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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151406
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】耐火パネル
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/12 20060101AFI20220929BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20220929BHJP
   B32B 3/04 20060101ALI20220929BHJP
   B32B 13/00 20060101ALI20220929BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220929BHJP
   E04C 2/36 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B32B3/12 Z
B32B7/027
B32B3/04
B32B13/00
E04B1/94 W
E04C2/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069843
(22)【出願日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2021054222
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一郎
(72)【発明者】
【氏名】富田 泰宇
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001GA12
2E001HA01
2E001HA03
2E001HA14
2E001HA21
2E001HB01
2E001HB02
2E001HB04
2E001HC09
2E162CA05
2E162CA16
2E162CA20
2E162CA21
2E162CB02
2E162CB03
2E162CB08
2E162CB15
2E162CC01
2E162CC07
2E162CC08
2E162CE10
4F100AB03A
4F100AB03D
4F100AB03E
4F100AB10A
4F100AD00A
4F100AD00D
4F100AD00E
4F100AE06A
4F100AE06B
4F100AE06C
4F100AE09A
4F100AE09B
4F100AE09C
4F100BA05
4F100BA06
4F100DB05A
4F100DC02A
4F100DG10A
4F100EC182
4F100GB07
4F100HB00D
4F100HB00E
4F100JJ07A
4F100JJ07B
4F100JJ07C
4F100JK04
4F100JL10D
4F100JL10E
(57)【要約】
【課題】耐火パネルの更なる軽量化を図ることを目的の一つとする。
【解決手段】耐火パネルは、ハニカム材と、ハニカム材を間に挟んで設けられた一対の第1不燃性材料と、一対の第1不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の化粧材と、ハニカム材の第1側面に設けられた第2不燃性材料と、一対の第1不燃性材料の間に、第2不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第1補強鋼板と、ハニカム材の第2側面に設けられた第3不燃性材料、一対の第1不燃性材料の間に、第3不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第2補強鋼板と、一対の化粧材の間に、一対の第1不燃性材料の側面、第2不燃性材料の側面、および一対の第1補強鋼板の側面に設けられた一対の第4不燃性材料、一対の化粧材の間に、一対の第1不燃性材料の側面、第3不燃性材料の側面、および一対の第2補強鋼板の側面に設けられた一対の第5不燃性材料と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するハニカム材と、前記ハニカム材を間に挟んで設けられた一対の第1不燃性材料と、
前記一対の第1不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の化粧材と、
前記一対の第1不燃性材料の間に設けられ、前記ハニカム材の前記第1面と連続する第1側面に設けられた第2不燃性材料と、
前記一対の第1不燃性材料の間に、前記第2不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第1補強鋼板と、
