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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151228
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/26 20120101AFI20220929BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20220929BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/013
H01L21/304 622S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054200
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】立野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】糸山 光紀
(72)【発明者】
【氏名】関谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】小池 堅一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見沢 大和
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA09
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA07
3C158CB01
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB06
3C158EB07
3C158EB14
3C158EB15
3C158EB16
3C158EB22
3C158EB28
3C158EB29
5F057AA20
5F057BA11
5F057BA30
5F057DA03
5F057GA12
5F057GB02
5F057GB15
(57)【要約】
【課題】研磨性能への影響を抑えつつ、終点検出用窓による終点検出精度の低下を防止することができる。
【解決手段】研磨パッド3は、検査光L1が透過可能な終点検出用窓12を備えており、研磨パッド3の研磨面3Aには、複数の同心円状の環状溝11が形成されている。
上記終点検出用窓12の表面は上記研磨面3Aと同じ高さに形成され、上記環状溝11のうち、上記終点検出用窓12が形成されている位置と同じ半径位置に形成されている複数の環状溝11Aは、上記終点検出用窓12の表面に溝が形成されずに当該終点検出用窓12の近傍に端部11aを備えている。
さらに、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aの端部11aと端部11aとを連結溝13によって接続した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物を研磨する研磨面を有する研磨層と、この研磨層に設けられて検出機構の検査光を透過させて研磨加工の終点を検出するための透明な終点検出用窓とを備え、さらに上記研磨層の研磨面に同心円状の環状溝を複数備えた研磨パッドにおいて、
上記終点検出用窓の表面を上記研磨面と同じ高さに形成し、
上記環状溝のうち、上記終点検出用窓が形成されている位置と同じ半径位置に形成されている複数の環状溝は、上記終点検出用窓の表面に溝が形成されずに当該終点検出用窓の近傍に端部を備え、
これら終点検出用窓と同じ半径位置に形成された複数の環状溝の端部と端部とを連結溝によって接続したことを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
上記連結溝を、上記終点検出用窓と同じ半径位置に形成された複数の環状溝に対して径方向に隣接する環状溝まで延長したことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
上記連結溝を、上記終点検出用窓の外周縁に沿って形成したことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
上記終点検出用窓と同じ半径位置に形成された環状溝のうち、半径方向における最も外周側または最も内周側に位置する環状溝の少なくともいずれか一方の環状溝の端部と連結溝との接続部分が円弧状となっていることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨パッドに関し、より詳しくは、研磨加工の終点を検出するための透明な終点検出用窓を備えた研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研磨加工の終点を検出するための透明な終点検出用窓を備えるとともに、研磨面に同心円状の環状溝を形成した研磨パッドは公知である(例えば特許文献1参照)。
