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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151470
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】コア及びレンズ金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B29C45/26
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089106
(22)【出願日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】110110742
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521230045
【氏名又は名称】中揚光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲どぅおん▼ ▲じー▼▲ゆいん▼
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AH74
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK42
4F202CK43
4F202CK56
(57)【要約】
【課題】本発明はコア本体を含むコア、及びレンズ金型を提供する。
【解決手段】前記コア本体は外接触面及び複数個の微細溝を有し、前記複数個の微細溝が前記外接触面より内へ凹み、前記外接触面とモールドベースのモールドホールの内表面が緊密に接触し、前記複数個の微細溝により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体の前記外接触面と接触しない。前記複数個の微細溝により、前記モールドホールの内表面と前記コア本体の前記外接触面の接触面積を減少させ、さらに前記コアと前記モールドベースの相対作動時の抵抗力を低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアであって、コア本体を含み、
前記コア本体が外接触面及び複数個の微細溝を有し、
前記複数個の微細溝が前記外接触面より内へ凹み、前記外接触面とモールドベースのモールドホールの内表面が緊密に接触し、
前記複数個の微細溝により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体の前記外接触面と接触しない、コア。
【請求項2】
前記複数個の微細溝が前記外接触面より内へ凹む平均深さの範囲は2μmないし40μmである、請求項1に記載のコア。
【請求項3】
前記モールドホールの内表面が前記外接触面と接触する部分は前記モールドホールの内表面全体の13%ないし90%を占める、請求項1に記載のコア。
【請求項4】
前記複数個の微細溝は、レーザー、サンドプラスト、放電またはこれらを組み合わせた方法によって形成される、請求項1に記載のコア。
【請求項5】
前記コア本体は、前記コア本体の径方向に沿って前記外接触面より内へ凹む少なくとも一つの溝を有する、請求項1に記載のコア。
【請求項6】
前記少なくとも一つの溝が環状溝状である、請求項5に記載のコア。
【請求項7】
レンズ金型であって、
モールドホールを有するモールドベースと、
コア本体を有するコアとを含み、
前記コアが前記モールドホール内に穿設され、かつ、前記コアが制御可能に前記モールドベースに対し作動方向に沿って移動し、
前記コア本体が外接触面を有し、前記外接触面と前記モールドホールの内表面が緊密に接触し、前記モールドベース及び前記コアのうちの少なくとも一つが複数個の微細溝を有し、前記複数個の微細溝が前記外接触面及び前記モールドベースの前記モールドホールの内表面のうちの少なくとも一つより凹み、
前記複数個の微細溝により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体の前記外接触面に接触せず、及び/または前記コア本体の前記外接触面の一部が前記モールドベースの前記モールドホールの内表面と接触しない、レンズ金型。
【請求項8】
前記複数個の微細溝が前記外接触面及び前記モールドホールの内表面のうちの少なくとも一つより凹む平均深さの範囲は2μmないし40μmである、請求項7に記載のレンズ金型。
【請求項9】
前記モールドホールの内表面の前記外接触面と接触する部分が前記モールドホールの内表面または前記外接触面全体の13%ないし90%を占める、請求項7に記載のレンズ金型。
【請求項10】
前記モールドベースはスリーブを含み、
