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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151324
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】破砕装置及び破砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/00 20060101AFI20220929BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B02C18/00 102A
B02C18/00 106C
B29B17/04 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054345
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504182314
【氏名又は名称】トータルケア・システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 俊康
(72)【発明者】
【氏名】安村 宜之
(72)【発明者】
【氏名】長 武志
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽三
【テーマコード(参考)】
4D065
4F401
【Fターム(参考)】
4D065CA05
4D065CB01
4D065DD05
4D065EA08
4D065EB11
4D065EB20
4D065EC02
4D065EC03
4D065EC05
4D065EC07
4D065ED06
4D065ED16
4D065ED43
4D065ED50
4D065EE07
4D065EE17
4F401AA27
4F401CA01
4F401CA08
4F401CA14
4F401CA16
4F401CA36
4F401EA11
4F401EA64
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する際、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することのできる破砕装置及び破砕方法を提供する。
【解決手段】液体を吸収して膨潤する被処理物の破砕処理において、破砕部と、薬品導入部と、水導入部と、を備え、破砕部の洗浄動作時に、薬品導入部から破砕部に対して薬品を導入し、薬品導入後に、水導入部から破砕部に対して水を導入する破砕装置及び破砕方法を提供する。破砕部の洗浄時において、まず薬品を導入した後、水を導入することで、破砕部に残存した被処理物を除去するとともに、破砕部に付着した薬品の洗浄(除去)を併せて行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する破砕装置であって、
前記被処理物を破砕する破砕部と、
薬品を導入する薬品導入部と、
水を導入する水導入部と、を備え、
前記破砕部の洗浄動作時に、前記薬品導入部から前記破砕部に対して薬品を導入し、薬品導入後に、前記水導入部から前記破砕部に対して水を導入することを特徴とする、破砕装置。
【請求項2】
前記被処理物は、袋詰めされた状態で前記破砕部に投入されることを特徴とする、請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
前記薬品導入部による薬品の導入及び前記水導入部による水の導入を制御する導入制御部を備え、
前記導入制御部は、前記破砕部の運転中、薬品及び水を導入させないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の破砕装置。
【請求項4】
前記破砕部の運転を制御する運転制御部を備え、
前記運転制御部は、前記破砕部の正転運転及び逆転運転を制御することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の破砕装置。
【請求項5】
液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する破砕方法であって、
前記被処理物を破砕する破砕部を駆動する破砕工程と、
薬品を導入する薬品導入工程と、
水を導入する水導入工程と、を備え、
