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特開2022-151202突出型リニアアクチュエータ、ロボットアーム及び輸送ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151202
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】突出型リニアアクチュエータ、ロボットアーム及び輸送ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B25J19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054165
(22)【出願日】2021-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】521071219
【氏名又は名称】株式会社RoboSapiens
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊
(72)【発明者】
【氏名】武井 祥平
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS01
3C707CS08
3C707CY18
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT21
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】押圧子に所定の剛性とストロークとを与えつつ、従来よりも小型化を実現することができる突出型リニアアクチュエータ、ロボットアーム及び輸送ロボットを提供すること。
【解決手段】本発明に係る突出型リニアアクチュエータ1は、一対の巻尺部2,3からそれぞれ延びる長尺プレート4,5の自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の長尺プレート4,5の自由端部を連結した押圧子6を形成するスライダ8と、ガイドフレーム7に沿って前記スライダ8を往復直線運動させる第1の駆動部D1と、前記スライダ8に設けられて前記押圧子6を往復直線運動させる第2の駆動部D2と、を備え、一対の前記巻尺部2,3を前記スライダ8または前記ガイドフレーム7の長手方向両端部に配置して構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺プレートが渦巻状に巻装され、所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させた押圧子を形成するスライダと、
前記スライダが往復直線運動するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに沿って前記スライダを往復直線運動させる第1の駆動部と、
前記スライダに設けられて前記押圧子を往復直線運動させる第2の駆動部と、
を備え、
一対の前記巻尺部を前記スライダまたは前記ガイドフレームに配置して構成される、
突出型リニアアクチュエータ。
【請求項2】
一対の前記巻尺部を前記ガイドフレームの長手方向両端部にそれぞれ配置した、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の駆動部は、
第1のモータと、
前記第1のモータの出力軸に結着され、前記スライダの一方の移動端部に配置された第1のプーリと、
前記スライダの他方の移動端部に配置された回転可能な第2のプーリと、
前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間に巻き掛けられたタイミングベルトと、
を有し、
前記タイミングベルトの自由端部は、前記スライダに取り付けられている、
請求項1または2に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記長尺プレートに対向配置され、前記長尺プレートの移動量を検出する検出部を設けた、
請求項1~3の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記検出部は、フォトリフレクタまたはカラーセンサで構成されている、
請求項4に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記検出部により検出した前記長尺プレートの移動量の検出結果に基づいて、前記押圧子の先端の水平方向又は上下方向における移動位置を算出する演算処理部を備える、
請求項4または5に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記第2の駆動部は、
前記スライダに取り付けられた第2のモータと、
前記第2のモータの出力軸に結着されたギヤと、
を有し、
前記ギヤが前記押圧子の片面に当接している、
請求項1~6の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記長尺プレートの前記ギヤが当接する前記片面に樹脂フィルムを貼着した、
請求項7に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記スライダには、
略直角に折り曲げられた一対の前記長尺プレートを通し、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を近づけて重ね合わせるための挿通口と、
一対の前記長尺プレートを略直角に折り曲げて前記挿通口へと案内する、一対の回転可能なガイドローラと、
が設けられている、
請求項1~8の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記スライダの前記挿通口には、周縁の対向する箇所に、一対の前記長尺プレートをそれぞれ前記挿通口へと案内し、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を近づけるためのテーパ面または円弧凸曲面が形成されている、
