(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151516
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】射出吹込成形機および成形不良の検知方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20220929BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153610
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2021085598の分割
【原出願日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2021054073
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 純一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CA15
4F202CB01
4F202CK42
4F206AP02
4F206AR07
4F206JA06
4F206JC01
4F206JL07
4F206JP15
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】吹込成形時に成形不良が発生した場合に、成形不良品が発生したことを検知することが可能な、射出吹込成形機および成形不良の検知方法を提供する。
【解決手段】本発明の射出吹込成形機は、固定金型と、中間金型と、可動金型とが取り付けられ、可動金型は、キャビティ空間を形成する可動側凹型部を有し、可動側凹型部は、可動側凹型部の外部とキャビティ空間内とを連通する連通孔と、を有し、射出吹込成形機は、連通孔に流体を供給する流体供給機構と、連通孔内に流体を供給した際の流体の圧力を検知する検知機構を備える。また、本発明の成形不良の検知方法は、上記の射出吹込成形機を用いて成形した成形品の成形不良を検知する方法であって、成形品を吹込成形した後、流体供給機構により連通孔に供給した流体の圧力を検知機構で検知する工程を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と、中間金型と、可動金型とが取り付けられる射出吹込成形機であって、
前記可動金型は、キャビティ空間を形成する可動側凹型部を有し、
前記可動側凹型部は、当該可動側凹型部の外部とキャビティ空間内とを連通する連通孔と、を有し、
前記射出吹込成形機は、前記連通孔に流体を供給する流体供給機構と、当該連通孔内に流体を供給した際の流体の圧力を検知する検知機構を備える、射出吹込成形機。
【請求項2】
前記射出吹込成形機が、射出吹込成形を制御する制御部を備え、
前記検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回った場合、前記制御部に、射出吹込成形の停止を指示する、請求項1に記載の射出吹込成形機。
【請求項3】
前記射出吹込成形機が、射出吹込成形を制御する制御部を備え、
前記検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回った場合、前記制御部に、搬出器による成形品の搬出を停止させる指示を行う、請求項1に記載の射出吹込成形機。
【請求項4】
前記連通孔の開口部は前記可動側凹型部の開口部よりも内側に存在し、且つ、当該連通孔の開口部の径方向位置は、当該可動側凹型部の開口部の径方向内側端の位置よりも径方向外側に存在する、請求項1~3のいずれかに記載の射出吹込成形機。
【請求項5】
前記可動側凹型部は、底型部と当該底型部に隣接する複数の割型部とを有し、
前記連通孔の開口部は、前記底型部に配設される、請求項1~4のいずれかに記載の射出吹込成形機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の前記射出吹込成形機を用いて成形した成形品の成形不良を検知する成形不良の検知方法であって、
前記可動側凹型部内のキャビティ空間で成形品を吹込成形した後、前記流体供給機構により前記連通孔に供給した流体の圧力を前記検知機構で検知する工程を含む、成形不良の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出吹込成形機および成形不良の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば飲料物や食品などの内容物を収容する容器、その他の成形品を成形する装置として、射出吹込成形機が用いられている。射出吹込成形機では、中間成形体であるプリフォームの射出成形と、プリフォームを膨張させて成形品を得るための吹込成形とを、同時に同一の成形機で行えることから、成形品を効率よく大量に製造可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、射出吹込成形機を用いてプリフォームを吹込成形する際、吹込不足により成形不良品が発生することがある。そして、成形不良品が良好な成形品の中に混ざった状態で後工程に搬出されてしまうと、成形工程後の工程において混合状態から成形不良品だけを取り除く作業を要することとなっていた。したがって、吹込成形時において、吹込不足などの成形不良品が発生した場合にそれを検知することが求められている。
【0004】
そこで、本発明は、吹込成形時に成形不良が発生した場合に、成形不良品が発生したことを検知することができる、射出吹込成形機および成形不良の検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決することのできる一の射出吹込成形機は、固定金型と、中間金型と、可動金型とが取り付けられる射出吹込成形機であって、
