(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151613
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】リファイナセグメント
(51)【国際特許分類】
D21D 1/30 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
D21D1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022013996
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】2150341-2
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】515203011
【氏名又は名称】バルメット・アー・ベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トミー・リンドブロム
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CA17
4L055CB14
4L055FA21
4L055FA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リファイナセグメント上の材料流れによって引き起こされるリファイナのリファイナセグメントにおける耐摩耗性を高めること。
【解決手段】リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナのリファイナディスクにおいて使用するためのリファイナセグメント101であって、前記リファイナセグメント101は、リファイナセグメントの外周18bに向かって活性面2上に延在する複数のバー10を備える活性面を有し、少なくとも3本のバー10は、最終ボックス流体接続部21を備え、前記最終ボックス流体接続部21は、このバー10から別の隣接するバー10まで延在する最も近い最終ダム11aから距離0.0~15.0mmでバー10に設けられるリファイナセグメント101。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナ(100)のリファイナディスク(30;30*)に使用するためのリファイナセグメント(101;201)であって、前記リファイナセグメント(1)は、リファイニングセグメント(1)の内周(18a)、外周(18b)、第1側縁(19a)、及び第2側縁(19b)によって区画される活性面(2)を有し、前記活性面(2)は、
リファイナセグメントの外周(18b)に向かって活性面(2)上に延在する複数のバー(10)であって、複数の溝(19)が形成され、各溝(19)が2本の隣接するバー(10)の間に設けられる、複数のバー(10)と、
2本の隣接するバー(10)の間に各々が延在する複数のダム(11)と
を備え、
少なくとも複数の溝(19)は、溝(19)の延長部に沿って分離された1つ又は複数のダム(11)を備え、少なくとも複数の溝(19)は、1つ以上のボックス(23)を備え、ボックス(23)は、同じ溝(19)内に設けられた2本の隣接するバー(10)及び2個の隣接するダム(11)によって区画され、最終ボックス(23a)及び最終ダム(11a)は、同じ溝(19)内に設けられた候補となる他のボックス(23)及びダム(11)と比較して、リファイナセグメントの外周(18b)の最も近くにそれぞれ配置されるボックス(23)及びダム(11)として溝(19)に対して画定され、
少なくとも3本のバー(10)は、最終ボックス流体接続部(21)を備え、最終ボックス流体接続部(21)は、このバーの一方の側の最終ボックス(23a)をこのバー(10)の他方の側の最終ボックス(23a)に接続するためにバー(10)を通って設けられた流体接続部であり、最終ボックス流体接続部(21)を介してこれら2個の最終ボックス(23a)の間で圧力が均等化されることができるようにし、前記最終ボックス流体接続部(21)は、このバー(10)から別の隣接するバー(10)まで延在する最も近い最終ダム(11a)から距離0.0~15.0mmでバー(10)に設けられるリファイナセグメント(101;201)。
【請求項2】
リファイナセグメントは、リファイナディスク(30,30*)の表面の少なくとも一部を覆うように、且つリファイナセグメントの内周(18a)が、外周(18b)よりもリファイナディスクの中心(C)の近くに設けられるように、リファイナディスク上に配置されるように構成される、請求項1に記載のリファイナセグメント。
【請求項3】
前記リファイナセグメント(1)は、中央開口部を有する円形のセクタである、請求項1又は2に記載のリファイナセグメント。
