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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015172
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】往復動装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B65G47/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117852
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
3F044
【Fターム(参考)】
3F044AA01
3F044AB03
3F044AB22
3F044AB31
3F044CA01
3F044CA05
(57)【要約】
【課題】安価な設備コストで、所定の中間停止位置に確実に搬送物を移動して安定した位置決めすることができる往復動装置を提供する。
【解決手段】回転駆動軸に突設された回転アームと、回転アームに連結された鎖部材と、鎖部材の先端部が連結されて又は回転駆動軸の軸保持部が取付けられて搬送物を保持する保持体とを備え、回転アームの回転で鎖部材を巻き取り又は巻き戻すことで、保持体を往復移動させる往復動装置であって、鎖部材は、複数のリンク部材を備え、回転アーム、各リンク部材および保持体は、回動可能に連結する連結部で夫々連結され、各連結部は、回転駆動軸の回転軸心と互いに平行な回転軸心を夫々備え、回転アームが回転駆動軸から突出する方向が保持体の移動方向に平行となる所定の回転角度において、回転駆動軸の回転軸心および各連結部の回転軸心は、保持体の移動方向に平行な一平面上に配列する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸に半径方向に突設された回転アームと、基端部において前記回転アームに連結された鎖部材と、前記鎖部材の先端部が連結されて、または前記回転駆動軸の軸保持部が取り付けられて、搬送物を保持する保持体と、を備え、
前記回転アームの回転で前記鎖部材を巻き取りまたは巻き戻すことで、前記鎖部材の先端部と前記回転駆動軸との距離を接近離間させて前記保持体を往復移動させる往復動装置であって、
前記鎖部材は、複数のリンク部材を備え、
前記回転アーム、各前記リンク部材および前記保持体は、回動可能に連結する連結部で夫々連結され、
前記各連結部は、前記回転駆動軸の回転軸心と互いに平行な回転軸心を夫々備え、
前記回転アームが前記回転駆動軸から突出する方向が前記保持体の移動方向に平行となる所定の回転角度において、前記回転駆動軸の回転軸心および各前記連結部の回転軸心は、前記保持体または前記回転駆動軸の移動方向に平行な一平面上に配列する往復動装置。
【請求項2】
前記回転アームは、基体に前記軸保持部が固定された前記回転駆動軸に基端部が相対回転不能に連結され、
前記鎖部材を構成する前記リンク部材は、第一リンク部材と第二リンク部材とを備え、
前記回転アームと前記第一リンク部材とは、前記連結部としての第一連結部に回動可能に連結され、
前記第一リンク部材と前記第二リンク部材とは、前記連結部としての第二連結部に回動可能に連結され、
前記第二リンク部材と前記保持体とは、前記連結部としての第三連結部に回動可能に連結され、
前記回転アームが前記回転駆動軸から突出する方向が、前記保持体の前記移動方向に一致する前記回転角度が0度から180度回転する毎に、前記回転駆動軸、前記第一連結部、前記第二連結部および前記第三連結部の各回転軸心は、前記保持体の前記移動方向に平行な一平面上に配列する請求項1に記載の往復動装置。
【請求項3】
前記第一リンク部材は、前記第一連結部と前記第二連結部との間に、前記鎖部材が巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状の第一胴体部を備え、
前記第二リンク部材は、前記第二連結部と前記第三連結部との間に、前記鎖部材が巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状の第二胴体部を備え、
前記鎖部材が巻き取られた際に前記第一連結部に前記第三連結部が接触しないよう前記第一リンク部材よりも前記第二リンク部材が長く設けられている請求項2に記載の往復動装置。
【請求項4】
前記回転アームの前記回転角度が0度のときに、前記保持体の位置は、前記搬送物の移動を開始する開始端であり、
前記回転アームの前記回転角度が360度のときに、前記保持体の位置は、前記搬送物の移動を終了する終了端であり、
前記回転アームの前記回転角度が180度のときに、前記保持体の位置は、前記開始端と前記終了端との間の中間停止位置である請求項2または請求項3に記載の往復動装置。
【請求項5】
前記回転アームおよび前記第一リンク部材は、夫々長さの異なった複数種類が設けられ、異なった長さの前記回転アームおよび前記第一リンク部材を組み合わせることで、前記中間停止位置および前記終了端の位置を調整する請求項4に記載の往復動装置。
【請求項6】
前記回転駆動軸と少なくとも前記第一リンク部材との間には、前記第一リンク部材が前記回転駆動軸に巻き取られた際に、前記第一リンク部材の閉じる方向への過度な回転を規制して、前記回転駆動軸、前記第一連結部、前記第二連結部および前記第三連結部の各回転軸心を前記保持体の前記移動方向に平行な一平面上に配列する回転規制部が設けられている請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項7】
前記基体と少なくとも前記第一リンク部材との間には、前記回転駆動軸に前記第一リンク部材が巻き取られる際に、前記第一リンク部材が前記回転駆動軸の半径方向外側に開くのを規制する開き規制部が設けられている請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項8】
前記第一リンク部材と前記第二リンク部材との間には、前記巻き取られる際に閉じる方向とは逆方向に前記第一リンク部材と前記第二リンク部材とが開くのを規制して、前記回転駆動軸、前記第一連結部、前記第二連結部および前記第三連結部の各回転軸心が、前記保持体の前記移動方向に平行な一平面上に配置する配置規制部が設けられている請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項9】
前記第一リンク部材と前記第二リンク部材との間には、前記第一リンク部材と前記第二リンク部材とに前記移動方向に平行な圧縮力が働いた際に、前記巻き取られる際に閉じる方向とは逆方向に開いた状態で前記第一リンク部材と前記第二リンク部材とを固定することで、前記第二連結部の前記回転軸心を前記保持体の前記移動方向に平行な一平面上から偏心させる偏心固定部が設けられている請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項10】
前記第二リンク部材の前記第三連結部に回転可能に連結するとともに、前記保持体に第四連結部で回動可能に連結する第三リンク部材をさらに備え、
前記回転アームの前記回転角度が540度に配置された際に、前記回転駆動軸、前記第一連結部、前記第二連結部、前記第三連結部および前記第四連結部の各前記回転軸心は、前記保持体の前記移動方向に平行な一平面上に配列する請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項11】
前記回転駆動軸は、インバータ制御モータで駆動する請求項2ないし請求項10のいずれか1項に記載の往復動装置。
【請求項12】