前記一対の第1不燃性材料の間に設けられ、前記ハニカム材の第2側面に設けられた第3不燃性材料と、
前記一対の第1不燃性材料の間に、前記第3不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第2補強鋼板と、
前記一対の化粧材の間に、前記一対の第1不燃性材料の側面、前記第2不燃性材料の側面、および前記一対の第1補強鋼板の側面に設けられた一対の第4不燃性材料と、
前記一対の化粧材の間に、前記一対の第1不燃性材料の側面、前記第3不燃性材料の側面、および前記一対の第2補強鋼板の側面に設けられた一対の第5不燃性材料と、を有し、
前記一対の第4不燃性材料は、互いに離間して設けられ、
前記一対の第5不燃性材料は、互いに離間して設けられる、耐火パネル。
【請求項2】
前記第2不燃性材料と、前記一対の第4不燃性材料との間に設けられた一対の第3補強鋼板と、
前記第3不燃性材料と、前記一対の第5不燃性材料との間に設けられた一対の第4補強鋼板と、を有し、
前記一対の第3補強鋼板は、互いに離間して設けられ、
前記一対の第4補強鋼板は、互いに離間して設けられる、請求項1に記載の耐火パネル。
【請求項3】
前記ハニカム材を間に挟んで設けられた一対の第6不燃性材料を有し、
前記一対の第1不燃性材料と前記一対の第6不燃性材料とは、互いに接する、請求項1又は2に記載の耐火パネル。
【請求項4】
前記一対の第6不燃性材料は、石膏ボードで構成される、請求項3に記載の耐火パネル。
【請求項5】
前記ハニカム材は、不燃紙ハニカム材、ダンボール、アルミハニカム材、又はセラミックハニカム材である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐火パネル。
【請求項6】
前記一対の第1不燃性材料乃至前記一対の第5不燃性材料は、石膏ボード又はケイ酸カルシムで構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐火パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、耐火パネルに関する。
【0002】
ヨーロッパをルーツとするサンドウィッチパネル(SWP)の技術は、意匠性、断熱性、軽量性に優れた高機能材料である。サンドウィッチパネルを用いることで、建物の構造架構の負担を軽減し、施工の省力化及び工期の縮減を図ることが期待されている。
【0003】
特許文献1には、セピオライトを主成分とする不燃性シートを層間に耐熱性の接着剤を使用してハニカム状に積層してなる不燃性ハニカム構造材の両面に、珪酸カルシウムに未膨張バーミキュライトを含む不燃性板材を接着剤によって貼り付けることによって製造された耐火パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-254478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の耐火パネルでは、不燃性ハニカム構造材として、耐熱温度が400℃~500℃よりも高いセピオライトを用いなければならず、不燃性ハニカム構造材として使用できる材料が限定されていた。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明の一実施形態は、ハニカム材の材質によらず、耐火性能が向上された耐火パネルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における耐火パネルは、第1面及び第1面と反対側の第2面を有するハニカム材と、ハニカム材を間に挟んで設けられた一対の第1不燃性材料と、一対の第1不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の化粧材と、一対の第1不燃性材料の間に設けられ、ハニカム材の第1面と連続する第1側面に設けられた第2不燃性材料と、一対の第1不燃性材料の間に、第2不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第1補強鋼板と、一対の第1不燃性材料の間に設けられ、ハニカム材の第2側面に設けられた第3不燃性材料と、一対の第1不燃性材料の間に、第3不燃性材料を間に挟んで設けられた一対の第2補強鋼板と、一対の化粧材の間に、一対の第1不燃性材料の側面、第2不燃性材料の側面、および一対の第1補強鋼板の側面に設けられた一対の第4不燃性材料と、一対の化粧材の間に、一対の第1不燃性材料の側面、第3不燃性材料の側面、および一対の第2補強鋼板の側面に設けられた一対の第5不燃性材料と、を有し、一対の第4不燃性材料は、互いに離間して設けられ、一対の第5不燃性材料は、互いに離間して設けられる。
【0008】
上記構成において、第2不燃性材料と、一対の第4不燃性材料との間に設けられた一対の第3補強鋼板と、第3不燃性材料と、一対の第5不燃性材料との間に設けられた一対の第4補強鋼板と、を有し、一対の第3補強鋼板は、互いに離間して設けられ、一対の第4補強鋼板は、互いに離間して設けられる。
