(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151577
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ポリイミド、薄膜組成物およびそれにより形成された薄膜
(51)【国際特許分類】
C08G 73/14 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
C08G73/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021214037
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】63/166,343
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110145399
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】蘇 育央
(72)【発明者】
【氏名】曾 永隆
(72)【発明者】
【氏名】蘇 俊▲うぇい▼
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043QB26
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA43
4J043SA54
4J043SB01
4J043SB03
4J043TA22
4J043TB03
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA141
4J043UA142
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA262
4J043UB131
4J043UB132
4J043UB171
4J043UB172
4J043VA021
4J043VA061
4J043XA19
4J043XB34
4J043ZA43
4J043ZB50
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリイミド、それを含む薄膜組成物、および前記薄膜組成物を用いて形成した薄膜を提供する。
【解決手段】ポリイミドは反応物質(a)と反応物質(b)との反応生成物である。反応物質(a)は第1のジアンヒドリドと第2のジアンヒドリドとからなり、第1のジアンヒドリドはビスフェノールフタル酸二無水物エーテル構造を有し、第2のジアンヒドリドはフェニレンフタル酸二無水物エーテル又はナフタレンフタル酸二無水物エーテル構造を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応物質(a)と反応物質(b)との反応生成物であるポリイミドであって、前記反応物質(a)が第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドからなり、前記第1のジアンヒドリドが式(I)で示される構造を有し、かつ前記第2のジアンヒドリドが式(II)で示される構造を有し
【化1】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Ar
1は下記のいずれかである。)、
【化2】
かつ前記反応物質(b)が第1のジアミンを含み、前記第1のジアミンが下記のいずれかである
【化3】
(式中、R
3、R
4、R
5、またはR
6はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。)、ポリイミド。
【請求項2】
前記第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドとのモル数の比が3:7から8:2である、請求項1に記載のポリイミド。
【請求項3】
前記反応物質(b)が第2のジアミンをさらに含み、前記第2のジアミンが下記のいずれかであり
【化4】
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、またはR
12はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。)、
かつ前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとが異なる、請求項1又は2に記載のポリイミド。
【請求項4】
前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとのモル数の比が1:9から9:1である、請求項3に記載のポリイミド。
【請求項5】
前記反応物質(b)が第3のジアミンをさらに含み、前記第3のジアミンが下記のいずれかである、請求項3に記載のポリイミド。
【化5】
【請求項6】
前記第3のジアミンのモル数と前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンのモル数の合計との比が1:99から1:9である、請求項5に記載のポリイミド。
【請求項7】
前記ポリイミドの重量平均分子量が5,000から3,000,000g/molである、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリイミド。
【請求項8】
薄膜組成物であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリイミドと、
溶媒と、を含み、
前記薄膜組成物の固形分が5wt%から30wt%である、薄膜組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、またはp-キシレンである、請求項8に記載の薄膜組成物。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の薄膜組成物の硬化物である薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はポリイミド、ポリイミドを含む薄膜組成物、および前記薄膜組成物を用いて形成された薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは熱安定性および絶縁性に優れるため、絶縁材料および特殊エンジニアリングプラスチックとしての他、フレキシブルプリント回路板(Flexible Printed Circuit Board,FPC)として現在最もよく用いられている。近年、情報通信のモバイル化および個人化の発展は目覚ましく、軽量薄型のフレキシブルプリント回路板(フレキシブル基板-FPC)の市場およびニーズは急速に広がっており、末端応用製品(IOTおよびウェアラブルデバイス)の機能的統合はますます高度に、解像度はより高く、反応速度はより速く、保存容量はより大きくといった全面的な要求に、フレキシブル基板技術も対応させる必要がある。よって、フレキシブル基板の高速・高周波化、高性能化がますます進み、高周波フレキシブル基板はフレキシブル基板技術における大きな流れの1つとなっているが、これは主に移動通信電子製品の機能の強化と統合に対応するためである。低誘電率および低伝送損失の基板材料は、来る高周波化において最も重要な訴求点となるであろう。
【0003】