前記基体と前記保持体との間には、前記保持体を前記移動方向に沿って直線的に移動させる直進機構が設けられている請求項2ないし請求項11のいずれか1項に記載の往復動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復して動くことで搬送物を上下方向または横方向に移動させる往復動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤなどで運搬される搬送物を、上下方向または横方向に移動させる装置として、電動モータまたは油圧シリンダで直線的に伸縮するアクチュエータが一般的であった。
しかし、一般的に電動モータは停止位置の精度が劣るので、位置決め装置を別途に設ける必要があった。停止位置の精度が高い電動モータとしてサーボモータがあるが、高価であるとともに、複雑な制御を要するという問題があった。
また、油圧シリンダは、オイル漏れ、オイルの清掃管理などのメンテナンスが煩雑になるという問題があった。
そこで、以上の問題を解決するものとして、クランク機構を使用した往復動装置が考えらえた。
特許文献1には、クランク機構を使用した往復動装置が記載されている。この往復動装置は、機構が簡単であり、上昇端位置および下降端位置において、円盤状クランクの連結部と、搬送物を支持するアームの支点と、円盤状クランクの回転軸とが一直線上に並ぶため、円盤状クランクに回転力が発生せず、停止中に搬送物が降下することなく保持される(停止安定性が高い)。そして、停止中の回転角度に多少の差異が生じても、上下方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-37482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、円盤状クランク連結点の上昇端位置および下降端位置の間の途中で停止位置(中間停止位置)を設けたい場合には、別途回転防止装置が必要となる。回転防止装置としては、例えば、電動モータにブレーキ機構を付属させるものがあるが、ブレーキシューの摩耗や油の混入により停止動作が困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するために、安価な設備コストで、所定の中間停止位置に確実に搬送物を移動して安定した位置決めをすることができる往復動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る往復動装置は、回転駆動軸に半径方向に突設された回転アームと、前記回転アームに連結された鎖部材と、前記鎖部材の先端部が連結されて、または前記回転駆動軸の軸保持部が取り付けられて、搬送物の保持する保持体と、を備え、前記回転アームの回転で前記鎖部材を巻き取りまたは巻き戻すことで、前記鎖部材の先端部と前記回転駆動軸との距離を接近離間させて前記保持体を往復移動させる往復動装置である。
【0007】
そして、前記鎖部材は、複数のリンク部材を備え、前記回転アーム、各前記リンク部材および前記保持体は、回動可能に連結する連結部で夫々連結され、前記各連結部は、前記回転駆動軸の回転軸心と互いに平行な回転軸心を夫々備える。
【0008】
前記回転アームが前記回転駆動軸から突出する方向が前記保持体の移動方向に平行となる所定の回転角度において、前記回転駆動軸の回転軸心および各前記連結部の回転軸心は、前記保持体の移動方向に平行な一平面上に配列する。
【0009】
これによると、回転アームが回転駆動軸から突出する方向が保持体の移動方向に平行となる所定の回転角度において、回転駆動軸の回転軸心および各連結部の回転軸心は、保持体の移動方向に平行な一平面上に配列する。そのため、搬送物および保持体により移動方向の力が加わった場合にも回転アームに回転力が生じない。
そのため、回転アームが回転駆動軸から突出する方向が保持体の移動方向に平行となる所定の回転角度において、移動方向に対する停止安定性が極めて高く停止中に搬送物が降下することなく保持される。そして、停止中の回転角度に多少の差異が生じても、移動方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を実施した第一実施形態の往復動装置の概要を示す正面図である。
図2】第一実施形態の往復動装置の側面図である。
図3】回転アームを90度回転させ保持体を開始端より移動させた状態を示す図である。
図4】回転アームを180度回転させ、保持体を中間停止位置に停止させた状態を示す図である。
図5】回転アームを270度回転させ、保持体を中間停止位置より移動させた状態を示す図である。
図6】回転アームを360度回転させ、保持体を終了端に停止させて状態を示す図である。
図7】第一実施形態の別例1を示す正面図である。
図8】第一実施形態の別例2を示す正面図である。
図9】第二実施形態の往復動装置を示す正面図である。
図10】第二実施形態の往復動装置において、回転アームを180度回転させ、保持体を第一中間停止位置で停止させた状態を示す図である。
図11】第二実施形態の往復動装置において、回転アームを360度回転させ、保持体を第二中間停止位置で停止させた状態を示す図である。
図12】第二実施形態の往復動装置において、回転アームを540度回転させ、保持体を終了端に停止させた状態を示す図である。
図13】第三実施形態の往復動装置を示す正面図である。
図14】第三実施形態の往復動装置において、回転アームを360度回転させた状態を示す図である。
図15】第四実施形態の往復動装置を示す正面図である。
図16】第五実施形態の往復動装置を振り分け設備に使用した設備概要を示す正面図である。
図17】第五実施形態の往復動装置を振り分け設備に使用した設備概要を示す側面図である。
図18】第五実施形態の往復動装置を振り分け設備において、保持体を中間停止位置に停止させて、搬送物を中段ローラコンベヤで搬出する状態を示す図である。
図19】保持体を中間停止位置に停止させて、搬送物を上段ローラコンベヤで搬出する状態を示す図である。
図20】第六実施形態の往復動装置を振り分け設備に使用した設備概要を示す図である。
図21】第七実施形態の往復動装置の概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.(第一実施形態)
本発明に係る往復動装置を昇降装置に具体化した第一実施形態について、図1図6を参照して以下に説明する。
図1は、本発明に係る往復動装置1を搬送物Wの位置を上下動することで搬送する昇降装置の概要を示している。
本明細書において、「移動方向」とは、弧を描いて移動する方向をいうものでなく、例えば開始端より中間停止位置まで直線的にあらわされる方向、および中間停止位置から終了端まで直線的にあらわされる方向をいうものとする。
回転駆動軸3の回転軸心3Cを通る「移動方向」に延在する中心線を想定した場合に、その中心線より遠い側を「外側」、近い側を「内側」というものとする。
本実施形態において、「移動方向に平行な一平面OP」は、図1において図の表裏方向(Y-Y方向)かつ垂直方向に延在する面である。
【0012】
1-1.往復動装置の構成
往復動装置1は、基体2(図2参照)に固定された回転駆動軸3と、回転アーム4と、鎖部材5と、保持体6とを備えている。
往復動装置1は、鎖部材5を回転駆動軸3周りに巻き取りまたは巻き戻すことで、搬送物Wを保持する保持体6と回転駆動軸3との距離を接近離間(本実施形態では上下動)させる。
【0013】
(基体)
基体2は、構造台21と、構造台21に設けられた開口部22と、支持柱23とを備えている。
構造台21は、例えば、水平方向に延在する鉄製の板材で形成されている。構造台21の開口部22は、長方形状に開口し、後述する鎖部材5が巻き取られる際に回転アーム4、と鎖部材5とが通過可能となっている。
構造台21の上面には、回転駆動軸3を備えた電動モータEMと、ガイドフレーム7と、回転角度センサREとが設けれられている。
【0014】
(回転駆動軸)
回転駆動軸3は、構造台21に例えばボルト部材等で固定された電動モータEMの出力軸が相当し、出力軸は、Y-Y方向(図1における裏面と表面とを貫く水平方向)に延在する回転軸心3Cを備えている。本実施形態において電動モータEMは、回転駆動軸3を回動自在に保持する軸保持部に相当する。電動モータは、電動モータEMとして、例えばインバータ制御モータを使用する。
