBCに設定する。さらに、接種者が証跡管理システムBCを使用するためのアドレスを証跡管理システムBCに対し設定すると共に、当該アドレスに紐付けられる秘密鍵を発行して接種者端末UTに通知する。
【0019】
証跡管理システムBCは、例えば複数の分散台帳をP2P(Peer to Peer)ネットワークを介して接続したブロックチェーン基盤により構成される。証跡管理システムBCは、後述する接種証明管理サーバBSVにおいて接種者の接種証明データが発行される毎に、接種証明管理サーバBSVからの指示に応じ、コントラクトにより各接種証明データの管理情報を属性値として持つトークンを生成し、生成された各トークンをトランザクションとして保存する。また証跡管理システムBCは、発行後の上記接種証明データが使用される毎に、コントラクトにより対応するトークンの属性値を更新すると共に、その変更履歴を示す情報をトランザクションとして保存する。
【0020】
さらに証跡管理システムBCは、事業者端末WTから接種証明データに対するトークンの検証要求を受信した場合に、保存されている上記トークンに含まれるハッシュ値をもとに上記接種証明データに対し改ざん等の不正な変更が加えられていないかどうかについて検証を行う。
【0021】
ネットワークNWは、例えばインターネットを中核とする広域ネットワークと、この広域ネットワークにアクセスするためのアクセスネットワークとを備える。アクセスネットワークとしては、例えば、有線または無線を使用する公衆通信ネットワーク、有線または無線を使用するLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0022】
(2)装置
(2-1)接種者端末UT
図2および
図3は、それぞれ接種者端末UTのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
接種者端末UTは、例えばブラウザと、電子メールやSNS(Social Network System)、SMS(Short Message Service)等の情報データの転送機能を備える汎用のスマートフォンからなる。なお、接種者端末UTとしては、同様の機能を備えるものであれば、他にタブレット型端末やノート型のパーソナルコンピュータ等が用いられてもよい。
【0024】
接種者端末UTは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部1Dを備える。そして、この制御部1Dに対し、プログラム記憶部2Dおよびデータ記憶部3Dを有する記憶ユニットと、通信インタフェース(以後インタフェースをI/Fと称する)4D、および入出力I/F5Dを接続したものとなっている。
【0025】
通信I/F4Dは、制御部1Dの制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコル、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)を使用して、プラットフォームPF内の接種情報管理サーバASVおよび接種証明管理サーバBSVとの間、さらには認証サーバNSVおよび証跡管理システムBCとの間で、それぞれ情報データの伝送を行う。また通信I/F4Dは、例えば事業者端末WTとの間でデータ転送を行うために、Bluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信規格に対応するインタフェースを備えていてもよい。
【0026】
入出力I/F5Dには、入出力デバイス6Dが接続される。入出力デバイス6Dは、例えば液晶又は有機ELを使用する表示部61Dの表示画面上に、感圧式または静電容量式のタッチ式入力シートを使用する入力部62Dを重ねて配置したものである。入力部62Dは、接種者が自身の認証に必要な情報や、副反応等に係る接種後情報の入力、接種証明データの取得および提出に必要なコマンドや情報データの入力を行うために使用される。表示部61Dは、上記コマンドや各情報データ、取得された接種証明データ等を表示するために使用される。
【0027】
その他、入出力I/F5Dには、カメラや、接種者の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)センサ、接種者の体温や血圧、心拍数等の生体情報を測定するバイタルセンサが接続されていてもよい。
【0028】
プログラム記憶部2Dは、例えば、記憶媒体としてSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要な複数のアプリケーション・プログラムを格納する。なお、以後OS等のミドルウェアと各アプリケーション・プログラムとをまとめてプログラムと称する。
【0029】
データ記憶部3Dは、例えば、記憶媒体として、SSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、第1の実施形態に係る処理を実施するために必要な主たる記憶部として、認証・同意確認情報記憶部31Dと、接種後情報記憶部32Dと、接種証明記憶部33Dとを備えている。
【0030】
認証・同意確認情報記憶部31Dは、認証サーバNSVとの間で接種者の認証情報の初期設定を行う際に、認証サーバNSVから通知される、証跡管理システムBSの接種者用アドレスと紐付けられた秘密鍵を保存するために使用される。
【0031】
接種後情報記憶部32Dは、入力部62Dにより入力された接種者の副反応等に係る接種後情報を一旦保存するために使用される。
【0032】
接種証明記憶部33Dは、接種証明管理サーバBSVから取得された接種証明データを保存するために使用される。接種証明データは、例えばバーコードまたはQRコード(登録商標)等のコードデータにより表されるが、その他テキストデータまたはバイナリデータにより表されてもよい。
【0033】
制御部1Dは、第1の実施形態を実施するために必要な処理機能として、認証・同意処理部11Dと、接種後情報登録処理部12Dと、接種証明取得処理部13Dと、接種証明提出処理部14Dとを備える。これらの処理部11D~14Dは、何れもプログラム記憶部2Dに格納されたプログラムを制御部1Dのハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0034】
認証・同意処理部11Dは、接種者端末UTの初期登録の設定時、接種後情報の登録時および接種証明の取得時に、認証サーバNSVとの間で接種者についての認証手順または同意確認手順を実行する。また、初期登録の設定においては、認証サーバNSVにより証跡管理システムBSに対し設定された接種者用アドレスに紐付けられた秘密鍵を、認証サーバNSVから受け取って認証・同意確認情報記憶部31Dに保存する処理を行う。
【0035】
接種後情報登録処理部12Dは、接種情報管理サーバASVから接種後情報取得要求を受信した場合に、上記認証入力部62Dにおいて接種者が入力した副反応等に係る接種後情報を接種後情報記憶部32Dに一旦保存する。そして、保存された上記接種後情報を通信I/F4Dから接種情報管理サーバASVへ送信する処理を行う。
