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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151488
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】洗浄水供給装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20220929BHJP
   E03D 1/33 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E03D9/00 C
E03D1/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125442
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2021049618の分割
【原出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】521124043
【氏名又は名称】▲高▼松 隆士
(71)【出願人】
【識別番号】500328079
【氏名又は名称】▲高▼松 六男
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 隆士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 六男
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038AA02
2D039AA02
2D039AB03
2D039BA12
2D039DB04
(57)【要約】
【課題】洗剤を洗浄水へ混入させるにあたり、利用者の操作負担を軽減可能な洗浄水供給装置を提供する。
【解決手段】便器に供給するための洗浄水30を内部20に貯留する洗浄水タンク18と、洗浄水タンク18に貯留されている洗浄水30に混入するための洗剤51を保持する容器47と、容器47が保持する洗剤51を洗浄水30へ混入する供給路54と、洗浄水タンク18の内部20に設けられ、かつ、供給路54を開閉する開閉バルブ48と、を有し、開閉バルブ48は、洗浄水タンク18の洗浄水30に浮き、かつ、洗浄水30の水位の変化によって作動される弁体56を有し、弁体56は、洗浄水30の水位が低下して作動されると供給路54を開き、かつ、洗浄水30の水位が上昇して作動されると供給路54を閉じる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に供給するための洗浄水を内部に貯留する洗浄水タンクと、
前記洗浄水タンクに貯留されている前記洗浄水に混入するための洗剤を保持する洗剤保持部と、
前記洗剤保持部が保持する前記洗剤を前記洗浄水へ混入する洗剤供給路と、
前記洗浄水タンクの内部に設けられ、かつ、前記洗剤供給路を開閉する開閉機構と、
を有し、
前記開閉機構は、前記洗浄水タンクの前記洗浄水に浮き、かつ、前記洗浄水の水位の変化によって作動される弁体を有し、
前記弁体は、前記洗浄水の水位が低下して作動されると前記洗剤供給路を開き、かつ、前記洗浄水の水位が上昇して作動されると前記洗剤供給路を閉じる、洗浄水供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の洗浄水供給装置において、
前記洗浄水タンクへ前記洗浄水を供給する洗浄水供給路と、
前記洗浄水タンクの前記洗浄水を便器へ供給する排水路と、
前記洗浄水タンクの内部に設けられ、かつ、利用者の操作力が伝達されて作動し、かつ、前記排水路を開く第1作動部材と、
前記洗浄水タンクの前記洗浄水に浮き、かつ、前記洗浄水の水位の変化によって作動される第2作動部材と、
が更に設けられ、
前記第2作動部材は、前記洗浄水の水位が低下して作動されると前記洗浄水供給路を開き、かつ、前記洗浄水の水位が上昇して作動されると前記洗浄水供給路を閉じ、
前記開閉機構は、前記第1作動部材及び前記第2作動部材の作動領域外に設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項3】
請求項2記載の洗浄水供給装置において、
前記洗浄水タンクの上端に載せられ、かつ、前記洗浄水タンクの外部と内部とを隔てる蓋が更に設けられ、
前記開閉機構は、前記洗浄水タンクの内部に設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の洗浄水供給装置において、
