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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151380
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】宅配移動車
(51)【国際特許分類】
   B62K 7/00 20060101AFI20220929BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220929BHJP
   B60P 3/20 20060101ALI20220929BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20220929BHJP
   B62J 9/23 20200101ALI20220929BHJP
   B62J 9/28 20200101ALI20220929BHJP
【FI】
B62K7/00
F25D11/00 101F
B60P3/20 A
B62K5/027
B62J9/23
B62J9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054420
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】517147249
【氏名又は名称】フラッグス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】松江 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】繁永 進
【テーマコード(参考)】
3D011
3L045
【Fターム(参考)】
3D011AA03
3D011AD22
3L045AA07
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA04
3L045EA01
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】荷台に載置した収納ケースに可及的に多くの料理商品を収納し、収納した料理商品に満遍なく保温保冷機能を及ぼすことを可能とするとともに、配達者の種々の負担を軽減する宅配移動車を提供する。
【解決手段】前部に運転席を後部に荷台を有するキャノピー付きの宅配車本体と、運転席の足元に設置したバッテリーと、内部所要位置に循環ファンを配設した荷台に搭載可能な収納庫本体と、収納庫本体の内部に収納し保温保冷制御を可能とした複数個の保温保冷ケースと、よりなる宅配移動車とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に運転席を後部に荷台を有するキャノピー付きの宅配車本体と、運転席の足元に設置したバッテリーと、内部所要位置に循環ファンを配設した荷台搭載可能な収納庫本体と、収納庫本体の内部に収納し保温保冷制御を可能とした保温保冷ケースと、よりなる宅配移動車。
【請求項2】
収納庫本体の内部に保温保冷ケースを収納すると共に、該ケース内部にペルチェ素子からなる保温保冷機能部を配設したことを特徴とする請求項1に記載の宅配移動車。
【請求項3】
ペルチェ素子からなる保温保冷機能部は保温保冷ケースを仕切って形成した機能空間部の仕切り壁に設けると共に、機能空間部の仕切り壁にペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース内に流入させるための流入ファンを設け、しかも、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部に外部空気を取り込む取り込みファンを機能空間部の外壁に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の宅配移動車。
【請求項4】
収納庫本体の前面上縁部に跳ね上げ式の開閉蓋体を設けると共に、収納庫本体の前面下縁部に引き出し自在のテーブルを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の宅配移動車。
【請求項5】
宅配車本体の天井面側縁に巻き取り式のテントを張り出し自在に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の宅配移動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、宅配時に使用可能であり、かつ移動式店舗としても使用することができる宅配移動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗での販売ではなくユーザーの指定する場所まで配達するいわゆる宅配事業においては配達するための移動車が必要である。かかる宅配移動車としては三輪車などの小回りの利く移動車の荷台に宅配物を搭載可能に構成したものが使用されている。
【0003】
また、宅配移動車としては、移動車の後部に特定配達物としての料理を保管するための収納ケースを搭載して冷めないうちに料理を配達することができるように構成したものがある。この収納ケースとしては、料理を適温で配達することができるように構成された保温機能および保冷機能が一体型となったものが種々提案されている(例えば特許文献1および2)。