前記スリーブが前記モールドホールを含み、かつ、前記コアが前記スリーブの前記モールドホール内に穿設される、請求項7に記載のレンズ金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコア(core)及びレンズ金型に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的なレンズ金型は基本的にモールドベースとコアによって構成され、モールドベースがモールドホールを有し、コアがモールドホール内に穿設されるものである。金型の作動時に、モールドベースが固定されて動かず、コアが制御されてモールドホール内においてモールドベースに対し移動する。
【0003】
しかし、このような伝統的なレンズ金型でレンズを作製する時に加熱する必要があり、例えば、ガラスレンズの製作には熱プレス成形工程が必要であり、プラスチックレンズは射出成形工程であり、金型を工程温度まで加熱する必要がある。また、モールドベースとコアは、構造設計及び/または材料自体の差によって、高温における熱膨張の程度が異なるため、コアが高温条件においてモールドホール内に詰ることがある。コアを強制的に押したり引いたりすると、コア及びモールドホールに回復不能な破損を来す恐れがある。
【0004】
現在、前記問題の改善を目指した新型の金型が提案され、例えば、ボール及び/また増設の潤滑部材を利用してコアの外接触面を覆うようにして、これらをコアとモールドベースの間に設置したものがある。コアがモールドホール内においてモールドベースに対し移動する時に、前記ボール及び/または増設の潤滑部材によって、コアとモールドベースの間の摩擦抵抗力が低減され、高温下でもコアをモールドベースに対し比較的に手軽に移動させることができる。
【0005】
しかし、ボール及び/または潤滑部材がコアの外接触面に別途套設されるため、コア及びモールドベースの間に、ボール及び/または潤滑部材の収容空間を予め空けておく必要があり、かつ、既有の機械強度及び作動機能を維持することが前提であるため、伝統的な金型に比べて、このような新型の金型は外観体積が比較的に大きく、より大きな空間を要する。
【0006】
その他、ボール及び/または潤滑部材がコアの外接触面に別途套設されるため、ボール及び/または潤滑部材がコアの外接触面に適切に固定されず、脱落した場合、コアがモールドホール内においてモールドベースに対し移動する時に、前記ボール及び/または潤滑部材に起因して、コアがモールドホール内に詰る恐れがあり、さらに、コア及びモールドホールに回復不能な破損を来すことがある。
【0007】
以上を纏めると、伝統的な金型及び/または従来の新型の金型のいずれにも、長い間解決できなかった技術問題が依然として存在し、レンズ生産の効率を有効に高めること及び/またはレンズの生産コストを有効に低減することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に鑑み、本発明はコア及びレンズ金型を提供し、コアの外接触面に複数個の微細な微細溝を形成することで、コアと金型のモールドベースのモールドホールとの接触面積を減少させて、コアとモールドホールとの間の摩擦抵抗力を低減するという具体的な技術効果を達成し、高温下でもコアをモールドベースに対し比較的に手軽に移動させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの目的はコアを提供することであり、前記コアはコア本体を含み、前記コア本体が外接触面及び複数個の微細溝を有し、前記複数個の微細溝が前記外接触面より内へ凹み、前記外接触面とモールドベースのモールドホールの内表面が緊密に接触し、前記複数個の微細溝により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体の前記外接触面と接触しない。
【0010】
本発明の別の目的はレンズ金型を提供することであり、前記レンズ金型はモールドベース及びコアを含み、前記モールドベースがモールドホールを有し、前記コアがコア本体を有し、前記コアが前記モールドホール内に穿設され、かつ、前記コアが制御可能に、前記モールドベースに対し作動方向に沿って移動する。前記コア本体は外接触面を有し、前記外接触面と前記モールドホールの内表面が緊密に接触し、前記モールドベース及び前記コアのうちの少なくとも一つが複数個の微細溝を有し、前記複数個の微細溝が前記外接触面及び前記モールドベースの前記モールドホールの内表面のうちの少なくとも一つにおいて凹み、前記複数個の微細溝により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体の前記外接触面と接触せず、及び/または前記コア本体の前記外接触面の一部が前記モールドベースの前記モールドホールの内表面と接触しない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、コアの外接触面及び/またはモールドベースのモールドホールの内表面に前記微細な微細溝を形成することにより、コアと金型のモールドベースのモールドホールの接触面積を減少させて、コアとモールドホールとの間の摩擦抵抗力を低減するという具体的な技術効果を達成し、高温下でもコアをモールドベースに対し手軽に移動させることができる。その他、本発明の微細溝はコアの外接触面及び/またはモールドベースのモールドホールの内表面に直接凹設されたものであるため、本発明のコア及びモールドホールとの間に余分のボールまたは潤滑部材を設置しなくても、コアをモールドベースに対し手軽に移動させるという具体的な技術効果を達成できる。かつ、本発明のコア及びモールドホールとの間に余分のボールまたは潤滑部材などの付加素子を必要としないため、本発明のレンズ金型において、異物脱落によってコアがモールドホール内に詰り、さらにコア及びモールドホールが破損するという問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に基づくコアの立体図。