前記洗剤供給路を通る前記洗剤の通過方向に対して垂直な平面内における前記洗剤供給路の面積を変更する調整バルブが設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項5】
請求項3記載の洗浄水供給装置において、
前記蓋は、内部が中空の構成であり、
前記洗剤保持部は、前記蓋の内部に設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項6】
請求項5記載の洗浄水供給装置において、
前記洗剤保持部は、開口部を有する容器であり、
前記蓋は、前記容器の開口部と前記蓋の外部とを隔てる、洗浄水供給装置。
【請求項7】
請求項3記載の洗浄水供給装置において、
前記洗剤保持部は、前記洗浄水タンクの外部であり、かつ、前記蓋の外部に設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項8】
請求項7記載の洗浄水供給装置において、
前記利用者の操作力を前記第1作動部材に伝達する操作部材が、前記洗浄水タンクの外部に設けられ、
前記洗剤保持部は、前記洗浄水タンクの高さ方向で前記操作部材より上に設けられている、洗浄水供給装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の洗浄水供給装置において、
前記洗剤供給路を通る前記洗剤の通過方向に対して垂直な平面内における前記洗剤供給路の面積を変更する調整バルブが更に設けられ、
前記調整バルブは、前記洗浄水タンクの外部であり、かつ、前記蓋の外部に配置されている、洗浄水供給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の洗浄水供給装置において、
前記洗浄水タンクに供給される前の洗浄水を輸送する給水路と、
前記給水路に供給された前記洗浄水を前記洗浄水タンクの上方で吐出する手洗い管と、
前記手洗い管から吐出された前記洗浄水を受けるボウル部と、
前記ボウル部に設けられ、かつ、前記手洗い管から吐出された前記洗浄水を前記洗浄水タンクの内部へ落下させる排水口と、
を有する、洗浄水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水洗式トイレの便器に洗浄水を供給する洗浄水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗式トイレの便器に洗浄水を供給する洗浄水供給装置の一例が、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された洗浄水供給装置は、給水管から流入する洗浄水が貯留される洗浄水タンクと、洗浄水タンクの上に配置される蓋と、蓋に載せられるトイレ用洗剤供給機と、洗浄水タンクに取り付けられた操作レバーと、を有する。トイレ用洗剤供給機は、手動式のポンプボトルであり、トイレ用洗剤供給機は、トイレ用洗剤を貯留するボトル部と、ボトル部に設けられたポンプ部と、を有する。
【0003】
ポンプ部は、ボトル部から突出されるスパウトと、スパウトに設けられてトイレ洗剤を吐出する吐出部と、を有する。吐出口に導入管が接続され、導入管の先端部は、洗浄水タンク内に配置されている。そして、ポンプ部が手で押されたときに、ボトル部内のトイレ洗浄剤がポンプ部の吐出口から吐出され、トイレ洗浄剤が洗浄水タンク内で洗浄水に混入される。さらに、利用者が操作レバーを手動で操作すると、トイレ洗浄剤の混入された洗浄水が、洗浄水タンクから便器へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-175131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている洗浄水供給装置は、水洗トイレの利用者が手動で操作レバーを操作しなければ、洗剤が洗浄水へ混入されず、利用者の操作負担が大きい、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、洗剤を洗浄水へ混入させるにあたり、利用者の操作負担を軽減可能な洗浄水供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の洗浄水供給装置は、供給される洗浄水を内部に貯留する洗浄水タンクと、前記洗浄水タンクに貯留されている前記洗浄水に混入するための洗剤を保持する洗剤保持部と、前記洗剤保持部が保持する前記洗