(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151730
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】圧電複合フィラメント及び積層造形におけるその使用
(51)【国際特許分類】
H01L 41/18 20060101AFI20220929BHJP
H01L 41/333 20130101ALI20220929BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20220929BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220929BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220929BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20220929BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20220929BHJP
D01D 5/096 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L41/18
H01L41/333
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y70/10
D01F1/10
D01D5/096
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040953
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】63/164,679
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/671,733
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェイ.・ベラ
(72)【発明者】
【氏名】ユイチエ・チュー
【テーマコード(参考)】
4F213
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4F213AA03
4F213AA13
4F213AA14
4F213AA19
4F213AA21
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4F213AA24
4F213AA28
4F213AA29
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4F213AA32
4F213AA34
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4F213AC02
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4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL22
4F213WL25
4F213WL96
4L035AA05
4L035BB31
4L035JJ05
4L045AA05
4L045BA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶融フィラメント製造と適合する複合フィラメントを提供する。
【解決手段】第1の押出機102aと、第2の押出機102bとを含む印刷ヘッド100において、第1の押出機は、第1の払出リール106aから第1のフィラメント104aを受容し、第1の印刷材料の溶融流108aを提供する。第2の押出機は、第2の払出リール106bから第2のフィラメント104bを受容し、第2の印刷材料の溶融流108bを提供する。いずれの溶融流も、最初に印刷床上に堆積され、支持された部品120の一層ずつの成長を促進する。第1の押出機によって供給される第1の印刷材料は、部品110を製造するために使用される圧電性複合材料であり、第2の押出機によって供給される第2の印刷材料は、下部の印刷層とは直接接触していない張り出し部114の下で除去可能な支持体112を製造するために使用される溶解性又は分解性ポリマーである。。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合フィラメントであって、
熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含み、
前記複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、前記圧電粒子が、前記複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている、複合フィラメント。
【請求項2】
前記複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、前記圧電粒子が十分な量で存在する、請求項1に記載の複合フィラメント。
【請求項3】
前記圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、請求項1に記載の複合フィラメント。
【請求項4】
前記圧電粒子が、前記複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む、請求項1に記載の複合フィラメント。