【請求項4】
リファイナセグメントに設けられたバー(10)の総数の少なくとも半分に対応する複数のバー(10)は、最終ボックス流体接続部(21)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のリファイナセグメント。
【請求項5】
最終ボックス(23a)の一部である少なくとも1つおきのバー(10)は、最終ボックス流体接続部(21)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のリファイナセグメント。
【請求項6】
少なくとも3本の隣接するバーは、各々、最終ボックス流体接続部(21)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のリファイナセグメント。
【請求項7】
前記最終ボックス流体接続部(21)は、それが設けられたバー(10)の長さ延長部に沿って幅0.1~5.0mmを有し、それが設けられたバー(10)の上面から深さ0.1~20.0mmを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のリファイナセグメント。
【請求項8】
隣接する溝(19)に設けられた少なくとも4個の最終ダム(11a)は、滑らかな曲線に沿って設けられた連続ダムを共に形成するように配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載のリファイナセグメント。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のリファイナセグメント(101;201)を少なくとも1つ備えるリファイナディスク(30,30*)。
【請求項10】
前記リファイナディスク(30,30*)は、ロータディスク又はステータディスクである、請求項9に記載のリファイナディスク(40)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のリファイナディスク(30,30*)を備える、リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナのリファイナディスクに使用するためのリファイナセグメントに関する。より具体的には、バー及びダムを備えるリファイナセグメントと、かかるリファイナセグメントを備えるリファイナのリファイナディスクと、バー及びダムを備えるリファイナセグメントを具備したリファイナディスクを備えるリファイナとに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリグノセルロース材料の、一般的に使用されるリファイナは、2枚の相対回転するディスクを備え、材料はその間でリファイニング又は解繊される。一対の相対回転するディスクは、特に、ロータと呼ばれる1枚の回転ディスクと、ステータと呼ばれる1枚の静止ディスクとを備えてもよい。あるいは、一対の相対的に回転するディスクは、反対方向に回転する2枚の回転ディスクを備えてもよい。これらのディスク、又はそれらのうち少なくとも一方には、材料のより効率的なリファイニングを得ることを目的とする、リファイナセグメントと呼ばれるセグメントが設けられることが多い。特定のタイプのリファイナセグメントには、一組のバー及びダムが設けられる。バーは、セグメントの活性面、すなわち材料が流れるセグメントの表面上に配置され、リグノセルロース材料の効率的なリファイニングを達成するために主に使用される、実質的に半径方向に延在し、かつ突出する構造であってもよい。ダムもまたリファイナセグメントの活性面上に設けられた突出構造であるが、こちらは一般に半径方向には設けられない。その代わりにダムは、特定のダムが2本の隣接するバーに接触又は接続するように、リファイナセグメントに設けられる。すなわち、隣り合う2本のバーを結ぶ方向に跨るようにダムが設けられる。その方向は、バーに対して略直交していてもよいが、バーに対してある角度で設けられることもできる。ダムの特定の目的は、バー間の領域を流れる材料を、2枚の対向するリファイナディスク間の空隙、例えば、ロータとステータとの間のディスク空隙、又は2枚の相対的に回転するディスクを分離するディスク空隙として画定されるディスク空隙に向かって上方に持ち上げることである。材料のリファイニング又は解繊はディスク間のディスク空隙内で行われる。各バーが1つ又は複数のダムに接続する一般的な場合において、幾何学的形状の自然な結果は、部分的に囲まれた又は制限された複数の領域が、隣接するバーの間に作成されることである。これらの領域は、以下の詳細な説明においてボックスと呼ばれる。リファイニング材料の主要部分は、これらの領域を流れる。