剤を前記洗浄水タンクの前記洗浄水へ供給する洗剤供給路と、前記洗浄水タンクの内部に設けられ、かつ、前記洗剤供給路を開閉する開閉機構と、を有し、前記開閉機構は、前記洗浄水タンクの前記洗浄水に浮き、かつ、前記洗浄水の水位の変化によって作動される弁体を有し、前記弁体は、前記洗浄水の水位が低下して作動されると前記洗剤供給路を開き、かつ、前記洗浄水の水位が上昇して作動されると前記洗剤供給路を閉じる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の洗浄水供給装置によれば、洗剤を洗浄水へ混入させるにあたり、利用者の操作負担を軽減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の洗浄水供給装置を有する水洗トイレの模式的な側面図である。
図2】洗浄水供給装置の実施例1であり、図1のII-II線における正面断面図である。
図3図2に示す洗浄水供給装置であり、洗浄水タンクの洗浄水の水位が所定位置から低下した状態の正面断面図である。
図4】本開示の洗浄水供給装置の実施例2を示す部分的な正面断面図である。
図5】本開示の洗浄水供給装置の実施例3を示す部分的な正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、洗浄水供給装置のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
洗浄水供給装置は、水洗式トイレに用いられる。図1に示す水洗トイレ70は、洗浄水供給装置10及び便器11を有する。洗浄水供給装置10は、便器11の上に設けられる。便器11は、琺瑯(ホーロー)製、または合成樹脂製であり、かつ、床12に設置されている。便器11は、洗浄水供給路13、水たまり14、排水路15を有する。排水路15は、図示しない排水管へ接続されている。便器11には、便座16及び便座カバー17が設けられている。次に、洗浄水供給装置10の実施例を、順次説明する。
【0012】
<実施例1>
洗浄水供給装置10は、図2のように、洗浄水タンク18及び蓋19を有する。洗浄水タンク18及び蓋19は、琺瑯製、または合成樹脂製であり、洗浄水タンク18は、箱形状である。洗浄水タンク18は、底部65及び側壁64を有する。底部65は、床12の上面に沿って設けられており、側壁64は底部65から上に向けて略垂直に延ばされている。側壁64は、底部65の全周に亘って設けられており、側壁64によって囲まれた空間である内部20を形成している。また、内部20は開口部21を有する。
【0013】
蓋19は、洗浄水タンク18の高さ方向で洗浄水タンク18の上端に載せられ、かつ、開口部21の上に配置されている。蓋19は、開口部21と洗浄水タンク18の外部71とを隔てている。蓋19は、天板72と、天板72の全周に亘って設けられた側壁63と、を有する。側壁63の下端が、側壁64の上端に載せられている。側壁63の下端の内側に突起73が設けられている。図2は、突起73が、側壁63の全周に所定間隔をおいて複数設けられている例が示されている。なお、突起73は、側壁63の全周に亘って環状に設けられていてもよい。
【0014】
突起73が側壁63に接触することで、蓋19が洗浄水タンク18に対して水平方向に移動することが阻止される。さらに、側壁64の上端に突起が設けられていてもよい。洗浄水30の高さ方向は、重力の作用方向である鉛直方向と同じである。給水管22が洗浄水タンク18の外部に設けられており、給水管22は給水路23を有する。水道水が所定の水圧で給水路23へ供給される。給水管22は、洗浄水タンク18のうち、開口部21に近い位置に設けられている。
【0015】
給水管22にボールタップ24が取り付けられている。ボールタップ24は、洗浄水タンク18の内部20に設けられている。ボールタップ24は、給水管22から供給される水を洗浄水タンク18の内部20に供給及び停止する機構である。ボールタップ24は、ボールタップ本体25、ボールタップ本体25に設けられた給水路26、給水路26と給水路23とを接続する通路27、ボールタップ本体25に支持軸41を支点として作動可能に取り付けられたアーム28、アーム28に取り付けられたフロート29、アーム28に連結されたリンク42、リンク42に連結された作動部材43を有する。
【0016】
