(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151158
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】自動車運搬用車両
(51)【国際特許分類】
B60P 3/08 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B60P3/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054091
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000236551
【氏名又は名称】株式会社浜名ワークス
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 亨
(57)【要約】 (修正有)
【課題】下段フロアに接近した低い位置で、上段フロアに自動車を積み降ろし可能、且つ、積載される自動車に乗り降りが可能で、走行時においても、自動車を水平に近い状態に保持することができる自動車運搬用車両を提供する。
【解決手段】自動車運搬用車両10は、荷台14上の第3、第4フロア26、28と、その上側の第1、第2フロア22、24と、第1、第2フロアを上下方向移動可能に支持するフレーム構造体13と、第1、第2フロアを駆動するフロア駆動装置と、を有してなり、第2フロアは、第4フロアの全体及び第3フロアにおける前下段水平部の後端側の一部の上面に密着可能な形状とされ、第1フロアは、第3フロアにおける前下段前側水平部と重なった状態での第1自動車17Aの積降し可能とされ、第2フロアは、第3フロアの一部及び第4フロアの上面に重なった状態で第2自動車の積降し可能とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック又はトレーラのいずれかの荷台に設けられた下段フロアと、前記下段フロアの上側に設けられた上段フロアと、前記荷台上に設けられ、前記上段フロアを上下方向移動可能に支持するフレーム構造体と、前記フレーム構造体に支持され、前記上段フロアを駆動するフロア駆動装置と、前記下段フロアの後端に着脱自在に接続され、路面との間に、自動車乗り降り用の坂路を構成する道板と、を有してなる自動車運搬用車両であって、前記下段フロアは、前側が前記荷台の上面に沿った平面部、後側が平面部の後端から前記道板の路面に対する傾斜角度と同一角度で後下りに傾斜され、後端が前記道板の前端が接続可能の後下段傾斜部からなる折曲形状とされていて、
前記後下段傾斜部が1台の自動車の積載可能な第4フロアとされ、且つ、前記平面部が自動車1台を積載可能な第3フロアとされてなり、前記上段フロアは、各々1台の自動車を積載可能な、前側の第1フロア及び後側の第2フロアからなり、前記第2フロアは、前側が水平となる後上段水平部、及び、その後側に連続する前記後下段傾斜部と平行に後下りに傾斜する後上段傾斜部からなる折曲形状で、且つ、前記第4フロアの全体及び前記第3フロアにおける前下段水平部の後端側の一部の上面に密着可能な形状とされ、前記第1フロアは、前記第2フロアとは別体で、且つ、直平面形状とされ、前記第3フロアにおける、前記後上段水平部の上側に密着可能な部分及びこの後上段水平部よりも前側の部分の上面を被う長さで構成されていて、1台の自動車を水平に積載可能とされ、前記フレーム構造体は、前記第1フロア及び前記第2フロアを案内するフロアガイド装置を含んで構成され、
前記フロアガイド装置は、前記トラックのキャビン上端又は前記トレーラを牽引するトラクタと前記トレーラとの連結部の上端を車両前部上端とし、且つ、前記第1フロアが、前記第3フロアにおける前記前下段水平部と重なった状態を第1フロア積降し位置、この第1フロア積降し位置から前記車両前部上端よりも高い位置まで垂直に上昇された状態を第1フロア上限高さ位置としたとき、前記第1フロアを、前記第1フロア積降し位置と前記第1フロア上限高さ位置との間で、水平状態で上下動可能に案内する第1フロア垂直ガイドと、前記第1フロア上限高さ位置にある前記第1フロアを、前記車両前部上端を覆う前方突出位置との間で水平に前後動可能に案内する第1フロア前後ガイドと、前記第2フロアを、前記第3フロアの一部及び前記第4フロアの上面に重なってこれらを被う第2フロア積降し位置、及び、前記第1フロアが前記車両前部上端を被った状態のときの、前記第1フロア上限高さ位置よりも高い第2フロア上限高さ位置の間で垂直に上下動可能に案内する第2フロア垂直ガイドと、を含んで構成され、前記第1フロアの長さは、第1フロア積降し位置にあるとき、その後端が、前記第2フロアにおける前記後下段傾斜部の前端よりも前側で、且つ、前記第1フロア上限高さ位置で前記車両前部上端を被う位置にあるときに、前記第1フロアの後端が、前記第2フロアの前端に対して前後方向の隙間があるように構成され
ていることを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項2】
請求項1において、
前記道板は、前記第1フロアが前記第1フロア上限高さ位置で、且つ、前記第2フロアが前記第2フロア上限高さ位置のときに、前記下段フロアに順次被運搬自動車が乗降可能となるように構成され、
ていることを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1フロアは、車体幅方向両側における前端部及び後端部に、垂直に立上る4本のポストを一体的に備え、前記4本のポストの各々の車体幅方向外側には、同一高さ位置で、前後方向に回転自在の前後移動用ローラが設けられ、
前記第1フロア前後ガイドは、水平ガイドチャネル、前後方向フレーム、及び、前後スライド用カップリング装置を有し、前記フロア駆動装置は、前記前後方向フレームに取付けられ得た前後方向駆動ロッドを有してなり、前記水平ガイドチャネルは前記第1フロア上限高さ位置での、前記第1フロアの幅方向両側の前記前後移動用ローラの下側に接触する高さ位置で、前後方向、且つ、水平に移動可能に構成され、前記前後方向フレームは、前記水平ガイドチャネルと平行、一体的に設けられていて同期して前後動し、前記第1フロアの幅方向両側の下側角部を滑動自在に支持するように構成され、前記前後スライド用カップリング装置は、雄部材及び雌部材からなり、前記4本のポストのうち後側の2本のポストの上端と前記前後方向駆動ロッドの先端とを、上下方向に分離可能に連結する構成とされ、
前記雄部材及び雌部材の一方は、前記前後方向駆動ロッドの先端に設けられ、他方は前記後側の2本のポストの上端に設けられ、前記一方に対して前記他方が、下方からカップリング可能とされ、
前記雄部材及び前記雌部材が上下方向にカップリングした状態で、前記第1フロアを前後方向に駆動可能とされたことを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項4】
請求項3において、
