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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015131
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】屋外用検知装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220114BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20220114BHJP
   G08B 15/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H05K5/06 D
G08B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117793
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐幸
【テーマコード(参考)】
4E360
5C084
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB33
4E360AB64
4E360BA02
4E360BB22
4E360CA02
4E360ED02
4E360ED07
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA60
4E360GB99
5C084AA02
5C084AA07
5C084BB34
5C084CC16
5C084DD11
5C084DD13
5C084DD41
5C084EE02
(57)【要約】
【課題】特定の侵入物の侵入防止を達成しつつ、機器の本体内部へ侵入した水や結露を直接排水する構造とし、さらに外観意匠が制限されずに意匠自由度を向上させた屋外用検知装置を提供する。
【解決手段】検知素子と処理回路とを含む機能ユニットを備え、所定の寸法を有し前記機能ユニットを内部に収容する内カバーと、該内カバーを内部に収容する外カバーとを含むカバーユニットと、ベースユニットと、を備え、前記内カバーは、前記機能ユニットおよび前記光学部材との間で前記内カバーの外部からの水の侵入を防止するための水侵入防止構造を有し、さらに、底壁に排水孔と該排水孔に向かって前記水を案内する案内部とを有し、前記外側カバーの底壁は、前記内側カバーの底壁との間に所定の隙間を有し、前記排水孔からの水を前記屋外用検知装置の外部へと排水する排水部を有し、かつ、前記内カバーの前記排水孔を覆って下方視で前記屋外用検知装置の外部から前記排水孔を視認できない視認不能構造を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を通して対象物からの検知線を検知する検知素子と該検知素子からの信号を処理する処理回路とを含む機能ユニットを備えた屋外用検知装置であって、
所定の寸法を有し前記機能ユニットを内部に収容する内カバーと、該内カバーを内部に収容する外カバーとを含むカバーユニットと、
前記機能ユニットおよび前記カバーユニットが取り付けられ、かつ、外部の設置位置に設置されるベースユニットと、
を備え、
前記内カバーは、前記機能ユニットと前記光学部材との間で前記内カバーの外部からの水の侵入を防止するための水侵入防止構造を有し、さらに、底壁に排水孔と該排水孔に向かって前記水を案内する案内部とを有し、
前記外側カバーの底壁は、前記内側カバーの底壁との間に所定の隙間を有し、前記排水孔からの水を前記屋外用検知装置の外部へと排水する排水部を有し、かつ、前記内カバーの前記排水孔を覆って下方視で前記屋外用検知装置の外部から前記排水孔を視認できない視認不能構造を有する、
屋外用検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外用検知装置であって、
前記所定の隙間は、特定の侵入物の寸法よりも小さい、屋外用検知装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屋外用検知装置であって、
前記所定の寸法は、前記内カバーと前記外カバーとの間の隙間が特定の侵入物の寸法よりも小さい、屋外用検知装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の屋外用検知装置であって、