【0004】
例えば、特許文献1に開示の保温保冷機能を備えた収納ケースは、複数個の倉庫室に区切られ、開閉扉を有する車載用貯蔵庫と、各倉庫室に設けられた温度計及び温度制御装置と、ベルチエ素子を有し着脱自在に設けられた温熱・冷熱発生体と、直流電流を供給するための電流源と、直流電流の向きを変える変換器とを備えている。
【0005】
また、特許文献2に開示の保温保冷機能を備えた収納ケースは、開口部をドアで開閉自在とした庫体と、庫体を上部貯蔵室および下部貯蔵室に仕切る為の仕切り棚と、上部貯蔵室および下部貯蔵室にそれぞれ収容されるエバポレータと、上部貯蔵室および下部貯蔵室の少なくとも一方に収容される加熱用のパネルヒータと、エバポレータに冷媒を供給するための冷却ユニットとを備えている。
【0006】
このように、特許文献1および特許文献2に開示の保温保冷機能を備えた収納ケースの構造によれば、1つの収納ケース内に温熱状態および冷熱状態の収納空間をそれぞれ備えることが可能であるため、例えば温かい食品および冷たい食品をそれぞれの適温が維持された状態で配達し、顧客に提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-325710号公報
【特許文献2】特開2002-130894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらに開示の保温保冷機能を備えた収納ケースでは、収納された料理に対して十分な保温あるいは保冷機能を果たせない虞があった。
【0009】
一般的に、移動車の荷台に収納ケースを搭載し、その中に料理を収納して宅配する形態においては、収納ケース中に最大の料理収納量を確保するために収納ケースの内容積を可及的に大とする必要がある。
【0010】
収納ケースの内容積が大となれば、宅配時における移動車の大きさや配達時の種々の負担が大きくなり、かつ移動車の操作もその分複雑で煩雑となる。更には、大容量の収納ケース内部において保温保冷機能を一定の規模で維持する為に電源を如何に構築するかという基本的な問題も解決しなければならない。しかも、荷台に載置した収納ケースの内部構造は可及的に多くの料理商品を収納可能とする機能を必要とする。したがって、仮に収納ケース内部を効率的に料理商品を収納可能となる区画構造とすれば、収納した料理に満遍なく保温保冷機能及ぼすことが困難となり、必然的に料理の収納量を制限する等の必要が生じる。
【0011】
この発明では、三輪や四輪等の移動車の荷台に収納ケースを搭載し、その内部には上下2段の棚板を架設し、運転席の足元にはバッテリーを搭載し、また収納ケース内の適宜位置に温風や冷風を循環する為の空気攪拌用のファンを設置することにより上記の課題を解決する宅配移動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、前部に運転席を後部に荷台を有するキャノピー付きの宅配車本体と、運転席の足元に設置したバッテリーと、内部所要位置に循環ファンを配設した荷台搭載可能な収納庫本体と、収納庫本体の内部に収納し保温保冷制御を可能とした保温保冷ケースと、よりなる宅配移動車を提供せんとするものである。
【0013】
また、宅配移動車は、収納庫本体の内部に保温保冷ケースを収納すると共に、該ケース内部にペルチェ素子からなる保温保冷機能部を配設したことを特徴とする。
【0014】
また、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部は保温保冷ケースを仕切って形成した機能空間部の仕切り壁に設けると共に、機能空間部の仕切り壁にペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース内に流入させるための流入ファンを設け、しかも、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部に外部空気を取り込む取り込みファンを機能空間部の外壁に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、宅配移動車は、収納庫本体の前面上縁部に跳ね上げ式の開閉蓋体を設けると共に、収納庫本体の前面下縁部に引き出し自在のテーブルを設けたことを特徴とする。
【0016】
また、宅配移動車は、宅配車本体の天井面側縁に巻き取り式のテントを張り出し自在に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、前部に運転席を後部に荷台を有するキャノピー付きの宅配車本体と、運転席の足元に設置したバッテリーと、内部所要位置に循環ファンを配設し、荷台に搭載可能な収納庫本体と、収納庫本体の内部に収納し保温保冷制御を可能とした保温保冷ケースと、よりなる宅配移動車とし、また、収納庫本体の内部に保温保冷ケースを収納すると共に、該ケース内部にペルチェ素子からなる保温保冷機能部を配設し、また、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部は保温保冷ケースを仕切って形成した機能空間部の仕切り壁に設けると共に、機能空間部の仕切り壁にペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース内に流入させるための流入ファンを設け、しかも、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部に外部空気を取り込む取り込みファンを機能空間部の外壁に設け、また、収納庫本体の前面上縁部に跳ね上げ式の開閉蓋体を設けると共に、収納庫本体の前面下縁部に引き出し自在のテーブルを設け、また、宅配車本体の天井面側縁に巻き取り式のテントを張り出し自在に設けたことにより、次のような効果が発生する。