バー及びダムを具備したリファイナセグメントに関連する特定の問題は、リファイナセグメントの表面から突出する構造であるバー及びダムが、リファイニングされるべき材料との研磨接触によって摩耗されることである。結果として、リファイナセグメントの効率は経時的に低下し、リファイニングされる材料、例えばパルプの満足のいく品質を達成するために、リファイナセグメントを交換する必要がある。本発明は、バー及びダムが設けられたリファイナセグメントが経験する摩耗に関連する問題の一部を少なくとも軽減する機構を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、リファイナセグメント上の材料流れによって引き起こされるリファイナの、リファイナセグメントにおける耐摩耗性を高めることである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、リファイナセグメントと、リファイナセグメントを備えるリファイナディスクと、リファイナセグメント上の材料流れによって引き起こされる摩耗に対する堅牢性を高めたリファイナディスクを備える、リファイナとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、独立請求項に係るリファイナセグメント、リファイナディスク、及びリファイナによって達成される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナの、リファイナディスクに使用するためのリファイナセグメントが提供される。前記リファイナセグメントは、リファイニングセグメントの内周、外周、第1側縁、及び第2側縁によって区画される活性面を有し、前記活性面は、
複数のバーであって、複数の溝が形成され、各溝が2本の隣接するバーの間に設けられる、リファイナセグメントの外周に向かって活性面上に延在する複数のバーと、
2本の隣接するバーの間に各々が延在する、複数のダムと、
を備え、
少なくとも複数の溝は、溝の延長部に沿って分離された1つ以上のダムを備え、少なくとも複数の溝は、1つ以上のボックスを備え、ボックスは、同じ溝内に設けられた2本の隣接するバー及び2個の隣接するダムによって区画され、最終ボックス及び最終ダムは、同じ溝内に設けられた候補となる他のボックス及びダムと比較してリファイナセグメントの外周の最も近くにそれぞれ配置されるボックス及びダムとして溝に対して画定され、
少なくとも3本のバーは、このバーの一方の側の最終ボックスを、このバーの他方の側の最終ボックスに接続するためにバーを通って設けられた流体接続部である最終ボックス流体接続部を備え、最終ボックス流体接続部を介してこれらの2個の最終ボックスの間で圧力が均等化されることができるようにし、前記最終ボックス流体接続部は、このバーから別の隣接するバーまで延在する最も近い最終ダムから距離0.0~15.0mmでバー内に設けられている。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係るリファイナセグメントを備えるリファイナディスクが提供される。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係るリファイナディスクを備えるリファイナが提供される。
【0009】
本発明は、ダムと、リファイナセグメント上を流れる材料との間の摩耗接触によって引き起こされる摩耗を、より良好に耐えるリファイナセグメント、並びに対応するリファイナディスク及びリファイナを提供する。これにより、リファイナセグメントの有効寿命が延在することとなる。本発明に係る最終ボックス流体接続部を少なくとも3本のバーに設けることにより、そのような最終ボックス流体接続部を備える1つ以上のバーによって分離された2つ以上の隣接する最終ボックスの間で圧力が均等化されることができる。これにより、リファイナセグメント内の特定の場所でより高い圧力が提供され、それによって不均一な摩耗及び起こり得る漏れを引き起こすことが回避されることができる。さらに、溝の最終ダムの近くにこの最終ボックス流体接続部を提供することによって、溝の最終ボックス内の高い個別圧力が回避されることができ、それによって圧力は代わりに複数の最終ボックス間で均等化される。最終ボックスのどこかに圧力ピークが設けられるので、これは、リファイナディスクのうち摩耗に対して最も敏感な部分となる。これにより、本発明によれば、リファイナディスクの摩耗はより均一になる可能性があり、これは適切である。さらに、2つ以上の最終ボックスの間で圧力を均等化することによって、これらの最終ボックスの各々における圧力は以前の最高圧力よりも低くなり、これは適切であり、リファイナセグメントの摩耗を低減し、リファイナセグメントの寿命を延ばす。最終ボックス内の個別圧力が少なくとも複数の最終ボックスの間で均等化されると、1個の個別ボックスが摩耗/漏れの標的となる可能性ははるかに低くなる。