上記特許文献1の研磨パッドは、終点検出用窓の表面が研磨面と同じ高さに形成されており、また上記環状溝は上記終点検出用窓と交差するように形成されたものとなっている(特に図3の構成)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-182667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記研磨パッドに形成された環状溝は、当該環状溝にスラリーを保持する機能を有しているが、この環状溝には研磨によって生じた研磨屑等も入り込んでしまう。
このため、上記特許文献1の研磨パッドの場合、上記終点検出用窓に形成された環状溝に研磨屑等が入り込むと、当該研磨屑等が上記終点検出用窓と被研磨物との間に入り込んでしまい、終点検出用窓を透過する検査光が研磨屑等によって遮られて終点検出精度を低下させる恐れがある。
ここで特許文献1の研磨パッドの場合、終点検出用窓に溝が形成されていることから、当該環状溝と環状溝以外の部分とで検査光の透過量が異なってしまう恐れがあり、逆に検査光が終点検出用窓に形成された溝を通らないようにするためには、終点検出用窓を大きくする必要があることから、終点検出用窓が研磨性能に影響を与える可能性があった。
このような問題に鑑み、本発明は研磨性能への影響を抑えつつ、終点検出用窓による終点検出精度の低下を防止することが可能な研磨パッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明にかかる研磨パッドは、被研磨物を研磨する研磨面を有する研磨層と、この研磨層に設けられて終点検査装置の検査光を透過させて研磨加工の終点を検出するための透明な終点検出用窓とを備え、さらに上記研磨層の研磨面に同心円状の環状溝を複数備えた研磨パッドにおいて、
上記終点検出用窓の表面を上記研磨面と同じ高さに形成し、
上記環状溝のうち、上記終点検出用窓が形成されている位置と同じ半径位置に形成されている複数の環状溝は、上記終点検出用窓の表面に溝が形成されずに当該終点検出用窓の近傍に端部を備え、
これら終点検出用窓と同じ半径位置に形成された複数の環状溝の端部と端部とを連結溝によって接続したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記終点検出用窓が形成されている位置と同じ半径位置に形成されている環状溝については、端部同士を上記連結溝によって接続したことにより、環状溝の端部まで移動した研磨屑を連結溝によって半径方向外周側に移動させ、研磨屑が上記終点検出用窓と被研磨物との間に入り込むのを可及的に抑えることができる。
また、終点検出用窓に溝が形成されないことから、研磨屑による影響を低減することができるとともに、終点検出用窓の全ての位置での検査光の透過量を同等にすることができるため、終点検出用窓の形成される面積を可及的に小さくして、終点検出用窓が研磨に及ぼす影響を可及的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】研磨装置の斜視図。
図2図1の要部の断面図。
図3】第1実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図4図3の研磨パッドの製造工程を示す図。
図5】第2実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図6】第3実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図7】第4実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図8】第5実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図9】第6実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
図10】第7実施例にかかる研磨パッドの拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は研磨装置であり、この研磨装置1は、薄板状の被研磨物2(例えば半導体ウエハ)を研磨パッド3によって研磨するようになっている。この研磨装置1は、被研磨物2に対して研磨加工を行う際に、被研磨物2の被研磨面2Aに向けて検査光L1を照射することで、研磨加工の進捗状況と加工終了となる終点を検出できるようになっている。