請求項9に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記スライダに、一対の前記長尺プレートが前記挿通口を通って重ね合わせられた前記押圧子を受けて、前記押圧子の往復直線運動をガイドするためのガイドブロックを設けた、
請求項9または10に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項12】
前記長尺プレートは、前記自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有し、
前記ガイドブロックは、前記挿通口から延びた前記長尺プレートの表面形状に合わせて凸曲面状に形成されたガイド溝を有しており、前記ガイド溝に沿って前記押圧子を往復直線運動させる、
請求項11に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項13】
前記押圧子の先端部にキャップを被着した、
請求項1~12の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項14】
前記キャップの先端面を円弧曲面状の凸曲面とするとともに、前記凸曲面に感圧センサを取り付けた、
請求項13に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータと、前記突出型リニアアクチュエータを直交座標面上で上下及び左右のうち少なくとも何れか一方に往復直線運動させるH型リニアアクチュエータと、を備える、
ロボットアーム。
【請求項16】
自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットであって、請求項15に記載のロボットアームを備える、
輸送ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の長尺プレートを用いた突出型リニアアクチュエータと、この突出型リニアアクチュエータを備えるロボットアーム及びこのロボットアームを備える自立型の輸送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器に備えられるリニアアクチュエータ(直線駆動機構)には、ボールネジ機構や流体圧アクチュエータ、電磁力アクチュエータ、電歪アクチュエータ、形状記憶合金を用いたアクチュエータなどがある(特許文献1参照)。近年、自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットにおいて、このようなリニアアクチュエータを用いることが考えられている。
【0003】
例えば、図16は、ボールネジ機構などの従来のリニアアクチュエータ101をロボットアーム130に使用した、自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボット100の構成を示す。輸送ロボット100では、リニアアクチュエータ101を所定のストロークSで前方に突出可能な構成とし、必要に応じてリニアアクチュエータ101をロボットアーム130の前方に突出させることでエレベータスイッチやインターホンを押下させることが考えられている。
【0004】
図16に示す輸送ロボット100は、リニアアクチュエータ101をロボットアーム130の前方に突出させたときのストロークS以上の長さの格納スペースER1がロボットアーム130の後方に確保されており、ロボットアーム130の後方の格納スペースER1に格納された、非突出状態のリニアアクチュエータ101を、必要に応じてロボットアーム130からストロークSで前方に突出可能な構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-184369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、輸送ロボット100では、リニアアクチュエータ101を前方に非突出状態とさせるためにはリニアアクチュエータ101のストロークS以上の長さの格納スペースER1をロボットアーム130の後方に確保する必要があるため、その分、ロボットアーム130の後方における積載スペースが小さくなり、輸送ロボット100の荷物の輸送能力が低下してしまう。そのため、ロボットアーム130の後方にリニアアクチュエータ101を収容するためのストロークS以上の長さの格納スペースER1を確保せずに、より小型化を図れることが望ましい。
【0007】
他方、エレベータスイッチなどを押下可能な剛性とストロークとを有するロボットアームとして、多関節のシリアルリンクのロボットアームを採用することも考えられるが、多関節のロボットアームを採用したロボットアームでは、平面への座標指定において可動範囲に無駄が生じ易いという欠点を有している。また、可動範囲に無駄を生じさせないでロボットアームの先端を直交座標(XY座標)上の特定位置に移動させるためには複数の関節を設ける必要があり、その分、構成が煩雑となってしまい、エレベータなどの限られたスペースにおいては、当該ロボットアームが人や壁に衝突する可能性も生じ、小型化が十分ではないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、押圧子に所定の剛性とストロークとを与えつつ、従来よりも小型化を実現することができる突出型リニアアクチュエータ、ロボットアーム及び輸送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る突出型リニアアクチュエータは、長尺プレートが渦巻状に巻装され、所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させた押圧子を形成するスライダと、前記スライダが往復直線運動するガイドフレームと、前記ガイドフレームに沿って前記スライダを往復直線運動させる第1の駆動部と、前記スライダに設けられて前記押圧子を往復直線運動させる第2の駆動部と、を備え、一対の前記巻尺部を前記スライダまたは前記ガイドフレームに配置して構成される。
【0010】
また、本発明に係るロボットアームは、前記突出型リニアアクチュエータと、前記突出型リニアアクチュエータを直交座標面上で上下及び左右のうち少なくとも何れか一方に往復直線運動させるH型リニアアクチュエータと、を備えている。