【0036】
接種証明取得処理部13Dは、接種者が入力部62Dにおいて接種証明の取得を要求する操作を行った場合に、通信I/F4Dを介して接種証明管理サーバBSVとの間で接種証明データの取得処理を実行する。そして、取得された接種証明データを接種証明記憶部33Dに記憶させる処理を行う。
【0037】
接種証明提出処理部14Dは、接種者が入力部62Dにおいて接種証明データを事業者に提出するための操作を行った場合に、上記接種証明記憶部33Dから接種証明データを読み出して出力する処理を行う。出力手段には例えば2種類の方式が考えられる。その一つは、接種証明データがバーコードまたはQRコード(登録商標)等のコードデータにより表される場合に、当該コードデータを表示部61Dに表示させる方式である。他方は、接種証明データが例えばテキストデータまたはバイナリデータにより表される場合に、このテキストデータまたはバイナリデータを通信I/F4Dから無線回線を介して提出先となる事業者端末WTへ送信する方式である。
【0038】
(2-2)接種情報管理サーバASV
図4および
図5は、それぞれ接種情報管理サーバASVのハードウェア構成およびソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
接種情報管理サーバASVは、例えばサーバコンピュータからなり、CPU等のハードウェアプロセッサを使用した制御部1Aを備える。そして、この制御部1Aに対し、バスを介して、プログラム記憶部2Aおよびデータ記憶部3Aを有する記憶ユニットと、通信I/F4Aを接続したものとなっている。
【0040】
通信I/F4Aは、制御部1Aの制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、プラットフォームPF内の接種証明管理サーバBSVとの間、さらには接種者端末UTおよび医療者端末MTとの間で、それぞれ情報データの送受信を行う。また通信I/F4Aは、認証サーバNSVおよび証跡管理システムBCとの間でそれぞれ情報データの送受信を行うことも可能である。
【0041】
プログラム記憶部2Aは、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS等のミドルウェアに加えて、この発明の第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0042】
データ記憶部3Aは、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の第1の実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、接種者管理情報記憶部31Aと、接種情報記憶部32Aとを備えている。
【0043】
接種者管理情報記憶部31Aは、接種者の基本情報および問診情報を記憶するために用いられる。接種情報記憶部32Aは、医療者端末MTおよび接種者端末UTからそれぞれ取得した接種者の接種済情報および接種後情報を記憶するために用いられる。
【0044】
制御部1Aは、この発明の第1の実施形態に係る処理機能として、接種者管理処理部11Aと、接種済情報取得処理部12Aと、接種後情報取得処理部13Aと、接種情報転送処理部14Aとを備えている。これらの処理部11A~14Aは、何れもプログラム記憶部2Aに格納されたプログラムを制御部1Aのハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0045】
接種者管理処理部11Aは、ワクチン接種に先立ち接種者端末UTから送られる接種者の基本情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された基本情報を接種者の固有識別情報と対応付けて接種者管理情報記憶部31Aに記憶させる処理を行う。
【0046】
接種済情報取得処理部12Aは、接種者がワクチン接種を受けた際に医療者端末MTから送られる接種済情報を問診情報と共に通信I/F4Aを介して受信し、受信された接種済情報を問診票の情報と共に接種者の固有識別情報と対応付けて接種情報記憶部32Aに記憶させる処理を行う。
【0047】
接種済情報には、例えば接種したワクチンの種類、製薬会社の識別情報(メーカID)およびロット番号が含まれるが、他に接種者識別番号、接種日時、接種場所等が含まれていてもよい。
【0048】
問診票の情報には、例えば接種者の接種直前の体温や、持病の有無、処方中の薬剤の種類、薬剤アレルギーの有無、妊娠の有無、過去の所定期間における体調変化等を示す情報が含まれるが、これに限るものではない。
【0049】
なお、接種者端末UTが接種者のPHR(Personal Health Record)情報や電子化お薬手帳等に記載された処方箋・服薬情報等を取得し管理している場合には、これらの情報を上記問診情報と併せて取得し、接種者管理情報記憶部31Aに記憶させるようにしてもよい。PHR情報には、例えば接種者端末UTに内蔵または付属する生体センサにより測定される現在の体温や血圧、心拍数等のバイタルデータを含めることが可能である。
【0050】
接種後情報取得処理部13Aは、上記接種済情報が登録された接種者を対象に、接種から所定期間が経過して接種後情報の取得タイミングになると、接種者端末UTに対し接種後情報の報告要求を送信する。そして、接種者端末UTから返送される接種後情報を通信I/F4Aを介して受信し、受信された接種後情報を接種者の固有識別情報(接種者ID)と対応付けて接種情報記憶部32Aに記憶させる処理を行う。
【0051】
接種情報転送処理部14Aは、接種証明管理サーバBSVから接種情報の取得要求を受信した場合に、上記接種情報記憶部32Aから該当する接種者の接種情報、つまり接種済情報および接種後情報を読み出し、読み出された各情報を通信I/F4Aから要求元の接種証明管理サーバBSVへ転送する処理を行う。なお、このとき接種情報転送処理部14Aは、接種者管理情報記憶部31Aに記憶された該当する接種者の基本情報を、上記接種済情報および接種後情報と併せて要求元の接種証明管理サーバBSVへ転送するようにしてもよい。
【0052】
(2-3)接種証明管理サーバBSV
図6は、接種証明管理サーバBSVのソフトウェア構成を示すブロック図である。なお、ハードウェア構成については接種情報管理サーバASVの構成(
図4)と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0053】
接種証明管理サーバBSVは、制御部1Bと、プログラム記憶部2Bと、データ記憶部3Bと、通信I/F4Bとを備えている。通信I/F4Bは、プラットフォームPF内の接種情報管理サーバASVとの間、さらには証跡管理システムBC、接種者端末UTおよび事業者端末WTとの間で、それぞれネットワークNWを介して情報データの送受信を行う。
【0054】
データ記憶部3Bには、接種証明記憶部31Bが設けられている。接種証明記憶部31Bは、制御部1Bにより生成された接種証明データを接種者の固有識別情報(接種者ID)と対応付けて保存するために用いられる。