図2A図1のコアの正面図。
図2B図2AのおけるエリアAの拡大概略図。
図2C図2Bの断面線2C-2Cに沿った断面概略図。
図3】本発明の別の実施例に基づくコアの正面図。
図4】本発明一実施例に基づくレンズ金型の上面図。
図5図4の断面線5-5に沿った断面図。
図6図5に対応するコアとモールドベースの相対移動の断面図。
図7A】本発明の一実施例に基づくコアとスリーブの接触関係の部分的拡大概略図。
図7B】本発明の別の実施例に基づくコアとスリーブの接触関係の部分的拡大概略図。
図7C】本発明のさらに別の実施例に基づくコアとスリーブの接触関係の部分的拡大概略図。
図8A】本発明のコアの外接触面及び微細溝の実際の顕微鏡写真。
図8B図8Aの微細溝の深さの測定写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は本発明の具体的な実施例及び図面に基づいて、本発明のコア及びレンズ金型を説明する。なお、本発明の具体的な実施例及び図面は本発明の精神を分かり易く説明するためのものであり、本発明の特許範囲を制限するものではない。
【0014】
本発明の一実施例のコアはコア本体を含み、前記コア本体が外接触面及び複数個の微細溝を有する。図1ないし図2Cを参照すると、コア100aはコア本体110aを含み、前記コア本体110aは外接触面112及び複数個の微細溝111を有し、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹んでいる。本発明の実施例において、前記外接触面112はモールドベース(図示せず)のモールドホール(図示せず)の内表面と緊密に接触し、かつ前記複数個の微細溝111により、前記モールドベースの前記モールドホールの内表面の一部が前記コア本体110aの前記外接触面112と接触しない。
【0015】
図1及び図2Aにおいて、コア100aはさらにコア本体110aの軸方向の一端に設置されたレンズ成形台105を含み、かつ、前記レンズ成形台105は、成形されたレンズ(図示せず)を収容するための少なくとも一つのレンズ成形槽Lを含む。
【0016】
本発明の実施例において、前記コア本体110aの前記複数個の微細溝111が前記外接触面112に凹設され、図2Bが示すように、エリアA中の前記複数個の微細溝111が略同じ方向に前記外接触面112に凹設されている。次に、図2Cにおいて、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹み、かつ、本発明の実施例において、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹む平均深さ(Da)範囲は2μmないし40μmであり、好ましくは4μmないし30μmであり、より好ましくは5μmないし15μmである。なお、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹む平均深さDaは、前記外接触面112における一つのエリア(例えば、エリアA)をランダムに選択して、各前記微細溝111の深さを測定し、かつ、前記複数個の微細溝111の平均深さDaを算出した数値である。また、前記複数個の微細溝111が中心線平均粗さ(Ra)、最小二乗和粗さ(Rq)、最大粗さ高さ(Rmax)、全粗さ高さ(Ry)、最大山高さ(Rp)、十点平均粗さ(Rz)、第三最高山から谷までの平均高さ(R3z)、表面算術平均高さ(Sa)またはこれらの組み合わせで定義してもよいが、これに限定されず、表面粗さ数値を定義できるパラメータであれば、すべて本発明の外接触面及び微細溝の粗さに適用することができる。本発明の実施例において、前記複数個の微細溝111は、レーザー、サンドプラスト、放電またはこれらを組み合わせた方法によって形成されるが、これに限定されない。本発明の実施例において、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹む平均深さ(Da)が2μmより小さい場合、前記複数個の微細溝111による抵抗力低減の効果が不十分になり、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より内へ凹む平均深さ(Da)が40μmより大きい場合、前記コア本体110aの剛性が低下し、変形し易くなる。