高周波・高速の要求の下、フレキシブル基板の多機能化の発展はますます重要さを増し、今後の5G移動体通信の動作周波数に伴ってそれはさらに高まるであろう。従来のポリイミド樹脂は吸水率が比較的高いため、電子機器の使用環境の影響を受け易く、高湿度の環境では、ポリイミド樹脂層の吸湿の影響で、その誘電損失(Df)もこれに伴って増加し、伝送損失がより悪化するおそれがある。よって、現在、低伝送損失が要される部分については、誘電特性、吸水率に優れた液晶ポリマー(LCP)が用いられており、その誘電損失(Df)は湿度によって変化することはないものの、銅箔等の金属箔に対する接着性、耐熱性が比較的低い、処理が容易でない等の欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、目下、高周波数誘電特性を有すると共に低吸湿のポリイミド樹脂についての研究は、各材料メーカーおよびフレキシブル基板供給メーカーが重視する技術開発項目となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、反応物質(a)と反応物質(b)との反応生成物であるポリイミドであって、前記反応物質(a)が第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドからなり、前記第1のジアンヒドリドが式(I)で示される構造を有し、かつ前記第2のジアンヒドリドが式(II)で示される構造を有する、ポリイミドを提供する。
【0006】
【0007】
式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Ar1は下記のいずれかである。
【0008】
【0009】
前記反応物質(b)は第1のジアミンを含む。前記第1のジアミンは下記のいずれかである。
【0010】
【0011】
式中、R3、R4、R5、またはR6はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。
【0012】
本開示の実施形態により、本開示は薄膜組成物も提供する。前記薄膜組成物は、本開示に係るポリイミドおよび溶媒を含んでいてよく、前記薄膜組成物の固形分は5wt%から30wt%であり得る。
【0013】
本開示の実施形態により、本開示は薄膜も提供する。前記薄膜は上記薄膜組成物の硬化物を含んでいてよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示は、ポリイミド、ポリイミドを含む薄膜組成物、および前記薄膜組成物を用いて形成された薄膜を提供する。前記ポリイミドは、2種の特定のジアンヒドリド(例えば、アリール基を含むジアンヒドリド(aryl-moiety-containing dianhydride))を、特定のモル数の比で、特定のジアミン(例えば、アリール基を含むジアミン(aryl-moiety-containing diamine))と反応させて得られるもので、前記ポリイミドを含む薄膜組成物を用いて作製される薄膜(つまり、硬化物)は、高周波(10GHz以上の周波数帯)において低誘電率(Dk)および低誘電損失(Df)を有する他、低い吸湿率も有するため、本開示に係る薄膜組成物から作製される薄膜は安定した誘電特性を備え得ることになる。本開示の実施形態によれば、薄膜組成物はさらに金属箔基板に塗布されて、優れた接合強度、耐熱性および耐化学性を持つようにもできる。本開示の実施形態によれば、薄膜組成物は、特定の溶媒を用いて本開示に係るポリイミドを溶解/分散させるもので、これによりポリマーの重合度が高まるだけでなく、前記薄膜組成物を用いて形成される薄膜がより均一な厚さを備えると共に、より高い耐化学性を備えるようになる。また、薄膜組成物の固形分をコントロールすることで、得られる薄膜の厚さを調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示のポリイミド、ポリイミドを含む薄膜組成物、および前記薄膜組成物所を用いて形成される薄膜について詳細に説明する。以下の記載では、本開示の各種異なる態様を実施できるよう多くの異なる実施形態または例を挙げているという点を理解しなければならない。以下に記載する特定の構成要素および構成は、本開示を簡潔に説明するものにすぎない。当然に、これらは例示にすぎず、本開示を限定するものではない。本開示において、用語「約」とは、所定の量が、当業者が一般的かつ合理的と認める大きさの量だけ増加または減少し得ることを指す。
【0016】
さらに、明細書およびクレームで使用されている順序を表す数、例えば「第1」、「第2」、「第3」等といった用語は、クレームに係る構成要素を修飾するものであって、それ自身が、そのクレームに係る構成要素に前の順序を表す数字があることを意味するまたは表すものではなく、またあるクレームに係る構成要素と別のクレームに係る構成要素の順序、または製造方法における順序を表すものでもない。これら順序を表す数字は単に、ある名称のついた1つのクレームに係る構成要素を、同じ名称のクレームの別の構成要素と明確に区別できるように使用するものにすぎない。
【0017】
本開示は、ポリイミド、ポリイミドを含む薄膜組成物、および前記薄膜組成物を用いて形成された薄膜を提供する。前記ポリイミドは、2種の特定のジアンヒドリド(例えば、アリール基を含むジアンヒドリド(aryl-moiety-containing dianhydride))を、特定のモル数の比で、特定のジアミン(例えば、アリール基を含むジアミン(aryl-moiety-containing diamine))と反応させて得られるもので、前記ポリイミドを含む薄膜組成物を用いて作製される薄膜(つまり、硬化物)は、高周波(10GHz以上の周波数帯)において低誘電率(Dk)および低誘電損失(Df)を有する他、低い吸湿率も有するため、本開示に係る薄膜組成物から作製される薄膜は安定した誘電特性を備え得ることになる。本開示の実施形態によれば、薄膜組成物はさらに金属箔基板に塗布されて、優れた接合強度、耐熱性および耐化学性を持つようにもできる。本開示の実施形態によれば、薄膜組成物は、特定の溶媒を用いて本開示に係るポリイミドを溶解/分散させるもので、これによりポリマーの重合度が高まるだけでなく、前記薄膜組成物を用いて形成される薄膜がより均一な厚さを備えると共に、より高い耐化学性を備えるようになる。また、薄膜組成物の固形分をコントロールすることで、得られる薄膜の厚さを調節することができる。
【0018】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドは、反応物質(a)と反応物質(b)とが反応(例えば重合反応)してなる生成物であり得る。前記反応物質(a)は、少なくとも1種のジアンヒドリド(例えば、アリール基を含むジアンヒドリド(aryl-moiety-containing dianhydride))であってよい。本開示の実施形態によれば、前記反応物質(a)は、第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドからなるものであり得る。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは、式(I)で示される構造を有していてよく、かつ前記第2のジアンヒドリドは、式(II)で示される構造を有していてよい。
【0019】
【0020】
式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Ar1は下記のいずれかである。
【0021】
【0022】
本開示の実施形態によれば、本開示におけるフルオロメチル基は、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはパーフルオロメチル基であってよく、フルオロエチル基は、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、またはパーフルオロエチル基であってよく、フルオロプロピル基は、モノフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、またはパーフルオロプロピル基であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示におけるプロピル基はノルマルプロピル基またはイソプロピル基であってよく、またフルオロプロピル基はフルオロノルマルプロピル基またはフルオロイソプロピル基であってよい。