【0018】
(1)宅配車本体は通常のキャノピー付きで荷台を設けたものが入手しやすく、かかる宅配車本体の運転席の足元にバッテリーを設置するので狭い小型の宅配車本体に作業に支障とならないように有効にバッテリーを搭載することができる。
【0019】
(2)複数の保温保冷ケースを収納庫本体に上下二段に分離して載置すれば、やや大きめの料理容器でも保温保冷ケース内に上下分離して収納することができる。しかも、大きな収納庫の内部に小分けの保温保冷ケースを収納することもでき、保温保冷ケースはそれぞれが独自に保温保冷機能を果たしそれぞれのケースごとに保温保冷の制御が可能であり、収納料理の保温や保冷を個別に行いながら宅配までの時間有効に使用して出来合いの料理と同じ状態で料理の宅配が可能となる効果がある。
【0020】
(3)更には、収納庫本体の内部に複数の保温保冷ケースを収納すると共に、該ケース内部にペルチェ素子からなる保温保冷機能部を収納すれば、簡単に保温と保冷の切り替えが行えるため宅配収納する料理の種類に応じて宅配環境を容易に変更することができる効果がある。
【0021】
(4)保温保冷機能を小形装置により得ることができるので保温保冷ケース外観を可及的に小型にして内部収納容積を拡大することができるので宅配事業に大きく貢献することができる。
【0022】
(5)通常の熱交換機能装置に比較して熱媒体を要しないために小外形容量に関わらず熱交換効率を向上し、かつ装置そのものの価格も安価にして宅配事業に普及しやすい効果がある。
【0023】
(6)小型の三輪車の荷台に積載する際にペルチェ素子からなる保温保冷機能部によって重量、容積も削減できることから宅配車としての全体の運用に簡便で取扱いも行いやすく宅配普及事業の条件が整いやすい効果がある。
【0024】
(7)ペルチェ素子は小型化しやすい利点を有するので保温保冷機能部を設置する場所を任意に設定できることになり全体のレイアウト規格を自在に変更して宅配料理の種類に限定されることなく従来宅配に向かないとされる食べ物、例えば冷菓等が自在に宅配できクライアントの要望に可及的に沿うことができ宅配事業の興隆に貢献することができる効果がある。
【0025】
(8)ペルチェ素子からなる保温保冷機能部は保温保冷ケースを仕切って形成した機能空間部に収納すると共に、ペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース内に流入させる流入ファンを機能空間部の仕切り壁に設け、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部に外部空気を取り込む取り込みファンを機能空間部の外壁に設けたことにより、効率的なペルチェ素子機能を十分に発揮することができる効果があり、しかも構造を簡便にして可及的な保温保冷機能の向上をすることができる効果がある。
【0026】
(9)収納庫に循環ファンを設置した場合収納庫本体内において外気との換気を促し多数の保温保冷ケース内での保温保冷機能を確実に維持することができため収納料理の保温保冷の維持を長時間確実に持続することができる効果がある。また、収納庫本体の前面上縁部に設けた跳ね上げ式の開閉蓋体及び収納庫本体の前面下縁部に設けた引き出し自在のテーブルにより宅配以外での移動販売車として車体のテーブルで販売商品を並べたり加工したりしながらの商品の販売を行うことができる効果がある。
【0027】
(10)開閉蓋体によって雨天や日照りからの回避ができるので天候に左右されずに移動車としての機能を十分に達成することができる効果がある。更には必要に応じて宅配車本体の天井面側縁に張り出し自在に設けたテントを設けることにより車体の側方に食事のためのイスやテーブルを設置してイートイン状態での料理の提供が行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態にかかる宅配移動車を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる収納庫本体を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる宅配移動車を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる宅配移動車を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる保温保冷ケースを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる保温保冷機能部を示す端面図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる保温保冷機能部を示す分解斜視図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる保温保冷ケースを示す一部切欠き斜視図である。
