(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151213
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10G 1/00 20060101AFI20220929BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20220929BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G10G1/00
G10K15/04 302D
G10H1/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054181
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一紀
【テーマコード(参考)】
5D182
5D208
5D478
【Fターム(参考)】
5D182AD05
5D208CC07
5D208CC14
5D478EB41
5D478GG07
(57)【要約】
【課題】オリジナル楽曲の作曲者自身が演奏する楽器以外の楽器のパートのカラオケ演奏データを容易に作成可能なカラオケ装置を提供する。
【解決手段】複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶するデータ記憶部、オリジナル楽曲の作曲者により指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、フレーズ演奏データを抽出する抽出部、抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音を放音させる試聴処理部、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する生成部を有するカラオケ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶するデータ記憶部と、
オリジナル楽曲の作曲者により指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、前記データ記憶部に記憶された複数のフレーズ演奏データから、少なくとも一つのフレーズ演奏データを抽出する抽出部と、
抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音を放音手段から放音させる試聴処理部と、
抽出された前記フレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された前記楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する生成部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記既存楽曲のカラオケ演奏データは、コード進行情報を有し、
前記抽出部は、前記フレーズ抽出条件として指定されたコード進行情報に基づいて、前記フレーズ演奏データを抽出することを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記既存楽曲のカラオケ演奏データは、演奏区間情報を有し、
前記抽出部は、前記フレーズ抽出条件として指定された演奏区間情報に基づいて、前記フレーズ演奏データを抽出することを特徴とする請求項1または2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記生成部は、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報を、指定された前記楽器のパートについて選択された他の全てのフレーズ演奏データに対して設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のカラオケ装置。
【請求項5】
前記データ記憶部は、前記作曲者が行ったカラオケ歌唱に基づく歌唱履歴を記憶し、
前記抽出部は、前記作曲者の歌唱履歴に基づいて、前記フレーズ演奏データを抽出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置の利用者の中には、カラオケ装置に予め記憶されている楽曲以外の楽曲をカラオケ歌唱したいと考える者もいる。
【0003】
たとえば特許文献1には、利用者個人の音楽的嗜好に応じた楽曲を自動的に作編曲して提供可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ギターやピアノなど楽器の演奏ができる者は、楽器を使用してメロディやコード進行を創作し、オリジナル楽曲を作曲することができる(以下、オリジナル楽曲を作曲した者を「作曲者」という)。
【0006】