【0023】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは下記のいずれかであってよい。
【0024】
【0025】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)であり得る。
【0026】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアンヒドリドは下記のいずれかであってよい。
【0027】
【0028】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアンヒドリドは、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)、または2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)であり得る。
【0029】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドとのモル数の比は3:7から8:2、例えば、約4:6、5:5、6:4、7:3、または7.5:2.5であってよい。第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドとのモル数の比が過度に高いまたは過度に低いと、前記ポリイミドを含む薄膜組成物で作製される薄膜に方向性のあるひびが入り易い、または作製される薄膜(硬化物)が誘電損失特性に劣る(>0.005(@10GHZ))、および比較的高い吸湿性を有する(>1.0%)ものとなる。
【0030】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は、少なくとも1種のジアミン(例えば、アリール基を含むジアミン(aryl-moiety-containing diamine))であり得る。本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は第1のジアミンを含む。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0031】
【0032】
式中、R3、R4、R5、またはR6はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。
【0033】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は前記第1のジアミンである。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは、下記のいずれかであってよい。
【0034】
【0035】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは、4,4’-オキシビス[3-(トリフルオロメチル)アニリン](4,4’-oxybis[3-(trifluoromethyl)aniline],TMDA)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)、または1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)であってよい。
【0036】
本開示の実施形態によれば、前記反応(例えば、重合反応)に参与してポリイミドを形成する前記反応物質(a)と前記反応物質(b)とのモル数の比は、実質的に約0.95:1.05から1.05:0.95の範囲内、例えば約1:1に近いものであってよい。
【0037】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンの他、前記反応物質(b)は第2のジアミンをさらに含んでいてよく、前記第2のジアミンは下記のいずれかである。
【0038】
【0039】
式中、R7、R8、R9、R10、R11、またはR12はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。また、第1のジアミンと前記第2のジアミンとは異なる。
【0040】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアミンは、下記のいずれかであってよい。
【0041】
【0042】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアミンは、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane,BAPP)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)、または2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)であり得る。本開示の実施形態によれば、第1のジアミンが4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)であるとき、前記第2のジアミンは2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane,BAPP)、または2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)である。
【0043】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンからなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとのモル数の比は1:9から9:1、例えば2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、または8:2であってよい。
【0044】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は第3のジアミンをさらに含み、前記第3のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0045】
【0046】
本開示の実施形態によれば、前記第3のジアミンはビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(bis(4-aminophenyl)terephthalate,BPTP)であり得る。
【0047】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は、前記第1のジアミン、前記第2のジアミン、および前記第3のジアミンからなり得る。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとのモル数の比は1:9から9:1(例えば、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、または8:2)であってよく、かつ前記第3のジアミンのモル数と前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンのモル数の合計との比は約1:99から1:9(例えば、約2:98、3:97、4:96、5:95、6:94、7:93、8:92、または9:91)である。
【0048】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドの重量平均分子量(Mw)は約5,000g/molから3,000,000g/mol、例えば、約8,000g/molから2,500,000g/mol、10,000g/molから2,300,000g/mol、15,000g/molから2,000,000g/mol、10,000g/molから1,000,000g/mol、10,000g/molから500,000g/mol、または10,000g/molから300,000g/molであってよい。本開示に係るポリイミドの重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる(ポリスチレンを標準物として検量線を作成)。