前記フロアガイド装置は、前記第1フロア前後ガイドにより、前記車両前部上端を覆う位置まで案内された前記第1フロアを、前記前後方向フレームとともに後端側が後下りとなるように傾斜させる上段前部フロアチルト装置を有し、
前記フロア駆動装置は、前記前後方向フレームを後端側が後下りとなるように傾斜させる第1フロアチルト駆動シリンダを有することを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記フロア駆動装置は、前記フロアガイド装置に沿って、前記第1フロア及び前記第2フロアを駆動するフロア駆動シリンダ装置を有し、
前記フロア駆動シリンダ装置は、前記第1フロアを前記第1フロア垂直ガイドに沿って上下方向に駆動する前後方向駆動ロッドを含む第1フロア垂直駆動シリンダ、及び、前記第1フロア前後ガイドに沿って前後方向に駆動する第1フロア前後駆動シリンダと、前記第2フロアを前記第2フロア垂直ガイドに沿って上下方向に駆動する第2フロア垂直駆動シリンダと、前記第1フロア垂直駆動シリンダ、第1フロア前後駆動シリンダ、及び第2フロア垂直駆動シリンダを各々制御するフロア駆動制御装置と、を含んで構成され、
ていることを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項6】
請求項4において、
前記フロア駆動装置は、前記フロアガイド装置に沿って、前記第1フロア及び前記第2フロアを駆動するフロア駆動シリンダ装置を有し、
前記フロア駆動シリンダ装置は、前記第1フロアを前記第1フロア垂直ガイドに沿って上下方向に駆動する前後方向駆動ロッドを含む第1フロア垂直駆動シリンダ、及び、前記第1フロア前後ガイドに沿って前後方向に駆動する第1フロア前後駆動シリンダと、前記第2フロアを前記第2フロア垂直ガイドに沿って上下方向に駆動する第2フロア垂直駆動シリンダと、前記第1フロア垂直駆動シリンダ、第1フロア前後駆動シリンダ、及び第2フロア垂直駆動シリンダを各々制御するフロア駆動制御装置と、を含んで構成され、
ていることを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項7】
請求項5において、
前記フロア駆動シリンダ装置を構成する各シリンダのシリンダロッドの動作から、前記第1フロア及び前記第2フロアの位置を検出するフロア位置センサ群と、
前記フロア駆動制御装置に対して、前記フロア駆動シリンダ装置へシリンダ駆動制御手動信号を出力可能なリモートコントローラと、
前記フロア駆動制御装置に設けられ、前記フロア駆動シリンダ装置へ、シリンダロッド進退の指令信号が出力された状態で、該シリンダロッドが進退を開始しないときに、シリンダロッド作動「否」信号を前記リモートコントローラに出力する「否」信号出力手段と、
を有し、
前記リモートコントローラは、前記「否」信号を受信したときにONされる警報手段と、前記進退しないシリンダロッドを前記フロア駆動制御装置を介して、駆動させる上下動手動制御ボタン及び前後動手動制御ボタンを備えたことを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項8】
請求項6において、
前記フロア駆動シリンダ装置を構成する各シリンダのシリンダロッドの動作から、前記第1フロア及び前記第2フロアの位置を検出するフロア位置センサ群と、
前記フロア駆動制御装置に対して、前記フロア駆動シリンダ装置へシリンダ駆動制御手動信号を出力可能なリモートコントローラと、
前記フロア駆動制御装置に設けられ、前記フロア駆動シリンダ装置へ、シリンダロッド進退の指令信号が出力された状態で、該シリンダロッドが進退を開始しないときに、シリンダロッド作動「否」信号を前記リモートコントローラに出力する「否」信号出力手段と、
を有し、
前記リモートコントローラは、前記「否」信号を受信したときにONされる警報手段と、前記進退しないシリンダロッドを前記フロア駆動制御装置を介して、駆動させる上下動手動制御ボタン及び前後動手動制御ボタンを備えたことを特徴とする自動車運搬用車両。
【請求項9】
請求項6又は8において、
前記第1フロアチルト駆動シリンダのシリンダロッドの動作を検出する上段前部フロアチルトゼロストロークセンサ及びフルストロークセンサと、
前記フロア駆動制御装置に対して、前記第1フロアチルト駆動シリンダへシリンダ駆動制御手動信号を出力可能なリモートコントローラと、
前記フロア駆動制御装置に設けられ、前記第1フロアチルト駆動シリンダへ、シリンダロッド進退の指令信号が出力された状態で、該シリンダロッドが進退を開始しないときに、シリンダロッド作動「否」信号を前記リモートコントローラに出力する「否」信号出力手段と、
を有することを特徴とする自動車運搬用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用車などの自動車を、複数台積載して運搬するための自動車運搬用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、上下2段に設けられたフロアを有し、これら上下段フロアに各3台、全部で6台の自動車を積載して搬送するようにされた自動車運搬用車両が開示されている。
【0003】
上記の上段のフロアは、自動車積載時に、車両後端から前上りに傾斜してセットされ、この傾斜した上段フロアに3台の自動車を積載して固縛してから上段フロアを上昇させ、その下にスペースを形成してから、下段フロアに3台の自動車を積載するようにされている。ここで、上段フロアの高さは、後端が下がっている状態で地上から立ち作業で自動車を固縛することができる程度とされているので固縛作業は容易である。
【0004】
しかしながら、ドライバーは、前上りにセットされていて前端が人間の背丈ほどの高さで急傾斜されている上段フロアに車を乗り入れて所定の位置に停止させる作業、降車する動作及びその上段フロアから下に安全に降りる運動能力及び注意、同様に前上りの上段フロアの自動車に乗って後下りに降す動作、運動能力及び注意が要求されていた。
【0005】
ここで、近年、上記のような能力、経験を備えたドライバーは高齢化し、且つ、人手不足により新規に採用することが困難となっている。
【0006】
対策として、女性ドライバーが採用され始めているが、女性ドライバーは、男性と比較して背丈が小さいので、人の背丈程度の高さでも不安を感じ易く、そこまで車を乗り入れる技術、そこから外に出て、安全に地面に降りる身体能力が不十分なことが多く、一般のドライバーよりも採用が更に困難となっている。
【0007】
一方、多くの流通産業での流通センターでは、物流倉庫内の床上を自走して、荷物を所定位置に搬入したり、指示された荷物をピックアップして集荷する機能を持った自動走行車があり、このような自動走行車は、巨大な流通センターにおいては数百台が必要とされる。
【0008】
これら自走機能を持った運搬車は、当然、上記のような自動車運搬用車両を用いてまとめて数台を運搬することが要求されている。
【0009】