このようなオリジナル楽曲をカラオケ歌唱する際には、作曲者自身が演奏する楽器のパートの演奏音だけでなく、他の楽器のパートのカラオケ演奏データを準備することが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、オリジナル楽曲の作曲者自身が演奏する楽器以外の楽器のパートのカラオケ演奏データを容易に作成可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶するデータ記憶部と、オリジナル楽曲の作曲者により指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、前記データ記憶部に記憶された複数のフレーズ演奏データから、少なくとも一つのフレーズ演奏データを抽出する抽出部と、抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音を放音手段から放音させる試聴処理部と、抽出された前記フレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された前記楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する生成部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オリジナル楽曲の作曲者自身が演奏する楽器以外の楽器のパートのカラオケ演奏データを容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1~
図3を参照して、本実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0012】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。また、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、オリジナル楽曲の作曲者自身が演奏する楽器以外の楽器のカラオケ演奏データを生成することができる(詳細は後述)。
【0013】
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0014】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20は、カラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。スピーカ20は「放音手段」の一例である。表示装置30は、カラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は、利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0016】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態において、記憶手段10aの記憶領域の一部は、データ記憶部100として機能する。
【0017】
(データ記憶部)
データ記憶部100は、複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶する。
【0018】
既存楽曲は、プロのアーティストや作曲家等により作曲された楽曲である。一般的なカラオケ装置は、20万曲以上の既存楽曲のカラオケ演奏データを記憶している。
【0019】
カラオケ演奏データは、カラオケ演奏を行うためのデータである。カラオケ演奏データは、既存楽曲毎に記憶されている。カラオケ演奏データは、MIDI形式のデータである。カラオケ演奏データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。また、各カラオケ演奏データは、既存楽曲のコード進行を示すコード進行情報が設定されている。
【0020】
一の既存楽曲のカラオケ演奏データは、楽器のパート毎のカラオケ演奏データから構成される。楽器のパートは、ギターパート、ベースパート、ピアノパート、ドラムパート等である。
【0021】
楽器のパート毎のカラオケ演奏データそれぞれは、楽器のパートに応じた音色情報が設定されている。音色情報は、カラオケ演奏音の音色を示す情報である。たとえば、ベースパートに応じた音色情報としては、「エレクトリック・ベースの音色」、「フレットレス・ベースの音色」、「アコースティック・ベースの音色」等がある。MIDI形式のカラオケ演奏データの場合、音色情報はプログラム・チェンジデータとして設定されている。
【0022】
また、楽器のパート毎のカラオケ演奏データそれぞれは、複数のフレーズ演奏データから構成されている。フレーズ演奏データは、一の楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、たとえば4小節毎のように、所定の長さで区切ったデータである。一の楽器のパート毎のカラオケ演奏データと、それを構成する複数のフレーズ演奏データは、同じ音色情報が設定されている。更に、本実施形態に係る一のフレーズ演奏データには、一または複数のコード進行情報が対応付けられている。
【0023】
データ記憶部100は、既存楽曲毎に、リファレンスデータ、歌詞データ、映像データ、属性情報等を記憶してもよい。リファレンスデータは、カラオケ歌唱を採点する際の基準として用いられるデータである。歌詞データは、カラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させる歌詞(歌詞テロップ)を示すデータである。映像データは、カラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させる背景映像を示すデータである。属性情報は、曲名、歌手名、楽曲のジャンル情報、楽曲のテンポ情報、楽曲のビート情報等、楽曲に関連する情報である。
【0024】