【0055】
制御部1Bは、この発明の第1の実施形態に係る処理機能として、接種情報取得処理部11Bと、接種証明発行処理部12Bと、トークン登録処理部13Bとを備えている。これらの処理部11B~13Bは、プログラム記憶部2Bに格納されたプログラムを制御部1Bのハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0056】
接種情報取得処理部11Bは、接種者端末UTまたは事業者端末WTから接種証明の取得要求を受信した場合に、接種情報管理サーバASVから該当する接種者の接種済情報および接種後情報を取得し、取得された各情報を接種証明発行処理部12Bに渡す処理を行う。
【0057】
接種証明発行処理部12Bは、上記接種情報取得処理部11Bから渡された上記接種済情報および接種後情報に基づいて接種証明データを作成し、作成された上記接種証明データを接種者の固有識別情報と対応付けて接種証明記憶部31Bに一旦保存する。また接種証明発行処理部12Bは、認証サーバNSVで管理されている同意書の情報をもとに接種証明データの第三者による利用に対し接種者が同意しているか否かを判定する。そして、同意が確認された場合に、上記接種証明データを要求元の接種者端末UTまたは事業者端末WTへ送信する処理を行う。
【0058】
トークン登録処理部13Bは、上記接種証明データの発行、使用(例えば移転)および属性値の変更を行った際に、証跡管理システムBCのコントラクトに対し、上記接種証明データの管理情報を属性値として持つトークンの生成または更新を指示する処理を行う。
【0059】
(動作例)
次に、以上のように構成されたシステムの動作例を説明する。
図7乃至
図9はそれぞれ接種者端末UT、接種情報管理サーバASVおよび接種証明管理サーバBSVによる処理の手順と処理内容を示すフローチャート、
図10はシステム全体の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0060】
(1)接種者端末UTの初期登録
ワクチン接種に先立ち、接種者が接種者端末UTから認証サーバNSVに対しアクセスすると、以後接種者端末UTと認証サーバNSVとの間では、以下のように認証情報の初期設定が行われる。
【0061】
すなわち、接種者端末UTの制御部1Dは、
図7に示すようにステップS10において接種者による処理登録の設定要求の入力を検知すると、認証・同意処理部11Dの制御の下、ステップS11において認証サーバNSVとの間で認証情報の初期設定処理を行う。この処理において認証・同意処理部11Dは、例えば公的個人認証サービス(JPKI)を利用して接種者の本人確認を行った後、接種者による認証IDおよびパスワードの入力を受け付ける。
【0062】
これに対し認証サーバNSVは、接種者の固有識別情報(接種者ID)を発行して接種情報管理サーバASVおよび証跡管理システムBCに通知すると共に、接種者が証跡管理システムBCを使用するためのアドレスとこのアドレスに紐付けられた秘密鍵を設定し、秘密鍵を接種者端末UTに通知する。接種者端末UTの制御部1Dは、通知された上記秘密鍵をステップS12により認証・同意確認情報記憶部31Dに保存する。
【0063】
接種情報管理サーバASVの制御部1Aは、上記認証サーバNSVにおいて接種者の初期設定が行われると、ステップS30からステップS31に移行して、ここで上記認証サーバNSVから接種者の固有識別情報を取得して接種者管理情報記憶部31Aに保存する。証跡管理システムBCは、上記認証サーバASVにより初期設定された接種者のアドレスを受け取って分散台帳に設定する。
【0064】
(2)接種者の基本情報の登録
また、上記初期登録の設定終了後、接種者は、ワクチンを接種する前に、接種者端末UTからプラットフォームPFに対し接種者の基本情報を登録する。この場合、プラットフォームPFの接種情報管理サーバASVは、例えば
図8に示すように、ステップS30において接種者端末UTから基本情報の登録要求を受信すると、接種者管理処理部11Aの制御の下、ステップS31において、接種者端末UTから送信される上記基本情報を通信I/F4Aを介して受信する。そして、受信された上記基本情報を接種者の固有識別情報に対応付けて接種者管理情報記憶部31Aに記憶させる。
【0065】
基本情報には、例えば、事前に自治体等から送られる接種券に記載された情報、例えば、自治体等の行政機関が管理する接種対象者の識別情報と、接種指定日時または期間、接種場所、接種ワクチンの種類等が含まれる。この接種券の記載情報は、例えばQRコードにより表され、接種者端末UTが備えるカメラおよびコード認識用のアプリケーションにより読み取られる。なお、基本情報として、接種者の属性情報、例えば氏名や年齢、住所、電話番号またはメールアドレス等の連絡先情報をさらに登録するようにしてもよい。この属性情報は、例えば接種者が接種者端末UTにおいて入力することで登録される。
【0066】
(3)1回目のワクチン接種に伴う接種済情報の登録
ワクチン接種を受ける際に接種者は、先ず問診票および同意書を作成して医療従事者に提出する。医療従事者は、提出された問診票の内容を確認して接種可能と診断すれば、接種者に対しワクチン接種を実施する。そして、接種後に医療従事者は、医療者端末MTにおいて接種済情報を入力する。接種済情報には、例えば、接種したワクチンの種類、製薬会社の識別情報(メーカID)およびロット番号が含まれるが、他に接種者識別番号、接種実施日時、接種場所等が含まれていてもよい。
【0067】
さらに医療従事者は、医療者端末MTにおいて、接種者から提出された上記問診票および同意書の情報を入力する。この問診票および同意書の情報の入力は、例えばOCRリーダにより読み取ることにより行われる。
【0068】
問診票の情報には、先に述べたように例えば、接種者の接種直前の体温や、持病の有無、処方中の薬剤の種類、薬剤アレルギーの有無、妊娠の有無、過去の所定期間における体調変化等を示す情報が含まれるが、これに限るものではない。
【0069】
同意書の情報には、接種者の接種証明データを第三者が利用することに同意するか否かを表す情報が含まれるが、それに限るものではなく、例えば接種後情報の製薬会社、医療機関または自治体等による利用の許否を示す情報が含まれていてもよい。
【0070】
なお、問診票の情報および同意書の情報の入力手段としては、接種者端末UT或いは接種会場に設置されているタブレット型端末等の情報入力デバイスを用いてもよい。
【0071】
また医療従事者は、医療者端末MTにおいて、上記問診票の情報および同意書の情報と共に、接種者から提出された接種券の情報を併せて入力するようにしてもよい。このようにすると、接種者が接種者端末UTを持っていない場合でも、接種券の情報を入力することが可能となる。
【0072】
医療者端末MTは、入力された上記接種済情報、問診票および同意書の各情報のうち、接種済情報および問診票の情報をプラットフォームPFの接種情報管理サーバASVへ送信する。なお、接種券の情報も入力された場合には、この接種券の情報も併せて接種情報管理サーバASVへ送信される。