フロート29は、例えば、合成樹脂製、銅製、ステンレス製等により構成された中空体である。フロート29は、洗浄水タンク18の内部20に貯留される洗浄水30の水面31で浮く。フロート29は、洗浄水タンク18の内部20における洗浄水30の量、具体的には、水面31の水位に応じて、上昇、下降及び停止される。フロート29が下降及び上昇すると、アーム28が作動して、作動部材43が通路27を開閉する。
【0017】
洗浄管32が洗浄水タンク18の外に設けられており、洗浄管32は、洗浄水供給路13を有する。底部65にマウント部33が設けられ、弁体(フロートゴム)34が、洗浄水タンク18の内部20に設けられている。弁体34は合成ゴム製であり、かつ、アーム35に接続されている。アーム35は支持軸36を中心としてマウント部33により作動可能に支持されている。弁体34は、洗浄水タンク18の内部20の水圧により、マウント部33に近づく向きで押されている。マウント部33は、排水路37を有し、排水路37は、洗浄水供給路13に接続されている。
【0018】
レバー38が、洗浄水タンク18の側壁64に取り付けられている。レバー38と給水管22とは、側壁64のうち水平方向で反対の箇所に設けられている。つまり、レバー38と給水管22とは、水平方向に間隔をおいて設けられている。レバー38は、洗浄水タンク18の高さ方向で、給水管22と略同じ位置、具体的には、所定位置に設けられている。所定位置の技術的な意味は後述する。レバー38は、利用者によって操作され、操作力で弁体34をマウント部33から離間させるために設けられている。
【0019】
レバー38は、洗浄水タンク18に対して所定角度の範囲内で回転可能に取り付けられておる。レバー38は、洗浄水タンク18の外部71に配置されている。レバー38にロッド39が接続されており、ロッド39は、洗浄水タンク18の内部20に設けられている。ロッド39は、一例として金属製であり、かつ、L字形に屈曲されている。ロッド39の先端部に、鎖40の長手方向の第1端部が接続されている。鎖40の長手方向の第2端部は、弁体34に接続されている。
【0020】
利用者は、水洗トイレ70を次のように使用可能である。まず、レバー38に対する操作力が解除されていると、弁体34は、洗浄水タンク18の内部20の水圧でマウント部33に押し付けられて停止している。つまり、弁体34は排水路37を閉じている。このため、洗浄水タンク18の内部20に洗浄水30が貯留され、その水面31の高さ(水位)は、図2に示す初期位置にある。
【0021】
また、フロート29が洗浄水30の水面31に浮いて停止し、かつ、洗浄水30の水位が初期位置にあると、ボールタップ24の通路27が閉じられている。このため、給水路23の洗浄水は、洗浄水タンク18の内部20へ供給されない。さらに、アーム28は、略水平に延ばされた位置で停止されている。
【0022】
一方、利用者が便座16に座って排泄すると、排泄物は、便器11の水たまり14へ落ちる。その後、利用者がレバー38に操作力を付加すると、ロッド39が所定角度の範囲内で作動し、鎖40が上方へ牽引される。すると、弁体34が、水圧に抗してマウント部33から離間され、排水路37が開かれる。その結果、洗浄水タンク18の内部20の洗浄水は、水圧によって洗浄水供給路13を通って水たまり14へ流れ込む。さらに、水たまり14の排泄物は、洗浄水と共に排水路15へ排出される。なお、洗浄水30が弁体34とマウント部33との間を通っていると、弁体34は、アーム35の支持軸36を中心として時計回りの付勢力を受ける。
【0023】
また、洗浄水30が洗浄水供給路13へ排出されると、洗浄水タンク18の内部20における洗浄水30の水位が低下する。すると、フロート29が自重で下降し、かつ、アーム28が図2で時計回りに作動する。したがって、通路27が開かれ、給水管22から供給される洗浄水が、給水路26から洗浄水タンク18の内部20へと供給(落下)される。
【0024】
さらに、利用者がレバー38に対する操作力を解除すると、弁体34の自重、及び弁体34が受ける水圧で鎖40が下方へ牽引され、ロッド39が逆方向に作動する。そして、アーム35が反時計方向に回転して、弁体34がマウント部33に押し付けられ、排水路37が閉じられる。このため、洗浄水タンク18の内部20に洗浄水30が貯留され、かつ、水位が上昇する。
【0025】
フロート29は、洗浄水30の水位の上昇に伴って上昇し、かつ、アーム28が反時計回りに作動する。そして、洗浄水30の水位が初期位置まで上昇すると、通路27が閉じられ、かつ、洗浄水タンク18の内部20に対する洗浄水30の供給が停止される。
【0026】