【0049】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドは下記のステップにより作製して得られる。先ず、反応物質(a)と反応物質(b)とを反応瓶に入れて溶媒で溶解し、溶液を得る。前記溶液の固形分は約5wt%から45wt%(例えば、約6wt%、8wt%、10wt%、12wt%、14wt%、15wt%、18wt%、20wt%、21wt%、22wt%、25wt%、27wt%、29wt%、30wt%、32wt%、34wt%、35wt%、38wt%、40wt%、42wt%、または44wt%)とすることができる。反応物質(a)と反応物質(b)の定義は上述した通りである。本開示の実施形態によれば、後続にて得られるポリイミドが、他の溶媒に交換することなく、使用される溶媒中に直接溶解し得るよう、ポリイミドを作製するのに使用される溶媒には、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、p-キシレンまたは上述の組合せが含まれ得る。本開示の実施形態によれば、前記溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、またはγ-ブチロラクトンであってよい。本開示の実施形態によれば、反応物質(a)と反応物質(b)とのモル比は約1.1対0.9から0.9対1.1、例えば、約1:1であってよい。本開示の実施形態によれば、重合反応を加速してポリイミドを形成するために、前記溶液中に必要に応じて触媒を加えることができる。前記触媒の用量は、前記反応物質(a)と前記反応物質(b)との総重量を基準として、0.01wt%から1wt%(例えば、約0.02wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.7wt%、または0.9wt%)であってよい。次いで、前記溶液を180℃~250℃で4~12時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む溶液(ポリイミド溶液)を得る。使用する溶媒がN-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、p-キシレン、γ-ブチロラクトン、または上述の組み合わせであり、かつ反応物質(a)と反応物質(b)とのモル比が約1である場合、得られるポリイミドは前記溶液に完全に溶解でき、さらなる精製は必要ない。よって、反応で得られたポリイミド溶液をそのまま本開示に係る薄膜組成物とすることができる。本開示の実施形態によれば、上記触媒は、イミド化反応に用いることのできる任意の触媒、例えば3級アミンであってよい。例えば、3級アミンには、トリエチレンジアミン(triethylenediamine,DABCO)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(N,N-dimethylcyclohexylamine)、1,2-ジメチルイミダゾール(1,2-dimethylimidazole)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリエチルジアミン、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、ピコリン、ルチデン、キノリンまたはイソキノリンが含まれ得る。
【0050】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る薄膜組成物は、本開示に係るポリイミドおよび溶媒を含んでいて良い。また、本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示に係る薄膜組成物は、本開示に係るポリイミドおよび溶媒からなるものであってよい。前記溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、p-キシレンまたは上述の組み合せであってよく、前記薄膜組成物の固形分は5wt%から45wt%(例えば、約6wt%、8wt%、10wt%、12wt%、14wt%、15wt%、18wt%、20wt%、21wt%、22wt%、25wt%、27wt%、29wt%、30wt%、32wt%、34wt%、35wt%、38wt%、40wt%、42wt%、または44wt%)であってよい。本開示の実施形態によれば、前記薄膜組成物から作製された薄膜の厚さと前記薄膜組成物の固形分とは正比例する。換言すると、前記薄膜組成物から作製された薄膜の厚さは、前記薄膜組成物の固形分によって調整することができる。
【0051】
本開示の実施形態によれば、反応物質(a)と反応物質(b)とで反応(例えばイミド化反応)を進行させて得られるポリイミドを含む溶液を、そのまま本開示に係る薄膜組成物とすることができる。本開示の実施形態によれば、本開示に係る薄膜組成物は、実質的に本開示に係るポリイミドおよび溶媒からなる。換言すると、ポリイミドおよび溶媒は前記薄膜組成物の主要成分であり、前記ポリイミドおよび前記溶媒の総重量は前記薄膜組成物の約90wt%から99.99wt%(例えば、93wt%、95wt%、98wt%、99wt%、または99.5wt%)を占める。また、前記薄膜組成物における前記ポリイミドおよび前記溶媒以外の他の成分は副次的成分として定義される。本開示の実施形態によれば、前記副次的成分は、ポリイミドを作製するのに用いられる触媒、ポリイミドを作製するのに用いられるが、完全には反応していない反応物質(a)および/もしくは反応物質(b)、添加剤、または上述の組み合わせであってよい。前記副次的成分の総重量は、前記薄膜組成物の約0.01wt%から10wt%を占める。本開示の実施形態によれば、前記添加剤は、当前記分野において周知の添加剤、例えば充填材、難燃剤、粘度調整剤、チキソトロープ剤(thixotropic agent)、消泡剤、レベリング剤(leveling agent)、表面処理剤、安定剤、抗酸化剤、または上述の組み合わせであってよい。本開示のその他の実施形態によれば、本開示に係る薄膜組成物は上述の主要成分および副次的成分からなるものであってよい。
【0052】
本開示の実施形態によれば、本開示は、本開示に係る薄膜組成物にベイク工程を行って得られる硬化物である薄膜も提供する。本開示の実施形態によれば、本開示に係る薄膜は下記のステップにより作製して得ることができる。先ず、本開示に係る薄膜組成物を用いて塗布工程を行うことにより基板にコーティング層を形成する。本開示の実施形態によれば、前記塗布工程は、スクリーン印刷、スピンコーティング(spin coating)、バー塗布(bar coating)、ブレード塗布(blade coating)、ローラ塗布(roller coating)、浸漬塗布(dip coating)、スプレー塗布(spray coating)、またはブラシ塗布(brush coating)とすることができる。次いで、前記コーティング層に対してベイク工程を行って、膜層を形成する。前記ベイク工程の温度は約50℃~350℃であってよいか、または290℃未満(例えば70℃~260℃)であってよく、かつ工程の時間は30分から8時間であってよい。本開示の実施形態によれば、前記ベイク工程は多段階式のベイク工程であってよい。
【0053】
本開示の上述およびその他の目的、特徴、並びに長所をより明瞭かつ理解し易くするよう、以下に、いくつかの実施例を挙げると共に添付の図と対応させて詳細に説明する。
【0054】