【0073】
接種情報管理サーバASVの制御部1Aは、ステップS32により上記接種済情報等の登録要求を受信すると、接種済情報取得処理部12Aの制御の下、ステップS33において、医療者端末MTから送られた上記接種済情報および問診票の情報、さらには接種券の情報を、通信I/F4Aを介して受信する。そして、受信された上記各情報を接種者の固有識別情報と対応付けて接種情報記憶部32Aに記憶させる。
【0074】
かくして、プラットフォームPFの接種情報管理サーバASVには、接種者の1回目のワクチン接種に伴う接種済情報が問診票の情報および接種券の情報と共に登録される。
【0075】
一方、上記接種済、問診票および同意書の各情報のうち、同意書の情報は医療者端末MTから認証サーバNSVへ送信される。認証サーバNSVは、上記同意書の情報を、認証情報と共に接種者の固有識別情報に対応付けて保存し管理する。
【0076】
(4)1回目のワクチン接種後における接種後情報の登録
上記1回目のワクチン接種から所定期間が経過し、接種後情報の取得タイミングになると、接種情報管理サーバASVの制御部1Aは、接種後情報取得処理部13Aの制御の下、ステップS34からステップS35に移行し、先ず該当する接種者端末UTへ通信I/F4Aから接種後情報の報告要求メッセージを送信する。この報告要求メッセージは、例えば電子メール、SNSまたはSMSにより送信される。
【0077】
これに対し、接種者端末UTの制御部1Dは、ステップS13により上記報告要求メッセージを受信すると、接種後情報登録処理部12Dの制御の下、受信された上記報告要求メッセージを入出力I/F5Dを介して表示部61Dに表示させる。この状態で接種者が、表示された上記報告要求メッセージに含まれるURL(Uniform Resource Locator)に対しアクセス操作すると、先ず認証サーバNSVで管理されている認証情報をもとに接種者の本人認証処理が行われた後、接種情報管理サーバASVからアンケートデータがダウンロードされて表示部61Dに表示される。このアンケートデータには、接種後の副反応等の発生状況を確認するための複数の質問項目が記載されている。
【0078】
そして、この状態で接種者が上記アンケートデータの各質問項目に対し入力部62Dにおいて回答データを入力し、登録ボタンを押下すると、接種後情報登録処理部12Dは上記回答データを通信I/F4Dから接種情報管理サーバASVへ返送する。この接種後情報の取得手段としては、デジタル化された患者報告アウトカム(electronic Patient Reported Outcome:ePRO)の技術が適用可能である。
【0079】
これに対し接種情報管理サーバASVの接種後情報取得処理部13Aは、接種者端末UTから上記回答データが返送されると、上記回答データを通信I/F4Aを介して受信する。そして、ステップS35において、上記回答データを接種者の接種後情報として、接種者の固有識別情報と対応付けた状態で接種情報記憶部32Aに記憶させる。
かくして、1回目のワクチン接種後の接種後情報の登録がなされる。
【0080】
なお、以上の動作例は接種情報管理サーバASVから接種者端末UTに対し報告要求メッセージを送信し、これに対し接種者が回答データを返送する場合について述べた。しかし、接種者が接種者端末UTにより接種後情報の報告タイミングを管理し、報告タイミングになった時点でその旨のメッセージを接種者端末UTが表示部61Dに表示し、この状態で接種者が入力した接種後情報を接種者端末UTから接種者情報管理サーバASVへ送信するようにしてもよい。このようにすると、接種者情報管理サーバASVから報告要求メッセージが送信される前に、接種者の接種後の状態が変化した場合に、接種者が自主的に接種後情報を接種情報管理サーバASVに申告することが可能となる。
【0081】
(5)2回目のワクチン接種に伴う接種済情報の登録
2回目のワクチン接種に伴う接種済情報の登録処理も、1回目と同様に行われる。すなわち、接種者は接種券に記載された接種指定日時に接種場所に出向き、問診票および同意書を作成して医療従事者に提出する。そして、接種者が2回目のワクチン接種を受けると、1回目と同様に、医療者端末MTから接種済情報および問診票の情報がプラットフォームPFへ送信され、プラットフォームPFにおいて接種情報管理サーバASVに登録される。また、同意書の情報は認証サーバNSVへ送信され、登録される。
【0082】
(6)2回目のワクチン接種後における接種後情報の登録
2回目のワクチン接種後における接種後情報の登録処理も、1回目と同様に行われる。すなわち、ワクチン接種から所定期間経過後に接種情報管理サーバASVから接種者端末UTに対し接種後の報告要求メッセージが送信される。この状態で、接種者が報告メッセージに含まれるURLに対しアクセス操作すると、認証サーバNSVで管理されている認証情報をもとに接種者の本人認証が行われた後、接種情報管理サーバASVから接種者端末UTにアンケートデータがダウンロードされる。そして、接種者がアンケートデータに回答データを記入して登録操作を行うと、回答データが接種情報管理サーバASVに返送され、接種情報管理サーバASVにおいて上記回答データが2回目の接種後情報として登録される。
【0083】
(7)接種証明データの発行
接種者端末UTの制御部1Dは、ステップS15において2回目のワクチン接種後の接種後情報の登録処理が完了しているか否かを判定し、完了していればステップS16において接種証明取得要求の入力を監視する。
【0084】
この状態で、接種者が自身の接種証明データを取得するために、接種者端末UTにおいて接種証明の発行要求を入力したとする。そうすると、接種者端末UTの制御部1Dは、先ず認証・同意処理部11Dの制御の下、ステップS17において認証サーバNSVとの間で本人認証処理を実行する。そして、本人確認がなされると、次に接種証明取得処理部13Dの制御の下、ステップS18において接種証明管理サーバBSVに対し接種証明の発行要求を送信する。
【0085】
これに対し、接種証明管理サーバBSVの制御部1Bは、
図9に示すようにステップS40において接種証明の発行要求の受信を監視している。この状態で、接種証明の発行要求を受信すると、接種証明発行処理部12Bの制御の下、先ずステップS41において接種情報管理サーバASVに対し、上記要求元の接種者に対応する接種情報の取得要求を送信する。
【0086】
接種情報管理サーバASVの制御部1Aは、上記2回目のワクチン接種後の接種後情報の登録処理が完了したか否かをステップS36で判定し、完了していればステップS37において接種情報の取得要求の受信を監視する。この状態で、接種証明管理サーバBSVから接種情報の取得要求を受信すると、接種情報転送処理部14Aの制御の下、ステップS38において接種情報記憶部32Aから該当する接種者の接種済情報および接種後情報を読み出し、読み出された接種済情報および接種後情報を要求元の接種証明管理サーバBSVへ転送する。なお、このとき上記接種済情報および接種後情報に加え、接種者の基本情報が併せて転送されてもよい。