前記破砕部の洗浄工程時に、前記薬品導入工程により前記破砕部に対して薬品を導入し、薬品導入後に、前記水導入工程により前記破砕部に対して水を導入することを特徴とする、破砕方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を破砕するための破砕装置及び破砕方法に関するものである。更に詳しくは、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕するための破砕装置及び破砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭や工場から排出される廃棄物を処理する手段の一つとして、廃棄物を破砕する破砕装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回転軸の周囲に設けられた複数の破砕刃(回転刃と固定刃)を備えた廃プラスチック類を破砕する破砕装置が記載されている。また、特許文献1には、この破砕装置に洗浄水を噴射する洗浄水の噴射装置を設け、破砕対象物の破砕と洗浄を同時に行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-209668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、破砕部として破砕刃を備える破砕装置において、破砕部の運転を円滑に行うため、破砕時に洗浄水のような液体を導入することは知られている。
【0006】
一方、破砕対象物として、液体を吸収して膨潤するものが含まれることがある。このような破砕対象物を破砕処理する際、特許文献1に記載されるように、破砕時において破砕部に対して液体を導入すると、破砕対象物が膨潤してしまい、破砕部の運転や、破砕部への破砕対象物の投入に支障を来すことがある。
【0007】
一方、破砕対象物の膨潤による破砕処理効率の低下を改善するため、破砕時に薬品(酸、塩類等)を添加し、破砕対象物の膨潤を抑制することも行われている。しかし、薬品を用いることにより破砕刃など破砕部を構成する部品の腐食が進行し、破砕部の部品に係る交換頻度が高くなる等、ランニングコストが増大するという問題が生じる。
【0008】
本発明の課題は、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する際、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することのできる破砕装置及び破砕方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する破砕装置において、薬品導入部と水導入部をそれぞれ独立して備え、破砕部の洗浄時に、薬品、水の順に導入することで、破砕部の運転を円滑に行い、かつ破砕部の腐食を低減させた破砕処理を行うことができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の破砕装置及び破砕方法である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の破砕装置は、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する破砕装置であって、被処理物を破砕する破砕部と、薬品を導入する薬品導入部と、水を導入する水導入部と、を備え、破砕部の洗浄動作時に、薬品導入部から破砕部に対して薬品を導入し、薬品導入後に、水導入部から破砕部に対して水を導入することを特徴とする。
この破砕装置によれば、液体を吸収して膨潤する被処理物の破砕において、破砕部の洗浄時に、まず薬品を導入することで、被処理物の膨潤を抑制し、破砕部に残存した被処理物を除去しやすい状態とすることができる。その後、破砕部に水を導入することで、破砕部に残存した被処理物を除去するとともに、破砕部に付着した薬品の洗浄(除去)を併せて行うことができる。これにより、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の破砕装置の一実施態様としては、被処理物は、袋詰めされた状態で破砕部に投入されるという特徴を有する。
この特徴によれば、被処理物が袋詰めされた状態のまま破砕を行うことができ、破砕処理における作業効率を高めることが可能となる。また、洗浄時に薬品及び水の導入を適切に行うことで、被処理物とともに破砕した袋が破砕部に残存することなく、破砕処理を円滑に継続することが可能となる。
【0012】
また、本発明の破砕装置の一実施態様としては、薬品導入部による薬品の導入及び水導入部による水の導入を制御する導入制御部を備え、導入制御部は、破砕部の運転中、薬品及び水を導入させないという特徴を有する。
この特徴によれば、薬品及び水の導入に係る操作を適切に実施することが容易となる。また、破砕部の運転中に薬品及び水を導入させないことで、被処理物の膨潤を抑制した破砕処理が可能になるとともに、薬品と破砕部との接触機会を低減させ、より一層腐食を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の破砕装置の一実施態様としては、破砕部の運転を制御する運転制御部を備え、運転制御部は、破砕部の正転運転及び逆転運転を制御するという特徴を有する。
この特徴によれば、破砕部の運転について正転運転及び逆転運転の切り替えを行うことで、破砕した被処理物が破砕部上に堆積して残存することを抑制し、破砕部による破砕処理をより円滑に進行させることが可能となる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の破砕方法は、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する破砕方法であって、被処理物を破砕する破砕部を駆動する破砕工程と、薬品を導入する薬品導入工程と、水を導入する水導入工程と、を備え、破砕部の洗浄工程時に、薬品導入工程により破砕部に対して薬品を導入し、薬品導入後に、水導入工程により破砕部に対して水を導入することを特徴とする。