表1に、本開示の実施例および比較例における試薬を列挙する。
【0055】
【0056】
ポリイミドの作製
【0057】
実施例1
【0058】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(60モル部)、2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)(40モル部)、および1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)(100モル部)を反応瓶に入れ、N-メチルピロリドン(NMP)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、2,6-TANA、およびAPB-Nの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(1)を得た。薄膜組成物(1)の固形分は約25wt%であり、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0059】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(1)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0060】
吸湿率の測定方式は次式により決定した:
吸湿率=(W1-W0)/W0×100%
ただし、W0は、膜層をオーブン110℃で1時間ベイクした後、室温まで冷却した後の重量であり;W1は膜層を30℃で水中に24時間浸漬した後の重量である。
【0061】
誘電率(dielectric coefficient,Dk)および誘電損失率(dielectric loss factor,Df)は、マイクロ波誘電率測定装置(microwave dielectrometer、AET社より購入)を使用して、周波数10GHzで測定した。
【0062】
比較例1
【0063】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(10モル部)、2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)(90モル部)、および4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)(100モル部)を反応瓶に入れ、N-メチルピロリドン(NMP)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、2,6-TANA、およびODAの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(2)を得た。薄膜組成物(2)の固形分は約25wt%であり、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0064】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(2)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクしたところ、その薄膜組成物が膜層を形成できていない、または形成された膜層にひびが入りやすいことが観察された。
【0065】
比較例2
【0066】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を10モル部とし、かつ2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)を90モル部としたこと以外、比較例2を実施例1で述べた方式のとおりに進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(3)を得た。薄膜組成物(3)の固形分は約25wt%であり、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0067】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(3)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクしたところ、その薄膜組成物が膜層を形成できていない、または形成された膜層にひびが入り易いことが観察された。
【0068】
実施例2
【0069】
1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)を4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)に置き換えたこと以外、実施例2を実施例1で述べた方式のとおりに進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(4)を得た。薄膜組成物(4)の固形分は約25wt%、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0070】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(4)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表2に示されるとおりである。
【0071】
【0072】
表2に示されるように、BPADAおよび2,6-TANA(比較例1の薄膜組成物(2)を作製するのに用いたポリイミドのジアンヒドリド)のモル比は1:9であったため、比較例1の薄膜組成物(2)は成膜しなかった。実施例1および2からわかるように、特定のモル比のBPADAおよび2,6-TANAにAPB-NまたはODAを組み合わせてポリイミドを作製することで得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させることができる(例えば0.55%未満、ひいては0.35%未満)。
【0073】
実施例3
【0074】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(60モル部)、2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)(40モル部)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)(40モル部)および1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)(60モル部)を反応瓶に入れ、ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamid,DMAC)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、2,6-TANA、ODAおよびAPB-Nの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(5)を得た。薄膜組成物(5)の固形分は約25wt%であり、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0075】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(5)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0076】
実施例4