なお、オーバーフロー管44が洗浄水タンク18の内部20に設けられている。オーバーフロー管44の上端は、洗浄水30の水位の初期位置よりも上に位置する。オーバーフロー管44の下端は、排水路37へ接続されている。ここで、洗浄水30の水位が初期位置にある状態で、通路27が常時開いた状態となる故障が発生すると、洗浄水30の水位が初期位置よりも高くなる。すると、洗浄水30の一部が、オーバーフロー管44を通って排水路37へ排出される。したがって、洗浄水30の水位が上限位置を超えることを回避できる。上限位置は、初期位置よりも上であり、かつ、所定位置よりも下である。
【0027】
本開示の洗浄水供給装置10は、洗剤供給機構45を有する。洗剤供給機構45は、洗浄水タンク18の内部20へ洗剤を供給するために設けられている。洗剤供給機構45は、洗浄水タンク18の内部20及び蓋19の内部46に亘って設けられている。内部46は空間であり、蓋19が洗浄水タンク18に載せられていると、内部20と内部46とがつながっている。内部20,46は、洗浄水タンク18及び蓋19により囲まれた空間である。
【0028】
洗剤供給機構45は、洗剤を収容する容器(タンク)47、開閉バルブ48、供給管53、供給量調整バルブ49を有する。容器47は、蓋19の内部46に設けられている。容器47は、例えば、合成樹脂製、金属製であり、容器47の内部50に洗剤51が収容される。容器47の上端に開口部52が設けられている。洗剤51は、例えば液体洗剤であり、界面活性剤に加え、除菌、消臭、香料、防カビ等の成分を含む。洗剤51は、酸性、弱酸性、中性、弱アルカリ性、アルカリ性のうちの何れでもよい。
【0029】
供給管53は、内部46及び内部20に亘って設けられている。供給管53は、容器47及び開閉バルブ48とは別の部品で構成され、供給管53の上端が容器47に接続され、供給管53の下端が開閉バルブ48に接続されている。供給管53は、金属製、合成樹脂製、合成ゴム製等の何れでもよい。供給管43は、容器47に対して固定されていてもよいし、容器47に対して取り付け及び取り外しが可能であってもよい。供給管53は、供給路54を有し、供給路54が容器47の内部50に接続されている。
【0030】
供給量調整バルブ49は、容器47の内部50から洗浄水タンク18の内部20に供給される洗剤51の流量を調整するために設けられている。供給量調整バルブ49は、調整レバー74を有し、利用者が調整レバー74を手動で操作することにより、調整レバー74の先端部が供給路54に位置する長さが変化する。このため、供給路54を洗剤51が通るポートの面積を調整することが可能である。供給路54の面積は、洗剤51が供給路54を通る方向、つまり、中心線A1に沿った方向に対して垂直な平面内の面積である。調整レバー74は、内部46に設けられている。
【0031】
開閉バルブ48は、洗浄水タンク18の内部20に設けられている。開閉バルブ48は、フロート29、鎖40、ロッド39等の部品が作動する領域外に設けられている。開閉バルブ48は、ハウジング55及び弁体56を有する。ハウジング55は、合成樹脂製または金属製の筒部材であり、ハウジング55に供給管53が接続されている。また、ハウジング55は、洗浄水タンク18によって直接または間接に支持されている。例えば、洗浄水タンク18の内面に支持腕、ブラケット等の支持機構が設けられ、支持機構によってハウジング55が、固定されている。
【0032】
ハウジング55は、弁体収容室57を有し、弁体56が弁体収容室57に設けられている。弁体56を構成する材質の密度は、洗浄水30の密度より小さい。弁体56の材質は、例えば、合成樹脂であり、かつ、ボール形状である。弁体56は、弁体収容室57で中心線A1に沿った方向に作動可能である。中心線A1は、ハウジング55の中心を表す仮想線であり、中心線A1は、略上下方向、つまり、鉛直線に沿った方向に配置されている。
【0033】
また、ハウジング55は、弁体収容室57を形成する内向きフランジ58を有し、内向きフランジ58によって排出口59が設けられている。内向きフランジ58の内周面は、排出口59に近づくことにともない、内径が減少する向きに傾斜されたテーパ面である。排出口59は、弁体収容室57及び洗浄水タンク18の内部20につながっている。排出口59は、中心線A1を中心として設けられている。排出口59は、洗浄水30の水位の初期位置よりも下方に設けられている。
【0034】