この場合、自走車両は床上を走行するように設定されているので、道板から先の、比較的傾斜角度が大きい上段フロア上を走行させることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、下段フロアに接近した低い位置で、上段フロアに自動車を水平又はこれに近い状態で積み降ろし可能、且つ、積載される自動車に乗り降りが可能で、走行時においても、自動車を水平に近い状態に保持することができる自動車運搬用車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、トラック又はトレーラのいずれかの荷台に設けられた下段フロアと、前記下段フロアの上側に設けられた上段フロアと、前記荷台上に設けられ、前記上段フロアを上下方向移動可能に支持するフレーム構造体と、前記フレーム構造体に支持され、前記上段フロアを駆動するフロア駆動装置と、前記下段フロアの後端に着脱自在に接続され、路面との間に、自動車乗り降り用の坂路を構成する道板と、を有してなる自動車運搬用車両であって、前記下段フロアは、前側が前記荷台の上面に沿った平面部、後側が平面部の後端から前記道板の路面に対する傾斜角度と同一角度で後下りに傾斜され、後端が前記道板の前端が接続可能の後下段傾斜部からなる折曲形状とされていて、前記後下段傾斜部が1台の自動車の積載可能な第4フロアとされ、且つ、前記平面部が自動車1台を積載可能な第3フロアとされてなり、前記上段フロアは、各々1台の自動車を積載可能な、前側の第1フロア及び後側の第2フロアからなり、前記第2フロアは、前側が水平となる後上段水平部、及び、その後側に連続する前記後下段傾斜部と平行に後下りに傾斜する後上段傾斜部からなる折曲形状で、且つ、前記第4フロアの全体及び前記第3フロアにおける前下段水平部の後端側の一部の上面に密着可能な形状とされ、前記第1フロアは、前記第2フロアとは別体で、且つ、直平面形状とされ、前記第3フロアにおける、前記後上段水平部の上側に密着可能な部分及びこの後上段水平部よりも前側の部分の上面を被う長さで構成されていて、1台の自動車を水平に積載可能とされ、前記フレーム構造体は、前記第1フロア及び前記第2フロアを案内するフロアガイド装置を含んで構成され、前記フロアガイド装置は、前記トラックのキャビン上端又は前記トレーラを牽引するトラクタと前記トレーラとの連結部の上端を車両前部上端とし、且つ、前記第1フロアが、前記第3フロアにおける前記前下段水平部と重なった状態を第1フロア積降し位置、この第1フロア積降し位置から前記車両前部上端よりも高い位置まで垂直に上昇された状態を第1フロア上限高さ位置としたとき、前記第1フロアを、前記第1フロア積降し位置と前記第1フロア上限高さ位置との間で、水平状態で上下動可能に案内する第1フロア垂直ガイドと、前記第1フロア上限高さ位置にある前記第1フロアを、前記車両前部上端を覆う前方突出位置との間で水平に前後動可能に案内する第1フロア前後ガイドと、前記第2フロアを、前記第3フロアの一部及び前記第4フロアの上面に重なってこれらを被う第2フロア積降し位置、及び、前記第1フロアが前記車両前部上端を被った状態のときの、前記第1フロア上限高さ位置よりも高い第2フロア上限高さ位置の間で垂直に上下動可能に案内する第2フロア垂直ガイドと、を含んで構成され、前記第1フロアの長さは、第1フロア積降し位置にあるとき、その後端が、前記第2フロアにおける前記後下段傾斜部の前端よりも前側で、且つ、前記第1フロア上限高さ位置で前記車両前部上端を被う位置にあるときに、前記第1フロアの後端が、前記第2フロアの前端に対して前後方向の隙間があるように構成されていることを特徴とする自動車運搬用車両によって上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、上記のように、トラック又はトレーラからなる車両の上段前部の第1フロア及び上段後部の第2フロアを下段フロアに重なる高さで、運搬すべき自動車をほぼ水平状態で第1フロア上に乗入れて、ここから垂直に上昇させてから、第1フロアを水平状態で前方に移動させて、次に、第2フロアも自動車を乗入れて上昇させ、下側の下段フロアを構成する第3フロア、第4フロアに自動車を乗入れ可能とし、これら上段フロアに積載するべき自動車について、下段フロアの高さ位置で、固縛、固縛解除してドライバーが乗り降りすることができるので、身体能力が充分でないドライバーでも容易に自動車を積下ろしすることができるという効果を有する。又、自動車を水平又は水平に近い状態で維持して運搬できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る自動車運搬用車両を示す側面図
【
図2】同自動車運搬用車両に、4台の自動車を積載した状態を示す側面図
【
図3】同自動車運搬用車両における上段前部フロアを示す斜視図
【
図4】本発明の実施例に係る自動車運搬用車両におけるフロア駆動装置の構成及び、これと積載フロア、固縛装置群との関係を示すブロック図
【
図5】同自動車運搬用車両における荷台上に設けられた、上段フロアを支持するためのフレーム構造体を示す平面図
【
図6】同フレーム構造体及びこれに支持される上段前部フロアと上段後部フロアを2点鎖線で示す平面図
【
図7】
図6の状態から前部上段フロアを前方に移動した状態を示す平面図
【
図8】フロア駆動シリンダ・各センサを荷台上のフレーム構造体に取付けた状態を模式的に示す側面図
【
図11】同上段前部フロアの幅方向左側前部のポストの上部を示す斜視図
【
図13】同上段前部フロアの幅方向左側後部のポスト上部と第1フロア垂直ガイドを示す斜視図
【
図15】上段前部フロア及びこれを前後方向に案内する第1フロアガイド装置、第1フロア前後駆動シリンダを示す斜視図
【
図16】上段前部フロア、第1フロア前後ガイド及び第1フロアロックシリンダの関係を示す背面図
【
図17】同上段前部フロアの幅方向左側後部と、上段前部フロアを水平に駆動する際の前後スライド用カップリング装置の状態を示す斜視図
【
図18】上段前部フロアと第1フロア前後ガイド及び第1フロアロックシリンダとの関係を示す斜視図
【
図19】同実施例におけるフロアセンサ群を構成する各センサを示すブロック図
【
図20】固縛装置を第1-4フロアに取付けた状態を模式的に示す側面図
【
図22】同実施例におけるリモートコントローラの構成を模式的に示す平面図
【
図23】同自動車運搬用車両に自動車を積込む手順の前半を示すフローチャート
【
図24】同自動車運搬用車両に自動車を積込む手順の後半を示すフローチャート
【
図25】同自動車運搬用車両から自動車を降す手順を示すフローチャート
【
図26】第1自動車を第1フロア上に積載した状態を示す側面図
【
図27】第1自動車を第1フロアとともに
図26の状態から垂直に上昇させた状態を示す側面図
【
図28】第1自動車を第1フロア前方に水平に移動させた状態を示す側面図
【
図29】第2自動車を第2フロア上に積載した状態を示す側面図
【
図30】第2自動車を第2フロアとともに垂直に上昇させた状態を示す側面図
【
図31】第3自動車を第3フロア上に載置した状態を示す側面図
【