また、既存楽曲のカラオケ演奏データには、演奏区間情報が設定されていてもよい。演奏区間情報は、楽曲を構成する演奏区間を示す情報である。演奏区間は、カラオケ演奏が行われる区間である。演奏区間は、たとえば、Aメロ、Bメロ、サビのような歌唱区間、及び前奏、間奏、後奏のような非歌唱区間である。一のカラオケ演奏データを構成する複数のフレーズ演奏データそれぞれには、一の演奏区間情報が設定されている。なお、演奏区間の数は楽曲毎に異なる。また、演奏区間情報として、「1コーラス目のAメロ」、「2コーラス目のAメロ」のように各コーラスに応じた演奏区間が設定されていてもよい。
【0025】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0026】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。演奏手段10dは、MIDI音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。MIDI音源は、MIDI形式のカラオケ演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う装置である。MIDI音源は、出力可能な音色を複数備えている。MIDI音源は、楽曲に合わせて所定のチャンネルに音色を割り当てることで、同時に複数種類の音色を出力できる。楽曲毎に使用する音色は、カラオケ演奏データに設定されている音色情報(プログラム・チェンジデータ)に基づいて決定される。なお、プログラム・チェンジデータは、チャンネルを示す第1のバイト、及び音色を示す第2のバイトからなる。
【0027】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0028】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、抽出部200、試聴処理部300、生成部400、及び演奏処理部500として機能する。
【0029】
(抽出部)
抽出部200は、オリジナル楽曲の作曲者により指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、データ記憶部100に記憶された複数のフレーズ演奏データから、少なくとも一つのフレーズ演奏データを抽出する。
【0030】
フレーズ抽出条件は、複数の既存楽曲のカラオケ演奏データを構成する複数のフレーズ演奏データの中から、特定のフレーズ演奏データを抽出するための条件である。
【0031】
本実施形態におけるフレーズ抽出条件は、コード進行情報である。この場合、抽出部200は、指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件として指定されたコード進行情報に基づいて、フレーズ演奏データを抽出する。
【0032】
たとえば、作曲者が、リモコン装置50を介して、楽器Iのパート、及びオリジナル楽曲の演奏位置X(たとえば、最初の4小節)におけるコード進行を示すコード進行情報Cnを指定したとする。
【0033】
この場合、抽出部200は、データ記憶部100に記憶されている複数のフレーズ演奏データのうち、楽器Iのパートに応じた音色情報、及びコード進行情報Cnと同じコード進行情報が設定されたフレーズ演奏データを抽出する。抽出されるフレーズ演奏データは、少なくとも一つあればよい。一方、抽出されるフレーズ演奏データの数が多い場合、抽出部200は、そのうちの一部をランダムに抽出することができる。
【0034】
なお、指定された楽器のパート及びコード進行情報が設定されたフレーズ演奏データがデータ記憶部100に記憶されていない場合もありうる。この場合、抽出部200は、たとえば指定された楽器のパートに応じた音色情報、及び類似するコード進行情報が設定されたフレーズ演奏データを抽出してもよい。
【0035】
また、フレーズ抽出条件として、楽器のパート及びコード進行情報と併せて、属性情報を指定してもよい。たとえば、作曲者は、リモコン装置50を介して、楽器Iのパート、コード進行情報Cn、及び属性情報としてジャンル情報Gを指定することができる。
【0036】
この場合、抽出部200は、データ記憶部100に記憶されている複数のフレーズ演奏データのうち、楽器Iのパートに応じた音色情報及びコード進行情報Cnと同じコード進行情報が設定され、且つジャンル情報Gの属性情報を有する楽曲のフレーズ演奏データを抽出する。
【0037】
また、抽出部200は、指定されたコード進行情報と移調関係にあるフレーズ演奏データを抽出してもよい。たとえば、コード進行情報として「C、G、Am/G、F」が指定された場合、抽出部200は、コード進行情報「D、A、Bm/A、G」に対応するフレーズ演奏データを移調して抽出してもよい。
【0038】
(試聴処理部)
試聴処理部300は、抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音を放音手段から放音させる。
【0039】
試聴処理部300は、演奏手段10dを制御し、抽出部200により抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音をスピーカ20から放音させる。抽出されたフレーズ演奏データが複数ある場合、試聴処理部300は、各フレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音を順番に放音させる。
【0040】