前記水侵入防止構造は、前記内カバーと前記機能ユニットとの間に、および、前記内カバーと前記光学部材との間に防水用のパッキンを有する構造である、屋外用検知装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の屋外用検知装置であって、
前記排水孔に向かって前記水を案内する案内部は、テーパー構造である、屋外用検知装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の屋外用検知装置であって、
前記内カバーの底壁の形状は、前記外カバーの底壁とは異なる形状である、屋外用検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外で不審者や侵入者等の対象物を検知する屋外用検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線のような検知線を検知して不審者や侵入者等の対象物を検出して該対象物の有無を判定する防犯装置等である検知装置が使用されている。近年、検知装置には、いち早く不審者や侵入者等の検出のために屋外での使用や、カメラを内蔵して、検知と連動して撮影、画像の転送、確認を行いたい等の要望が増えている。そのため、検知装置の屋外使用は、風雨に晒されたりして、装置の施工や調整のために開閉される装置筐体または外側カバー(それらをまとめて、単に、筐体、または、外側カバーとも呼ぶ)における部品間のパーティング等から、装置外部からの雨滴等の液体(以下、単に水とも称する)が侵入することが生じうる。また屋外用検知装置では、季節や昼夜の環境温度の変動に伴う装置内部空間の内圧変動により湿気を含んだ外気が吸入され、再度環境温度の変動にさらされることで、機器内部での結露を発生しうる。こうした水の侵入や結露により、上記検知線を検知する検知素子や該検知素子からの信号を処理する処理回路等が故障したり動作不具合を起こしたり、カメラを内蔵する機器においては撮像画像に結露が映り込み不鮮明画像となる問題が発生する。そうした装置を含む屋外設置の電気機器は、防塵性能と防水性能を規定するIP(Ingress Protection:侵入への保護)規格に基づく性能が要求されている。
【0003】
従来の屋外設置の電気機器として、特許文献1に記載されているような、外部から筐体の内部に浸入した水や、筐体の内部で生じた結露を、外部に排出するための水抜き孔を筐体の下端に有しているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-113416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の屋外機器では、水抜き孔として、幅は0.3~0.5mmで、長さを長くすることで水の排出を効率よく行うスリットが設けられている。このような水抜き孔では、当該スリットの寸法よりも大きい虫を含む異物の侵入を防ぐことができる。しかし、幅が0.3~0.5mmのスリットを形成するための金型は精度が求められるため高額となり、また、スリットを形成した筐体を金型から取り外すのは、慎重を要し手間がかかる。
【0006】
また、従来技術の屋外用検知装置では、外側カバーの底壁に孔を設け、その孔を覆うように筐体内側で、虫等を含む異物(特定の侵入物とも呼ぶ)の侵入防止の目的で、通気機能フィルム(透湿フィルム)が添付されているものがある。この場合、この孔からは透湿フィルムを通じて、水(液体)の排出ではなく、水蒸気(気体)の排出しか出来ない。よって、通常では装置内外の気圧差の調整や湿気の排出のための通気は可能であるが、水滴がこの透湿フィルム上に溜まった場合には通気障害を起こしてしまう。
【0007】
また別の従来技術の屋外用検知装置では、装置筐体の底壁に筐体開閉用の回転部材が挿通されるカバー孔が設けられており、該回転部材がカバー孔との間で隙間嵌めによって取り付けられているものがある(特定の侵入物が侵入するのを防止する目的で例えば隙間(嵌めあい公差)は0.2mm以下とされる)。装置内部の水は、この回転部材とカバー孔との隙間から排出されうる。しかし、装置筐体の底壁が平らであるため、装置内部でカバー孔から離れた周囲に留まった水は、直接排水される可能性が低く、典型的には気化した後に回転部材とカバー孔との隙間から排気されるのみである。この水が、気化する前に直接排出されるためには、例えば筐体底壁に水を案内する案内部である、カバー孔に向けて傾斜したテーパー部(傾斜部)を設けることで解決しうる。この場合、筐体または外側カバーの外観(以下、外観意匠または単に意匠ともいう)もそのテーパー形状に応じた形状となり、外観意匠が排水のためのテーパー部形状の影響を受ける。
【0008】