図9】本発明の一実施形態にかかる保温保冷ケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の要旨は、前部に運転席を後部に荷台を有するキャノピー付きの宅配車本体と、運転席の足元に設置したバッテリーと、内部所要位置に循環ファンを配設した荷台搭載可能な収納庫本体と、収納庫本体の内部に収納し保温保冷制御を可能とした保温保冷ケースと、よりなる宅配移動車に関する。
【0030】
また、収納庫本体の内部に保温保冷ケースを収納すると共に、該ケース内部にペルチェ素子からなる保温保冷機能部を収納したことを特徴とする。
【0031】
また、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部は保温保冷ケースを仕切って形成した機能空間部に収納すると共に、ペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース内に流入させる流入ファンを機能空間部の仕切り壁に設け、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部に外部空気を取り込む取り込みファンを機能空間部の外壁に設けたことを特徴とする。
【0032】
また、収納庫本体の前面上縁部に跳ね上げ式の開閉蓋体を設けると共に、収納庫本体の前面下縁部に引き出し自在のテーブルを設けたことを特徴とする。
【0033】
また、宅配車本体の天井面側縁に巻き取り式のテントを張り出し自在に設けたことを特徴とする。
【0034】
すなわち、本発明は、例えばキャノピー付きの宅配車本体において、宅配車本体の後部に設けられる荷台に載置可能な収納庫本体の構造、および収納庫本体に収納する保温保冷ケースの構造に工夫を施すことにより、収納スペースを可及的に大としながらも収納物(料理等)を充分に保冷および保温する機能を発揮する構成を実現するものである。以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【0035】
本実施例において、宅配移動車1は、図1に示すように、前部に運転席を後部に荷台11を有するキャノピー付きの宅配車本体10と、運転席の足元に設置したバッテリー12と、荷台11に搭載された収納庫本体20と、宅配車本体10の天井面側縁に張り出し自在に設けたテント40とを有している。
【0036】
宅配車本体10は、左右一対の後輪を備え、停車時に荷台11に載置する収納庫本体20が水平状態を維持できる小型三輪車輌である。また、宅配車本体10は、後述するテント40が収納されたテント収納ケース45を天井面に載置可能なキャノピー或いはそれに類する構造を備えている小型車輌であれば自由に選択することができる。
【0037】
宅配車本体10の運転席の足元には、バッテリー12が設置されている。バッテリー12は、後述する循環ファン26および収納庫本体20の内部に収納される複数個の保温保冷ケース30に直流電流を供給するために設けられている。具体的には、バッテリー12は、収納庫本体20と電気的に接続しており、収納庫本体20の内部所要位置に配設された循環ファン26に及びペルチェ素子部37に直流電流を供給する。収納庫本体20の内部周壁には複数個配置されたコンセントを介して保温保冷ケース30に直流電流を供給している。
【0038】
収納庫本体20は、図2に示すように、前面(宅配車本体10においては後方に相当する)に開口20aが形成された略立方形状体であり、収納庫本体20の前面上縁部20bに設けられて開口20aを開閉自在とする跳ね上げ式の開閉蓋体21と、収納庫本体20の前面下縁部20cに設けられた引き出し自在のテーブル22とを有している。また、収納庫本体20の内部周壁には、コンセントが複数個配置されている。収納庫本体20の素材は、所定の強度および耐久性を備えていれば自由に選択することができるが、軽量かつ耐熱性に優れた樹脂素材を採用することが好ましい。
【0039】
収納庫本体20の大きさは、一度に運搬できる料理や食器類の量をするために内部の収納空間を可及的に大とする。したがって、収納庫本体20は、道路交通法で定める基準の範囲において可及的に大とする形状が好ましい。例えば、収納庫本体20を宅配車本体10の荷台11に載置した際に、左右幅が荷台11の左右縁部からそれぞれ15cm以内、前後幅が荷台11の後縁部から30cm以内、および天井部が地面から2m以内となるように構成する。
【0040】
また、収納庫本体20の収納空間20’は、略中央部を板状体の棚板23によって上下二段に仕切られ、上段収納部24と下段収納部25とを形成している。棚板23は、板厚み方向を上下方向とし、上下方向に貫通形成された孔を複数個備える多孔構造23’となっている。
【0041】
棚板23の素材としては、強度と耐久性とに優れた素材を採用することができ、例えばステンレスを素材として構成することができる。ステンレス製の棚板23であれば、多孔構造23’としても折れたり曲がったりしないため、上部に重量物を置くことも可能となる。
【0042】
収納庫本体20内の保温保冷ケース30における内部所要位置には循環ファン26が配設されている。循環ファン26は、バッテリー12から供給される直流電流によって作動し、収納庫本体20内部の空気と外気とを置換させている。
【0043】
循環ファン26を配置する内部所要位置としては、例えば収納庫本体20の内壁面上方が好ましい。一般的に、温かい空気(以下、温風とも言う。)は上昇する性質を備えている。そのため、循環ファン26を収納庫本体20の内壁面上方に備えることにより、後述する保温保冷ケース30から排出された温風を効率よく収納庫本体20の外部へ排出する