【0009】
上記構成において、ハニカム材を間に挟んで設けられた一対の第6不燃性材料を有し、一対の第1不燃性材料と、一対の第6不燃性材料とは、互いに接する。
【0010】
上記構成において、一対の第6不燃性材料は、石膏ボード又はケイ酸カルシウムで構成される。
【0011】
上記構成において、ハニカム材は、不燃紙ハニカム材、ダンボール、アルミハニカム材、又はセラミックハニカム材である。
【0012】
上記構成において、一対の第1不燃性材料乃至一対の第5不燃性材料は、石膏ボード又はケイ酸カルシウムで構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ハニカム材の材質によらず、耐火性能が向上された耐火パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における耐火パネルの斜視図である。
図2】耐火パネルをA1-A2線に沿って切断したときの端面図である。
図3】本発明の一実施形態における耐火パネルの端面図である。
図4】本発明の一実施形態における耐火パネルの端面図である。
図5】本発明の一実施形態における耐火パネルの端面図である。
図6】本発明の一実施形態における耐火パネルの斜視図である。
図7】耐火パネルをB1-B2線に沿って切断したときの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更によって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態における耐火パネルの構造について、図1及び図2を参照して説明する。
【0017】
<1.耐火パネルの構造>
図1は、本発明の一実施形態における耐火パネル100の斜視図である。図2は、耐火パネル100を、A1-A2線に沿って切断したときの端面図である。耐火パネル100において、第1方向D1と、第1方向D1と垂直な第2方向D2と、第1方向D1及び第2方向D2に垂直な第3方向D3を定義する。
【0018】
耐火パネル100は、第3方向D3に沿った長さL3(厚さ)と、長さL3よりも大きい寸法の第1方向D1に沿った長さL1及び第2方向D2に沿った長さL3を有する矩形板である。耐火パネル100の長さL3は、50mm~200mm、70mm~120mm、または70mm~120mmである。また、耐火パネル100の長さL1は、50cm~200cm、50cm~150cm、または70cm~150cmである。耐火パネル100の長さL2は、1m~10m、1.5m~5m、または2m~5mである。
【0019】
耐火パネル100は、第1面101a、及び第1面101aと反対側の第2面101bを有するハニカム材101、一対の不燃性材料102、103、一対の化粧材104、105を用いて構成される。耐火パネル100は、ハニカム材101の第1面101aに不燃性材料102及び化粧材104が設けられ、ハニカム材101の第2面101bに不燃性材料103及び化粧材105が設けられている。つまり、耐火パネル100は、ハニカム材101を挟むように、不燃性材料102及び不燃性材料103が設けられている。耐火パネル100は、ハニカム材101及び不燃性材料102、103を挟むように、化粧材104、105が設けられた、いわゆるサンドイッチパネルである。耐火パネル100の長さL1は、化粧材104、105の幅に相当し、耐火パネル100の長さL2は、化粧材104、105の高さに相当する。また、耐火パネル100の長さL3は、ハニカム材101、不燃性材料102、103、及び化粧材104、105の厚さの合計に相当する。
【0020】
ハニカム材101は、断熱材として用いる。ハニカム材101として、防火性を有していなくてもよく、あらゆる材質のハニカム材101が適用可能である。ここで、防火性とは、建築物の周囲で発生する通常の火災による、延焼を抑制する性能をいう。ハニカム材101は、例えば、不燃紙ハニカム材、ダンボール、アルミハニカム材、又はセラミックハニカム材等の様々な材料で構成される。ハニカム材101として、例えば、セラミックハニカム材、アルミニウムハニカム材、不燃紙を用いる場合、防火性を高めることができる。ハニカム材の厚さは、例えば、15mm~50mm、20mm~50mm、または20mm~40mmであり、本実施形態では、30mmである。
【0021】
ハニカム材101のセルが延びる方向(ハニカム材101の厚み方向)に直交する断面におけるセルの形状は特に限定されず、例えば、四角形、六角形、八角形、又はこれらの形状の組み合わせであってもよい。ハニカム材101の断面におけるセルのサイズdは、5mm~50mm、10mm~40mm、または25mm~35mmであり、本実施形態では30mmである。また、ハニカム材101の空隙率は、例えば、91%~95%である。
【0022】