【0011】
さらに、本発明に係る輸送ロボットは、自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットであって、前記ロボットアームを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺プレートを略直角に折り曲げて重ね合わせることによって直線状態を維持できる程度の剛性を有した押圧子を形成するようにしたことで、所定の剛性とストロークとを押圧子に与えることができる。また、一対の巻尺部によって余分な長尺プレートを渦巻状に巻き取ることができるため、当該突出型リニアアクチュエータの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る突出型リニアアクチュエータの側面図である。
図2】本発明に係る突出型リニアアクチュエータの正面図である。
図3図1のA部拡大詳細図である。
図4】ガイドローラの正面図である。
図5】(a)はスライダの斜視図、(b)は長尺ローラの押圧子がスライダに挿通している状態を示す斜視図である。
図6】(a),(b)は図5(a)のB-B線断面図である。
図7図1のC部拡大詳細図である。
図8】キャップの斜視図である。
図9】(a)はフォトリフレクタの配置を示す部分正面図、(b)はリフレクタの出力波形を示す図である。
図10】(a)はカラーセンサと光源(LED)の配置を示す部分正面図、(b)は長尺プレートの部分平面図である。
図11】長尺プレートの送出し量と一対の巻尺部間の距離及び押圧子の先端(押圧部)の位置をxy座標上に示す図である。
図12】(a),(b)は本発明に係る突出型リニアアクチュエータの別実施形態をそれぞれ示す平面図である。
図13】本発明に係る輸送ロボットの側面図である。
図14】本発明に係る輸送ロボットの正面図である。
図15】(a)~(c)は本発明に係る輸送ロボットに設けられた突出型リニアアクチュエータの押圧子の先端が各種スイッチを押下する形態を示す部分正面図である。
図16】従来のリニアアクチュエータを備えた輸送ロボットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
[突出型リニアアクチュエータ]
本発明に係る突出型リニアアクチュエータ1は、図1及び図2に示すように、一対の巻尺部2,3からそれぞれ延びる長尺プレート4,5の各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせて長尺プレート4,5の自由端部同士を連結させた押圧子6をスライダ8にて形成し(図3及び図5(b)参照)、スライダ8において押圧子6を水平方向x(単にx方向とも称する)に沿って往復直線運動させるものである。
【0016】
より詳細には、突出型リニアアクチュエータ1は、一対の巻尺部2,3と、図1及び図2の上下方向y(単にy方向とも称する)に長い矩形プレート状のガイドフレーム7と、ガイドフレーム7に沿ってy方向に往復直線運動する矩形プレート状のスライダ8と、該スライダ8をガイドフレーム7に沿って往復直線運動させる第1の駆動部D1と、スライダ8により形成した押圧子6を図1の水平方向xに往復直線運動させる第2の駆動部D2と、を備えている。
【0017】
一対の各巻尺部2,3は、各長尺プレート4,5をそれぞれ渦巻状に巻装するものであって、スライダ8の移動端(ガイドフレーム7の長手方向両端部)に振り分けられ、所定距離を設けて対向配置されている。
【0018】
本実施形態に係る各巻尺部2,3は、長尺プレート4,5が出入りする出入口がガイドフレーム7側に配置されており、出入口から延出した長尺プレート4,5が、当該出入口からスライダ8までガイドフレーム7に並走して直線的に引き延ばされている。また、巻尺部2,3は、上下方向yから長尺プレート4,5が同一直線上で対向するように延出されるように対向配置されている。
【0019】
各巻尺部2,3は、内部にゼンマイバネなどの弾性部材を備えており、当該弾性部材によって、各巻尺部2,3に巻装された各長尺プレート4,5に、当該長尺プレート4,5を渦巻状に巻き取る方向の力(弾性復元力)を与えている。ここで、これらの長尺プレート4,5は、各巻尺部2,3からそれぞれ送り出された状態では直線状を成して往復直線運動が可能な程度の剛性を有しており、略直角に折り曲げられ且つ巻尺部2,3において渦巻状に巻き付けられる程度の弾性を有している。なお、各長尺プレート4,5は、長尺の帯状金属プレートや帯状樹脂プレートなどによって構成されており、本実施形態では、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のものが使用されている。
【0020】
本実施形態に係る長尺プレート4,5は、同一形状及び同一部材により形成されており、図5(b)に示すように、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有している。このように、長尺プレート4,5は、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状とすることで、直線性の向上が図られているとともに、巻尺部2,3内での捲回性及びスライダ8での折曲性の向上が図られている。また、長尺プレート4,5は、表面の凹部面6aが外側に向けて配置され、裏面の凸部6b同士が互いに結合するように重ね合わせられて押圧子6を構成している。
【0021】
なお、巻尺部2,3からそれぞれ延びる長尺プレート4,5の自由端部をスライダ8で略直角に折り曲げるが、ここで「略直角」とは、長尺プレート4,5が延在する長手方向を基準として、例えば、70°以上110°以下の範囲内の角度が望ましい。
【0022】
また、本実施形態に係るガイドフレーム7とスライダ8は、軽量なアルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成されており、ガイドフレーム7の両側面には、図1に示すように、長手方向(図1の上下方向y)に一直線状に延びるガイド溝7a(図1には一方のみ図示)がそれぞれ形成されている。そして、スライダ8は、ガイドフレーム7の各ガイド溝7aに沿って転動可能な計4つのローラ9を備え、ローラ9によってガイドフレーム7に沿って上下方向yに往復直線運動可能に支持されている。
