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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151315
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】補強材および補強構造
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B32B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054332
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正迅
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 拓也
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB10B
4F100AG00B
4F100AK01A
4F100AK27A
4F100AK29A
4F100AK53A
4F100AL01A
4F100AN00A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA01A
4F100DG01B
4F100DJ01A
4F100EJ08
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100JA13A
4F100JK01
4F100JK07A
4F100JK17A
4F100YY00A
(57)【要約】
【課題】補強性能の向上を図ることができる補強材および補強構造を提供する。
【解決手段】
補強材は、樹脂層と拘束層とを備える。樹脂層は、樹脂成分と発泡剤とを含有し、補強対象を補強する補強層になる。拘束層は、樹脂層の上に配置される。補強層は、樹脂成分が硬化した母体樹脂と、発泡剤が発泡することにより生じた複数の気泡とを含有する。補強層の断面中における複数の気泡の総面積の割合は、83%以上であり、補強層の母体樹脂の弾性率は、1.4GPa以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強対象を補強するための補強材であって、
樹脂成分と発泡剤とを含有し、前記補強対象を補強する補強層になる樹脂層と、
前記樹脂層の上に配置された拘束層と
を備え、
前記補強層は、前記樹脂成分が硬化した母体樹脂と、前記発泡剤が発泡することにより生じた複数の気泡とを含有し、
前記補強層の断面中における複数の前記気泡の総面積の割合は、83%以上であり、
前記補強層の前記母体樹脂の弾性率は、1.4GPa以上である、補強材。
【請求項2】
前記樹脂成分は、熱硬化性樹脂と、ゴムとを含有し、
前記熱硬化性樹脂の割合は、前記ゴム100質量部に対して、100質量部より多い、請求項1に記載の補強材。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂は、可撓性エポキシ樹脂と、可撓性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂とを含有し、
前記熱硬化性樹脂中の前記可撓性エポキシ樹脂の割合は、10質量%以上、50質量%未満である、請求項2に記載の補強材。
【請求項4】
前記ゴムは、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有し、
前記アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合は、前記可撓性エポキシ樹脂100質量部に対して、60質量部以上である、請求項3に記載の補強材。
【請求項5】
補強対象と、
請求項1に記載の前記補強層および前記拘束層を有する補強部材と
を備える、補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強材および補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、拘束層と補強層とを備える補強材(補強シート)が知られている。補強層は、スチレン・ブタジエン系ゴムと、エポキシ樹脂と、発泡剤とを、少なくとも含有する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-41210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されるような補強材において、補強性能の更なる向上が要求されている。
【0005】
そこで、本発明は、補強性能の向上を図ることができる補強材および補強構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明[1]は、補強対象を補強するための補強材であって、樹脂成分と発泡剤とを含有し、前記補強対象を補強する補強層になる樹脂層と、前記樹脂層の上に配置された拘束層とを備え、前記補強層が、前記樹脂成分が硬化した母体樹脂と、前記発泡剤が発泡することにより生じた複数の気泡とを含有し、前記補強層の断面中における複数の前記気泡の総面積の割合が、83%以上であり、前記補強層の前記母体樹脂の弾性率が、1.4GPa以上である、補強材を含む。
【0007】
本発明[2]は、前記樹脂成分が、熱硬化性樹脂と、ゴムとを含有し、前記熱硬化性樹脂の割合が、前記ゴム100質量部に対して、100質量部より多い、上記[1]の補強材を含む。
【0008】
本発明[3]は、前記熱硬化性樹脂が、可撓性エポキシ樹脂と、可撓性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂とを含有し、前記熱硬化性樹脂中の前記可撓性エポキシ樹脂の割合は、10質量%以上、50質量%未満である、上記[2]の補強材を含む。
【0009】