さらに、ハウジング55は、弁体収容室57を囲み、かつ、中心線A1を中心とする環状のテーパ面60を有する。テーパ面60は、中心線A1を中心とする内径が、排出口59に近づくことに伴い拡大する向きで傾斜されている。ハウジング55は、弁体収容室57を囲み、かつ、テーパ面60と排出口59との間に設けられたストレート面61有し、ストレート面61の内径は略一定である。弁体56の直径は、テーパ面60の最小内径より大きく、かつ、ストレート面61の内径より小さく、かつ、排出口59の内径より大きい。
【0035】
洗剤供給機構45の作用は、次の通りである。洗浄水30の水面31が初期位置であると、洗浄水30の水面31は排出口59より上に位置している。このため、洗浄水30の一部は、弁体収容室57内に進入している。このため、弁体56は洗浄水30に浮いており、かつ、弁体56はテーパ面60に押し付けられて停止している。弁体56がテーパ面60に押し付けられていると、弁体56は、供給路54と排出口59とを遮断している。このため、容器47の内部50から自重で供給路54へ進入している洗剤51は、弁体56により堰き止められている。つまり、洗剤51は洗浄水30に混入されない。
【0036】
さらに、図2のように、アーム28が略水平で停止され、かつ、フロート29が停止している状態において、開閉バルブ48は、ロッド39及び鎖40と、フロート29との間に位置している。開閉バルブ48は、ロッド39、鎖40及びフロート29の何れにも接触していない。
【0037】
そして、レバー38に操作力が付与されて弁体34がマウント部33から離間し、洗浄水30が排水路37へ排出されて、洗浄水30の水位が低下すると、弁体56は、弁体収容室57内で下降する。すると、弁体56がテーパ面60から離間され、供給路54が開かれる。つまり、供給路54と排出口59とが接続される。このため、供給路54からハウジング55内に進入した洗剤51は、洗浄水30に混入され、洗剤51が混入された洗浄水30は、排出口59から洗浄水タンク18の内部20へ供給される。したがって、洗剤51が混入された洗浄水30が便器11に供給され、便器11の内面に異物、汚れ等が付着することを抑制でき、便器11を衛生的に保持できる。
【0038】
さらに、洗浄水30の水面31が排出口59よりも下降すると、弁体56が内向きフランジ58のテーパ面に接触して停止する。弁体56が内向きフランジ58に接触すると、弁体56は、排出口59を閉じる。したがって、弁体収容室57内の洗剤51は、洗浄水30へ混入されなくなる。その後、洗浄水タンク18の内部20における洗浄水30の水位が上昇して排出口59より高くなると、弁体56が上昇して内向きフランジ58から離間される。このため、弁体収容室57内の洗剤51は、排出口59から自重で落下し、洗剤51が洗浄水タンク18の内部20の洗浄水30へ混入される。さらに、弁体56がテーパ面60に押し付けられて停止すると、供給路54が閉じられ、洗剤51は、洗浄水30に混入されなくなる。
【0039】
上記のように、本開示の開閉バルブ48は、洗浄水30に浮く弁体56を有し、洗浄水30の水位が低下すると弁体56が下降し、供給路54が開かれて内部50と洗浄水タンク18の内部20とが接続され、洗剤51が洗浄水30に混入される。これに対して、洗浄水30の水面31と共に弁体56が上昇し、容器47の内部50と洗浄水タンク18の内部20とを遮断すると、洗剤51は、洗浄水30に混入されない。このため、利用者は、洗剤51を洗浄水タンク18の内部20の洗浄水30に混入させるために、専用の操作を行わずに済む。したがって、使用者の操作負担を軽減可能である。
【0040】
また、容器47が蓋19の内部46に設けられており、蓋19は、容器47の開口部52を覆うカバーを専用で設けずに済む。したがって、部品点数の増加を抑制でき、かつ、蓋19の外部の異物が、開口部52から容器47の内部50へ侵入することを防止できる。さらに、蓋19が洗浄水タンク18から取り外されていると、利用者は、開口部52から洗剤51を内部50へ供給することが可能である。
【0041】
さらに、利用者は、蓋19を開いて供給量調整レバー74を操作し、供給路54の面積を調整可能できる。具体的には、供給路54の面積が拡大されると、洗浄水30へ供給される洗剤51の供給量が増加する。したがって、容器47の洗剤51が、洗浄水30へ供給される供給量を、便器11の内面の汚れ程度、季節等に応じて、任意に変更可能である。例えば、夏季は冬季に比べて細菌、ウィルス等が繁殖し易いため、夏季の洗剤51の供給量を、冬季の洗剤51の供給量より多くすることができる。さらに、開閉バルブ48は、アーム28、フロート29、鎖40、ロッド39の作動領域外に設けられている。したがって、アーム28、フロート29、鎖40、ロッド39が、開閉バルブ48に接触することを回避できる。
