IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハーの特許一覧

特開2022-151707医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム
<>
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図1
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図2
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図3
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図4
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図5
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図6
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図7
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図8
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図9
  • 特開-医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151707
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】医療器具およびそのような器具を製造するための方法およびモジュール式システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022037708
(22)【出願日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】21164843
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・カウップ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・ボブ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK15
4C160KK19
4C160KK47
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善された電気外科用器具、そのような器具を提供するためのモジュール式システム、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】何度も滅菌することができる器具11は、ハウジングとして構成されたハンドルピース12、13を備える。ハウジングは、空隙なく突き合わせ継手において互いに接合されたハウジングシェル(27から33)からなり、その内部は、鋳造コンパウンドで完全に充填される。器具11は、汚染されにくく、容易に滅菌可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に熱滅菌可能な器具(11)である、電気外科用器具(11)であって、
複数のハウジングシェル(27~33)から組み立てられ、内側部分(22)を取り囲むハウジング(21)を備える、少なくとも1つのハンドルピース(12、13)を有し、
前記内側部分(22)と前記ハウジング(21)との間に、鋳造コンパウンド(35)で充填されるすき間(34)が形成される、電気外科用器具。
【請求項2】
前記内部(34)が、空気溜まり無く前記鋳造コンパウンド(35)で完全に充填されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
少なくとも1つの電気構成要素(19、47)が、前記すき間(34)内に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の器具。
【請求項4】
前記ハウジングシェル(27~33)が、前記鋳造コンパウンド(35)よりも剛性の高いプラスチックからなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記ハウジングシェル(27~33)が、物質結合方式で互いに接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記ハウジングシェル(27~33)が、それぞれ均一な壁厚を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記内側部分(22)が、金属からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記器具(11)が、少なくとも1つの電極(16)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記電極(16)が、前記内側部分(22)から絶縁されていることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記電極(16)および前記内側部分(22)が、互いに電気的に接続され、一体部分として実現されることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項11】