研磨装置1は、下方側に位置して上面に研磨パッド3が固定される研磨定盤4と、上方側に位置して下面に被研磨物2を保持する保持定盤5と、被研磨物2と研磨パッド3との間にスラリーS(研磨液)を供給するスラリー供給機構6と、検査光L1を用いて被研磨物2の研磨加工の進捗状況と加工の終点を検出する検出機構7を備えている。
研磨装置1による研磨加工の対象となる被研磨物2は、光学材料、シリコンウェハ、液晶用ガラス基板、半導体基板の他、ガラス、金属、セラミック等の板状物である。また、スラリー供給機構6が供給するスラリーSとしては、対象となる被研磨物2および求められる加工精度に応じて従来公知の好適な物を使用することができる。
上記研磨定盤4および保持定盤5はそれぞれ略円盤状となっており、それぞれ図示しない駆動機構によって矢印方向に回転するようになっており、また、上記保持定盤5は昇降可能に設けられている。
被研磨物2に研磨加工を行う際には、保持定盤5によって被研磨物2の被研磨面2A(下面)を研磨パッド3の研磨面3Aに設定圧力で押し当てた状態で、それらが相対的に回転されるとともに、スラリー供給機構6からスラリーSが被研磨物2の被研磨面2Aと研磨パッド3の研磨面3Aとの間に供給されるようになっている。
研磨パッド3の研磨面3Aには、研磨パッド3の中心(回転中心)を囲繞して同心円状に複数の環状溝11が半径方向において等ピッチで形成されている。これら複数の環状溝11がスラリーSを保持するスラリー保持溝となっており、スラリー供給機構6から吐出されたスラリーSはこれら複数の環状溝11内に流入して研磨面3Aの全域に供給されるようになっている。
【0009】
ところで、被研磨物2の研磨加工を行う際には、該被研磨物2の研磨加工の進捗状況と加工終了となる終点を検出する必要がある。そこで、この研磨装置1は、下方側から上方に向けて検査光L1を照射して、被研磨物2の被研磨面2Aからの反射光L2を基にして研磨加工の進捗状況と加工終点を検出する検出機構7を備えている。
研磨パッド3の所定位置には、上記検査光L1を透過させ、かつ被研磨物2の被研磨面2Aからの反射光L2を透過させる透明な終点検出用窓12が設けられている。
研磨パッド3は円盤状を有しており、上方側に位置する研磨層3Cと、研磨層3Cの下面に接着剤で接着された支持層3D(クッション層)とを備え、研磨層3Cの所定位置に上記終点検出用窓12が設けられ、支持層3Dには、終点検出用窓12の位置に合わせて検査光L1及び被研磨物2からの反射光L2を通過させるための貫通孔3Daが穿設されている。
研磨層3Cの下面は支持層3Dの上面が接着剤や両面テープによって接着されており、上下で一体となった研磨層3Cと支持層3Dからなる研磨パッド3は、その下面(支持層3Dの下面)を接着剤や両面テープによって研磨定盤4の上面に固定される。
上記終点検出用窓12は検査光L1及び反射光L2を透過させる透明な材料によって形成されており、この終点検出用窓12は、研磨層3Cの所定位置に形成された貫通孔に隙間なく嵌合されている。また本実施例における終点検出用窓12の直径は12mmに設定されている。なお、本実施例では、終点検出用窓12の平面視における形状は円形となっているが、これ以外に例えば長方形、正方形、多角形、楕円形等の様々な形状とすることもできる。
また終点検出用窓12の上面は研磨層3Cの上面である研磨面3Aと面一に形成され、他方、終点検出用窓12の下面と研磨層3Cの下面も面一に形成されている。
【0010】
上記検査機構7として、上記研磨定盤4には、上記研磨パッド3の終点検出用窓12及び支持層3Dの貫通孔3Daの下方位置に、検査光L1を上方へ照射する発光部7A及び被研磨物2からの反射光L2を受光する受光部7Bが設けられ、それらの作動を制御し、かつ、研磨加工中における加工の進捗状況と加工終了となる終点を検出する制御部7Cを備えている。
被研磨物2に対する研磨加工中においては、検査機構7の発光部7Aから検査光L1が上方に向けて照射され、該検査光L1は透明な終点検出用窓12を透過して被研磨物2の被研磨面2Aに照射される。すると、検査光L1は被研磨物2の被研磨面2Aによって下方に向けて反射され、その反射光L2は透明な終点検出用窓12を透過して受光部7Bによって検出される。受光部7Bで検出した反射光L2は制御部7Cへ伝達されるようになっている。
