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特開2022-151282ガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151282
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220929BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q50/06
F23K5/00 302
F23K5/00 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054273
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱走 正美
【テーマコード(参考)】
3K068
5L049
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068BA01
3K068CA05
3K068DA01
3K068DA14
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】上流側のガス流路の異常を検知することができるガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ガス流路異常判定装置2は、取得部231と、ガス流路異常判定部232と、を備える。取得部231は、複数のガス機器3より、各ガス機器3に設けられている異常検知部31が検知した異常情報を取得する。ガス流路異常判定部232は、取得した複数の異常情報を基に各ガス機器3に至るガス流路4の異常を判定する。ガス流路異常判定システム1は、ガス流路異常判定装置2と、複数のガス機器3と、各ガス機器3に至るガス流路4と、ガス流路異常判定装置2と複数のガス機器3とを接続する通信ネットワーク5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガス機器より、各前記ガス機器に設けられている異常検知部が検知した異常情報を取得する取得部と、
取得した複数の前記異常情報を基に各前記ガス機器に至るガス流路の異常を判定するガス流路異常判定部と、を備える
ガス流路異常判定装置。
【請求項2】
前記ガス機器を停止させる停止信号を送信する停止信号送信部を更に備える
請求項1記載のガス流路異常判定装置。
【請求項3】
前記ガス機器の動作を再開させる復旧信号を送信する復旧信号送信部を更に備える
請求項2記載のガス流路異常判定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のガス流路異常判定装置と、
前記複数のガス機器と、
各前記ガス機器に至る前記ガス流路と、
前記ガス流路異常判定装置と前記複数のガス機器とを接続する通信ネットワークと、を備える
ガス流路異常判定システム。
【請求項5】
複数のガス機器より、各前記ガス機器に設けられている異常検知部が検知した異常情報を取得する取得ステップと、
取得した複数の前記異常情報を基に各前記ガス機器に至るガス流路の異常を判定するガス流路異常判定ステップと、を備える
ガス流路異常判定方法。
【請求項6】
前記ガス機器を停止させる停止信号を送信する停止信号送信ステップを更に備え、
前記停止信号送信ステップでは、前記ガス流路異常判定ステップにおいて前記ガス流路が異常であると判定された場合に、前記異常検知部により異常が検知されていない前記ガス機器に前記停止信号を送信して当該ガス機器を停止させる
請求項5記載のガス流路異常判定方法。
【請求項7】
前記ガス機器の動作を再開させる復旧信号を送信する復旧信号送信ステップを更に備え、
前記復旧信号送信ステップでは、前記停止信号送信ステップにおいて停止された前記ガス機器に前記復旧信号を送信して当該ガス機器の動作を再開させる
請求項6記載のガス流路異常判定方法。
【請求項8】
1以上のプロセッサに、
請求項5~7のいずれか一項に記載のガス流路異常判定方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エネルギ供給システムが開示されている。このエネルギ供給システムにあっては、マイコンメータを経由して、エネルギが供給されており、適切なタイミングで発電部の運転を停止/再開することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-185084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたエネルギ供給システムにあっては、その上流側のガス流路の異常を検知することができないものであった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、上流側のガス流路の異常を検知することができるガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係るガス流路異常判定装置は、取得部と、ガス流路異常判定部と、を備える。