【0087】
接種証明管理サーバBSVの制御部1Bは、接種証明発行処理部12Bの制御の下、ステップS41により上記接種済情報および接種後情報を取得すると、先ずステップS42において、認証サーバNSVで管理されている同意書の情報をもとに、接種者が接種証明データの発行および第三者の利用に対し事前に同意しているか否かを判定する。そして、接種者の同意が確認されると、ステップS43において、取得された上記接種済情報および接種後情報に基づいて接種証明データを生成する。
【0088】
このとき接種証明データには、例えば、1回目および2回目それぞれの接種済情報、例えば接種日時、接種場所、接種者氏名、ワクチン種別およびワクチンロット番号が含まれる。また接種証明データには、例えば1回目および2回目それぞれの接種後情報を解析することで推定される副反応等の有無とその症状の程度、発症日時等を示す情報も含まれる。さらに接種証明データには、証明書シリアル番号、発行日時、使用有効期限の開始日および終了日、接種証明管理サーバBSVの電子署名データが含まれていてもよい。
【0089】
そして接種証明発行処理部12Bは、生成された上記接種証明データを接種者の固有識別情報と対応付けて接種証明記憶部31Bに保存した後、上記接種証明データを通信I/F4Bから要求元の接種者端末UTへ送信する。これに対し接種者端末UTの制御部1Dは、接種証明取得処理部13Dの制御の下、ステップS18において上記接種証明データを受信し、受信された上記接種証明データを接種証明記憶部33Dに記憶させる。
【0090】
上記接種証明データを発行すると接種証明管理サーバBSVの制御部1Bは、トークン登録処理部13Bの制御の下、ステップS44において、証跡管理システムBCに対し上記接種証明データの管理情報を属性値として持つトークンの生成を指示する。上記生成指示を受け取ると証跡管理システムBCは、コントラクトにより、上記管理情報に記載されたパラメータに対応する属性値を持つトークンを生成し、生成されたトークンを接種者のアドレスに対応付けてトランザクションとして記録する。
【0091】
上記トークンの属性値としては、例えば、接種証明データのシリアル番号等により表されるトークンID、証跡管理システムBC上における接種者アドレスおよび接種証明発行者アドレス、接種証明データの格納先URL、接種証明データファイルのハッシュ値、接種証明データの有効期限、トークンステータス(有効/無効(有効期限切れ等))が想定される。
【0092】
このうち、接種者アドレスは、証跡管理システムBCを接種者が使用する際に用いる秘密鍵と対をなす証跡管理システムBS上のアドレス値を示す。接種証明発行者アドレスは、接種証明データの発行者となる接種証明管理サーバBSVが証跡管理システムBCを使用する際に用いる秘密鍵と対をなす証跡管理システムBS上のアドレス値を示す。接種証明データの格納先URLは、接種証明データに対しアクセスする際の接種証明管理サーバBSVのURLである。接種証明データファイルのハッシュ値は、接種証明データの真正性を担保するためのハッシュ関数値である。
【0093】
(8)接種証明データの提出と確認
第1の実施形態では、接種者本人が接種証明データを提出先の事業者(例えば勤務先)に対面で提出する場合を例にとって説明するが、提出先の事業者としては他に、保健所、学校、図書館、美術館、体育館、集会所、礼拝所、宿泊施設、医療施設等、駅や空港の各種施設であってもよく、さらには映画館や劇場、競技場等のイベント施設、旅行代理店や店舗やフィットネスクラブ等の商業施設等であってもよい。
【0094】
図11は、第1の実施形態における接種証明データの提出から確認までの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0095】
接種者は、接種証明管理サーバBSVから接種証明データを取得したのち、事業者のもとへ出向いて当該事業者に対し自身の接種者端末UTを用いて接種証明データを対面で提出する。具体的には、接種者端末UTにおいて接種証明データを表示させ、表示された接種証明データを事業者端末WTにより読み取らせることにより接種証明データを事業者に提出する。
【0096】
接種者端末UTの制御部1Dは、上記接種証明データの提示操作をステップS19で検知すると、接種証明提出処理部14Dの制御の下、ステップS20において接種証明記憶部33Dから接種証明データを読み出し、読み出された接種証明データを入出力I/F5Dを介して表示部61Dに表示させる。このとき、接種証明データは、例えばバーコードまたはQRコードのようなコードデータにより表される。また、接種証明データには、当該接種証明データの検証に必要なハッシュ値が付加されている。
【0097】
これに対し事業者は、上記接種者端末UTに表示された接種証明データのQRコード等のコードデータを、OCRリーダを用いて読み取って事業者端末WTに取り込む。なお、事業者端末WTがスマートフォンのようにQRコード読取機能を有している端末であれば、OCRリーダは不要である。
【0098】
上記接種証明データを取得すると、事業者は取得した上記接種証明データの真正性の検証を事業者端末WTから証跡管理システムBCに依頼する。例えば、事業者端末WTから接種者端末UTから事前に取得した秘密鍵を用いて、証跡管理システムBCの接種者に対応するアドレスを指定し、トークンの検証要求を送信する。証跡管理システムBCは、上記検証要求を受信すると、例えば取得された上記接種証明データのハッシュ値とトークンのハッシュ値とを照合する。そして、この照合結果を表す情報を検証結果を示す情報として要求元の事業者端末WTへ返送する。かくして、事業者は接種者から提出された接種証明データの真正性、つまり改ざん等を行われていないかどうかを確認することができる。
【0099】
(作用・効果)
以上述べたように第1の実施形態によれば、次のような作用効果が奏せられる。
(1)プラットフォームPFにおいて、ワクチン接種に応じて医療者端末MTから送信される接種済情報を取得し記憶すると共に、接種後の指定されたタイミングに接種者端末UTから送信される接種後情報を取得し記憶する。そして、接種者端末UTから接種証明の取得要求が送られた場合に、プラットフォームPFにおいて上記接種済情報および接種後情報の両方を反映した接種証明データを作成し、要求元の接種者端末UTへ送信するようにしている。
このため、接種した事実を示す接種済情報に加えて接種後の状態変化を表す接種後情報が反映された接種証明データが提供されることになり、これにより接種者は接種証明データにより接種者のワクチン接種履歴をより正確に確認することが可能となる。
【0100】
(2)作成された上記接種証明データについて発行から使用、属性値の変更等の一連の変更履歴を示すトークンを、ブロックチェーン基盤を用いた証跡管理システムBCにおいて管理している。そして、接種者端末UTから事業者端末WTへ接種証明データが対面で提出され、それに応じて事業者端末WTから上記提出された接種証明データに対応する検証要求が送られた場合に、証跡管理システムBCにおいて上記トークンをもとに接種証明データの検証を実行し、検証結果を要求元の事業者端末WTに通知するようにしている。