【0023】
スライダ8をガイドフレーム7に沿って、図1及び図2のy方向に往復直線運動させる前記第1の駆動部D1は、駆動源である第1のモータ10と、スライダ8の一方の移動端部近傍(図1及び図2においてガイドフレーム7の下端部)に配置されて第1のモータ10の出力軸に結着された第1のプーリ11と、スライダ8の他方の移動端部近傍(図1及び図2においてガイドフレーム7の上端部)に配置された回転可能な第2のプーリ12と、これら第1のプーリ11と第2のプーリ12との間に巻き掛けられたタイミングベルト13と、で構成されている。ここで、タイミングベルト13は、スライダ8の裏面側を通され、その自由端部は、スライダ8の両端部(図1及び図2の上下両端部)に取り付けられている。第1のモータ10は、ガイドフレーム7の下端部に配置されており、出力軸により第1のプーリ11を正逆転させることで、タイミングベルト13を介して第2のプーリ12も追従して正逆転させる。これにより、第1のモータ10は、タイミングベルト13を正逆転させ、スライダ8をy方向に往復直線運動させる。
【0024】
また、2つの長尺プレート4,5の各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせることによって構成される押圧子6を図1及び図2の水平方向(図示x方向)に往復直線運動させる第2の駆動部D2は、スライダ8に取り付けられている。第2の駆動部D2は、スライダ8とともにガイドフレーム7に沿って上下方向yに往復直線運動する。第2の駆動部D2は、駆動源である第2のモータ14と、該第2のモータ14の出力軸に結着されたギヤ15とで構成されている。スライダ8には、第2のモータ14に設置されたギヤ15と対向する位置にガイドブロック16が設けられている。
【0025】
上記ガイドブロック16は、略直角に折り曲げられた2つの長尺プレート4,5の各自由端部同士を重ね合わせて構成される押圧子6を上部で受け、押圧子6の往復直線運動をガイドするためのものである(図3及び図5(b)参照)。ガイドブロック16は、水平方向xに沿って延びる柱状に形成されており、スライダ8に立設されている。また、ガイドブロック16は、図1に示したように、水平方向xに沿って往復直線運動する押圧子6の下方に配置され、押圧子6が上部を摺動して水平方向xに沿って往復直線運動し得る。
【0026】
ガイドブロック16は、スライダ8に形成された矩形状の挿通口8Aの近傍に配置されている。このガイドブロック16には、図5(a)及び図5(b)に示すように、押圧子6の片面を受けて該押圧子6の直線移動をガイドするためのガイド溝16aが、図5(a)及び図5(b)中のx方向に沿って形成されている。このガイド溝16aは、長尺プレート4,5の表面形状に合わせて凸曲面状に形成されており、スライダ8に形成された挿通口8Aから延びている。そして、ガイドブロック16のガイド溝16aの幅方向一端には、押圧子6のガイド溝16aからの脱落を防ぐための突起16bが、図5(a)及び図5(b)のx方向に沿ってガイドブロック16に一体に形成されている。
【0027】
ここで、図1のA部の詳細を図3に示す。図3に示すように、スライダ8に開口する挿通口8Aの入口部近傍には、上下方向yから同一直線上で対向するように延出されている一対の長尺プレート4,5をそれぞれ略直角に折り曲げて挿通口8Aへと案内する一対の回転可能なガイドローラ17が設けられている。なお、各ガイドローラ17は、図4に示すように、幅方向中央部が膨らんだ樽状(クラウン状)に成形されており、このようなガイドローラ17を用いることによって長尺プレート4,5の蛇行を防ぐことができる。
【0028】
また、スライダ8の挿通口8Aの周縁の対向する2箇所には、図6(a)に示すように、一対の長尺プレート4,5を挿通口8Aへと案内するためのテーパ面8aが形成されている。図6(a)に示すテーパ面8aは、長尺プレート4,5の挿通口8Aへの挿入方向(図6(a)では上方)に向かって開口幅が狭くなるように形成されている。なお、本実施形態では、一対の長尺プレート4,5を挿通口8Aへと案内する案内面として、テーパ面8aを適用したが、本発明はこれに限らず、例えば、図6(b)に示すように、長尺プレート4,5の挿通口8Aへの挿入方向に向かって開口幅が曲線的に狭くなるように形成された円弧凸曲面8bとしてもよい。
【0029】
ところで、図3に示すように、第2のモータ14が正逆転されることによってギヤ15が正逆転すると、このギヤ15に当接する押圧子6がx方向に往復直線運動する。この押圧子6には、ギヤ15に当接する長尺プレート4の片面(ギヤ15との当接面とも称する)に、透明な樹脂フィルム(本実施形態では、ビニールテープ)18が貼着されている。なお、樹脂フィルム18は、押圧子6がx方向に向けて往復直線運動する際にギヤ15が当接する領域(当接領域とも称する)にのみ形成されることが望ましい。
【0030】
このように、ギヤ15が当接する側の長尺プレート4の表面に樹脂フィルム18を貼着することによって、ギヤ15と押圧子6との摩擦力が高められ、ギヤ15と押圧子6との間に滑りが発生するのを抑制できる。これにより、押圧子6は、ギヤ15の正逆転に応じて、図3のx方向に向けて確実に往復直線運動することができる。また、樹脂フィルム18として透明なものを使用することによって、後述のように長尺プレート4の移動量(送出し量と巻取り量)を光学的に検出することができる。さらに、樹脂フィルム18を一方の長尺プレート4の表面において当接領域にのみ貼着することによって、長尺プレート4の全体が厚くなって折り曲げにくくなるという不具合や、巻尺部2で巻装しにくくなるという不具合の発生を抑制できる。なお、樹脂フィルム18については、図5(b)や、後述する図7においては図示を省略している。
【0031】
