(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151453
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021081983
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA04
(57)【要約】
【課題】開封に際して必ず必要とする封緘部の接着剤による欠点を解決し、ごみを発生させることがなく、封書の有効面積を全面的に使用することができると共に、開封後の美的効果をこれまでになく向上させる折り畳み情報通信体と、一種類の疑似接着フィルムシートを情報通信体用紙の一方の面に、全面的に被覆することで極めて容易に折り畳み情報通信体を製造することができる折り畳み情報通信体とその製造方法提供することを目的とする。
【解決手段】折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された情報通信体用紙を折り畳み対向面同士を剥離可能に接着した情報通信体において、前記情報通信体用紙の一方の面の全面に疑似接着フィルムシートを被覆することにより前記折り畳みにより生じる対向面同士を、疑似接着フィルムシートを介して或いは葉片の縁辺に設けられた貫通孔から露出した疑似接着フィルムシートの接着剤層を介して剥離可能に接着した折り畳み情報通信体により解決される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された情報通信体用紙を折り畳み対向面同士を剥離可能に接着した情報通信体において、前記情報通信体用紙の一方の面の全面に疑似接着フィルムシートを被覆することにより前記折り畳みにより生じる対向面同士を、疑似接着フィルムシートを介して或いは葉片の縁辺に設けられた貫通孔から露出した疑似接着フィルムシートの接着剤層を介して剥離可能に接着したことを特徴とした折り畳み情報通信体。
【請求項2】
折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された情報通信体用紙を折り畳み対向面同士を剥離可能に接着した情報通信体の製造方法において、
折り線を介して横方向に複数の葉片が連接されると共に任意の葉片の任意の縁辺に貫通孔が設けられた情報通信体用紙を繰り出す繰り出し工程と、
繰り出された情報通信体用紙の一方の面の全面を前記貫通孔を含めて疑似接着フィルムシートで被覆する疑似接着フィルムシートの被覆工程と、
疑似接着フィルムシートが被覆された情報通信体用紙を折り畳む折り畳み工程と、
折り畳まれた情報通信体用紙を加圧或いは加熱・加圧処理を施し、疑似接着フィルムシート同士及び貫通孔を形成した葉片を被覆する疑似接着フィルムシートを前記貫通孔を通して貫通孔を形成する葉片の逆側の面に隣接する葉片と剥離可能に接着して一体化するす接着工程、
とからなることを特徴とした折り畳み情報通信体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体に関する。詳しくはハガキ、往復葉書、ゆうメール、メール便或いはダイレクトメール等多量の情報を受け手に伝達する折り畳み情報通信体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧着ハガキに代表される折り畳み情報通信体が多用されている。このものは折り畳まれて剥離可能に接着された対向面に記載されている多量の情報が隠蔽状態で受け手に届けられ、受け手は前記対向面を剥離して内部の情報を確認することができる。そして前記剥離可能な接着技術として例えば疑似接着フィルムシートが好適に採用される。
【0003】
前記疑似接着フィルムシートを使用した折り畳み情報通信体として、例えば特開2012-166533号公報に開示される折り畳み情報通信体及びその製造方法がある。この折り畳み情報通信体は、上から第一葉片、第二葉片、第四葉片及び第三葉片の順で折り畳まれて重ね合わされる折り畳み情報通信体であって、第一葉片と第二葉片の対向面間を第一の疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化すると共に、第二葉片と第四葉片の対向面間を第二の疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化したことを特徴としている。そして前記構成により、開封に際して必ず必要とする封緘部の接着剤による欠点を解決し、ごみを発生させることがなく、封書の有効面積を全面的に使用することができると共に、開封後の美的効果をこれまでになく向上させるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術文献の発明では、第一葉片、第二葉片、第三葉片及び第四葉片が折り線を介して横方向に連接された情報通信体用紙の両面の任意の箇所に、構成が異なる第一及び第二の疑似接着フィルムシートをスポット的に被覆している。このような構成では異なる疑似接着フィルムシートを用意する必要がある。当然在庫管理を含めコストがアップする。また構成の異なる疑似接着フィルムシートのそれぞれの被覆条件(温度、圧力等)をすり合わせる(場合によっては別工程で被覆しなければならない)必要が発生する。それには熟練の技術を必要とする。さらに表裏面のスポット的な被覆は技術的に難しく、複数回に分けて被覆する必要が発生する。