(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151362
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】電子カルテシステム、電子カルテ表示方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054398
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】500516850
【氏名又は名称】ソフトマックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】野村 俊郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】医療機関において、他部門の関連システムから、患者の電子カルテを手軽に閲覧できる電子カルテシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステム1に、患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部50と、関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付ける選択受付部101と、選択を受付けた患者に対応する患者情報を、患者情報記憶部50から取得する患者情報取得部102と、取得した患者情報として、患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部103と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムであって、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、
を備える電子カルテシステム。
【請求項2】
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムであって、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者のIDに対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、
を備える電子カルテシステム。
【請求項3】
前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報を表示するウィンドウが、当該関連システムで表示するウィンドウのサブウィンドウとして表示する請求項1又は請求項2に記載の電子カルテシステム。
【請求項4】
前記患者情報表示部は、前記サブウィンドウとは、前記患者情報表示部が横長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの左右いずれか一方に、前記患者情報表示部が縦長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの上下いずれか一方に、前記関連システムで表示する想定的に小さく表示する請求項1乃至3いずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項5】
前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報として、直近のカルテ情報及びオーダー情報を表示する請求項1乃至4いずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項6】
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムに、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶するステップと、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付けるステップと、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得するステップと、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示するステップと、
を備える電子カルテ表示方法。
【請求項7】
患者情報の出力が必要な関連システムと連携するコンピュータに、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶するステップ、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付けるステップ、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得するステップ、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関において、他部門の関連システムから、患者の電子カルテを手軽に閲覧できる電子カルテシステムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院で使用される電子カルテは、患者毎に医療情報の登録及び検索が可能であり、リハビリを行う理学療法士や、放射線治療等を行う放射線技師等の医師や看護師以外が利用するシステムでも閲覧や登録が可能となるようにシステムが構築されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、病院以外の介護施設や、福祉施設も統合した文書を作成、表示する多施設統合型の電子カルテシステムが開示されている。しかしながら、特許文献1では、これら介護施設や福祉施設で使用する全てのデータのシステム統合を行う必要があり、現実的には実施が困難な場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際に、上述のリハビリを行う理学療法士の所属するリハビリ部門や、放射線治療等を行う放射線技師の所属する放射線部門等、電子カルテを参照する必要がある他の部門では、主業務であるリハビリや放射線治療を行うために、手軽に電子カルテを確認して作業を行いたいという要望がある。すなわち、主業務を行う自部門のシステムの表示とともに、患者の全般的な情報に関わる病院の電子カルテ情報を併せて表示しておきたい。
【0006】