本発明[4]は、前記ゴムが、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有し、前記アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合が、前記可撓性エポキシ樹脂100質量部に対して、60質量部以上である、上記[3]の補強材を含む。
【0010】
本発明[5]は、補強対象と、上記[1]に記載の前記補強層および前記拘束層を有する補強部材とを備える、補強構造を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の補強材および補強構造によれば、補強性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態としての補強材の断面図である。
図2図2は、図1に示す補強材で補強対象を補強する補強方法を説明するための説明図であって、図2Aは、補強材を補強対象に貼り付ける貼付工程を示し、図2Bは、補強材が貼り付けられた補強対象を発泡および硬化させる硬化工程を示す。
図3図3は、図2Bに示す補強層の断面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.補強材1
図1に示す補強材1は、補強対象P(図2B参照)を補強するための部材である。補強対象Pとしては、例えば、アルミニウム板、ステンレス板、鉄板、銅板、亜鉛板、真鍮板などの金属パネルが挙げられる。なお、金属パネルは、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機などの輸送機器、例えば、建築物などに使用できる。好ましくは、補強材1は、補強シートである。補強材1は、樹脂層2と、拘束層3とを備える。補強材1は、必要により、離型シート4を備える。
【0014】
(1)樹脂層2
樹脂層2は、所定の厚みを有する。樹脂層2の厚み方向において、樹脂層2は、第1面S1と第2面S2とを有する。
【0015】
樹脂層2の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.2mm以上であり、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0016】
補強材1が補強対象Pに貼り付けられた状態で、樹脂層2が発泡および硬化することにより、樹脂層2は、補強層5(図2B参照)になる。補強層5については、後で説明する。樹脂層2は、樹脂成分と発泡剤とを含有する。樹脂層2は、必要により、加硫剤、加硫促進剤、熱硬化性樹脂硬化剤、および、他の添加剤を含有する。
【0017】
(1-1)樹脂成分
樹脂成分は、好ましくは、熱硬化性樹脂とゴムとを含有する。樹脂成分は、必要により、粘着付与剤を含有する。
【0018】
発泡剤の分解温度における樹脂成分の粘度は、例えば、500Pa・s以上、好ましくは、1000Pa・s以上であり、例えば、4000Pa・s以下、好ましくは、3500Pa・s以下である。発泡剤の分解温度については、後で説明する。
【0019】
(1-1-1)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は、好ましくは、可撓性エポキシ樹脂と、可撓性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂とを含有する。熱硬化性樹脂は、より好ましくは、可撓性エポキシ樹脂と、可撓性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂とのみからなる。以下の説明において、可撓性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を、他のエポキシ樹脂と記載する。
【0020】
可撓性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂よりも高い可撓性を有する。好ましくは、可撓性エポキシ樹脂は、硬化後において、後述する芳香族系エポキシ樹脂よりも高い可撓性を有する。より好ましくは、可撓性エポキシ樹脂は、硬化後において、後述する他のエポキシ樹脂よりも高い可撓性を有する。
【0021】
可撓性エポキシ樹脂は、主鎖に環状構造を含まないか、または、後述する他のエポキシ樹脂よりも少ない環状構造を含む。環状構造として、例えば、芳香族環、脂肪族炭化水素環、および、含窒素環が挙げられる。好ましくは、可撓性エポキシ樹脂は、主鎖に柔軟性成分を有する。柔軟性成分として、例えば、長鎖の脂肪族炭化水素成分、ゴム成分、および、ポリオール成分が挙げられる。長鎖の脂肪族炭化水素成分として、例えば、長鎖の不飽和脂肪酸のダイマー酸(二量体酸)に由来するアルキレン基が挙げられる。長鎖の不飽和脂肪酸として、例えば、炭素数12以上の不飽和脂肪酸が挙げられる。炭素数12以上の不飽和脂肪酸として、例えば、リノール酸が挙げられる。
【0022】
可撓性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、220g/eq以上、好ましくは、300g/eq以上、より好ましくは、500g/eq以上である。エポキシ当量が上記下限値以上であると、補強部材11(図2B参照)の可撓性を向上させることができる。補強部材11については、後で説明する。
【0023】
また、可撓性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、2000g/eq以下、好ましくは、1200g/eq以下、より好ましくは、1000g/eq以下、より好ましくは、800g/eq以下である。エポキシ当量が上記上限値以下であると、補強部材11の補強性能が過度に低下することを抑制できる。
【0024】
なお、本実施形態では、補強部材11の補強性能は、1mm曲げ強度で評価される。1mm曲げ強度は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
【0025】
