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  • 特開-検査選別装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151592
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】検査選別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20220929BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20220929BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/04
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006341
(22)【出願日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2021054049
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】森山 淳児
【テーマコード(参考)】
2G001
2G051
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA08
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA03
2G001KA05
2G001PA03
2G001PA11
2G051AB01
2G051AB02
2G051CA03
2G051CB02
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】大きな被検査物でも適切に選別可能とする。
【解決手段】本発明の検査選別装置は、被検査物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、被検査物に所定の電磁波を照射する照射手段と、搬送方向に直交する横断方向に連なる複数のセンサのそれぞれが搬送中の被検査物を経た所定の電磁波を検出して所定の周期ごとに検出データを出力する検出手段と、検出データを検査し被検査物の存在を示す検出データ及び異常を示す検出データを特定する検査手段と、検査手段による特定結果から異常がある被検査物の存在範囲を特定し、当該存在範囲に応じ複数の選別機構を制御する選別制御手段と、各センサの搬送下流に設けられる複数の選別機構を備え選別制御手段による制御に従い選別機構を動作させ被検査物を選別する選別手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記被検査物に所定の電磁波を照射する照射手段と、
前記搬送方向に直交する横断方向に連なる複数のセンサのそれぞれが、搬送中の前記被検査物を経た前記所定の電磁波を検出して所定の周期ごとに検出データを出力する検出手段と、
前記検出データを検査し、前記被検査物の存在を示す前記検出データ及び異常を示す前記検出データを特定する検査手段と、
前記検査手段による特定結果に基づき、異常がある前記被検査物の存在範囲を特定し、前記存在範囲に応じ複数の選別機構の動作を制御する選別制御手段と、
それぞれの前記センサの搬送下流に設けられる前記複数の選別機構を備え、前記選別制御手段による制御に従い前記複数の選別機構のそれぞれを動作させることで、前記被検査物の選別を行う選別手段と、
を備える検査選別装置。
【請求項2】
前記異常を示す前記検出データは、前記被検査物内における異物の存在を示す前記検出データであることを特徴とする請求項1に記載の検査選別装置。
【請求項3】
前記異常を示す前記検出データは、前記被検査物自体の性状の異常を示す前記検出データであることを特徴とする請求項1に記載の検査選別装置。
【請求項4】
前記選別制御手段は、特定した前記存在範囲に基づいて、いかなる前記周期の範囲で、いかなる範囲の前記選別機構を動作させるかを決定し、その決定に従い前記複数の選別機構を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査選別装置。
【請求項5】
前記選別制御手段は、前記存在範囲の全体に前記選別機構の動作が作用するように前記選別機構を動作させる範囲及び周期を決定することを特徴とする請求項4に記載の検査選別装置。
【請求項6】
前記選別制御手段は、前記存在範囲の重心に基づき前記選別機構を動作させる範囲及び周期を決定することを特徴とする請求項4に記載の検査選別装置。
【請求項7】