ハニカム材101は、ハニカム構造で構成されて、体積の9割以上が空気であるため、耐火パネル100の軽量化を図ることが可能である。また、ハニカム構造によって、空気の対流を防ぐことができるため、耐火パネル100の断熱性を向上させることができる。また、ハニカム構造によって、曲げ強度が高く、平面的な圧力に対しても強度を高めることができる。
【0023】
不燃性材料102、103は、耐火被覆材として用いる。不燃性材料102、103は、例えば、インシュレーションボード、セルローズファイバーボード、木毛セメント板などの木質系ボード、及び石膏ボード、ケイ酸カルシウム板などの無機系ボード等の様々な材料で構成される。不燃性材料の厚さは、7mm~50mm、10mm~40mm、または12.5mm~30mmであり、本実施形態では、20mmである。
【0024】
化粧材104、105は、例えば、セラミック系化粧材(窯業系)、カラー鋼板、ガルバニウム鋼板、アルミニウム板、壁紙、及び木質系板などの様々な材料で構成される。化粧材の厚さは、不燃性材料102、103の厚さよりも薄く、4mm~15mm、5mm~12mm、8mm~12mmであり、本実施形態では、9.5mmである。化粧材104、105を用いることにより、耐火パネル100が変形、変色、又は劣化などで変質してしまうことを抑制することができる。また、耐火パネル100の見栄えが良くなるなどの意匠性が向上する。
【0025】
ハニカム材101と不燃性材料102、103との間は、混和材によって接着されている。また、不燃性材料102、103と、化粧材104、105との間は、混和材によって接着されている。混和材として、ポリリン酸アンモニウム系(木質系ボードに塗布又は含浸)の不燃剤、ウレタン系、エポキシ系、珪酸ソーダ系、水ガラス系の接着剤を用いることができる。
【0026】
耐火パネル100において、一対の不燃性材料102、103、及び一対の化粧材104、105は、ハニカム材101に対して対称形になるように設けられている。一対の不燃性材料102、103は、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さも同じになるように設けることが好ましい。また、一対の化粧材104、105についても、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さも同じになるように設けることが好ましい。
【0027】
従来の耐火パネルでは、不燃性ハニカム構造材として、耐熱温度が400℃~500℃よりも高いセピオライトを用いなければならず、不燃性ハニカム構造材として使用できる材料が限定されていた。
【0028】
本発明の一実施形態における耐火パネル100によれば、ハニカム材101として、アルミニウムハニカム材、セラミックハニカム材を用いることにより、耐火パネル100の不燃性を高めることができる。また、ハニカム材101として、ダンボール、不燃紙、又はセピオライトを用いる場合と比較して、圧縮強度、曲げ強度が高いため、耐火パネル100の機械的強度をより向上させることができる。また、ハニカム材101、不燃性材料102、103だけでなく、化粧材104、105として、不燃性の化粧材を用いることにより、耐火パネル100を構成する全ての材料が不燃性となるため、耐熱性及び耐火性をより向上させることができる。
【0029】
本発明の一実施形態における耐火パネル100によれば、不燃性材料102、103として、例えば、石膏ボード又はケイ酸カルシウム板などの無機系ボードを使用している。これにより、サンドイッチパネルで使用される鋼製の化粧材に替えて、木質系材料の他、あらゆる化粧材を用いることが可能となる。これにより、サンドイッチパネルのイメージの概念を変えることができ、多様なデザインを要求する建物への適用が可能となる。なお、ハニカム材101としては、セラミック材、アルミ材、不燃紙、又はダンボールなどの材料を用いることができる。特に、不燃性材料102、103として、石膏ボードを使用した場合には、火災時に石膏ボードに含まれる水分(結晶水)が放出されることで、耐火パネル100の温度上昇を抑制することができる。また、不燃性材料102、103に、リン酸系薬剤などの難燃剤を含侵してもよい。これにより、耐火性能をより向上させることができる。
【0030】
本発明の一実施形態における耐火パネル100によれば、不燃性材料102、103として、木質系ボードを使用する場合には、カラー鋼板またはガルバニウム鋼板などの鋼製の化粧材を用いることが好ましい。これにより、耐火パネル100の耐火性を向上させることができる。
【0031】
本発明の一実施形態における耐火パネル100によれば、断熱材としてハニカム材101を用いている。従来、断熱材として使用されてきたロックウールよりも、ハニカム材101の方が、軽量化を図ることができる。そのため、耐火パネル100全体の軽量化を図ることができる。
【0032】