前記可動金型は、キャビティ空間を形成する可動側凹型部を有し、
前記可動側凹型部は、当該可動側凹型部の外部とキャビティ空間内とを連通する連通孔と、を有し、
前記射出吹込成形機は、前記連通孔に流体を供給する流体供給機構と、当該連通孔内に流体を供給した際の流体の圧力を検知する検知機構を備える。
【0006】
また、上述した課題を解決することのできる一の成形不良の検知方法は、上記の射出吹込成形機を用いて成形した成形品の成形不良を検知する成形不良の検知方法であって、
前記可動側凹型部内のキャビティ空間で成形品を吹込成形した後、前記流体供給機構により前記連通孔に供給した流体の圧力を前記検知機構で検知する工程を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吹込成形時に成形不良が発生した場合に、成形不良品が発生したことを検知することが可能な、射出吹込成形機および成形不良の検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る射出吹込成形機及び、射出吹込成形機に取り付けた金型装置の一例を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す金型装置を型開完了時の状態で示す図である。
【
図4】
図1に示す金型装置を型締時の状態で示す図である。
【
図6】
図5に示す金型装置の固定金型と中間金型との一部を示す拡大断面図である。
【
図7】
図5に示す金型装置の可動金型と中間金型との一部を示す拡大断面図である。
【
図8】
図1に示す射出吹込成形機を用いた成形方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0010】
〔射出吹込成形機〕
本実施形態の射出吹込成形機は、固定金型と、両面に複数のコア金型を配設し回転及び摺動可能の中間金型と、可動金型とを備える金型装置が取り付けられた、
図1に示すような射出吹込成形機である。本実施形態の射出吹込成形機により成形可能な成形品は、特に限定されないが例えば、飲料物や食品などの内容物を収容する容器などが挙げられる。
射出吹込成形機を用いた成形品の製造は、射出成形用キャビティに成形材料を射出してプリフォームを成形した後、吹込成形用キャビティでプリフォームに気体等の流体を供給してプリフォームを膨張させ、成形品を製造するという工程で行われる。
【0011】
〔金型装置〕
本実施形態の射出吹込成形機に取り付けられる金型装置101は、
図1~
図7に示すように、固定金型102と、可動金型103と、両面に複数のコア金型104aが配設され、当該コア金型104aが当該固定金型102および当該可動金型103と型締可能な中間金型104と、を備えている。
なお、
図2は、
図1に示す金型装置101を、射出吹込成形機に取り付けて型開完了時の状態で、横方向から視た図である。
図3は、
図2のI-I線に沿った断面図である。また、
図4は、金型装置101を、射出吹込成形機に取り付けて型締時の状態で横方向から視た図である。
図5は、
図4のII-II線に沿った断面図である。また、
図6および
図7は、
図5の断面図を拡大した断面図である。
【0012】
金型装置101は、固定金型102が固定プラテン32a側に取り付けられ、可動金型103が可動プラテン32b側に取り付けられる。そして、金型装置101の中間金型104は、中間金型支持枠32cに設けられた回転軸部41に取り付けられ、回転軸部41により回転される。固定プラテン32a、可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cを有する型締装置31の詳細については後述する。
【0013】
固定金型102は、
図5および
図6に示すように、金型装置101の型締状態で、中間金型104のコア金型104aと協働して射出成形用のキャビティ空間を形成する固定側凹型部102aを有する。キャビティ空間は吹込成形前の中間成形体であるプリフォームPFの所望の形状に対応する形状となっており、キャビティ空間内に溶融状態の成形材料が射出されることで、プリフォームPFが成形される。なお、
図6に示す例では、キャビティ空間にはプリフォームPFが形成されている。
【0014】
固定側凹型部102aは、
図6に示すように、固定側凹型部102aの開口部102bとは軸線Aに沿う方向(以下軸線方向とも称す。)で逆側である底部にゲート102cを有しており、射出装置21より溶融した成形材料が、当該ゲート102cを介してキャビティ空間へ流入する。
なお、固定金型102の固定側凹型部102a、また、後述の可動金型103の可動側凹型部103a、中間金型104のコア金型104aにおいては、キャビティ空間を形成する表面の形状や金型の外表面の形状を、円柱状にすることができる。また、固定側凹型部102a、可動側凹型部103a、コア金型104aの中心には仮想線としての軸線Aが存在するものとする。
図示の例では、固定側凹型部102aは金型装置101の高さ方向に6つ並ぶことで列を形成し、その列は金型装置101の幅方向に間隔をおいて2つ設けられる。なお、射出成形用の固定側凹型部102aの数は特に限定されない。
【0015】
また、固定金型102、後述する可動金型103、中間金型104においては、射出吹込成形の各工程で適切な温度に調整されることが必要になる。そのため、固定金型102、可動金型103、中間金型104は、油もしくは水等の液体その他の加熱用等の熱媒体を流動させることが可能な流路(図示せず)を内部に有することができる。また、固定金型102、可動金型103、中間金型104には、熱電対等の温度検出素子等(図示せず)を設けることができる。