【0015】
(ガイドフレーム)
ガイドフレーム7は、図1に示すように、構造台21の上面の電動モータに対向する位置に、所定の高さで垂直に対に立設された支持柱23の間に設けられている。ガイドフレーム7は、例えば鉄製で垂直に立設された長方形の板状に形成され、下辺に相当する部分は、円弧状の凹面7aが形成されている。この凹面7aには、後述する規制ガイドローラ8が接触して転動するように構成されている。ガイドフレーム7と規制ガイドローラ8とは、後述する開き規制部を構成する。
【0016】
(回転角度センサ)
回転角度センサREは、例えばロータリエンコーダであり、支持柱23間に横架された支持杆23aに固定されている。回転角度センサREは、電動モータEMの回転駆動軸3に対向する位置に設けられ、自在継手を介して回転駆動軸3の回転角度を検出する。検出された回転角度の信号は、図略の制御装置に送信される。
【0017】
(回転アーム)
回転アーム4は、例えば鉄製で、図1に示すように、先端部に向かって細くなる薄板の棒材で形成され、基端部が電動モータEMの回転駆動軸3(出力軸)に固定されている。回転アーム4の先端部には、回転アーム連結穴(図略)が穿設されている。回転アーム4の先端部には、回転アーム連結穴の外形と平行な円弧部42が形成されている。回転アーム連結穴には、連結軸421が挿入されている。回転アーム連結穴および連結軸421は、後述する第一リンク部材51の上端部の連結穴とともに第一連結部51cを構成する。連結軸421に対して回転アーム連結穴は、相対回転可能となっている。
【0018】
(鎖部材)
鎖部材5は、図1に示すように、第一リンク部材51と第二リンク部材52とを備えている。
(第一リンク部材)
第一リンク部材51は、図2に示すように、例えば鉄製の二枚の略コ字状の板部材51aで形成され、二枚の板部材51aは二か所の渡し部材51bで平行に重ね合わせるように連結されている。第一リンク部材51の基端部(上端部)は、回転アーム4と第一連結部51cで連結され、先端部(下端部)は後述する第二リンク部材52と第二連結部52cで連結されている。
【0019】
第一リンク部材51は、第一連結部51cと第二連結部52cとの間に連続して第一胴体部51eが形成されている。第一リンク部材51の基端部(上端部)は、回転アーム4の先端部の円弧部と重なる第一円弧部51c1が二枚の板部材51a夫々に形成されている。第一リンク部材51の基端部には、二枚の板部材51aに夫々連結穴が貫設され、連結穴には回転アーム連結穴(図略)に挿入される連結軸421が嵌挿されて固定されている。二枚の板部材51aの間は、回転アーム4または第二リンク部材52が挟まるように所定の幅で隙間が設定されている。連結軸421は、回転軸心5C1を有している。
【0020】
第一リンク部材51の先端部(下端部)は、基端部と同様に第一円弧部51c1が二枚の板部材51aの夫々に形成されている。第一リンク部材51には、二枚の板部材51aに夫々連結穴が貫設され、連結穴には連結軸521が嵌挿されて固定されている。第一リンク部材51の下端部の連結穴と連結軸521とは、後述する第二リンク部材52の上端部の連結穴とともに、第二連結部52cを構成する。連結軸521は、回転軸心5C2を有している。
【0021】
第一胴体部51eは、鎖部材5が回転駆動軸3に巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状に形成されている。詳しくは、第一胴体部51eの中央部は、鎖部材5が巻き戻された際に、搬送方向に平行となる直線状に形成され、第一胴体部51eの基端側および先端側は、夫々第一連結部51cおよび第二連結部52cに連続するように円弧状に形成され、全体として略コ字状に形成されている。
【0022】
(回転規制部)
回転アーム4の基端部の回転アーム4が突出する側の反対側であって、鎖部材5が巻き取られた際に、第一リンク部材51の内側面に対向する位置に被当接部43が突設されている。被当接部43は、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1とを結ぶ線と平行な被当接面を備えている。第一リンク部材51の第一胴体部51eの中央部より下方にずれた内側には、当接部54が内側に向かって突設されている。当接部54は、図2に示すように、二枚の板部材51aに跨って形成され、第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2とを結ぶ直線に平行な当接面を備えている。
【0023】
これらの被当接部43と当接部54とによって、回転規制部が構成されている。回転規制部は、第一リンク部材51が回転駆動軸3に巻き取られた際に、第一リンク部材51の閉じる方向への過度な回転を規制して、第一連結部51cと後述する第二連結部52cとの各回転軸心5C1,5C2を移動方向上の一平面OP上に配列させる。
【0024】
(開き規制部)
第一リンク部材51のY-Y方向に面する一方の面には、図2に示すように、規制ガイドローラ8が設けられている。規制ガイドローラ8は、円柱軸81とその周りを回動する回転円筒部82とを有している。例えば円柱軸81および回転円筒部82は鉄製で、形成されている。規制ガイドローラ8は、第一リンク部材51が巻き取られ回転アーム4の回転角度が180度となった場合に、回転駆動軸3の回転軸心3Cと規制ガイドローラ8の回転軸心8Cとが、水平方向の一平面OP上に並ぶように構成されている(図4参照)。
【0025】
規制ガイドローラ8は、第一リンク部材51が巻き取られる際に、ガイドフレーム7に対向するように第一連結部51cおよび第二連結部52cの回転軸心5C1,5C2に平行に構成されている。規制ガイドローラ8およびガイドフレーム7により主に開き規制部が構成される。開き規制部は、回転アーム4が回転する際に、第一リンク部材51が半径方向外側に開くことを防止する。
【0026】
第一実施形態では、図1に示すように、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1の距離をLとした場合、第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2との距離は、二倍となる2Lの距離に設定されている。
【0027】
(第二リンク部材)
第二リンク部材52は、例えば鉄製の略コ字状の板部材で形成されている。第二リンク部材52の基端部には、第二リンク部材の基端部を構成に含んで第二連結部52cが形成され、先端部には第二リンク部材の先端部を構成に含んで第三連結部53cが形成されている。第二連結部52cと第三連結部53cとの間には連続して第二胴体部52eが形成されている。第二リンク部材52の基端部は、第一リンク部材51の先端部の第一円弧部51c1と重なる第二円弧部52c1が形成されている。第二リンク部材52の基端側には、連結穴が貫設され、連結穴には第二連結部52cの連結軸521が回転可能に嵌挿されている。
【0028】
第二リンク部材52の先端部(下端部)は、第二リンク部材52の基端部と同様に第二円弧部52c1が形成されている。第二リンク部材52の先端部には、連結穴が貫設され、連結穴には連結軸531が相対回転可能に嵌挿されている。第二リンク部材52の先端部(下端部)の連結穴と連結軸531とは、後述する保持体6の二枚の台形の板部材61aに設けられた連結穴とともに、第三連結部53cを構成する。連結軸531は、回転軸心5C3を有している。
第二胴体部52eは、鎖部材5が回転駆動軸3に巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状に形成されている。詳しくは、第二胴体部52eの中央部は、鎖部材5が巻き戻された際に、搬送方向に沿って平行な直線上に形成され、基端部および先端部は、夫々第二連結部52cおよび第三連結部53cの連結穴夫々に連続するように円弧状に形成され、全体として略コ字状となっている。
【0029】