図32】第4自動車を第4フロア上に載置した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る自動車運搬用車両について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1に示されるように、本発明の実施例に係る自動車運搬用車両10は、キャビン12及び荷台14を備えたトラックであり、荷台14上には、第3フロア26と第4フロア28からなる(詳細後述)下段フロア14B、及び、フレーム構造体13を備えている。
【0017】
フレーム構造体13には第1フロア22と第2フロア24からなる(詳細後述)上段フロア14Aが支持され、荷台14の下から引出した道板16を荷台後端に掛けて、地面との間に昇降路を形成し、自動車運搬用車両10のドライバーが操縦して第1自動車17A~第4自動車17Dを道板16から、順次積載、固縛、降車して、最終的には、
図2に示されるように、上下に2台ずつ積載して搬送し、且つ、降すように構成されている。なお、第1自動車17A~第4自動車17Dを総称する場合は「自動車17」とする。
【0018】
ここで、上段フロア14Aは、上段前部フロアとなる第1フロア22及びその後ろ側に別体で設けられた上段後部フロアとなる第2フロア24から構成され、下段フロア14Bは、下段前部フロアとなる第3フロア26及びその後ろ側に連続して一体的に設けられた下段後部フロアとなる第4フロア28から構成されている。なお、第1フロア22~第4フロア28を総称する場合は、「積載フロア20」とする。
【0019】
図2に示されるように、第3フロア26は、前側の水平の前下段前側水平部26Aと、後側のこれよりもやや高い位置で水平の前下段後側水平部26Bと、これらを接続する中間傾斜部26Cとから構成されている。
【0020】
第4フロア28は、前側の後下段水平部28Aと、その後側に連続する後下段傾斜部28Bとから構成され、この後下段傾斜部28Bの地面に対する傾斜は、設定状態の道板16と地面との角度に対してほぼ同一となるようにされている。
【0021】
また、第2フロア24は前側が水平の後上段水平部24A、後側が後下りに傾斜した後上段傾斜部24Bからなり、第4フロア28の後下段水平部28A及び後下段傾斜部28Bと重なり合うことができるように折れ曲がった形状となっている。
【0022】
更に、第1フロア22は、水平であって、最も下側位置で、下段フロア14Bに重なっている第2フロア24における後上段水平部24Aに、その後端部が重なるように構成されている。
【0023】
なお、後上段水平部24Aの裏面は、実施例において、第3フロア26と重なったとき、同第3フロア26よりも上方に突出した後側ホイールハウス14Dの頂点と同一高さとなり、突出量分だけ第3フロア26との間に隙間がある。
【0024】
第1フロア22及び第2フロア24はいずれも、
図3に示されるような、複数の四角形パイプを格子状に結合した構造とされている。また、第1フロア22には、平面視で上面の四隅の前側及び後側に各2本のポスト22A、22B(詳細後述)が立設されている。
【0025】
次に、上記第1フロア22を上下動、前後動及びチルトさせ、且つ、第2フロア24を上下動するためのフロア駆動装置30について説明する。
【0026】
フロア駆動装置30は、
図4に示されるように、フロアガイド装置31及びフロア駆動シリンダ装置40から構成されている。フロア駆動シリンダ装置40は、後述の駆動シリンダ群40A、フロア位置センサ群50、リモートコントローラ60及びフロア駆動制御装置70を含んで構成されている。
【0027】
フロアガイド装置31は、
図1に示されるように、フレーム構造体13と、このフレーム構造体13に支持される、第1フロア22を垂直にガイドする第1フロア垂直ガイド32及び水平に車体前後方向にガイドする第1フロア前後ガイド34、第1フロアチルト用枠36及び第2フロアを垂直にガイドする第2フロア垂直ガイド38とを備えて構成されている。
【0028】
フレーム構造体13は、
図1、
図5~
図7に示されるように、荷台14上の幅方向両側に、前後方向に並んで立設された前部柱体13A、中央部柱体13B、後部柱体13C(以下、柱体13A、13B、13C)とその上端を前後方向及び車体幅方向に連結する水平フレーム13Dとから構成されている。水平フレーム13Dは、上部サイドフレーム13E、13F、延長フレーム13G、及び、車体幅方向の横方向フレーム13Hを含んで構成されている。符号14Cは荷台14の幅方向中央部を構成する前後方向フレームを示す。
【0029】
第1フロア垂直ガイド32及び第2フロア垂直ガイド38は、
図8~
図10に示されるように柱体13A、13B、13Cの一部を構成している(詳細後述)。
【0030】
第1フロア前後ガイド34は、
図15に示されるように、第1フロア22を前後方向移動自在に支える前側水平ガイドチャネル34A及び後側水平ガイドチャネル34Bを有している。
【0031】
第1フロアチルト用枠36は、
図16に示されるように、第1フロア22を載置した状態で、車体前後方向の垂直面内で、後下がりに傾けるように構成されている。
【0032】
更に、フレーム構造体13における柱体13A、13B、13Cは、各々、チェーン及びその一端に連結された昇降用スライダーを案内する第1フロア垂直ガイド32と、第1フロア22、第2フロア24及び昇降用スライダーと一体のガイドローラを案内するローラガイドチャネルと、を一体的にして構成されていて、且つ、チェーンを引張る垂直駆動シリンダを支持している(詳細後述)。
【0033】
駆動シリンダ群40Aは、
図4に示されるように、6種類のシリンダからなり、具体的には
図8に示されるように、第1フロア垂直ガイド32に沿って第1フロア22をチエンを介して垂直に駆動するための各2本(左右一対)の第1フロア前垂直駆動シリンダ41A及び第1フロア後垂直駆動シリンダ41Bと、第1フロア前後ガイド34に沿って、第1フロア22を車両前後方向に駆動するための左右1対の第1フロア前後駆動シリンダ42と、第1フロアチルト用枠36を垂直面内で傾斜させる左右1対の第1フロアチルト駆動シリンダ43と、第1フロア22が車体前方に移動された状態で、第1フロア22をロックするための第1フロアロックシリンダ44と、第2フロア24を各々チエンを介して垂直に駆動するための2本の第2フロア前垂直駆動シリンダ45、及び、2本の第2フロア後垂直駆動シリンダ46と、を備えて構成されている。
【0034】
次に、3本の柱体13A、13B、13Cの構成について説明する。
【0035】
柱体13Aは、
図9に示されるように第1前部ローラガイドチャネル18A、第1フロア前垂直ガイドチャネル32A、第1前部シリンダ支持チャネル15Aを一体的に結合して構成されている。
【0036】