【0016】
可動金型103は、
図5および
図7に示すように、金型装置101の型締状態で、中間金型104のコア金型104aと協働して吹込成形用のキャビティ空間を形成する可動側凹型部103aを有する。具体的には、可動側凹型部103aは、可動側凹型部103aの開口部103dとは軸線方向逆側(開口部103dよりも内側)に位置する底型部103cと、当該底型部103cに軸線方向開口部側に隣接し、軸線方向に直交する径方向(金型幅方向)に分割可能である複数の割型部103b(図示の例では2つの割型部)と、を有することができる。可動側凹型部103aは、底型部103cと割型部103bとが組み合わされ、中間金型104のコア金型104aが挿入されることで、可動側凹型部103aの内部にキャビティ空間が形成される。また、可動側凹型部103aのキャビティ空間を形成する表面は、成形品MPの外表面の形状に対応する形状となっている。つまり、吹込成形で膨張したプリフォームPFの当該膨張を可動側凹型部103aの表面が規制し、その結果として、可動側凹型部103aの表面の形状が成形品MPの外表面の形状として成形品MPに転写して、成形品MPの所望の形状が形成される。なお、
図7に示す例では、コア金型104aの表面上にプリフォームPFが存在し、吹込成形を行う前の状態であり、吹込成形を行うことで、図中の破線で示す位置に成形品MPが成形されることとなる。
【0017】
また、図示の例では、吹込成形用の可動側凹型部103aが、底型部103cと2つの割型部103bとで形成されている。当該可動側凹型部103aが金型装置101の高さ方向に6つ並ぶことで列を形成し、当該列が金型装置101の幅方向に間隔をおいて2つ設けられる。なお、可動側凹型部103aの数は特に限定されない。
また、割型部103bは、後述する割型開閉機構62により開閉させることができる。可動金型103の割型部103bは、割型開閉機構62によって金型幅方向で同じ向きに動かすものどうしが、割型連結部材63a、63bで連結され得、それにより、それぞれの割型部103bが同時に作動することができる。
【0018】
なお、図示の例では、可動側凹型部103aは、底型部103cと複数の割型部103bとを有しているが、底型部103cを有さず、複数の割型部103bだけを有することもできる。
【0019】
ここで、本実施形態において可動側凹型部103aは、
図7に示すように、可動側凹型部103aの外部(図示の例では可動金型103の外部)とキャビティ空間内とを連通する連通孔103fを有する。可動金型103が連通孔103fを有することにより、例えば可動側凹型部103aのキャビティ空間でプリフォームPFを用いて吹込成形した際、後述する流体供給機構によって空気などの流体を供給することで、得られた成形品MPが適切に成形されたものか否かを検知することができる。具体的には、適切に吹込成形された成形品MPの場合には、
図7の破線で示す位置までプリフォームPFが膨張して成形品MPが成形されることになる。そして、成形品MPが成形された後、流体供給機構によって流体を供給すると、連通孔103fの開口部が成形品MPによって塞がれ、流体のキャビティ空間内への流入が妨げられる。
しかし、仮に、プリフォームPFが吹込不足などによりキャビティ空間内で適切に膨張せず成形不良となった場合やプリフォームPFの成形不良(射出不良)によって成形品MPも成形不良となった場合、この状態で流体供給機構によって流体を供給すると、連通孔103fを通流した流体がキャビティ空間内に少なくとも一部流入する。すなわち、成形不良品が発生すると、流体供給機構によって供給した連通孔103f内での流体の圧力が、適切に吹込成形されたときとは異なる圧力の挙動を示すこととなる。
したがって、可動金型103が連通孔103fを有することにより、吹込成形時に成形不良が発生した場合に、成形不良品が発生したことを検知することができる。
【0020】
なお、吹込不足などの成形不良は、特に限定されないが例えば次のような要因で起こり得ると推測される。すなわち、当該要因としては、プリフォームを射出成形した際に生じ得る、吹込成形時に気体を吹き込むための吹込スリットの成形材料による閉塞、または、プリフォームの充填不良が挙げられる。これらが生じると、その後、吹込成形を行うときにおいて、吹込不足が生じて吹込成形用金型内の隅々までプリフォームが十分に膨張しにくくなると推測される。
そして、このように成形不良が発生し得る要因が吹込成形前に生じた場合には、射出吹込成形機では射出成形と吹込成形とを同時に行っていることから、吹込成形を行う前に成形不良が発生し得る要因を検知しにくい傾向がある。
【0021】
ここで、本実施形態において、連通孔103fの位置は特に限定されず、成形品MPの形状などに合わせて任意に配置することができる。本実施形態においては、連通孔103fは、
図7に示すように、当該可動側凹型部103aの開口部103dよりも内側(軸線方向の底型部103c側)の部分に開口することが好ましい。より具体的には、可動側凹型部103aの開口部103dよりも内側の部分に対応する表面を第1表面103eとするとき連通孔103fは第1表面103eに開口する。これにより、仮に、プリフォームPFが吹込不足などによりキャビティ空間内で適切に膨張せず成形不良となり、
図7の破線で示す位置に成形品MPが成形されない場合になっても、後述する流体供給機構によって空気などの流体を連通孔に供給することで、得られた成形品MPが適切に成形されたものか否かを検知することができる。
【0022】