【0017】
本発明の実施例において、図8Aは本発明のコア100aの外接触面112及び微細溝111の実際の顕微鏡写真である。また、図8B図8A中の微細溝111の深さ測定の写真である。図8A及び図8Bにおいて、微細溝111は平行に配列されているが、これに限定されることなく、実務上、微細溝111が直線、斜線、曲線、幾何図形、任意のパターンまたはこれらの組み合わせなど、任意の配列であってもよい。
【0018】
図3を参照すると、コア100bはコア本体110b及びレンズ成形台105を含み、前記レンズ成形台105がコア本体110aの軸方向の一端に設置され、かつ、前記レンズ成形台105が成形されたレンズ(図示せず)を収容するための少なくとも一つのレンズ成形槽Lを含む。
【0019】
前記コア本体110bは外接触面112及び複数個の微細溝111を有する。前記コア本体110bは、前記コア本体110bの径方向に沿って前記外接触面112より内へ凹んだ少なくとも一つの溝113を有し、かつ、前記少なくとも一つの溝113に潤滑油を充填することで、高温下でもコア100bをモールドベースに対し手軽に移動させることができる。本発明の実施例において、前記少なくとも一つの溝113が環状溝状であるが、これに限定されない。
【0020】
続いて、図4ないし図7Cを参照すると、レンズ金型200はモールドベース210及びコア100aを含むが、これに限定されず、レンズ金型200がモールドベース210及びコア100bの組み合わせであってもよい。以下、モールドベース210とコア100aによって構成されるレンズ金型200を例に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0021】
前記モールドベース210はモールドホールHを有し、かつ、前記コア100aがコア本体110aを有する。前記コア100aは前記モールドホールH内に穿設され、かつ前記コア100aは制御可能に、前記モールドベース210に対し作動方向dに沿って移動する。前記コア本体110aは前記外接触面112を有し、前記外接触面112と前記モールドホールHの内表面212が緊密に接触する。前記モールドベース210及び前記コア100aのうちの少なくとも一つが前記複数個の微細溝111を有し、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112及び前記モールドベース210の前記モールドホールHの内表面212のうちの少なくとも一つにおいて凹んだものである。本発明の実施例において、前記コア100aは前記複数個の微細溝111を有し、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より凹んでいる。図7Aを参照すると、前記金型200の前記モールドホールHの内表面212が平滑な表面であり、前記コア100aが前記複数個の微細溝111を有するため、前記コア100aが前記モールドホールHに穿設された時に、前記複数個の微細溝111により、前記金型200の前記モールドホールHの内表面212の一部が前記コア本体110aの前記外接触面112に接触しない。図7Aが示すように、前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112が接触する部分を複数個の破線円で示しており、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の35%ないし90%を占めており、好ましくは55%ないし80%であり、より好ましくは65%ないし75%である。本実施例において、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の35%より小さい場合、前記コア本体110aの剛性が低下し、変形し易くなる。前記複数個の破線円における前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の90%より大きい場合、前記複数個の微細溝111による抵抗力低減の効果が不十分になる。
【0022】
本発明の別の実施例において、前記モールドベース210が前記複数個の微細溝111を有し、前記複数個の微細溝111が前記モールドベース210の前記モールドホールHの内表面212のうちの少なくとも一つにおいて凹んだものであってもよい。この実施例において、前記コア100aの外接触面112が平滑な表面であり、前記金型200の前記モールドホールHの内表面212が前記複数個の微細溝111を有するため、図7Bが示すように、前記コア100aが前記モールドホールHに穿設された時に、前記複数個の微細溝111により、前記コア本体110aの前記外接触面112の一部が前記金型200の前記モールドホールHの内表面212に接触しない。図7Bにおいて、前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112が接触する部分を複数個の破線円で示しており、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記外接触面112全体の30%ないし82%を占め、好ましくは40%ないし73%であり、より好ましくは50%ないし68%である。本実施例において、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記外接触面112全体の30%より小さい場合、前記コア本体110aの剛性が低下し、変形し易くなる。前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記外接触面112全体の82%より大きい場合、前記複数個の微細溝111による抵抗力低減の効果が不十分になる。