この特徴によれば、液体を吸収して膨潤する被処理物の破砕において、破砕部の洗浄時にまず薬品を導入することで、被処理物の膨潤を抑制し、破砕部に残存した被処理物を除去しやすい状態とすることができる。その後、破砕部に水を導入することで、破砕部に残存した被処理物を除去するとともに、破砕部に付着した薬品の洗浄(除去)を併せて行うことができる。これにより、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕する際、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することのできる破砕装置及び破砕方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施態様の破砕装置の構造を示す概略説明図である。
図2】本発明の実施態様の破砕装置の運転制御(破砕工程)を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施態様の破砕装置の他の運転制御(洗浄工程)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る破砕装置及び破砕方法の実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る破砕方法の説明については、本発明に係る破砕装置の運転制御に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する破砕装置及び破砕方法については、本発明に係る破砕装置及び破砕方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0018】
本発明の破砕装置は、被処理物を破砕する装置であって、被処理物を破砕することができる破砕部を備えるものであればよい。本発明の破砕装置に係る破砕部の構造の一例としては、例えば、回転する破砕刃を有する構造として、一軸型破砕機のほか、二軸型破砕機、三軸型破砕機のような複数軸を備える破砕機や、同軸心型破砕機と呼ばれるものが挙げられる。本発明の破砕装置により、いずれの構造においても、破砕処理を円滑に進行させるとともに、破砕部の腐食を抑止することが可能となる。なお、以下の実施態様においては、破砕部として回転する破砕刃を有する二軸型破砕機の構造を有するものについて説明するが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の破砕装置により破砕される被処理物は、液体を吸収して膨張する性質を有するものが含有されていればよく、特に限定されない。本発明の破砕対象となる被処理物の例としては、吸水性を有する繊維や吸水性高分子等を含むものが挙げられる。被処理物の具体的な製品の一例としては、繊維やSAP(高吸水性高分子)を含む衛生用品(紙おむつ、生理用品、ペット用シートなど)、廃水・廃油などを吸着する水油吸着用製品、綿など吸水性を有する繊維からなる布製品等が挙げられる。特に、本発明においては、SAPのように液体を吸収したときの膨張率が高いものを、被処理物として好適に用いることができる。
【0020】
また、本発明の破砕装置により破砕される被処理物は、袋詰めされた状態にあるものとすることができる。特に、衛生用品は、使用ごとに1つ1つが袋詰めされた状態で廃棄されることが多く、破袋処理に係る作業負荷が大きいものである。一方、本発明の破砕装置では、薬品及び水を適切に導入することで、破砕部における被処理物の残存を抑制し、円滑な破砕処理を行うことができることから、袋詰めされた使用済み衛生用品などの被処理物を事前に破袋することなく、破砕処理することができる。本発明の破砕装置により、袋詰めされた状態のまま被処理物の破砕を行うことで、破砕処理における作業効率を高めることが可能となる。
【0021】
[破砕装置]
図1は、本発明の実施態様における破砕装置の構造を示す概略説明図(側面から見た断面図)である。なお、図1中の一点破線の矢印は、制御可能に接続されるものを示している。
【0022】
本発明の実施態様に係る破砕装置1は、被処理物を破砕するための破砕部10と、破砕部の運転を制御する運転制御部20と、薬品を導入する薬品導入部30と、水を導入する水導入部40と、薬品導入部30及び水導入部40の操作を制御する導入制御部50と、を備えている。
【0023】
図1に示すように、破砕部10はケーシング60内に収容されている。また、ケーシング60には、上部(図示上側)に被処理物が投入される投入口61が形成され、下部(図示下側)に被処理物を排出する排出口62が形成されている。
【0024】
(破砕部)
破砕部10は、被処理物を破砕するためのものである。本実施態様における破砕部10としては、回転する破砕刃を有する二軸型破砕機と呼ばれる構造を例示している。