また、本実施形態においては、連通孔103fの開口部が可動側凹型部103aの開口部103dよりも内側に存在し、且つ、当該連通孔103fの開口部の、可動側凹型部103aでの径方向位置が、可動側凹型部103aの開口部103dの径方向内側端の位置よりも径方向外側に存在することが好ましい。成形不良品中の具体的に吹込不足になる部分は、プリフォームPFを膨張させた際、膨張終了付近に膨張する部分、具体的には、成形品MP中で、外径が大きい部分や角となる部分である傾向がある。そして、成形品MP中のこのような部分の、可動側凹型部103aに対応する位置としては、可動側凹型部103aの開口部103dの径方向内側端の位置よりも径方向外側に位置する傾向があり、そのためそのような位置に連通孔103fの開口部を位置させることが好ましい。
また、連通孔103fの第1表面103eへの開口部の位置は、より好ましくは、プリフォームPFを膨張させた際、プリフォームPFの最後に膨張される部分に対応する位置であることが好ましい。
なお、本実施形態においては、連通孔103fの開口部は、可動側凹型部103aの開口部103dに存在させることもでき、これにより、仮に、プリフォームPFの成形不良(射出不良)によって成形品MPも成形不良となった場合であっても、本実施形態の射出吹込成型機では成形不良品が発生したことを検知することができる。
【0023】
なおここで、可動側凹型部103aの開口部103dとは、
図7に示すように、プリフォームPFおよび成形品MPの口部(図示の例では口部がフランジを有している)や首部に対応する部分である。吹込成形では、通常、プリフォームPFを全体として膨張させるが、プリフォームPFの口部や首部については吹込成形で大きな膨張が抑制される。可動側凹型部103aの開口部103dは、このようなプリフォームPFの口部や首部の大きな膨張を抑制する部分とすることができる。
【0024】
また、図示の例のように、可動金型103の可動側凹型部103aが、底型部103cと割型部103bとを有する場合には、連通孔103fの開口部(連通孔103fの第1表面103eへの開口部)は、底型部103cに配設させることが好ましい。連通孔103fを割型部103b内に設けることも可能であるが、割型開閉機構62により開閉される割型部103bよりも底型部103cに設けることがより容易であるためである。また、底型部103cにおいて、吹込不足になりやすい部分である成形品MPの角となる部分(例えば、成形品MPの側壁と底との間の角など)が存在する傾向があるためである。
【0025】
さらに、連通孔103fの開口部の内径は、成形不良品が発生したことを検知しやすくしつつ、径が大きすぎることによる成形品MPへの影響が生じるおそれを低減する大きさとするのが好ましい。
【0026】
本実施形態において、連通孔103fを通流させる流体としては、液体や気体であっても特に限定されないが、例えば、空気などの気体を用いることができる。
また、連通孔103fは、第1表面103eへ開口していれば、当該開口部以外の可動金型103内の流路は任意に配置することができ、また、その形状、大きさも任意にすることができる。なお図示の例では、連通孔103fが、第1表面103eへの開口部側で窄まる形状を有している。
【0027】
中間金型104は、
図2~
図5に示すように、板状に形成される板状部104bと、板状部104bの一方側の主面に設けられるコア金型104a(一方側のコア金型104aと称す)と、板状部104bの他方側の主面に設けられるコア金型104a(他方側のコア金型104aと称す)とを有する。一方側のコア金型104aと、他方側のコア金型104aとは、板状部104bを挟んで対称に配設される。一方側のコア金型104a、他方側のコア金型104aは、射出成形用の固定側凹型部102aや吹込成形用の可動側凹型部103aと同数設けられる。
【0028】
中間金型104のコア金型104aは、
図6、
図7に示すように、略円柱状である。その根元部104cには、コア金型104aが可動側凹型部103aに挿入されて形成されるキャビティ空間内でプリフォームPFを吹込成形するため、吹込スリット104dが形成されている。当該吹込スリット104dは、根元部104cの表面に開口し、中間金型104の外部と連通し、外部よりプリフォームPFを膨張させるための流体(特に気体)を吹き込むことができる。
【0029】
〔流体供給機構、検知機構〕
本実施形態において、射出吹込成形機1は、連通孔103fに流体を供給する流体供給機構(図示せず)と、当該連通孔103f内に流体を供給した際の当該流体の圧力を検知する検知機構(図示せず)を備える。本実施形態において、射出吹込成形機1が流体供給機構と検知機構とを備えることにより、上述の連通孔103fを用いた吹込成形時の成形不良品の検知を行うことができる。
【0030】
流体供給機構としては、特に限定されないが例えば、液体または気体を吐出可能なポンプとすることができる。流体供給機構は、射出吹込成形機1において任意に配置することができる。
流体供給機構は、例えば、吹込成形において、プリフォームPF内への気体の所定の圧力、所定の時間の吹込が終了した後に流体の供給を開始し、そして所定時間(例えば吹込が終了してから可動側凹型部103aの割型部103bの型開きを開始するまでの時間)の供給状態(加圧状態)を維持した後、流体の供給が停止される。具体的には、流体供給機構の動作開始は、吹込成形においてプリフォームPFへの吹込が終了した際、例えば、射出吹込成形機1内の射出吹込成形を制御する制御部から発信される信号、具体的には流体供給機構を動作させて流体を連通孔103fに供給させるための信号を受信することにより、実行され得る。また、流体供給機構の動作停止については、例えば予め設定した時間だけ動作させることもできるし、後述する、検知機構が発信し得る、動作停止の信号の受信後に停止することもできる。
【0031】