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑み、開封に際して必ず必要とする封緘部の接着剤による欠点を解決し、ごみを発生させることがなく、封書の有効面積を全面的に使用することができると共に、開封後の美的効果をこれまでになく向上させる折り畳み情報通信体と、一種類の疑似接着フィルムシートを情報通信体用紙の一方の面に、全面的に被覆することで極めて容易に折り畳み情報通信体を製造することができる折り畳み情報通信体の製造方法提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された情報通信体用紙を折り畳み対向面同士を剥離可能に接着した情報通信体において、前記情報通信体用紙の一方の面の全面に疑似接着フィルムシートを被覆することにより前記折り畳みにより生じる対向面同士を、疑似接着フィルムシートを介して或いは葉片の縁辺に設けられた貫通孔から露出した疑似接着フィルムシートの接着剤層を介して剥離可能に接着したことを特徴としている。
【0008】
さらに上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体の製造方法は、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接された情報通信体用紙を折り畳み対向面同士を剥離可能に接着した情報通信体の製造方法において、折り線を介して横方向に複数の葉片が連接されると共に任意の葉片の任意の縁辺に貫通孔が設けられた情報通信体用紙を繰り出す繰り出し工程と、繰り出された情報通信体用紙の一方の面の全面を前記貫通孔を含めて疑似接着フィルムシートで被覆する疑似接着フィルムシートの被覆工程と、疑似接着フィルムシートが被覆された情報通信体用紙を折り畳む折り畳み工程と、折り畳まれた情報通信体用紙を加圧或いは加熱・加圧処理を施し、疑似接着フィルムシート同士及び貫通孔を形成した葉片を被覆する疑似接着フィルムシートを前記貫通孔を通して貫通孔を形成する葉片の逆側の面に隣接する葉片と剥離可能に接着して一体化するす接着工程とからなることを特徴としている。
【0009】
本発明で使用される情報通信体用紙の資材として、上質紙、マッ紙、コート紙等印刷に使用される通常の用紙、合成紙、不織布、合成樹脂等を好適に使用することができる。また疑似接着フィルムシートとして、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレンを基材とし、一方の面に公知の感熱接着剤層を形成し、残るもう一方の面に疑似接着層を形成した3層構成のサーマルラミネートに適した疑似接着フィルムシートを好適に使用することができる。
【0010】
前記構成の疑似接着フィルムシートは、情報通信体用紙の疑似接着予定面に感熱接着剤層を介して被覆された後に、疑似接着層が対向するように折り畳まれ加圧或いは加熱・加圧処理が施されることで剥離可能に接着する。
【0011】
本発明の折り畳み情報通信体の任意の葉片の任意の縁辺に形成される貫通孔の形状、数量等に格別の制限はない。形状としては円、楕円、長楕円、三角、四角或いはそれ以上の多角形や直線と曲線を合わせ持つ任意の形状でも構わない。また縁辺の封緘領域にも制限はなく、前記形状や数量(個数)により任意の領域を封緘すればよい。
【0012】
情報通信体用紙の疑似接着予定面に被覆される疑似接着フィルムシートは、前記縁辺に沿って形成された貫通孔も含めて被覆される。従って貫通孔に被覆された疑似接着フィルムシートは感熱接着剤層が露出した状態となり、その露出した感熱接着剤層により貫通孔を介して接する逆側の葉片表面の縁辺と剥離可能に接着して封緘する。このメカニズムに関しては後述する実施例中において詳細に説明する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の折り畳み情報通信体は、開封に際して必ず必要とする封緘部の接着剤による欠点を解決し、ごみを発生させることがなく、封書の有効面積を全面的に使用することができると共に、開封後の美的効果をこれまでになく向上させることができる。
また本発明の折り畳み情報通信体の製造方法は、一種類の疑似接着フィルムシートを使用するため疑似接着フィルムの在庫管理等が容易なため経済的で在ると共に、被覆に関しても任意の決まった箇所にスポット的に行われるのではなく全面的に被覆して後程化粧断ちすれば良い。従って高度な技術を必要とせず、素人でも短時間に大量の折り畳み情報通信体を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は三つ折り情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】(A)は
図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
【
図3】(A)は開封された三つ折り情報通信体J1を三つ折り情報通信体用紙J1の表面側からみた斜視図、(B)は裏面側から見た斜視図である。
【
図4】(A)は三つ折り情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆された状態の三つ折り情報通信体用紙S1の裏面図、(B)は(A)におけるエ-エ線の貫通孔H部分を示す拡大断面図である。
【
図6】(A)は貫通孔Hを利用した剥離可能な構造を説明する断面図、(B)はウ-ウ線の貫通孔H部分を示す拡大断面図である。
【
図7】(A)は四つ折り情報通信体J2及びJ3の共通表面図、(B)は共通裏面図である。
【
図8】(A)は
図7(A)におけるオ-オ円断面図、(B)はカ-カ線断面図である。
【
図9】(A)は開封された四つ折り情報通信体J2を四つ折り情報通信体用紙の表面側からみた斜視図、(B)は裏面側から見た斜視図である。