以上説明した通り、ハニカム材101として耐熱温度によらず様々な材料を使用することが可能であり、耐火性能が高い耐火パネル100を提供することができる。
【0033】
<2.耐火パネルの製造方法>
次に、耐火パネル100の製造方法について説明する。
【0034】
まず、ハニカム材101の第1面101aと第2面101bに混和材を塗布する。ハニカム材101の第1面101aには、不燃性材料102を貼り合わせ、第2面101bには、不燃性材料103を貼り合わせる。次に、不燃性材料102、103に混和材を塗布する。不燃性材料102には、化粧材104を貼り合わせ、不燃性材料103には、化粧材105を貼り合わせる。
【0035】
以上の工程により、本発明の一実施形態における耐火パネル100を製造することができる。
【0036】
従来、断熱材として用いられてきた鉱物繊維系ロックウールは、その製造時に、高炉スラグによりCOの排出量が増大していたり、粉塵による公害が生じていたりしていた。また、ロックウールには硫黄が含有されることで、鋼板が腐食してしまうという問題が生じていた。
【0037】
本発明の一実施形態における耐火パネル100では、断熱材として、ロックウールに替えてハニカム材101を用いている。これにより、ロックウールと同等の熱伝導率でありながら、その製造時におけるCOの排出量を少なくすることができる。また、不燃性材料102、103として用いる木質系ボードは、例えば、間伐材を再利用することによって製造することができ、地球上の資源の有効利用を促進することができる。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態における耐火パネル100Aの構造について、図3図6を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の箇所については、第1実施形態の記載を参照するものとする。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態における耐火パネル100Aの端面図である。耐火パネル100Aは、例えば、屋内における耐火間仕切り壁として使用される。図3に示すように、ハニカム材101の第1側面101cに、不燃性材料112が設けられている。また、第1側面101cに、一対の不燃性材料102、103の間に、一対の補強鋼板114、116が不燃性材料112を間に挟んで設けられている。ハニカム材101の第2側面101dに、不燃性材料124が設けられている。また、第1側面112dに、一対の不燃性材料102、103の間に、一対の補強鋼板126、128が不燃性材料124を間に挟んで設けられている。一対の化粧材104、105の間に、一対の不燃性材料102、103の側面、不燃性材料112の側面、及び一対の補強鋼板114、116の側面に設けられた一対の不燃性材料118、122が設けられている。一対の化粧材104、105の間に、一対の不燃性材料102、103の側面、不燃性材料124の側面、及び一対の補強鋼板126、128の側面に設けられた一対の不燃性材料132、134が設けられている。一対の不燃性材料118、122は、互いに離間して設けられており、一対の不燃性材料132、134は、互いに離間して設けられている。不燃性材料118、132は、化粧材104に接して設けられ、不燃性材料122、134は、化粧材105に接して設けられている。
【0040】
化粧材104、不燃性材料102、補強鋼板114、及び不燃性材料112は、連結具110によって機械的に固定されている。化粧材104、不燃性材料102、補強鋼板126、及び不燃性材料124は、連結具120によって機械的に固定されている。化粧材105、不燃性材料103、補強鋼板116、及び不燃性材料112は、連結具130によって機械的に固定されている。このように、化粧材105、不燃性材料103、補強鋼板128、及び不燃性材料124は、連結具140によって機械的に固定されている。ハニカム材101の第1側面101c及び第2側面101dのそれぞれに、不燃性材料112、124のそれぞれを設けることにより、火災時にハニカム材が延焼することを抑制することができる。これにより、耐火パネル100Aの耐火性能を向上させることができる。
【0041】
不燃性材料112、118、122、124、132、134は、インシュレーションボード、セルローズファイバーボード、木毛セメント板などの木質系ボード、及び石膏ボード、ケイ酸カルシウム板などの無機系ボード等の様々な材料で構成される。補強鋼板114、116、126、128は、鉄板など、様々な材料が使用可能である。不燃性材料112、118、122、124、132、134は、全て同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。不燃性材料112、118、122、124、132、134は、全て同じ材料で構成する場合には、施工性が向上し、製造コストを低減することができる。