流体供給機構による流体の供給圧力は、その上限値として、例えば可動金型103内の成形品MPが良品である場合に当該成形品MPに影響を与えない程度の大きさとすることができる(例えば吹込成形した成形品MPが変形されない圧力)。また、流体の供給圧力は、その下限値として、可動金型103内の成形品MPが不良品である場合に、連通孔103fからキャビティ空間内に流体が少なくとも一部流入可能な程度の圧力とすることができる。
【0032】
検知機構は、連通孔103f内に流体を通流させた際の当該流体の圧力を検知することができ、特に限定されないが例えば、圧力センサを有することができる。圧力センサは、流体供給機構から連通孔103fの第1表面103eへの開口部までの間に設けることができる。
検知機構は、常時、流体の圧力を検知する状態とすることもできるが、例えば、上記の流体供給機構が動作した際(流体を供給開始した際)に圧力の検知を開始し、流体供給機構が停止した際(流体を供給停止した際)に圧力の検知を停止することができる。また、検知機構は、射出吹込成形機1が流体の圧力を表示可能な表示部を備える場合には、当該表示部に検知結果を出力することができる。
【0033】
そして、検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回った場合や、検知した圧力のピーク圧が所定の閾値よりも下回った場合に、制御部に、射出吹込成形の停止を指示することができる。具体的には、吹込成形時において適切に成形品MPが成形された場合には、流体供給機構による流体の供給が行われると、成形品MPによって、連通孔103fの開口部からキャビティ内への流体の流入を抑えることができるので、検知機構が検知する圧力は比較的高くなる。一方、吹込成形時において成形不良品が成形された場合には、流体供給機構による流体の供給に対して、成形不良品では、連通孔103fの開口部からキャビティ内への流体の流入が抑えられない、または、僅かにしか抑えられない。したがって、検知機構が検知する圧力は、流体供給機構が動作している間のほとんどで、比較的低くなる。
したがって、流体供給機構による流体の供給が行われた後、所定時間に亘って圧力が上がっていない状態、つまり、圧力が低い状態となって所定の閾値を下回った場合やピーク圧が所定の閾値よりも下回った場合には、成形品MPが不良品であると判断できる。そして、検知機構は、制御部に、射出吹込成形の停止を指示することで、成形不良品が、適切に成形された成形良品と混合状態で搬出されることを防止し、また、さらなる成形不良品の発生を防ぐことができる。
【0034】
なお、検知機構が検知した圧力と対比する所定の閾値は、吹込成形時において適切に成形された成形品MPが可動金型103内に存在する際に検知機構が検知する圧力を考慮した閾値を設定することができる。また、検知機構が制御部に射出吹込成形の停止を指示する判定条件中の「所定の時間に亘って」とは、一時的に低い圧力状態が発生してしまった場合に成形品MPが不良品と判定されないようにすることを意図している。例えば流体供給機構が動作開始した直後には検知した圧力が低くなることがあり、閾値を下回ることがあり得るためである。そして、「所定の時間」は、使用する金型装置、成形品、成形条件等を考慮して任意に設定することができる。
【0035】
また、上記では、検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回った場合、制御部に対して吹込成形を停止させる指示を行うものとしたが、制御部への指示を次のように替えることもできる。すなわち、射出吹込成形機1が、例えば成形不良の成形品MPが射出吹込成形機1から搬出されるのを防止し回収するための回収機構を備える場合において、検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回ったとき、制御部に、当該回収機構による回収を指示することができる。また、或いは、射出吹込成形機1の後工程機として、例えば成形品MPを外部に搬出するための搬出器を備える場合において、検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回ったとき、制御部に、当該搬出器による成形品MPの搬出を停止させる指示を行うことができる。これらにより、射出吹込成形を停止することなく成形不良品が搬出されることを防止することができる。
【0036】
〔射出装置〕
射出装置21は主に、金型装置101に向けて延びる円筒状等のシリンダ22と、シリンダ22の内部にそれと中心軸線を平行にして配置されて、周囲にフライトが螺旋状に設けられたスクリュ23と、シリンダ22の外周側にその周囲を取り囲んで配置されたバンド状等のヒータ24と、シリンダ22及びスクリュ23の後方側に配置されたモータボックス25とを備える。図示は省略するが、モータボックス25内には、シリンダ22の先端部に所定の量の成形材料を蓄積させるため、スクリュ23を中心軸線周りに回転させる計量モータや、金型装置101に接近する方向及び金型装置101から離れる方向の各方向へのスクリュ23の前進及び後退変位を行う射出モータ、スクリュ23が成形材料から受ける圧力を検出する圧力検出センサ等が配置されている。
【0037】
なおここでは、金型装置101の固定金型102が取り付けられる型締装置31の固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。したがって、
図1では固定プラテン32aの右側に位置する射出装置21について見ると、固定プラテン32aに接近する左向きが前方側となり、固定プラテン32aから離隔する右向きが後方側になる。
【0038】