【請求項5】
前記圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、請求項1に記載の複合フィラメント。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の複合フィラメント。
【請求項7】
プロセスであって、
熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、
任意選択的に撹拌しながら前記溶解物を混合して、前記圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、
前記溶解混合物を押出して、前記熱可塑性ポリマー中に分散された前記複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを形成する、押出することと、
を含み、
前記複合フィラメントが、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、前記圧電粒子が、前記複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されており、
形成すること、混合すること、及び押出しすることが、順次又は同時に行われる、プロセス。
【請求項8】
前記複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの単層膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、前記圧電粒子が十分な量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記圧電粒子が、複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
前記圧電粒子が、前記熱可塑性ポリマーと組み合わされる前に、プローブ超音波処理によって処理される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
プロセスであって、
熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを提供することであって、
前記複合フィラメントが、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、前記圧電粒子が、前記複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている、提供することと、
前記複合フィラメントを融点又は軟化温度以上で加熱して、軟化複合材料を形成する、加熱することと、
前記軟化複合材料を一層ずつ堆積させて、印刷部品を形成する、堆積することと、
を含み、
加熱すること及び堆積することが、順次又は同時に行われる、プロセス。
【請求項15】
前記複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、前記圧電粒子が十分な量で存在する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記圧電粒子が、前記複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記印刷部品の少なくとも一部分をポーリングすることを更に含む、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、積層造形、より具体的には、圧電特性を呈する印刷部品を形成することができる複合体及びフィラメントを利用する積層造形プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(three-dimensional、3-D)印刷としても知られる積層造形は、急速に成長している技術分野である。積層造形は、伝統的にラピッドプロトタイピング活動に使用されてきたが、この技術は、任意の数の複雑な形状の商業部品及び工業部品を製造するためにますます採用されている。積層造形プロセスは、典型的には、例えば、1)連続フィラメントから得られる溶融印刷材料の流れの堆積、又は2)レーザーを使用した、印刷材料の粉末微粒子の焼結によって、一層ずつ対象層を構築することによって行われる。一層ずつの堆積は、通常、コンピュータの制御下で行われて、製造される部品のデジタル三次元「設計図」に基づいて、正確な位置に印刷材料を堆積させ、堆積と併せて行われる印刷材料の圧密化によって印刷部品を形成する。印刷部品の本体を形成する印刷材料は、本明細書において「ビルド材料」と呼ぶことがある。
【0003】
部品形成に溶融印刷材料の流れを用いる積層造形プロセスは、典型的には、溶融印刷材料の供給源として熱可塑性ポリマーフィラメントを利用する。かかる積層造形プロセスは、「溶融積層法」又は「溶融フィラメント製造」プロセスと呼ばれることがある。本明細書では、後者の用語を使用する。印刷材料源として熱可塑性ペレットを用いる積層造形プロセスも知られている。
【0004】
印刷材料の粉粒体を用いる積層造形プロセスは、しばしば、印刷材料の堆積後に粒体床の選択した位置で直接加熱を実行して、圧密化された部品への粉粒体の癒合を促進する。粉粒体の圧密化を促進して圧密化された部品を形成するのに好適な技術としては、例えば、粉体床溶融(Powder Bed Fusion、PBF)、選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)、電子ビーム溶解(Electron Beam Melting、EBM)、バインダージェッティング、及びマルチジェット溶融(Multi-Jet Fusion、MJF)が挙げられる。