保持体6は、第三連結部53cにおいて第二リンク部材52と連結されている。保持体6(図略)は、例えば、X-X方向が開口した直方体の篭状に形成され、X-X方向から搬送物W(例えば鋳造品)の挿入・取出しが可能になっている。保持体6の上部には、上部連結部61が設けられている。上部連結部61は、下端部が保持体本体部62に例えばボルト締め等(図略)で固定された台形の板部材61aが二枚垂直にかつ相互に平行に立設されている。台形の板部材61aには連結穴が夫々穿設されている。
【0030】
二枚の台形の板部材61aの間には、第二リンク部材52の先端部(下端部)の連結穴が配置されている。保持体6の連結穴と第二リンク部材52の連結穴とが同心に配置され、これらの連結穴には連結軸531が挿入されている。連結軸531は、板部材61aの二つの連結穴(保持体)に端部が固定され、第二リンク部材52の連結穴に対しては相対回転可能になっている。
【0031】
(制御装置)
制御装置CDは、回転角度センサREの検知した回転アーム4の回転角度位置の信号に基づいて、インバータ制御モータである電動モータEMの回転を制御する。
【0032】
1-2.作動
往復動装置1の作動について図1図6に基づいて以下に説明する。
まず、往復動装置1は、図1に示すように、回転アーム4の先端が開始端SEに保持され、鎖部材5は巻き取られる前の吊下げられた状態となっている。回転アーム4が開始端SEに位置決めされた位置を回転アーム4の回転角度として0度とする。
【0033】
制御装置CDは、電動モータEMを駆動させて開始端SEより、図3に示すように、反時計回りに回転させる。回転角度は回転角度センサREにより検知され、回転アーム4が中間停止位置ISPである180度の位置に停止するように制御装置CDにフィードバックして制御する。
【0034】
回転アーム4が180度の位置に停止した際、図4に示すように、回転規制部の被当接部43と当接部54とは当接し、第一リンク部材51の閉じる方向への過度な回転を規制して、回転駆動軸3,第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cとの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を保持体6の移動方向に沿った一平面OP上に配列させる。保持体6の移動距離は、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離の二倍となる2Lとなっている。
【0035】
このように中間停止位置ISPにおいて、回転駆動軸3の回転軸心3C、第一連結部51cの回転軸心5C1および第二連結部52cの回転軸心5C2および第三連結部53cの回転軸心5C3が、保持体6の移動方向に沿った一平面OP上に配列する。そのため、搬送物Wおよび保持体6の荷重によって、回転アーム4に回転力が働かない。
【0036】
そのため、中間停止位置ISPにおいて、移動方向に対して停止した状態を保持する停止安定性が極めて高く、停止中に搬送物Wが降下することなく保持される。そして、停止中の回転角度に多少の差異が生じても、移動方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【0037】
次に、制御装置は、図5に示すように、電動モータEMを駆動させ、中間停止位置ISPよりさらに反時計回りに回転させる。回転角度は回転角度センサREにより検知され、図6に示すように、回転アーム4が終了端EEである開始端SEより360度の位置に停止するように制御装置にフィードバックして制御する。
【0038】
第一リンク部材51が巻き取られる際に、規制ガイドローラ8が、ガイドフレーム7の円弧状の内面7aに沿って転動する。これによって、回転アーム4が回転する際に第一リンク部材51が半径方向外側に向かって開くことなない。そのため、回転アーム4および第一リンク部材51が円滑かつ確実に回転する。終了端EEにおいては、保持体6の開始端SEからの移動距離は、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離の四倍となる4Lとなっている。
【0039】
このように終了端EEにおいて、回転アーム4が停止した場合、図6に示すように、回転駆動軸3の回転軸心3C、第一連結部51cの回転軸心5C1および第二連結部52cの回転軸心5C2および第三連結部53cの回転軸心5C3が、保持体6の移動方向に沿った一平面OP上に配列する。これにより、搬送物Wおよび保持体6の荷重によって、回転アーム4に回転力が働かない。
【0040】
そのため、終了端EEにおいて、移動方向に対する停止安定性が極めて高く停止中に搬送物Wが降下することなく保持される。そして、停止中の回転角度に多少の差異が生じても、移動方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【0041】
1-3.
上記の記載で明らかなように、第一実施形態の往復動装置1は、回転駆動軸3に半径方向に突設された回転アーム4と、回転アーム4の先端に連結された鎖部材5と、鎖部材5の先端部が連結されて搬送物Wを保持する保持体6とを備え、回転アーム4の回転で鎖部材5を巻き取りまたは巻き戻すことで、鎖部材5の先端部に連結された保持体6と回転駆動軸3との距離を接近離間させて、保持体6を往復移動させる。
【0042】
そして、鎖部材5は、複数のリンク部材(第一リンク部材51および第二リンク部材52)を備え、回転アーム4、各リンク部材51,52および保持体6は、回動可能に連結する連結部51c,52c,53cで夫々連結され、各連結部51c,52c,53cは、回転駆動軸3の回転軸心3Cと互いに平行な回転軸心5C1,5C2,5C3を夫々備える。
【0043】
回転アーム4が回転駆動軸3から突出する方向が保持体6の移動方向に平行となる所定の回転角度(例えば、0度、180度、360度)において、回転駆動軸3の回転軸心3Cおよび各連結部51c,52c,53cの回転軸心5C1,5C2,5C3は、保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。
【0044】
これによると、回転アーム4が回転駆動軸3から突出する方向が保持体6の移動方向に平行となる所定の回転角度(例えば、0度、180度、360度等)において、回転駆動軸3の回転軸心3Cおよび各連結部51c,52c,53cの回転軸心5C1,5C2,5C3は、保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。そのため、搬送物Wにより移動方向の力が加わった場合にも回転アーム4に回転力が生じない。
【0045】
これによって、回転アーム4が回転駆動軸3から突出する方向が保持体6の移動方向に平行となる所定の回転角度において、移動方向に対する停止安定性が極めて高く停止中に搬送物Wが降下することなく保持される。そして、停止中の回転角度に多少の差異が生じても、移動方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【0046】
また、第一実施形態の往復動装置1において、回転アーム4は、基体2に軸保持部(電動モータEM)が固定された回転駆動軸3(出力軸)に基端部が相対回転不能に連結され、鎖部材5を構成するリンク部材は、第一リンク部材51と第二リンク部材52とを備えている。
回転アーム4と第一リンク部材51とは、連結部としての第一連結部51cに回動可能に連結され、第一リンク部材51と第二リンク部材52とは、連結部としての第二連結部52cに回動可能に連結され、第二リンク部材52と保持体6とは、連結部としての第三連結部53cに回動可能に連結されている。
【0047】
また、回転アーム4が回転駆動軸3から突出する方向が、保持体6の移動方向に一致する回転角度0度から180度回転する毎に、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心5C1,5C2,5C3は、保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。