第1前部ローラガイドチャネル18Aは、第1フロア22の前側幅方向両端から突出して設けられた前後移動用ローラ23(詳細後述)を上下方向移動自在にガイドするようにされている。第1前垂直ガイドチャネル32Aは、第1前昇降用スライダー33Aを上下方向に移動自在にガイドするように構成されている。また、第1前部シリンダ支持チャネル15Aは、第1フロア前垂直駆動シリンダ41Aを囲むようにして支持している。第1前昇降用スライダー33Aの上端には、前引張チェーン41Cの下端が連結され、第1フロア前垂直シリンダ41Aにより引張れるように構成されている。
【0037】
柱体13Bは、第1後部シリンダ支持チャネル15B、第1後垂直ガイドチャネル32B、第1後部ローラガイドチャネル18B、第2前垂直ガイドチャネル38Aを一体的に結合して構成されている。
図9の符号33Bは第1後昇降用スライダー、符号39Aは第2前昇降用スライダーをそれぞれ示す。第2前昇降用スライダー39Aを、前引張チェーン45Aを介して引張る第2フロア前垂直駆動シリンダ45は
図8に示されるように水平に配置されている。
【0038】
柱体13Cは、第2後垂直ガイドチャネル38B、第2後部シリンダ支持チャネル15Cを一体的に結合して構成されている。
図10の符号39Bは、第2後昇降用スライダーを示す。
【0039】
次に、各フロアにおける上記フロア駆動装置30の詳細について説明する。
【0040】
キャビン12の上端を車両前部上端12Aとし、且つ、第1フロア22が、第3フロア26及び第2フロア24の後上段水平部24Aと重なった状態(
図1参照)を第1フロア積込み位置、この第1フロア積込み位置から真上に垂直に車両前部上端12Aよりも高く上昇し、その下の第3フロア26上に第3自動車17Cが積込み可能となった状態を第1フロア上限高さ位置、としたとき、第1フロア垂直ガイド32は、第1フロア22を、積込み位置と第1フロア上限高さ位置との間で水平状態で上下動可能に案内するように構成されている。
【0041】
第1フロア前後ガイド34は、第1フロア22を、第1フロア垂直ガイド32により上昇された第1フロア上限高さ位置と、車両前部上端12Aを被う位置との間で水平に前後動可能に案内するように構成されている。
【0042】
第2フロア垂直ガイド38は、第2フロア24を、第3フロア26の後側の一部及び第4フロア28の上面に重なってこれらを被う積込み位置と、第1フロア22が車両前部上端12Aを被った状態の時の、第1フロア上限高さ位置よりも高い第2フロア上限高さ位置との間で垂直に上下動可能に案内するように構成されている。
【0043】
又、第2フロア垂直ガイド38は、第1フロア上限高さ位置で、車両前部上端12Aを被う位置にある時、第1フロア22の後端が、第2フロア24の前端に対して前後方向の隙間をもって対峙するように案内可能に構成されている。
【0044】
詳細には、第1フロア垂直ガイド32及び第2フロア垂直ガイド38は、
図5~
図7において、共に第1フロア22、第2フロア24の平面視で四隅の外側位置に設けられた柱体13A、13B、13Cの一部としての4本の垂直ガイドチャネルから構成されている。
【0045】
更に詳細には、
図9及び
図10に示されるように、第1フロア22の前側の幅方向左右には2本の第1前垂直ガイドチャネル32A、後側の幅方向左右には2本の第1後垂直ガイドチャネル32Bがそれぞれ設けられている。また、第2フロア24の前側の幅方向左右には、2本の第2前垂直ガイドチャネル38A、後側の幅方向左右には2本の第2後垂直ガイドチャネル38Bがそれぞれ設けられている。また、第1フロア22、第2フロア24のそれぞれ4本の垂直ガイドチャネル内を上下方向に摺動する第1前昇降用スライダー33A、第1後昇降用スライダー33B、第2前昇降用スライダー39A、第2後昇降用スライダー39Bがそれぞれ左右一対設けられている。
【0046】
第1前昇降用スライダー33A、第1後昇降用スライダー33B、第2前昇降用スライダー39A、第2後昇降用スライダー39Bは、それぞれ対応する第1フロア前垂直駆動シリンダ41A、第1フロア後垂直駆動シリンダ41B、第2フロア前垂直駆動シリンダ45、第2フロア後垂直駆動シリンダ46により、前引張チェーン41C、後引張チェーン41D、前引張チェーン45A、後引張チェーン46Aを介して、駆動されるようにされている。
【0047】
第1フロア前後ガイド34について更に説明する。
【0048】
第1フロア22は、
図15に示されるように、車体幅方向両側における前端部及び後端部に垂直に立上る4本のポスト22A(前側2本)、22B(後側2本)を一体的に備え、前記4本のポスト22A、22Bの各々の車体幅方向外側面には、同一高さ位置で、前後方向に回転自在の前後移動用ローラ23が設けられている。
【0049】
第1フロア前後ガイド34は、第1フロア上限高さ位置での、第1フロア22の幅方向両側から前後移動用ローラ23が入り込むようにフレーム構造体13に設けられた前側水平ガイドチャネル34A及び後側水平ガイドチャネル34Bと、前後スライド用カップリング装置35と、を有している。
【0050】
前側水平ガイドチャネル34Aは、前側の2本のポスト22Aに設けられた前後移動用ローラ23を、また、後側水平ガイドチャネル34Bは、後側の2本のポスト22Bに設けられた前後移動用ローラ23をそれぞれ前後方向水平に案内するようにされている。
【0051】
前後スライド用カップリング装置35は、
図17に示されるように、雄部材35A、雌部材35Bからなり、第1フロア22を上昇させて、4本のポストのうち後側の2本のポスト22Bの上端に設けた雄部材35Aを第1フロア前後駆動シリンダ42の駆動ロッド42a(
図8参照)の先端に設けた雌部材35Bに対して下方から嵌合させ、又は下降し、上下方向に分離可能に連結するように構成されている。
【0052】
第1フロアチルト用枠36(
図16参照)は、前側水平ガイドチャネル34Aと平行、一体的にフレーム構造体13に設けられていて、第1フロア22の幅方向両側の下側角部を滑動自在に支持するように構成されている。
【0053】
ここで、雄部材35Aは、先端が角錐形状とされ、前述のようにポスト22Bの上に設けられ、雌部材35Bは、角錐形状の凹部を有し、第1フロア前後駆動シリンダ42の駆動ロッド42aの先端に凹部が下向きとなるように取付けられていて、上向き角錐形状の雄部材35Aの先端が下方から上昇して、雌部材35Bの下向きの角錐形状凹部にカップリング可能とされている。
【0054】
更に、フロア駆動装置30は、第1フロア前後ガイド34により、車両前部上端12Aを被う位置まで案内された第1フロア22を、後端側が後下がりとなるように傾斜させる第1フロアチルト用枠36(
図18参照)を有し、フロア駆動シリンダ装置40は、第1フロアチルト用枠36を後端側が後下がりとなるように傾斜させる第1フロアチルト駆動シリンダ43を有している。
【0055】
図16において、符号36Bは、第1フロアチルト用枠36の上側の第1フロア22との摺接面に取付けられ第1フロア22を滑動自在に支持する樹脂板を示す。また、
図16、
図18において符号36Aはチルト用枠側ロック受け、符号22Cは、第1フロア側ロック受けをそれぞれ示す。
【0056】
図18に示されるように、第1フロア側ロック受け22Cの両側に、チルト用枠側ロック受け36Aの孔が重なった状態で、第1フロアロックシリンダ44のロッドであるロックピン44A(