【0005】
様々な形状を有する幅広い部品は、両タイプの積層造形プロセスを使用して製造され得る。多くの場合、両タイプの積層造形プロセスで用いられるビルド材料は、生来の機能を有するポリマーではなく、本質的にほぼ構造的であり得る。1つの例外は圧電機能であり、この機能は、生来の圧電特性を有するポリマーであるポリフッ化ビニリデンを含むフィラメントから形成された印刷対象において発揮され得る。圧電材料は、機械的歪み下で電荷を発生する、又は逆に、電位が印加されると機械的歪みを受ける。圧電材料の潜在的な用途には、感知、切替、始動、及びエネルギー捕集が含まれる。
【0006】
圧電特性を有する印刷部品を形成することの望ましさにかかわらず、現時点ではそうするための選択肢がごく限られている。ポリフッ化ビニリデンフィラメントは現在、圧電特性を有する印刷部品を生成するのに好適な唯一の市販のフィラメントである。ポリフッ化ビニリデンは、多くの場合、印刷部品を適切に形成することができるが、圧電ポリマーの範囲は、それ以外の場合かなり限定されており、いくつかの代替ポリマーは、溶融フィラメント製造における使用に好適なフィラメントを形成するのに適していない。これらの欠点は、印刷された圧電部品が露出され得る条件の幅を制限し、そこから得られる機能が制限され得る。更に、ポリフッ化ビニリデンの圧電性は、他のタイプの圧電材料よりもかなり低い。高い圧電性を有する多数のセラミック材料が利用可能であるが、それらはそれ自体印刷可能ではなく、非常に脆い場合が多い。更に、主に圧電セラミックを堆積させた後、部品の圧密化を促進するために、高い焼結温度(>300℃)が必要であり得る。ポリマーとセラミック圧電材料との混合物は、圧密部品において高い圧電性能をまだ実現していない。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、溶融フィラメント製造と適合する複合フィラメントを提供する。複合フィラメントは、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含む。複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する。任意選択的に、圧電粒子は、熱可塑性ポリマー中に均一に分布され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、複合フィラメントは、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含み得る。複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子は、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている。
【0009】
本開示はまた、溶融フィラメント製造に適した複合フィラメントを形成する方法を提供する。本方法は、熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマーと実質的に非凝集形態で溶解混合された圧電粒子を含む複合フィラメントを形成する、押出することと、を含む。任意選択的に、圧電粒子は、熱可塑性ポリマー中に均一に分布され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法は、熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを形成する、押出することと、を含み得、複合フィラメントが、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子が、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されており、形成すること、混合すること、及び押出しすることが、順次又は同時に行われる。
【0011】
本開示は、圧電性を有する印刷部品を形成するための積層造形プロセスを更に提供する。本プロセスは、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含む複合フィラメントを提供することであって、複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、提供することと、複合フィラメントを軟化温度超で加熱して軟化複合材料を形成する、加熱することと、軟化複合材料を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成する、堆積することとを含み得る。任意選択的に、圧電粒子は、熱可塑性ポリマー中に均一に分布され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、積層造形プロセスは、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを提供することであって、複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子が、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている、提供することと、複合フィラメントを融点又は軟化温度以上で加熱して軟化複合材料を形成する、加熱することと、軟化複合材料を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成する、堆積することと、を含み得、加熱すること及び堆積することが順次又は同時に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題には、その形態及び機能において、当業者が想到し、しかも本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物を考えることができる。