また従来技術の屋内天井取付センサでは、本体を取り付けるベース部分に傾斜部(テーパー部)が設けられ、その傾斜の先に、本体部分に垂れるのを避けた位置で、排水用の開口が設けられることで、天井裏から配線を伝って入る水が本体内部へ侵入することを回避したものがある。この構造は、屋内において、天井に取り付けられ、上記配線を伝って入る水が本体内部へ侵入することを回避するものであり、屋外装置で直ちに採用しうる構造ではない。
【0009】
そこで、本発明は、従来技術の有する上記欠点を解消して、特定の侵入物の侵入防止を達成しつつ、機器の本体内部へ侵入した水や結露を直接排水する構造とし、さらに外観意匠が制限されずに意匠自由度を向上させた屋外用検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
【0011】
本発明に係る屋外用検知装置は、
光学部材を通して対象物からの検知線を検知する検知素子と該検知素子からの信号を処理する処理回路とを含む機能ユニットを備えた屋外用検知装置であって、
所定の寸法を有し前記機能ユニットを内部に収容する内カバーと、該内カバーを内部に収容する外カバーとを含むカバーユニットと、
前記機能ユニットおよび前記カバーユニットが取り付けられ、かつ、外部の設置位置に設置されるベースユニットと、
を備え、
前記内カバーは、前記機能ユニットと前記光学部材との間で前記内カバーの外部からの水の侵入を防止するための水侵入防止構造を有し、さらに、底壁に排水孔と該排水孔に向かって前記水を案内する案内部とを有し、
前記外側カバーの底壁は、前記内側カバーの底壁との間に所定の隙間を有し、前記排水孔からの水を前記屋外用検知装置の外部へと排水する排水部を有し、かつ、前記内カバーの前記排水孔を覆って下方視で前記屋外用検知装置の外部から前記排水孔を視認できない視認不能構造を有する。
【0012】
この構成によれば、本発明に係る屋外用検知装置では、機能ユニットと光学部材との間で水侵入防止構造を有し、防水等の性能を満たしうる。該屋外用検知装置は、前記内カバーが例えばテーパー形状をした案内部を有し、前記外側カバーの底壁が前記内側カバーの底壁との間に所定の隙間を有することで、また内カバーが所定の寸法を有することで、前記排水孔および排水部を通じて、(水侵入防止構造下で)仮に機器の本体内部へ侵入した場合における水、や結露を(排水孔から離れた周囲に留まった水も含めて)直接排水することができ、かつ、例えば特定の侵入物が侵入することを防止することができる。このように前記外側カバーの底壁が前記内側カバーの底壁との間に所定の隙間を有し、さらに、内カバーが所定の寸法を有する構成では、幅が0.3~0.5mmのスリットを形成する必要がないことから、該スリットを形成するための金型を使用する必要がなく、比して製造上のコスト、手間を低減できる。さらに、内カバーおよび該内カバーを内蔵する外カバーによる二重構造のカバーユニットを採用することで、外側カバーの底壁の形状は、例えば内カバーに設けられたテーパー形状等の影響を受けることがなくなり、外観意匠が制限されずに意匠自由度を向上できる。
【0013】
上記構成において、
前記所定の隙間は、特定の侵入物の寸法よりも小さくてもよい。また、前記所定の寸法は、前記内カバーと前記外カバーとの間の隙間が特定の侵入物の寸法よりも小さくてもよい。これにより、特定の侵入物の侵入防止を達成できる。
【0014】
上記構成において、
前記排水孔に向かって前記水を案内する案内部は、テーパー構造であってもよい。これにより、前記排水孔に向かって前記水を案内しうる。
【0015】
上記構成において、
前記水侵入防止構造は、前記内カバーと前記機能ユニットとの間に、および、前記内カバーと前記光学部材との間に防水用のパッキンを有する構造であってもよい。これにより、容易に防水性を実現しうる。
【0016】
上記構成において、前記内カバーの底壁の形状は、前記外カバーの底壁とは異なる形状であってもよい。このように、外観意匠が制限されずに意匠自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る屋外用検知装置は、従来技術の有する上記欠点を解消して、特定の侵入物の侵入防止を達成しつつ、機器の本体内部へ侵入した水や結露を排水する構造とし、さらに外観意匠が制限されずに意匠自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る屋外用の検知装置の外観図である。
図2】同検知装置の外観の下面図である。
図3】同検知装置のカバーユニットの内側を示す図である。
図4図3の下部である要部を詳細に示す図である。
図5】同検知装置の分解図である。