可撓性エポキシ樹脂として、例えば、脂肪族変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、チオール系エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリオール変性エポキシ樹脂、および、アミン変性エポキシ樹脂が挙げられる。ゴム変性エポキシ樹脂として、例えば、ブタジエン系エポキシ樹脂が挙げられる。ブタジエン系エポキシ樹脂として、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂、カルボキシル基末端アクリロニトリル・ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂、および、アミノ基末端アクリロニトリル・ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0026】
可撓性エポキシ樹脂としては、ゴムとの相溶性、樹脂層2の接着性の観点から、好ましくは、脂肪族変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、より好ましくは、ダイマー酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。樹脂層2は、複数種類の可撓性エポキシ樹脂を含有してもよい。
【0027】
可撓性エポキシ樹脂の市販品として、例えば、jER(登録商標)シリーズ(三菱ケミカル社製)、および、YDシリーズ(日鉄ケミカルアンドマテリアル社製)が挙げられる。jERシリーズの可撓性エポキシ樹脂として、例えば、jER871、jER872、および、jER872X75が挙げられる。YDシリーズの可撓性エポキシ樹脂として、例えば、YD-172が挙げられる。
【0028】
他のエポキシ樹脂として、例えば、芳香族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および、含窒素環エポキシ樹脂が挙げられる。
【0029】
芳香族系エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、および、ビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0030】
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0031】
ノボラック型エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、および、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0032】
脂環式エポキシ樹脂として、例えば、ジシクロ環型エポキシ樹脂、および、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0033】
含窒素環エポキシ樹脂として、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂、および、トリエポキシプロピルイソシアヌレート樹脂が挙げられる。
【0034】
他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、可撓性エポキシ樹脂のエポキシ当量よりも小さい。他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、220g/eq未満、好ましくは、200g/eq以下であり、例えば、150g/eq以上、好ましくは、160g/eq以上である。
【0035】
熱硬化性樹脂の割合は、樹脂層2中に、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
【0036】
熱硬化性樹脂の割合は、樹脂成分中に、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
【0037】
熱硬化性樹脂の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、100質量部より多く、好ましくは、150質量部以上である。ゴムに対する熱硬化性樹脂の割合が上記下限値以上であると、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【0038】
熱硬化性樹脂の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。ゴムに対する熱硬化性樹脂の割合が上記上限値以下であると、補強材1の補強性能の向上を図ることできる。
【0039】
熱硬化性樹脂中の可撓性エポキシ樹脂の割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%未満、好ましくは、45質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。熱硬化性樹脂中の可撓性エポキシ樹脂の割合が上記下限値以上、上記上限値未満であると、補強材1の補強性能の向上を、より図ることができる。
【0040】
(1-1-2)ゴム
ゴムとして、例えば、ジエン系ゴムが挙げられる。ジエン系ゴムとして、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、および、イソプレンゴム、ブタジエンゴムが挙げられる。
【0041】
ゴムとして、好ましくは、スチレン・ブタジエンゴム、および、アクリロニトリル・ブタジエンゴムが挙げられる。ゴムは、好ましくは、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する。ゴムは、より好ましくは、スチレン・ブタジエンゴムと、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとを含有する。
【0042】
ゴムの割合は、樹脂層2中に、例えば、3質量%以上、好ましくは、8質量%以上であり、例えば、40質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
【0043】