従って、接種証明データに対したとえ改ざん等の不正操作が行われたとしても、この不正の有無を確実に検証することができ、これにより接種証明データの信頼性を高く維持することができる。
【0101】
(3)接種済情報の登録時に第三者による接種証明データの利用に対する接種者の同意書を認証サーバNSVに同意確認情報として登録し、上記同意確認情報に基づいて接種証明データの第三者による利用の許否が確認された場合に、接種証明データの発行および送信処理を可能としている。
このため、接種証明データが接種者の本人同意のないまま第三者により使用される危険を未然に防止することができる。
【0102】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、接種者が接種証明データを取得した後、取得された上記接種証明データを接種者端末UTから提出先の事業者の事業者端末WTへ対面で転送し、事業者端末WTから証跡管理システムBCに対し上記接種証明データの検証を要求することで上記接種証明データが真正か否かを確認するようにした。
【0103】
これに対し、この発明の第2の実施形態は、接種者が接種者端末UTから接種証明管理サーバBSVに対し、オンラインで事業者への接種証明データの提出依頼を送信する。そして、事業者端末WTが上記依頼に従い接種者に代わり接種証明管理サーバBSVにアクセスして接種者の接種証明データを取得し、取得した接種証明データの検証を証跡管理システムBCに要求して上記接種証明データの真正性を確認するようにしたものである。
【0104】
図12は、この発明の第2の実施形態における接種証明確認処理の流れを示すシーケンス図である。
なお、プラットフォームPFの各管理サーバASV,BSVおよび証跡管理システムBCの機能については、第1の実施形態において説明した機能と基本的に同一なので、ここでの説明は省略する。
【0105】
図12において、先ず接種者は自身の接種者端末UTからプラットフォームPFの接種証明管理サーバBSVに対し、接種証明データの提出依頼をネットワークNWを介して送信する。この提出依頼には、接種証明データの提出者となる接種者の固有識別情報および認証情報と、接種証明データの提出先となる事業者端末WTのアドレス情報が含まれる。これに対し接種証明管理サーバBSVは、認証サーバNSVで管理される上記接種者の認証情報をもとに接種者の認証処理を行った後、当該接種者の接種証明データの格納場所を示すURLを含む接種証明取得要求を、上記事業者端末WTへ例えば電子メールにより送信する。なお、上記取得要求の通信手段としては、電子メール以外にSNSやSMS等の他の通信手段が使用されてもよい。
【0106】
上記接種証明取得要求に応じて、事業者端末WTが接種証明管理サーバBSVの上記URLに対しアクセスすると、接種証明管理サーバBSVは先ず認証サーバNSVから上記提出要求の送信元となる接種者の同意書の情報を取得すると共に、接種情報管理サーバASVから上記接種者の接種済情報および接種後情報を取得する。そして、上記同意書の情報をもとに接種証明データの第三者利用に対する接種者の同意の許否を判定し、同意が確認された場合に上記接種済情報および接種後情報をもとに上記接種者の接種証明データを作成する。そして、作成された上記接種証明データを上記事業者端末WTへ送信する。
【0107】
また接種証明管理サーバBSVは、作成された上記接種証明データのトークンの生成を証跡管理システムBCに指示する。これに対し証跡管理システムBCは、上記指示を受けると上記接種証明データのトークンをコントラクトで生成し、生成されたトークンをトランザクションとして上記接種者に対応するアドレスに記録する。
【0108】
事業者端末WTは、接種証明管理サーバBSVから上記接種証明データを受信すると、受信された上記接種証明データのトークン検証要求を証跡管理システムBCへ送信する。証跡管理システムBCは、上記トークン検証要求に応じて、トランザクションに保存されている対応するトークンに含まれるハッシュ値をもとに上記接種証明データの真正性を検証し、その検証結果を要求元の事業者端末WTへ返送する。
【0109】
従って、この発明の第2の実施形態によれば、接種者が自身の接種証明データを事業者に提出する場合に、接種者端末UTから接種証明管理サーバBSVに対し、提出先の事業者端末WTを指定した接種証明データ提出要求をネットワークNWを介して送信するだけで、接種者の接種証明データを事業者端末WTが接種者に代わって接種証明管理サーバBSVから取得し、さらに取得された上記接種証明データの真正性を証跡管理システムBCにより検証することが可能なる。
【0110】
この結果、接種者は、例えば接種証明データの提出先となる事業者が遠隔地の場合のように、自身の接種証明データを事業者に対面で提出することが困難な場合でも、接種証明管理サーバBSVに対し事業者への接種証明データの提出を依頼することで、接種証明管理サーバBSVから提出先となる事業者に対し、接種者の接種証明データを接種者に代わって提供することが可能となる。
【0111】
また、この場合も、接種証明管理サーバBSVに生成された接種証明データのトークンが証跡管理システムBCのコントラクトにより生成され、トランザクションとして保存される。このため、事業者は取得された上記接種証明データの真正性を証跡管理システムBCにより検証することが可能となる。
【0112】
[その他の実施形態]
(1)前記第1の実施形態では、ワクチン接種時における接種者に関する接種済情報、問診票の情報および同意書の情報を、医療者端末MTからプラットフォームPFの接種情報管理サーバASVまたは認証サーバNSVへ送信し登録するようにした。しかし、この発明はそれに限定されるものではなく、例えば上記接種済情報、問診票の情報および同意書の情報を接種者端末UTにおいて入力または作成し、接種者端末UTから接種情報管理サーバASVまたは認証サーバNSVへ送信して登録するようにしてもよい。
【0113】
またその際、接種者端末UTを所有していない接種者のために、例えば自治体、医療機関または製薬メーカが接種会場に共有のタブレット型端末等を設置する。そして、接種者がこの共有端末を接種者端末として使用して、上記接種済情報、問診票の情報および同意書の情報を入力し、接種情報管理サーバASVまたは認証サーバNSVへ送信するようにしてもよい。
【0114】
(2)接種者が、通信事業者又はサービス事業者が運営するサイトに任意の目的で使用可能な個人フォルダを所有している場合に、この個人フォルダに例えば接種者手帳と呼称される記憶領域を設ける。そして、ワクチン接種毎に接種者の接種済情報、問診票の情報および同意書の情報を上記接種者手帳に登録し、この接種者手帳からプラットフォームPFの接種情報管理サーバASVまたは認証サーバNSVへ転送するようにしてもよい。
【0115】