図6】カバーユニットに含まれる内カバーの正面を斜め下方視で示す図である。
図7図4の要部を詳細に示す図において、カバーユニットに含まれる内カバーと外カバーとの構造上の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号は、同一または相当部分を示し、特段変更等の説明がない限り、適宜その説明を省略する。
【0020】
<検知装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る屋外用の検知装置DDの外観を斜め下方視で示す図である。検知装置DDは、例えば検知線たる赤外線を検知して、屋外で不審者や侵入者等の対象物を検出する。検知装置DDは、カバーユニット300の外カバー310に取り付けられたフレネルレンズ等の光学系または必要とする光(電磁波)を効率よく透過する窓としての光学部材L1(上側)およびL2(下側)を有し、曲面の光学部材L1およびL2の内側に、例えば遠赤外線検知素子D1,D2(図5)を備えている。なお、検知装置DDは、カメラ等の撮像部(機器)や、カメラ撮像用の補助照明光を送出するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を備え、侵入者等の対象物を撮像、検出してもよい。
【0021】
<検知装置の構成>
図1の検知装置DDは少なくとも、光学部材L1,L2を通して対象物からの検知線を検知する上記検知素子D1,D2と該検知素子からの信号を処理する図5の処理回路260とを含む機能ユニット200と、この機能ユニット200と勘合して、それを覆う(機能ユニット200の全体または一部を内部に収容する)内カバー320と該内カバーの全体または一部を内部に収容する外カバー310とを含むカバーユニット300と、機能ユニット200およびカバーユニット300が直接的にまたは間接的に取り付けられ、該装置DDが外部の壁面等の設置位置に設置されるためのベースユニット100とを備えている。検知装置DDでは、後述のカメラ窓W1およびLED窓W2が装置外部に向けて露出している。なお、図1に示すように、検知装置DDは、上部に、同図のみに示すフードHを有していてもよい。
【0022】
<検知装置の各構成部材の詳細>
図2に示す検知装置DDの下部の、外カバー310の外カバー底壁312では、内カバー320の内カバー凸部324が外カバー310から装置外部に向けて露出している。内カバー凸部324に設けられたねじ孔にねじN1が挿通されて、機能ユニット200(図5)とカバーユニット300とがねじ止めされる。なお外カバー底壁312に設けられたねじ孔にねじN2が挿通されて、機能ユニット200およびカバーユニット300がベースユニット100にねじ止めされる。内カバー凸部324は、外カバー底壁312に設けられている矩形状の孔313(図5)に対して隙間嵌めではめ込まれており(図5の矢印M)、内カバー凸部324と外カバー底壁312の該矩形状孔313との間には、各辺に微小の(典型的には、後述の所定の隙間を有する)カバー隙間部分316~319からなるカバー隙間315が存在し、後述の内カバー320の排水孔330からの水を検知装置DDの外部へと排水する排水部となっている。図2に示されるように、この内カバー320の排水孔330は、下方視で検知装置DDの外部から視認できないようになっており、外カバー底壁312は、この内カバー320の排水孔330を覆って下方視で検知装置DDの外部から該排水孔330を視認できない視認不能構造となっている。
【0023】
図3には、検知装置DDのカバーユニット300の内側であって、外カバー310が内カバー320をその内部に収容している様子が示されている。すなわち、本実施形態の検知装置DDでは、カバーユニット300を、内カバー320と外カバー310とによる二重構造としている。図4に示す図3の下部内側の要部には、内カバー320の内カバー底壁322に、排水孔330を構成する左側の排水孔部分331、後方側(図手前側)の排水孔部分332、右側の排水孔部分333が存在しており、さらに、該排水孔330に向かって前記水を案内する案内部たるテーパー部340を構成する左側のテーパー部分341、前方側(図奥側)のテーパー部分342、右側のテーパー部分343が存在している。テーパー部分341、342、343は、排水孔部分331、332、333に向けて排水するような傾斜となっており、気化した水蒸気に加えて、排水孔330から少し離れた周囲に留まった水も直接 排水することができる。内カバー320は、外カバー310との間に、特定の侵入物の寸法よりも小さい(特定の侵入物が侵入するのを防止する目的で例えば0.2mm以下とされる)微小の隙間△dl、△dr等が存在するような所定の寸法を有して、外カバー310中に内在している。