(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151323
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
B03B 5/28 20060101AFI20220929BHJP
D21C 5/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B03B5/28 Z
D21C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054344
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504182314
【氏名又は名称】トータルケア・システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 俊康
(72)【発明者】
【氏名】安村 宜之
(72)【発明者】
【氏名】長 武志
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽三
【テーマコード(参考)】
4D071
4L055
【Fターム(参考)】
4D071AA44
4D071AB03
4D071AB15
4D071AB23
4D071BA11
4D071BB03
4D071BB13
4D071CA03
4D071DA15
4L055AA11
4L055AA20
4L055BA01
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、パルプとSAPを含む分離液の濃度を調整する濃度調整部を小型化した分離装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、分離槽と、分離槽から排出される分離液と希釈液とを混合する濃度調整部と、濃度調整部に希釈液を供給する希釈液供給部と、希釈液の供給量を制御する制御部と、を備え制御部は、分離液と希釈液との混合液が所定の濃度となるように、希釈液を供給することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離槽と、
前記分離槽から排出される分離液と希釈液とを混合する濃度調整部と、
前記濃度調整部に希釈液を供給する希釈液供給部と、
前記希釈液の供給量を制御する制御部と、を備え
前記制御部は、前記分離液と前記希釈液との混合液が所定の濃度となるように、前記希釈液を供給することを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記濃度調整部が混合槽である、請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記分離液はパルプ及び吸水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項4】
前記濃度調整部の後段にサイクロン分離機を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項5】
分離槽から排出される分離液に、所定の濃度となるように希釈液を供給する工程を備えたことを特徴とする、分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の重さの異なる固体物を含有する混合液から個体物を分離する分離装置に関する。特に、使用済み紙おむつ等の使用済み衛生用品のパルプ及び吸水性ポリマー(SAP)を回収する、分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み紙おむつ等の使用済み衛生用品の再利用において、使用済み紙おむつからプラスチック、パルプ及び吸水性ポリマー(SAP)を分離、回収することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、攪拌分離槽で、ビニール、パルプ及びSAPを含む混合液(処理液体Q)の引き抜きと給水を繰り返して、ビニールと、パルプ及びSAPと、に分離する使用済み紙おむつの処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の処理では、あらかじめ定められた量の処理対象物を一単位として、その一単位分の処理対象物に対して引き抜きと給水を繰り返し行い、あらかじめ定めた回数の引き抜きと給水が行われた後に、次の一単位の処理を行うようなバッチ処理が行われている。バッチ処理では、最初の引き抜き時のパルプ及びSAPを含む分離液は、パルプ及びSAPの含有量が最も多く、引き抜きを繰り返すことによりパルプと吸水性ポリマー(SAP)の濃度が低くなる。しかしながら、引き抜いた後の分離液をさらにパルプと吸水性ポリマー(SAP)とに分離する工程では、引き抜いた分離液の濃度では、分離作業に適した濃度ではないことから、濃度の調整を行うことが行われている。
【0006】