【0048】
これによると、回転アーム4が保持体6の移動方向に一致する回転角度が0度、180度および360度において、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心5C1,5C2,5C3は、保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。
【0049】
そのため、回転アーム4の回転角度が0度(開始端SE)、360度(終了端EE)ばかりでなく、その途中にある180度の中間位置(中間停止位置ISP)においても、保持体6および搬送物Wによって保持体6の移動方向に平行に働く力は、回転アーム4を回転させる力に寄与しない。従って、中間停止位置ISPにおいても保持体6の停止状態の安定性を向上させることができる。
【0050】
また、第一リンク部材51は、第一連結部51cと第二連結部52cとの間に、鎖部材5が巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状の第一胴体部51eを備え、第二リンク部材52は、第二連結部52cと第三連結部53cとの間に、鎖部材5が巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状の第二胴体部52eを備え、鎖部材5が巻き取られた際に第一連結部51cに第三連結部53cが接触しないよう第一リンク部材51よりも第二リンク部材52が長く設けられている。
【0051】
これによると、巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状の第一胴体部51eおよび第二胴体部52eによって、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cを一直線上に並べることができるので、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を、保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に容易かつ確実に配列することができる。
【0052】
また、回転アーム4の回転角度が0度のときに、保持体6の位置は、搬送物Wの移動を開始する開始端SEであり、回転アーム4の回転角度が360度のときに、保持体6の位置は、搬送物Wの移動を終了する終了端EEであり、回転アーム4の回転角度が180度のときに、保持体6の位置は、開始端SEと終了端EEとの間の中間停止位置ISPである。
【0053】
このように、保持体6の位置が、開始端SEと終了端EEとの間の中間停止位置ISPにある場合においても、保持体6の停止状態の安定性を向上させることができる。
【0054】
また、回転駆動軸3と少なくとも第一リンク部材51との間には、第一リンク部材51が回転駆動軸3に巻き取られた際に、第一リンク部材51の閉じる方向への過度な回転を規制して、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に配列する回転規制部(被当接部43、当接部54)が設けられている。
【0055】
これによると、第一連結部51cと第二連結部52cとの各回転軸心5C1,5C2を保持体6の移動方向に平行な一平面OP上に容易かつ確実に配列させることができる。
【0056】
基体2と少なくとも第一リンク部材51との間には、回転駆動軸3に第一リンク部材51が巻き取られる際に、第一リンク部材51が回転駆動軸3の半径方向外側に開くのを規制する開き規制部(ガイドフレーム7、規制ガイドローラ8)が設けられている。
これによると、第一リンク部材51を円滑かつ確実に回転駆動軸3に巻き取ることができる。
【0057】
また、回転駆動軸3は、インバータ制御モータで駆動する。
これによると、電動モータEMを停止させる各停止位置で減速停止するので、回転アームの180度毎の停止安定性に加えて搬送物Wの搬送方向の停止位置の精度を向上することができる。
【0058】
1-4.第一実施形態の別例
なお、第一実施形態において、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離をLとし、第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2との距離を二倍の長さである2Lとしたが、これに限定されない。
【0059】
1-4-1.(別例1)
例えば、図7に示すように、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離をLとし、第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2との距離を三倍(二倍より長い例である。)の長さである3Lとしてもよい。この場合、図示はしないが、保持体6の移動距離は、回転アーム4の回転角度が180度のにとき、2Lであり、360度のときに、6Lとなる。
【0060】
1-4-2.(別例2)
また、図8に示すように、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離をLとし、第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2との距離を3L/2(二倍より短い例である)としてもよい。この場合、図示はしないが、保持体6の移動距離は、回転アーム4の回転角度が180度のにとき、2Lであり、360度のときに、3Lとなる。
【0061】
別例1および別例2で示すように、回転アーム4の長さに対応する回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1との距離Lと、第一リンク部材51の長さに対応する第一連結部51cの回転軸心5C1と第二連結部52cの回転軸心5C2との長さが異なった複数種類の回転アームやリンク部材を設ける。これによって、工場内のレイアウトや連結させる設備・装置に応じて中間停止位置ISPおよび終了端EEの位置が容易に調整可能となる。
【0062】
なお、第一リンク部材51および第二リンク部材52の自重によって夫々のリンク部材51,52の重心は、移動方向上の一平面OPよりも、外側に生じる。しかし、重心が移動方向上の一平面OPよりずれた距離に対してリンク部材51,52が構成する鎖部材5が長いので、重心位置と移動方向上の一平面OPとのずれた距離は、保持体6の中間位置での停止状態にあまり影響しないと考えられる。また、移動する保持体6を一直線上で移動させる直進機構(後述)を設けることは望ましい。
【0063】
2.(第二実施形態)
本発明に係る往復動装置を昇降装置に具体化した第一実施形態について、図9図12を参照して以下に説明する。
【0064】
2-1.往復動装置の構成
第二実施形態における往復動装置101は、鎖部材105において、第一リンク部材51と第二リンク部材52に加えて第三リンク部材53が設けられている。第二リンク部材52と回転アーム4との間に回転規制部を構成する第二当接部56と第二被当接部44とが設けられている。第二リンク部材52に開き規制部を構成する規制ガイドローラ8が設けられている。
これらの点において、第一実施形態の往復動装置1と相違する。その他の構成は第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0065】
以下、主に相違点について説明する。
(回転規制部)
回転アーム4の基端部であって、回転アーム4が突出する側の反対側であって、鎖部材5が巻き取られた際に、第二リンク部材52の内側面に対向する位置に第二被当接部44が突設されている。第二被当接部44は、回転駆動軸3の回転軸心3Cと第一連結部51cの回転軸心5C1とを含む平面OP、および第二連結部52cの回転軸心5C2と第三連結部53cの回転軸心5C3とを含む平面OPに対して平行な被当接面を備えている。
【0066】