【0042】
補強鋼板114、116、126、128は、鉄板などの他に、様々な材料が使用可能である。補強鋼板114、116、126、128の厚さは、化粧材104、105の厚さよりも大きく、0.5mm~5mm、1.2mm~3mm、または1.6mm~2.3mm程度である。本実施形態では、補強鋼板114、116、126、128の厚さは、1.6mmである。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態における耐火パネル100Bの端面図である。耐火パネル100Bは、例えば、屋外における外壁として使用される。耐火パネル100Bは、耐火パネル100Aに対して、さらに一対の補強鋼板136、138と、一対の補強鋼板142、144を有する。一対の補強鋼板136、138は、不燃性材料112と、一対の不燃性材料118、122との間に設けられている。また、一対の補強鋼板136、138は、互いに離間して設けられている。一対の補強鋼板142、144は、不燃性材料124と、一対の不燃性材料132、134との間に設けられている。また、一対の補強鋼板142、144は、互いに離間して設けられている。また、耐火パネル100Bにおいて、化粧材104は、不燃性材料118、132の側面を覆って設けられていてもよく、化粧材104は、不燃性材料122、134の側面を覆って設けられていてもよい。補強鋼板136、138、142、144は、補強鋼板114、116、126、128と同様の材料が使用できる。
【0044】
化粧材104、不燃性材料102、補強鋼板114、及び不燃性材料112は、連結具110によって機械的に固定されている。化粧材104、不燃性材料102、補強鋼板126、及び不燃性材料124は、連結具120によって機械的に固定されている。化粧材105、不燃性材料103、補強鋼板116、及び不燃性材料112は、連結具130によって機械的に固定されている。化粧材105、不燃性材料103、補強鋼板128、及び不燃性材料124は、連結具140によって機械的に固定されている。また、化粧材104、不燃性材料118、補強鋼板136、及び不燃性材料112は、連結具150によって機械的に固定されている。化粧材104、不燃性材料122、補強鋼板138、及び不燃性材料112は、連結具160によって機械的に固定されている。また、化粧材104、不燃性材料132、補強鋼板142、及び不燃性材料124は、連結具170によって機械的に固定されている。さらに、化粧材105、不燃性材料134、補強鋼板144、及び不燃性材料124は、連結具180によって機械的に固定されている。
【0045】
図4に示す耐火パネル100Bでは、耐火パネル100Bの側面、つまり、不燃性材料118、132が化粧材104によって覆われており、不燃性材料122、134が化粧材105によって覆われている。これにより、耐火パネル100Bの側面において、水の侵入を抑制し、不燃性材料118、122、132、134が水に濡れることを抑制することができる。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態における耐火パネル100Cの端面図である。耐火パネル100Cは、例えば、屋外における外壁として使用される。図5に示す耐火パネル100Cは、ハニカム材101を間に挟んで設けられた一対の不燃性材料106、107を有する。一対の不燃性材料102、103と、一対の不燃性材料106、107とは互いに接している。具体的には、不燃性材料102は不燃性材料106と接しており、不燃性材料106は不燃性材料107と接している。本実施形態では、例えば、不燃性材料102、103は9.5mmの石膏ボードであり、不燃性材料106、107は12.5mmの石膏ボードである。または、不燃性材料102、103、106、107は、12.5mmの石膏ボードとしてもよい。つまり、一対の不燃性材料102、106の厚さが同じであり、一対の不燃性材料103、107の厚さが同じであってもよい。
【0047】
耐火パネル100Cにおいて、化粧材104、不燃性材料102、106、補強鋼板114、及び不燃性材料112は、連結具110によって機械的に固定されている。化粧材105、不燃性材料103、107、補強鋼板116、及び不燃性材料112は、連結具120によって機械的に固定されている。化粧材104、不燃性材料102、106、補強鋼板126、及び不燃性材料124は、連結具130によって機械的に固定されている。化粧材105、不燃性材料103、107、補強鋼板128、及び不燃性材料124は、連結具140によって機械的に固定されている。
【0048】
補強鋼板136、138、142、144は、鉄板などの他に、様々な材料が使用可能である。補強鋼板136、138、142、144の厚さは、化粧材104、105の厚さよりも大きく、0.5mm~5mm、1.2mm~3mm、または1.6mm~2.3mm程度である。本実施形態では、補強鋼板136、138、142、144の厚さは、1.6mmである。