ことができる。
【0044】
特に、棚板23を多孔構造23’に形成することにより、収納庫本体20内の下方、すなわち下段収納部25に収納された保温保冷ケース30から排出される温風を循環ファン26の近傍まで上昇させ、循環ファン26によって収納庫本体20外部へと排出することとなる。このように、収納庫本体20においては、循環ファン26を内壁面上方に形成し、棚板23を多孔構造に形成することにより、内部に滞留した温風を外部へと効率よく排出することができる構造となっている。
【0045】
開閉蓋体21は、収納庫本体20の蓋としての機能を果たす板状体である。収納庫本体20の収納空間20’に載置された内容物が宅配移動車1から落下することを防ぐために設けられている。
【0046】
開閉蓋体21は、図1に示すように、収納庫本体20の前面上縁部20bに設けられた蝶番21aを介して、収納庫本体20の前面上縁部20bに跳ね上げ式に枢支されている。しかも、開閉蓋体21の上方側縁部には、開扉固定用のステーが備えられているため、開閉蓋体21を開いた状態で使用者が手を放しても開扉状態を維持することができ、使用者は両手を使って料理の出し入れを行うことができる。しかも、ステーは、開閉蓋体21が必要以上に開扉することを防ぐための規制部としても機能し、開閉蓋体21が使用者の頭頂部よりも少しだけ上方に傾斜する態様に固定している。本実施形態にかかる宅配移動車1を露店として活用する際には、開扉状態が維持された開閉蓋体21を雨天や日照りを避けるための庇として使用することもできる。
【0047】
開閉蓋体21の下方縁部には、閉扉固定部21bを設けることもできる。閉扉固定部21bの一例としてはパッチン錠を採用することができる。開閉蓋体21に設けられた閉扉固定部21bは、料理輸送時の大きな振動により開閉蓋体21が開扉し、収納庫本体20内の収納物の落下を確実に防ぐことができる。
【0048】
テーブル22を設けたことにより、その上面部で料理等を加工、包装又はその他の作業を行うことができる。例えば、テーブル22に提供する料理を載置してソースをかけたり、料理皿に蓋を被せたりすることができる。
【0049】
テーブル22は、図1に示すように、収納庫本体20の前面下縁部20cに設けられた収納空間22aに収納された板状体である。収納空間22aは、テーブル22と略同形状、かつ、収納庫本体20の底面部と略平行に形成されている。これにより、テーブル22を使用する為に前方へ摺動させて収納空間22aから引き出すことができる。
【0050】
また図示しないが、テーブル22の前方縁部には、操作用の突縁を設けて、テーブル22の出し入れ操作等を容易としている。またテーブル22の後方には、テーブル22の最大引き出し位置を規制する規制部が形成されており、テーブル22が収納空間22aから抜け落ちることを防いでいる。
【0051】
このような構成の収納庫本体20は、宅配車本体10から滑落することを防ぐために背面部20dに設けた連結部27(図1では2箇所)によって、宅配車本体10のフレームと一体に構成されている。具体的には、連結部27は、図1に示すように側面視で略T字状に構成されており、一端側(T字頂部側)が収納庫本体20の背面部20dに配置されており、他端側(T字底部側)が宅配車本体10のフレームと係合可能なリング状に構成されている。かかる構成の連結部27は、収納庫本体20の前後の動きを規制している。
【0052】
収納庫本体20に形成される上段収納部24および下段収納部25には、複数個の保温保冷ケース30が収納されている。保温保冷ケース30は、断熱性の素材で形成された略方形状の箱体であって、前面には開閉自在な扉を備えている。保温保冷ケース30には、内部に複数個の仕切り板を設けることにより、料理の出し入れを円滑に行うことができる。なお、本実施形態では、保温保冷ケース30は、上段収納部24と下段収納部25とに1個ずつ収納されている。
【0053】
収納された保温保冷ケース30には、収納庫本体20の内部周壁に複数個配置されたコンセントを介して直流電流がバッテリー12から供給されている。このように構成されることにより、保温保冷ケース30を収納庫本体20から容易に取り外すことができ、例えば、保温保冷ケース30が故障した際またはサイズを変更する際であっても、即座に交換することが可能となる。
【0054】
保温保冷ケース30は、図2及び図5に示すように、ペルチェ素子を利用した加熱および冷却が可能な保温保冷機能部31を備えている。すなわち、保温保冷ケース30は、バッテリー12より供給される直流電流の方向を変換器によって操作し、保温保冷機能部31が温熱状態と冷温状態とを該ケース30毎に調整可能に構成されている。このような構成によれば、各保温保冷ケース30は、それぞれを収納される料理の種類に適した温度に設定することが可能となる。具体的には、スープ料理であれば60℃前後、魚料理であれば50℃前後、あるいはデザートであれば5℃前後となるように、保温保冷ケース30の温度を各料理が最もおいしく感じる温度に設定することができる。これにより、1台の宅配車本体10で種々の料理を適温で提供することが可能となる。
【0055】
保温保冷ケース30に料理等を載置するために形成される収納部30aの表面には断熱材51が貼付されている。断熱材51は表面構造を微小な凹凸形状とすることもできる。このように、収納部30aの内部表面の微小な凹凸形状が滑り止めとして働くことにより、収納した料理が運搬時に摺動して崩れることを防ぐことができる。この凹凸形状に代えて、例えば滑り止め効果を備える塗料又はシートで内部表面を加工することもできる。