また、さらに、最終ボックス流体接続部を、このバーから別の隣接するバーまで延在する最も近い最終ダムから可能な限り近く(すなわち、距離0~15mm)のバーに設けることによって、このバーの両側の最終ボックス内の圧力ピークの場所が、最終ボックス流体接続部よりも外周に近く設けられるリスクは非常に小さくなる。圧力ピークの場所は、ほとんどの場合、代わりに最終ボックス流体接続部とリファイナセグメントの内周との間に設けられ、これは、圧力均等化がはるかに効果的となるため、適切である。代わりに、圧力ピークが最終ボックス流体接続部とリファイナセグメントの外周との間に位置付けされる場合、圧力は均等化されないか、又は少なくとも効果的に均等化されない。この場合、圧力ピークは、最終ボックス間の流体均等化を防止する可能性がある。これにより、本発明によれば最も近い最終ダム(以下、圧力降下線とも呼ばれる)に近い最終ボックス流体接続部の場所が好適であり、効率的な圧力均等化と、これによるリファイナセグメントのより均一な摩耗とを提供する。
【0010】
本発明の複数の実施形態において、リファイナセグメントは、リファイナディスクの表面の少なくとも一部を覆うように、且つリファイナセグメントの内周が、外周よりもリファイナディスクの中心Cの近くに設けられるように、リファイナディスク上に位置付けされるように構成される。
【0011】
本発明の複数の実施形態において、前記リファイナセグメントは、中央開口部を有する円形のセクタである。
【0012】
本発明の一実施形態において、リファイナセグメントに設けられたバーの総数の少なくとも半分に対応する複数のバーは、最終ボックス流体接続部を備える。
【0013】
本発明の一実施形態において、最終ボックスの一部である少なくとも1つおきのバーが、最終ボックス流体接続部を備える。
【0014】
本発明の一実施形態において、少なくとも3本の隣接するバーは各々、最終ボックス流体接続部を備える。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記最終ボックス流体接続部は、それが設けられたバーの長さ延長部に沿って幅0.1~5.0mmを有し、それが設けられたバーの上面から深さ0.1~20.0mmを有する。
【0016】
本発明の一実施形態において、隣接する溝に設けられた少なくとも4個の最終ダムは、滑らかな曲線に沿って設けられた連続ダムを共に形成するように位置付けされる。
【0017】
さらなる利点は、詳細な説明及び従属請求項を読むときに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るリファイナセグメントが使用されてもよいリファイナの概略図である。
【
図2】本発明に係るリファイナセグメントが使用されてもよいリファイナディスク構成の断面の概略図である。
【
図3】上方から見た既知のリファイナセグメントの概略図である。
【
図4】ロータディスク又はステータディスクなどのリファイナディスクに取り付けられた既知のリファイナセグメントの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るリファイナセグメントの概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るリファイナセグメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を通じて、類似又は対応する要素には同じ参照符号が使用されている。一般に、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が明確に与えられ、及び/又はそれが使用される文脈から暗示されない限り、関連する技術分野におけるそれらの通常の意味によって解釈されるべきである。本明細書に開示されるいずれかの実施形態の任意の特徴は、適切な場合、任意の他の実施形態に適用されてもよい。
【0020】
本発明をより良く理解するために、一般的なリファイナの簡単な説明と、本発明が軽減することを目的とする技術的問題の簡単な分析とから始めることが有用となり得る。
【0021】
この目的のために、本発明を利用することができるリファイナを概略的に示す
図1を参照する。
図1は、例示的なパルプリファイナ100を断面図で概略的に示す。本構成は、本発明を理解するために、必須ではない装置のすべての構成要素と共に、リファイナ装置の外側ケーシングを表すハウジング26に収容される。図示されていない構成要素の例は、例えば回転シャフト、リグノセルロース材料用の供給機構を駆動するための電気モータ等である。第2ハウジング31の内部には、ロータリファイナディスク30及びステータリファイナディスク30