ヒンジ式に互いに支持された2つのハンドルピース(12、13)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
ハウジング(21)上の同じ位置でも使用可能な異なる構成のハウジングシェル(33a、33b、33c)のストックを有する、請求項1に記載の医療器具を提供するためのモジュール式システム。
【請求項13】
前記異なるように構成されたハウジングシェル(33a、33b、33c)が、ハンドルシェルであることを特徴とする、請求項12に記載のモジュール式システム。
【請求項14】
医療器具(11)を製造するための方法であって、少なくとも1つの内側部分(22)および少なくとも2つのハウジングシェル(27~33)が設けられ、互いに接合され、それにより、前記ハウジングシェル(27~33)は、前記内側部分(22)が配置された内部(34)を取り囲み、その後前記内部(34)は、鋳造コンパウンド(35)で充填され、前記鋳造コンパウンド(35)は硬化される、方法。
【請求項15】
継手(36、37)が、前記ハウジングシェル(27~33)の間に形成され、前記継手(36、37)が、前記鋳造コンパウンド(35)で完全に充填されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具、そのような器具を製造するためのモジュール式システム、ならびに本発明による器具を提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に使用される医療器具は、多かれ少なかれ互いに解放不能に接続された複数の構成要素からなることが多い。例えば、国際公開第00/27294号は、はさみのタイプで構成された、人体または動物の体内の組織を切断するための医療器具を開示している。はさみは、金属からなり、電気絶縁体が設けられたはさみアームを備える。
【0003】
スイッチング要素およびさらなる要素が内部に配置されたハウジングを備えるオートクレーブ可能ハンドルが、独国特許出願公開第102018004244号明細書から知られている。スイッチング要素は、周囲のシーリング要素によってハンドルハウジング内にシールされている。完全な自動清掃を可能にするために、このハンドルのハウジングには継手がなく、それによってハンドルハウジング内にばね弾性的に押し込むことができるスイッチング要素が、設けられる。周囲のシーリングは、オートクレーブ可能な材料から形成され、可動スイッチング要素と剛性ハンドルハウジングとの間のギャップをシール方式で架橋する。したがって、ハンドル内に形成された中空空間は、外部からほとんどアクセスできない。
【0004】
二部式ハウジングを有するオートクレーブ可能な遠隔制御装置が、独国特許出願公開第102004041871号明細書から知られており、この装置の内部には、シリコーンおよび鋳造コンパウンドでコーティングされた基板が配置されている。遠隔制御装置を製造するために、最初に構成要素を備えた基板が鋳造コンパウンド内に気密鋳造され、それによって遠隔制御装置の機械的要素が鋳造コンパウンドからわずかに突出する。続いて、上部が鋳造コンパウンドに接着結合され、画定された空気溜まり部によって、少なくとも1つの押しボタンが囲まれる。
【0005】
電気コイルを有する滅菌可能な歯科用ハンドルが、独国特許出願公開第69418799号明細書から知られており、このハンドルは、組み立てられた状態で任意の電流滅菌方法によって滅菌されるように構成される。それにより、ハンドルは、蒸気、化学物質または熱などの滅菌流体がハンドル全体のより迅速かつより徹底的な滅菌のために内部に入ることができるように、ハウジング要素またはシェルならびにコイルユニットが、コイルユニットの前端部で組み立てられた状態で緩く嵌合するように構成される。このために、ハンドルの内部に延びる1つまたは複数の開口部または空隙が、ハンドルに設けられる。
【0006】
組織を切断するための電気外科用器具が、欧州特許出願公開第1769764号明細書および米国特許第9498279号明細書それぞれから知られており、この器具は、2つのはさみアームを備えている。はさみアームは、金属部分がそれぞれ内部に配置された中空空間を囲むハウジングとして構成される。ハウジングは、互いに接着結合することができるハウジングシェルから組み立てられる。
【0007】
欧州特許出願公開第2630982号明細書は、器具に流体を供給するための流体コネクタを説明している。コネクタは、個々のラインが貫通して延びるハウジングとして構成される。コネクタの内部は、鋳造コンパウンドで満たされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気外科用器具には多くの要件が課されている。信頼できるしばしば繰り返される滅菌能力とは別に、器具およびその上に設けられる機能ユニットの幾何学的精度および機械的強度もしばしば重要である。例えば、器具に設けられた電極は、互いに対して、またはヒンジなどの他の要素に対して正確に配置されなければならない。また、どの場所でも十分な厚さである均一な絶縁が重要であることが多い。