濃度の調整を行う方法として、1バッチ分の分離液全体の量に対し、後の分離工程に適した濃度となるような希釈液の量を混合槽に予め多めに蓄えておき、その希釈液に分離液を加えることで希釈することが行われている。
よって、濃度を調整するための濃度調整部である、混合槽の大きさが大きくなり、設備全体が大きくなるという課題がある。
そこで、本発明の課題は、パルプとSAPを含む分離液の濃度を調整する濃度調整部を小型化した分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、使用済み衛生用品からパルプ及びSAPを複数回の引き抜き作業を行うことで分離液を回収する場合、引き抜き回数を重ねるごとに当該濃度は低下していくことに着目し、引き抜き作業ごとの分離液の濃度に合わせて希釈液の量を調整することで、濃度調整することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の分離装置である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の分離装置は、分離槽と、分離槽から排出される分離液と希釈液とを混合する濃度調整部と、濃度調整部に希釈液を供給する希釈液供給部と、希釈液の供給量を制御する制御部と、を備え制御部は、分離液と希釈液との混合液が所定の濃度となるように、希釈液を供給することを特徴とする。
【0009】
この分離装置によれば、希釈液の供給量を制御する制御部を備えているため、分離液の濃度によって、所定の濃度となるのに必要な量の希釈液を供給することができる。これにより、混合液の薄めすぎによる量の増加を抑制できることから、濃度調整部の大きさを小さくでき、希釈液の量を節約することができる。
【0010】
本発明の分離装置の一実施態様としては、濃度調整部が混合槽であることを特徴とする。
この特徴によれば、分離槽からの分離液を一度に受け入れることができるため、分離槽の分離処理を効率よく行うことができる。
【0011】
本発明の分離装置の一実施態様としては、分離液はパルプ及び吸水性ポリマーを含むことを特徴とする。
この特徴によれば、パルプとSAPとは重さが異なり、パルプはSAPに比べて軽くいことから、重さの違いを利用した分離装置を用いる場合の処理前に適した濃度とすることができる。
【0012】
本発明の分離装置の一実施態様としては、濃度調整部の後段にサイクロン分離機を備えたことを特徴とする。
この特徴によれば、混合液の濃度をサイクロン分離機に適した濃度に調整することができる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の分離方法は、分離槽から排出される分離液に、所定の濃度となるように希釈液を供給する工程を備えたことを特徴とする。
この分離方法によれば、分離槽から排出される分離液に、所定の濃度となるように希釈液を供給する工程を備えているため、分離液の濃度によって、所定の濃度となるのに必要な量の希釈液を供給することができる。これにより、混合液の薄めすぎによる量の増加を抑制できることから、濃度調整部の大きさを小さくでき、希釈液の量を節約することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パルプとSAPを含む分離液の濃度を調整する濃度調整部を小型化した分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の分離装置を含む衛生用品処理システムを示す概要図である。
【
図2】本発明のパルプ及びSAPを水溶液ごと引き抜く作業の回数とパルプ及びSAPの濃度との関係を示す図である。
【
図3】本発明の分離装置における引き抜き回数のパルプの濃度変化を示す図である。
【
図4】本発明の分離装置と従来の分離装置との濃度構成槽の水位変化と分離液の濃度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る分離装置の実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る分離方法の説明については、本発明に係る分離装置の動作に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する分離装置及び分離方法については、本発明に係る分離装置及び分離方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の分離装置は、分離装置の分離槽で分離された分離液を所定の濃度に希釈する濃度調整部を備えた分離装置である。例えば、使用済み紙おむつ等の使用済みの衛生用品を破砕した破砕物(被処理物)から、ビニール不織布素材等のプラスチックが除去された、吸水ポリマー(SAP)とパルプを含む分離液を希釈するための装置である。
より具体的には、本発明の分離装置の濃度調整部の後段で行われる、吸水ポリマー(SAP)とパルプを含む分離液を分離する際に、分離しやすいように所定の濃度となるように分離液と希釈液とを混合する濃度調整部を備えた分離装置である。
【0018】
まずは、
図1を参照し、本発明の分離装置(第1の分離装置4)を備えた衛生用品処理システム1の全体について説明する。