しかし、この表示を行うためには、病院の電子カルテシステムにアクセスして、認証のためのログインをする必要があるため、手軽に患者の電子カルテを閲覧することができないという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、他部門の関連システムから、患者の電子カルテを手軽に閲覧できる電子カルテシステム、電子カルテ表示方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムであって、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、
を備える電子カルテシステムを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムにおいて、前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、備える。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、電子カルテシステムのカテゴリであるが、電子カルテ表示方法、及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0012】
第2の特徴に係る発明は、
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムであって、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者のIDに対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、
を備える電子カルテシステムを提供する。
【0013】
第2の特徴に係る発明によれば、患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムにおいて、前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶された患者情報記憶部と、前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者のIDに対してユーザから選択を受付ける選択受付部と、前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得する患者情報取得部と、取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示する患者情報表示部と、備える。
【0014】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明である電子カルテシステムであって、
前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報を表示するウィンドウが、当該関連システムで表示するウィンドウのサブウィンドウとして表示する電子カルテシステムを提供する。
【0015】
第3の特徴に係る発明によれば、第1又は第2の特徴に係る発明である電子カルテシステムにおいて、前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報を表示するウィンドウが、当該関連システムで表示するウィンドウのサブウィンドウとして表示する。
【0016】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明である電子カルテシステムであって、
前記患者情報表示部は、前記サブウィンドウとは、前記患者情報表示部が横長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの左右いずれか一方に、前記患者情報表示部が縦長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの上下いずれか一方に、前記関連システムで表示する想定的に小さく表示する電子カルテシステムを提供する。
【0017】
第4の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明である電子カルテシステムにおいて、前記患者情報表示部は、前記サブウィンドウとは、前記患者情報表示部が横長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの左右いずれか一方に、前記患者情報表示部が縦長である場合には前記関連システムで表示するウィンドウの上下いずれか一方に、前記関連システムで表示する想定的に小さく表示する。
【0018】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明である電子カルテシステムであって、
前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報として、直近のカルテ情報及びオーダー情報を表示する電子カルテシステムを提供する。
【0019】
第5の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明である電子カルテシステムにおいて、前記患者情報表示部は、当該患者のカルテ情報として、直近のカルテ情報及びオーダー情報を表示する。
【0020】
第6の特徴に係る発明は、
患者情報の出力が必要な関連システムと連携した電子カルテシステムに、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶するステップと、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付けるステップと、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得するステップと、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示するステップと、
を備える電子カルテ表示方法を提供する。
【0021】
第7の特徴に係る発明は、
患者情報の出力が必要な関連システムと連携するコンピュータに、
前記患者情報が患者毎に電子カルテとして記憶するステップ、
前記関連システムが端末に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付けるステップ、
前記選択を受付けた患者に対応する患者情報を、前記患者情報記憶部から取得するステップ、