【0014】
【
図1】ビルド材料及び除去可能な支持材料を使用して部品を生産するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの概略図である。
【0015】
【
図2】部品と印刷床との間に介在する第1の除去可能な支持体及び部品の2つの部分の間に介在する第2の除去可能な支持体を有する、例示的な部品の概略図である。
【0016】
【
図3A】試料2Aの複合フィラメントの例示的なSEM画像を示す図である。
【
図3B】試料2Aの複合フィラメントの例示的なSEM画像を示す図である。
【0017】
【
図4A】試料2Bの複合フィラメントの例示的なSEM画像を示す図である。
【
図4B】試料2Bの複合フィラメントの例示的なSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、概して、積層造形、より具体的には、圧電特性を有する印刷部品を形成し得る積層造形プロセスに関する。より具体的には、本開示は、圧電特性を有する部品を形成することができる、溶融フィラメント製造積層造形プロセスに好適な複合フィラメントを提供する。ペレット形態の複合体も、本明細書に開示される溶解混合プロセスの利用によって形成され得る。
【0019】
上述するように、溶融フィラメント製造などの積層造形プロセスは、広範囲の複雑な形状の印刷部品を生み出すための強力なツールである。多くの場合、溶融フィラメント製造を実行するために使用されるポリマーは、本質的に主に構造的であり、単独で機能特性を印刷部品に伝達しない。ポリフッ化ビニリデンは、印刷部品に圧電性を伝達することができる顕著な例外である。ポリフッ化ビニリデンから形成される印刷部品は、ある範囲の条件下では有用であり得るが、印刷対象に意図される使用条件がこのポリマーの好適な条件の範囲外である場合、印刷対象に圧電性を採り入れる代替のポリマーがほとんどない。更に、ポリフッ化ビニリデンの圧電効果の大きさは、一部の意図された用途では十分ではない場合がある。
【0020】
前述の欠点に応答して、本開示は、溶融フィラメント製造を実行するのに適した溶解混合によって得られ、ポーリング後に有意な圧電性を有する印刷部品を形成することが可能である複合体及び複合フィラメントを提供する。溶融フィラメント製造に適した複合フィラメントは、特定の印刷システムの駆動ユニットに適した直径(一般的なフィラメント直径は、1.75mm及び2.85mmを含む)と、所望期間にわたって連続印刷を容易にするのに十分な長さとを有し得る。複合フィラメントが溶融フィラメント製造に適しているかどうかを決定し得る他の特性は、フィラメントの押出に必要な温度を含み、この温度は不所望に高い温度であるべきではない。溶融フィラメント製造のための適切なフィラメントは、印刷ノズルからの滲出又は印刷ノズルの目詰まりなどの印刷問題を最小限に抑えることができる。本明細書に開示される複合体及び複合フィラメントに含めるのに適する材料は、印刷床から容易に分離する部品を形成し、いったん印刷されると十分な機械的強度を有し、良好な層間接着を呈し得る。溶融フィラメント製造に適する複合フィラメントは、スプール可能な長さの連続フィラメントであり得、「スプール可能な長さ」という用語は、スプール又はリールに巻き付けるのに十分な長さを意味し、以下で更に詳細に定義する。複合フィラメントがスプールに巻き付けるのに剛性が高すぎる場合など、「スプール可能な長さ」の複合フィラメントは、必ずしもスプールに巻き付けられる必要はないことを理解されたい。適切な複合フィラメントの追加の特性を以下に明記する。
【0021】
本明細書に記載の複合フィラメントは連続フィラメントであり、溶解混合などによって熱可塑性ポリマー中に分散された圧電粒子を含む。圧電粒子は、例えば勾配分布のように均一又は不均一に熱可塑性ポリマー全体に分布され得る。適切な溶解混合プロセスは、撹拌しながら溶解混合し、続いて、得られた溶解混合物を押出する、又は二軸スクリュー押出機を用いた押出を介して直接混合することを含み得る。驚くべきことに、このような溶解混合プロセスと、それに続く、複合フィラメントを形成するための更なる押出は、複合フィラメント及びそこから得られる印刷部品内の圧電粒子の良好な分布をもたらし得る。更なる押出前の任意選択的な極低温粉砕、磨砕、又は細断は、押出プロセスを更に促進し、複合フィラメント内の圧電粒子の分布を促進し得る。更に、複合フィラメント中に空隙がほとんど又は全く形成されない溶解混合は、印刷部品に含まれるのに有害であり得る界面活性剤及び他の表面相溶化剤が存在しない場合でも実現することができる。溶解混合後に圧電粒子がほとんど又は全く凝集しないことは、多くの場合に実現することができ、これは、ポーリング後に得られる圧電特性を望ましく向上させ得る。場合によっては、圧電粒子の均一な分布が実現され得る。