【0023】
また、本発明のさらに別の実施例において、前記モールドベース210及び前記コア100aの何れも前記複数個の微細溝111を有し、各前記微細溝111がそれぞれ前記外接触面112または前記モールドベース210の前記モールドホールHの内表面212において凹んでいる。この実施例において、前記コア100aの外接触面112及び前記金型200の前記モールドホールHの内表面212の何れも前記複数個の微細溝111を有するため、前記コア100aが前記モールドホールHに穿設された時に、図7Cが示すように、前記複数個の微細溝111により、前記金型200の前記モールドホールHの内表面212の一部が前記コア本体110aの前記外接触面112に接触せず、かつ、前記コア本体110aの前記外接触面112の一部が前記金型200の前記モールドホールHの内表面212に接触しない。図7Cにおいて、前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112が接触する部分を複数個の破線円で示しており、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の13%ないし78%を占め、好ましくは23%ないし68%であり、より好ましくは33%ないし53%である。本実施例において、前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の13%より小さい場合、前記コア本体110aの剛性が低下し、変形し易くなる。前記複数個の破線円中の前記モールドホールHの内表面212と前記外接触面112の接触面積が前記モールドホールHの内表面212全体の78%より大きい場合、前記複数個の微細溝111による抵抗力低減の効果が不十分になる。
【0024】
本発明の実施例において、図2Cが示すように、前記複数個の微細溝111の開口の平均幅(W1)の範囲が0.02mmないし0.2mmであり、好ましくは0.05mmないし0.15mmであり、より好ましくは0.08mmないし0.13mmである。隣接する前記二つの微細溝111の間の前記外接触面112平均幅(W2)の範囲が0.03mmないし0.1mmであり、好ましくは0.045mmないし0.085mmであり、より好ましくは0.065mmないし0.075mmである。前記複数個の微細溝111の開口の平均幅(W1)と隣接する前記二つの微細溝111との間の前記外接触面112の平均幅(W2)の比例(W1/W2)範囲が0.2ないし6.67である。実務上、前記微細溝111が内へ凹む平均深さ(Da)の範囲、微細溝111の開口平均幅(W1)の範囲、及び隣接する二つの微細溝111の間の外接触面112の平均幅(W2)の範囲は、図7B及び図7Cが示す前記モールドベース210の前記モールドホールHの内表面212に形成された前記複数個の微細溝111にも適用される。
【0025】
前記微細溝111の開口の平均幅(W1)の範囲及び隣接する二つの微細溝111の間の外接触面112の平均幅(W2)の範囲は、熱による膨張程度に対し顕著な影響を及ぼす。例を挙げると、微細溝111の開口の平均幅(W1)が広い程、モールドホールH及びコア100aが熱膨張による影響を受けにくく、相対作動の順調度が上がる。一方、微細溝111の開口の平均幅(W1)が広い程、モールドホールH及びコア100aの間のしまりばめ(close fit)度が低下し、金型200全体の精密度が低下することになる。隣接する二つの微細溝111の間の外接触面112の平均幅(W2)が広い程、モールドホールH及びコア100aの間のしまりばめ度が低くなる。一方、隣接する二つの微細溝111の間の外接触面112の平均幅(W2)が広い程、モールドホールH及びコア100aが熱膨張の影響を受け易くなり、モールドホールH及びコア100aの間の相対作動が詰り易くなる。本発明の実施例で測定した結果、前記の微細溝111が内へ凹む平均深さ(Da)の範囲、微細溝111の開口の平均幅(W1)の範囲、及び隣接する二つの微細溝111の間の外接触面112の平均幅(W2)の範囲である場合、モールドホールH及びコア100aがより熱膨張の影響を受けにくく、かつモールドホールH及びコア100aの相対作動の順調度が著しく高くなることを見出した。さらに言うと、前記複数個の微細溝111の開口の平均幅(W1)と隣接する前記二つの微細溝111の間の前記外接触面112の平均幅(W2)の比例(W1/W2)が0.2より小さい場合、モールドホールH及びコア100aが熱膨張の影響を受けて詰り易くなる。前記複数個の微細溝111の開口の平均幅(W1)と隣接する前記二つの微細溝111の間の前記外接触面112の平均幅(W2)の比例(W1/W2)が6.67より大きい場合、モールドホールH及びコア100aの間のしまりばめ度が低くなり、逆に金型200全体の精密度が低下する。従って、本発明の実施例において、前記複数個の微細溝111の開口の平均幅(W1)と隣接する前記二つの微細溝111の間の前記外接触面112の平均幅(W2)の比例(W1/W2)の範囲が0.2ないし6.67である。