前記選別制御手段は、前記存在範囲の異物の存在位置に基づき前記選別機構を動作させる範囲及び周期を決定することを特徴とする請求項4に記載の検査選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に照射され、被検査物を経て検出された電磁波に基づく当該被検査物の検査を行い、その検査結果に応じ所定の選別処理を実行する検査選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤの搬送方向に直交する幅方向に所定の間隔で区切られた複数の搬送経路ごとに除去手段を設け、当該コンベアによりそれぞれの搬送経路上を搬送される様々な大きさの粒状体にX線を照射して、透過したX線の強度に基づき生成したX線透過画像から、除去が必要な異物が存在する搬送経路を特定し、当該異物が当該搬送経路に対応する除去手段に到達するタイミングを見計らって除去手段を動作させることにより異物を含む粒状体を除去する選別装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164723号公報
【特許文献2】実用新案登録第3198202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の選別装置は、粒状体に含まれる異物の除去手段への到達を契機に当該除去手段を動作させて、異物を含む粒状体を搬送経路から除去するものである。これは、被検査物たる粒状体は小さいものであるということを前提に、異物のみを狙って除去手段を動作させれば、当該異物を含有する粒状体もろとも除去できるとの考え方に基づくものである。
【0005】
しかし、より大きな被検査物の場合、混入している異物のみを狙って除去手段を動作させても、被検査物の除去に十分な外力を加えることができず、適切に選別することができない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、大きな被検査物でも適切に選別を行うことが可能な検査選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検査選別装置は、被検査物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、被検査物に所定の電磁波を照射する照射手段と、搬送方向に直交する横断方向に連なる複数のセンサのそれぞれが搬送中の被検査物を経た所定の電磁波を検出して所定の周期ごとに検出データを出力する検出手段と、検出データを検査し被検査物の存在を示す検出データ及び異常を示す検出データを特定する検査手段と、検査手段による特定結果に基づき、異常がある被検査物の存在範囲を特定し、当該存在範囲に応じ複数の選別機構の動作を制御する選別制御手段と、それぞれのセンサの搬送下流に設けられる複数の選別機構を備え、選別制御手段による制御に従い複数の選別機構のそれぞれを動作させることで、被検査物の選別を行う選別手段と、を備える。異常を示す検出データとしては、例えば、被検査物内における異物の存在を示す検出データや被検査物自体の性状の異常を示す検出データなどが挙げられる。
【0008】
選別制御手段は、特定した存在範囲に基づいて、いかなる周期の範囲で、いかなる範囲の選別機構を動作させるかを決定し、その決定に従い複数の選別機構を制御してもよい。
【0009】
選別制御手段は、特定した存在範囲の全体に選別機構の動作が作用するように選別機構を動作させる範囲及び周期を決定してもよい。
【0010】
選別制御手段は、特定した存在範囲の重心に基づき選別機構を動作させる範囲及び周期を決定してもよい。
【0011】
選別制御手段は、特定した存在範囲の異物の存在位置に基づき選別機構を動作させる範囲及び周期を決定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検査選別装置によれば、大きな被検査物でも適切に選別を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】検査選別装置100の構成の一例を示す正面図である。
図2】検査選別装置100の構成の一例を示す平面図である。
図3】各周期の各センサにおける検出データ及びその検査結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0015】
本発明の検査選別装置100の構成例を示す正面図を図1に、平面図を図2にそれぞれ示す。検査選別装置100は、搬送手段101、照射手段102、検出手段103、検査手段104、選別制御手段105及び選別手段106を備える。
【0016】
搬送手段101は、被検査物Wを所定の搬送方向に搬送する。搬送手段101は、正面から見て、搬送方向に直交する方向(横断方向)に奥行きを持ち、複数の被検査物Wを、横断方向の任意の位置に載置して搬送することが可能である。搬送手段101には、載置された被検査物Wを一定の方向に搬送できれば、任意の方式のコンベアを採用してよい。