好ましくは、溶解混合プロセスは、一緒に常に溶媒に曝露される熱可塑性ポリマーと圧電粒子との組み合わせを伴わずに実行することができ、さもなければ、場合によっては、押出後に複合フィラメント中に微量の有機溶媒を残存させることになる。更に有利なことに、溶解混合後に圧電粒子を実質的に非凝集形態で残した状態で、高い構造的一体性を有する複合フィラメント及び印刷部品を提供しつつ、高充填量の圧電粒子(例えば、セラミックなどの無機圧電粒子)が許容され得る。更に、本明細書の開示による溶解混合を通じて形成される複合材料は、高充填量の圧電粒子が存在する場合でも、連続フィラメントとして押出可能なままであり得る。したがって、ポリフッ化ビニリデン単独で達成可能であるよりも高いレベルの圧電性が、印刷対象(部品)にもたらされ得る。凝集体としてではなく個体としての圧電粒子の分布は、ポーリング後に得られる圧電応答の有意な増加をもたらし得る。理論に束縛されるものではないが、熱可塑性ポリマーと圧電粒子との間の荷重伝達が改善され、それによって機械的応力の印加時に得られる電圧を強調するため、圧電応答の増加が生じ得る。更に有利なことに、溶融フィラメント製造と適合する複合フィラメントを形成するために、様々な熱可塑性ポリマーを利用することができ、これにより、印刷部品の適切な使用条件の範囲が大幅に拡張され得る。
【0022】
本明細書の開示において、「フィラメント」は、フィラメントが単一の細長い複合体形態を含むことに基づいて「繊維」と区別されるべきである一方、繊維は共に縒り合された(束ねられた)複数のフィラメントを含み、個々のフィラメントが識別可能な状態を保つ細糸又はワイヤを形成する。したがって、繊維束を形成するときにフィラメント圧縮が起こらないと仮定すると、フィラメントは繊維束が形成するよりも小さい直径を有する。溶液電界紡糸又は溶解電界紡糸によって得られるフィラメントは、通常、直径が最大約100μmであり、溶融フィラメント製造を使用して効果的に印刷されるには小さすぎる。対照的に、本明細書の開示における溶解混合及び押出によって得られる複合フィラメントは、約0.5mm以上のサイズであり得、溶融フィラメント製造のための特定の印刷システムと適合するように寸法決めされ得る。
【0023】
本明細書の開示に従って形成される場合、複合フィラメントは特に有利であり得るが、複合ペレットも同様の溶解混合プロセスによって生成され得ることが実現されるべきである。すなわち、熱可塑性ポリマー及び圧電粒子は、複合フィラメントを形成するために採用されるものと同様の溶解混合条件下で互いに組み合わされ得る。複合フィラメントを形成するための押出の代わりに、より大きな繊維形態を提供するための押出が実施され、次いで、それらの大きな繊維形態に対する切断、細断、粉砕などが実施されて、複合ペレットを得ることができる。複合ペレットの形態は、複合フィラメントの形態と同様であり得る。複合フィラメントと同様に、その後、複合ペレットは、特定の場合において適切な積層造形条件下で圧電特性を有する印刷部品に処理され得る。複合ペレットは、同様に、実質的に個体として分散された圧電粒子を保持し得る。
【0024】
本開示の様々な態様を更に詳細に論じる前に、本開示の特定の特徴がより良好に理解され得るように、積層造形プロセス、特に溶融フィラメント製造プロセス、部品についての簡単な考察を最初に提供する。
図1は、ビルド材料及び除去可能な支持体材料を使用して部品を生産するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの概略図である。
図1に示すように、印刷ヘッド100は、第1の押出機102aと、第2の押出機102bとを含み、これらは各々、繊維状印刷材料を受容するように構成されている。具体的には、第1の押出機102aは、第1の払出リール106aから第1のフィラメント104aを受容し、第1の印刷材料の溶融流108aを提供するように構成されており、第2の押出機102bは、第2の払出リール106bから第2のフィラメント104bを受容し、第2の印刷材料の溶融流108bを提供するように構成されている。いずれの溶融流も、最初に印刷床(
図1に示さず)上に堆積され、支持された部品120の一層ずつの成長を促進する。第1の押出機102aによって供給される第1の印刷材料(ビルド材料)は、部品110を製造するために使用される圧電性複合材料であってもよく、第2の押出機102bによって供給される第2の印刷材料(除去可能な支持材料)は、張り出し部114の下で除去可能な支持体112を製造するために使用される溶解性又は分解性ポリマーであってもよい。張り出し部114は、印刷床又はビルド材料から形成された下部印刷層と直接接触していない。
図1に示す部品構成では、除去可能な支持体112は、張り出し部114と印刷床との間に介在するが、代替的に構成された部品では、除去可能な支持体114は、部品110の2つ以上の部分の間に介在してよいことを理解されたい。
図2は、例えば、例示的な部品200を示しており、除去可能な支持体202が、部品200と印刷床204との間に画定された張り出し部の間に介在し、除去可能な支持体206は、部品200の2つの部分の間に介在する。
【0025】
再び
図1を参照すると、部品110及び除去可能な支持体112の印刷が完了すると、支持部品120は、除去可能な支持体112の排除をもたらす支持体除去条件125(例えば、溶解又は崩壊条件など)に供され、張り出し部114を有する部品110を、未支持の状態で残し得る。支持体除去条件125は、例えば、溶媒と支持部品120との接触を含み得、溶媒中で、除去可能な支持体112は溶解性又は分解性であり、部品110はそうではない。