ゴムの割合は、樹脂成分中に、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、例えば、40質量%以下、好ましくは、35質量%以下である。
【0044】
熱硬化性樹脂が可撓性エポキシ樹脂を含有し、かつ、ゴムがアクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する場合、アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合は、可撓性エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、60質量部以上、好ましくは、100質量部以上である。可撓性エポキシ樹脂に対するアクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合が上記下限値以上であると、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【0045】
アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合は、可撓性エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、150質量部以下、好ましくは、130質量部以下である。可撓性エポキシ樹脂に対するアクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合が上記上限値以下であると、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【0046】
ゴムがスチレン・ブタジエンゴムとアクリロニトリル・ブタジエンゴムとを含有する場合、アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合は、スチレン・ブタジエンゴム100質量部に対して、例えば、40質量部以上、好ましくは、60質量部以上、より好ましくは、75質量部以上である。スチレン・ブタジエンゴムに対するアクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合が上記下限値以上であると、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【0047】
アクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合は、スチレン・ブタジエンゴム100質量部に対して、例えば、100質量部未満、好ましくは、80質量部以下である。スチレン・ブタジエンゴムに対するアクリロニトリル・ブタジエンゴムの割合が上記上限値以下であると、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【0048】
(1-1-3)粘着付与樹脂
粘着付与樹脂は、樹脂層2に粘着性を付与する。
【0049】
粘着付与樹脂は、例えば、天然樹脂系粘着付与樹脂と、合成樹脂系粘着付与樹脂とに分類される。
【0050】
天然樹脂系粘着付与樹脂として、例えば、ロジン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、および、テルペン系樹脂が挙げられる。ロジン系樹脂として、例えば、ロジンエステルが挙げられる。テルペン系樹脂として、例えば、テルペンフェノール樹脂が挙げられる。
【0051】
合成樹脂系粘着付与樹脂として、例えば、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、および、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂が挙げられる。以下の説明において、脂肪族系石油樹脂を、C5系石油樹脂と記載し、芳香族系石油樹脂を、C9系石油樹脂と記載し、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂を、C5/C9系石油樹脂と記載する。
【0052】
C5系石油樹脂は、主として、炭素数5の脂肪族炭化水素に由来する構造単位を含有する。炭素数5の脂肪族炭化水素として、例えば、イソプレン、ピペリレンが挙げられる。C5系石油樹脂は、ナフサの熱分解によって副生する炭素数5の脂肪族炭化水素の混合物を重合することにより製造される。以下の説明において、ナフサの熱分解によって副生する炭素数5の脂肪族炭化水素の混合物を、C5留分と記載する。
【0053】
C9系石油樹脂は、主として、炭素数9の芳香族炭化水素に由来する構造単位を含有する。炭素数9の芳香族炭化水素として、例えば、スチレン、ビニルトルエン、インデンが挙げられる。C9系石油樹脂は、ナフサの熱分解によって副生する炭素数9の芳香族炭化水素の混合物を重合することにより製造される。以下の説明において、ナフサの熱分解によって副生する炭素数9の芳香族炭化水素の混合物を、C9留分と記載する。
【0054】
C5/C9系石油樹脂は、主として、炭素数5の脂肪族炭化水素に由来する構造単位と、炭素数9の芳香族炭化水素に由来する構造単位とを含有する。C5/C9系石油樹脂は、C5留分とC9留分とを重合することにより製造される。
【0055】
粘着付与樹脂として、好ましくは、合成樹脂系粘着付与樹脂が挙げられ、より好ましくは、C5/C9系石油樹脂が挙げられる。
【0056】
粘着付与樹脂の割合は、樹脂層2中に、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
【0057】
粘着付与樹脂の割合は、樹脂成分中に、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
【0058】
粘着付与樹脂の割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、例えば、70質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
【0059】