【0056】
また、ペルチェ素子からなる保温保冷機能部31は、保温保冷ケース30内の仕切り壁34に配設されており、ペルチェ素子によって生成した交換熱を保温保冷ケース30の収納部30a内に循環させる流入ファン33をペルチェ素子に近接して設けている。すなわち、機能空間部32を仕切った金属製の熱伝導性の良好なの仕切り壁34にペルチェ素子を当接して設け、その先方に配設した流入ファン33で熱交換した空気を収納部30a内で循環させる。なお、外部空気を取り込む取り込みファン35は機能空間部32の外壁に設けて構成している。
【0057】
具体的には、保温保冷機能部31は、図5及び図6に示すように、保温保冷ケース30の収納部30a側の開口部から奥に向かって順に、流入ファン33、内側フィン38、ペルチェ素子部37、仕切り壁34、外側フィン36および取込みファン35が配設されて構成されている。ペルチェ素子部37は、仕切り壁34を介在して機能空間部32の外側フィン36と熱伝導可能に当接している。
【0058】
保温保冷機能部31は、図6および図7に示すように、収納部30aには金属製の仕切り壁34の内壁面にペルチェ素子部37の一面を当接させ、ペルチェ素子部37の他面を内側フィン38に当接すると共に、内側フィン38に突設した放熱板38aの先端位置に流入ファン33を配置している。
【0059】
また、保温保冷機能部31において、図6および図7に示すように、素子嵌合用窓部50aを形成した弾性素材の素子リテイナー50を仕切り壁34と内側フィン38との間に挟着しており、素子リテイナー50の素子嵌合用窓部50aにペルチェ素子部37を嵌入固定することにより、収納部30a内での保温保冷機能を果たす。仕切り壁34の後方空間である機能空間部32においては、仕切り壁34の後側面でペルチェ素子と相対する位置に外側フィン36を当接、その後方に取り込みファン35を配設している。なお、仕切り壁34の先端面においてペルチェ素子の発熱冷却の熱伝導に係る面以外の面には断熱材51を張設している。ペルチェ素子は陽極と陰極の直流電極の印加極を変更することにより、一面は発熱機能を、他面は冷却機能を果たすものであり、かかるペルチェ素子の発熱冷却機能を利用して収納部30aの保温と冷却の切り替えを行うことができる。
【0060】
取り込みファン35は外側の空気を外側フィン36に向けて流し込み、流入ファン33は内側フィン38一帯の空気を収納部30a内へと送り出すように構成されている。なお、図6は保温保冷機能部31を側面視的に説明する仕切り壁34の断面図である。図6中の矢印Xは取り込みファン35によって外側フィン36へと流し込まれる空気の流れを示し、図6中の矢印X’は流入ファン33によって収納部30a内へと送りだされる空気の流れを示している。
【0061】
かかる構成の保温保冷機能部31は、図5および図6に示すように、保温保冷ケース30内部を前後に仕切って形成した仕切り壁34の前後面に配設されており、外側フィン36と内側フィン38との間で仕切り壁34を挟持することで位置固定されており、他の実施例として、仕切り壁34と保温保冷ケース30の背面壁30bとによって形成される機能空間部32は、保温保冷機能部31を更に効率よく運転させるために予備仕切り壁34’を設け、予備仕切り壁34’を貫通するように配置された予備保温保冷機能部39を設けることもできる。
【0062】
他の実施例における予備仕切り壁34’は、具体的には機能空間部32を前方の空間32Fと後方の空間32Bとに2分割する壁体である。そして、予備仕切り壁34’に配置された予備保温保冷機能部39は、図5に示すように、保温保冷ケース30の前方の空間32F側から内方に向かいつつ順に、流入ファン33’、内側フィン38’、ペルチェ素子部37’、外側フィン36’および取り込みファン35’が配設されて構成されている。
【0063】
予備保温保冷機能部39は、外側フィン36’と内側フィン38’との間で予備仕切り壁34’を挟持することで位置固定されている。従って、予備保温保冷機能部39の流入ファン33’から吹き出される空気は保温保冷機能部31の取り込みファン35と相対する位置に流れ込み、保温保冷機能部31によって更に熱交換されて有効な保温または保冷された空気を収納部30aに供給する。
【0064】
保温保冷機能部31および予備保温保冷機能部39がかかる相対する位置に配置されることにより、保温保冷ケース30の冷温状態をより効率的に生成する。。すなわち、保温保冷機能部31のペルチェ素子部37は、バッテリー12からの直流電流の通電により、発熱したり冷却したりする二面性の機能を有している。したがって、ペルチェ素子部37に連結する内外側フィン38、36は加熱され又は冷却されて収納部30a内の加熱冷却を行う。
【0065】
しかも、予備保温保冷機能部39に保温保冷機能部31と同じ直流電流を通電することにより、保温保冷機能部31と同じように加熱、冷却機能を果たす。
【0066】
このように、予備保温保冷機能部39で予め機能空間部32の空気を加熱し、或いは冷却しておくことにより、保温保冷機能部31の機能をより確実に作動させて、収納部30a内を収納料理に対応した所望の温度に調整することができる。
【0067】