前記取得部は、複数のガス機器より、各前記ガス機器に設けられている異常検知部が検知した異常情報を取得する。前記ガス流路異常判定部は、取得した複数の前記異常情報を基に各前記ガス機器に至るガス流路の異常を判定する。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、前記ガス流路異常判定装置は、前記ガス機器を停止させる停止信号を送信する停止信号送信部を更に備える。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、前記ガス流路異常判定装置は、前記ガス機器の動作を再開させる復旧信号を送信する復旧信号送信部を更に備える。
【0009】
請求項4に係るガス流路異常判定システムは、請求項1~3のいずれか一項に記載のガス流路異常判定装置と、前記複数のガス機器と、各前記ガス機器に至る前記ガス流路と、前記ガス流路異常判定装置と前記複数のガス機器とを接続する通信ネットワークと、を備える。
【0010】
請求項5に係るガス流路異常判定方法は、取得ステップと、ガス流路異常判定ステップと、を備える。前記取得ステップは、複数のガス機器より、各前記ガス機器に設けられている異常検知部が検知した異常情報を取得するステップである。前記ガス流路異常判定ステップは、取得した複数の前記異常情報を基に各前記ガス機器に至るガス流路の異常を判定するステップである。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明に従属する発明であって、前記ガス流路異常判定方法は、前記ガス機器を停止させる停止信号を送信する停止信号送信ステップを更に備える。前記停止信号送信ステップでは、前記ガス流路異常判定ステップにおいて前記ガス流路が異常であると判定された場合に、前記異常検知部により異常が検知されていない前記ガス機器に前記停止信号を送信して当該ガス機器を停止させる。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明に従属する発明であって、前記ガス流路異常判定方法は、前記ガス機器の動作を再開させる復旧信号を送信する復旧信号送信ステップを更に備える。前記復旧信号送信ステップでは、前記停止信号送信ステップにおいて停止された前記ガス機器に前記復旧信号を送信して当該ガス機器の動作を再開させる。
【0013】
請求項8に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、請求項5~7のいずれか一項に記載のガス流路異常判定方法を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明にあっては、多数のガス機器からの異常情報を収集することにより、これらのガス機器に至るガス流路に水が侵入している等の異常を判定して検知することができる。
【0015】
請求項2に係る発明にあっては、未だ異常が発生していないガス機器の内部流路に、水が侵入して、このガス機器に異常が発生するのを未然に防ぐことができる。
【0016】
請求項3に係る発明にあっては、作業者がガス機器の設置場所まで赴くことなく、早急に、ガス機器を復旧させることができる。
【0017】
請求項4に係る発明にあっては、多数のガス機器からの異常情報を収集することにより、これらのガス機器に至るガス流路に水が侵入している等の異常を判定して検知することができる。
【0018】
請求項5に係る発明にあっては、多数のガス機器からの異常情報を収集することにより、これらのガス機器に至るガス流路に水が侵入している等の異常を判定して検知することができる。
【0019】
請求項6に係る発明にあっては、未だ異常が発生していないガス機器の内部流路に、水が侵入して、このガス機器に異常が発生するのを未然に防ぐことができる。
【0020】
請求項7に係る発明にあっては、作業者がガス機器の設置場所まで赴くことなく、早急に、ガス機器を復旧させることができる。
【0021】
請求項8に係る発明にあっては、多数のガス機器からの異常情報を収集することにより、これらのガス機器に至るガス流路に水が侵入している等の異常を判定して検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るガス流路異常判定システムの概略構成図である。
図2図2は、同上の実施形態におけるガス流路を示す図である。
図3図3は、同上の実施形態における主に給湯システム及び燃料電池システムを示す図である。