粘着付与樹脂の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、70質量部以上であり、例えば、150質量部以下、好ましくは、100質量部以下である。
【0060】
(1-2)発泡剤
発泡剤は、加熱により発泡する。樹脂層2が発泡剤を含有することにより、補強層5(図2B参照)の厚みを増大させて、補強部材11(図2B参照)の強度を向上させることができる。
【0061】
発泡剤は、例えば、無機系発泡剤と有機系発泡剤とに分類される。
【0062】
無機系発泡剤として、例えば、炭酸アンモニウム(分解温度:58℃)、炭酸水素アンモニウム(分解温度:35℃から60℃)、炭酸水素ナトリウム(分解温度:140℃から170℃)、亜硝酸アンモニウム(分解温度:210℃)、および、アジド類が挙げられる。
【0063】
有機系発泡剤として、例えば、N-ニトロソ系化合物、アゾ系化合物、フッ化アルカン、ヒドラジン系化合物、セミカルバジド系化合物、および、トリアゾール系化合物が挙げられる。N-ニトロソ系化合物として、例えば、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(分解温度:205℃)が挙げられる。アゾ系化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(分解温度:約50℃)が挙げられる。ヒドラジン系化合物として、例えば、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(分解温度:155℃から165℃)が挙げられる。セミカルバジド系化合物として、例えば、p-トルイレンスルホニルセミカルバジドが挙げられる。トリアゾール系化合物として、例えば、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾールが挙げられる。
【0064】
発泡剤の分解温度は、好ましくは、80℃以上、より好ましくは、100℃以上であり、好ましくは、300℃以下、より好ましくは、200℃以下である。
【0065】
発泡剤として、好ましくは、有機系発泡剤が挙げられ、より好ましくは、ヒドラジン系化合物が挙げられ、より好ましくは、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)が挙げられる。
【0066】
発泡剤の割合は、樹脂層2中に、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、例えば、2質量%以下、好ましくは、1質量%以下である。
【0067】
発泡剤の割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、1.5質量部以上であり、例えば、3質量部以下、好ましくは、2質量部以下である。
【0068】
(1-3)加硫剤
加硫剤は、加熱により、ジエン系ゴムを架橋(加硫)させる。
【0069】
加硫剤として、例えば、硫黄、硫黄化合物、および、有機過酸化物が挙げられる。加硫剤として、好ましくは、硫黄が挙げられる。
【0070】
加硫剤の配合割合は、ジエン系ゴム100質量部に対して、例えば、2質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、60質量部以下である。
【0071】
(1-4)加硫促進剤
加硫促進剤は、加硫剤による加硫を促進させる。
【0072】
加硫促進剤として、例えば、チアゾール系加硫促進剤、チオ尿素系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカーバメート系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、アルデヒド-アンモニア系加硫促進剤、および、スルフェンアミド系加硫促進剤などが挙げられる。加硫促進剤として、好ましくは、チアゾール系加硫促進剤が挙げられる。
【0073】
加硫促進剤の配合割合は、加硫剤100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。
【0074】
(1-5)熱硬化性樹脂硬化剤
熱硬化性樹脂硬化剤は、熱硬化性樹脂の硬化を促進させる。
【0075】
熱硬化性樹脂硬化剤として、例えば、シアナミド、アミン、酸無水物、アミド、ヒドラジド、イミダゾール、および、イミダゾリンが挙げられる。
【0076】
シアナミドとして、例えば、ジシアンジアミドが挙げられる。
【0077】
アミンとして、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、それらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、および、ジアミノジフェニルスルホンが挙げられる。
【0078】
酸無水物として、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、および、クロレンディック酸無水物が挙げられる。
【0079】
アミドとして、例えば、ポリアミドが挙げられる。
【0080】
ヒドラジドとして、例えば、ジヒドラジドが挙げられる。
【0081】
イミダゾールとして、例えば、メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、および、2-フェニル-4-メチルイミダゾールが挙げられる。
【0082】
イミダゾリンとして、例えば、メチルイミダゾリン、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、および、2-フェニル-4-メチルイミダゾリンが挙げられる。
【0083】
熱硬化性樹脂硬化剤の割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、7質量部以下である。
【0084】
(1-6)他の添加剤
樹脂層2は、さらに、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤として、例えば、フィラー、および、顔料が挙げられる。