【0049】
本実施形態においても、化粧材104、105として、例えば、セラミック系化粧材(窯業系)、カラー鋼板、ガルバニウム鋼板、アルミニウム板、壁紙、及び木質系板などの様々な材料で構成される。耐火パネル100Cにおいては、ハニカム材101を、一対の不燃性材料102、103に加えて、一対の不燃性材料106、107で挟んでいるため、耐火性能を高めることができる。これにより、化粧材104、105として木質系板を用いることができる。
【0050】
(第3実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態における耐火パネル100Dの構造について、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の箇所については、第1実施形態の記載を参照するものとする。
【0051】
図6は、本発明の一実施形態における耐火パネル100Dの斜視図である。図7は、耐火パネル100Dを、B1-B2線に沿って切断したときの端面図である。
【0052】
耐火パネル100Dは、長さL3と、長さL3よりも大きい寸法の長さL1及び長さL2を有する矩形板である。耐火パネル100Dの長さL3は、100mm~200mm、120mm~180mm、130mm~170mmである。また、耐火パネル100Dの長さL1及び長さL2は、第1実施形態において説明した通りである。
【0053】
耐火パネル100Dは、ハニカム材101、不燃性材料102、103、化粧材104、105に加えて、不燃性材料108及びハニカム材109を用いて構成される。耐火パネル100の長さL1は、化粧材104、105の幅に相当し、耐火パネル100の長さL2は、化粧材104、105の高さに相当する。また、耐火パネル100Dの長さL3は、ハニカム材101、109、不燃性材料102、103、108、及び化粧材104、105の厚さの合計に相当する。
【0054】
ハニカム材109は、ハニカム材101と同様の材料を使用することができる。また、不燃性材料108は、不燃性材料102、103と同様の材料を使用することができる。
【0055】
耐火パネル100Dにおいて、一対のハニカム材101、109、一対の不燃性材料102、103、及び一対の化粧材104、105は、不燃性材料108に対して対称形になるように設けられている。一対のハニカム材101、109は、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さも同じになるように設けることが好ましい。また、一対の不燃性材料102、103は、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さも同じになるように設けることが好ましい。また、一対の化粧材104、105についても、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さも同じになるように設けることが好ましい。不燃性材料108に対して対象性を有するように、ハニカム材101、109、不燃性材料102、103、及び化粧材104、105を設けることにより、施工性が向上し、製造コストを低下させることができる。
【0056】
耐火パネル100Dにおいて、不燃性材料108は、一対の不燃性材料102、103と、材質が同じであって、形状が同じであって、厚さが同じであることが好ましいが、これに限定されない。不燃性材料108は、一対の不燃性材料102、103とは材質が異なっていてもよいし、厚さが異なっていてもよい。例えば、不燃性材料108の厚さは、一対の不燃性材料102、103の厚さよりも大きくてもよい。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の断熱パネルを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0058】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0059】
100、100A~100D:耐火パネル、101:ハニカム材、101a:第1面、101b:第2面、101c:第1側面、101d:第2側面、102、103:不燃性材料、104、105:化粧材、106~108:不燃性材料、109:ハニカム材、110:連結具、112:不燃性材料、114:補強鋼板、116:補強鋼板、118:不燃性材料、120:連結具、122:不燃性材料、124:不燃性材料、126:補強鋼板、128:補強鋼板、130:連結具、132:不燃性材料、134:不燃性材料、136:補強鋼板、138:補強鋼板、140:連結具、142:補強鋼板、144:補強鋼板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7