図7に示すように、略直角に折り曲げられて重ね合わせられる2つの長尺プレート4,5の自由端部同士は、両長尺プレート4,5の自由端部に挿通するボルト19と該ボルト19に螺着されたナット20によって連結され、その連結部にはキャップ21が被着されている。ここで、キャップ21は、図8に示すように、その先端面が円弧曲面状の凸曲面とされており、この凸曲面の中央部には円形の平面部21aが形成されている。そして、キャップ21の平面部21aには、図7に示すように、感圧センサ22が取り付けられている。
【0032】
次に、2つの長尺プレート4,5の移動量(各巻尺部2,3からの送出し量と各巻尺部2,3への巻取り量)の検出例を図9及び図10に基づいて以下に説明する。
【0033】
図9(a)はフォトリフレクタの配置を示す部分側面図であり、図9(b)はフォトリフレクタの出力波形を示す図である。本例においては、図9(a)に示すように、巻尺部3に対のフォトリフレクタ23a,23bが配置されている。なお、図9(a)は、巻尺部3のみに着目して図示しているが、一方の巻尺部2にも巻尺部3と同様に対のフォトリフレクタ23a,23bが配置されている。これら一対の巻尺部2,3に設けられるフォトリフレクタ23a,23bは同一構成であるため、ここでは巻尺部3に設けられたフォトリフレクタ23a,23bに着目して以下説明する。ここで、フォトリフレクタ23a,23bは、送信部と受信部を備えるセンサであって、送信部から出射する赤外線やLED光、紫外線(UV)などの光が長尺プレート5(4)の表面で反射し、その反射した光を受信部のフォトトランジスタが受信することによって、長尺プレート5(4)の移動量と移動方向を検出する機能を有している。
【0034】
具体的には、長尺プレート5の表面には、不図示の白黒のパターンが長手方向に沿って交互に且つ等間隔で印刷されており、フォトリフレクタ23a,23bが白黒の入れ替わり回数を検出することによって、長尺プレート5の移動量が求められる。なお、実際には、一般的なロータリエンコーダと同様に、対のフォトリフレクタ23a,23bは、図9(b)に示すように、例えば、一方のフォトリフレクタ23aでA相の波形を検出し、他方のフォトリフレクタ23bでA相と位相差が1/4(90°)であるB相を検出する。これらのフォトリフレクタ23a,23bによってそれぞれ検出したA相及びB相の波形を基に、長尺プレート5の移動方向(送り出されたか巻き取られたか)を検出することができる。
【0035】
また、検出部としてカラーセンサを用いた例を図10に示す。
【0036】
図10(a)はカラーセンサと光源(LED)の配置を示す部分側面図、図10(b)は長尺プレートの部分平面図であり、本例においては、図10(a)に示すように、巻尺部3の近傍に光源であるLED24とカラーセンサ25が配置されている。なお、図10(a)は、巻尺部3のみに着目して図示しているが、一方の巻尺部2にも巻尺部3と同様にカラーセンサ25が配置されている。これら一対の巻尺部2,3に設けられるカラーセンサ25は同一構成であるため、ここでは巻尺部3に設けられたカラーセンサ25に着目して以下説明する。
【0037】
長尺プレート5の表面には、図10(b)に示すように、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)及び黒(Bk)の4色のパターンが長手方向に沿って規則正しく繰り返し印刷されており、カラーセンサ25によって、これら所定パターンで配置された赤(R)、緑(G)、青(B)及び黒(Bk)の輝度値を検出することによって、長尺プレート5の移動量と移動方向が求められる。
【0038】
本実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ1は、フォトリフレクタ23a,23bやカラーセンサ25などの検出部により検出した長尺プレート4,5の移動量の検出結果に基づいて、押圧子6の先端の水平方向x又は上下方向yにおける移動位置を算出する演算処理部60を備えるようにしてもよい。これにより、突出型リニアアクチュエータ1は、2つの長尺プレート4,5が略直角に折り曲げられて重ね合わされることによって構成される押圧子6を、水平方向x及び上下方向yに沿って往復直線運動させる際、押圧子6の先端位置を一段と正確に把握し得、該押圧子6によって例えば不図示のエレベータスイッチを確実に押下させることができる。この場合、図11に示すxy座標上における押圧子6の先端(押圧部分であり、キャップ21)の位置は、演算処理部60によって、以下のように求められる。
【0039】
図11は、長尺プレート4,5の送出し量と一対の巻尺部2,3間の距離L及び押圧子6の先端(押圧部分であるキャップ21)の位置をxy座標上に示す図である。なお、xは水平方向を示し、yは上下方向を示す。押圧子6の先端の座標(x0,y0)は、図9(a)に示すフォトリフレクタ23a,23bまたは図10(a)に示すカラーセンサ25によって検出された長尺プレート4,5の各送出し量(移動量)をそれぞれα,βとし、両巻尺部2,3間の距離をLとすると、次のように求められる。
【0040】
2x0+L=α+β …(1)
水平方向xにおける押圧子6の先端の位置を示すx0は、上記(1)式から、次式にて求められる。
【0041】
0=(α+β-L)/2 …(2)
【0042】
また、上下方向yにおける押圧子6の先端の位置を示すy0は、次式にて求められる。
【0043】
0=β-x0=β-{(α+β-L)/2}=(L-α+β)/2 …(3)
したがって、(2)式と(3)式より、押圧子6の先端(押圧部分)の座標(x0,y0)は、次のように求められる。
【0044】
(x0,y0)=((α+β-L)/2,(L-α+β)/2) …(4)
このため、各巻尺部2,3の近傍に配置されたフォトリフレクタ23a,23b(図9(a)参照)またはカラーセンサ25(図10(a)参照)によって各長尺プレート4,5の移動量(送出し量α,β)を検出し、得られた検出結果を演算処理部60に出力することで、当該演算処理部60により、押圧子6の先端位置の座標(x0,y0)を(4)式によって求めることができる。この場合、例えば、スライダ8に検出部を設けることなく、ガイドフレーム7などに検出部を設ければよいため、その分、スライダ8の構成を簡素化し軽量化を図ることができる。
【0045】
次に、以上のように構成された突出型リニアアクチュエータ1の作用について説明する。
【0046】