【0077】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を60モル部から70モル部に増やし、かつ2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)を40モル部から30モル部に減らしたこと以外、実施例3に記載した方式のとおりに実施例4を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(6)を得た。薄膜組成物(6)の固形分は約25wt%、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0078】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(6)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0079】
実施例5
【0080】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(60モル部)、2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)(40モル部)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)(40モル部)、および2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)(60モル部)を反応瓶に入れ、ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamid,DMAC)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、2,6-TANA、ODAおよびHFBAPPの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(7)を得た。薄膜組成物(7)の固形分は約25wt%であり、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0081】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(7)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0082】
実施例6
【0083】
4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)を40モル部から50モル部に増やし、かつ2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)を60モル部から50モル部に減らしたこと以外、実施例5に記載した方式のとおりに実施例6を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(8)を得た。薄膜組成物(8)の固形分は約25wt%、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0084】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(8)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0085】
実施例7
【0086】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(80モル部)、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)(20モル部)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)(40モル部)および1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)(60モル部)を反応瓶に入れ、ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamid,DMAC)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、TAHQ、ODAおよびAPB-Nの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(9)を得た。薄膜組成物(9)の固形分は約25wt%であり、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0087】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(9)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクした後、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0088】
実施例8
【0089】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(70モル部)、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)(30モル部)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)(40モル部)および2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)(60モル部)を反応瓶に入れ、ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamid,DMAC)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、TAHQ、ODAおよびHFBAPPの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(10)を得た。薄膜組成物(10)の固形分は約25wt%であり、溶媒はジメチルアセトアミドとした。
【0090】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(10)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(DMAC)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表3に示されるとおりである。
【0091】
比較例3
【0092】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を70モル部から10モル部に減らし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を30モル部から90モル部に増やしたこと以外、実施例8で記載した方式のとおりに比較例3を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(11)を得た。薄膜組成物(11)の固形分は約25wt%、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0093】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(11)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクしたところ、その薄膜組成物が膜層を形成できていない、または形成された膜層にひびが入りやすいことが観察された。
【0094】
【0095】