シリンダ22は、後方側でモータボックス25の手前に、成形材料をシリンダ22内に投入するためのホッパーが取り付けられ得る供給口22aが設けられる。また、金型装置101に近接するシリンダ22の先端部には、その前方側で横断面積が小さくなるノズル22bが設けられている。なお、供給口22aの近傍には水冷等による水冷シリンダ22cを設けることができる。
【0039】
ノズル22bの周囲を含むシリンダ22の周囲に配置されるヒータ24は、たとえば図示のように、シリンダ軸線方向で複数の部分に分割されて、各ヒータ部分の内側のシリンダ22の内部を異なる温度で加熱できるものとすることができる。各ヒータ部分には、温度検出器を設けることができる。
【0040】
スクリュ23の先端側は、その外径を部分的に小さくして設けた括れ部の周囲に、スクリュ23とともに前進及び後退変位してそれより前方側に送られた成形材料の後方側への逆流を防止する図示しない逆流防止リングが配置され得る。この逆流防止リングは、たとえば、それより前方側もしくは後方側に位置する成形材料から受ける圧力に応じて、スクリュ23に対して前後に変位し、それにより後方側から前方側に向かう成形材料の流れのみを許容するものである。
【0041】
このような構成を有する射出装置21によれば、供給口22aからシリンダ22の内部に投入された成形材料は、シリンダ22の外周側のヒータ24による加熱の下、計量モータで駆動されるスクリュ23の回転に基づいて溶融されつつ、シリンダ22の内部で前方側に向けて送られて、シリンダ22の先端部に蓄積される。この際に、スクリュ23は射出モータにより後退変位させられて、シリンダ22の先端部に、成形材料が蓄積される空間を形成する。
【0042】
その後、スクリュ23を前進変位させることにより、シリンダ22の先端部の成形材料は、ノズル22bを経て金型装置101に向けて射出される。さらにその後、シリンダ22の先端部に残留している成形材料を通じて、金型装置101のキャビティに充填された成形材料に圧力を作用させる保圧を行う。このとき、金型装置101の射出成形用キャビティで成形材料の冷却収縮に起因して不足した成形材料を補充することができる。
【0043】
なお、この射出吹込成形機1はインラインスクリュ式のものであるが、可塑化シリンダ及び可塑化スクリュと、射出シリンダ及び射出プランジャーとに構造及び機能上分離させたプリプラ式の射出吹込成形機とすることも可能である。
【0044】
〔移動装置〕
移動装置26は、たとえば射出装置21のモータボックス25の下部等に設けられ、固定プラテン32aに対して射出装置21を前進及び後退変位させる進退駆動機構である。
移動装置26を構成する進退駆動機構としては種々の機構を採用することができるが、図示の移動装置26は、油圧等の液圧ポンプ27と、液圧ポンプ27を作動させる電動等によるポンプ作動用モータ28と、液圧ポンプ27から作動液が供給されて、先端が固定プラテン32aに固定されたピストンロッド61bを押出・引込運動させる複動型の液圧シリンダ29とを含んで構成されている。
【0045】
この移動装置26は、上述した液圧ポンプ27、ポンプ作動用モータ28及び液圧シリンダ29が取り付けられたスライドベース26a、ならびに、ベースフレーム2上に敷設されて該スライドベース26aの直線運動を案内するガイド26bをさらに含む。それにより、スライドベース26aの上部に載置された射出装置21の進退変位を実現する。
【0046】
移動装置26により、射出装置21を金型装置101から離隔させたり、また、射出装置21を金型装置101に接近させて、射出装置21のシリンダ22のノズル22bを所定の圧力で金型装置101に押し付ける、いわゆるノズルタッチを行ったりすることが可能になる。
【0047】
〔型締装置〕
型締装置31は、固定プラテン32a、可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cを有する金型保持機構32の他、固定プラテン32aに対して中間金型支持枠32cを動かす中間金型移動機構61と、固定プラテン32aに対して可動プラテン32bを動かすプラテン移動機構33と、可動金型103の割型を開閉する割型開閉機構62とを有する。中間金型移動機構61及び割型開閉機構62については、
図2~
図5を参照しながら後述する。
【0048】
金型保持機構32は、射出装置21及び金型装置101の相互間に位置する固定プラテン32aと、固定プラテン32aとの間で金型装置101を隔てて位置し、固定プラテン32aに対して接近・離隔変位が可能な可動プラテン32bと、固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間に配置され、固定プラテン32aに対して接近・離隔変位が可能な中間金型支持枠32cとを含む。また、型締装置31には、固定プラテン32aから後述のリヤプラテン34側に延びて固定プラテン32aとリヤプラテン34とを連結する一本又は複数本のタイバー32dが設けられている。可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cは、この例では、タイバー32dにより固定プラテン32aに対する離隔・接近変位がガイドされるものとしているが、タイバー32dでガイドされない場合もある。
【0049】
金型保持機構32のうち、固定プラテン32aは、ベースフレーム2上に固定して取り付けられる。一方、可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cはそれぞれ、ベースフレーム2上に敷設されたガイド部材32e上に配置され、互いに独立して、固定プラテン32aに対して離隔する方向及び接近する方向にスライドすることができる。
【0050】