【0026】
本発明の前記実施例において、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112及び前記モールドホールHの内表面212のうちの少なくとも一つにおいて凹む平均深さの範囲(Da)が2μmないし40μmであり、好ましくは4μmないし30μmであり、より好ましくは5μmないし15μmである。本発明の前記実施例において、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より凹む平均深さの範囲は、前記複数個の微細溝111が前記モールドホールHの内表面212より凹む平均深さの範囲と同じ、または異なってもよい。実務上、前記複数個の微細溝111が前記外接触面112より凹む平均深さの範囲が、前記複数個の微細溝111が前記モールドホールHの内表面212より凹む平均深さの範囲より大きい場合、高温下でもコア100aをモールドベース210に対し比較的に手軽に移動させることができる。詳しく言うと、レンズ金型200でプラスチックの射出成形またはガラスの熱プレス成形工程を行う場合、予めレンズ金型200を加熱して温度を上げる必要があり、この時、コア100a及びモールドベース210が熱を受けて熱膨張が起こるが、前記外接触面112及び前記モールドホールHの内表面212のうちの少なくとも一つに形成された前記複数個の微細溝111により、コア100a及びモールドベース210の間の熱膨張によって発生する押圧影響を低減することができ、さらに高温下でもコア100aをモールドベース210に対し比較的に手軽に移動させることができる。
【0027】
さらに言うと、微細溝を有しない外接触面またはモールドホールの内表面に比べて、前記外接触面112に形成された前記複数個の微細溝111により、コア100aが熱を受けた時に前記複数個の微細溝111の空間へ膨張するため、熱膨張によるコア100aの径方向膨張率をさらに低減することができる。前記モールドホールHの内表面212に形成された前記複数個の微細溝111により、前記モールドベース210が熱を受けた時に前記複数個の微細溝111の空間へ膨張するため、熱膨張による前記モールドホールHの径方向收縮率をさらに低減することができる。つまり、前記外接触面112及び前記モールドホールHの内表面212のうちの少なくとも一つに形成された前記複数個の微細溝111により、コア100a及びモールドベース210の間の熱膨張で発生する押圧影響を低減することができ、さらに高温下でもコア100aをモールドベース210に対し比較的に手軽に移動させることができる。
【0028】
本発明の実施例において、前記モールドベース210はスリーブ220を含み、前記スリーブ220が前記モールドホールHを含み、かつ、前記コア100aが前記スリーブ220の前記モールドホールH内に穿設されて、前記コア100aの前記外接触面112を前記モールドホールHの内表面212に緊密に接触させる。
【0029】
コアの外接触面に複数個の微細な微細溝を形成することにより、コアと金型モールドベースのモールドホールの接触面積を減少させ、コアとモールドホールの間の摩擦抵抗力を低減するという具体的な技術効果を達成し、高温下でもコアをモールドベースに対し比較的に手軽に移動させることができる。その他、本発明の微細溝はコアの外接触面に直接に凹設されているため、本発明のコアは余分のボールまたは潤滑部材がなくても、コアをモールドベースに対し手軽に移動させるという具体的な技術効果を達成できる。かつ、本発明のコアに余分のボールまたは潤滑部材などの付加素子を設ける必要がないため、本発明のコアにおいて、異物脱落によってコアがモールドホール内に詰り、コア及びモールドホールが破損する問題が発生しない。
【符号の説明】
【0030】
100a、100b コア
105 レンズ成形台
110a、110b コア本体
111 微細溝
112 外接触面
113 溝
200 金型
210 モールドベース
212 内表面
220 スリーブ
A エリア
Da 深さ
d 作動方向
H モールドホール
L レンズ成形槽
W1 微細溝の開口の平均幅
W2 隣接する二つの微細溝間の外接触面の平均幅
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B