作曲者は、放音されるフレーズ演奏音を試聴することにより、任意のフレーズ演奏データを決定できる。たとえば、作曲者は、楽器Iのパート及びコード進行情報Cnに基づいて抽出された10個のフレーズ演奏データに基づく10のフレーズ演奏音を試聴し、10個のフレーズ演奏データの中からオリジナル楽曲のイメージに最も近い一のフレーズ演奏データを決定する。試聴処理部300は、作曲者が決定した一のフレーズ演奏データを、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データとして選択する。なお、試聴処理部300は、作曲者がオリジナル楽曲に設定したテンポ情報に基づいて演奏手段10dを制御し、フレーズ演奏音を放音させることができる。
【0041】
(生成部)
生成部400は、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する。
【0042】
生成部400は、試聴処理部300により選択された一のフレーズ演奏データを、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データとして所定の演奏位置に割り当てる。所定の演奏位置は、作曲者が指定してもよいし、指定されたコード進行情報が示すコード進行により特定してもよい。
【0043】
上記例において、生成部400は、選択された一のフレーズ演奏データを、楽器Iのパートにおける演奏位置Xのカラオケ演奏データとして割り当てる。
【0044】
生成部400は、作曲者により一のフレーズ演奏データが選択される都度、所定の演奏位置に割り当てを行うことにより、指定された楽器Iのパートのカラオケ演奏データを生成する。
【0045】
(演奏処理部)
演奏処理部500は、生成したカラオケ演奏データに基づいて、指定された楽器のカラオケ演奏音を放音手段から放音させる。
【0046】
演奏処理部500は、演奏手段10dを制御し、生成部400により生成されたカラオケ演奏データ(指定された楽器のパートのカラオケ演奏データ)に基づくカラオケ演奏音をスピーカ20から放音させる。上記例の場合、演奏処理部500は、演奏手段10dを制御し、生成した楽器Iのカラオケ演奏データに基づくカラオケ演奏音をスピーカ20から放音させる。作曲者は、たとえば、指定した楽器Iのカラオケ演奏音に合わせて、楽器Iとは異なる楽器で演奏を行ったり、歌唱することができる。なお、演奏処理部500は、作曲者がオリジナル楽曲に設定したテンポ情報に基づいて演奏手段10dを制御し、カラオケ演奏音を放音させることができる。
【0047】
なお、本実施形態において、既存楽曲のカラオケ演奏データは、MIDI形式のデータである。よって、既存楽曲のカラオケ演奏データを用いて生成される、指定された楽器のカラオケ演奏データもMIDI形式となっている。この場合、作曲者は、カラオケ装置Kが備えるテンポ変更やキー変更の機能を利用することができる。
【0048】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図3を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図3は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において、作曲者CPは、ギターを演奏しながらコード進行を決めることで、32小節からなるオリジナル楽曲OMを作曲したとする。また、データ記憶部100は、複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶しているとする。
【0049】
抽出部200は、作曲者CPにより指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、指定された当該楽器のパートに対応するフレーズ演奏データを抽出する(指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、フレーズ演奏データを抽出。ステップ10)。
【0050】
以下、楽器のパートとしてベースパートが指定され、フレーズ抽出条件として、オリジナル楽曲OMの4小節毎のコード進行情報が指定される例について述べる。
【0051】
具体的に、作曲者CPは、リモコン装置50を介して、ベースパート及びオリジナル楽曲OMの最初の4小節のコード進行情報C1を指定する。「最初の4小節」は、所定の演奏位置の一例である。
【0052】
抽出部200は、データ記憶部100に記憶されているフレーズ演奏データの中から、ベースパートに応じた音色情報、及びコード進行情報C1と同じコード進行情報が設定されているフレーズ演奏データを抽出する。ここでは、20個のフレーズ演奏データPD1~PD20が抽出されたとする。
【0053】
試聴処理部300は、ステップ10で抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音をスピーカ20から放音させる(フレーズ演奏音を放音。ステップ11)。そして、試聴処理部300は、作曲者が決定した一のフレーズ演奏データを、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データとして選択する(フレーズ演奏データを選択。ステップ12)。
【0054】
たとえば、リモコン装置50は、抽出したフレーズ演奏データPD1~PD20に基づくフレーズ演奏音を試聴するための試聴画面を表示させる。試聴画面には、フレーズ演奏データPD1~PD20に対応するアイコンが表示される。作曲者CPが一のアイコンを選択すると、試聴処理部300は、演奏手段10dを制御し、選択されたアイコンに対応するフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音をスピーカ20から放音させる。