【0019】
[衛生用品処理システム]
衛生用品処理システム1は、使用済みの衛生用品2を構成する素材を分離回収するシステムである。衛生用品処理システム1は、破砕機3(破砕工程)と、第1の分離装置4(第1の分離工程)と、第2の分離装置5(第2の分離工程)と、プラスチック脱水機6(プラスチック脱水工程)と、パルプ洗浄槽・脱水機7(パルプ洗浄・脱水工程)とSAP洗浄槽・脱水機8(SAP洗浄・脱水工程)とを備える。
【0020】
〈破砕機(破砕工程)〉
破砕機3は、使用済み衛生用品2を裁断・破砕する装置である。破砕機3としては、衛生用品2を裁断・破砕できるものであれば特に限定されず、一軸型破砕機や二軸型破砕機とよばれる破砕機を使用することが可能である。なお、使用済み衛生用品2が袋に詰められて回収される場合においては、袋を破く破袋装置と呼ばれる装置により、袋から使用済み衛生用品が取り出された後に破砕機3で破砕される場合もある。
【0021】
〈第1の分離装置(第1の分離工程)〉
第1の分離装置4は、破砕機3により破砕された衛生用品2のプラスチックと、パルプ及びSAPと、を分離する装置である。
第1の分離装置4としては、破砕された衛生用品2を攪拌、分離できれば装置や処理工程は限定されないが、例えば、パルパーと呼ばれる装置が例示でき、破砕された衛生用品2と分散液とを投入して攪拌が行われ、プラスチック、パルプ、SAP及び分散液とが混合され、被処理液(内容物)とされる。混合後、パルパーに設けられたスクリーンのような分離手段により、分離手段を通過しない不織布のようなプラスチック残渣(固体残渣)と、分離手段を通過したパルプ及びSAPを含む分離液(パルプ・SAP分離液)と、に分離される。なお、パルパーによる混合前又は混合中にSAPを脱水し、分離しやすくするため、塩化カルシウム等の脱水剤が添加される。
【0022】
〈第2の分離装置(第2の分離工程)〉
第2の分離装置5は、第1の分離装置4(本発明の分離装置)で分離したパルプ・SAP分離液からパルプとSAPの分離液を分離する装置である。
第2の分離装置5としては、パルプとSAPとを分離することができれば、装置の種類や処理工程は特に限定されないが、例えば、サイクロン分離機やドラムスクリーンなどのスクリーン分離が行われて、パルプとSAPとに分離される。
なお、第2の分離装置5の分離では、第1の分離装置4で分離したパルプ・SAP分離液の粘度が高いため、そのままの状態では分離しにくい状態である。したがって、分離しやすい濃度に混合槽で、分離液の濃度が調整された後、分離処理が行われる。
【0023】
〈プラスチック脱水機(プラスチック脱水工程)〉
プラスチック脱水機6は、第1の分離装置4からプラスチック残渣と共に排出された液体を分離し、プラスチック残渣を分離回収する。
プラスチック残渣を第1の分離装置4から排出する際に、分散液で洗い流されるように排出されることからプラスチック残渣は、固体残渣と液体が混合された状態で排出される。この状態からプラスチック残渣を脱水できるものであれば、脱水機の種類や処理工程は、特に限定されない。分離されたプラスチック残渣は、回収プラスチックとなる。
【0024】
〈パルプ洗浄槽・脱水機(パルプ洗浄・脱水工程)〉
パルプ洗浄槽・脱水機7は、第2の分離装置5で分離されたパルプを洗浄、脱水してパルプを回収する。第2の分離装置5から分離されて排出されたパルプを洗浄、脱水できる装置であれば、装置の種類や処理工程は特に限定されない。洗浄脱水されたパルプは、回収パルプとなる。
【0025】
〈SAP洗浄槽・脱水機(SAP洗浄・脱水工程)〉
SAP洗浄槽・脱水機8は、第2の分離装置5で分離されたSAPを洗浄、脱水してSAPを回収する。第2の分離装置5から分離されて排出されたSAPを洗浄、脱水できる装置であれば、装置の種類や処理工程は特に限定されない。洗浄脱水されたSAPは、回収SAPとなる。
【0026】
[第1の実施態様]
〔分離装置〕
図2を参照し、本発明の第1の実施の態様の分離装置10について説明する。本発明の分離装置10は、プラスチックと、パルプ及びSAPとを含む分離液13とに分離し、分離されたパルプ及びSAPとを含む分離液13の濃度調整を濃度調整部21でおこなう装置である。分離装置10は、分離槽11と濃度調整部21と制御部22と希釈液供給部23とを備える。
【0027】
<分離槽>
分離槽は、破砕機(破砕工程)で破砕された使用済み紙おむつを、プラスチックとパルプとSAPと分散液とで混合された内容物12(被処理液)を貯留する。使用済み紙おむつは、破砕機によってパルプ、SAP、テープや不織布や防水シート等のプラスチックが破砕され、分離槽11の衛生用品投入部から投入される。分離槽11には、ポリマー分解剤と水のような分散液14とが供給され、攪拌装置で分離槽11内は攪拌され、分離槽11内で、破砕されたパルプ、SAPやプラスチックが分散する。
【0028】