そして、被研磨物2の研磨加工が進行して、被研磨物2の被研磨面2Aが徐々に研磨されることに伴って、受光部7Bによって検出される反射光L2の強度等が変化する。制御部7Cは、受光部7Bによって検出された反射光L2の強度等が、予め登録された強度等になると、被研磨面2Aが加工終点になったものと判定して、研磨加工を停止させる。すると、駆動機構が停止されるので研磨定盤4及び保持定盤5の回転が停止するとともに、スラリー供給機構6からのスラリーSの供給も停止されるようになっている。
このように、検査機構7の検査光L1を用いて被研磨物2の研磨加工が行われる際に研磨加工の終点を検出できるようになっている。なお、このような検査光L1を用いた検出機構7の構成は既に公知である。
【0011】
前述したように、研磨面3Aには同心円状に複数の環状溝11が形成されている。本実施例において、上記各環状溝11の幅は0.4mmに設定されており、隣り合う環状溝11のピッチは2.8mmに設定されている。また、各環状溝11の深さは0.6mmに設定されている。
このように同心円状の環状溝11を形成すると、本実施例の研磨パッド3には上記終点検出用窓12が形成されていることから、上記環状溝11のうち複数の環状溝11は、上記終点検出用窓12と同じ半径位置、すなわち環状溝11の中心からの距離が終点検出用窓12と等しい位置に形成されることとなる。
図3は上記終点検出用窓12近傍の拡大平面図を示したものとなっており、この図3において、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に形成されている環状溝11Aは、上記終点検出用窓12の表面には形成されておらず、当該終点検出用窓12の近傍に端部11aを有するものとなっている。
これに対し、終点検出用窓12と異なる半径位置の環状溝11、すなわち終点検出用窓12に対して半径方向大径側および小径側に位置する環状溝11は、上記端部11aを有さない無端状に形成されている。
そして本実施例の研磨パッド3は、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aの端部11aと端部11aとを、略径方向に形成した連結溝13によって接続したことを特徴とするものとなっている。
特に本実施例では、終点検出用窓12と同じ半径位置の環状溝11Aは、端部11aと端部11aとが径方向に整列しており、これにより上記連結溝13は径方向に向けて直線状に形成されたものとなっている。
ここで、上記連結溝13の幅は環状溝11Aの幅と同じとしてもよいが、後述するようにスラリーS中の研磨屑を排出する目的に応じて、当該連結溝13の幅を狭くしても広くすることも可能である。
また、連結溝13の断面形状は、環状溝11Aと同じように矩形としてもよいが、その他に、V字状や台形形状のような被研磨物側に向けて広がるテーパ形状、垂直に形成された連結溝13の内壁における研磨面3A側の角部を面取りした形状とすることもできる。特にV字状や台形形状のようなテーパ形状にする場合、連結溝13の内壁にバリが発生しにくくなり、スラリーや研磨屑が連結溝13に滞留しにくくなる。
【0012】
このように、本実施例の研磨パッド3は、終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aの端部11aと端部11aとを連結溝13によって連結することにより、被研磨物2の研磨中に生じる研磨屑によって終点検出精度が低下するのを防止するものとなっている。
上述したように、本実施例の研磨パッド3は複数の環状溝11を備えており、当該環状溝11Aは研磨中においてスラリーSを保持することにより、被研磨物2と研磨パッド3の研磨面3Aとの間に適度なスラリーSを供給するものとなっている。
一方、被研磨物2が研磨されることで発生した研磨屑もスラリーSとともに上記環状溝11Aに入り込んでしまい、この研磨屑が研磨面3Aと面一に形成された終点検出用窓12と被研磨物2との間に入り込むと、終点検出用窓12を透過する検査光L1及び反射光L2の強度が低下し、終点検出精度を低下させるおそれがある。
そこで本実施例の研磨パッド3は、終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aについては、上記終点検出用窓12の表面に溝を形成せずに、これら環状溝11Aの端部11a同士を上記連結溝13によって連結したものとなっている。
このような構成によれば、まず終点検出用窓12に溝を形成しないことで、当該溝から終点検出用窓12と被研磨物2との間に研磨屑が入り込むことがなくなり、溝と溝以外の部分での検査光L1の透過量の変化も生じることがない。
次に、上記連結溝13を形成することで、上記環状溝11Aに入り込んだ研磨屑は、端部11aに移動すると連結溝13を介して研磨面3Aと被研磨物2との間へと排出される。このとき、研磨パッド3が研磨中回転して径方向外周側に遠心力が作用するため、連結溝13に入り込んだ研磨屑を径方向外周側に移動させて排出することができる。