図16参照)が挿通されることにより、第1フロア22がロックされるように構成されている。
【0057】
次に、フロア駆動シリンダ装置における、各シリンダを制御するための信号を発生するフロア位置センサ群50について説明する。
【0058】
このフロア位置センサ群50は、
図8及び
図19に示されるように、第1前VZセンサ51A、第1後VFセンサ51B、第1HZセンサ52A、第1HFセンサ52B、第1チルトZSセンサ53A、第1チルトFSセンサ53B、第1フロアロックセンサ54A、第2前VZセンサ55A、第2後VZセンサ55B、第2前VFセンサ55C、第2後VFセンサ55Dと、測域センサ59と、を備えて構成されている。測域センサ59は、
図2において2点鎖線で示され、その領域内での物体(ここでは第4自動車)の有無を検出するものである。
【0059】
次に
図19を参照して、駆動シリンダ群40Aの各シリンダとフロア位置センサ群50の各センサとの関係を説明する。
【0060】
各センサは、対応するシリンダにおける駆動ロッドの限界まで突出したフルストローク(以下FS)位置、及び、引込んだゼロストローク(以下ZS)位置を検出するように構成された、リミットスイッチ、光センサ等から構成されている。
【0061】
上記センサの名称におけるVZは上下方向ゼロストローク、VFは上下上下方向フルストローク、HZは水平方向ゼロストローク、HFは水平方向フルストローク、TZはチルトゼロストローク、TFはチルトフルストロークをそれぞれ示すものとする。
【0062】
第1フロア前後垂直駆動シリンダ41A、41Bは、前後の引張チェーン41C、41Dを介して第1フロア22を、また、第2フロア前後垂直駆動シリンダ45、46は前後の引張チェーン45A、46Aを介して、各々駆動するようにされている。
【0063】
各駆動シリンダ41A、41B、42~46の作用の説明は表1、表2及びフローチャートである
図23~
図25の記載にて代替するものとする。
【0064】
次に、
図22を参照して、リモートコントローラ(以下リモコン)60について説明する。
【0065】
このリモコン60は、基本的には、第1フロア22及び第2フロア24を、ドライバーが目視しながら直接駆動できる構成となっている。ただ、特に第1フロア22は、その動きが複雑であるので、動作ボタンをONしたときには、自動的に、上昇し、更に上昇位置から水平に前方に第1フロア22を駆動し、逆に、積載した第1自動車17Aを降ろすときは、動作ボタンを押すと、自動的に水平に且つ後方に移動し、そこから更に下降停止し、第1自動車を後向けに道板16から降ろすことができるようにされている。
【0066】
途中で、第1フロアが作動しなくなった場合は、手動に切り替えて、その範囲では目視で駆動できるようにされている。
【0067】
リモコン60は、電源スイッチ61と、第1フロア上下モードランプ62A、第2フロア上下モードランプ62B、第2フロア小上下モードランプ62C、第1フロア前後モードランプ62D、第1フロアチルトモードランプ62E、第1フロアロックモードランプ62F、上下手動制御ボタン63A、前後手動制御ボタン63B、及び、チルト手動制御ボタン63Cを備えて構成されている。
【0068】
ここで、第1フロア上下モード、第1フロア前後モード、第1フロアチルトモード、第1フロアロックモードは、それぞれ、第1フロア22が自動的に上下動する状態、前後方向に自動的に移動する状態、自動的にチルトする状態、自動的にフロアロックする状態をそれぞれ示す。
【0069】
又、第2フロア上下モード、第2フロア小上下モードは、第2フロアが自動的に上下動するモード、状態、及び、第2フロアが僅かに上下動する状態をそれぞれ示す。
【0070】
第1フロア上下モード、第1フロア前後モード、第1フロアチルトモード、第1フロアロックモードの切り替わりは、問題が無ければ自動的になされるように構成されている。
【0071】
上記6個のモードランプ62A~62Fは、6個のうちの1個のみが選択的にONして点灯されるようになっている。第1フロア上下モードランプ62A、第2フロア上下モードランプ62B、及び、第2フロア小上下モードランプ62Cのいずれかが点灯したときは、制御が該当するモードで実行されていることを示すと共に、上下手動制御ボタン63Aによって対応するシリンダを駆動できるようにされている。
【0072】
又、第1フロア前後モードランプ62Dが点灯されたときは、前後手動制御ボタン63Bにより、対応する第1フロア前後駆動シリンダ42を制御して、前方又は後方に第1フロア22を駆動するようにされている。
【0073】
更に、第1フロアチルトモードランプ62Eが点灯されたときは、チルト手動制御ボタン63Cにより、第1フロア22が上方にあるいは下方に揺動するようにされている。第1フロアロックモードランプ62Fは、これをONさせることによって、第1フロア22をチルト状態でロックすることができるようにされている。
【0074】
図4に示されるフロア駆動制御装置70は、表1に示されるように、第1フロア22の上昇、前進、後退、降下、チルトのそれぞれの開始条件及び停止条件が記憶されていて、これらの条件が充足される時に、それぞれの開始あるいは停止をするようにされている。
【0075】
【0076】
同様に、第2フロア24の上昇、降下、接近降下、及び、接近降下戻りについてのそれぞれの開始条件と停止条件が表2に示されていて、これらの条件についても、フロア駆動制御装置に記憶されている。
【0077】
【0078】
なお、上記実施例では、第1フロア22及び第2フロア24は共に引張チェーンを介して垂直駆動シリンダにより上下方向に駆動されるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の手段、例えばモータにより巻き上げられるワイヤーにより第1フロア22及び/又は第2フロア24を上下に駆動する構成としてもよい。あるいは引張チェーンを用いることなく垂直駆動シリンダにより第1フロア22及び/又は第2フロア24を上下方向に直接駆動するようにしてもよい。
【0079】
次に、
図23、
図24(共にフローチャート)を参照して、実施例に係る自動車運搬用車両10に第1自動車17A~第4自動車17Dを積込む過程について説明する。
【0080】
まず、ステップS101において、リモコン60の電源スイッチ61をONする。
【0081】
次のステップS102において、上下手動制御ボタン63Aを操作して、第1フロア22及び第2フロア24を
図1に示される積込み位置へ移動させる。
【0082】
次のステップS103では、第1、第2フロア22、24における前後のVFセンサ51C、51D、55C、55Dの信号が出力されているか否かを判定する。判定結果がNoであれば、ステップS102に戻り、Yesであれば、ステップS104に進み、第1フロア22に第1自動車17Aを積込む(
図26参照)。
【0083】
ステップS105では、ドライバーが地上に立って、第1固縛装置48Aにより第1自動車17Aを第1フロア22に固縛する。