図4図4は、同上の実施形態におけるガス流路異常判定方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ガス機器に設けられている異常検知部が検知した異常情報を基に、ガス機器に至るガス流路に異常が発生しているか否かを判定するものである。従来、ガス機器には、内部流路の異常を検知可能な圧力センサや流量センサといったセンサ類が設けられているが、これらのガス機器が検知した単独の異常のみでは、ガス機器に至るガス流路に異常が発生しているか否かを判定することは難しい。そこで、本発明においては、複数のガス機器において異常を検知した場合に、これらの複数の異常情報を取得して、ガス機器に至るガス流路に異常が発生しているか否かを判定することに想い到った。以下、本発明に係るガス流路異常判定装置、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定方法及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、ガス流路異常判定システム1について説明する。図1に示すように、ガス流路異常判定システム1は、ガス流路異常判定装置2と、複数のガス機器3と、各ガス機器3に至るガス流路4と、ガス流路異常判定装置2と複数のガス機器3とを接続する通信ネットワーク5と、を備える。
【0025】
(ガス流路)
図2に示すように、ガス流路4は、いわゆるガス導管網40を構成するものである。ガス導管網40を構成するガス流路4には、ガバナ41が適宜設けられている。ガス導管網40の最上流に位置するガス製造所42で製造されたガスは、ガス導管網40を介して、ガバナ41により段階的に圧力を下げながら、ガス導管網40の最下流に位置する需要家43へと供給される。ガス導管網40においては、主に、上流側より高圧導管網401、中圧導管網402及び低圧導管網403の三段階の圧力区分が形成される。また、各圧力区分においては、ガバナ41やバルブ等により区切られて閉じられた導管網となるブロック47が複数形成される。
【0026】
低圧導管網403のガス本管44からは、各需要家43に向けてそれぞれガス支管45が分岐している。ガス支管45には、ガスの通流を遮断可能なマイコンメータ46(ガスメータ)が接続されており、その下流側に各種のガス機器3が接続される。
【0027】
(ガス機器)
ガス機器3としては、給湯システム6や燃料電池システム7をはじめ加熱調理器といった様々なものが挙げられ、種別や使用目的等は何ら限定されない。本実施形態では、需要家43は、ガス機器3として燃料電池システム7を含む給湯システム6を有している。給湯システム6及び燃料電池システム7につき概略説明する。
【0028】
(給湯システム)
図3に示すように、給湯システム6は、ガス機器3として発電装置となる燃料電池システム7と、主熱媒が循環する主熱媒回路61と、給湯タンク62と、暖房用端末63と、を備えている。給湯タンク62は、主熱媒回路61の途中に接続されている。燃料電池システム7と主熱媒回路61との間には、回収用熱媒が循環する回収用回路64が接続されており、燃料電池システム7で発生した熱は、回収用熱媒を介して、主熱媒に回収されるが、回収用熱媒を介さず主熱媒に回収されてもよい。
【0029】
燃料電池システム7は、発電制御部65により制御される。発電制御部65は、発電操作部での熱利用運転の開始操作により熱利用運転を開始し、熱利用運転の停止操作により熱利用運転を停止する。給湯タンク62には出湯管が接続されており、この出湯管の途中から給湯利用の給湯管と風呂の湯張り用の湯張り管とが分岐している。
【0030】
給湯システム6は、給湯タンク62と燃料電池システム7とを備えるコージェネレーションシステムである。発電装置は、燃料電池システム7ではなく、原動機駆動式の発電装置であってもよい。
【0031】
また主熱媒回路61には、給湯タンク62と並列に並列流路66が設けられる。並列流路66には、熱交換器を介して暖房用熱媒回路67が接続され、並列流路66を流れる主熱媒と、暖房用熱媒回路67を流れる暖房用熱媒との間で熱交換される。暖房用熱媒回路67には、暖房用端末63が接続される。暖房用端末63として、暖房用熱媒を流して暖房を行う温水床暖房装置と、暖房用熱媒により加熱した温風を吹き出す浴室暖房乾燥機と、が設けられる。
【0032】
暖房用端末63は、暖房制御部68により制御される。暖房制御部68は、暖房操作部で設定入力された各暖房用端末63の設定情報を基に、各暖房用端末63を制御する。本実施形態では、発電制御部65及び暖房制御部68を含めて給湯システム6全体を制御するガス機器制御部30を有するものとする。なお、給湯システム6は上述した構成に限定されない。
【0033】
(燃料電池システム)