図1及び図2において、第1の駆動部D1における第1のモータ10を正逆転させれば、該第1のモータ10の出力軸に結着された第1のプーリ11が正逆転する。すると、第1のプーリ11と第2のプーリ12との間に掛け渡されたタイミングベルト13が正転または逆転する。これに応じて、タイミングベルト13の自由端に取り付けられたスライダ8がガイドフレーム7に沿って図1及び図2のy方向に往復直線運動する。また、この際、スライダ8の挿通口8Aを通って図1のx方向に突出する押圧子6も、スライダ8と共に図1及び図2のy方向に往復直線運動する。
【0047】
なお、この際、第2のモータ14が停止状態にあって、ギヤ15も停止しているときには、該ギヤ15によって押圧された押圧子6が不動となっているため、該押圧子6の突出量は変化しない。このとき、各巻尺部2,3からの各長尺プレート4,5の送り出し、または、各巻尺部2,3への各長尺プレート4,5の巻き取りによって、各巻尺部2,3からスライダ8までの各長尺プレート4,5の長さが調整されることから、スライダ8の往復直線運動は許容される。
【0048】
上述のように、第1の駆動部D1によってスライダ8、つまりは押圧子6のy方向の位置y0図11参照)が決定されると、第2の駆動部D2の第2のモータ14が正逆転され、この第2のモータ14によってギヤ15も同時に正逆転される。このとき、ギヤ15が、例えば、図3の実線矢印方向(時計方向)に回転すると、各巻尺部2,3から長尺プレート4,5がそれぞれ図3の実線矢印方向に送り出される。上下方向yに対向配置された各巻尺部2,3から同一直線上で対向するように延出されているこれらの長尺プレート4,5は、スライダ8の挿通口8Aの入口付近に配置された一対のガイドローラ17によって略直角に折り曲げられ、y方向からx方向へと延出方向が変えられる。この際、長尺プレート4,5は、スライダ8の挿通口8Aの入口側端縁に形成されたテーパ面8a(図6(a)参照)または円弧凸曲面8b(図6(b)参照)に沿って、長尺プレート4,5の自由端部同士が次第に近づくようにして挿通口8Aへとスムーズに案内されて該挿通口8Aを通過する。
【0049】
そして、上述のように略直角に折り曲げられてスライダ8の挿通口8Aを通過した2つの長尺プレート4,5が互いに重ね合わされることによって押圧子6が構成され、この押圧子6は、ガイドブロック16のガイド溝16aに沿ってx方向へと移動する。このようにして、押圧子6の先端に被着されたキャップ21がx方向に移動することで、例えば、不図示のエレベータスイッチを、押圧子6の先端部で押下することができる。なお、押圧子6の先端部がエレベータスイッチなどを押下する力は、押圧子6の先端に被着されたキャップ21に取り付けられた感圧センサ22(図7参照)によって検出される。
【0050】
その後、第2のモータ14が逆転してギヤ15が図3の破線矢印(反時計方向)に回転すると、押圧子6がスライダ8側へと移動してスライダ8からの突出量が小さくなる。このとき、両長尺プレート4,5は、一対のガイドローラ17によって元の状態(押圧子6によりエレベータスイッチなどを押す前の状態)に戻され、各巻尺部2,3へと巻き戻される。なお、各長尺プレート4,5を巻き戻す力には、ギヤ15によって与えられる力以外に、各巻尺部2,3内に設けたゼンマイバネなどの弾性部材により長尺プレート4,5を各巻尺部2,3へと巻き戻す力(弾性復元力)も加えられる。なお、両長尺プレート4,5を巻き取り過ぎると、押圧子6の先端に被着されたキャップ21がギヤ15に噛み込まれてギヤ15が破損する可能性があるが、本実施形態では、キャップ21がギヤ15に巻き込まれる以前にボルト19とナット20が図3に鎖線にて示すようにガイドブロック16と第2のモータ14に当接してキャップ21のギヤ15への噛み込みを防ぐため、ギヤ15が損傷するなどの不具合が発生することがない。
【0051】
以上において、本実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ1においては、2つの長尺プレート4,5を略直角に折り曲げて重ね合わせることによって直線状態を維持できる程度の剛性を有した押圧子6を形成するようにしたため、この押圧子6は、軽量で、且つ、エレベータスイッチなどを押下することができる程度の必要十分な剛性を有する。また、押圧子6は、必要に応じて各巻尺部2,3から長尺プレート4,5が延出されることで、x方向への長さを自由に調整できることから、必要十分なストロークを有することとなる。その一方で、各巻尺部2,3によってそれぞれ余分な長尺プレート4,5を渦巻状に巻き取ることができるため、ガイドフレーム7の後方に長尺プレート4,5などを収納する余分な格納スペースER1(図16)も不要となり、当該突出型リニアアクチュエータ1の小型化を実現することができる。
【0052】
また、各長尺プレート4,5を巻き取るための一対の巻尺部2,3を、スライダ8に設けずに、ガイドフレーム7の長手方向両端部にそれぞれ振り分けて配置したため、押圧子6に必要なストロークを確保しつつ、当該スライダ8の小型・コンパクト化と軽量化を実現することができる。そして、本実施形態では、スライダ8に2つの巻尺部2,3を設けずにスライダ8を小型化及び軽量化させたことで、このスライダ8をガイドフレーム7に沿って往復直線移動させるために必要な動力を小さく抑えることができ、その分、第1のモータ10として小型・軽量で低出力のモータを使用することができる。
【0053】
なお、以上の実施形態では、スライダ8の小型・軽量化を図るために一対の巻尺部2,3をガイドフレーム7の長手方向両端部に振り分けて配置したが、本発明はこれに限らない。例えば、図12(a)に示すように、一方の巻尺部2のみをスライダ8に設け、他方の巻尺部3をガイドフレーム7に設けて、一対の巻尺部2,3を、所定距離を設けて対向配置させた突出型リニアアクチュエータ1としてもよい。また、図12(b)に示すように、一対の巻尺部2,3をスライダ8に所定距離を設けて対向配置させた突出型リニアアクチュエータ1としても良い。
【0054】