【
図10】(A)は四つ折り情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図11】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆された状態の四つ折り情報通信体用紙S2の裏面図である。
【
図12】
図7(A)におけるキ-キ線の貫通孔H部分を示す拡大断面図である。
【
図13】(A)は
図7(A)におけるオ-オ円断面図、(B)はカ-カ線断面図である。
【
図14】(A)は四つ折り情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
【
図15】疑似接着フィルムシートGが被覆された状態の四つ折り情報通信体用紙S3の裏面図である。
【
図16】(A)及び(B)は四つ折り情報通信体J3の製造に際して折り畳み情報通信体用紙S3の折り態様を時系列的に示す断面図で、(A)は第一段階の折り畳み状態を示す断面図、(B)は第二段階の折り畳み状態を示す断面図である。
【
図17】(A)は開封された四つ折り情報通信体J3を四つ折り情報通信体用紙の表面側からみた斜視図、(B)は裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。
【実施例0016】
[三つ折り情報通信体J1及びその製造方法]
最初に基本的な三つ折り情報通信体J1についてその製造方法を含めて説明する。
図1(A)及び(B)に示す本実施例の情報通信体J1は、
図4(A)及び(B)に示す三つ折り通信体用紙S1より製造される。そして前記三つ折り情報通信体用紙S1は、折り線4及び5(折りミシン等の折り手段が形成されていても構わない)を介して横方向に連接された第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3からなり、第三葉片3の 折り線5側を除く周囲縁辺に沿って貫通孔Hが複数設けられている。このような構成からなる三つ折り情報通信体用紙S1は、例えば枚葉シートに複数印刷されており、公知のラミネータによりその裏面の全面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。その後周囲を化粧断ちされ前記
図5(A)の状態に切り出されると、
図2(A)に示すように折り線4及び5から、第一葉片1と第二葉片2の裏面同士、第二葉片2と第三葉片3の表面同士が対向するように断面Z字状に折り畳まれる。折り畳まれた三つ折り情報通信体用紙S1は、加圧ローラやヒートローラ等からなる加圧或いは加熱・加圧処理機を通過することにより、対向面間が疑似接着フィルムシートGにより或いは貫通孔Hに被覆された疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に接着され三つ折り情報通信体J1に仕上げられるのである。
【0017】
なお疑似接着フィルムシートG同士が介在する対向面間は前記疑似接着フィルムG同士により剥離可能に全面的に接着されるが、それ以外の疑似接着フィルムGが介在しない対向面間の剥離可能な接着を以下に説明する。
図5(A)に示すように疑似接着フィルムシートGは、第三葉片3裏面側の周囲縁辺に沿って設けられた複数の貫通孔Hも被覆している。従って同図(B)に示すように前記貫通孔Hの空間部分で、疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層側(矢印で示す側)が露出した状態になっている。このような状態で第三葉片3の疑似接着フィルムシートGが被覆されている側と逆側の面に、第二葉片2を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと、
図6(A)に示すように貫通孔Hに被覆されていた疑似接着フィルムシートGが第二葉片2の対向面に押し出されて接着される。
【0018】
前記疑似接着フィルムシートGと貫通孔Hを通した第二葉片2との接着は、貫通孔Hを形成する第三葉片3の厚みがあるため、
図6(A)に示すように網点部分の空間(非接着域)が生じると共に、加圧或いは加熱・加圧の処理が十分に伝わらず剥離可能な接着となる。なお完成した三つ折り情報通信体J1の貫通孔H部分の接着態様は、
図6(B)〔
図1(B)のウ-ウ線の貫通孔H部分を拡大した断面図〕から明らかなように、第一葉片1と第二葉片2は対向面間に介在する疑似接着フィルムシートG同士の剥離可能な接着により封緘されており、第二葉片2と第三葉片3は第三葉片3を被覆すると共に、第三葉片3の周囲に設けられている貫通孔Hから押し出された疑似接着フィルムGにより周囲が剥離可能に接着され封緘されている。
【0019】
既述の構成からなる三つ折り情報通信体J1の受取人は、第一葉片1と第二葉片2をその対向面間に介在する疑似接着フィルムシートG同士の間から剥離する。また第二葉片2と第三葉片3は第三葉片3の周囲縁辺に沿って設けられた複数の貫通孔Hからはみ出した疑似接着フィルムGによる封緘を剥離して、
図3(A)及び(B)に示すように開封した後に平面に展開して内部の情報を確認することができる。なお、図面中の断面図では、複雑化を避けるため葉片端部と疑似接着フィルムシートGの端面が揃った状態で記載されているが、例えば各葉片間の剥離を容易にするために開封縁辺に沿って段差を形成したり、コーナー部分をカットして段差を形成したりしても構わない。また開封縁辺の内方に疑似接着フィルムシートGを被覆することにより、前記開封縁辺に沿って形成される非接着域を剥離の端緒としても構わない。この剥離の端緒の形成に関しては以下の実施例においても同様である。