【0017】
なお、図1では、搬送手段101の途中に選別手段106が挿入された形で分割して表記しているが、搬送手段101は、実際には選別手段106の存在位置を含め連続的に搬送可能に構成され、選別手段106の表記は、表記位置において搬送中の被検査物Wに対して所定の選別処理が行うことが可能とされていることを意味している。
【0018】
照射手段102は、搬送手段101により搬送される被検査物Wに向け所定の電磁波を照射する。照射する電磁波の種類は、例えば、X線、可視光、赤外線など、検査の内容に応じて適宜選択してよい。
【0019】
検出手段103は、照射手段102から照射され被検査物Wを経た所定の電磁波を検出可能な位置に配置される。図1では、被検査物Wからの透過電磁波を検出すべく、照射手段102に対向して配置される例を示している。
【0020】
検出手段103は、搬送手段101の横断方向に連なる複数のセンサを有する。それぞれのセンサは、照射手段102から被検査物Wを経て、又は直接的に到達した所定の電磁波を検出して、所定の周期ごとに検出データを出力する。図2は、センサL1~L8の8個のセンサを連ねて設けた例を示したものである。
【0021】
検出手段103のそれぞれのセンサは、所定の電磁波を検出可能な1以上の検出素子が横断方向に1列に配列されたセンサであり、実際にはセンサを構成するそれぞれの検出素子が検出データを出力する。
【0022】
検出手段103の複数のセンサは、複数の検出素子からなるラインセンサを1以上用いて適宜構成してよい。例えばセンサが4つの場合、3本以下のラインセンサを分割して構成してもよいし、4本のラインセンサを用いて1対1に構成してもよいし、1つのセンサを2本以上のラインセンサを用いて構成してもよい。また、それぞれのセンサを搬送方向に複数列配列してTDIセンサとして構成してもよい。
【0023】
センサは、搬送下流に設けられる選別機構と同じ個数設ける。これにより、各センサの検出データに基づき特定された被検査物Wの外形状等に応じた選別を行うことが可能となる。
【0024】
それぞれのセンサが、所定の電磁波を検出し検出データを蓄積して出力する所定の周期は、例えば、センサの搬送方向の幅を、搬送手段101の搬送速度で通過する所要時間としてもよい。所定の周期をこのように設定することで、検出手段103を通過する被検査物Wの全体を漏れなく検査することができる。
【0025】
検出手段103が出力した各周期の各センサにおけるそれぞれの検出データは、検出された周期及びセンサと関連付けて、図示しない任意の記憶手段に記憶させる。
【0026】
検査手段104は、検出手段103の各センサから出力された検出データを、記憶手段を参照して検査し、被検査物の存在を示す検出データ及び異常を示す検出データを特定する。検出データに異常を生じさせる事情としては、例えば、被検査物内における異物の存在や被検査物自体の性状の異常などが挙げられる。
【0027】
1つのセンサが複数の検出素子からなる場合、センサとしての検出データの検査結果は、例えば、各検出素子による検出データのそれぞれを検査して、それぞれの検査結果に基づき任意の判定基準で総合評価することにより得てもよいし、各検出素子の検出データの総和を検査することにより得てもよい。
【0028】
検査手段104における、被検査物の存在を示す検出データ及び異常を示す検出データの特定処理を、図2に示す形状の4個の被検査物W1~W4が、被検査物W1を搬送方向先頭に、搬送手段101に順次載置され検査が行われる場合を例にとって説明する。
【0029】
被検査物W1及びW2は、横断方向にセンサ4個分の幅を持ち、搬送方向に1周期分の幅を持つ。被検査物W2は一部に異物Fを含有する。被検査物W3は横断方向にセンサ2個分の幅の範囲で搬送方向に1周期分の幅を持ち、横断方向にセンサ1個分の幅の範囲で搬送方向に2周期分の幅を持つ。被検査物W4は、横断方向にセンサ3個分の幅を持ち、搬送方向に1周期分の幅を持つ。また、被検査物W1と被検査物W2との間、被検査物W2と被検査物W3との間、及び被検査物W3の一部と被検査物W4との間は、それぞれ1周期分間隔があり、被検査物W3の残部と被検査物W4との間は周期が連続している。
【0030】
4個の被検査物W1~W4がそれぞれ搬送され、被検査物W1からの透過電磁波が検出される周期を1周期目としたときの、1~7周期目におけるセンサL1~L8における透過電磁波の検出データの一例を図3(a)に示す。図3(a)では、各センサにおける検出データは、電磁波に対する障害物が存在していない周期については高強度で到達していることを意味する白で示し、障害物たる被検査物が存在している周期については透過量が多いほど薄い色で示している。また、被検査物W1~W4は同じ製品であり、異物Fの電磁波の透過量は被検査物W1~W4と比べて少ないものとする。