すなわち、予備保温保冷機能部39と保温保冷機能部31との二段階の保温保冷機能を作動させる理由は、ペルチェ素子による加熱、冷却機能のうち加熱機能は収納部30aの収納料理を保温するに十分の加熱機能と能力を有するが、冷却機能においては、特に夏場の高温雰囲気の外気の中にあって、収納部30a内を充分に冷却することができない虞がある。
【0068】
従って、収納部30aをペルチェ素子で冷却する際に、予めペルチェ素子と接する空気の温度を一定の低温空気に予備冷却しておくことによりペルチェ素子による所望の収納部30a内冷却機能を果たすことができるように構成した。
【0069】
つまり、保温保冷ケース30内の仕切り壁34で形成した収納部30aの更に奥側と必要に応じて横側に予備仕切り壁34’を設けて収納部30aと別に略L字状の機能空間部32を形成し、予め機能空間部32の全体を別途に設けたペルチェ素子部37’で冷却して機能空間部32で予備冷却した大気流入の空気を更に仕切り壁34に設けたペルチェ素子部37所望の冷却温度とするものである。
【0070】
上述した二段階のペルチェ素子部37、37’機能による冷却手段の他の実施例を図8および図9に基づき説明する。これは、上部二段階冷却のペルチェ素子部の代わりに機能空間部32Bに予備冷却のアイスバッテリー(登録商標)を配置して、1段階冷却はアイスバッテリーにより行い、この冷却空気を更にペルチェ素子部37で冷却して確実な冷却機能を果たすようにしている。
【0071】
すなわち、図8および図9に示すように収納部30aの仕切り壁34に設けたペルチェ素子部37において熱交換する流入空気を予め冷却するように構成するものであり、仕切り壁34の背後に形成して機能空間部32中の機能空間部32B内にアイスバッテリー(登録商標)を配置しておき、アイスバッテリーの保冷時間(約30時間)内は、予備冷却空気をペルチェ素子部37によって更に所定温度に冷却して収納部30aを冷却する。
【0072】
かかるアイスバッテリーやこれに類する機能を有する予備冷却部材39aを収納部30aの保温か保冷かの用途に応じて収納部30a内部に或いは機能空間部32内部に使用することにより、収納部30aに接するペルチェ素子部37を有効に機能させることができる。なお、図8は、機能空間部32の側壁に4つの予備冷却部材39aを配置した状態を示している。図9は、機能空間部32の天井壁に2つの予備冷却部材39aを配置した状態を示している。
【0073】
テント40は、図3及び図4に示すように、宅配車本体10の天井面側縁に張り出し自在に設けられている。具体的には、宅配車本体10のキャノピーの天井面にはテント40を収納するためのテント収納ケース45が載置されており、テント収納ケース45から自在にテント40を宅配車本体10の側面側に張り出すことができる。テント収納ケース45は、キャノピーの天井面および収納庫本体20の天井面に載置された筒状体であり、宅配車本体10の前後方向側を長手方向として配置されている。
【0074】
テント収納ケース45には、テント40を構成する部材として、テント本体41、テント本体41の周縁部を支持する伸縮自在の天井フレーム42、天井フレーム42を下方から支持するステー43、および伸縮自在のポール44が収納されている。テント40を張り出す際には、ステー43に支持された天井フレーム42を宅配車本体10の側方に伸ばし、天井フレーム42の先端部と伸長させたポール44の先端部とを係合させ、ポール44を地面に対して立設状態にする。最後に、天井フレーム42をテント本体41によって被覆することによって、テント40の張り出しが完了する。
【0075】
以上のような構成を備えた本実施形態の宅配移動車1を移動販売で利用する際の使用方法について説明する。宅配移動車1の荷台11には、2個(上下1個づつ)の保温保冷ケース30を収納した収納庫本体20が載置されている。
【0076】
各保温保冷ケース30は、バッテリー12と接続されており、収納される料理を喫食する際に適した温度となるように予め調整されている。かかる適温状態の保温保冷ケース30に各料理を収納し、販売先の場所まで料理を運搬する。
【0077】
販売先に到着した宅配移動車1は、テント収納ケース45に収納されたテント40を組み立て、イートインスペースを宅配移動車1の側面側に設置する。なお、イスやテーブルをテント40の下に配置することもできる。
【0078】
顧客から料理の注文を受けた使用者は、収納庫本体20の前面下縁部20cに設けたテーブル22を引き出し、保温保冷ケース30に収納された料理の最終的な盛り付けや、提供準備をして顧客に提供する。しかも、保温保冷ケース30はそれぞれが収納する料理に適した温度を維持しているため、例えばコース料理のように複数種類の料理を提供する場合であっても、調理したてのような温度帯で提供することができる。
【0079】
このように、本実施形態の宅配車本体10によれば、適した温度に調整された複数種の料理を移動販売することができる点において、実店舗に可及的に近いサービスを顧客に提供することが可能となる。
【0080】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明にかかる宅配車本体10は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0081】
上述した実施形態においては、バッテリー12は、運転席の足元に設置されているが、荷台の前側などの運転や配達に影響を与えない範囲に設置することもできる。また、バッテリー12は、ソーラーパネル充電器と接続させて、充電可能な態様とすることもできる。