第二リンク部材52の第二胴体部52eの中央部より上方にずれた内側には、第二当接部56が内側に向かって突設されている。第二当接部56は、第二連結部52cの回転軸心5C2と第三連結部53cの回転軸心5C3とを含む平面に平行な当接面を備えている。
【0067】
(規制ガイドローラ)
規制ガイドローラ8自体は、第一実施形態のものと同様であり、ガイドフレーム7とともに開き規制部を構成する。
【0068】
第二リンク部材52の規制ガイドローラ8は、第二胴体部52eの中央位置にY-Y方向の一方に突出するように設けられている。第二リンク部材52の規制ガイドローラ8は、第二リンク部材52が第一リンク部材51とともに回転駆動軸3に巻き取られた90度および270度において、回転駆動軸3の回転軸心3Cおよび第一リンク部材51の規制ガイドローラ8の回転軸心8Cと、第二リンク部材52の規制ガイドローラ8の回転軸心8Cとが、水平方向に一平面上に並ぶように構成されている(図11および図12参照)。
【0069】
また、規制ガイドローラ8は、第二リンク部材52が巻き取られる際に、ガイドフレーム7に対向するように第二連結部52cおよび第三連結部53cの回転軸心5C2,5C3に平行となるように構成されている。
【0070】
(第三リンク部材)
第三リンク部材53は、例えば鉄製の二枚の略コ字状の板部材53aで形成され、二枚の板部材は二か所の渡し部材(図略)で平行に重ね合わせるようにして固定されている。第三リンク部材53の基端側は、第三連結部53cにより第二リンク部材52に連結し、第三リンク部材53の先端側は、第四連結部54cにより保持体106に連結されている。第三連結部53cと第四連結部54cとの間には連続して第三胴体部53eが形成されている。第三リンク部材53の基端部は、第二リンク部材52の先端部の第二円弧部52c1と重なる第三円弧部53c1が二枚の板部材53a夫々に形成されている。
【0071】
第三リンク部材53の基端部には、二枚の板部材53aに夫々連結穴(図略)が貫設され、これらの連結穴には第三連結部53cの連結軸531が嵌挿されて固定されている。連結軸531は、回転軸心5C3を有している。第三リンク部材53の二枚の板部材53aの間は、第二リンク部材52が間に挟まるように所定の幅で隙間が設定されている。
【0072】
第三リンク部材53の先端部(下端部)は、第三リンク部材53の基端部と同様に第三円弧部53c1が二枚の板部材53a夫々に形成されている。第四連結部54cには、二枚の板部材53aに夫々連結穴(図略)が貫設され、該連結穴(図略)には連結軸541が嵌挿されて固定されている。
【0073】
第三胴体部53eは、鎖部材105が回転駆動軸3に巻き取られた際に外側に凸となる湾曲状に形成されている。詳しくは、第三胴体部53eの中央部は、鎖部材105が巻き戻された際に、搬送方向に平行する直線状に形成されている。第三胴体部53eの基端側および先端側は、夫々第三連結部53cおよび第四連結部54cに連続するように円弧状に形成され、全体として略コ字状となっている。第三胴体部53eは、鎖部材105が巻き取られた際に、第一リンク部材51が内側の凹となった部分に抱え込めるように第一リンク部材51の外形寸法よりも、凸部が大きくかつ長さが長く形成されている。
【0074】
第四連結部54cは、保持体106に連結されている。保持体106(図略)は、例えば、X-X方向が開口した直方体の篭状に形成され、X-X方向から搬送物(例えば鋳造品)の挿入・取出しが可能になっている。保持体106の上部には、上部連結部1061が設けられている。上部連結部1061は、下端部が保持体本体部1062に例えばボルト締め等(図略)で固定された台形の板部材1061aに連結穴が穿設されている。連結穴には第四連結部54cの連結軸541が遊嵌されている。連結軸541は、回転軸心5C4を有している。
【0075】
第二実施形態の往復動装置101は、終了端EEが540度の位置にあり(図12参照)、第一中間停止位置ISP1が180度に(図10参照)、第二中間停止位置ISP2が360度の位置に(図11参照)設定されている。
このように、中間停止位置を二か所に設定することができる。さらに、リンク部材の数を増加させることで、中間停止位置を三以上の複数個所に設定することが可能である。
【0076】
2-2.
上記により明らかなように第二実施形態の往復動装置101は、第二リンク部材52の第三連結部53cに回転可能に連結するとともに、保持体106に第四連結部54cで回動可能に連結する第三リンク部材53をさらに備える。そして、回転アーム4の回転角度が540度に配置された際に、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52c、第三連結部53cおよび第四連結部54cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3,5C4は、保持体106の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。
【0077】
これによると、回転アーム4の回転角度が180度の位置(第一中間停止位置ISP1)、360度の位置(第二中間停止位置ISP2)の二か所に中間停止位置ISPを設定することができる。開始端SE、終了端EEに加えて搬送物Wの振り分け可能な位置をさらに増加させることができる。
【0078】
3.(第三実施形態)
次に、第三実施形態の往復動装置201について図13および図14に基づいて以下に説明する。
3-1.往復動装置の構成
第三実施形態の往復動装置201は、第一リンク部材51と第二リンク部材52との間には、鎖部材5が巻き取られていない状態(鎖部材5全体が吊り下げられた状態)において、第一リンク部材51と第二リンク部材52とが、巻き取られる際に閉じる方向とは逆方向に開くのを規制する配置規制部(被係止部58、係止突起部59)が設けられている。
【0079】
(配置規制部)
配置規制部は、鎖部材5が巻き取られていない状態において、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を、保持体6の移動方向に沿った一平面OP上に配置する。
配置規制部は、第一リンク部材51に設けられた被係止部58と、第二リンク部材52に設けられた係止突起部59とを有している。
【0080】
被係止部58は、第二連結部52cの外側であって、第一リンク部材51において二枚の板部材51a間に固定され、鎖部材5が巻き取られていない状態において、第二連結部52cの回転軸心5C2に平行な水平面上にある被当接面を有する。
係止突起部59は、第二連結部52cの外側であって、第二リンク部材52において被係止部58に対向する位置に配置されている。係止突起部59は、鎖部材5が巻き取られていない状態において、第二連結部52cの回転軸心5C2に平行な水平面上にある当接面を有して被係止部58と係止する。
【0081】
これによると、巻き取られていない第二リンク部材52において、第一リンク部材51に対して閉じる方向とは逆方向に開くのを規制する。これによって、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を、保持体の移動方向に沿って平行な一平面OP上に配列することができる。
【0082】
4.(第四実施形態)
次に、第四実施形態の往復動装置について図15に基づいて以下に説明する。
第四実施形態の往復動装置301は、第一リンク部材51と第二リンク部材52との間には、偏心固定部が設けられている。偏心固定部は、第一リンク部材51と第二リンク部材52とに移動方向に平行な圧縮力が働いた際に、第一リンク部材51と第二リンク部材52とを一直線上に配置するのではなく、巻き取られる際に閉じる方向とは逆方向に開いた状態で第一リンク部材51と第二リンク部材52とを固定する。
【0083】
これによって、第二連結部52cの回転軸心5C2を保持体6の移動方向に沿った一平面OPから内側へ偏心させる。
具体的には、偏心固定部は、被固定部581と固定突起部591とを有している。