特に、連結溝13は終点検出用窓12に隣接して設けられているため、連結溝13から研磨屑を排出することで終点検出用窓12と被研磨物2との間への入り込みを低減することができ、終点検出用窓12を透過する検査光L1及び反射光L2の強度の変動を抑え、終点検出の精度を維持することができる。
【0013】
次に、以上のように構成された研磨パッド3の製造方法の一態様について図4により説明する。
すなわち、先ず、終点検出用窓12の材料となるポリイソシアネートと硬化剤を混合し遠心脱泡した混合物を準備し、円筒状の型枠に流し入れて硬化させて円柱部102を形成する。続いて当該円柱部102を長方形の箱型をした型枠101の所定位置に軸心が鉛直方向となるように配置する(図4(a)参照)。
次に、上記研磨層3Cの材料となるポリイソシアネートと硬化剤と中空微粒子を混合して混合物103を作製し、該混合物103を上記型枠101内に流し入れて固める(図4(a)参照)ことで、型枠101の内部空間に倣ったブロック状のポリウレタンポリウレア樹脂成形体104が形成される(図4(b)参照)。このポリウレタンポリウレア樹脂成形体104が前述した研磨層3Cの部分となる。
この後、上記ポリウレタンポリウレア樹脂成形体104を型枠101から取り外した後に、該ポリウレタンポリウレア樹脂成形体104における円柱部102が埋設された箇所を、所要の厚さとなるように水平面に沿って薄く切断してシート状部材107として切り出す(図4(c)参照)。
この後、シート状部材107に対し、必要に応じて厚み修正及び微細な凹凸の形成(目立て)の観点から、平滑となるように研削(バフィング)を行う。(図4(c)参照)。
この後、シート状部材107の研磨面3Aに上記複数の環状溝11を切削加工で形成し、その際、終点検出用窓12と同じ半径位置に位置する環状溝11Aについては、端部11aを上記終点検出用窓12の近傍に形成するとともに、端部11aと端部11aとを上記連結溝13によって接続する。これにより、図2図3に示した研磨パッド3の研磨層3Cが完成し、その後、研磨面3Aと反対側となる研磨層3Cの下面に両面テープ等を貼り付け、予め上記貫通孔3Daを穿設した支持層3D(クッション層)を研磨層3Cの下面に接着剤で接着する(図4(d)参照)。
最後に、全体として円板状に切断し、研磨パッド3が完成する。
このようにして製造された研磨パッド3は、その下面(支持層3Dの下面)が両面テープや接着剤等によって上記研磨定盤4の上面4Aに固着されるようになっている。
【0014】
なお、本実施例では、後に終点検出用窓12となる円柱部102を予め作製した製造方法であるが、これに限定されない。他の例としては、穴が開いたポリウレタンポリウレア樹脂成形体104に終点検出用窓12を構成する材料を流し入れて固めることによっても所望の研磨層を作製することができる。
具体的には、型枠101の所定位置に円柱状の抜き取り部材を軸心が鉛直方向となるように配置し、上記研磨層3Cの材料となるポリイソシアネートと硬化剤と中空微粒子を混合して作製した混合物103を上記型枠101内に流し入れて固め、ポリウレタンポリウレア樹脂成形体104を形成する。
続いて、形成されたポリウレタンポリウレア樹脂成形体104から上記円柱状抜き取り部材を上方へ抜き取り、円柱状の有底穴を形成するとともに、当該有低穴に上記終点検出用窓12の材料となるポリイソシアネートと硬化剤を混合した混合物を流し入れて硬化させる。硬化した混合物によって、後に終点検出用窓12となる透明な円柱部102が形成される。
これにより、有底穴内に円柱部102が隙間なく埋設された状態のポリウレタンポリウレア樹脂成形体104が完成する。ポリウレタンポリウレア樹脂成形体104からシート状部材を切り出す工程以降は上記と同様の方法で作製することができる。
また、本実施例における終点検出用窓12及び研磨層3Cは、ポリイソシアネートと硬化剤を用いて作製したが、ポリイソシアネートの代わりに予めポリオール等によって作製したプレポリマーを用いることもできる。さらに、硬化剤としては、公知のジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミンを用いることができる。
さらに、本実施例における研磨層3Cは、中空微粒子を用いて発泡構造が形成されている。中空微粒子には、例えば塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体の中空微粒子を用いることができる。また、発泡構造を刑するために、中空微粒子の他、水等の化学発泡剤や、不活性ガス等を単独使用、または併用しても良い。
【0015】