【0085】
フィラーとして、例えば、炭酸カルシウム、タルク、および、有機ベントナイトが挙げられる。
【0086】
フィラーの割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、110質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
【0087】
顔料として、例えば、カーボンブラック、および、酸化亜鉛が挙げられる。
【0088】
顔料の割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、7質量部以下である。
【0089】
(2)拘束層3
拘束層3は、樹脂層2の第1面S1の上に配置される。拘束層3は、後述する補強層5を拘束する。拘束層3が補強層5を拘束することにより、補強層5の靭性が、向上する。拘束層3は、樹脂層2の厚み方向において、所定の厚みを有する。
【0090】
拘束層3の厚みは、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.05mm以上であり、例えば、3mm以下、好ましくは、1mm以下である。
【0091】
拘束層3の材料として、例えば、金属、および、ガラス繊維が挙げられる。金属として、例えば、アルミニウム、および、銅が挙げられる。金属として、好ましくは、アルミニウムが挙げられる。ガラス繊維として、好ましくは、樹脂含侵ガラスクロスが挙げられる。
【0092】
(3)離型シート4
離型シート4は、樹脂層2の第2面S2の上に配置される。離型シート4は、樹脂層2の第2面S2の上に配置された状態で、樹脂層2を保護する。離型シート4は、樹脂層2から剥離可能である。離型シート4としては、例えば、公知の離型紙などを用いることができる。
【0093】
2.補強方法
次に、補強材1による補強対象Pの補強方法について説明する。
【0094】
図2Aおよび図2Bに示すように、補強方法は、補強材1を補強対象Pに貼り付ける貼付工程(図2A参照)と、補強材1を補強対象Pに貼り付けられた状態で樹脂層2を熱硬化させる硬化工程(図2B参照)とを含む。
【0095】
図2Aに示すように、貼付工程では、作業者は、樹脂層2から離型シート4を剥離させて、樹脂層2の第2面S2を補強対象Pに接触させる。補強材1は、樹脂層2の粘着力により、補強対象Pに貼り付く。
【0096】
次に、硬化工程では、作業者は、補強材1が貼り付けられた補強対象Pを加熱する。
【0097】
加熱温度は、例えば、発泡剤の分解温度以上である。加熱温度は、例えば、発泡剤の分解温度よりも100℃高い温度以下である。
【0098】
発泡剤がOBSHである場合、加熱温度は、例えば、130℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、265℃以下、好ましくは、220℃以下である。
【0099】
加熱時間は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上であり、また、例えば、60分以下、好ましくは、30分以下である。
【0100】
硬化工程において、図2Aおよび図2Bに示すように、樹脂層2は、発泡および硬化する。
【0101】
詳しくは、硬化工程において、加熱により、樹脂層2中の樹脂成分は、軟化する。軟化した樹脂成分の粘度は、上記したように、発泡剤の分解温度において、例えば、500Pa・s以上、好ましくは、1000Pa・s以上であり、例えば、4000Pa・s以下、好ましくは、3500Pa・s以下である。
【0102】
樹脂成分が軟化した状態で、発泡剤が分解することにより、樹脂層2は、発泡する。樹脂層2が発泡した状態で、樹脂成分が硬化することにより、樹脂層2は、硬化する。樹脂層2の硬化が完了すると、樹脂層2は、補強層5になる。つまり、補強層5は、樹脂層2の硬化物である。補強層5は、補強対象Pに固定される。
【0103】
図3に示すように、補強層5は、樹脂成分が硬化した母体樹脂51と、発泡剤が発泡することにより生じた複数の気泡52とを含有する。
【0104】
補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合(空孔率)は、83%以上である。補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合は、後述する実施例に記載の方法で測定される。補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合は、軟化した樹脂成分の粘度と、樹脂層2中の発泡剤の割合とによって調節できる。
【0105】
補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合は、好ましくは、83%以上であり、例えば、90%以下、好ましくは、88%以下である。
【0106】
補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合が上記下限値以上であると、補強層5の厚みの増大を図ることができる。
【0107】
樹脂層2の発泡倍率(補強層5の厚み/樹脂層2の厚み)は、例えば、3倍以上であり、例えば、5倍以下である。
【0108】
複数の気泡52の平均径は、例えば、100μm以上、好ましくは、200μm以上であり、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。なお、補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合が同じである場合、複数の気泡52の平均径は、補強部材11の破断強度などに影響する。しかし、1mm曲げ弾性に関して、補強部材11の曲げが小さいので、複数の気泡52の平均径は、1mm曲げ弾性にほとんど影響しない。
【0109】
また、補強層5の母体樹脂51の弾性率は、1.4GPa以上である。補強層5の母体樹脂51の弾性率は、ゴムに対する熱硬化性樹脂の割合によって調節できる。
【0110】