*が、シャフトに沿って直線的に整列されている。ロータリファイナディスク30は、軸受16上に配置された回転シャフト15に取り付けられている。回転シャフト15は、シャフト15と、したがってロータリファイナディスク30とを回転させるモータ(不図示)に接続されている。ロータリファイナディスク30に面するステータリファイナディスク30
*には、リグノセルロース材料用の供給チャネル14とリファイニング領域19との間に延在する中央設置貫通孔32が設けられることができる。リファイニング領域19への材料の供給は、必ずしも
図1及び
図2に示すように中央設置貫通孔を介して提供される必要はなく、代わりに、正確に中央以外の別の方法で分散された貫通孔を介して分散されることもできる。一部の実施形態において、ロータリファイナディスク30には、リグノセルロース材料の流入流れに面する表面を有する中央プレート17が設けられることができる。中央プレート17の表面には、リグノセルロース材料を外側に向ける構造が設けられることができる。ロータリファイナディスク30
*及び/又はステータリファイナディスク30には、パルプの誘導及び粉砕を可能にするためのリファイナセグメントが設けられている。これらのリファイナセグメントにはバー及びダムが設けられることができ、これについては、以下に、より詳細に説明される。複数のリファイナにおいて、ロータ及びステータリファイナディスクの代わりに2枚のロータリファイナディスクがあってもよく、この場合、2枚のロータリファイナディスクは反対方向に回転される。このようなリファイナにおいても本発明が適用されることができる。
【0022】
使用中、木材チップ又は調製木材、例えばパルプなどのリグノセルロース材料は、供給チャネル14を通ってスクリューフィーダ(不図示)などの供給機構を用いて供給される。材料は、ステータリファイナディスク30*の孔32を通過し、領域19に入る。領域19は、ロータ30とステータリファイナディスク30*との間の開放領域によって本質的に画定され、この領域は、動作中に非常に小さくなり得る。領域19に流入するリグノセルロース材料は、ロータリファイナディスク30上の中央プレート17に進入する。中央プレート17は、ロータ及び/又はステータリファイナディスク上のリファイナセグメントに向けてリグノセルロース材料を誘導するように作用する。
【0023】
本発明が使用されてもよいロータ-ステータ構成のより詳細な説明を提供するために、
図2を参照する。
図2は、例えば上述したようなリファイナのハウジング31に収容されたロータ-ステータ構成の側断面図を示す。回転シャフト及びステータリファイナディスク30
*の周りを回転するように配置されたロータリファイナディスク30が示されている。ロータリファイナディスク30には、ステータリファイナディスク30
*に面する表面に、少なくとも1個のリファイナセグメント1が設けられている。ステータリファイナディスク30
*にも、ロータリファイナディスク30に面する表面に、少なくとも1個のリファイナセグメント1が設けられてもよい。ロータリファイナディスク30及びステータリファイナディスク30
*にそれぞれ設けられたこれらのリファイナセグメント2は、等しく設計されてもよく、そうでなくてもよい。本発明に係るリファイナセグメントは、ロータリファイナディスク30及びステータリファイナディスク30
*の一方若しくは両方、又は2枚の回転ディスクの場合には2枚のロータリファイナディスクの一方若しくは両方に設けられてもよい。リファイナディスクの目的の1つはリファイナセグメント1を担持することであるため、リファイナの一部の変形例において、ロータリファイナディスク及びステータリファイナディスクはセグメント担持体と呼ばれてもよい。リファイニングの対象となるリグノセルロース材料用の入口32も
図2に示されている。入口32は、ステータリファイナディスク30
*の中央領域に配置されるが、上述したように、入口32の中央場所である必要はない。入口32に対向するロータリファイナディスク30の中央領域には、中央プレート17が配置されている。
図1を参照して上述した中央プレート17の目的は、入口32からロータリファイナディスク30の外側区画に向かって落下する材料を分配することである。すなわち、中央プレート17は、ロータリファイナディスク30上に配置されたリファイナセグメント1に向かって材料を分配するように作用する。反対方向に回転する2枚のロータリファイナディスクを備える例において、材料を供給するための入口は、この技術分野で一般的に知られているように異なって配置されてもよい。
【0024】
本発明を利用することができる一般的なリファイナが、これまで
図1及び
図2に関連して上述された。
図3は、リファイナセグメント1の一例の概略図を提供する。リファイナセグメント1は、リファイナディスク30に対して設けられる。これは、ロータリファイナディスク30及びステータリファイナディスク30