本実施態様の破砕部10における回転軸の配置は、垂直型、水平型いずれの配置としてもよい。
【0025】
図1に示すように、破砕部10は、水平方向(紙面垂直方向)に延びる2つの回転軸11a、11bの周囲に、複数の破砕刃12a、12bを配設し、その刃同士が互いに噛合するように並設されている。また、破砕部10は、破砕刃12a、12bを回転駆動するための駆動部13を備えている。
なお、駆動部13としては、電動モータ、油圧モータ、水圧モータ、空気圧モータエンジン等が挙げられる。
【0026】
破砕部10は、駆動部13が駆動されることで、破砕刃12a、12bが被処理物を巻き込む方向に回転し、投入口61から投入される被処理物を、破砕刃12a、12bの間に挟み込んで破砕し、排出口62から排出する。
なお、図1に示すように、本実施態様の破砕部10は、駆動部13が所定の出力で駆動し、破砕刃12aが右回りに回転し、破砕刃12bが左回りに回転することで、被処理物を破砕するものである。また、このときの破砕部10の運転状態を、破砕部10の正転運転と呼ぶ。一方、破砕刃12aが左回りに回転し、破砕刃12bが右回りに回転することを、破砕部10の逆転運転と呼ぶ。破砕部10の逆転運転により、破砕刃上における被処理物の堆積を抑制することが可能となる。
【0027】
以下、破砕部10の各構成について説明する。
【0028】
回転軸11a及び11bは、駆動部13の駆動動力が伝達されることにより回転する軸部材である。ここで、回転軸11a及び11bに対する駆動部13からの駆動動力の伝達手段は、特に限定されない。例えば、回転軸11aを駆動軸、回転軸11bを従動軸とし、駆動部13と回転軸11a(駆動軸)を接続し、回転軸11a(駆動軸)と回転軸11b(従動軸)をベルトや歯車などで連結することが挙げられる。このとき、駆動部13の駆動動力は回転軸11a(駆動軸)に伝達され、その後、回転軸11a(駆動軸)から回転軸11b(従動軸)に駆動動力が伝達される。また、他の例としては、回転軸11a及び11bをそれぞれ駆動部13に接続することが挙げられる。このとき、それぞれの回転軸11a及び11bに対し、駆動部13の駆動動力が直接伝達される。
なお、本実施態様における破砕装置1は、後述する運転制御部20により破砕部10の駆動を制御するものである。また、回転軸11a及び11bはそれぞれ駆動部13と接続し、回転軸ごとに独立した制御を可能としてもよい。
【0029】
また、回転軸11a及び11bは、それぞれ破砕刃12a及び12bを固定することができる構造であればよく、具体的な形状については特に限定されない。例えば、回転軸11a及び11bと、破砕刃12a及び12bとが嵌合可能となる構造を有するものなどが挙げられる。
【0030】
破砕刃12a及び12bは、被処理物の破砕を行う部材である。破砕刃12a及び12bは、それぞれ回転軸11a及び11bに対して複数枚が積層するように設けられている。この積層した破砕刃12a及び12bにより、被処理物の破砕・切断が行われる。
破砕刃12a及び12bの構造は特に限定されない。例えば、図1に示すように、円周方向に凸状部分を有する構造物を複数設けるもののほか、円周方向に鋭角部分を有する構造物を複数設けるものなどが挙げられる。
【0031】
また、破砕刃12a及び12bを積層する際、積層する破砕刃の間にはスペーサーを設ける(不図示)。これにより、破砕刃を所定間隔で積層することが容易となる。なお、破砕刃とスペーサーは一体に設けられてもよく、別体としてもよい。ここでいう「一体」とは、1つのカッター部と1つのスペーサー部を組み合わせて一体化したもののほか、カッター部とスペーサー部を交互に複数枚積層した組み合わせを一体化したものや、複数のカッター部と複数のスペーサー部の組み合わせを一体化したもの等が挙げられる。これにより、例えば、破砕刃とスペーサーを一体とした場合、部品点数を少なくし、破砕刃の強度を増し、組み立てに係る作業性を高めることができる。一方、破砕刃とスペーサーを別体とした場合、破砕刃やスペーサーの仕様に変更が生じた場合や、いずれかに不具合などによる交換が必要となった場合に、交換に係る対応が容易となる。
【0032】
破砕刃12a及び12bの材質は、特に限定されないが、例えば、工具鋼、クロムモリブデン鋼やステンレス鋼等の金属材料、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素等のセラミックス材料等が挙げられる。強度が高く破損しにくいという観点から、工具鋼、クロムモリブデン鋼やステンレス鋼等の金属材料を用いることが好ましい。
【0033】
(制御部)
運転制御部20は、破砕部10の運転に係る制御を行うものである。
運転制御部20は、破砕部10に対し、配線等により直接接続されるものであってもよく、無線等の通信技術を介して間接的に接続されるものであってもよい。
【0034】
本実施態様の運転制御部20は、破砕処理を円滑に進行するために、破砕部10の運転制御を行うものである。
運転制御部20により制御する破砕部10の運転内容としては、破砕工程時や洗浄工程時における破砕部10の駆動に係るものなどが挙げられる。また、運転制御部20の制御対象としては、駆動部13が挙げられる。