なお、固定プラテン32aに対して可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cが離隔する位置では、金型装置101の可動金型103及び中間金型104が固定金型102から開いた型開状態となる。この離隔位置から可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cのそれぞれを固定プラテン32aに向けて接近させることで、可動金型103及び中間金型104が固定金型102に対して閉じた型閉状態となるとともに、さらに可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cをそれぞれ固定プラテン32aにて接近させて、可動金型103及び中間金型104が固定金型102に対して押し付けられた型締状態となる。ここでは、金型装置101の固定金型102が取り付けられる固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。型締装置31の固定プラテン32aを除く多くの部分については、
図1では、固定プラテン32aに接近する右向きが前方側になり、固定プラテン32aから離隔する左向きが後方側になる。
【0051】
図示の中間金型支持枠32cは、正面視で矩形等の枠状を有し、水平面に平行な平面内で前後方向に直交する金型幅方向(
図1では前後方向)に延びる回転軸部41が回転可能に設けられている。この例では、回転軸部41の軸方向を水平方向と平行な方向にしているが、回転軸部41の軸方向はこれに限らず、たとえば鉛直方向と平行な方向等とすることも可能である。
【0052】
また、中間金型支持枠32cには、回転軸部41を回転駆動し、それとともに中間金型104を回転させる中間金型回転機構が設けられる。この中間金型回転機構は、図示は省略するが、たとえば、回転軸部41の端部に設けることができ、この例では、一方側の端部42a側に設けることができる。
【0053】
固定プラテン32aに対して中間金型支持枠32cを動かす中間金型移動機構61は、たとえば、
図2~
図5に示すように、固定プラテン32a及び中間金型支持枠32cのそれぞれに取り付けられて、モータにより駆動される液圧ポンプで作動する液圧シリンダ61a及びピストンロッド61b等で構成することができる。この例では、金型幅方向で固定金型102及び中間金型104の外側に位置する二対の液圧シリンダ61a及びピストンロッド61bを設けているが、一対又は三対以上としてもよい。
なお、図示の例では中間金型移動機構61は、固定プラテン32a及び中間金型支持枠32cのそれぞれに取り付けられているが、可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cのそれぞれに取り付けることもできる。
【0054】
型締装置31のプラテン移動機構33は、
図1に示すように、ベースフレーム2上に配置されたリヤプラテン34と、リヤプラテン34上に設けた型締モータ35と、型締モータ35の回転運動を、可動プラテン32bの変位方向の直線運動に変換する運動変換機構36と、運動変換機構36に伝達された力を増大させて可動プラテン32bに伝えるトグル機構37とを備えるものである。
【0055】
このうち、運動変換機構36は、回転運動を直線運動に変換できる種々の機構とすることができるが、この例では、型締モータ35により回転駆動されるねじ軸36a及び、ねじ軸36aに螺合するナット36bを含んで構成されるものとしている。運動変換機構36は、ボールねじとすることも可能である。そして、運動変換機構36からの伝達力を増大させるトグル機構37は、上記の運動変換機構36のナット36bと可動プラテン32bとをつなぐ複数のリンク37a~37cを、ジョイントで揺動可能に接続してなるものである。リンク及びジョイントの個数ならびにその形状は適宜変更することが可能であるが、
図1に示すところでは、ナット36bに接続されて上下方向に延びるクロスヘッド37dに、該クロスヘッド37dを隔てて上下に位置するリンク37a~37cからなる一対のリンク群が、揺動可能に接続されて設けられている。
【0056】
なお、リヤプラテン34上には、上述した型締モータ35の他、型厚調整モータ38も設けることができる。この型厚調整モータ38は、先述の金型保持機構32の各タイバー32dの延長部分に接続されたねじ軸36a及びナット36bに回転駆動力を付与することにより、固定プラテン32aと、ベースフレーム2上で移動可能に載置されたリヤプラテン34との間の間隔を調整するべく機能する。これにより、金型装置101の交換や、温度変化に起因する金型装置101の厚みの変更等の際にも、金型装置101に所期したとおりの型締力を与えることができるように型厚の調整を行うことができる。図示は省略するが、ベースフレーム2上で固定プラテン側を移動可能とし、リヤプラテン側を固定としても、型厚の調整を実現可能である。
【0057】
また、この型締装置31は、
図2~
図5に示すように、液圧シリンダ62b及びピストンロッド62a等を有し、これにより可動金型103の割型を金型幅方向に進退駆動して開閉する割型開閉機構62を備えるものである。
【0058】
図示の型締装置31は、可動プラテン32bの移動方向が水平方向と平行な横型のものであるが、該移動方向を垂直方向とした竪型のものとすることも可能である。
【0059】
〔射出吹込成形機の動作〕
以上に述べた射出吹込成形機1は、一例として、
図8のフローチャートに示すような工程を行うように動作することができる。
図2、
図3に示す金型装置101の型開状態で、プラテン移動機構33により可動プラテン32bを固定プラテン32a側に移動させるとともに、中間金型移動機構61により中間金型支持枠32cを固定プラテン32a側に移動させる型閉工程を行う(ステップS10)。
【0060】