【0009】
これを起点にして、本発明の目的は、改善された電気外科用器具、そのような器具を提供するためのモジュール式システム、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の器具、請求項12に記載のモジュール式システム、および請求項14に記載の方法によって解決される。
【0011】
本発明による器具は、複数のハウジングシェルを有するハウジングからなる少なくとも1つのハンドルピースを備える。ハウジングシェルは、(少なくとも1つの)内側部分、たとえば金属インレイが内部に配置された内部を取り囲む。内側部分とハウジングとの間には、空気溜まりなく鋳造コンパウンドで充填されるすき間が、形成される。
【0012】
この概念により、電気外科用器具の簡単で同時に正確な製造を提供することができる。内側部分、例えば安定化金属インレイ、繊維複合材料、特に繊維強化プラスチックなどで作られたインレイをハウジングシェルに挿入し、次いでオーバーモールドすることができ、それによって、好ましくは容易に流動し、空隙を埋める鋳造コンパウンドが、使用される。したがって、使用される内側部分の転位の危険なしに無圧力で鋳造コンパウンドを導入することができる。金属部分、ケーブルまたは他の機能要素を射出成形型に挿入し、延性プラスチックでその部分をオーバーモールドすることとは異なり、射出成形中に高圧(最大300バール)で射出されたプラスチックによる内側部分(金属インレイ、ケーブル、スイッチなど)の変位または押しのけに起因する廃棄部分の製造の危険性は、本発明による器具にも本発明による方法にも存在しない。使用される内側部分は、必要に応じて、後にアクセス可能に配置され、機能部分として保持される場所に保持することができる。このようにして、例えば、長手方向の金属部分が遠位端からヒンジ領域を介して近位端まで延びる、はさみまたは凝固鉗子のジョーを製造することができる。金属部分は、複数のハウジングシェルから組み立てられたハウジングに最初に挿入され、例えばヒンジ上または後に電極として機能するアクセス可能な領域上に配置され、その後、鋳造コンパウンドがハウジング内に充填され、その中で硬化される。
【0013】
鋳造コンパウンドが内部に完全に充填されるため、ハウジングの内部の細菌、汚れまたは他の汚染が、回避される。空隙または中空空間は、完全に満たされている。これにより、滅菌が著しく容易になる。内部への静止液体鋳造コンパウンドの導入は、ボウル形状のハウジング部分に最初に液体鋳造コンパウンドを充填し、次いでインレイを挿入し、その後ハウジング部分を互いに接合することで行うことができる。しかし、好ましくは、鋳造コンパウンドは、器具の組み立て後に器具の内部にのみ充填される。この目的のために、ハウジングシェルの1つまたは複数内に充填開口部を設けることができ、それを介して鋳造コンパウンドが内部に挿入される。好ましくは、鋳造コンパウンドは、ハウジングシェルと内側部分とを接着結合によって接続する硬化中に収縮しない化合物、例えば鋳造樹脂である。
【0014】
好ましくは、ハウジングシェルは、鋳造コンパウンドよりも剛性の高いプラスチックからなる。鋳造コンパウンドは、その弾性のために、ハウジングシェルと金属からなる内側部分との間の異なる熱膨張係数を補償することができる。オートクレーブ処理中の熱応力によってハウジングシェルと内側部分との間に、細菌が侵入する可能性がある亀裂または空隙は、存在しない。したがって、器具を確実に何度も滅菌することができる。
【0015】
好ましくは、ハウジングシェルは、それらの縁部で互いに接続され、ここでは、ハウジングシェルは、空隙なしに物質結合によって互いに接触する。好ましくは、この接触は、解放不能な接続、すなわち非破壊的に解放することができない接続である。この目的のために、ハウジングシェルを接着剤によって互いに接着結合することができ、それによって接着接合部が、外部にシールされる。また、鋳造コンパウンドを使用して、ハウジングシェルを互いに接着結合することができる。代替的または追加的に、ハウジングシェルは、例えば、レーザ溶接、超音波溶接、摩擦溶接などによって、突き合わせ継手で互いに溶接することができる。
【0016】
本発明による概念は、例えば射出成形法によって、均一な壁厚をそれぞれ有するハウジングシェルの構成を可能にする。したがって、ハウジングシェルを高精度に製造することができる。ハウジングシェルの内側部分と外面との間の異なる距離は、鋳造コンパウンドによって架橋される。付加製造技術によってハウジングシェルを製造することも可能である。特に、同じ内側部分を有するが、必要に応じて異なるハウジングを有する器具を提供することができる(例えば、異なるサイズの手用、または右きき用および左きき用の器具)。
【0017】
本発明による概念は、ハウジングシェルがそれらの固有の安定性に起因してハンドルピースの全剛性を支持するので、著しく剛性のハンドルピースを提供する。したがって、ハウジングシェルは、作動力の伝達に使用することができる。好ましくは、鋳造コンパウンドを硬化させた後、ハウジングと好ましくは金属からなる内側部分との間の力伝達接続部を形成する。