【0026】
印刷部品が張り出し部又は同様の特徴部なしで形成されている場合、印刷部品の製造中に除去可能な支持材料を利用する必要はない。同様に、1つ以上のビルド材料が本質的に構造的であり、1つ以上のビルド材料が本質的に機能的である場合など、2つ以上の異なるビルド材料も同様に利用され得る。非限定的な実施例では、構造ポリマーは、本開示の圧電複合体で同時に印刷され得る。
【0027】
本開示の複合フィラメントは、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含み得る。複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子は、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散される。複合フィラメントは、以下で更に定義されるように、スプール可能な長さを有し得る。様々な実施形態では、圧電粒子は、溶解混合などによる複合フィラメントの形成前に、粒子凝集の程度よりも凝集していなくてもよい。本開示の複合フィラメントは、良好な機械的特性と組み合わせて、ポーリング後に高度の圧電性を有する印刷部品を提供し得る。圧電性の程度は、によって決定され得る。複合フィラメントから形成され、次いでポーリングされる印刷薄膜のd33値によって判定され得る。
【0028】
より具体的には、本開示の複合フィラメントは、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る。薄膜厚は、d33とは別に、標準的な技術を使用して測定される。より具体的な実施例では、複合フィラメントは、これらの条件下で、ポーリング後、約1pC/N~約400pC/N、又は約2pC/N~約200pC/N、又は約3pC/N~約100pC/N、又は約1pC/N~約75pC/N、又は約5pC/N~約50pC/N、又は約1pC/N~約10pC/N、又は約2pC/N~約8pC/N、又は約3pC/N~約10pC/N、又は約1pC/N~約5pC/N、又は約4pC/N~約7pC/Nのd33を有する単層薄膜を形成することが可能であり得る。d31及びd15などのd33以外の圧電電荷係数も圧電性を特徴付けるために使用されてもよく、例えば、d33値と異なっていてもよい。いったん熱可塑性ポリマー内に分散されると、圧電粒子を個体として維持するための圧電粒子の充填量及び適切な溶解混合条件は、溶融フィラメント製造と適合するように複合フィラメントを維持しつつ、所望の程度の圧電性を提供するように選択され得る。複合フィラメントで印刷可能であり得る単層膜厚は、約10μm~約500μm厚又は約25μm~約400μmの範囲であり得る。膜厚は、複合フィラメントを含むポリマーの特性、印刷が行われる速度、印刷ノズルの直径、及びプリントノズルと基材との間の距離に応じて、いくらか変化し得る。
【0029】
熱可塑性ポリマー又は圧電粒子は、本明細書に開示される複合フィラメントの大部分の成分を構成し得る。より好ましくは、圧電粒子は、総フィラメント質量に基づき、複合フィラメントの少なくとも約10体積%、又は少なくとも約15体積%、又は少なくとも約20体積%、又は少なくとも約25体積%、又は少なくとも約60体積%、又は少なくとも約70体積%、又は少なくとも約80体積%、又は少なくとも約85体積%、又は少なくとも約90体積%、又は少なくとも約95体積%を含み得る。より具体的な例では、圧電粒子は、複合フィラメントの約10体積%~約85体積%、又は約15体積%~約85体積%、又は約25体積%~約75体積%、又は約40体積%~約60体積%、又は約50体積%~約70体積%を含み得る。圧電粒子の最大体積%は、複合フィラメントが連続フィラメントとして構造的一体性を維持し、溶融フィラメント製造によって印刷可能なままであるように選択され得る。好ましくは、圧電粒子は、互いに著しく凝集することなく、圧電粒子が個体として実質的に分散されたままである条件下で熱可塑性ポリマー内で分布され得る。圧電粒子は、複合フィラメント内に均一に又は不均一に分布され得る(長手方向軸近くでの圧電粒子充填量の増加など、圧電粒子の充填量が、複合フィラメントの外面と複合フィラメントの長手方向軸近傍領域との間で変動する勾配分布を含む)。圧電粒子が均一に分布されているか又は不均一に分布されているかに関係なく、圧電粒子は複合フィラメントの長さに沿って分布される。複合フィラメントの長さに沿って分散されたとき、複合フィラメントは、その中に画定可能な複数の断面スライスの実質的な大部分に圧電粒子を含有しているように見える。しかしながら、十分に高い倍率で観察され、断面スライス厚が十分に小さい場合、少なくとも1つの圧電粒子を含まない断面スライスがいくつか存在し得ると理解されるべきである。前述の内容は、本明細書の開示において適切な圧電粒子分布を構成すると考えられるべきである。
【0030】
圧電特性を有する複合ペレットは、熱可塑性ポリマー中の圧電粒子と同様の充填及び分布(分散)を特徴とし、薄膜として印刷されてポーリングされるとき、上記の条件下で測定される場合に同様のd33の範囲を示し得る。関連する複合フィラメントのように、本明細書の開示による溶解混合によって複合ペレットが生成されるとき、圧電粒子は、実質的に非凝集形態を保ち得る。
【0031】