取得した患者情報として、当該患者のカルテ情報を表示するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電子カルテの閲覧が必要な電子カルテの関連システムから、患者の電子カルテを手軽に閲覧できる電子カルテシステムを提供することが可能となる。すなわち、関連システムから、病院の電子カルテシステムに再度認証のためのログインをするアクセスが必要なく、電子カルテの情報が必要な患者の名前をクリック等で選択するだけで、関連システムの利用者が手軽に患者の電子カルテを閲覧することができる。さらに、この表示は、サブウィンドウで左右いずれかの脇に小さめに表示されるので、メインである関連システムのウィンドウ画面を邪魔することなく、必要な情報のみを手軽に閲覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】電子カルテシステム1の概要を説明する図である。
【
図2】電子カルテシステム1の機能構成を示す図である。
【
図3】電子カルテシステム1が実行する電子カルテ表示処理を示すフローチャート図である。
【
図4】電子カルテシステムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
【
図5】リハビリ部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
【
図6】放射線部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
【
図7】会計部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
【
図9】患者情報ウィンドウから履歴ボタンを選択した場合の患者情報履歴ウィンドウの一例である。
【
図10】患者情報のデータの内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0025】
[基本概念/基本構成]
図1は、電子カルテシステム1の概要を説明するための図である。電子カルテシステム1は、患者情報記憶部50に患者情報を記憶しておき、ユーザ5が利用するユーザ端末200からの患者の選択を受け付け、選択された患者情報を患者情報記憶部50から取得し、ユーザ端末200に関情報を表示させるよう制御する電子カルテ装置100と、ユーザ端末200と、患者情報記憶部50と、を少なくとも含むシステムである。
【0026】
患者情報記憶部50に記憶する患者情報には、患者の名前、性別、年齢等の情報に加えて、カルテ情報を含むものとする。カルテ情報とは、所見やSOAP形式(「S(subjective):主観的情報」「O(objective): 客観的情報」「A(assessment): 評価」「P(plan): 計画(治療)」)による記録等の診療情報、薬の処方や注射や検体や画像情報等のオーダー情報を含むものとする。
【0027】
ここで、患者情報記憶部50は、電子カルテ装置100からアクセス可能なデータベースやサーバであってよい。また、
図1では、患者情報記憶部50を電子カルテ装置100とは別の構成として記載しているが、電子カルテ装置100の内部に患者情報記憶部50を含む構成としてもよい。
【0028】
まず、ユーザ5は、ユーザ端末200を使用して、電子カルテシステムの関連システムから、患者の選択を行う(ステップS01)。電子カルテシステムの関連システムとは、具体的には、リハビリを行う理学療法士の所属するリハビリ部門システムや、放射線治療等を行う放射線技師の所属する放射線部門システム、会計を行うための会計部門システム等、実際に診察を行う医師が利用するメインの電子カルテシステムを利用する部門とは違う部門のシステムを想定する。
【0029】
また、患者の選択を行う方法として、患者の名前を関連システムのウィンドウ上で選択することや、音声入力で患者の名前を読み上げること等が考えられる。ステップS01の患者の選択により、ユーザ端末200は、選択された患者の情報を、電子カルテ装置100に送信する。電子カルテ装置100の選択受付部101は、選択された患者の情報を受信する。ここで送受信する患者の情報には、選択した患者の名前を必ず含めるものとする。その他、患者の名前が記録された診察券を、接触式または非接触式カードリーダに通して、カードリーダーから読み取られたデータから患者を選択する方式であってもよい。
【0030】
次に、電子カルテ装置100は受信した患者の情報(名前)を基に、患者情報記憶部50から患者情報を取得する(ステップS02)。患者情報は、前述の通り患者の名前、性別、年齢等の情報に加えて、カルテ情報を含んだものである。
【0031】
図10は、患者情報のデータの内容の一例を示す図である。患者情報には、「名前、性別、年齢、生年月日、ID」等の情報の他に、カルテ情報を含む。カルテ情報には、「診療情報」と「オーダー情報」とを含む。診療情報には、「所見、SOAP形式の記録」等、医師や看護師、理学療法士、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師等の入力する情報を含む。オーダー情報には、「薬の処方、注射、検体、画像情報(レントゲン、MRI、CT等)」等の情報を含む。
図10に示したデータの内容はあくまで一例であり、患者を特定するための情報と、カルテ情報を少なくとも含む構成とすればよい。
【0032】
図1に戻り、最後に、電子カルテ装置100の患者情報表示部103は、ユーザ端末200に対して当該患者情報の表示指示を行い、ユーザ端末200は、患者のカルテ情報を表示する(ステップS03)。ユーザ端末200にカルテ情報を表示する際には、電子カルテシステムの関連システムのウィンドウの邪魔にならないように、サブウィンドウとして左右いずれかの脇に小さめに表示することで、ユーザ5は、必要な情報のみを手軽に閲覧することができる。
図1では、左側の関連システムウィンドウの邪魔にならないように、右側に患者情報ウィンドウを小さめに表示している。
【0033】
図5は、リハビリ部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
図5の上部に示すリハビリ部門システムのウィンドウ中央下部には、「疾患、療法、病棟、診療科、患者氏名、依頼医師名、担当名、指示療法、備考」等が一覧で表示されている。この中から、「患者氏名」を選択することで、
図5の下部に示すように、リハビリ部門システムのウィンドウの左側に、小さめに、患者のカルテ情報として患者情報ウィンドウを表示する。
図5では、患者情報ウィンドウの表示位置を予め空けておく例を記載したが、患者情報ウィンドウの表示時に、関連システムのウィンドウ(