燃料電池システム7は、燃料改質部71と燃料電池部72とで主体が構成される。燃料改質部71は、ガスから水素を製造するためのもので、上流側から順に脱硫器73、改質器74、CO変成器75、CO除去器76を備えている。脱硫器73はガスを脱硫するためのもので、脱硫器73で脱硫されたガスには、水蒸気を混合するようになっており、脱硫され且つ水蒸気が混合されたガスは改質器74に送られる。改質器74は、バーナを有しており、バーナを燃焼させることで、改質触媒を加熱しながら水蒸気が混合されたガスを水蒸気改質反応により改質するようになっている。そして、改質器74で改質されたガスはCO変成器75でCO変成を行い、CO変成器75でCO変成を行ったCO変成ガスはCO除去器76に送られ、CO除去器76でCO選択酸化を行って一酸化炭素を除去してCO濃度の低い水素リッチの改質ガスを製造するようになっている。
【0034】
燃料電池部72は、アノード(燃料極)と電解質とカソード(空気極)が層となって構成されるセルを、セパレータを介して多数積層して構成してある。そして、燃料改質部71で製造した水素リッチの改質ガスをアノードに供給し、カソードにブロアから空気(酸素)を供給することで、水素と酸素が電気化学的反応をして発電される。
【0035】
(異常検知部)
ガス機器3は、異常検知部31を備える。異常検知部31は、例えば、ガス機器3の内部流路32を通流するガスの圧力の異常を検知する圧力検知部(圧力センサ)である。また、異常検知部31は、例えば、ガス機器3の内部流路32を通流するガスの流量の異常を検知する流量検知部(流量センサ)である。また、異常検知部31は、例えば、ガス機器3における漏電を検知する漏電検知部である。異常検知部31は、直接的又は間接的に、ガス流路4に発生した異常に起因してガス機器3の内部流路32に発生する異常を検知する。異常検知部31は、圧力検知部、流量検知部又は漏電検知部に限定されない。
【0036】
(ガス流路異常判定装置)
図1に示すように、ガス流路異常判定装置2は、ガス機器3に設けられている異常検知部31が検知した異常情報を基に、ガス流路4の異常を判定する。ガス流路異常判定装置2は、通信部21と、記憶部22と、処理部23とを備える。ガス流路異常判定装置2は、1以上のサーバにより実現され得る。
【0037】
通信部21は、通信インターフェースである。通信部21は、通信ネットワーク5に接続可能であり、通信ネットワーク5を通じた通信を行う機能を有する。通信部21は、例えば、トランスミッタとレシーバを含む。通信部21は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0038】
記憶部22は、処理部23が利用する情報を記憶するために用いられる。記憶部22は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0039】
処理部23は、ガス流路異常判定装置2の動作を制御する制御回路である。処理部23は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のコンピュータプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部23として機能する。プログラムは、ここでは処理部23のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0040】
処理部23は、取得部231と、ガス流路異常判定部232と、停止信号送信部233と、復旧信号送信部234と、を備える。取得部231と、ガス流路異常判定部232と、停止信号送信部233と、復旧信号送信部234と、は実体のある構成を示しているわけではなく、処理部23によって実現される機能を示している。
【0041】
(取得部)
取得部231は、複数のガス機器3より、各ガス機器3に設けられている異常検知部31が検知した異常情報を、通信ネットワーク5を介して取得する。異常情報は、異常検知部31が検知した異常の内容情報と、異常検知部31が異常を検知した日時の情報と、異常検知部31が属するガス機器3の識別情報と、を含む。
【0042】
異常検知部31が圧力検知部の場合、ガス流路4に水が侵入する異常が発生すると、ガス流路4及びその下流側を通流するガスの圧力値は、正常な場合と比較して低下する。このため、ガス機器制御部30は、異常検知部31の圧力値が閾値未満の場合に、ガス流路4に水が侵入する異常が発生しているとして、異常情報を発出する。
【0043】
異常検知部31が流量検知部の場合、ガス流路4に水が侵入する異常が発生すると、ガス流路4及びその下流側を通流するガスの流量値は、正常な場合と比較して変動が大きくなる。このため、ガス機器制御部30は、異常検知部31の流量値の変動幅が閾値以上の場合に、ガス流路4に水が侵入する異常が発生しているとして、異常情報を発出する。
【0044】