【0055】
作曲者CPは、抽出されたフレーズ演奏データPD1~PD20を順番に試聴することで、オリジナル楽曲OMの最初の4小節のイメージに近いベースパートのフレーズ演奏データPD8を決定する。試聴処理部300は、作曲者CPが決定した一のフレーズ演奏データPD8を、最初の4小節のカラオケ演奏データとして選択する。
【0056】
生成部400は、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する(指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成。ステップ13)。
【0057】
上記例において、生成部400は、試聴処理部300により選択されたフレーズ演奏データPD8を、ベースパートの最初の4小節のカラオケ演奏データとして割り当てる。
【0058】
その後、作曲者CPは、リモコン装置50を介して、ベースパート及びオリジナル楽曲OMの次の4小節(5~8小節)のコード進行情報C2を指定する。「次の4小節」は、所定の演奏位置の一例である。
【0059】
抽出部200は、データ記憶部100に記憶されているフレーズ演奏データの中から、ベースパートに応じた音色情報、及びコード進行情報C2と同じコード進行情報が設定されているフレーズ演奏データを抽出する。ここでは、20個のフレーズ演奏データPD21~PD40が抽出されたとする。
【0060】
作曲者CPは、抽出されたフレーズ演奏データPD21~PD40を順番に試聴することで、次の4小節のイメージに近いベースパートのフレーズ演奏データPD30を決定する。試聴処理部300は、作曲者CPが決定した一のフレーズ演奏データPD30を、次の4小節のカラオケ演奏データとして選択する。
【0061】
生成部400は、試聴処理部300により選択されたフレーズ演奏データPD30を、ベースパートの次の4小節のカラオケ演奏データとして割り当てる。
【0062】
このように、カラオケ装置Kは、オリジナル楽曲OMのベースパートのカラオケ演奏データが完成するまで(ステップ14でYの場合まで)、ステップ10からステップ13の処理を繰り返し行う。
【0063】
上記例において、オリジナル楽曲OMの4小節毎のコード進行情報が指定されている。つまり、1回に抽出されるフレーズ演奏データは、4小節分のカラオケ演奏データである。よって、カラオケ装置Kは、ステップ10からステップ13の処理を8回繰り返すことにより、オリジナル楽曲OMのベースパート(32小節分)のカラオケ演奏データを完成させる。
【0064】
演奏処理部500は、完成したカラオケ演奏データに基づいて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏音をスピーカ20から放音させる(指定された楽器のパートのカラオケ演奏音を放音。ステップ15)。
【0065】
上記例において、演奏処理部500は、演奏手段10dを制御し、オリジナル楽曲OMのベースパートのカラオケ演奏データに基づくカラオケ演奏音をスピーカ20から放音させる。
【0066】
この場合、作曲者CPは、たとえば、放音されるベースパートのカラオケ演奏音に合わせてカラオケ歌唱及びギターの楽器演奏を行うことができる。或いは、カラオケ装置Kは、作曲者CPによる楽器演奏の録音データに基づいて、ギターパートのカラオケ演奏データを生成してもよいし、ベースパートのカラオケ演奏データと同じようにフレーズ演奏データを用いてギターパートのカラオケ演奏データを生成してもよい。更に、カラオケ装置Kは、生成した楽器毎のカラオケ演奏データを一つにまとめることにより、オリジナル楽曲OMのカラオケ演奏データを作成することも可能である。
【0067】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、複数のフレーズ演奏データから構成される、楽器のパート毎のカラオケ演奏データを、既存楽曲毎に記憶するデータ記憶部100と、オリジナル楽曲の作曲者により指定された楽器のパート及びフレーズ抽出条件に基づいて、データ記憶部100に記憶された複数のフレーズ演奏データから、少なくとも一つのフレーズ演奏データを抽出する抽出部200と、抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音をスピーカ20から放音させる試聴処理部300と、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データを用いて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する生成部400と、を有する。
【0068】
このようなカラオケ装置Kによれば、オリジナル楽曲の作曲者は、任意の楽器のパートとフレーズ抽出条件を指定するだけで、カラオケ装置Kに記憶されている膨大な既存楽曲の中から、任意のフレーズ演奏データ(たとえば、オリジナル楽曲のイメージに近いフレーズ演奏データや好みのフレーズ演奏データ)を決定できる。そして、カラオケ装置Kは、作曲者が決定したフレーズ演奏データを用いて、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成できる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、オリジナル楽曲の作曲者自身が演奏する楽器以外の楽器のパートのカラオケ演奏データを容易に作成できる。