【0018】
内側部分は、外部に対して完全に電気的に絶縁することができ、電気的機能を有さなくてもよい。また、内側部分の一部として器具に設けられた電極を形成することも可能である。本発明による構成概念は、両方を可能にする。
【0019】
本発明による器具は、互いにヒンジ式に支持された、上記で説明した原理に従って構成された2つのハンドルピースを備えることができる。例えば、これらは、鉗子またははさみのジョーとすることができる。
【0020】
本発明による概念は、さらに、異なる器具をそれぞれのストックの様々な異なるハウジングシェルから構成することができるモジュール式システムの構成を可能にする。例えば、これらの異なる器具は、1つまたはいくつかのハウジング特徴に関してのみ互いに区別する。これらは、それぞれ器具のハウジング全体に別個の射出成形金型を設ける必要なく製造されるため、製造労力が低減される。例えば、様々なハウジング機構を備えるハウジングシェルは、付加製造によって作製することができる。次いで、ハウジングは、少なくとも1つの付加製造されたハウジングシェルと、射出成形によって製造された少なくとも1つのハウジングシェルとの組み合わせである。付加製造方法は、特に、鋳造ダイなしで動作する方法、例えば3D印刷、選択的レーザ硬化、選択的レーザ焼結などである。しかし、ハウジングシェルのすべてを射出成形によって、またはハウジングシェルのすべてを付加製造方式で製造することも可能である。一連の可変ハウジング特徴を有するハウジングシェルが鋳造ダイなしで付加製造されるのではなく、射出成形ダイによって製造される場合でも、効率的な利点が得られる。例えば、異なるハンドピースの大きさを有する凝固鉗子を、示された方法のいずれかで提供することができる。
【0021】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は、特許請求の範囲ならびに図面および関連する説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電気手術器具の概略斜視図である。
図2図1の器具の部分的な分解斜視図である。
図3図1による器具のジョーの断面図である。
図4図3による器具の部分的な拡大断面図である。
図5図1による器具の2つのハウジングシェル間の突き合わせ継手の変形実施形態の図である。
図6図1による器具用のケーブルが接続された電極の図である。
図7図1による器具の変形実施形態の遠位端セクションの断面図である。
図8】同じタイプであるが、異なるハンドピースサイズを有する異なる器具を提供するためのモジュール式システムのハンドル領域のためのハンドルシェルの概略斜視図である。
図9】同じタイプであるが、異なるハンドピースサイズを有する異なる器具を提供するためのモジュール式システムのハンドル領域のためのハンドルシェルの別の概略斜視図である。
図10】同じタイプであるが、異なるハンドピースサイズを有する異なる器具を提供するためのモジュール式システムのハンドル領域のためのハンドルシェルの別の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、ここでは一例として、直視下手術用の焼灼鉗子として構成された器具11が示されている。しかし、以下で説明する器具11の構成および構造原理によれば、特に組織はさみまたは凝固および切断器具の組み合わせなどの、直視下手術用の他の器具を構成することもできる。特に、これらは、外科的効果を達成するために器具によって組織内に電流が導入される間の電気外科的使用のための器具である。本発明によって構成された器具11は、好ましくは再使用可能な滅菌可能な器具として構成される。
【0024】
器具11は、少なくとも1つ、または図1に示すように、ヒンジ式に互いに支持された2つのジョーとして図1による器具11内に構成された2つ(またはそれ以上)のハンドルピース12、13を備える。ハンドルピース12、13は、ヒンジ14上でヒンジ式に互いに支持される。ヒンジ14は、ハンドルピース12、13に対して横方向に配向された(1つだけの)ヒンジ軸15を画定する。
【0025】
器具11は、遠位方向にヒンジ14から離れるように延びるこのハンドルピース12、13のそれぞれの部分に配置された、少なくとも1つ、好ましくは複数、例えば2つの電極16、17を備える。電極16、17は、互いに絶縁されており、必要に応じて、電極16、17と図示しない電気外科用発電機との間の接続を確立するケーブル18を介して電流が供給される。ケーブル18は、2つのハンドルピース12、13の一方の近位端から発することができる。他の実施形態では、それぞれのハンドルピース12、13にそれぞれの絶縁線(ケーブル)を配置することができる。
【0026】
器具11は、追加の電気または電子構成要素を備えることができる。最も簡単な場合には、電気スイッチ19が、ハンドルピース12、13の一方、例えば、好ましくはケーブル18が配置されたハンドルピース13に設けられ、スイッチ19は、電極16、17に向かう電流の流れを可能にするかまたは阻止するように構成される。この任意選択的に設けられたスイッチ19は、例えば、可動プランジャ20を備える押しボタンのタイプで構成することができる。プランジャ20は、他方のハンドルピース12に面することができ、ハンドルピース12がプランジャ20に当接して押し下げられるとすぐに作動するように配置することができる。