【0031】
図3(a)から、1周期目のセンサL3~L6、3周期目のセンサL2~L5、5周期目のセンサL5~L7、6周期目のセンサL7、及び7周期目のセンサL2~L4のそれぞれにおける検出データが被検査物の存在を示す検出データであると特定でき、3周期目のセンサL3における検出データが異物Fの存在を示す検出データであると特定することができる。
【0032】
選別制御手段105は、検査手段104による特定結果に基づき、異常がある被検査物の存在範囲を特定し、当該存在範囲に応じ選別手段106の複数の選別機構の動作を制御する。
【0033】
まず、検査手段104による特定結果に基づき、一体と推定される範囲を被検査物の存在範囲と特定する。具体的には例えば、検出位置及び検出周期の一体性をもって特定することができる。具体的には、図3(a)に示す検出データの場合、図3(b)の太線枠に示すように、1周期目のセンサL3~L6の検出データ、3周期目のセンサL2~L5の検出データ、及び7周期目のセンサL2~L4の検出データにそれぞれ一体性が認められるため、それぞれを被検査物と特定するとともに、それぞれの存在範囲を特定することができる(特定されたそれぞれの被検査物は、図2の被検査物W1、W2及びW4と対応するため、以下そのように表現する)。また、5周期目のセンサL5~L7と、6周期目のセンサL7とが一体性が認められるため、これも被検査物と特定するとともに、存在範囲を特定することができる(特定された被検査物は図2の被検査物W3と対応するため、以下そのように表現する)。
【0034】
続いて、被検査物W2の存在範囲の特定により、異物Fが存在する3周期目のセンサL3は、被検査物W2に含まれることが特定され、これにより被検査物W2が、異常がある被検査物であると特定される。
【0035】
また、選別制御手段105に被検査物の合格形状を予め記憶させておくことで、これと被検査物W1~W4の存在範囲が示す形状とを比較することにより形状の異常や、噛み込み、折れ、曲がりなどの異常がある被検査物を特定することができる。例えば、登録された合格形状が被検査物W1と同じ形状の場合、被検査物W3は形状に曲がりがあり、被検査物W4は寸法が短いため、それぞれ異常がある被検査物であると特定される。
【0036】
なお、検査における異常の検出は、電磁波の到達強度や合格形状との比較による方法のほか、被検査物が正常である場合と異常である場合とが学習された学習モデルに検出データを適用することによる方法により行ってもよい。
【0037】
以上により、被検査物W2、W3及びW4が、異常がある被検査物であると特定される。
【0038】
そして、被検査物W2、W3及びW4が選別手段106で排除されるように、いかなる周期の範囲で選別手段106のいかなる範囲の選別機構を動作させるかを決定する。
【0039】
検出手段103の各センサにおける検出データに基づき、搬送下流に配置された選別手段106の各選別機構を適切なタイミングで動作させるには、所定の方法で両者間の同期をとる必要がある。例えば、検出手段103から各周期に出力される検出データについて、検出データの出力後、検出手段103と選別手段106との間の搬送所要時間に相当する周期数の経過後に、当該検出データの検査結果による選別を選別手段106が行うように構成してもよい。より具体的には、例えば検出手段103が、各周期における検出データの出力の都度、当該周期の選別を、当該周期から検出手段103と選別手段106との間の搬送所要時間に相当する周期数前における検出データの検査結果に基づき行うことを示す情報を選別手段106に通知し、選別手段106がその通知に従い選別を行うように構成してもよい。
【0040】
そして、このような同期方法を踏まえると、いかなる周期の範囲で選別手段106のいかなる範囲の選別機構を動作させるかは、検出手段103におけるそれぞれの被検査物の検出データが検出された周期に対応付けて決定すればよい。
【0041】
具体的には、例えば図3(b)に示すように、被検査物W1の検出データが検出された周期が1周期目であるとすると、被検査物W2を経由した電磁波が、3周期目にセンサL2~L5において検出されているため、動作させる選別機構を、センサL2~L5のそれぞれに対応する選別機構S2~S5の中から所定のルールに基づき決定する。また、被検査物W3を経由した電磁波が、5周期目にセンサL5~L7において検出され、6周期目にセンサL7において検出されているため、それぞれの周期に動作させる選別機構を、センサL5~L7のそれぞれに対応する選別機構S5~7の中から所定のルールに基づき決定する。また、被検査物W4を経由した電磁波が、7周期目にセンサL2~L4で検出されているため、動作させる選別機構を、センサL2~L4のそれぞれに対応する選別機構S2~S4の中から所定のルールに基づき決定する。また、1、2及び4周期目には排除する被検査物は無いため、いずれの選別機構も動作させないと決定する。