図12(a)及び図12(b)に示すような突出型リニアアクチュエータ1であっても、上述した実施形態と同様に、所定の剛性とストロークとを押圧子6に与えることができ、また、一対の巻尺部2,3によって余分な長尺プレート4,5を渦巻状に巻き取ることができるため、当該突出型リニアアクチュエータ1の小型化を実現することができる。
【0055】
[ロボットアーム及び輸送ロボット]
次に、本発明に係るロボットアームとこれを備える輸送ロボットを図13図15に基づいて以下に説明する。
【0056】
図13は本発明に係る輸送ロボット50の側面図、図14は同輸送ロボット50の正面図、図15(a)~(c)は同輸送ロボット50に設けられた突出型リニアアクチュエータ1の押圧子6の先端が各種スイッチSW1,SW2,SW3を押下する形態を示す部分側面図である。
【0057】
本発明に係る輸送ロボット50は、自走しながら荷物を輸送する自立型のものであって、図13及び図14に示すように、4つの車輪51によって走行可能な移動筐体52の前部にロボットアーム30を備えている。ここで、ロボットアーム30は、以上において説明した突出型リニアアクチュエータ1と、この突出型リニアアクチュエータ1を直交座標面上で上下及び左右に往復直線運動させるH型リニアアクチュエータ40と、を備えて構成されている。ここで、H型リニアアクチュエータ40は、図14に示すように、垂直に立設された左右一対の垂直フレーム41と、一対の垂直フレーム41間に横架された上下動可能な水平フレーム42と、を備えており、不図示のボールネジ機構などによって左右の垂直フレーム41に沿って水平フレーム42が上下に移動可能な構成を有する。
【0058】
突出型リニアアクチュエータ1は、水平フレーム42によって垂直に支持されて不図示のボールネジ機構などによって水平フレーム42に沿って左右方向に移動可能である。なお、ロボットアーム30に備えられた突出型リニアアクチュエータ1は、ガイドフレーム7の長手方向が上下方向yに沿って配置されるように、垂直に縦置きされた状態で水平フレーム42に取付支持されている。この場合、突出型リニアアクチュエータ1は、図13に示すように、ガイドブロック16がギヤ15の下側に位置する向きに取り付けられる。その理由は、ガイドブロック16がギヤ15の上側に位置する向きに突出型リニアアクチュエータ1を取り付けると、水平に突出する押圧子6をガイドブロック16で受けることができないため、該押圧子6が自重で撓み変形する可能性があるためである。
【0059】
本発明に係るロボットアーム30においては、突出型リニアアクチュエータ1のスライダ8と共に移動する押圧子6が、上下及び左右の任意の位置へと移動可能であるとともに、水平方向xに沿って移動することで前後方向(図13参照)にも移動可能である。押圧子6は、上下及び左右の任意の位置に位置決めされ、前方に移動することで、その先端部によってエレベータスイッチなどを押下することができる。なお、エレベータスイッチなどの位置情報は、不図示のカメラによって撮像される画像データによって得られる。
【0060】
ここで、押圧子6の先端部に被着されたキャップ21が各種スイッチを押下する形態を図15(a)~(c)に示す。押圧子6は、図15(a)に示すような押圧面が凹曲面状のスイッチSW1に対しても、湾曲したキャップ21がスイッチSW1の押圧面に沿って当接し、スイッチSW1を確実に押下し得る。また。押圧子6は、図15(b)に示すような押圧面が平面であるスイッチSW2に対しても、キャップ21によってスイッチSW1の押圧面を確実に押下し得る。また、図15(c)に示すようなシーソー型のスイッチSW3に対しても、キャップ21がスイッチSW3の尖った端部を押下することによって該スイッチSW3をON/OFFさせることができる。なお、図15(a)~(c)に示すスイッチSW1,SW2,SW3を押下する場合においては、押圧力は、キャップ21の先端面に取り付けられた感圧センサ22によって検出される。
【0061】
以上において、突出型リニアアクチュエータ1とH型リニアアクチュエータ40を備えるロボットアーム30においては、突出型リニアアクチュエータ1の押圧子6を直交座標平面上の広い範囲で移動させてエレベータスイッチなどを確実に押下することができる。また、このロボットアーム30は、小型・コンパクトで軽量な突出型リニアアクチュエータ1を備えるため、当該ロボットアーム30全体の小型・軽量化を図ることができる。
【0062】
また、本発明に係る輸送ロボット50は、小型で軽量なロボットアーム30を備えるため、当該輸送ロボット50全体の軽量化を図ることができるとともに、積載能力を犠牲にすることなく、必要な機能としての例えばスイッチ押下機能を備えることができる。
【0063】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。例えば、演算処理部60として、検出部により検出した長尺プレート4,5の移動量の検出結果に基づいて、押圧子6の先端の水平方向xにおける移動位置、及び、上下方向yにおける移動位置の、一方のみを算出する演算処理部60としてもよい。また、H型リニアアクチュエータ40として、突出型リニアアクチュエータ1を直交座標面上で上下及び左右のうち少なくとも何れか一方に往復直線運動させるH型リニアアクチュエータとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 突出型リニアアクチュエータ
2,3 巻尺部
4,5 長尺プレート
6 押圧子
7 ガイドフレーム
8 スライダ
8A 挿通口
8a テーパ面
8b 円弧凸曲面
10 第1のモータ
11 第1のプーリ
12 第2のプーリ
13 タイミングベルト
14 第2のモータ
15 ギヤ
16 ガイドブロック
16a ガイド溝
17 ガイドローラ
18 樹脂フィルム
21 キャップ
21a キャップの平面部
22 感圧センサ
23 フォトリフレクタ(検出部)
25 カラーセンサ(検出部)
30 ロボットアーム
40 H型リニアアクチュエータ
50 輸送ロボット
D1 第1の駆動部
D2 第2の駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットのロボットアームに備えられる突出型リニアアクチュエータであって、
