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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151557
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】積層型インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20220929BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20220929BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20220929BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F27/29 123
H01F17/00 Z
H01F27/28 104
H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196979
(22)【出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2021049139
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】生出 章彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知生
(72)【発明者】
【氏名】長田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 満
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 兼太
(72)【発明者】
【氏名】海老名 和広
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝
(72)【発明者】
【氏名】小野 博
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E070CB03
5E070CB12
5E070CB13
(57)【要約】
【課題】放熱性の向上が図られた積層型インダクタを提供する。
【解決手段】積層型インダクタ10においては、たとえばスルー導体20Cの中心Cが仮想線Lからずれるように設計されているため、複数のスルー導体20A~20Dのすべてが一直線状に並んでおらず、所定の寸法規格の素体12内においてスルー導体20A~20D同士の離間距離を十分に確保することができる。したがって、熱源であるスルー導体20A~20Dが分散されて、スルー導体20A~20Dの熱を素体12外に効率よく放熱することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の層を含み、前記複数の層の積層方向に対して直交する実装面と、前記複数の層の積層方向に対して直交する方向において互いに対向する一対の端面とを有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記一対の端面の対向方向に沿って前記端面間に亘って延びるとともに前記端面において端部が露出する複数のスルー導体と、
前記素体の端面にそれぞれ設けられ、前記端面に露出する前記複数のスルー導体を一体的に覆う一対の外部電極と
を備え、
前記各スルー導体が、前記一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、前記実装面に対して平行に延びる断面形状を有し、
前記複数のスルー導体が、第1スルー導体、第2スルー導体および第3スルー導体を含み、
前記一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、前記第1スルー導体の中心と前記第2スルー導体の中心とを結ぶ仮想線から、前記第3スルー導体の中心がずれている、積層型インダクタ。
【請求項2】
前記一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、前記第1スルー導体の中心および前記第2スルー導体の中心が、前記第3スルー導体の中心に対して等距離である、請求項1に記載の積層型インダクタ。
【請求項3】
前記各スルー導体が、前記一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、前記実装面に対して平行に延びる長方形の、前記実装面から遠い側の2角が丸まった断面形状を有する、請求項1または2に記載の積層型インダクタ。
【請求項4】
前記素体の積層方向および前記一対の端面の対向方向に対して直交する第1方向における前記スルー導体の長さが、前記第1方向における前記素体の長さの10~30%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層型インダクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、素体内において直線状に延びるスルー導体を備えたインダクタが知られている。下記特許文献1には、互いに対向する一対の端面を有する素体と、端面間に亘って延びる3つのスルー導体と、素体の両端面に設けられて各スルー導体と接続される一対の外部電極とを備えたインダクタが開示されている。特許文献1に開示されたインダクタにおいては、帯状を呈する3つのスルー導体が重ねられて、スルー導体同士が互いに近接するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-88289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に係るインダクタにおいては、その駆動時に、一対の外部電極間に電圧が印加されてスルー導体に電流が流れる。このとき、スルー導体が発熱して、スルー導体が高温となるが、スルー導体は高温になるに従って電気抵抗が高くなってしまう。そのため、スルー導体の熱を素体外に効率よく放熱する必要がある。しかしながら、上述した従来技術に係るインダクタでは、十分な放熱をおこなうことができなかった。