【0069】
また、本実施形態に係るカラオケ装置Kにおいて、既存楽曲のカラオケ演奏データは、コード進行情報を有し、抽出部200は、フレーズ抽出条件として指定されたコード進行情報に基づいて、フレーズ演奏データを抽出することができる。
【0070】
このようにフレーズ抽出条件としてコード進行情報を用いることにより、指定したコード進行情報が示すコード進行と同一または類似するコード進行が設定されている既存楽曲のフレーズ演奏データを抽出することができる。コード進行が同一または類似する既存楽曲のフレーズ演奏データは、オリジナル楽曲のイメージに近いフレーズ演奏データや好みのフレーズ演奏データである可能性が高くなる。すなわち、このようなカラオケ装置Kによれば、オリジナル楽曲の作曲者が、任意のフレーズ演奏データをより決定しやすくなる。
【0071】
<変形例1>
上記実施形態では、フレーズ抽出条件としてコード進行情報を用いる例について説明した。一方、フレーズ抽出条件として、たとえば演奏区間情報を用いることができる。
【0072】
本変形例における抽出部200は、フレーズ抽出条件として指定された演奏区間情報に基づいて、フレーズ演奏データを抽出する。
【0073】
たとえば、作曲者CPは、リモコン装置50を介して、ドラムパート、及び演奏区間情報として「1コーラス目のAメロ」の演奏区間を指定する。
【0074】
抽出部200は、データ記憶部100に記憶されているフレーズ演奏データの中から、ドラムパートに応じた音色情報、及び「1コーラス目のAメロ」と同じ演奏区間情報が設定されているフレーズ演奏データを抽出する。なお、以降の処理は実施形態に係るカラオケ装置Kと同様である。
【0075】
以上から明らかなように、本変形例に係るカラオケ装置Kにおいて、既存楽曲のカラオケ演奏データは、演奏区間情報を有し、抽出部200は、フレーズ抽出条件として指定された演奏区間情報に基づいて、フレーズ演奏データを抽出することができる。
【0076】
このようにフレーズ抽出条件として演奏区間情報を用いることにより、指定した演奏区間情報が示す演奏区間と同一の演奏区間が設定されている既存楽曲のフレーズ演奏データを抽出することができる。演奏区間が同一である既存楽曲のフレーズ演奏データは、オリジナル楽曲の演奏区間毎のイメージに近いフレーズ演奏データである可能性が高くなる。すなわち、このようなカラオケ装置Kによれば、オリジナル楽曲の作曲者が、任意のフレーズ演奏データをより決定しやすくなる。
【0077】
なお、フレーズ抽出条件として、コード進行情報及び演奏区間情報を用いることもできる。この場合、抽出部200は、フレーズ抽出条件として指定されたコード進行情報及び演奏区間情報に基づいて、フレーズ演奏データを抽出する。
【0078】
たとえば、作曲者が、リモコン装置50を介して、ピアノパート、コード進行情報Cn、及び「前奏」の演奏区間を示す演奏区間情報を指定したとする。
【0079】
この場合、抽出部200は、データ記憶部100に記憶されている複数のフレーズ演奏データのうち、ピアノパートに応じた音色情報、コード進行情報Cnと同じコード進行情報、及び「前奏」と同じ演奏区間情報が設定されているフレーズ演奏データを抽出する。
【0080】
<変形例2>
生成部400は、実施形態で説明した処理以外にも様々な処理を実行することができる。
【0081】
具体的に、本変形例に係る生成部400は、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報を、指定された楽器のパートについて選択された他の全てのフレーズ演奏データに対して設定することができる。
【0082】
たとえば、実施形態で述べたように、生成部400は、試聴処理部300により選択されたフレーズ演奏データPD8を、ベースパートの最初の4小節のカラオケ演奏データとして割り当てる。その後、生成部400は、オリジナル楽曲OMの残りの28小節についてフレーズ演奏データの割り当てを行う。
【0083】
この際、生成部400は、指定されたベースパートに対して最初に選択されたフレーズ演奏データPD8の音色情報(たとえばフレットレス・ベースの音色)を、残りの28小節に割り当てる全てのフレーズ演奏データに対して設定する。
【0084】
ここで、実施形態の例において、次の4小節のカラオケ演奏データとして選択されたフレーズ演奏データPD30の音色情報が「アコースティック・ベースの音色」であったとする。この場合、本変形例に係る生成部400は、フレーズ演奏データPD30の音色情報を、フレーズ演奏データPD8の音色情報(フレットレス・ベースの音色)に設定する。
【0085】
このような処理を行うことにより、生成部400が生成する一のカラオケ演奏データの音色情報が示す音色は「フレットレス・ベースの音色」で統一される。よって、演奏処理部500は、生成されたカラオケ演奏データをフレットレス・ベースの音色で放音させることができる。すなわち、このようなカラオケ装置Kによれば、一のカラオケ演奏データの音色情報が示す音色を統一することができる。
【0086】
なお、試聴処理部300は、2回目以降に抽出されたフレーズ演奏データに基づくフレーズ演奏音をスピーカ20から放音させる際、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報に基づいて、フレーズ演奏音を設定してもよい。
【0087】