【0035】
破砕部10の運転制御とは、破砕部10の破砕刃12a、12bの駆動・停止、減速・加速、回転方向の制御を指すものである。特に、破砕部10の破砕刃12a及び12bの回転方向の制御を指し、より具体的には、破砕部10の正転運転及び逆転運転の切り替えを行うことが挙げられる。
運転制御部20により破砕部10の運転を制御する具体的手段は、特に限定されない。例えば、オンオフのスイッチ機構、インバータ等により、破砕部10の駆動部13の出力を制御する手段が挙げられる。
【0036】
運転制御部20による破砕部10の正転運転及び逆転運転の切り替えに係るタイミングについては特に限定されない。例えば、一定時間ごとに破砕部10の正転運転及び逆転運転の切り替えを行うものとしてもよく、正転運転及び逆転運転の切り替えを判断する判断部を設けるものとしてもよい。
判断部としては、破砕部10の駆動部13の出力増減を検出する手段や、破砕部10における過負荷を検出する手段を備えるものが挙げられる。そして、駆動部13の出力変化や過負荷検知によって正転運転及び逆転運転の切り替えに係る判断を行い、破砕部10の駆動部13に対する制御を行う。これにより、破砕部10の運転状態に応じ、正転運転及び逆転運転の切り替えを適切なタイミングで行うことが可能となる。
【0037】
本実施態様における破砕装置1は、運転制御部20により、破砕部10の運転について正転運転及び逆転運転の切り替えを行うことで、破砕部10上に被処理物が堆積することを抑制し、破砕部10による破砕処理を円滑に進行させることが可能となる。
また、破砕部10による破砕工程が進行している間は、液体を介在させないことが好ましい。これにより、被処理物の膨潤を抑制した破砕処理が可能となる。したがって、破砕部10に導入される液体については、導入のタイミング等を適切に制御することが好ましい。なお、液体の介在に係る工程の制御については、後述する。
【0038】
また、本実施態様における破砕装置1は、洗浄工程における洗浄剤の導入に係る制御を行うものである。なお、洗浄工程に係る制御は、上述した破砕工程における運転制御部20による破砕部10の運転制御と併せて行うことが好ましい。これにより、破砕時及び破砕後のいずれにおいても、破砕部10上に被処理物が残存することを抑制し、破砕処理を円滑に行うことが可能となる。
【0039】
以下、本実施態様の破砕装置1における洗浄工程に係る構成について説明する。
(薬品導入部)
薬品導入部30は、破砕部10に対し、被処理物の膨潤を抑制する薬品を導入するものである。また、薬品導入部30は、後述する水導入部40による水の導入よりも先に、薬品の導入を行うものである。
薬品導入部30により、破砕部10に対して薬品を導入することで、破砕刃12a及び12b上にある被処理物の膨潤を抑制し、破砕刃12a及び12b上から被処理物を除去しやすい状態とすることができる。
【0040】
薬品導入部30から導入される薬品は、被処理物の膨潤を抑制することができるものであればよい。例えば、高吸水性高分子を不活性化することや、脱水作用を生じることが知られている公知の薬品が挙げられる。より具体的には、塩化カルシウム、クエン酸などが挙げられる。
【0041】
図1に示すように、薬品導入部30としては、薬品を貯留する貯留部30aと、薬品を破砕刃12a及び12bに向けて供給する供給部30bを備えるものが挙げられる。
貯留部30aに貯留される薬品は、固体あるいは液体のいずれであってもよいが、破砕部10全体に効率的に導入するという観点からは、供給部30bから供給される薬品は液体状態であることが好ましい。
したがって、薬品導入部30としては、貯留部30aに液体状の薬品、あるいは固体状の薬品を添加した液体(水溶液)を貯留し、貯留した液体状態の薬品を直接供給部30bから供給すること以外に、貯留部30aに固体状の薬品を貯留し、供給部30bから供給される際に溶媒(水など)と混合し、液体状態とした薬品を供給することなどが挙げられる。
【0042】
供給部30bには、後述する導入制御部50により薬品の供給・停止が可能となる流量制御機構(制御弁など)を設けるものとする。これにより、薬品導入部30からの薬品導入のタイミングについて導入制御部50で制御することが可能となる。
【0043】
また、本実施態様の薬品導入部30は、破砕部10の破砕刃12a及び12bに対して薬品を導入し、破砕刃12a及び12b上に堆積あるいは付着した被処理物に対して薬品を作用させることができるものであればよく、供給部30bを設ける箇所や個数は特に限定されない。
【0044】
(水導入部)
水導入部40は、破砕部10に対し、水を導入するものである。また、水導入部40は、薬品導入部30による薬品導入後、水の導入を行うものである。
水導入部40により、破砕部10に対して水を導入することで、破砕刃12a及び12b上から被処理物を除去するとともに、破砕刃12a及び12bに付着した薬品の洗浄(除去)を行うことができる。これにより、薬品による破砕部10の腐食を抑制することが可能となる。
【0045】
水導入部40から導入される水としては、純水、水道水のほか、他の処理施設から排出された処理水や天然水(河川水、湖沼水)など、塩濃度が低く、安価に入手可能なものを用いることが挙げられる。