【0084】
次のステップS106においては、上下手動制御ボタン63Aを上向きに押すことによって、第1フロア昇降自動スイッチ「上」にONさせて、ステップS107に進み、ここでは、表1に示される第1フロア上昇開始条件センサ1Aのセンサ信号が全て出力されているか否かを判定し、Yesならば、ステップS109に進む。
【0085】
Noであれば、ステップS108に進み、上下手動制御ボタン63Aにより、第1フロア垂直駆動シリンダをFS、第1フロアチルト駆動シリンダをFS、第1フロアロックシリンダをZS、第2フロア垂直駆動シリンダをFSとし、ステップS107に戻る。
【0086】
ステップS109において、
図27に示されるように、第1フロア22の上昇が完了し、次のステップS110において、表1に示される第1フロア22の上昇停止条件1Bの各センサ信号が出力されているか否かを判定し、Noであれば、ステップS109に戻る。Yesであれば、第1フロア水平移動自動「前」スイッチONされ、NoであればステップS109に戻る。
【0087】
次のステップS111においては、第1フロア水平移動自動「前」スイッチが自動的にONされ、ステップS112に進む。
【0088】
ステップS112では、表1に示される第1フロア前方移動開始条件2Aの各センサ信号が出力されているか否かを判定する。Yesであれば、
図28に示されるように、第1フロア22がキャビン12の上側位置に移動され、ステップS114に進み、Noであれば、ステップS113において、第1フロア前後モードランプ62DがONされ、前後手動制御ボタン63Bにより、更に、第1フロアチルトシリンダをFS、第1フロアロックシリンダをZS、第1フロア垂直駆動シリンダをZSとして、ステップS111に戻る。
【0089】
ステップS114においては、表1に示される第1フロアロック開始条件2Bの各センサ信号が出力されているか否かを判定する。
【0090】
Yesであれば、ステップS116に進み、Noであれば、ステップS115に進み、第1フロアロックモードランプ62FがONの状態で、第1フロアロック手動ボタンにより、第1フロア前後駆動シリンダをFSとし、ステップS114に戻る。
【0091】
ステップS116においては、第1フロアロックモードランプ62Fの点灯状態で、前後手動制御ボタン63B及びチルト手動制御ボタン63Cにより、第1フロア22とチルト用枠を固定し、ステップS117に進み、第1フロアのキャビン上への移動が完了する。
【0092】
ステップS118においては、第2フロア24へ第2自動車17Bをドライバーが操縦して、
図29に示されるように、積込み、次のステップS119においては、ドライバーが地上に立って、第2自動車17Bを第2固縛装置48Bにより第2フロア24に固縛する。
【0093】
次のステップS120において、第2フロア昇降自動スイッチを、次のステップS121においては、表2に示される第2フロア24の上昇開始条件2Aの各センサ信号の出力の有無を判定し、Yesであれば、ステップS123に進み、Noであれば、ステップS122に進み、上下手動制御ボタン63Aにより、第2フロア垂直駆動シリンダをFSにして、ステップS121に戻る。
【0094】
ステップS123では、
図30に示されるように、第2フロア24が上昇され、次のステップS124において、表2に示される第2フロア上限高さ位置条件2Bの各センサ信号の出力の有無を判定する。判定がNoであれば、ステップS123に戻り、Yesであれば、次のステップS125に進み、
図31に示されるように、第3フロア26に第3自動車17Cを積込む。
【0095】
ステップS126において、ドライバーは、地上に立って、第3自動車17Cを第3固縛装置48Cにより第3フロア26に固縛する。次のステップS127において、第4自動車17Dを第4フロア28上に積込んで、ステップS128において、第4固縛装置48Dにより固縛する。
【0096】
ステップS129に進み、表1に示される第1フロアチルト開始条件5Aの各センサ信号の出力を判定し、Yesであれば、次のステップS133に進み、Noであれば、ステップS130に進む。
【0097】
次のステップS130においては、表1に示される第1フロアチルト開始条件5Aの各センサ信号の出力の有無を判定する。判定の結果Yesであれば、ステップS132に進む。Noであれば、ステップS131に進む。
【0098】
ステップS131においては、第1フロアロックモードランプ62Fが点灯した状態で、第1フロアロックシリンダをFS、第1フロア前後駆動シリンダをZSにする。
【0099】
ステップS132に進み、チルト手動制御ボタン63Cにより、
図2に示されるように第1フロア22のチルトが完了する。
【0100】
次に、ステップS133に進み、第2フロア24を、上限高さ位置よりも下げるか否かを判定する。判定結果が、Noであれば、ステップS138に進み、Yesであれば、次のステップS134に進み、第2フロア小上下モードランプ62Cの点灯状態で、上下手動制御ボタン63Aを操作して、第2フロア垂直駆動シリンダにより第2フロアを第4フロア上の第4自動車17Dに接近する位置に下げる。
【0101】
次のステップS135においては、第2フロア測域センサ信号が出力されているか否かを判定し、判定結果がYesであれば、ステップS138に進み、Noであれば、ステップS136に進み、上下手動制御ボタン63Aを操作して、第2フロア垂直駆動シリンダを作動させて、第2フロアを僅かに下げる(
図2参照)。
【0102】
次のステップS137において、第2フロア測域信号センサが出力されていて、Yesであれば、ステップS138に進み、Noであれば、ステップS136に戻る。
【0103】
ステップS138では、リモコン60の電源スイッチをOFFとして、自動車の積み込みを終了する。
【0104】
次に、
図25(フローチャート)を参照して、自動車運搬用車両10に積載された4台の第1自動車17A~第4自動車17D(
図2参照)を降ろす作業について説明する。
【0105】
まず、
図2に示される状態で、ステップS201において、電源スイッチ61をONする。ステップS202に進み、第2フロア小上下モードランプ62Cが点灯され、第2フロア昇降自動スイッチ「上」ONされる。
【0106】
次のステップS203において、表2に示される第2フロア接近降下戻り開始条件9Aのセンサ信号の有無が判定され、Yesであれば、ステップS205に進む。Noであれば、ステップS204に進み、昇降手動スイッチ(上下手動制御ボタン63A)により、第2フロア24をドライバーが上昇させ、次のステップS205に進み、第2フロア上昇が確認され、ステップS206に進む。
【0107】
ステップS206においては、第2フロアが表2に示される上限高さ位置停止条件6Bのセンサ信号が出力されているか否かを判定し、Noであれば、ステップS203に戻る。Yesであれば、ステップS207に進む。
【0108】