*の両方であり得るが、以下ではリファイナディスク30とのみ呼ばれる。リファイナセグメント1は、この特定の例において、円形セクタからなる。リファイナセグメントには他の変形例もあるが、本発明はすべての特定のリファイナセグメント形状に対して等しく良好に機能する。リファイナセグメント1は、リファイナディスク30に取り付けられるセグメントの形状で設けられる。リファイナセグメント1は、円の形状で設けられてもよく、上述のように中央プレート17又は入口32のための空間を残すための、除去された中央領域を任意に有する。リファイナセグメント1はまた、円形セクタの形状で設けられてもよく、円は、任意に、除去された中央領域を有するか、又は円の別の部分の形状で設けられてもよい。したがって、リファイナディスク30には、複数のリファイナセグメント1が設けられてもよく、それによって、リファイナセグメント1によって完全に覆われるか、又は部分的に覆われる。リファイナセグメント1がロータリファイナディスク30の一部を形成する場合、ロータリファイナディスクの中央領域は、上述のように中央プレート17を備えることができる。
【0025】
図3は、内周18a及び外周18bを有するリファイナセグメント1を示す。内周18aは、リファイナセグメント1が取り付けられたときにリファイナディスク30の中心Cに最も近くなるように意図されたリファイナセグメント1の周辺部である。リファイナセグメント1は、複数のバー10が設けられた活性面2を備える。バーは、リファイニングセグメント1の外周18bに向かって活性面上に延在している。バー10は、実質的に半径方向に延在し、リファイナセグメントの活性面、すなわち材料流れに面する表面に沿って略平行に延在してもよい。しかしながら、バー10はまた、半径方向の延長部からある程度逸脱した方向に設けられてもよく、この技術分野では一般的に知られていることであるが、
図3に見られるようにすべてが平行に延在していなくてもよい。また、複数のダム11が示されており、これらダム11は、バー10に対して実質的に直角に向けて設けられてもよいが、バー10に対して傾斜を有して設けられてもよく、各ダム11は、一対の隣接するバー10の両方のバー10に接続する。バー10及びダム11の構成は、ボックス23と呼ばれる2本の隣接するバー10及び2個のダム11によって境界付けられた区画を画定する。
【0026】
図4は、中心Cを有するステータ又はロータのリファイナディスク30に取り付けられたときの、
図3におけるリファイナセグメント1の簡略図である。半径方向は、Rで示される矢印を用いて示されている。半径方向は、リファイナディスク30の中心Cからリファイナディスク30の周囲に向かって延び、途中でリファイナセグメント1の内周18a及び外周18bを通過する。
【0027】
再び
図3を参照する。リファイナセグメント1の使用中、リグノセルロース材料の主要部分は、バー10間に設けられた溝19内を流れる。材料がリファイナセグメント1の外周18bに向かって流れるとき、材料は、前述のように、溝19内に設けられたダム11に衝突し、ディスク空隙に向かって持ち上げられる。流動する材料とダム11及びバー10との相互作用は、ダム11及びバー10に多くの摩耗を引き起こし、やがてそれらの少なくとも一部を破壊し、それによってリファイナセグメント1の効果を低下させる可能性がある。ボックス23は各々、別個の異なる圧力を有してもよく、この場合、最大の圧力を有するボックス23が最も影響を受ける不均一な摩耗につながる可能性がある。特に、各溝19内の半径方向Rの最終ボックス23aは、これらの最終ボックス23aに圧力ピークがあるため、摩耗の影響を受ける可能性がある。各溝19の最終ボックス23a内の圧力は、最も高い圧力を有する。しかしながら、最終ボックス23aの圧力は、溝19ごとに個別である。最も高い個別圧力を有する最終ボックス23aは、摩耗の影響を最も受ける。最終ボックス23aの1つ又は複数のみが摩耗の影響をより大きく受けるか、又は破壊さえされる場合、リファイナセグメント1は適切に機能しない。リグノセルロース材料は、効果的且つ均一にリファイニングされず、リファイナセグメント1全体が取り替えられる必要がある。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態に係るリファイナセグメント101の概略図である。
図6は、本発明の別の実施形態に係るリファイナセグメント201の概略図である。詳細の多くは、
図3に関連して既に説明したものと同じであり、これらの詳細には同じ参照番号を付され、再び詳細には説明されない。
【0029】
図5及び
図6を両方参照して、リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナ100のリファイナディスク30;30