【0046】
図1に示すように、水導入部40としては、水を貯留する貯留部40aと、水を破砕刃12a及び12bに向けて供給する供給部40bを備えるものが挙げられる。
供給部40bには、後述する導入制御部50により水の供給・停止が可能となる流量制御機構(制御弁など)を設けるものとする。これにより、水導入部40からの水導入のタイミングについて導入制御部50で制御することが可能となる。
【0047】
また、本実施態様の水導入部40は、破砕部10の破砕刃12a及び12bに対して水を導入し、破砕刃12a及び12b上に堆積あるいは付着した被処理物や薬品を洗浄(除去)することができるものであればよく、供給部40bを設ける箇所や個数は特に限定されない。また、上述した薬品導入部30の供給部30bとの位置関係についても特に限定されない。
【0048】
(導入制御部)
導入制御部50は、破砕部10の洗浄工程における洗浄剤の導入に係る制御を行うものである。より具体的には、導入制御部50は、薬品導入部30による薬品の導入及び水導入部40による水の導入に係る制御を行うものである。
導入制御部50は、薬品導入部30及び水導入部40に対し、配線等により直接接続されるものであってもよく、無線等の通信技術を介して間接的に接続されるものであってもよい。
【0049】
導入制御部50による制御内容については、薬品導入部30及び水導入部40から導入される洗浄剤(薬品及び水)の導入量や、導入のタイミング及び導入の順序などが挙げられる。
特に、導入制御部50により、薬品導入部30による薬品の導入を先に行い、その後で水導入部40による水の導入を行うという、洗浄剤(薬品及び水)の導入順序に係る操作を確実に実行させるようにすることが好ましい。これにより、破砕部の運転に支障を来すことなく、円滑な破砕処理を行うとともに、破砕部の腐食を抑制することができるという本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0050】
また、上述したように、本実施態様の破砕装置1においては、被処理物の膨潤を抑制するために、破砕部10による破砕工程が進行している間は、液体を介在させないことが好ましい。したがって、導入制御部50は、破砕部10の運転中、薬品導入部30及び水導入部40から薬品及び水を導入させないように制御することが好ましい。これにより、液体の介在に係る工程を制御することができ、破砕処理を円滑に進めることが可能となる。
【0051】
ここで、液体の介在に係る工程の制御とは、薬品導入部30及び水導入部40からの洗浄剤の導入に係る制御だけを指すものではなく、破砕装置1の系外から導入される液体全般の導入に係る制御を指すものである。
液体の介在に係る工程を制御する手段としては、特に限定されない。例えば、導入制御部50による薬品や水の供給・停止を行う手段と併せて、破砕刃12a及び12bの回転駆動により発生する熱などを冷却するために系外から導入される冷却水の供給・停止を行う手段などが挙げられる。
このような液体の介在に係る工程の制御については、制御対象と導入制御部50を接続し、導入制御部50による制御を行うようにするものとしてもよく、導入制御部50とは別に制御部を設けるものとしてもよい。
【0052】
また、本実施態様における運転制御部20と導入制御部50は、各々完全に独立した構成とし、それぞれの制御を行うものとしてもよいが、図1に示すように、互いを接続し、制御の内容や制御実行に係る情報を共有するものとしてもよい。例えば、運転制御部20において把握された破砕部10の運転状態に基づき、導入制御部50による薬品や水の導入のタイミングを制御することなどが挙げられる。これにより、破砕部10の運転制御及び液体の介在に係る工程の制御を効率的に行うことが可能となり、破砕処理全体を円滑に進行することができる。
なお、図1に示すように、運転制御部20と導入制御部50を互いに接続することのほか、1つの制御装置内で、運転制御部20と導入制御部50における制御内容を実行するものとしてもよい。これにより、破砕装置1の構造が簡略化され、省スペース化が可能となる。
【0053】
(破砕装置の運転制御)
以下、本発明に係る実施態様として、運転制御部20及び導入制御部50による破砕装置1の運転制御について、例示して説明する。なお、各運転制御における説明及びフローチャートについては、実施態様の例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0054】
まず、破砕部10における破砕工程の運転制御について、図2を参照して説明する。なお、図2は、本運転制御のフローチャートを示している。
【0055】
投入口61を介し、破砕部10に被処理物が投入されるとともに、破砕部10の駆動部13が駆動し、破砕刃12a及び12bが正転運転する。なお、被処理物の投入と駆動部13の駆動開始のタイミングは、同じとしてもよく、どちらかを先に行うものとしてもよい。