加えて、外側カバー310の外側カバー底壁312と、内側カバー320の内側カバー底壁322との間には、特定の侵入物の寸法よりも小さい(特定の侵入物が侵入するのを防止する目的で例えば0.2mm以下とされる)所定の隙間△dbが存在している。こうした構成により、排水孔部分331、332、333は、上記カバー隙間315、微小の隙間△dl、△dr等や上記所定の隙間△dbよりも大きい寸法であっても、特定の侵入物の侵入が困難となる。なお、内側カバー、外側カバーにおける各底壁間の上記所定の隙間は、上記所定の寸法とは別に、特に規定したものであるが、上記所定の寸法の一部に上記所定の隙間が含まれて考慮されてもよい。また、上記微小の隙間と所定の隙間は同じ大きさであってもよく、異なっていてもよい。
【0024】
前後方向に切り離した検知装置DDの分解図である図5では、後方から前方に向けて、大まかには、ベースユニット100、機能ユニット200、カバーユニット300の内カバー320、外カバー310に分かれて示されている。機能ユニット200の前面には、回転ユニットRが左右に回動自在に設けられ、その後面には、電池ボックスや降圧回路等の電源回路Bが設けられている。回転ユニットRの前面には、検知素子D1、撮像部のカメラ220、補助照明光を送出するLED240、検知素子D2が、この順に上から下に向けて並んで設けられている。回転ユニットRの後面には、光学部材L1,L2を通して対象物からの検知線を検知した検知素子D1,D2からの信号やカメラ220からの信号を処理する処理回路260や、カメラ220、LED240を制御する制御回路(不図示)等が設けられている。機能ユニット200の後面の、カバーユニット300(更に具体的には、内カバー320)に嵌め合わされる周縁部には、内カバー320との間に、防水部材であるパッキン280が存在している。図5に示されているように、傾斜形状の上記テーパー部340を有する内カバー320の底壁322の形状は、外カバー310の略平らな底壁312とは異なる形状となっている。
【0025】
図5の内カバー320と外カバー310との間には、光学部材L1,L2、防水用のパッキン351,352が示されている。光学部材L1は、パッキン351を挟んで、検知素子D1に対応する内カバー320の開口部337に収まり、外カバー310により、内カバー320に押し付けられている。光学部材L2は、パッキン352を挟んで、検知素子D2に対応する内カバー320の開口部338に収まり、外カバー310により、内カバー320に押し付けられている。上述のパッキン351、352、防水用のパッキン280等により、内カバー320は、防水嵌合を実現できており、機能ユニット200および光学部材L1,L2との間で内カバー320の外部からの水の侵入を防止するための水侵入防止構造を有している。なお、カメラ窓W1と照明窓W2は、内カバー320に内蔵される形で、機能ユニット200のカメラ220、照明用LED240にそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0026】
ここで、図6に内カバー320の正面を斜め下方視で示す。内カバー320は、光学部材L1,L2、LED窓W2が取り付けられており、カメラ窓W1を内蔵している。底壁322は、内側の上記テーパー部340(テーパー部分341、342、343)の形状が内カバー320の外形として表れている。また、底壁322には、排水孔部分331、332、333が、内側から外側に貫通して設けられている。また、底壁322には、内カバー凸部324が形成されている。
【0027】
<検知装置の上記構成による作用効果>
一般的に、屋外用の検知装置で最も温度変化を生じやすいのは、直接外部に面して、かつその厚みが薄く設計される光学系(光学部材)や近赤外線または遠赤外線等の透過部であるLED窓とされており、それらは、カバーに何らかの方法で嵌合していることが多い。これらの箇所は結露を生じ易く、生じた結露による水はカバーの内側で内面を伝って底面に至るので、その水を速やかに外部へ排出できれば、内部結露を起因とする問題を回避することができる。本実施形態の屋外用の検知装置DDは、上述の構造により、こうした結露による水を速やかに外部へ直接排出することができ、また、仮に装置外部から侵入した場合における雨滴等の液体も、速やかに外部へ直接排出することができる。
【0028】