図5ではリハビリ部門システムウィンドウ)のサイズを調整してもよいものとする。
【0034】
図6は、放射線部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
図6の上部に示す放射線部門システムのウィンドウ中央上部には、「実施、状態、予約時間、ID、氏名、性別、生年月日、年齢、病棟、検査種類、検査名、技師名、依頼医師名、検査医師名、看護師名、依頼コメント」等が一覧で表示されている。この中から、「ID」又は「患者氏名」を選択することで、
図6の下部に示すように、放射線部門システムのウィンドウの左側に、小さめに、患者のカルテ情報として患者情報ウィンドウを表示する。ここで、「ID」は、患者を一意に識別可能な数字や文字列等の符号とする。
図6では、患者情報ウィンドウの表示位置を予め空けておく例を記載したが、患者情報ウィンドウの表示時に、関連システムのウィンドウ(
図6では放射線部門システムウィンドウ)のサイズを調整してもよいものとする。
【0035】
図7は、会計部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。ここでは、横長のディスプレイではなく、縦長のタブレットに表示する場合の例として示す。
図7の上部に示す、会計部門システムのウィンドウには、会計担当、患者情報、受付の情報を表示しており、その中で患者情報として、「受付番号、氏名、ID、性別」が表示されている。この中から、「氏名」又は「ID」の項目を選択して、患者を切り替えにより選択することで、
図7の下部に、小さめに、患者のカルテ情報として患者情報ウィンドウを表示する。このように、縦長の画面表示に対応する場合には、関連システムのウィンドウ(
図7では会計部門システムウィンドウ)の上または下に、小さめに患者情報ウィンドウを表示することで、関連システムのウィンドウ画面を邪魔することなく、必要な情報のみを手軽に閲覧することが可能となる。
【0036】
このような電子カルテシステム1によれば、関連システムから、電子カルテシステムに再度認証のためのログインをするアクセスが必要なく、電子カルテの情報が必要な患者の名前を選択するだけで、手軽に患者の電子カルテを閲覧することができる電子カルテシステムを提供することができる。
【0037】
[機能構成]
図2に基づいて、電子カルテシステム1の機能構成について説明する。電子カルテシステム1は、電子カルテ装置100と、この電子カルテ装置100とネットワーク3を介して通信可能に接続されたユーザ端末200と、患者情報記憶部50とを備える。電子カルテ装置100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。
【0038】
電子カルテ装置100は、電子カルテシステム1を提供する管理者により管理されるサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等であり、上述した複数のユーザ端末200、患者情報記憶部50と、公衆回線網等のネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0039】
電子カルテ装置100は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能構成を含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0040】
電子カルテ装置100は、制御部110(非図示)として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、電子カルテ装置100は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、電子カルテ装置100は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0041】
電子カルテ装置100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、選択受付部101、患者情報取得部102、患者情報表示部103を実現する。
【0042】
ユーザ端末200は、理学療法士、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、会計担当等のユーザ200が利用するパーソナルコンピュータや、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末やウェアラブル端末等であり、上述した電子カルテ装置100と、ネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0043】
ユーザ端末200は、端末制御部(非図示)として、上述した電子カルテ装置100における制御部と同様に、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。ユーザ端末200は、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。また、ユーザ端末200は、入出力部(非図示)として、データや画像や音声等を入出力する入出力デバイス等を備える。また、ユーザ端末200は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、ユーザ端末200は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0044】
ユーザ端末200において、端末制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、入出力部、記憶部、処理部と協働して、選択受付部201、患者情報表示部203、関連システム表示部204を実現する。
【0045】
患者情報記憶部50は、電子カルテ装置100からアクセス可能なデータベースやサーバであってよい。また、
図2では、患者情報記憶部50を電子カルテ装置100とは別の構成として記載しているが、電子カルテ装置100の内部に患者情報記憶部50を含む構成としてもよい。
【0046】
[電子カルテ表示処理]
図3に基づいて、電子カルテ装置100と、ユーザ端末200とが実行する電子カルテ表示処理について説明する。
図3は、電子カルテ装置100と、ユーザ端末200とが実行する電子カルテ表示処理のフローチャートを示す図である。上述した各部が実行する処理について、本処理にあわせて説明する。