補強層5の母体樹脂51の弾性率は、例えば、5.0GPa以下、好ましくは、4.5GPa以下である。
【0111】
樹脂層2中の樹脂成分の割合が同じであれば、補強層5の母体樹脂51の弾性率が高く、かつ、補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合が高いほうが、1mm曲げ弾性が高くなる傾向にある。
【0112】
そのため、補強層5の母体樹脂51の弾性率を1.4GPa以上にし、かつ、補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合は、83%以上にすることにより、補強部材11の補強性能の向上を図ることができる。
【0113】
硬化工程が完了することにより、図2Bに示すように、補強構造10が形成される。補強構造10は、補強対象Pと、補強部材11とを備える。補強部材11は、補強層5と、拘束層3とを備える。補強部材11は、補強対象Pを補強する。補強層5は、補強対象Pの上に配置される。補強層5は、補強対象Pを補強する。拘束層3は、補強層5の上に配置される。拘束層3は、補強層5の厚み方向において、補強層5に対して補強対象Pの反対側に配置される。
【0114】
3.作用効果
この補強材1によれば、図2Bに示すように、樹脂層2が発泡および硬化することにより得られた補強層5は、補強層5の母体樹脂51の弾性率を1.4GPa以上であり、かつ、補強層5の断面中における複数の気泡52の総面積の割合が83%以上である。
【0115】
そのため、補強材1の補強性能の向上を図ることができる。
【実施例0116】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明する。本発明は、下記の実施例によって限定されない。また、以下の記載において用いられる物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する、物性値、パラメータなどの上限値(「以下」として定義されている数値)または下限値(「以上」として定義されている数値)に代替することができる。
【0117】
(1)樹脂層の作製
各実施例および比較例について、表1および表2に示す材料を混合して樹脂組成物を調製した。
【0118】
得られた樹脂組成物を、プレス成形機により厚さ0.4mmに圧延して、樹脂層を作製した。得られた樹脂層の一方面に、拘束層として、厚さ0.2mmの樹脂含浸ガラスクロスを貼り、樹脂層の他方面(一方面と反対側の表面)に、離型紙を貼った。これにより、補強材を得た。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
以下、表1および表2中の材料について説明する。
【0122】
SBR:スチレン・ブタジエンゴム(商品名:タフデン2003、旭化成ケミカルズ社製)
NBR:アクリロニトリル・ブタジエンゴム(商品名:Nipol1052J、日本ゼオン社製)
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER-828、三菱ケミカル社製、エポキシ当量:190g/eq)
可撓性エポキシ樹脂:ダイマー酸変性エポキシ樹脂(商品名:YD-172、日鉄ケミカルアンドマテリアル社製、エポキシ当量:650g/eq)
粘着付与樹脂1:C5/C9系石油樹脂(商品名:ペトロタック90HM、東ソー社製)
重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)
カーボンブラック(商品名:旭#50、旭カーボン社製)
硫黄(商品名:金華印微粉硫黄、鶴見化学工業社製)
加硫促進剤(商品名:DM、大内新興化学社製)
エポキシ樹脂硬化剤(熱硬化性樹脂硬化剤):ジシアンジアミド(日本カーバイド社製)
発泡剤:4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(商品名:ネオセルボンN#1000S、永和化成工業社製)
(2)空孔率の測定
各実施例および各比較例の補強材を、離型紙を剥がして、補強対象としての冷間圧延鋼板(日本テストパネル社製、SPCC-SD、幅:25mm、長さ:150mm、厚さ0.8mm)の全面に貼り付けた。
【0123】
次に、補強材が貼られた鋼板を、180℃で20分間加熱した。これにより、樹脂層が発泡および硬化し、鋼板上に補強部材(樹脂層の硬化物である補強層と、拘束層とを備える補強部材)を得た。
【0124】
得られた補強部材を鋼板から剥離し、補強層の断面を、マイクロスコープで100倍に拡大し、観察した。
【0125】
マイクロスコープによって得られた断面画像(3000μm×3000μm)において、補強層の断面中における複数の気泡の総面積の割合を、以下の式により計算した。結果を表1および表2に示す。
【0126】
式:空孔率=複数の気泡の総面積/断面画像中の補強層の総面積×100
(3)母体樹脂の弾性率の測定
空孔率の測定と同じ条件で、鋼板上に補強部材を得た。得られた補強部材を鋼板から剥離し、補強層の母体樹脂の弾性率を、ナノインデンター(試験機:Triboindenter、Hysitron Inc.社製)で測定した。
【0127】
バーコビッチ圧子を用いて、最大荷重11000μNで補強層の母体樹脂を押圧し、除荷曲線の20%から85%の傾きに基づいて、弾性率を計算した。結果を表1および表2に示す。
【0128】
(4)1mm曲げ強度の測定
空孔率の測定と同じ条件で、鋼板上に補強部材を得た。
【0129】
鋼板と補強部材とを備える試験片を、鋼板が上向きとなる状態で、100mmの間隔で試験機(引張圧縮試験機:テクノグラフTG-5KN、ミネベアミツミ社製)に支持させ、試験片の長手方向中央に対して、テスト用バーを、上方から速度1mm/分で降下させた。
【0130】
テスト用バーが鋼板に接触した後、テスト用バーが1mm降下したときの曲げ強度(N)が、1mm曲げ強度である。結果を表1および表2に示す。
【符号の説明】
【0131】
1 補強材
2 樹脂層
3 拘束層
5 補強層
51 母体樹脂
52 気泡
10 補強構造
11 補強部材
P 補強対象
図1
図2
図3