被固定部581は、第一リンク部材51において第二連結部52cの外側であって、二枚の板部材51a間に固定され、鎖部材5が巻き取られていない状態において、第二連結部52cの回転軸心5C2より上に位置する被当接平面を有する。
【0084】
固定突起部591は、第二リンク部材52において第二連結部52cの外側であって、被固定部581に対向する位置に配置され、鎖部材5が巻き取られていない状態において、第二連結部52cの回転軸心5C2より下に位置する当接平面を有する。固定突起部591の当接平面と被固定部581の被当接平面とが当接した場合、図15に示すように、第一リンク部材51と第二リンク部材52とは、く字状に折れ曲がった状態で固定される。
【0085】
これによると、図15に示すように、移動方向に平行な圧縮力が働いた際に、第一リンク部材51と第二リンク部材52とが閉じる方向に容易に動くのを防止し、誤動作を防止することができる。
【0086】
5.(第五実施形態)
次に、第五実施形態の往復動装置について図16図19に基づいて以下に説明する。
第五実施形態の往復動装置401は、一列の搬送路(搬入搬送路402)で搬送されてきた搬送物Wを、上下方向に分かれた上中下段の三段に分かれた搬送路(振り分け搬出搬送路403)に振り分ける振り分け設備SDに実施されたものを示している。
【0087】
第五実施形態の振り分け設備SDは、水平方向に延在する一つの搬入搬送路402と、上段中段下段に分かれる三段の振り分け搬出搬送路403と、搬入搬送路402と振り分け搬出搬送路403との間に設けられた往復動装置401とを備えている。搬入搬送路402は、架台405の上に設けられ、図略の電動モータで駆動する搬入ローラコンベヤ402aと搬入位置への搬送物Wの搬入を検出する搬入位置センサ402bとを備えている。振り分け搬出搬送路403は、架台405の上に設けられ、夫々図略の電動モータで駆動する下段ローラコンベヤ403a、中段ローラコンベヤ403bおよび上段ローラコンベヤ403cを備えている。
【0088】
往復動装置401は、保持体406に設けられた直進機構のガイドローラ404aと、搬送物Wの搬入搬送に使用する駆動ローラコンベヤ406aとが、設けられている。ガイドローラ404aは、保持体406の両側に設けられた構造枠407に垂直に設けられたガイドレール404bに接触して転動し、保持体406が垂直方向に直線的に移動することをガイドする。
【0089】
駆動ローラコンベヤ406aは、図略の電動モータで駆動し、搬入搬送路402の搬入ローラコンベヤ402aから受け渡された搬送物Wを保持体406内へ搬入する。駆動ローラコンベヤ406aは、水平方向に延在する一対の支持ガイド406a2と円柱状のローラ部406a1を備えている(図17参照)。駆動ローラコンベヤ406aは、振り分け搬出搬送路403のいずれかのローラコンベヤ403a,403b、403cに受け渡すように搬送物Wを保持体406内より搬出する。
【0090】
搬入ローラコンベヤ402a、駆動ローラコンベヤ406a、下段ローラコンベヤ403a、中段ローラコンベヤ403bおよび上段ローラコンベヤ403cの駆動は、制御装置によって制御されている。
なお、回転アーム4の回転角度位置が回転角度センサREによって検出され、回転角度が制御装置によって制御されるのは、第一実施形態と同様である。
【0091】
回転アーム4が回転角度が下方に向かって位置決めされた0度のとき(開始端SE)に、保持体406の駆動ローラコンベヤ406aは、搬入ローラコンベヤ402aと下段ローラコンベヤ403aとに整列する。そして、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を、保持体406の移動方向に沿って平行な一平面OP上に配置する。
【0092】
回転アーム4が開始端SEより180度回転して上方位置に位置決めされたとき(中間停止位置)、図18に示すように、保持体406の駆動ローラコンベヤ406aは、中段ローラコンベヤ403bに整列する。そして、回転駆動軸3、第一連結部51c、第二連結部52cおよび第三連結部53cの各回転軸心3C,5C1,5C2,5C3を、保持体406の移動方向に沿って平行な一平面OP上に配置する。
【0093】
回転アーム4が開始端SEより360度回転して上方位置に位置決めされたとき(終了端EE)、図19に示すように、保持体406の駆動ローラコンベヤ406aは、上段ローラコンベヤ403cに整列する。そして、回転駆動軸3、第一連結部51cおよび第二連結部52cの各回転軸心3C,5C1,5C3を、保持体406の移動方向に沿って平行な一平面OP上に配置する。
【0094】
これによると、特に、直進機構(ガイドローラ404a、ガイドレール404b)によって移動中のぶれを防止し、安全かつ確実な垂直方向への移動と、鎖部材5の安定した巻き取り動作を実行することができる。
【0095】
6.(第六実施形態)
次に、第六実施形態の往復動装置について図20に基づいて以下に説明する。
第六実施形態の往復動装置601は、搬送路で搬送されてきた搬送物Wを、水平方向に振り分ける振り分け設備SDに実施されたものを示している。
第六実施形態の振り分け設備SDは、架台605、移動方向レール602、台車606(保持体)、開始端搬送レール607、中間停止位置搬送レール(図略)、終了端搬送レール(図略)とを備えている。
【0096】
電動モータEM、回転アーム4、鎖部材5については、水平方向に鎖部材5を配置するよう全体が構成されている点が相違するだけで、第一実施形態と同様である。また、第三実施形態に記載した配置規制部(被係止部58、係止突起部59)が設けられている。配置規制部は、鎖部材5が巻き取られていない状態において、回転駆動軸3、第一連結部51cおよび第二連結部52cの各回転軸心3C,5C1,5C3を、移動方向上の一平面OP上に配置する配置規制部が設けられている。鎖部材5が自重で撓むことで、各回転軸心3C,5C1,5C3が移動方向上の一平面OPから外れるのを防止する。
【0097】
架台605は、床面から対に立設された複数本の支柱605aと、支柱605aの上端に支持されたテーブル605bとを備えている。
移動方向レール602は、テーブル605b上において、移動方向上の一平面OPに平行に敷設されている。ガイドフレーム7は、取付部材621によって、架台605に固定されている。
【0098】
台車606は、台車本体606aと、転動車輪606bと、載置レール606cとを備えている。台車本体606aは、例えば、鉄製の矩形状の板材から形成されている。台車本体606aの鎖部材側には、連結部6061が設けられ、連結部6061によって第二リンク部材52の先端部(図20において右側端部)の第三連結部53cに連結する。台車本体606aの底部には、図略の軸受けに支承された四つの転動車輪606bが設けられている。これらの転動車輪606bによって、移動方向レール602上を転動する。載置レール606cは、台車本体606aの上面に移動方向レール602に直角に一対設けられている。載置レール606cには搬送物Wを搭載した搭載台車TRが載置される。
【0099】
開始端SE、中間停止位置ISPおよび終了端EEには、夫々対応して開始端搬送レール607、中間停止位置搬送レール(図略)、および終了端搬送レール(図略)が設けられている。開始端搬送レール607、中間停止位置搬送レール、および終了端搬送レールは、移動方向レール602に直角に延在するように設けられている。第六実施形態では、台車606が開始端SE、中間停止位置ISPおよび終了端EEに位置決めされたとき、載置レール606cは、開始端搬送レール607、中間停止位置搬送レール、および終了端搬送レールに夫々整列する。
このように、垂直方向の移動に限られず、水平方向の振り分け設備SDにも往復動装置601を利用することができる。
【0100】
なお、第六実施形態では、中間停止位置搬送レールは、中間停止位置ISPにおいて、移動方向レール602を挟んだ両側に直角方向に延在するように設けられている。工場内の使い方に応じて開始端搬送レールや終了端搬送レールを移動方向レール602を挟んだ両側に設けることができる。
【0101】