ステップS207では、第4自動車17Dを、固縛解除してドライバーが運転して、第4フロア28から後ろ向きに、道板16を経て降ろす。
【0109】
次のステップS208においては、第3自動車17Cを固縛解除して、第3フロア26から第4フロアを経て路上に降ろす。
【0110】
次のステップS209において、ドライバーが上下手動制御ボタン63Aを操作すると、第2フロア自動昇降スイッチが「下」ONになる。次のステップS210においては、表2に示される第2フロア下降開始条件7Aセンサ信号の有無を判定し、判定結果がYesならばステップS212に進み、Noならば次のステップS211に進む。ステップS211では、第2フロア上下モードランプ62B点灯の状態で、上下手動制御ボタン63Aにより、第2フロア24を手動操作により下降させる。
【0111】
ステップS212において、第2フロア24が降下完了し、ステップS213に進む。ステップS213では、表2に示される第2フロア積込み位置センサ信号により、第2フロア24が最下限位置に降下したことを判定する。判定結果がNoであれば、ステップS212に戻る。Yesであれば、次のステップS214に進む。
【0112】
ステップS214においては、ドライバーが、路上から、第2自動車17Bを固縛解除して、更に、第2自動車に乗り込んで第2フロア24から後ろ向きに降ろす。
【0113】
次のステップS215においては、第1フロアチルト開始条件5Aの各センサ出力の有無を判定する。全てのセンサ出力が無い状態、即ちNoであれば、ステップS218に進み、Yesであれば、ステップS216に進み、チルト手動制御ボタン63Cを操作して、第1フロア22のチルト状態を解除し、ステップS217において、第1フロアチルトを終了させる。
【0114】
ステップS218においては、第1フロア水平移動「後」スイッチONされ、ステップS219に進む。
【0115】
ステップS219では、第1フロアロック解除開始センサ信号の出力の有無を判定し、Noであれば、手動スイッチでフロアロックを解除し、ステップS218に戻り、Yesであれば、ステップS220に進む。
【0116】
ステップS220では、第1フロア自動昇降スイッチ「下」ONされ、ステップS221に進み、表1に示される第1フロア下降開始条件4Aのセンサ出力の有無を判定し、Yesであれば、ステップS223に進む。
【0117】
NoであればステップS222に進み、手動スイッチにより、第1フロア垂直駆動シリンダをZF、第1フロアチルト駆動シリンダをFS、第1フロアロックシリンダをZS、第1フロア前後駆動シリンダをZS、第2フロア垂直駆動シリンダをFSとして、ステップS221に戻る。
【0118】
ステップS223においては、表1に示される第1フロア降下停止条件4Bの各センサ信号の出力の有無を判定して、Noであれば、ステップS221に戻り、Yesであれば、ステップS224に進む。
【0119】
ステップS224では、ドライバーが、第1自動車17Aを固縛解除して、更に、これを運転して道板から路上に降ろす。次のステップS225においては、電源スイッチOFFとして、第1自動車17A~第4自動車17Dの荷降ろしを終了する。
【符号の説明】
【0120】
10…自動車運搬用車両
12…キャビン
12A…車両前部上端
13…フレーム構造体
13A…前部柱体
13B…中央部柱体
13C…後部柱体
13D…水平フレーム
13E、13F…上部サイドフレーム
13G…延長フレーム
13H…横方向フレーム
14…荷台
14A…上段フロア
14B…下段フロア
14C…前後方向フレーム
14D…ホイールハウス
15A…第1前部シリンダ支持チャネル
15B…第1後部シリンダ支持チャネル
15C…第2後部シリンダ支持チャネル
16…道板
17…自動車
17A…第1自動車
17B…第2自動車
17C…第3自動車
17D…第4自動車
18A…第1前部ローラガイドチャネル
18B…第1後部ローラガイドチャネル
20…積載フロア
22…上段前部フロア(第1フロア)
22A、22B…ポスト
22C…第1フロア側ロック受け
23…前後移動用ローラ
24…上段後部フロア(第2フロア)
24A…後上段水平部
24B…後上段傾斜部
26…下段前部フロア(第3フロア)
26A…前下段前側水平部
26B…前下段後側水平部
26C…中間傾斜部
28…下段後部フロア(第4フロア)
28A…後下段水平部
28B…後下段傾斜部
30…フロア駆動装置
31…フロアガイド装置
32…第1フロア垂直ガイド
32A…第1前垂直ガイドチャネル
32B…第1後垂直ガイドチャネル
33A…第1前昇降用スライダー
33B…第1後昇降用スライダー
34…第1フロア前後ガイド
34A…前側水平ガイドチャネル
34B…後側水平ガイドチャネル
35…前後スライド用カップリング装置
35A…雄部材
35B…雌部材
36…第1フロアチルト用枠
36A…チルト用枠側ロック受け
36B…樹脂板
37…前後方向フレーム
38…第2フロア垂直ガイド
38A…第2前垂直ガイドチャネル
38B…第2後垂直ガイドチャネル
39A…第2前昇降用スライダー
39B…第2後昇降用スライダー
40…フロア駆動シリンダ装置
40A…駆動シリンダ群
41A…第1フロア前垂直駆動シリンダ
41B…第1フロア後垂直駆動シリンダ
41C…前引張チェーン
41D…後引張チェーン
42…第1フロア前後駆動シリンダ
41a、41b、42a…駆動ロッド
43…第1フロアチルト駆動シリンダ
44…第1フロアロックシリンダ
44A…ロックピン
45…第2フロア前垂直駆動シリンダ
45A…前引張チェーン
46…第2フロア後垂直駆動シリンダ
46A…後引張チェーン
48…固縛装置群
48A…第1固縛装置
48B…第2固縛装置
48C…第3固縛装置
48D…第4固縛装置
50…フロア位置センサ群
51A…第1前垂直ゼロストロークセンサ(第1前VZセンサ)
51B…第1後垂直ゼロストロークセンサ(第1後VZセンサ)
51C…第1前垂直フルストロークセンサ(第1前VFセンサ)
51D…第1後垂直フルストロークセンサ(第1後VFセンサ)
52A…第1前後ゼロストロークセンサ(第1HZセンサ)
52B…第1前後フルストロークセンサ(第1HFセンサ)
53A…第1チルトゼロストロークセンサ(第1TZセンサ)
53B…第1チルトフルストロークセンサ(第1TFセンサ)
54…第1フロアロックセンサ
55A…第2前垂直ゼロストロークセンサ(第2前VZセンサ)
55B…第2後垂直ゼロストロークセンサ(第2後VZセンサ)
55C…第2前垂直フルストロークセンサ(第2前VFセンサ)
55D…第2後垂直フルストロークセンサ(第2後VFセンサ)
59…測域センサ
60…リモートコントローラ(リモコン)
61…電源スイッチ
62A…第1フロア上下モードランプ
62B…第2フロア上下モードランプ
62C…第2フロア小上下モードランプ
62D…第1フロア前後モードランプ
62E…第1フロアチルトモードランプ
62F…第1フロアロックモードランプ
63A…上下手動制御ボタン
63B…前後手動制御ボタン
63C…チルト手動制御ボタン
70…フロア駆動制御装置