以下、図5図10に示す第2~第7実施例にかかる研磨パッド3を説明する。
図5に示す第2実施例の研磨パッド3は、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に位置する環状溝11Aのうち、研磨パッド3の半径方向外周側に位置する環状溝11Aと上記連結溝13との接続部分を円弧状部分13aとしたものとなっている。
これに対し、図6に示す第3実施例の研磨パッド3は、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に位置する環状溝11Aのうち、研磨パッド3の半径方向内周側に位置する環状溝11Aと上記連結溝13との接続部分を円弧状部分13aとしたものとなっている。
さらに図7に示す第4実施例の研磨パッド3は、上記第2、第3実施例における直線部分を有した連結溝13の全体を、円弧状部分13aによって構成したものとなっている。なお、連結溝13の半径方向内周側および外周側の両方に円弧状部分13aを形成し、その間を直線状とした構成としてもよい。
このように、環状溝11Aと上記連結溝13との接続部分に円弧状部分13aを形成することにより、連結溝13と環状溝11Aとの接続部分におけるスラリーや研磨屑の滞留を抑制することができる。
【0016】
図8図9に示す第5、第6実施例の研磨パッド3は、上記第1実施例の研磨パッド3に対し、上記連結溝13を、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aに対して径方向に隣接する環状溝11まで延長させたものとなっている。
具体的には、終点検出用窓12に対して半径方向外周側および内周側には端部11aの形成されていない無端状の環状溝11が位置しており、本実施例の連結溝13はこれら終点検出用窓12に対して半径方向外周側および内周側に位置する環状溝11まで延長して設けたものとなっている。
また第5実施例の連結溝13は、終点検出用窓12に対して研磨パッド3の径方向外側に広がるように形成されており、これに対し第6実施例の連結溝は終点検出用窓12に対して研磨パッド3の径方向外側に向けて狭くなるように形成されている。
そして、上記構成を有する第5、第6実施例の連結溝13によれば、連結溝13に入り込んだ研磨屑を、終点検出用窓12に対して半径方向に隣接する環状溝11へと移動させることができる。
特に、研磨パッド3の回転による遠心力によって連結溝13に入り込んだ研磨屑を半径方向外周側の無端状の環状溝11へと移動させることが可能となり、研磨屑が研磨面3aに排出されるのを抑制することができる。
なお上記第5、第6実施例では、終点検出用窓12に対して半径方向外周側および内周側に隣接する無端状の環状溝11まで上記連結溝13を形成したものとなっているが、例えば連結溝13を研磨パッド3の外周縁まで延長して形成してもよい。
また、上記連結溝13のうち、終点検出用窓12に対して半径方向内周側に位置する環状溝11に対しては、上記連結溝13を延長しないようにしてもよい。つまり、研磨パッド3の回転による遠心力は半径方向外側に作用することから、半径方向外周側に研磨屑を移動させるには、連結溝13を半径方向外周側に延長すればよいこととなる。
【0017】
図10に示す第7実施例の研磨パッド3は、上記第1~第6実施例の研磨パッド3に対し、上記連結溝13を上記終点検出用窓12の外周縁に沿って環状に形成したものとなっている。
具体的には、終点検出用窓12を囲繞するように溝を形成し、これを上記連結溝13として、上記終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aの端部11aを接続したものとなっている。
このような構成を有する連結溝13であっても、終点検出用窓12と同じ半径位置に形成された複数の環状溝11Aの端部11aと端部11aとが略径方向に接続されることとなるため、遠心力によって環状溝11Aに入り込んだ研磨屑を連結溝13によって排出することが可能となっている。
【0018】
なお、上記各実施例においては、同心円上の位置に設けた複数の環状溝11の中心と研磨面3Aの中心が一致した構成を前提に説明したが、研磨面3Aの中心に対して環状溝11の中心が偏心した構成であっても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 研磨装置 2 被研磨物
3 研磨パッド 3C 研磨層
7 検出機構 11 環状溝
11A 終点検出用窓と同じ半径位置の環状溝
11a 端部 12 終点検出用窓
13 連結溝 L1 検査光

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10