表3に示されるように、実施例3~4から、特定のモル比のBPADAおよび2,6-TANAに特定のモル比のODAおよびAPB-Nを組み合わせてポリイミドを作製することで得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させ得ている(例えば0.6%未満になり得る)ことがわかる。また、実施例5~6よりわかるように、特定のモル比のBPADAおよび2,6-TANAに特定のモル比のODAおよびHFBAPPを組み合わせてポリイミドを作製することで得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させることができている(例えば0.55未満になり得る)。また、実施例7および8よりわかるように、2,6-TANAをTAHQに替え、かつBPADAとTAHQとを特定のモル比に保ち、得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させることができている(例えば0.50未満になり得る)。比較例3において、BPADAとTAHQとのモル比は1:9であるため、比較例3の薄膜組成物(11)は作製しても成膜し得なかった。
【0096】
実施例9
【0097】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(60モル部)、2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリット酸無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)(40モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)(40モル部)、および1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)(60モル部)を反応瓶に入れ、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidinone,NMP)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、2,6-TANA、HFBAPPおよびAPB-Nの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(12)を得た。薄膜組成物(12)の固形分は約25wt%であり、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0098】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(12)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表4に示されるとおりである。
【0099】
実施例10
【0100】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(70モル部)、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)(30モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)(60モル部)、および1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy)benzene,APB-N)(40モル部)を反応瓶に入れ、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidinone,NMP)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、TAHQ、HFBAPPおよびAPB-Nの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(13)を得た。薄膜組成物(13)の固形分は約25wt%であり、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0101】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(13)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクした後、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表4に示されるとおりである。
【0102】
実施例11
【0103】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を70モル部から75モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を30モル部から25モル部に減らしたこと以外、実施例10に記載した方式のとおりに実施例11を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(14)を得た。薄膜組成物(14)の固形分は約25wt%、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0104】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(14)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表4に示されるとおりである。
【0105】
実施例12
【0106】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を70モル部から80モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を30モル部から20モル部に減らしたこと以外、実施例10に記載した方式のとおりに実施例12を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(15)を得た。薄膜組成物(15)の固形分は約25wt%、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0107】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(15)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクした後、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表4に示されるとおりである。
【0108】
比較例4
【0109】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を80モル部から10モル部に減らし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を20モル部から90モル部に増やしたこと以外、実施例12に記載した方式のとおりに比較例4を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(16)を得た。薄膜組成物(16)の固形分は約25wt%、溶媒はN-メチルピロリドンとした。
【0110】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(16)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(NMP)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクしたところ、その薄膜組成物が膜層を形成できていない、または形成された膜層にひびが入りやすいことが観察された。
【0111】
【0112】