正転運転開始後、運転制御部20は、一定時間ごと、あるいは判断部による判断結果に基づき、正転運転から逆転運転に切り替える。正転運転から逆転運転に切り替えた後、逆転運転を一定時間あるいは一定回数行う。この切り替え動作は、バッチ処理中に1回のみ行うものとしてもよいが、図2に示すように、複数回繰り返すことが好ましい。破砕部10の運転について正転運転及び逆転運転の切り替えを行うことで、破砕部10上で被処理物が堆積することを抑制し、破砕部10による破砕処理を円滑に進行させることが可能となる。
また、この間、導入制御部50は、薬品導入部30及び水導入部40からの洗浄剤(薬品及び水)の供給や系外からの液体の導入を全て停止し続ける。これにより、被処理物は破砕時に液体を吸収して膨潤することがなく、かつ破砕刃12a及び12b上、特に破砕刃12a及び12bの噛合箇所において被処理物が堆積することを抑制することができる。
したがって、本実施態様の破砕装置1における破砕工程では、破砕刃12a及び12bの回転駆動に影響を与えることなく破砕処理が円滑に進行する。
【0056】
そして、一定量の被処理物の投入後、又は、一定時間の運転後に、被処理物の投入を停止する。
【0057】
また、投入した被処理物が排出口62から排出され、いわゆるバッチ処理が完了した時点で、破砕部10の洗浄を行う。
【0058】
次に、破砕部10における洗浄工程の運転制御について、図3を参照して説明する。なお、図3は、本運転制御のフローチャートを示している。
【0059】
破砕部10への被処理物の投入が停止された状態から洗浄工程を開始する。
このとき、破砕部10の運転は停止するものとしてもよいが、運転を継続することが好ましい。これにより、洗浄剤が破砕部10全体に行き渡りやすくなるとともに、かつ破砕部10上に残存した被処理物の除去を促進することができ、破砕部10の洗浄効果を高めることが可能となる。なお、このときの破砕部10の運転は、正転運転のみであってもよく、正転運転及び逆転運転を切り替えるものであってもよい。
【0060】
まず、導入制御部50により薬品導入部30から薬品が破砕部10に導入される。そして、一定時間経過後、あるいは一定量の薬品を導入した後、薬品導入部30からの薬品導入を停止する。このとき、破砕部10上に残存した被処理物は、薬品の作用により、不活性化あるいは脱水状態となり、破砕部10から除去しやすい状態となる。
【0061】
次に、導入制御部50により水導入部40から水が破砕部10に導入される。そして、一定時間経過後、あるいは一定量の水を導入した後、水導入部40からの水導入を停止する。このとき、破砕部10上に残存あるいは付着した被処理物及び薬品が除去される。これにより、破砕部10の洗浄と併せて、薬品による破砕部10の腐食を抑制することが可能となる。
【0062】
そして、破砕部10の運転を停止し、洗浄工程を完了させる。なお、水導入部40からの水導入の停止と同時に破砕部10の運転を停止するものとしてもよく、水導入部40からの水導入の停止とは時間差をもって破砕部10の運転を停止するものとしてもよい。
さらに、一定時間が経過した後、次の破砕工程を開始する。
【0063】
以上のように、破砕部10の破砕工程及び洗浄工程の両方に対する運転制御を行い、特に洗浄工程における洗浄剤(薬品及び水)の導入順序を制御することで、破砕した被処理物及び薬品が破砕部10上に残存することを抑制し、破砕部10による破砕処理を円滑に進行させるとともに、破砕部10の腐食を抑制することが可能となる。
【0064】
図2及び図3に例示したフローチャートに基づく運転制御部20による破砕部10の運転制御や、導入制御部50による薬品導入部30及び水導入部40の洗浄剤導入制御については、制御プログラムとして全て自動で実行されるものであってもよく、作業員の手動操作を含むものであってもよい。なお、作業員の労力を低減する観点から、制御プログラムによる自動制御とすることがより好ましい。
【0065】
なお、上述した実施態様は破砕装置及び破砕方法の一例を示すものである。本発明に係る破砕装置及び破砕方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る破砕装置及び破砕方法を変形してもよい。
【0066】
例えば、本実施態様の破砕装置において、破砕部の破砕刃に付着した付着物の掻き取りを行うための構造を設けるものとしてもよい。このような構造の一例としては、破砕刃あるいはスペーサーに対向するようにスクレーパーを設けるものが挙げられる。これにより、運転制御部及び導入制御部による制御と併せて、洗浄工程における洗浄効果を高め、破砕部の運転を円滑に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の破砕装置及び破砕方法は、液体を吸収して膨潤する被処理物を破砕処理するために利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 破砕装置、10 破砕部、11a,11b 回転軸、12a,12b 破砕刃、13 駆動部、20 運転制御部、30 薬品導入部、30a 貯留部、30b 供給部、40 水導入部、40a 貯留部、40b 供給部、50 導入制御部、60 ケーシング、61 投入口、62排出口
図1
図2
図3