次いで、前回の成形時の後述する計量で既に射出装置21の内部に成形材料が所定の量で蓄積されて配置された状態で、型締装置31を用いて、
図4、
図5に示すように、金型装置101を型締状態とする型締工程が行われる(ステップS20)。型締工程では、固定金型102と中間金型104との間に、射出成形用キャビティが区画され、可動金型103と中間金型104との間に、吹込成形用キャビティが区画される。
【0061】
そして、スクリュ23の前進により上記の成形材料を、金型装置101の射出成形用キャビティに向けて充填する射出工程を行う(ステップS30)。射出工程では、射出成形用キャビティへの成形材料の充填後に、スクリュ23をさらに前進させて射出装置21の先端部の内部にある成形材料を所定の圧力に保持する保圧が行われる。しかる後、射出成形用キャビティに充填された成形材料を冷却させて固化させる。これにより、射出成形用キャビティにプリフォームPFが成形される。なおこの際に、射出装置21内に別途投入した成形材料を、ヒータ24による加熱下でスクリュ23の回転により射出装置21の先端部に向けて送りながら溶融させ、所定の量の成形材料を先端部に配置する計量が行われる。
【0062】
上記の射出工程と並行して、吹込成形用キャビティでは吹込工程が行われる。吹込成形用キャビティには、中間金型104の反転前に射出成形用キャビティで既に成形されたプリフォームPFが配置されている。吹込工程では、当該プリフォームPFに対して空気その他の気体等の流体を供給し、吹込成形用キャビティでプリフォームPFを膨張させて、成形品MPを成形する。
【0063】
そして、この吹込工程では、成形品MPを成形した後、流体供給機構により連通孔103fに流体を供給し、検知機構により、当該連通孔103f内に流体を通流させた際の当該流体の圧力を検知する検知工程を行う(ステップS31)。
次いで、検知機構は、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回ったかどうかを判定する(ステップS32)。検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回った場合(ステップS32-YES)、検知機構は、制御部に射出吹込成形の停止を指示して(ステップS33)、制御部は射出吹込成形を停止する。なお、制御部が検知機構より射出吹込成形の停止の指示を受信したときには、射出吹込成形機1が表示部を備える場合には、制御部は表示部に不良品が発生した旨の警報を表示させることができる。
一方、検知した圧力が所定の時間に亘って所定の閾値を下回ることがなかった場合(ステップS32-No)、検知機構は、制御部に射出吹込成形の停止を指示することなく、後述の工程(ステップS40)に進む。
【0064】
つづいて、型締装置31のプラテン移動機構33及び中間金型移動機構61を作動させて、可動プラテン32b及び中間金型支持枠32cのそれぞれを固定プラテン32aから離れる側に移動させ、固定金型102と中間金型104とを開くと共に、中間金型104と可動金型103とを開く型開工程を行う(ステップS40)。
【0065】
型開工程の後は、割型開閉機構62を用いて、可動金型103の割型を開いて成形品MPを取り出した後、可動金型103の割型を閉じる割型開閉工程を行う(ステップS50)。
またここでは、中間金型回転機構により中間金型104を反転させる中間金型回転工程を行う(ステップS60)。これにより、割型開閉工程で成形品MPが回収された側における中間金型104のコア金型104aが、固定金型102の固定側凹型部102a側を向くことになる。一方、射出工程でプリフォームPFが成形された側における中間金型104のコア金型104aは、プリフォームPFを保持した状態で、可動金型103の可動側凹型部103aを向く。
なお、中間金型回転工程は、割型開閉工程とほぼ同時期又は、割型開閉工程の前もしくは後に行うことができる。
【0066】
射出吹込成形機1を用いた射出成形では、上述したような型閉工程、型締工程、射出工程、吹込工程、型開工程、割型開閉工程及び中間金型回転工程が繰り返し行われる。
また、本実施形態の成形不良の検知方法では、上記のステップS31の検知工程を行うことにより、吹込成形時に成形不良が発生した場合に、成形不良品が発生したことを検知することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 射出吹込成形機
2 ベースフレーム
21 射出装置
22 シリンダ
22a 供給口
22b ノズル
22c 水冷シリンダ
23 スクリュ
24 ヒータ
25 モータボックス
26 移動装置
26a スライドベース
26b ガイド
27 液圧ポンプ
29 液圧シリンダ
31 型締装置
32a 固定プラテン
32b 可動プラテン
32c 中間金型支持枠
32d タイバー
32e ガイド部材
33 プラテン移動機構
34 リヤプラテン
35 型締モータ
36 運動変換機構
36a ねじ軸
36b ナット
37 トグル機構
37a~37c リンク
37d クロスヘッド
38 型厚調整モータ
41 回転軸部
42a 一方側の端部
61 中間金型移動機構
61a 液圧シリンダ
61b ピストンロッド
62 割型開閉機構
62a ピストンロッド
62b 液圧シリンダ
63a、63b 割型連結部材
101 金型装置
102 固定金型
102a 固定側凹型部
102b (固定側凹型部の)開口部
102c ゲート
103 可動金型
103a 可動側凹型部
103b 割型部
103c 底型部
103d (可動側凹型部の)開口部
103e 第1表面
103f 連通孔
104 中間金型
104a コア金型
104b 板状部
104c 根元部
104d 吹込スリット
PF プリフォーム
MP 成形品