【0082】
また、上述した実施形態においては、収納庫本体20の内部周壁にはコンセントが複数個配置されているが、収納庫本体20の外部周壁にもコンセントを配置することができる。これにより、例えば卓上電磁調理器、ミキサーあるいはオーブンレンジ等の調理家電をテーブル22で使用することが可能となり、提供する料理の種類を増やすことができる。
【0083】
しかも、コンセントを収納庫本体20の外部にも配置することで、収納庫本体20外壁には壁掛式LED看板を取付け、メニューや料金表等を電光表示することが可能となる。
このように、料理の情報を目立つ態様で消費者に開示し、購買意欲を高めることができる。
【0084】
また、上述した実施形態においては、収納庫本体20が備える棚板23は、収納庫本体20の略中央部を仕切って上段収納部24と下段収納部25とを形成しているが,上下に重ねて載置された保温保冷ケース30の間に設置された耐震ゴム等の滑り止め機能を備えた部材等に代えることもできる。
【0085】
また、上述した実施形態においては、収納庫本体20が備える開閉蓋体21は、左右どちらかに開口する扉にしても良い。例えば、左開きの開閉蓋体表側にメニュー又は価格を表記しておくことで、収納した料理を移動販売する際には開閉蓋体を看板として利用することができる。
【0086】
また、上述した実施形態においては、保温保冷ケース30は、上段収納部24および下段収納部25に1個ずつ収納されているが、配達する料理の形態によって横幅が狭い保温保冷ケースを上下2個ずつ、或いはそれ以上収納してもよい。これにより、収納する料理を保管する温度帯を細かく設定可能となるため、多種の温度帯の料理を取り扱い可能となる。
【0087】
また、上述した実施形態における保温保冷ケース30には、内部に保冷剤を収納する為のスペースを設けてもよい。保冷剤としては、高吸水性ポリマーを素材とする一般的に流通しているものを採用することができる。このように、保温保冷ケース30内部に保冷剤を配置可能とすることより、より確実な冷却効果を得ることができる。しかも、専用のスペース内に保冷剤を配置することにより、保冷剤が保温保冷ケース30内部で移動したり、収納する料理等と接触して過度に冷やしたりすることを避ける効果もある。
【0088】
また、上述した実施形態においては、保温保冷ケース30は、図5に示すように、機能空間部32(32F、32B)を備えているが、これを更に上下に二分割して、上段の空間部には保温保冷機能部31又は予備保温保冷機能部39を収納し、下段の空間部には保温保冷機能部31又は予備保温保冷機能部39の温度又はファンの強弱を調整するための制御機構を収納してもよい。これにより、より適切な温度状態で管理が可能となる。
【0089】
また、各保温保冷ケース30の内部を複数の区画に分け、各区画内に商品を収納し、商品を区画から取り出した動きを感知して自動で売上金額を算出する機能を持たせてもよい。このような構成によれば、精算ミスがなくなると共に、より早い商品の提供が可能となる。
【0090】
また、上述した実施形態においては、テント収納ケース45は、図3に示すように正面視で宅配車本体10の左側に配置されているが、自由に取り外し可能に構成することができる。これにより、正面視で宅配車本体10の右側、前方又は後方に向けてテントを組み立て可能に構成してもよい。また、テント収納ケース45を複数箇所に設けて、例えば宅配車本体10の左右両側にテント40を組み立て可能としてもよい。
【0091】
また、上述した実施形態においては、テント40の組み立ては、テント収納ケース45に収納されている各構成部材を取り出して使用者自身が組み立てることを想定しているが、バッテリー12から電力の供給を受けて自動で開閉するタープ様のテント40とすることもできる。具体的には、テント収納ケース45には伸縮自在に構成された2本のタープポールと、タープポール間に架設されたテント本体とが収納されており、バッテリー12からの電力供給により、テント収納ケース45が開閉し、収納されたタープポールが宅配移動車1の側方に向けて自動で伸縮自在とする態様に構成することもできる。このような構成によれば、テント40を準備したり片づけたりする手間が省けるため、使用者の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 宅配移動車
10 宅配車本体
11 荷台
12 バッテリー
20 収納庫本体
20a 開口
20b 前面上縁部
20c 前面下縁部
20d 背面部
21 開閉蓋体
21a 蝶番
21b 閉扉固定部
22 テーブル
22a 収納空間
23 棚板
24 上段収納部
25 下段収納部
26 循環ファン
27 連結部
30 保温保冷ケース
30a 収納部
30b 背面側周壁
31 保温保冷機能部
32 機能空間部
33 流入ファン
34 仕切り壁
34’ 予備仕切り壁
35 取り込みファン
36 外側フィン
37 ペルチェ素子部
38 内側フィン
38a 放熱板
39 予備保温保冷機能部
39a 予備冷却部材
40 テント
41 テント本体
42 天井フレーム
43 ステー
44 ポール
45 テント収納ケース
50 素子リテイナー
50a 素子嵌合用窓
51 断熱材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9