【0027】
2つのハンドルピース12、13は、ハンドルピース12に基づいて説明した原理に従って構成される。ハンドルピース12は、内側部分22を取り囲む複数の部分からなるハウジング21からなる。例えば、内側部分は、金属で構成され、器具11の遠位端からその近位端まで延びることができる。例えば、内側部分22は、ヒンジ14の領域内に開口部23を備える2つのアームレバーとして構成される。この内側部分22の遠位端は、両方の側面を延びる溝25によって支持セクション26から分離された電極セクション24を備えることができる。
【0028】
ハウジング21は、図3に示すように、内側部分22が配置された内部34を取り囲むように空隙なく互いに接合された複数のハウジングシェル27から31ならびに32、33(図1および図2)からなる。
【0029】
ハウジングシェル27から33は、好ましくは、プラスチック、例えば、外側が滑らかであり、例えば130℃または最大170℃までの通常の滅菌温度に対して耐熱性がある剛性プラスチックで作られる。ハウジングシェル27から33は、射出成形によって製造することができ、ほぼ均一な壁厚を含むことができる。あるいは、ハウジングシェル27から33の一部または全部は、シェル形状を画定する鋳造ダイを使用せずに付加製造プロセスによって製造することができる。ハウジングシェル27から33用のプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、半結晶性熱可塑性構造材料、例えば、ポリフタルアミド(PPA)、ガラス繊維強化材を含むまたは含まないポリアリールアミド(PARA)に基づくもの、メタクリレート系のフォトポリマー、または少なくとも140℃まで耐熱性である他のプラスチックが適している。
【0030】
ハウジングシェル27から33によって制限された内部34は、鋳造コンパウンド35で充填されることが好ましい。この鋳造コンパウンド35は、内部34を、好ましくは完全に空隙なく充填する。これはまた、単一の内側部分22の代わりに、互いに隣接して配置されるか、または次々に配置される複数の内側部分が設けられる場合にも当てはまる。ハウジングシェル27から33のプラスチック材料との物質結合接続を確立する鋳造コンパウンド35としては、任意の耐熱性の硬化性プラスチックが適している。特に、鋳造コンパウンド35は、特に低温硬化性プラスチックである場合、ハウジングシェル27から33と同じプラスチックからなることができる。鋳造コンパウンド35はまた、硬化性エポキシ樹脂接着剤またはエポキシ樹脂鋳造コンパウンド、シアン接着剤、または一般に少なくとも140℃の温度抵抗を有する任意の接着剤とすることもできる。
【0031】
ハウジング21は、外部に向かって完全に閉じていることが好ましい。これにより、ハウジングシェル27から33は、図1に破線で示され、図1以外でも図3から図5から明らかなように、突き合わせ継手36、37において互いに当接し、好ましくは、突き合わせ継手36、37において互いに解放不能に接続される。例えば、使用される鋳造コンパウンド35は、突き合わせ継手37に基づく図4に示される例として、液体未硬化状態で突き合わせ継手に入るのに適している。ハウジングシェル27から33の互いのより良好でより緊密な接続のために、ハウジングシェル29、30の面38、39(ならびに他のハウジングシェルの面)を輪郭付けることができる。例えば、面38、39には、鋳造コンパウンド35の挿入中に鋳造コンパウンド35で充填される長手方向溝40、41を設けることができる。鋳造コンパウンド35の硬化後、ハウジングシェル全体を突き合わせ継手37において互いに接着接続する。溝40、41の内側には、器具11の内部に依然として存在し得る可能性のある空隙への液体および細菌の侵入に対するバリアが形成される。
【0032】
突き合わせ継手37(ならびにさらなる突き合わせ継手)の構成は様々であることができ、ハウジングシェルの使用される接続技術に依存することができる。例えば、突き合わせ継手37は、図5に示すようにくさび形とすることができ、一方では簡単な継手を可能にし、他方では突き合わせ継手37を鋳造コンパウンドで簡単に充填するために、水平継手に対して傾斜して配置することができる。
【0033】
これまでに説明した実施形態では、ハウジングシェル27から33は、鋳造コンパウンド35によって互いに接着接続される。しかし、最初に接着剤によって突き合わせ継手36、37(および他のすべて)を別個に接着接続し、その後にのみ鋳造コンパウンドを内部34に充填することも可能である。突き合わせ継手36、37を他の手段によって閉じ、したがって、例えば超音波溶接、レーザ溶接、摩擦溶接などによってハウジングシェル27から33を互いに接続することがさらに可能である。
【0034】