*に使用するためのリファイナセグメント101;201が提供される。前記リファイナセグメント101;201は、リファイニングセグメント101;201の内周18a、外周18b、第1側縁19a、及び第2側縁19bによって区画される活性面2を有する。リファイナセグメント101;201がリファイナディスク30,30
*に取り付けられるとき、内周18aは、リファイナディスクの中心Cに最も近く位置決めされ、一方、外周18bは、中心Cからさらに離れて、すなわち、中心Cから内周18aよりも大きい半径方向距離に配置される。この例において、リファイナセグメントは、開いた中心を有する円形のセクタである。これにより、リファイナディスク30,30
*の表面を覆うために、複数のそのようなリファイナセグメントが必要とされる。しかしながら、リファイナセグメントは別の幾何学的形状を有することもできる。
【0030】
活性面2は、リファイナセグメントの外周18bに向かって活性面2上に延在する複数のバー10を備え、それによって、複数の溝19が形成され、各溝19は2本の隣接するバー10の間に設けられる。リファイナ内でリファイニングされる材料は、溝19に沿ってリファイナセグメント101;201の外周18bに向かって搬送される。少なくとも複数のバー10は、互いに略平行に延びている。少なくとも複数のバー10は、リファイナセグメントの内周18aと外周18bとの間である方向に沿って活性面2上に延びてもよい。しかしながら、これはすべてのバー10に当てはまるとは限らない。活性面2は複数のダム11をさらに備え、前記ダム11の各々は、2本の隣接するバー10の間に延在する。溝19は、溝19の延長部に沿って分離された1つ又は複数のダム11を備えてもよい。これにより、ボックス23と呼ばれる本質的に箱形の領域が、隣接するバー10及び少なくとも2個のダム11によって画定される領域に形成される。溝19は1つ又は複数のボックス23を備えてもよく、ボックス23は、同じ溝19内に設けられた2本の隣接するバー10及び2個の隣接するダム11によって区画される。最終ボックス23a及び最終ダム11aは、同じ溝19内に設けられた、候補となる他のボックス23及びダム11と比較してリファイナセグメントの外周18bに最も近く位置付けされるボックス23及びダム11として、溝19に対してそれぞれ画定される。唯一のボックス23又は唯一のダム11が設けられている溝19において、これはそれぞれ最終ボックス23a及び最終ダム11aとして画定される。
【0031】
本発明によれば、少なくとも3本のバー10は、最終ボックス流体接続部21を備え、最終ボックス流体接続部21は、このバーの一方の側の最終ボックス23aをこのバー10の他方の側の最終ボックス23aに接続するためにバー10を通って設けられた流体接続部であり、最終ボックス流体接続部21を介してこれら2個の最終ボックス23aの間で圧力が均等化されることができるようにしている。前記最終ボックス流体接続部21は、このバー10から別の隣接するバー10まで延在する最も近い最終ダム11aから距離0.0~15.0mmでバー10に設けられる。本発明の別の実施形態において、最終ボックス流体接続部21は、このバー10から別の隣接するバー10まで延在する最も近い最終ダム11aから距離0.0~10.0mmでバー10に設けられる。
【0032】
上述のように、材料をリファイニングするためのリファイナで使用される場合、リファイナセグメントに圧力ピークが存在する。圧力ピークは、最終ボックス23aのどこかに位置する。溝19内の最終ダム11aは、最終ダム11aを接続するバー10の区画12と共に、2枚のリファイナディスク30,30
*の間の圧力を、リファイナハウジング圧力と同じであるリファイナセグメント出口における圧力から分離している障壁を構成する。この障壁は圧力降下線13aと呼ばれ、
図5では点線13aで示されている。本発明に係る最終ボックス流体接続部21がなければ、圧力は各最終ボックス23a内で個別であり、圧力降下線13aにわたる摩耗及び漏れのリスクは、最も高い圧力を有する最終ボックス23aにおいて最も高くなる。少なくとも複数のバー10に最終ボックス流体接続部21を含めることにより、最終ボックス23a内の圧力は、少なくとも複数の最終ボックス23aの間で均等化され、これは好適である。より均等化された圧力では、最高圧力はより小さくなり、リファイナセグメントにわたる摩耗は、より均一に分散される。
【0033】
図5に示される実施形態において、最終ボックス23aの一部であるすべてのバー10は、最終ボックス流体接続部21を備える。例えば、リファイナセグメントの内周18aのより近くに複数のより短いバーが設けられている