したがって、本開示はまた、圧電粒子が実質的に非凝集形態を保つような量で、熱可塑性ポリマー中に分散される複数の圧電粒子を含む複合ペレットを提供する。より具体的には、本明細書に開示される複合ペレットは、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る。
【0032】
観察可能な圧電特性を表示するために、印刷部品又は薄膜などの材料をポーリングすることができる。ポーリングは、材料に非常に高い電界を印加することで、圧電材料の双極子が印加された電界の方向に整列するように自身を配向させることを含む。適切なポーリング条件は当業者によく知られている。非限定的な実施例では、ポーリングは、コロナポーリング、電極ポーリング、又はそれらの任意の組み合わせによって行われ得る。コロナポーリングにおいて、圧電材料は、荷電イオンが生成され、表面上に収集されるコロナ放電に供される。材料の表面上の荷電イオンと材料の他方の側の接地面との間に電界が生成される。接地面は、材料に直接接着されてもよく、又は接地プレートとして存在してもよい。電極ポーリング(接触ポーリング)では、2つの電極が圧電材料の両側に配置され、材料は2つの電極間に発生する高い電界を受ける。また、試料は、高誘電媒体に浸漬され得る、及び/又はポーリングを容易にするために加熱され得る。
【0033】
上述のように、ポーリングは別個のステップとして行われ得るが、ポーリングは、積層造形プロセスと協調して行われてもよい。非限定的な実施例では、(本明細書に開示される複合フィラメント又は複合ペレットから形成される)溶融複合体を供給する押出ノズルと、溶融複合体が堆積されて印刷部品を形成する接地面との間に高電圧が印加され得る。
【0034】
本開示で使用するのに適した圧電粒子は、圧電粒子が(例えば、溶解混合によって)熱可塑性ポリマー中に適切に分散され、いったん分散されれば実質的に凝集されない状態を保ち、適量で存在すると十分に高い圧電効果を生成することができるという条件で、特に限定されないと考えられる。圧電粒子は、実質的に個々の粒子(非凝集)として熱可塑性ポリマーと混合され得、必ずしも混合を通じて満足のいく程度の分散を達成するために熱可塑性ポリマーに共有結合される必要はない。熱可塑性ポリマー内に分散される圧電粒子の量及び複合フィラメントを生成するために使用される溶解混合条件は、圧電粒子が熱可塑性ポリマーに導入された前よりも凝集しないような量であり得る。本明細書での使用に好適な圧電粒子中に存在し得る圧電材料の例示的な例としては、結晶性及び非結晶性セラミック、並びに天然圧電材料が挙げられるが、これらに限定されない。圧電特性を示す好適な結晶性セラミックとしては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ニオブ酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、Ba2NaNNb5O5、及びPb2KNb5O15を挙げることができるが、これらに限定されない。圧電特性を示す好適な非結晶性セラミックとしては、ニオブ酸ナトリウムカリウム、ビスマスフェライト、ニオブ酸ナトリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス、及びチタン酸ビスマスナトリウムを挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書の開示において使用するための圧電粒子の特に好適な例としては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせを含む圧電粒子を挙げることができる。ジルコン酸チタン酸鉛に適したドーパントとしては、Ni、Bi、La、及びNdを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0035】
他の適切な圧電粒子は、例えば、石英結晶、蔗糖、ロッシェル塩、トパーズ、トルマリン、骨、又はそれらの任意の組み合わせなどの天然圧電材料を含み得る。
【0036】
本明細書の開示で使用される圧電粒子は、マイクロメートル又はナノメートルサイズ範囲の平均粒径を有し得る。より具体的な実施例では、好適な圧電粒子は、約25マイクロメートル以下、又は約10マイクロメートル以下、例えば、約1マイクロメートル~約10マイクロメートル、又は約2マイクロメートル~約8マイクロメートルの直径を有し得る。例えば、100nm未満の平均粒径又は約100nm~約500nm若しくは約500nm~約1マイクロメートルの平均粒径を有する、より小さい圧電粒子もまた本明細書の開示において利用され得る。本明細書の開示における平均粒径は、D50値を表し、これは、直径を指し、この場合、サンプルの50%(別段の指定がない限り体積基準で)が、当該直径未満の直径を有する粒子から構成される。D50はまた、「平均粒径」と称されてもよい。そのような平均粒径の測定は、SEM分析を介することを含む光学画像の分析、又は粒径測定のための光散乱技術を使用するMalvern Mastersizer 3000 Aero S機器の搭載ソフトウェアを使用することによって行われ得る。
【0037】