7.(第七実施形態)
第七実施形態の往復動装置701は、図21に示すように、第一実施形態とは上下逆さまに配置されている。すなわち、上方に位置された鎖部材5の先端部が基体2に連結され、下方に位置された回転駆動軸3の軸保持部(電動モータEM、軸受)が保持体706に取り付けられている点において第一実施形態の往復動装置1と主に相違する。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0102】
以下、主に相違点について説明する。
第七実施形態の往復動装置701は、下から回転駆動軸3が設けられた保持体706、回転駆動軸3に設けられた回転アーム4、回転アーム4に連結された第一リンク部材51、第一リンク部材51に下端が連結され基体2に上端が連結された第二リンク部材52を備えている。第一リンク部材51および第二リンク部材52は、鎖部材5を構成する。
往復動装置1は、鎖部材5を回転駆動軸3周りに巻き取りまたは巻き戻すことで、鎖部材5の先端部(第二リンク部材52の上端)と回転駆動軸3との距離を接近離間(本実施形態では、回転駆動軸3が設けられた保持体706自体を上下動)させる。
【0103】
(保持体)
保持体706は、天板707と構造フレーム708と保護板709と駆動ローラコンベヤ(図略)と、を備えている。
天板707は、例えば、水平方向に延在する鉄製の矩形板材で形成されている。天板707には、長方形状に開口する開口部707aが設けられ、開口部707aは鎖部材5が巻き取られる際に回転アーム4と鎖部材5とが通過可能となっている。
【0104】
天板707の下面には、回転駆動軸3を備えた電動モータEM(軸保持部)と、ガイドフレーム7と、回転角度センサREとが、第一実施形態とは上下方向逆さまの状態で取り付けられている。
電動モータEM、ガイドフレーム7および回転角度センサREの下方には、後述する構造フレーム708に端部が固定された保護板709が設けられている。保護板709によって電動モータEM、ガイドフレーム7および回転角度センサREに対して搬送物W等が接触するのを防止している。
【0105】
天板707の四隅には、下方に垂下する構造フレーム708が設けられている。構造フレーム708は、例えば鉄製で断面四角の中空材で形成されている。構造フレーム708の下端には、水平方向(X-X方向)に延在する駆動ローラコンベヤが設けられている。この駆動ローラコンベヤは、例えば第五実施形態に記載の駆動ローラコンベヤと同様なものである。
【0106】
回転駆動軸3は、天板707に、例えばボルト部材等で上下逆さまに取り付けられた電動モータEMの出力軸が相当し、出力軸は、Y-Y方向(図21における裏面と表面とを貫く水平方向)に延在する回転軸心3Cを備えている。本実施形態において電動モータEMは、回転駆動軸3を回動自在に保持する軸保持部を構成する。出力軸の先端側には、図略の軸受が設けられている。この軸受は、電動モータEMとともに軸保持部を構成する。
ガイドフレーム7は、上下逆さまに固定されている点が第一実施形態と相違し、その他の構成は同様であるので、説明を省略する。
【0107】
駆動ローラコンベヤは、保持体706の下部に設けられている。駆動ローラコンベヤは、X-X方向の一方にある搬入側から搬送物Wを搬入し、搬入された搬送物Wを保持し、搬送物Wが保持体706とともに上下移動した後、搬送物WをX-X方向の他方(あるいは一方)にある搬出側へ搬出する。図略の電動モータで駆動し、水平方向に延在する一対の支持ガイド(図略)と円柱状のローラ部(図略)とを備えている。
【0108】
回転駆動軸3には、回転アーム4が半径方向外側に向かって突設されている。回転アーム4には、第一リンク部材51が第一連結部51cで連結されている。第一リンク部材51は、第二リンク部材52に第二連結部52cで連結されている。回転アーム4、第一リンク部材51、第二リンク部材52、第一連結部51cおよび第二連結部52cは、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0109】
第二リンク部材52は、第三連結部53cで基体2に連結されている。基体2の下面には、上端のフランジ部761bが、例えばボルト・ナットBN等で締結固定された台形の板部材761aが二枚垂直にかつ相互に平行(X-X方向)に立設されている。台形の板部材761aには連結穴が夫々穿設されている。
【0110】
二枚の台形の板部材761aの間には、第二リンク部材52の上端部が配置されている。板部材761aの連結穴と第二リンク部材52の連結穴とが同心に配置され、これらの連結穴には連結軸531が挿入されている。連結軸531は、板部材761aの二つの連結穴に端部が固定され、第二リンク部材52の連結穴に対しては相対回転可能になっている。台形の板部材761aの連結穴、第二リンク部材52の連結穴および連結軸531が、第三連結部53cを構成する。
【0111】
第七実施形態の往復動装置701では、回転アーム4が図21において時計回りに回転することで、鎖部材5の巻き取りが行われる。制御装置(図略)は、電動モータEMを駆動させて、180度回転させることで保持体706を中間停止位置(図略)に停止させ、360度回転させることで終了端(図略)に停止させる。それぞれで停止させた際に、第一実施形態の往復動装置1と同様に、回転駆動軸3の回転軸心3C、第一連結部51cの回転軸心5C1、第二連結部52cの回転軸心5C2および第三連結部53cの回転軸心5C3は、保持体706の移動方向に平行な一平面OP上に配列する。
【0112】
そのため、回転アーム4の回転角度が180度、360度において、搬送物Wにより移動方向の力が加わった場合にも回転アーム4に回転力が生じない。このように、回転アーム4が回転駆動軸3から突出する方向が保持体706の移動方向に平行となる所定の回転角度において、移動方向に対する停止安定性が極めて高くなり停止中に搬送物Wが降下することなく保持される。そして、停止中の回転アーム4の回転角度に多少の差異が生じても、移動方向の変位はわずかであるため、停止状態を確保し易い。
【0113】
なお、上記実施形態において回転駆動軸3の回転軸心3C、第一連結部51cの回転軸心5C1、第二連結部52cの回転軸心5C2および第三連結部53cの回転軸心5C3は、中間停止位置ISPおよび終了端EEにおいて一直線上に配列される。しかし、これに限定されるものではない。例えば、Y-Y方向に回転軸心相互の位置がずれていてもよく、この場合、移動方向に平行な一平面OP上に配列することとなる。
【0114】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0115】
1:往復動装置、2:基体、3:回転駆動軸、3C:回転軸心、4:回転アーム、43:被当接部(回転規制部)、44:第二被当接部(回転規制部)、5:鎖部材、5C1:回転軸心、5C2:回転軸心、5C3:回転軸心、5C4:回転軸心、51:第一リンク部材、51c:第一連結部、52:第二リンク部材、52c:第二連結部、53:第三リンク部材、53c:第三連結部、54:当接部(回転規制部)、54c:第四連結部、56:第二当接部(回転規制部)、58:被係止部(配置規制部)、59:係止突起部(配置規制部)、6:保持体、7:ガイドフレーム(開き規制部)、101:往復動装置、105:鎖部材、106:保持体、201:往復動装置、301:往復動装置、401:往復動装置、404a:ガイドローラ(直進機構)、404b:ガイドレール(直進機構)、406:保持体、581:被固定部(偏心固定部)、591:固定突起部(偏心固定部)、601:往復動装置、606:台車(台車)、701:往復動装置、706:保持体、EE:終了端、EM:電動モータ(軸保持部)、ISP:中間停止位置、SE:開始端、OP:移動方向に平行な一平面、W:搬送物。
図1
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図5
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