図5に示されるように、最終ボックス23aの一部ではない他のバーがリファイナセグメントに存在してもよい。これにより、リファイナセグメント101の外周18bに達していないそのようなバーは、流体接続部を必要としない。さらに、
図5に示されているが、外周18bに達し、かつ最終ボックス23aの一部であるすべてのバー10は、最終ボックス流体接続部21を備える必要はない。本発明によれば、少なくとも3本のバー10が最終ボックス流体接続部21を備える。本発明の一実施形態において、リファイナセグメントに設けられたバー10の総数の少なくとも半分に対応する複数のバー10が、最終ボックス流体接続部21を備える。本発明の別の実施形態において、最終ボックス23aの一部である少なくとも1つおきのバー10が、最終ボックス流体接続部21を備える。本発明のまた別の実施形態において、少なくとも3本の隣接するバー10は各々、最終ボックス流体接続部21を備える。本発明のまた別の実施形態において、少なくとも5本の隣接するバー10は各々、最終ボックス流体接続部21を備える。
【0034】
本発明の複数の実施形態において、前記最終ボックス流体接続部21は、それが設けられたバー10の長さ延長部に沿って幅0.1~5.0mmを有し、それが設けられたバー10の上面から深さ0.1~20.0mmを有する。
【0035】
図6は、本発明に係るリファイナセグメント201の別の実施形態を示す。詳細の多くは、
図5に関連して説明した実施形態の詳細と同じであり、同じ参照番号を付され、再び説明されない。本発明のこの実施形態において、隣接する溝19に設けられた少なくとも4個の最終ダム11aは、滑らかな曲線に沿って設けられた連続ダムを共に形成するように配置される。したがって、この連続ダムは、
図5のリファイナセグメント101に設けられた圧力降下線13aとは対照的に、この場合には滑らかな曲線に沿って設けられた圧力降下線13bを構成する。これにより、
図5aに示されるように、リファイナセグメント101の圧力降下線13aの角部、すなわち、最終ダム11aと、この最終ダム11aを別の最終ダム11aに接続するバーのセグメント12との間の角部に設けられる可能性のある弱点が回避されることができる。そのような角部は、圧力差の影響をより受ける可能性があり、また、より多くの摩耗にさらされる可能性があり、したがって、そのような角部では、他の位置よりも頻繁に漏れが始まる可能性がある。
図6に示されるリファイナセグメント201による滑らかな曲線に沿った連続ダムは、そのような角部を備えず、これにより、より少ない弱点を備える。さらに、最終ボックス流体接続部21は、
図6に示されるような構造で、圧力降下線13bの非常に近くに容易に設けられることができる。最終ボックス流体接続部21は、圧力降下線13bに対応するが、圧力降下線13bよりも数ミリメートルだけ内周18aの近くに配置された線又は曲線に沿って、バー10に設けられることができる。一実施形態において、圧力降下線13bと最終ボックス流体接続部21の位置との間の距離は0~15mmであり、別の実施形態において、該距離は0~10mmである。最終ボックス流体接続部21を圧力降下線13bの近くに配置することによって、圧力ピークが最終ボックス流体接続部21と圧力降下線13bとの間に位置付けされるのが回避されることができるか、又は少なくともリスクが大幅に低減されることができる。これにより、圧力の均等化がより効果的になる。
【0036】
図6に示される実施形態において、滑らかな曲線に沿って設けられた連続ダムを形成するように配置される8~9個の最終ダム11aがある。しかしながら、連続ダムを形成するように配置される最終ダム11aの数は変更されることができる。本発明によれば、少なくとも4個の最終ダムが、滑らかな曲線に沿って設けられる連続ダムを形成するように位置付けされる。
【0037】
本発明によれば、本発明に係る少なくとも1個のリファイナセグメント101;201を備えるリファイナディスク30,30*も提供される。前記リファイナディスク30,30*は、ロータディスク又はステータディスクとすることができる。本発明によれば、リグノセルロース材料をリファイニングするためのリファイナ100も提供される。前記リファイナは、本発明に係るリファイナセグメント101;201を少なくとも1つ備えるリファイナディスク30,30*を備える。
【符号の説明】
【0038】
1,101,201 リファイナセグメント
2 活性面
10 バー
11,11a ダム
12 セグメント
13a,13b 圧力降下線
14 供給チャネル
15 回転シャフト
16 軸受
17 中央プレート
18a 内周
18b 外周
19 溝
19a 第1側縁
19b 第2側縁
21 最終ボックス流体接続部
23 ボックス
23a 最終ボックス
26 ハウジング
30,30*,40 リファイナディスク
31 第2ハウジング
32 入口
100 リファイナ
【外国語明細書】