表4に示されるように、実施例9~12より、特定のモル比の第1のジアンヒドリド(例えばBPADA)および第2のジアンヒドリド(例えばTAHQ)に、特定のモル比の第1のジアミン(例えばAPB-N)および第2のジアミン(例えばHFBAPP)を組み合わせてポリイミドを作製することで得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させ得ることがわかる。比較例4より、使用する第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドが本開示で定める比の範囲内にないと、得られる薄膜組成物は作製しても成膜しない、または得られる硬化物が誘電率、誘電損失率に劣り、かつ吸湿率が高めとなることがわかる。
【0113】
実施例13
【0114】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(75モル部)、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)(25モル部)、4,4’-オキシビス[3-(トリフルオロメチル)アニリン](4,4’-oxybis[3-(trifluoromethyl)aniline],TMDA)(40モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane,BAPP)(50モル部)、およびビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(bis(4-aminophenyl)terephthalate),BPTP)(10モル部)を反応瓶に入れ、γ-ブチロラクトン(gamma-butyrolactone,GBL)で溶解し、溶液を得た(固形分約25wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒。BPADA、TAHQ、TMDA、BAPPおよびBPTPの総重量に対し、用量は約0.3wt%)を反応瓶に加えた。得られたものを200℃~220℃で6時間反応させた後、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(17)を得た。薄膜組成物(17)の固形分は約25wt%であり、溶媒はγ-ブチロラクトンとした。
【0115】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(17)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(GBL)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクした後、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表5に示されるとおりである。
【0116】
実施例14
【0117】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から80モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から20モル部に減らしたこと以外、実施例13に記載した方式のとおりに実施例14を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(18)を得た。薄膜組成物(18)の固形分は約25wt%、溶媒はγ-ブチロラクトンとした。
【0118】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(18)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(GBL)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表5に示されるとおりである。
【0119】
比較例5
【0120】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から90モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から10モル部に減らしたこと以外、実施例13に記載した方式のとおりに比較例5を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(19)を得た。薄膜組成物(19)の固形分は約25wt%、溶媒はγ-ブチロラクトンとした。
【0121】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(19)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(GBL)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクし、硬化物を得た。最後に、得られた硬化物について、誘電率(dielectric coefficient,Dk)、誘電損失率(dielectric loss factor,Df)、および吸湿率(water adsorption rate)を測定した。結果は表5に示されるとおりである。
【0122】
比較例6
【0123】
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から20モル部に減らし、かつp-フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(p-phenylene bis(trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から80モル部に増やしたこと以外、実施例13に記載した方式のとおりに比較例6を進行し、本開示に係るポリイミドを含む薄膜組成物(20)を得た。薄膜組成物(20)の固形分は約25wt%、溶媒はγ-ブチロラクトンとした。
【0124】
次いで、ブレード塗布法を用いて薄膜組成物(20)を基板(例えばガラス基板)に塗布してコーティング層(厚さ約18μm)を形成した。次いで、そのコーティング層を80℃で30分ベイクし、溶媒(GBL)を除去した。次いで、そのコーティング層を含む基板を窒素環境下にて150℃で30分、および220℃で60分ベイクしたところ、その薄膜組成物が膜層を形成できていない、または形成された膜層にひびが入りやすいことが観察された。
【0125】
【0126】
表5に示されるように、実施例13および14より、本開示に係る特定のモル比の特定のジアンヒドリドに特定のジアミンを組み合わせてポリイミドを作製することで得られる薄膜組成物の硬化物は、誘電率、誘電損失率を増加させずに、吸湿率を低下させ得る(例えば、0.3%以下となり得る)ことがわかる。また、比較例5および6より、使用する第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドが本開示で定める比の範囲内にないと、得られる薄膜組成物は作製しても成膜し得ない、または得られる硬化物が誘電損失率に劣り(例えば0.0050より高い)、かつ吸湿率が高めである(例えば、1%より大きい)ということがわかる。
【0127】
以上まとめると、本開示に係る薄膜組成物(本開示に係るポリイミドを含む)の硬化物は、高周波(10GHz以上の周波数帯)において低誘電率(Dk)および低誘電損失(Df)である他、吸湿率も低い。よって、本開示に係る薄膜組成物から作製される薄膜が、安定した誘電特性を備え得ることとなる。
【0128】
本開示を複数の実施形態により上記のように開示したが、これらは本開示を限定するものではなく、当前記分野において通常の知識を有する者であれば、本開示の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、何らかの変更および修飾を加えることができ、よって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で定めるところにより決まる。
【外国語明細書】