【0047】
初めに、ユーザ5の指示により、ユーザ端末200の関連システム表示部204は、関連システムを起動して、関連システムウィンドウを表示する(ステップS301)。例えば、ユーザ5が理学療法士であればリハビリ部門システム、放射線技師であれば放射線部門システム、会計担当であれば会計部門システム等をそれぞれ起動することを想定する。
【0048】
次に、ユーザ端末200の選択受付部201は、関連システムがユーザ端末200に表示した患者情報のうち、患者の名前に対してユーザから選択を受付ける(ステップS302)。
【0049】
次に、ユーザ端末200の選択受付部201は、選択された患者の情報を電子カルテ装置100に送信する(ステップS303)。ここで送信する患者の情報には、患者の名前を必ず含めるものとする。
【0050】
電子カルテ装置100の選択受付部101は、選択された患者の情報を受信する(ステップS304)。
【0051】
次に、電子カルテ装置100の患者情報取得部102は、受信した患者の情報(名前)を基に、患者情報記憶部50から患者情報を取得する(ステップS305)。患者情報は、前述の通り患者の名前、性別、年齢等の情報に加えて、カルテ情報を含んだものである。
【0052】
図10は、患者情報のデータの内容の一例を示す図である。患者情報には、「名前、性別、年齢、生年月日、ID」等の情報の他に、カルテ情報を含む。カルテ情報には、「診療情報」と「オーダー情報」とを含む。診療情報には、「所見、SOAP形式の記録」等、医師や看護師、理学療法士、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師等の情報を含む。オーダー情報には、「薬の処方、注射、検体、画像情報(レントゲン、MRI、CT等)」等の情報を含む。
図10に示したデータの内容はあくまで一例であり、患者を特定するための情報と、カルテ情報を少なくとも含む構成とすればよい。
【0053】
図3に戻り、電子カルテ装置100の患者情報表示部103は、取得した患者情報と、患者情報を表示するようにという指示をユーザ端末200に送信する(ステップS306)。
【0054】
ユーザ端末200の患者情報表示部203は、患者情報と、患者情報を表示するようにという指示を受信する(ステップS307)。
【0055】
最後に、ユーザ端末200の患者情報表示部203は、受信した患者情報と、患者情報を表示するようにという指示を基に、受信した患者のカルテ情報を表示する(ステップS308)。ユーザ端末200にカルテ情報を表示する際には、電子カルテシステムの関連システムのウィンドウの邪魔にならないように、サブウィンドウとして左右いずれかの脇に小さめに表示することで、ユーザ5は、必要な情報のみを手軽に閲覧することができる。
【0056】
図5は、リハビリ部門システムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。
図5の上部に示す、リハビリ部門システムのウィンドウ中央下部には、「疾患、両方、病棟、診療科、患者氏名、依頼医師名、担当名、指示療法、備考」等が一覧で表示されている。この中から、「患者氏名」を選択することで、
図5の下部に示すように、リハビリ部門システムのウィンドウの左側に、小さめに、患者のカルテ情報として患者情報ウィンドウを表示する。
図5では、患者情報ウィンドウの表示位置を予め空けておく例を記載したが、患者情報ウィンドウの表示時に、関連システムのウィンドウ(
図5ではリハビリ部門システムウィンドウ)のサイズを調整してもよいものとする。
【0057】
以上が、電子カルテ表示処理である。
【0058】
このような電子カルテシステム1によれば、関連システムから、電子カルテシステムに再度認証のためのログインをするアクセスが必要なく、電子カルテの情報が必要な患者の名前を選択するだけで、手軽に患者の電子カルテを閲覧することができる電子カルテシステムを提供することができる。
【0059】
[電子カルテシステムウィンドウ]
図4は、電子カルテシステムウィンドウと患者情報ウィンドウの画面の一例である。実際に診察を行う医師が利用するメインの電子カルテシステムの例である。患者情報ウィンドウとしてカルテ情報を表示する際には、電子カルテシステムのウィンドウの邪魔にならないように、サブウィンドウとして左右いずれかの脇に小さめに表示することで、他部門の情報等も手軽に閲覧することができる。
図4では、左側の電子カルテシステムウィンドウの邪魔にならないように、右側に患者情報ウィンドウを小さめに表示している。電子カルテシステムウィンドウの表示内容や入力・編集可能な項目は、個人、職位、担当部署毎に切り替えてもよいものとする。
【0060】
[患者情報ウィンドウ]
図8は、患者情報ウィンドウの画面の一例である。患者情報ウィンドウは、関連システムウィンドウや、電子カルテシステムのウィンドウの邪魔にならないように表示する。ユーザ端末200の表示部が横長である場合には、関連システムウィンドウや電子カルテシステムウィンドウの左右いずれか一方に表示する。ユーザ端末200の表示部が縦長である場合には、関連システムウィンドウや電子カルテシステムウィンドウの上下いずれか一方に表示する。患者情報ウィンドウの表示内容は、呼び出し元のシステムの種類に応じて、表示する項目を切り替えてもよい。または、ユーザ5個人のアクセス件に応じて、表示する項目を切り替えてもよい。患者情報ウィンドウの画面の「履歴」ボタンを選択した場合、別のウィンドウとして、「患者情報履歴ウィンドウ」を表示する。
【0061】
[患者情報履歴ウィンドウ]
図9は、患者情報ウィンドウから履歴ボタンを選択した場合の患者情報履歴ウィンドウの一例である。
図8の患者情報ウィンドウの画面から、「履歴」ボタンを選択した場合に常時するものである。患者情報履歴ウィンドウでは、部門間の連携に関わる表示を行う。患者のオーダー状況(薬の処方、注射、検体、画像情報等)が分かるものとする。依頼を〇、実施済みを●等、マークを利用して表示してもよい。検査ステータスや予約状況など、履歴を分かりやすく確認することができる。
【0062】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 電子カルテシステム
3 ネットワーク
5 ユーザ
50 患者情報記憶部
100 電子カルテ装置
101 選択受付部
102 患者情報取得部
103 患者情報表示部
200 ユーザ端末
201 選択受付部
203 患者情報表示部
204 関連システム表示部