【0005】
本発明の一側面は、放熱性の向上が図られた積層型インダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る積層型インダクタは、積層された複数の層を含み、複数の層の積層方向に対して直交する実装面と、複数の層の積層方向に対して直交する方向において互いに対向する一対の端面とを有する素体と、素体内に設けられ、一対の端面の対向方向に沿って端面間に亘って延びるとともに端面において端部が露出する複数のスルー導体と、素体の端面にそれぞれ設けられ、端面に露出する複数のスルー導体を一体的に覆う一対の外部電極とを備え、各スルー導体が、一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、実装面に対して平行に延びる断面形状を有し、複数のスルー導体が、第1スルー導体、第2スルー導体および第3スルー導体を含み、一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、第1スルー導体の中心と第2スルー導体の中心とを結ぶ仮想線から、第3スルー導体の中心がずれている。
【0007】
上記積層型インダクタにおいては、一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、第1スルー導体の中心と第2スルー導体の中心とを結ぶ仮想線から、第3スルー導体の中心がずれているため、スルー導体同士の離間距離を十分に確保することができる。そのため、スルー導体の熱を素体外に効率よく放熱することができる。
【0008】
他の側面に係る積層型インダクタは、一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、第1スルー導体の中心および第2スルー導体の中心が、第3スルー導体の中心に対して等距離である。
【0009】
他の側面に係る積層型インダクタは、各スルー導体が、一対の端面の対向方向に対して直交する断面において、実装面に対して平行に延びる長方形の実装面から遠い側の2角が丸まった断面形状を有する。
【0010】
他の側面に係る積層型インダクタは、素体の積層方向および一対の端面の対向方向に対して直交する第1方向におけるスルー導体の長さが、第1方向における素体の長さの10~30%である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の種々の側面によれば、放熱性の向上が図られた積層型インダクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る積層型インダクタを示す斜視図である。
図2図1に示した素体のスルー導体を示す斜視図である。
図3図2に示したスルー導体を示す平面図である。
図4図2に示した素体のIV-IV線断面図である。
図5図2に示したスルー導体の素体端面における配置を示した図である。
図6】異なる形態のスルー導体を示す斜視図である。
図7図6に示したスルー導体の素体端面における配置を示した図である。
図8】異なる形態のスルー導体を示す斜視図である。
図9図8に示したスルー導体を示す平面図である。
図10図8に示したスルー導体の素体端面における配置を示した図である。
図11】異なる形態のスルー導体を示す斜視図である。
図12図11に示したスルー導体を示す平面図である。
図13図11に示したスルー導体の素体端面における配置を示した図である。
図14】異なる形態のスルー導体を示す斜視図である。
図15図14に示したスルー導体の素体端面における配置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0014】
図1~4を参照して、実施形態に係る積層型インダクタの構成について説明する。図1に示すように、実施形態に係る積層型インダクタ10は、素体12および一対の外部電極14A、14Bを備えて構成されている。
【0015】
素体12は、略直方体状の外形を有し、素体12の延在方向において互いに対向する一対の端面12a、12bを有する。素体12は、端面12a、12bの対向方向に延在して端面12a、12b同士を結ぶ4つの側面12c~12fをさらに有する。側面12dは、積層型インダクタ10が実装された際に実装基体と対向する実装面であり、側面12dと対向する側面12cは、実装された際に頂面となる。素体12の寸法は、端面12a、12bの対向方向に関する寸法を長さ、側面12e、12fの対向方向に関する寸法を幅、側面12c、12dの対向方向に関する寸法を厚さとすると、一例として長さ2.5mm×幅2mm×厚さ0.9mmである。本実施形態では、素体12は、厚さより幅のほうが長くなるように設計されている。また、素体12は、幅より長さのほうが長くなるように設計されている。
【0016】
素体12は、磁性体18の内部に内部電極20が設けられた構成を有する。素体12は、図4に示すように、磁性体18を構成する複数の磁性体層19が側面12c、12dの対向方向に積層された積層構造を有する。以下の説明では、側面12c、12dの対向方向を、素体12の積層方向とも称す。
【0017】
磁性体18は、たとえばフェライト等の磁性材料で構成されている。磁性体18は、磁性体層19となる磁性体ペースト(たとえば、フェライトペースト)を複数重ねて焼成することで得られる。すなわち、素体12は、磁性体ペーストが印刷された磁性体層19が積層された印刷積層構造を有し、焼成された磁性体層19が積層された焼成素体である。素体12を構成する磁性体層19の層数は、一例として150層である。実際の素体12では、複数の磁性体層19は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0018】