長尺プレートが渦巻状に巻装され、所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させた押圧子を形成するスライダと、
前記スライダが往復直線運動するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに沿って前記スライダを往復直線運動させる第1の駆動部と、
前記スライダに設けられて前記押圧子を往復直線運動させる第2の駆動部と、
を備え、
一方の前記巻尺部と他方の前記巻尺部とが、前記スライダまたは前記ガイドフレームに設けられている
突出型リニアアクチュエータ。
【請求項2】
一対の前記巻尺部を前記ガイドフレームの長手方向両端部にそれぞれ配置した、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の駆動部は、
第1のモータと、
前記第1のモータの出力軸に結着され、前記スライダの一方の移動端部に配置された第1のプーリと、
前記スライダの他方の移動端部に配置された回転可能な第2のプーリと、
前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間に巻き掛けられたタイミングベルトと、
を有し、
前記タイミングベルトの自由端部は、前記スライダに取り付けられている、
請求項1または2に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記長尺プレートに対向配置され、前記長尺プレートの移動量を検出する検出部を設けた、
請求項1~3の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記検出部は、フォトリフレクタまたはカラーセンサで構成されている、
請求項4に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記検出部により検出した前記長尺プレートの移動量の検出結果に基づいて、前記押圧子の先端の水平方向又は上下方向における移動位置を算出する演算処理部を備える、
請求項4または5に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記第2の駆動部は、
前記スライダに取り付けられた第2のモータと、
前記第2のモータの出力軸に結着されたギヤと、
を有し、
前記ギヤが前記押圧子の片面に当接している、
請求項1~6の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記長尺プレートの前記ギヤが当接する前記片面に樹脂フィルムを貼着した、
請求項7に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記スライダには、
略直角に折り曲げられた一対の前記長尺プレートを通し、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を近づけて重ね合わせるための挿通口と、
一対の前記長尺プレートを略直角に折り曲げて前記挿通口へと案内する、一対の回転可能なガイドローラと、
が設けられている、
請求項1~8の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項10】
前記スライダの前記挿通口には、周縁の対向する箇所に、一対の前記長尺プレートをそれぞれ前記挿通口へと案内し、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を近づけるためのテーパ面または円弧凸曲面が形成されている、
請求項9に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項11】
前記スライダに、一対の前記長尺プレートが前記挿通口を通って重ね合わせられた前記押圧子を受けて、前記押圧子の往復直線運動をガイドするためのガイドブロックを設けた、
請求項9または10に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項12】
前記長尺プレートは、前記自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有し、
前記ガイドブロックは、前記挿通口から延びた前記長尺プレートの表面形状に合わせて凸曲面状に形成されたガイド溝を有しており、前記ガイド溝に沿って前記押圧子を往復直線運動させる、
請求項11に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項13】
前記押圧子の先端部にキャップを被着した、
請求項1~12の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項14】
前記キャップの先端面を円弧曲面状の凸曲面とするとともに、前記凸曲面に感圧センサを取り付けた、
請求項13に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載の突出型リニアアクチュエータと、前記突出型リニアアクチュエータを直交座標面上で上下及び左右のうち少なくとも何れか一方に往復直線運動させるH型リニアアクチュエータと、を備える、
ロボットアーム。
【請求項16】
自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットであって、請求項15に記載のロボットアームを備える、
輸送ロボット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る突出型リニアアクチュエータは、自走しながら荷物を輸送する自立型の輸送ロボットのロボットアームに備えられる突出型リニアアクチュエータであって、長尺プレートが渦巻状に巻装され、所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させた押圧子を形成するスライダと、前記スライダが往復直線運動するガイドフレームと、前記ガイドフレームに沿って前記スライダを往復直線運動させる第1の駆動部と、前記スライダに設けられて前記押圧子を往復直線運動させる第2の駆動部と、を備え、一方の前記巻尺部と他方の前記巻尺部とが、前記スライダまたは前記ガイドフレームに設けられている