(3)前記第1の実施形態では、接種者端末UTから事業者端末WTへの接種済情報の転送処理を、接種証明データのバーコードまたはQRコード等のコードデータを光学的に読み取ることで行うようにした。しかし、この発明はそれに限るものではなく、例えば接種者端末UTに記憶されたテキストデータまたはバイナリデータからなる接種証明データを、接種者端末UTから事業者端末WTへBluetooth等の小電力無線データ伝送規格を採用した無線インタフェースを使用して転送するようにしてもよい。
【0116】
(4)前記第1の実施形態では、ワクチン接種が2回行われる場合を例にとって説明したが、1回の場合にも、また3回以上行われる場合にもこの発明は適用可能である。また、前記各実施形態では、ワクチン接種の場合を例にとって説明したが、それに限らず製薬会社等がワクチン以外の新薬等の開発過程における治験を行う場合に対してもこの発明は適用可能である。すなわち、薬剤の種類についてはワクチンに限らず、その他の薬剤であってもよい。
【0117】
(5)その他、プラットフォームの構成、プラットフォームを構成する各サーバの機能構成と処理手順および処理内容、接種者端末の機能構成、接種済情報、接種後情報および接種証明情報の取得処理手順と処理内容、接種証明情報の用途等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0118】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0119】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0120】
PF…投薬情報管理装置(プラットフォーム)
ASV…接種情報管理サーバ
BSV…接種証明管理サーバ
NSV…認証サーバ
BC…証跡管理システム
UT1~UTn…接種者端末
MT…医療者端末
WT…事業者端末
NW…ネットワーク
1A,1B,1D…制御部
2A,2B,2D…プログラム記憶部
3A,3B,3D…データ記憶部
4A,4B,4D…通信I/F
5D…入出力I/F
6D…入出力デバイス
61D…表示部
62D…入力部
11A…接種者管理処理部
12A…接種済情報取得処理部
13A…接種後情報取得処理部
14A…接種情報転送処理部
11B…接種情報取得処理部
12B…接種証明発行処理部
13B…トークン登録処理部
11D…認証・同意処理部
12D…接種後情報登録処理部
13D…接種証明取得処理部
14D…接種証明提出処理部
31A…接種者管理情報記憶部
32A…接種情報記憶部
31B…接種証明記憶部
31D…認証・同意確認情報記憶部
32D…接種後情報記憶部
33D…接種証明記憶部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な投薬情報管理装置であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する投薬済情報取得処理部と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する投薬後情報取得処理部と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する投薬証明情報作成処理部と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する処理部、および前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証処理部を備える提出制御処理部と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部と
を備え、
前記提出制御処理部は、
前記ユーザ端末から送られる前記投薬証明情報の取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記ユーザ端末へ送信する処理部と、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の転送処理後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する処理部と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、検証結果を表す情報を前記事業者端末へ返送する処理部と
を備える投薬情報管理装置。
【請求項2】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な投薬情報管理装置であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する投薬済情報取得処理部と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する投薬後情報取得処理部と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する投薬証明情報作成処理部と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する処理部、および前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証処理部を備える提出制御処理部と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部と
を備え、
前記提出制御処理部は、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の確認要求の送信後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の取得要求を受信する処理部と、
前記取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記事業者端末へ送信する処理部と、
前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する処理部と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、当該検証の結果を表す情報を前記事業者端末へ送信する処理部と
を備える投薬情報管理装置。
【請求項3】
前記対象者に対する認証処理と、前記事業者による前記投薬証明情報の利用に対する前記対象者の同意を確認する同意処理とを実行する処理部を、さらに備える、請求項1又は2に記載の投薬情報管理装置。
【請求項4】
前記証跡情報管理処理部は、複数の分散台帳をP2P(Peer to Peer)ネットワークを介して接続したブロックチェーン基盤を用いて前記証跡情報を管理する、請求項1又は2に記載の投薬情報管理装置。