内部電極20は、図2および図3に示すように、一対の端面12a、12b間に亘って延びている。また、内部電極20は、図4に示すように複数の磁性体層19の異なる2つの層間に位置している。内部電極20は、たとえばAg等の金属を含む導電材料で構成されている。内部電極20は印刷法によって形成される。具体的には、内部電極20となる導電ペースト(たとえば、Agペースト)を磁性体層19となる磁性体ペースト上に塗布して焼成することにより得られる。
【0019】
内部電極20は、端面12a、12bの対向方向に沿って延びる4つのスルー導体20A~20Dを含んで構成されている。スルー導体20A~20Dはいずれも、端面12a、12b間に亘って(すなわち、素体12の端面12aから端面12bまで)延びている。各スルー導体20A~20Dは、両端部それぞれにおいて端面12a、12bに露出している。
【0020】
4つのスルー導体20A~20Dのうち、スルー導体20Aとスルー導体20Bとは複数の磁性体層19の同じ層間に位置しており、スルー導体20Cとスルー導体20Dとは、スルー導体20A、20Bが位置する層間とは異なる同じ層間に位置している。また、スルー導体20Aと、スルー導体20Cとは、素体12の積層方向に沿って並んでいる。同様に、スルー導体20Bと、スルー導体20Dとは、素体12の積層方向に沿って並んでいる。そのため、スルー導体20A、20B間の離間距離とスルー導体20C、20D間の離間距離とは等しい。また、スルー導体20A、20C間の離間距離とスルー導体20B、20D間の離間距離とは等しい。
【0021】
本実施形態において、各スルー導体20A~20Dは、図5に示すように、均一幅W1および均一厚さT1を有する帯状を呈する。本実施形態において、各スルー導体20A~20Dは、端面12a、12bの対向方向に対して直交する断面の断面形状が、実装面(側面12d)に対して平行に延びる長方形の4角のうちの実装面から遠い側の2角が丸まった断面形状(いわゆる、かまぼこ状断面)を有する。各スルー導体20A~20Dの断面形状は、実装面に対して平行に延びる長方形であってもよく、実装面側が平らである半楕円形状であってもよい。本実施形態において、スルー導体20A~20Dは同一寸法を有し、一例として長さ2.5mm×幅(W1)0.4mm×厚さ(T1)0.1mmである。本実施形態では、各スルー導体20A~20Dは、厚さT1より幅W1のほうが長くなるように設計されている(すなわち、W1>T1)。各スルー導体20A~20Dの幅W1に対する厚さT1の割合(T1/W1)は、1/6<T1/W1<1であってもよく、1/6<T1/W1<1/2であってもよい。
【0022】
一対の外部電極14A、14Bは、素体12の端面12a、12bにそれぞれ設けられている。外部電極14Aは、端面12aの全領域を覆い、端面12aに露出した内部電極20のスルー導体20A~20Dと直接的に接して接合されている。同様に、外部電極14Bは、端面12bの全領域を覆い、端面12bに露出した内部電極20のスルー導体20A~20Dと直接的に接して接合されている。本実施形態では、図1に示すように、各外部電極14A、14Bは、端面12a、12bと、端面12a、12bと隣り合う領域の側面12c~12fとを一体的に覆う。各外部電極14A、14Bは、1層または複数層の電極層で構成されている。各外部電極14A、14Bを構成する電極材料には、たとえばAg等の金属材料や樹脂電極材料を採用することができる。
【0023】
ここで、図5に示した4つのスルー導体20A~20Dについて、たとえばスルー導体20Cに着目すると、スルー導体20C(第3スルー導体)の中心Cは、スルー導体20A(第1スルー導体)の中心Cとスルー導体20B(第2スルー導体)の中心Cとを結ぶ仮想線Lからずれている。スルー導体20Dに着目した場合も、スルー導体20Dの中心Cは上記の仮想線Lからずれている。換言すると、4つのスルー導体20A~20Dは、その中心Cが一直線状に並ぶようには整列されていない。発明者らは、4つのスルー導体20A~20Dのこのような配置が、素体の放熱に有効であることを新たに見出した。スルー導体20A~20Dの中心Cとしては、端面12bにおける重心、図心または幾何中心を採用することができ、スルー導体20A~20Dの幅を二等分する線と厚さを二等分する線との交点を採用することもできる。
【0024】
図6、7に、内部電極20の3つのスルー導体20E~20Gが素体12の積層方向に並んだ構成を示す。3つのスルー導体20E~20Gは、その中心Cがすべて仮想線L上に位置し、一直線状に並ぶようには整列されている。そのため、図6、7からも明らかなように、所定の寸法規格の素体12内に3つのスルー導体20E~20Gを配置した場合には互いに近接し、十分な離間距離を確保することができない。この場合、熱源であるスルー導体20E~20Gが密集し、積層型インダクタの駆動時にスルー導体20E~20Gに生じた熱が素体12外に放熱されにくい。
【0025】
上述した積層型インダクタ10においては、たとえばスルー導体20Cの中心Cが仮想線Lからずれるように設計されているため、複数のスルー導体20A~20Dのすべてが一直線状に並んでおらず、所定の寸法規格の素体12内においてスルー導体20A~20D同士の離間距離を十分に確保することができる。したがって、熱源であるスルー導体20A~20Dが分散されて、スルー導体20A~20Dの熱を素体12外に効率よく放熱することができる。
【0026】