【0042】
各周期において、被検査物が検出された複数のセンサに対応する複数の選別機構の中から、いかなる範囲の選別機構を動作させるかを決定する所定のルールは任意である。
【0043】
例えば、排除対象の被検査物Wの存在範囲が示す形状に従って決定するルールが挙げられる。すなわち、存在範囲の全体に選別機構の動作が作用するように決定する。例えば、被検査物W2であれば、3周期目にセンサL2~L5に対応する選別機構S2~S5のすべてを動作させる。また、被検査物W3であれば、5周期目にセンサL5~L7に対応する選別機構S5~S7のすべてを動作させるとともに、6周期目にセンサL7に対応する選別機構S7を動作させる。また、被検査物W4であれば、7周期目にセンサL2~L4に対応する選別機構S2~S4のすべてを動作させる。
【0044】
これにより、大きな被検査物であっても、適切に選別を行うことができる。
【0045】
また、別の決定ルールとして、排除対象の被検査物Wの存在範囲の重心に基づき決定する方法が挙げられる。重心は、被検査物の存在範囲が示す形状から幾何学的に求めてもよいし、その他の方法により求めてもよい。そして、求めた重心に対応する位置に対応する選別機構のみを動作させてもよいし、求めた重心に対応する位置に対応する選別機構の周辺の任意の範囲の選別機構についても動作させてもよい。例えば、被検査物W3について、重心が図3(b)の星印の部分にある場合、当該部分のみに対応して5周期目に選別機構S7を動作させてもよいし、5周期目に選別機構S6及びS7を動作させるとともに、6周期目に選別機構S7を動作させてもよい。
【0046】
このように重心又はその周辺にターゲットを絞ることで、選別機構を効率的に動作させつつ適切に選別を行うことができる。
【0047】
また、別の決定ルールとして、排除対象の被検査物Wに異物が含まれる場合に、被検査物Wの存在範囲内における異物の存在位置に基づき決定する方法が挙げられる。このとき、異物の存在位置に対応する選別機構のみを動作させてもよいし、異物の存在位置に対応する選別機構の周辺の任意の範囲の選別機構についても動作させてもよい。例えば、異物が含まれている被検査物W2について、異物の存在位置のみに対応して3周期目に選別機構S3のみを動作させてもよいし、選別機構S2~S4を動作させてもよい。
【0048】
このように異物にターゲットを絞ることで、異物の密度が高い場合などに、選別機構を効率的に動作させつつ適切に選別を行うことができる。
【0049】
選別制御手段105における、検出手段103の検出データの出力周期に対応付けられた、選別手段106が複数の選別機構を動作させる範囲の決定結果は、図示しない任意の手段に記憶させ、これを参照しながら制御を行う。決定結果は例えば、図3(c)に示すような、各周期における選別機構の動作の有無を1と0で表現したマップデータの形で記憶させてもよい。
【0050】
選別手段106は、それぞれのセンサの搬送下流に設けられる複数の選別機構を備え、選別制御手段105による制御に従い複数の選別機構のそれぞれを動作させることで、被検査物Wの選別を行う。例えば、検出手段103が、各周期における検出データの出力の都度、当該周期の選別を、当該周期から検出手段103と選別手段106との間の搬送所要時間に相当する周期数前における検出データの検査結果に基づき行うことを示す情報を選別手段106に通知する場合、選別手段106はその通知を契機に、それぞれの周期に、選別制御手段105における決定に従い、複数の選別機構のそれぞれを動作させる。
【0051】
被検査物Wの選別は、一般的には排除対象の被検査物Wを選別機構の動作の作用により搬送手段101上から離脱させる選別であるが、その限りではなく、例えば、非排除対象の被検査物Wの搬送方向を変更する選別であってもよい。
【0052】
被検査物Wを選別する選別機構の方式は任意であり、例えば、エアジェット方式、フリッパ方式、ドロップ方式などが挙げられる。図2は、センサL1~L8のそれぞれの搬送下流に、選別機構S1~S8の8個の選別機構を設けた例を示したものである。
【0053】
以上説明した本発明の検査選別装置100によれば、被検査物の形状等に応じて選別機構を動作させることで、動作の作用を効果的に被検査物に及ぼすことができるため、大きな被検査物でも適切に選別を行うことが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0055】
100 検査選別装置
101 搬送手段
102 照射手段
103 検出手段
104 検査手段
105 選別制御手段
106 選別手段
L1~L8 センサ
S1~S8 選別機構
W、W1~W4 被検査物
図1
図2
図3