【請求項5】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な情報管理装置が実行する投薬情報管理方法であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する過程と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する過程と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する過程と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する過程、および前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証過程を備える提出制御過程と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理過程と
を備え、
前記提出制御過程は、
前記ユーザ端末から送られる前記投薬証明情報の取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記ユーザ端末へ送信する過程と、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の転送処理後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する過程と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、検証結果を表す情報を前記事業者端末へ返送する過程と
を備える投薬情報管理方法。
【請求項6】
投薬の対象者が使用するユーザ端末と、前記投薬に関する投薬証明情報の提出先となる事業者が使用する事業者端末との間で、ネットワークを介してそれぞれ情報データの伝送が可能な情報管理装置が実行する投薬情報管理方法であって、
前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶する過程と、
投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する過程と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成する過程と、
前記対象者から前記事業者に対する前記投薬証明情報の提出処理を制御する過程、および前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証過程を備える提出制御過程と、
前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理過程と
を備え、
前記提出制御過程は、
前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の確認要求の送信後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の取得要求を受信する過程と、
前記取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記事業者端末へ送信する過程と、
前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信する過程と、
前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、当該検証の結果を表す情報を前記事業者端末へ送信する過程と
を備える投薬情報管理方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の投薬情報管理装置が備える前記各処理部による処理を、前記投薬情報管理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この発明の第1の態様に係る管理装置または管理方法は、前記対象者に対する前記投薬の事実を示す投薬済情報を取得し、取得された前記投薬済情報を前記対象者の固有識別情報と対応付けて記憶すると共に、前記投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報を前記ユーザ端末から取得し、取得された前記投薬後情報を前記投薬済情報と関連付けて記憶する。そして、前記投薬済情報および前記投薬後情報に基づいて前記投薬証明情報を作成し、作成された前記投薬証明情報の前記対象者から前記事業者に対する提出処理を制御するようにしたものである。
さらに、前記事業者に提出された前記投薬証明情報の検証手順を実行する検証処理部または処理過程と、前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部または処理過程とを備え、前記提出制御処理部または処理過程が、前記ユーザ端末から送られる前記投薬証明情報の取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記ユーザ端末へ送信し、前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の転送処理後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信し、前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、検証結果を表す情報を前記事業者端末へ返送するようにしたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
この発明の第1の態様によれば、例えば、投薬された対象者について、その投薬事実を示す投薬済情報に加え、投薬後の前記対象者の状態を表す投薬後情報が取得され、これら投薬済情報および投薬後情報が共に反映された投薬証明情報が作成される。そして、作成された上記投薬証明情報が対象者から提出先の事業者に提出される際の提出処理が制御される。この結果、投薬を受けた対象者について、投薬の事実を示す投薬済情報だけでなく、投薬後の対象者の副反応等の状態変化を示す投薬後情報までを含めて証明することが可能となる。
さらに、前記投薬証明情報の提出処理を制御する際に、提出された投薬証明情報の検証手順を、さらに実行するようにしたものである。この結果、投薬証明情報に対し改ざん等の不正な変更が加えられていないかどうか、つまり真正かどうかを検証することが可能となり、投薬証明情報の信頼性を高く保持することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
またこの発明の第2の態様に係る管理装置または管理方法は、前記投薬済情報および前記投薬後情報の変更履歴を記録した証跡情報を生成し記憶する証跡情報管理処理部または処理過程を備え、前記提出制御処理部が、前記ユーザ端末から前記事業者端末への前記投薬証明情報の確認要求の送信後に、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の取得要求を受信し、前記取得要求に応じ、前記投薬証明情報を要求元の前記事業者端末へ送信し、前記事業者端末から送信される前記投薬証明情報の検証要求を受信し、前記検証要求を前記証跡情報と照合して前記投薬証明情報の検証を行い、当該検証の結果を表す情報を前記事業者端末へ送信するようにしたものである。