分離槽11内の内容物12からプラスチックとパルプ及び吸水性ポリマー含有の分離液13とに分離することができれば、分離方法は特に限定されないが、例えば、パルパーに設けられたスクリーンのような分離手段により、分離手段を通過しないプラスチック残渣と、分離手段を通過したパルプ及びSAPの分離液13とに分離されたり、分離槽11内のプラスチックが、例えば、プラスチック掻き揚げ装置で掬い挙げられることにより、プラスチックとパルプ及びSAPの分離液13とに分離されたりする。
【0029】
分離槽11から分離液13を引き抜きポンプ24によって引き抜き、濃度調整部21に送る引き抜き作業は、分離槽11内の内容物12に対して複数回行われる。引き抜き作業とは、分離槽11から引き抜きポンプ24で分離液13を引き抜いた後、分離槽11に分散液14が再度供給され、撹拌された後に再度分離液13を引き抜く作業である。この引き抜き作業が一定回数繰り返されることにより、分離槽11内のパルプ及びSAPが内容物12から取り除かれてプラスチックと分離する。
【0030】
<濃度調整部>
濃度調整部21は、分離槽11から送られる分離液13と希釈液供給部23から供給される希釈液25とを混合することで、分離液13の濃度を調整し、混合液26を製造する部分である。
【0031】
濃度調整部21は、分離液13と希釈液25を混合できるものであれば、特に限定されず、インラインミキサーや混合槽を使用することができる。しかしながら、混合槽のような分離液13と希釈液25を溜めることができる構造のものであれば、引き抜き作業時に引き抜かれる分離槽からの分離液13を一度に受け入れることができるため、分離槽11の分離処理を効率よく行うことができる。本実施の形態では、混合槽は、分離槽11の1バッチ分の分離液13の全量(複数回の引き抜き作業で引き抜かれる分離液13の全量)と、1バッチ分の分離液13の全量に対し混合槽の後段の分離工程を行う際に適した濃度とするために必要な希釈液の量と、を貯めておくことができる大きさよりも小さい容量の槽である。
なお、混合槽に図示しない撹拌装置を備えており、分離液13と希釈液25とを攪拌することで、分離液13と希釈液25との混合液26が早期に均一な濃度となる。
【0032】
混合槽には、希釈された分離液13を後工程のパルプとSAPとに分離する後工程に送るための引き抜き部が設けられており、引き抜き部からポンプ31が使用されて、混合液26を後工程の分離機30に送るようになっている。分離槽11から引き抜きが行われた分離液13は、濃度調整部21により希釈液25で希釈され、混合液26となった後、後工程の分離機30に送液される。
【0033】
後工程の分離装置(第2の分離装置5)としては、パルプとSAPとを分離することができれば、装置の種類や処理工程は特に限定されないが、パルプとSAPとは重さが異なり、パルプはSAPに比べて軽いことから、重さの違いを利用した分離装置を利用することが好ましい。例えば、サイクロン分離機を使用することができる。
【0034】
≪制御部≫
制御部22は、分離槽11からの分離液13に対し、分離液13と希釈液25とが濃度調整部21で混合された混合液26が、所定の濃度となるように、希釈液25の供給量を制御する。
【0035】
引き抜き作業で引き抜かれる分離液13におけるパルプ及びSAPの濃度は、1回目の引き抜きにおける分離液13が最も濃度が濃く、引き抜き回数を重ねるごとに低下していく。また、各回の引き抜き作業における分離液13のパルプ及びSAPの濃度は、異なる内容物12(バッチ単位)であっても、対応する回数の分離液13において同程度の濃度を示す(
図3を参照)。つまり、始めに分離槽11に投入された所定量の被処理物を含有する1回目の内容物12(これを第1バッチの内容物121という)について、複数回の引き抜き作業が行われ、第1バッチの121全量について引き抜き作業が終了し、その後に、次に分離槽11に投入された所定量の被処理物を含有する2回目の内容物12(これを第2バッチの内容物122という)について、第1バッチと同様に複数回の引き抜き作業が行われ、第2バッチの内容物122全量について引き抜き作業が終了したとした場合、第1バッチの内容物121における1回目の引き抜き作業における分離液13のパルプ及びSAPの濃度と、第2バッチの内容物122における1回目の引き抜き作業における分離液のパルプ及びSAPの濃度とは、
図3で示すように、0.5%の差であり、概ね同程度を示した。そして、2回目どうしや3回目どうし等の引き抜き作業についても0.5%以下の差となり同様である。
【0036】
よって、制御部22は、分離槽11での引き抜きが何回目かを判断し、その引き抜き回数に合わせてあらかじめ定められた希釈液25を濃度調整部21(混合槽)に供給するように希釈液供給部23を制御する。
【0037】
なお、引き抜き作業が何回目かを決定するため、制御部22は、分離液13を引き抜くポンプ24も制御し、何回目の引き抜き作業であるかを判断し決定させるようにしてもよく、他の方法で引き抜き回数を判断し決定してもよい。そして、その判断を基にあらかじめ定められた量の希釈液25を供給するようにしてもよい。
【0038】
≪希釈液供給部≫
希釈液供給部23は、濃度調整部21である混合槽に希釈液25を追加する。希釈液供給部23は、制御部22からの命令に基づいて、必要量の希釈液25を混合槽に追加する。希釈に用いられる希釈液25は、特に制限されないが、環境負荷の観点から水であることが好ましい。