また、積層型インダクタ10においては、各スルー導体20A~20Dが実装面(側面12d)に対して平行に延びる断面形状を有するため、実装面に対して交差する方向に延びる断面形状を有する場合に比べて、各スルー導体20A~20Dは実装面から遠ざかった部分を有しない。すなわち、各スルー導体20A~20Dは全体的に実装面に近い形態となっている。そのため、熱源であるスルー導体20A~20Dから、外部電極14A、14Bを介して、積層型インダクタ10が実装される実装基体へ至るまでの放熱経路の短縮が図られている。したがって、積層型インダクタ10においては、スルー導体20A~20Dの熱を素体12外の実装基体まで効率よく放熱することができる。
【0027】
さらに、積層型インダクタ10においては、素体12の積層方向および端面12a、12bの対向方向に対して直交する第1方向(すなわち、側面12e、12fの対面方向)における各スルー導体20A~20Dの長さW1が、第1方向における素体12の長さWの10~30%であってもよい。
【0028】
4つのスルー導体20A~20Dにおいて、スルー導体20Aとスルー導体20Cとは必ずしも素体12の積層方向に沿って並んでいる必要はない。同様に、スルー導体20Bとスルー導体20Dとは必ずしも素体12の積層方向に沿って並んでいる必要はない。たとえば、図8~10に示すように、スルー導体20Aとスルー導体20Cとが側面12e、12fの対面方向に沿ってずれており、かつ、スルー導体20Bとスルー導体20Dとが側面12e、12fの対面方向に沿ってずれている態様であってもよい。図8~10に示した態様では、スルー導体20A、20B間の離間距離とスルー導体20C、20D間の離間距離とは等しく、スルー導体20A、20Bの対とスルー導体20C、20Dの対とが側面12e、12fの対面方向に沿ってずれている。図9に示すように、平面視において、スルー導体20Cはスルー導体20A、20Bのいずれとも等距離に位置し、かつ、スルー導体20Bはスルー導体20C、20Dのいずれとも等距離に位置していてもよい。図10に示すように、スルー導体20A、20Bの中心Cは、スルー導体20Cの中心Cに対して等距離となっていてもよい。また、スルー導体20C、20Dの中心Cは、スルー導体20Bの中心Cに対して等距離となっていてもよい。本実施形態では、スルー導体20A、20Bとスルー導体20C、20Dとは、素体12の積層方向において重なっていない。スルー導体20A、20Bの少なくとも一方が、スルー導体20C、20Dの少なくとも一方と、素体12の積層方向において部分的に重なっていてもよい。
【0029】
図8~10に示した構成においても、たとえばスルー導体20Cに着目すると、スルー導体20C(第3スルー導体)の中心Cは、スルー導体20A(第1スルー導体)の中心Cとスルー導体20B(第2スルー導体)の中心Cとを結ぶ仮想線Lからずれている。スルー導体20Dに着目した場合も、スルー導体20Dの中心Cは上記の仮想線Lからずれている。換言すると、4つのスルー導体20A~20Dは、その中心Cが一直線状に並ぶようには整列されていない。そのため、上述した実施形態同様、スルー導体20A~20Dの熱が素体12外へ効率よく放熱される。
【0030】
なお、内部電極20は、4つのスルー導体20A~20Dを含んだ構成に限らず、少なくとも3つのスルー導体を含んでいればよい。図11~15に、3つのスルー導体を含んだ構成の内部電極を示す。
【0031】
図11~13に示した内部電極20は、複数の磁性体層19の同じ層間に位置する2つのスルー導体20H、20Iと、スルー導体20H、20Iが位置する層間よりも実装面(側面12d)から遠い層間に位置する1つのスルー導体20Jを含んで構成されている。スルー導体20H~20Jの形状はいずれも、上述したスルー導体20A~20Dの形状と同一である。図12に示すように、平面視において、スルー導体20Jはスルー導体20H、20Iのいずれとも等距離に位置している。そのため、図13に示すように、スルー導体20H、20Iの中心Cは、スルー導体20Jの中心Cに対して等距離となっている。本実施形態では、スルー導体20Jとスルー導体20H、20Iとは、素体12の積層方向において重なっていない。スルー導体20Jは、スルー導体20H、20Iの少なくとも一方と、素体12の積層方向において部分的に重なっていてもよい。
【0032】
図11~13に示した構成であっても、スルー導体20J(第3スルー導体)の中心Cは、スルー導体20H(第1スルー導体)の中心Cとスルー導体20I(第2スルー導体)の中心Cとを結ぶ仮想線Lからずれている。そのため、上述した実施形態同様、スルー導体20H~20Jの熱が素体12外へ効率よく放熱される。
【0033】
図14、15に示した内部電極20は、複数の磁性体層19の異なる層間に位置する3つのスルー導体20K~20Mを含んで構成されている。スルー導体20K~20Mの形状はいずれも、上述したスルー導体20A~20Dの形状と同一である。スルー導体20Kおよびスルー導体20Lのみ、素体12の積層方向に沿って並んでいる。スルー導体20Mは、スルー導体20Kが位置する層間とスルー導体20Lが位置する層間の中間にある層間に位置している。そのため、図15に示すように、スルー導体20K、20Lの中心Cは、スルー導体20Mの中心Cに対して等距離となっている。
【0034】
図14、15に示した構成であっても、スルー導体20M(第3スルー導体)の中心Cは、スルー導体20K(第1スルー導体)の中心Cとスルー導体20L(第2スルー導体)の中心Cとを結ぶ仮想線Lからずれている。そのため、上述した実施形態同様、スルー導体20K~20Mの熱が素体12外へ効率よく放熱される。
【符号の説明】
【0035】
10…積層型インダクタ、12…素体、14A、14B…外部電極、19…磁性体層、20…内部電極、20A~20M…スルー導体、C…中心、L…仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15