【0042】
<実施例2>
図4は、洗浄水供給装置10の実施例2であり、容器47が外部71に設けられている。供給管53の一部が、略水平方向に沿って延ばされている。容器47は、洗浄水タンク18の高さ方向で、レバー38の上方、かつ、蓋19の側方に配置されている。容器47は、レバー38の作動領域外に設けられている。また、容器47の開口部52を覆うカバー62が設けられている。供給管53はL字形に屈曲されており、供給管53の一部は、ロッド39の上方に配置されている。供給管53は、ロッド39の作動領域外に設けられている。
【0043】
供給管53は、蓋19の側壁63に設けた貫通孔を介して蓋19の外部に配置することが可能である。供給管53の一部が、蓋19の側壁63に設けた貫通孔に設けられている場合、容器47、ハウジング55及び供給管53は、蓋19によって支持されている。図4に示す例では、供給管53の一部が、洗浄水タンク18の側壁64に設けた貫通孔(図示せず)を介して蓋19の外部に配置されている。容器47、ハウジング55及び供給管53は、蓋19によって支持されている。中心線A1は、ハウジング55の中心を示す仮想線である。
【0044】
さらに、容器47が外部71に設けられ、ハウジング55が内部20に設けられており、かつ、略水平方向で容器47とハウジング55とが異なる位置に設けられている。こののため、供給管53は、管及びエルボ等を必要に応じて連結して組み立てられている。図4に示す洗浄水供給装置10の他の構成は、図2に示す洗浄水供給装置10の構成と同じである。
【0045】
洗浄水供給装置10の実施例2は、洗浄水供給装置10の実施例1と同様の効果を得ることができる。また、利用者は、蓋19を洗浄水タンク18から取り外すことなく、カバー62を容器47から取り外し、内部50へ洗剤51を供給可能である。さらに、容器47が透明、または、半透明であると、利用者は、容器47の内部50の洗剤51の量を目視で確認可能である。
【0046】
なお、図4において、供給管53は、蓋19の側壁63に設けた切り欠き部を介して蓋19の外部71に配置することも可能である。さらに、洗浄水タンク18の側壁64が図4よりも上まで延ばされていれば、供給管53を、側壁64に設けた貫通孔、または、切り欠き部を介して外部71に配置することも可能である。この場合、容器47、ハウジング55及び供給管53は、洗浄水タンク18によって支持される。さらに、図4において、供給量調整バルブ49は、二点鎖線で示すように外部71に設けられていてもよい。この構成であると、蓋19を洗浄水タンク18の上から取り外すことなく、利用者は調整レバー74を操作することができる。したがって、利用者の操作負担が軽減される。
【0047】
<実施例3>
図5は、洗浄水供給装置10の実施例2であり、蓋19は、ボウル部75を有し、ボウルブ75の全周に亘って側壁63が接続されている。ボウル部75は、琺瑯製であり、かつ、側壁73と一体化されている。ボウル部75は、洗浄水タンク18に供給される前の洗浄水を誘導する要素である。ボウル部75は、排水孔76を有する。ボウル部75に手洗い管77が取り付けられている。手洗い管77は、金属製又は合成樹脂製である。手洗い管77は、ボウル部75から上に向けて延ばされ、かつ、J字形状に湾曲されている。手洗い管77の吐出口は、外部71に配置されている。
【0048】
手洗い管77におけるボウル部75側の開口端と、給水路26とを接続する接続管78が設けられている。接続管78は、ゴムホースまたは蛇腹管であり、可撓性を有する。接続管78は、側壁73及びボウル部75により囲まれた空間B1に設けられている。接続管78は、蓋19と洗浄水タンク19から取り外して開口部21開いた場合に、接続管78が手洗い管77及び給水路26に接続された状態を維持できるように、接続管78の長さが設定されている。なお、供給管53の一長さ方向の一部は、空間B1に配置されている。
【0049】
図5に示す洗浄水供給装置10では、レバー38が操作されて洗浄水30の水位が低下し、かつ、通路27が開くと、供給路26に供給された洗浄水は、水圧によって接続管78を経由して手洗い管77へ流れ込み、手洗い管77の吐出口から洗浄水が吐出される。洗浄水は下方、具体的にはボウル部75へ向けて吐出される。利用者は、手をボウル部75と手洗い管77の吐出部との間に進入させると、手が洗浄水で洗われる。手洗い管77の吐出部から吐出された洗浄水は、ボウル部75の表面に沿って流れ、排出口76から内部20へ落下する。
【0050】