【0039】
[分離装置の動作について]
次に本発明の分離装置10の動作について説明する。1バッチ分の内容物12の処理が行われ、分離槽11から1回目の分離液13がポンプ24により引き抜かれる。引き抜かれた1回目の分離液13は、濃度調整部21(混合槽)に送られる。制御部22は1回目の引き抜き作業であることを判断する。制御部22は、1回目の引き抜き作業の分離液13に対応する、あらかじめ定められた量の希釈液25を希釈液供給部23から供給することで、分離液13が、後の分離工程に適した濃度の混合液26に調整される。
1回目の引き抜き作業後、分離槽11に分散液14が供給され、2回目の引き抜き作業ができるように処理が進む。
【0040】
図4に示すように、従来の希釈方法では、1バッチ分の引き抜き作業完了後の分離液全体量に対して、後の分離工程に適した濃度となるような量の希釈液を混合槽に予め多めに蓄えているため、一回目の引き抜き作業の分離液が混合されると、希釈液の量が多く、後の分離工程で効率よく分離を行う濃度よりも混合液が薄い状態となり、後工程の分離機への引き抜き開始時点において混合液の濃度が低くなりすぎ、後工程の効率が悪くなる。
【0041】
一方、本発明の場合、引き抜き作業時の分離液13に適した量の希釈液25を、引き抜きの回数(分離液13の濃度)に合わせて供給するように制御部22が希釈液25の量を制御するため、混合液26の濃度が後工程の分離作業に適した濃度に調整でき、希釈液25の使用量を少なくすることができる。そして、希釈液25の使用量を少なくできることから、混合液26の量も少なくすることすることができ、後の分離工程の効率も上昇する。
【0042】
混合液26は、分離槽11が2回目の引き抜き作業を行う前に、後工程の分離機30であるサイクロン分離機に送られ、パルプとSAPの分離作業がおこなわれる。よって、分離槽11の2回目の引き抜き作業が開始される前に、混合槽の混合液26を減らすことができることから、2回目の引き抜き作業時に混合槽の水量を少ない状態としておくことができる。
【0043】
その状態において、2回目の引き抜き作業が行われる。2回目の引き抜き作業時の分離液13の濃度は、1回目の引き抜き作業の分離液13よりもパルプとSAPの濃度が低いことから、2回目の引き抜き作業の際に供給する希釈液25の量は、1回目の引き抜き作業時の希釈液25よりも少なくすることができる。よって、1回目の引き抜き作業の分離液13で生じる混合液26よりも2回目の引き抜き作業の分離液13で生じる混合液26の量を減少させることができる。よって、本発明では、従来の混合槽の大きさよりも濃度調整部21を小型化した分離装置10とすることができる。
その後、分離槽11に分散液14が供給され、所定の回数の引き抜き作業が行われて、分離液13が処理される。
【0044】
以上のように、本発明では、引き抜き回数ごとの分離液13の濃度に合わせて、あらかじめ定められた適量の希釈液25を供給することができることから、使用する希釈液25の量を減らすことができる。そして、従来よりも混合液26全体の量を減少させることもできることから、後工程のサイクロン分離機の処理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0045】
本実施の態様では、引き抜き作業を繰り返すことにより、分離液13のパルプとSAPの濃度が減少していくこと及びバッチ処理ごとにおける引き抜き作業の回数での分離液13の濃度傾向の差異が小さい現象を利用して、何回目の引き抜き作業であるかを判断し、あらかじめ定めた量の希釈液25を供給することとしたが、濃度調整部21に濃度センサーを設け、混合液26の濃度を測定し、後の分離工程に適した濃度となるように、希釈液25を供給するように制御部22が希釈液供給部23を制御してもよい。また、濃度センサーで分離液13の濃度を測定し、その濃度とポンプ24で引き抜かれる分離液13の量とから、後の分離工程に適した濃度となるように、希釈液25を供給するように制御部22が希釈液供給部23を制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る分離装置は、使用済み紙おむつに代表される使用済み衛生用品の構成成分を再利用するための処理装置や処理方法に好適に利用することができる。その他、2種類以上の重さの異なる固体を含有する混合液から固体をサイクロン処理機で分離する際の濃度調整する処理の装置として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0047】
1…衛生用品処理システム、2…衛生用品、3…破砕機、4…第1の分離装置、5…第2の分離装置、6…プラスチック脱水機、7…パルプ洗浄槽・脱水機、8…SAP洗浄槽・脱水機、9…欠番、10…分離装置、11…分離槽、12…内容物、13…分離液、14…分散液、15~20…欠番、21…濃度調整部、22…制御部、23…希釈液供給部、24…ポンプ、25…希釈液、26…混合液、27~29…欠番、30…分離機、31…ポンプ。