ハウジングシェル27から33の構成は、異なって構成される。例えば、ハウジングシェル31(図2)は、支持セクション26を保持するように構成することができるが、それにより、電極セクション24は覆われないままになる。したがって、ハウジングシェル31は、支持セクション26上で移動される靴として構成することができる。これにより、ハウジングシェル31の上縁部42、43は、溝25内に嵌合する内側に突出するストリップを含むことができる。追加のハウジングシェル27、28が、器具11のヒンジ領域を包み込み、形成することができる。例えば、ハウジングシェル27は、平坦なU字形の断面と、遊びの有無にかかわらず開口部23に嵌合するほぼ中央に配置された延長部44とを含むことができる。延長部44は、ヒンジ開口部45を画定することができ、ヒンジ開口部45と整列した開口部46が設けられる。
【0035】
ハウジングシェル27、28は、内側部分22の上下に配置された突き合わせ継手を画定する。ハウジングシェル29、30は、ハウジングシェル27、28に近位方向に隣接して設けられ、その突き合わせ継手36、37は水平である。ハウジングシェル32、33は近位端に配置され、開口部を取り囲み、したがって指グリップとして構成される。
【0036】
ハウジングシェル27から33は、ハウジング22の1つの同じ位置に、異なるように構成されたハウジングシェルを備えるハウジングシェルセットを形成することができる。これは、図8図10のハウジングシェル33の例として示されている。ハウジング21、したがって器具11の近位端に配置されるのに同様に適した異なるハウジングシェル33a、33b、33cが、そこに示されている。ハウジングシェル33a、33b、33cは、例えばサイズおよび/または形状において詳細に区別する。しかし、これらのハウジングは同様に、ハウジングシェル28、30と隣接するのに適している。このようにして、異なる端部形状を有する、または異なる指サイズ用の器具11を簡単な方法で製造することができるハウジングシェル構造セットが、提供される。このようにして、ハンドルピース12、13の異なる長さ、または他のハウジング特徴に関する違いも実現することができる。
【0037】
異なる形状のハウジングを実現するために、他のハウジングシェル27から31に代替の形態を設けることもできる。
【0038】
提供される器具11の変更が可能である。図2による器具11では、電極17(および16)は内側部分22、すなわちその電極セクション24によって実現されるが、電極16(または17)はまた、図6および図7から明らかなように、内側部分22から電気的に絶縁された別個の金属部分として構成することもできる。グリッピングピース13を通ってスイッチ19および/またはケーブル13まで内側部分22に沿って延びる絶縁線47を電極に接続することができる。
【0039】
器具11は、以下のように提供される。
【0040】
まず、内側部分22およびハウジングシェル27から33が、互いに接合される。ハウジングシェル27から33に対して、例えば図8から図10によるハウジングシェル33aから33cのような代替のハウジングシェルが提供されていれば、所望のハウジングシェルは、このストックから選択される。ハウジングシェルを接合した後、作成された内部34は、鋳造コンパウンド35で完全に充填され、鋳造コンパウンドは、その後、内部34の内側で硬化される。鋳造コンパウンド35の硬化後、器具11は完成し、すぐに使用できる。
【0041】
ハウジングシェル27から31は、同じプラスチック製、または異なるプラスチック製とすることができる。特に、例えば、ハウジングシェル31に、他のハウジングシェルとは異なるプラスチックを使用することができる。ハウジングシェル27、28についても同様である。しかし、ハウジングシェル27から33は、同一のプラスチックで作ることもできる。好ましくは、これらは、耐熱性の滑らかなプラスチックからなる。鋳造コンパウンド35は、未硬化状態では薄く、硬化後にわずかに弾性であることが好ましい。好ましくは、鋳造コンパウンドは、ハウジングシェル27から33よりも大きい弾性を有する。これは、内側部分22およびハウジングシェル27から33を恒久的に空隙なく接続する。
【0042】
鋳造コンパウンド35の弾性ならびにその温度抵抗およびハウジング21の弾性により、器具11は、劣化を懸念することなく繰り返し熱滅菌することができる。
【0043】
何度も滅菌することができる器具11は、ハウジング21として構成されたハンドルピース12、13を備える。ハウジング21は、空隙なく突き合わせ継手において互いに接合されたハウジングシェル27から33からなり、その内部は、鋳造コンパウンド35で完全に充填される。器具は、汚染されにくく、容易に滅菌可能である。
【符号の説明】
【0044】
11 器具
12,13 ハンドルピース
14 ヒンジ
15 ヒンジ軸
16,17 電極
18 ケーブル
19 スイッチ
20 プランジャ
21 ハウジング
22 内側部分
23 開口部
24 電極
25 溝
26 支持セクション
27~33 ハウジングシェル
34 内部
35 鋳造コンパウンド
36,37 突き合わせ継手
38,39 面
40,41 溝
42,43 ハウジングシェル31の縁部
44 延長部
45 延長部44内のヒンジ開口部
46 ヒンジ開口部45と一致する開口部
47 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10