異常検知部31が漏電検知部の場合、ガス流路4に水が侵入する異常が発生し、ガス機器3に水が侵入してガス機器3内で漏電が発生した場合、漏電検知部はこれを検知し、ガス流路4に水が侵入する異常が発生しているとして、異常情報を発出する。
【0045】
異常検知部31が他の物理量を検知するものである場合でも、物理量の種類に応じた適宜の値やその変化を基に、ガス機器制御部30は異常情報を発出する。
【0046】
(ガス流路異常判定部)
ガス流路異常判定部232は、取得した複数の異常情報を基に、各ガス機器3に至るガス流路4の異常を判定する。具体的には、近隣のガス機器3、主に同じブロック47内のガス機器3で、同時に、同種のエラー(異常)が複数検知されている場合には、個々のガス機器3に起因するエラーではなく、各ガス機器3に至るガス流路4で異常が発生していると判定する。同種のエラーとは、例えば異常検知部31が圧力検知部同士の場合には、もちろん圧力値の異常であり、異常検知部31が流量検知部同士の場合には、もちろん流量値の異常は同種のエラーとなる。
【0047】
また、圧力検知部からなる異常検知部31を有するガス機器3と、流量検知部からなる異常検知部31を有するガス機器3の場合でも、圧力値の異常と流量値の異常はともにガス流路4で発生した異常に起因する異常であると判断できることから、圧力値の異常と流量値の異常は同種のエラーと定義することができる。このように、異常検知部31が異なる物理量を検知するものである場合でも、同種のエラーを定義することができる。
【0048】
(停止信号送信部)
停止信号送信部233は、ガス機器3を停止させる停止信号を送信する。本実施形態では、停止信号送信部233は、通信ネットワーク5を介してガス機器3に停止信号を送信する。なお、停止信号送信部233は、ガス流路異常判定部232における異常という判定を受けて、自動で停止信号を送信してもよいし、作業者が端末装置10を操作して停止信号送信部233から停止信号を送信させてもよい。
【0049】
(復旧信号送信部)
復旧信号送信部234は、ガス機器3の動作を再開させる復旧信号を送信する。本実施形態では、復旧信号送信部234は、通信ネットワーク5を介してガス機器3に復旧信号を送信する。なお、復旧信号送信部234は、適宜の復旧条件を満たした場合に、自動で復旧信号を送信してもよいし、作業者がガス流路4の復旧を確認した後、端末装置10を操作して復旧信号送信部234から復旧信号を送信させてもよい。この場合には、作業者は、通信ネットワーク5以外の他のネットワーク等を通じて入手されるデータに基づいて、復旧を判断し、復旧信号送信部234から復旧信号を送信させることができる。
【0050】
(通信ネットワーク)
通信ネットワーク5は、インターネットを含み得る。通信ネットワーク5は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信ネットワーク5は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0051】
(端末装置)
端末装置10は、通信ネットワーク5を介してのガス流路異常判定装置2への情報の入力、及び、ガス流路異常判定装置2からの情報の表示に利用される。端末装置10は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)により実現され得るもので、形態は特に限定されない。なお、端末装置10は、通信ネットワーク5を介してではなく、直接的にガス流路異常判定装置2に接続されてもよい。
【0052】
(ガス流路異常判定方法)
ガス流路異常判定装置2において実行されるガス流路異常判定方法について図4に基づいて説明する。
【0053】
ガス流路異常判定方法は、取得ステップと、ガス流路異常判定ステップと、停止信号送信ステップと、復旧信号送信ステップと、を備える。処理部23が、ガス流路異常判定方法を実行する。
【0054】
ガス流路異常判定方法の開始後、まず、取得部231が取得ステップを実行する(ステップS1)。取得ステップは、複数のガス機器3より、各ガス機器3に設けられている異常検知部が検知した異常情報を取得するステップである。本実施形態では、取得部231が、複数のガス機器3より、通信ネットワーク5を介して異常情報を取得する。異常情報は、異常検知部31が検知した異常の内容情報と、日時の情報と、識別情報と、を含む。
【0055】
次に、ガス流路異常判定部232がガス流路異常判定ステップを実行する(ステップS2)。ガス流路異常判定ステップは、取得した複数の異常情報を基に各ガス機器3に至るガス流路4の異常を判定するステップである。本実施形態では、同じブロック47内のガス機器3で、同時に、同種の異常情報が所定数(所定率)以上検知されている場合に、このブロック47におけるガス流路4で異常(水が侵入する異常)が発生していると判定する。前記所定数は、ブロック47内においてガス流路4に接続されるガス機器3の数に応じて、適宜設定可能である。また、前記所定率は、例えば10%、20%、30%、40%、50%等、適宜設定可能である。