たとえば、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報が示す音色が「フレットレス・ベース」である場合、試聴処理部300は、それ以降に放音するフレーズ演奏音の音色をフレットレス・ベースの音色で統一することができる。
【0088】
一方、フレーズ演奏データ毎に異なる音色情報を設定したい場合もありうる。よって、生成部400は、指定された楽器のパートについて選択された他の全てのフレーズ演奏データのうち任意のフレーズ演奏データに対してのみ、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報を設定することも可能である。
【0089】
たとえば、試聴処理部300により選択された一のフレーズ演奏データを、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データとして割り当てる前に、生成部400は、表示装置30またはリモコン装置50の表示画面に音色情報を設定する設定画面を表示させる。作曲者は、設定画面において、「維持」(選択された一のフレーズ演奏データの音色情報をそのまま用いる)、または「変更」(最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報に合わせる)を入力する。「変更」が入力された場合、生成部400は、一のフレーズ演奏データの音色情報を、最初に選択されたフレーズ演奏データの音色情報に設定する。
【0090】
また、生成部400は、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択された一のフレーズ演奏データを、複数の演奏位置に割り当てることにより、指定された楽器のパートのカラオケ演奏データを生成してもよい。
【0091】
たとえば、実施形態の例において、生成部400は、選択されたフレーズ演奏データPD8を、オリジナル楽曲OMの最初の4小節だけでなく、4番目の4小節(13~16小節)にも割り当ててもよい。
【0092】
また、生成部400は、あるオリジナル楽曲について、抽出されたフレーズ演奏データの中から選択されたフレーズ演奏データをある演奏位置に割り当てることにより、指定された一の楽器のパートのカラオケ演奏データを生成した後、当該あるオリジナル楽曲について、指定された他の楽器のパートのカラオケ演奏データを生成する場合がある。この際、生成部400は、同じ演奏位置に対しては、先に割り当てられたフレーズ演奏データに対応する他の楽器のパートのフレーズ演奏データを割り当ててもよい。
【0093】
たとえば、生成部400は、オリジナル楽曲OMのベースパートのカラオケ演奏データを生成する際、最初の4小節の演奏位置に対して、既存楽曲X1の最初の4小節のベースパートのフレーズ演奏データを割り当てたとする。
【0094】
その後、生成部400は、オリジナル楽曲OMのドラムパートのカラオケ演奏データを生成する際、最初の4小節の演奏位置に対しては、(抽出部200や試聴処理部300による処理を行うことなく)既存楽曲X1の最初の4小節のドラムパートのフレーズ演奏データを割り当てることができる。このようなカラオケ装置Kによれば、一のオリジナル楽曲について、複数の楽器のパート毎のカラオケ演奏データを容易に且つ相互に関連付けて生成することができる。
【0095】
<変形例3>
カラオケ装置Kは、作曲者の歌唱履歴を利用してフレーズ演奏データを抽出することも可能である。
【0096】
本変形例に係るデータ記憶部100は、作曲者が行ったカラオケ歌唱に基づく歌唱履歴を記憶する。
【0097】
歌唱履歴は、カラオケ装置を利用して作曲者が行った既存楽曲のカラオケ歌唱に関する履歴情報である。具体的に、歌唱履歴は、作曲者個人を識別するための個人識別情報、歌唱した楽曲の楽曲識別情報、カラオケ歌唱を行った年月日や時刻、採点結果等を含む。
【0098】
本変形例に係る抽出部200は、作曲者の歌唱履歴に基づいて、フレーズ演奏データを抽出する。
【0099】
たとえば、データ記憶部100は、作曲者CPが行ったカラオケ歌唱に基づく歌唱履歴を記憶しているとする。歌唱履歴には、作曲者CPの個人識別情報ID***CPに対し、既存楽曲X1~X10の楽曲識別情報が紐付けられているとする。
【0100】
ここで、実施形態と同様、抽出部200は、データ記憶部100に記憶されているフレーズ演奏データの中から、ベースパートに応じた音色情報、及びコード進行情報C1と同じコード進行情報が設定されているフレーズ演奏データPD1~PD20を抽出する。
【0101】
この際、本変形例に係る抽出部200は、抽出されたフレーズ演奏データPD1~PD20それぞれが含まれる既存楽曲X1~X20を特定する。抽出部200は、特定した既存楽曲X1~X20の楽曲識別情報が、作曲者CPの歌唱履歴に含まれているかどうかを確認する。
【0102】
上述の通り、作曲者CPの歌唱履歴には、既存楽曲X1~X10の楽曲識別情報が含まれている。従って、抽出部200は、抽出したフレーズ演奏データPD1~PD20の中から、更にフレーズ演奏データPD1~PD10の10個を抽出する。
【0103】
作曲者の歌唱履歴に含まれる楽曲は、作曲者の好みに合っている楽曲である可能性が高い。よって、歌唱履歴を利用することにより、作曲者の好みにあったフレーズ演奏データを抽出しやすくなる。
【0104】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
100 データ記憶部
200 抽出部
300 試聴処理部
400 生成部
500 演奏処理部
K カラオケ装置