加えて、図7に示すように、外カバー310は、上記微小の隙間△dl、△dr等が存在するような所定の寸法の内カバー320との間で、隙間嵌め嵌合で勘め合わされている。さらに、外側カバー310の外側カバー底壁312と、内側カバー320の内側カバー底壁322との間は、特定の侵入物の寸法よりも小さい所定の隙間△dbとなっている。こうしたことにより、結露による水等を速やかに外部へ排出することもできる上、特定の侵入物の侵入を防止することができる。この水は、既述のように、内カバー凸部324と外カバー底壁312の該矩形状孔313(図5)との間には、各辺に微小の、典型的には所定の隙間△dbを有する、カバー隙間部分316~319からなるカバー隙間315が存在するので、これらを通じて検知装置DDの外部へと排水される。
【0029】
なお、本実施形態の検知装置DDでは、外カバー310で内カバー320の排水孔330(排水孔部分331、332、333)を外部から覆い隠して、第三者から内カバー320の排水孔330を直視できない構造とすることで、防犯装置等である検知装置の信用性を向上できる。
【0030】
加えて、外側カバー310の底壁312が内側カバー320の底壁322との間に所定の隙間△dbを有することで、また内カバーが上記微小の隙間△dl、△dr等が存在するような所定の寸法を有することで、例えば幅が0.3~0.5mmのスリットを形成するための金型作成は製造難易度が高く、また樹脂成形ではスリット部が微小寸法巾であるためバリ発生等の不具合が生じやすく製造難易度が高いところ、製造上のコスト、手間を低減できる。
【0031】
また、内カバー320および外カバー310による二重構造のカバーユニット300を採用することで、内カバー320の底壁322に排水のためのテーパー部340を形成することで内カバー底壁322の形状は該テーパー部の形状の影響を受けるが、外側カバーの底壁312の形状は、該テーパー部の形状の影響を受けることがなくなり、一重構造のカバーの場合と比較して、意匠の自由度を向上させることができる。また、従来は、外カバーを変更して別の意匠で製品を作成する場合、上記保護構造を外カバーが担っていたことから、保護構造の再評価が必要であったところ、本実施形態では、内カバーが保護構造を担っていることから、外カバーにおいて保護構造を意識することなく意匠変更が可能となるため、保護構造の再評価を不要とすることも可能となる。
【0032】
さらに、本実施形態の上記構成により、以下のような副次的効果も奏する。従来、一重構造のカバーであれば、カバー(本実施形態の外カバー310に相当),レンズ(光学部材),該レンズのホルダーの嵌合における防水面は、防水機能を必要とする箇所を最小箇所数にすることが、製品コスト低減のためには肝要であり、そのためには、カバーとレンズとの間で(すなわちレンズの外側箇所で)、防水を行うのが適切であった。この場合、レンズとカバーの間に、防水部材を挟んだり、接着剤等で充填したりしていた。外部からの噴流が屋外用の検知装置にかかった場合、噴流がレンズとカバーの隙間に至って、それら防水部材に直接噴流があたり、上述の防水部材の挟圧や接着剤等の塗布が均一でなかった場合、それらの弱いところから水が侵入してしまう可能性があった。
【0033】
しかし、本実施形態では、内カバー320を採用した二重構造のカバーユニット300とし、パッキン351を挟んで光学部材L1を内カバー320に取り付けたことで(すなわち光学部材L1の内側箇所で防水を行う)、パッキン351に直接噴流があたることはなくなり、すなわち、パッキン351に達する噴流の勢いは弱まる構造となっている。外部からの噴流は、外カバー310とレンズの間の隙間を抜けた後、外レンズ310の表面に沿い、更に外レンズ310の端面を迂回して反対面に至り、レンズと内カバー320との間の防水面に至ることになり、従来のレンズホルダーの様に、パッキン351に直接噴流があたることはなくなり、本実施形態の流路経路が従来に比べて複雑となることから、噴流がパッキンを透過するに必要な勢いをそぐことができ、水の侵入の可能性を低下できる。
【0034】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
100 ベースユニット
200 機能ユニット
260 処理回路
280 パッキン(水侵入防止構造)
300 カバーユニット
310 外カバー
312 外カバー底壁
315 カバー隙間(排水部)
320 内カバー
322 内カバー底壁
330 排水孔
340 テーパー部(案内部)
351,352 パッキン(水侵入防止構造)
D1,D2 検知素子
DD (屋外用)検知装置
L1,L2 フレネルレズ(光学部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7