図5に示す洗浄水供給装置10の他の構成は、図2及び図4に示す洗浄水供給装置10の構成と同じである。図5に示す洗浄水供給装置10の効果、図2及び図4に示す洗浄水供給装置10の効果と同じである。なお、図5において、容器47を空間B1に設けることも可能である。この場合、容器47とボウル部75とが接触しないように、側壁63の高さ、及びボウル部75の高さを定める。
【0051】
<補足説明>
本実施形態で説明された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。洗浄水供給装置10は、洗浄水供給装置の一例である。洗浄水タンク18は、洗浄水タンクの一例である。蓋19は、蓋の一例である。内部46は、蓋19の内部の一例である。内部20は、洗浄水タンクの内部の一例である。外部71は、蓋19の外部及び洗浄水タンク18の外部の一例である。容器47は、洗剤保持部の一例である。供給路54は、洗剤供給路の一例である。開閉バルブ48は、開閉機構の一例である。弁体56は、弁体の一例である。通路27は、洗浄水供給路の一例である。排水路37は、排水路の一例である。便器11は、便器の一例である。
【0052】
ロッド39、鎖40、弁体34は、第1作動部材の一例である。フロート29及びアーム28は、第2作動部材の一例である。中心線A1に沿った方向は、洗剤の通過方向の一例である。供給量調整バルブ49は、調整バルブの一例である。開口部52は、容器47の開口部である。レバー38は、操作部材の一例である。給水路26は、給水路の一例である。手洗い管77は手洗い管の一例である。ボウル部75は、ボウル部の一例である。排水口76は、排水口の一例である。
【0053】
本実施形態で説明した洗浄水供給装置10は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、洗浄水供給装置10を正面視した図2及び図4において、開閉バルブ48は、フロート29と鎖40との間に設けた例が示されているが、開閉バルブ48を設ける位置は、図2及び図4の例に限定されない。つまり、開閉バルブ48が設けられる箇所は、フロート29、鎖40、ロッド39等の可動部品が作動した場合に、部品が開閉バルブ48に接触しない箇所であればよい。
【0054】
具体的に説明すると、図2または図3のように、洗浄水供給装置10を正面視した場合に、開閉バルブ48の配置領域の少なくとも一部が、少なくとも1つの可動部品の配置領域の少なくとも一部と重なっていたとしても、洗浄水供給装置10の前後方向で、開閉バルブ48の配置領域と、可動部品の作動領域とが異なっていればよい。供給管54は、洗剤が流通可能な要素であればパイプ、ホース等の何れでもよい。
【0055】
容器47が供給管53に対して取り付け及び取り外し可能な構成であれば、容器47は、専用に設けられたもの、または、市販されている洗剤容器の何れでもよい。例えば、シャンプー(液体洗髪剤)のボトルを容器47として用いることも可能である。この場合、ボトルの抽出口を下に向けて、供給管53に接続する。さらに、図4または図5のように、容器47を外部71に設ける場合、タンク本体18の上端と蓋19との間に供給管53の一部を配置することも可能である。この場合、タンク本体18の上端と蓋19との間にスペーサを介在させることで、蓋19の質量が、供給管53に加わることを抑制可能である。スペーサは、タンク本体18の開口部21の全周に亘って設けられる。スペーサは、例えば、合成樹脂製、合成ゴム製である。
【0056】
さらに、洗浄水供給路、排水路、洗剤供給路は、それぞれ洗浄水、洗剤が通過可能な構成であればよく、通路、ポート、孔、開口部等を含む。さらに、洗剤51は、容器47から洗浄水タンク18を経て排水路15に至る過程で詰まることが無く、かつ、洗浄水30に溶けるという条件を満たす成分及び粒径であれば、洗剤51は粉末でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の洗浄剤供給装置は、戸建て、マンション、公園、学校、雑居ビル等、あらゆる環境の水洗トイレに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10…洗浄水供給装置、18…洗浄水タンク、19…蓋、20,46…内部、27…通路、28…アーム、29…フロート、34,56…弁体、37…排水路、38…レバー、39…ロッド、40…鎖、47…容器、48…開閉バルブ、49…供給量調整バルブ、52…開口部、54…供給路、71…外部
図1
図2
図3
図4
図5