【0056】
次に、停止信号送信部233が停止信号送信ステップを実行する(ステップS3)。停止信号送信ステップでは、ガス流路異常判定ステップにおいてガス流路が異常であると判定された場合に、停止信号送信部233が、異常検知部31により異常が検知されていないガス機器3に向けて、通信ネットワーク5を介して停止信号を送信して、このガス機器3を停止させる。これにより、未だ異常が発生していないガス機器3の内部流路32に、水が侵入して、このガス機器3に異常が発生するのを未然に防ぐことができる。
【0057】
特に、ガス機器3が燃料電池システム7である場合、脱硫器73や改質器74といった補機があるが、脱硫器73及び改質器74は水に弱く、これらに水が侵入すると故障して使用不可となるおそれがあり、取り替えのための費用も膨大となる。このような場合、前もって燃料電池システム7を停止することで、脱硫器73や改質器74への水の侵入を未然に防ぎ、修理や取り換えの手間及び余分な出費が発生するのを防ぐことができる。
【0058】
次に、復旧信号送信ステップを実行する(ステップS4)。復旧信号送信ステップでは、停止信号送信ステップにおいて停止されたガス機器3に向けて、通信ネットワーク5を介して復旧信号を送信して、このガス機器3の動作を再開させる。
【0059】
上述したように、ガス流路異常判定システム、ガス流路異常判定装置2及びガス流路異常判定方法にあっては、多数のガス機器3からの異常情報を収集することにより、これらのガス機器3に至るガス流路4に水が侵入している等の異常を判定して検知することができる。従来のような一のガス機器3で発生した異常(エラー)のみからは検知することができないガス流路4の異常を検知可能となる。本発明は、もちろん、多数のガス機器3から異常情報を収集することによってはじめて達成可能となる。
【0060】
また、本発明においては、ガス機器3を個々に停止させることが可能である。このため、マイコンメータ46でガスの通流を遮断した場合、その需要家43のガス機器3全てが使用不可となるところ、本発明においては、ガス流路4に水が侵入しても、ガス機器3を選択的に使用することができる。
【0061】
また、停止信号送信部233がガス機器3を停止させる停止信号を送信することにより、未だ異常が発生していないガス機器3の内部流路32に、水が侵入して、このガス機器3に異常が発生するのを未然に防ぐことができる。
【0062】
また、復旧信号送信部234がガス機器3の動作を再開させる復旧信号を送信することにより、作業者がガス機器3の設置場所まで赴くことなく、早急に、ガス機器3を復旧させることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0064】
停止信号送信部233は、通信ネットワーク5を介して停止信号をガス機器3に送信するのではなく、専用の回線を用いて停止信号をガス機器3に送信してもよい。停止信号送信部233は、ガス流路異常判定装置2における任意の構成であり、必ずしも設けられなくてもよい。また、停止信号送信ステップは、ガス流路異常判定方法における任意の構成であり、必ずしも設けられなくてもよい。
【0065】
復旧信号送信部234は、通信ネットワーク5を介して復旧信号をガス機器3に送信するのではなく、専用の回線を用いて復旧信号をガス機器3に送信してもよい。復旧信号送信部234は、ガス流路異常判定装置2における任意の構成であり、必ずしも設けられなくてもよい。また、復旧信号送信ステップは、ガス流路異常判定方法における任意の構成であり、必ずしも設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ガス流路異常判定システム
10 端末装置
2 ガス流路異常判定装置
21 通信部
22 記憶部
23 処理部
231 取得部
232 ガス流路異常判定部
233 停止信号送信部
234 復旧信号送信部
3 ガス機器
30 ガス機器制御部
31 異常検知部
32 内部流路
4 ガス流路
40 ガス導管網
401 高圧導管網
402 中圧導管網
403 低圧導管網
41 ガバナ
42 ガス製造所
43 需要家
44 ガス本管
45 ガス支管
46 マイコンメータ
5 通信ネットワーク
6 給湯システム
60 給湯システム制御部
61 主熱媒回路
62 給湯タンク
63 暖房用端末
64 回収用回路
65 発電制御部
66 並列流路
67 暖房用熱媒回路
68 暖房制御部
7 燃料電池システム
71 燃料改質部
72 燃料電池部
73 脱硫器
74 改質器
75 CO変成器
76 CO除去器
図1
図2
図3
図4