凝集とは、物理的結合力を通じて一緒に緩く保持された複数の微粒子を含む集合を指す。凝集体は、物理的結合を断つために、超音波エネルギーの印加などのエネルギーの入力を通じて分解され得る。解凝集によって生成された個々の圧電粒子は、いったん熱可塑性ポリマーとの溶解混合が行われた後は解凝集された状態を保ち得る。すなわち、定義される凝集体は、本明細書に開示される複合フィラメント、複合ペレットの形成、及び/又は溶解混合プロセス中に、十分な程度(例えば、10%未満の凝集、又は5%未満の凝集、又は1%未満の凝集)まで再形成するとは考えられない。2つ以上の圧電粒子は、溶解混合によって生成される圧電複合体において互いに接触し得るが、相互作用の程度は、圧電微粒子の凝集体で発生する相互作用よりも小さいことを理解されたい。非限定的な実施例では、圧電粒子の凝集体は、約100マイクロメートル~約200マイクロメートルの範囲のサイズを有し得、解凝集後に得られる個々の圧電粒子は、約1マイクロメートル~約5マイクロメートル又は約1マイクロメートル~約10マイクロメートルのサイズ範囲であり得る。他の解凝集圧電粒子サイズは上記のとおりである。解凝集圧電粒子サイズは、本開示の圧電複合体の形成後に維持され得る。
【0038】
本明細書の開示における使用に好適な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマーが溶融フィラメント製造又は代替積層造形プロセスによって処理されて、所望の程度の圧電性を有する印刷部品を形成することができるように、圧電粒子が有効な分布及び量で(例えば、溶解混合によって)分布され得るという条件で、特に限定されないと考えられる。溶解混合プロセスは、複合フィラメント又は複合ペレットの形成後に、圧電粒子を解凝集形態で保持することができる。適切な熱可塑性ポリマーは更に、約50℃~約400℃、又は約70℃~約275℃、又は約100℃~約200℃、又は約175℃~約250℃の範囲の温度で堆積を促進するのに十分な軟化温度又は融点を示し得る。融点は、10℃のランプレート及び冷却速度でASTM E794-06(2018)を使用して決定され得、軟化温度は、ASTM D6090-17を使用して決定され得る。
【0039】
好適な熱可塑性ポリマーの例示的な例としては、例えば、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせなどの、溶融フィラメント製造において一般的に採用されるものを含み得る。複合フィラメント中に存在し得る他の好適な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリビニルピロリドン-co-ポリ酢酸ビニル(PVP-co-PVA)などが挙げられる。ポリアミドは、本明細書の開示により、圧電粒子を含む溶解混合物を形成するために特に適切な非圧電熱可塑性ポリマーであり得る。本明細書に開示される複合フィラメントのいくつかの実施例は、それ自体が非圧電性である適切な熱可塑性ポリマーを含み得る。特定の実施例では、いくつかの複合フィラメントは、ポリフッ化ビニリデン以外の熱可塑性ポリマーを含み得る。好ましくは、本開示の複合フィラメントは、熱硬化性又は他の架橋ポリマーを形成することが可能であるUV硬化性樹脂及び類似の樹脂を含む、熱硬化性又は他の架橋ポリマーを実質的に含まなくてもよい。
【0040】
本明細書に開示される複合フィラメントを利用する溶融フィラメント製造プロセスでは、印刷ヘッドは、ビルド材料を含む第1のポリマーフィラメントが第1の押出機から堆積されるように、1つ以上の押出機を含み得る。ビルド材料は、上記の開示による複合フィラメントを含み得る。任意選択的に、除去可能な支持材料を含む第2のポリマーフィラメントは、第2の押出機から堆積されて、ビルド材料から形成された印刷部品内の1つ以上の張り出し部を画定するための除去可能な支持体を形成し得る。前述の方法で使用するのに適したフィラメント(複合フィラメント又は非複合フィラメント)は、特に溶融フィラメント製造において、直径約0.5mm~約10mm、直径約1mm~約5mm、特に直径約1.5mm~約3.5mmの範囲であり得る。溶融フィラメント製造技術を用いる多くの三次元プリンタの標準的なフィラメント直径は、1.75mm又は2.85mm(約3.0mm)である。フィラメントがユーザの特定の印刷システムに適合することを条件として、任意の適切なポリマーフィラメント直径が本明細書の開示に従って使用され得ることを認識されたい。同様に、本明細書に開示するプロセスにおいて、ポリマーフィラメントの長さ及び/又は色は、特に限定されないと考えられる。好ましくは、本明細書に開示される溶解混合複合フィラメントは、連続的であり、例えば、少なくとも約1フィート、又は少なくとも約5フィート、又は少なくとも約10フィート、又は少なくとも約25フィート、又は少なくとも約50フィート、又は少なくとも約100フィート、又は少なくとも約250フィート、又は少なくとも約500フィート、又は少なくとも約1000フィートの延長長さを有し、所与の複合フィラメントが必ずしも巻き付けられない場合でも、これらの長さのいずれもスプール可能な長さであると考えられ得る。スプール可能な長さの複合フィラメントは更に、直径が実質的に均一であり得る。
【0041】
したがって、本明細書の開示に従って製造された複合フィラメントは、溶融フィラメント製造積層造形プロセスにおける使用に適合する直径を有し得る。特に適切な実施例は、約1mm~約10mmの範囲の複合フィラメント直径を含むことができ、この場合、複合フィラメントは、約1フィート超又はそれ以上の長さを有する。以下で説明するように、様々なフィラメント処理条件を利用して、フィラメント直径を調節することができる。
【0042】
溶融フィラメント製造と適合する複合フィラメントを形成するために特に適切なプロセスは、溶解混合を通じて行われ得、これは、撹拌しながら溶解混合し、続いて押出すること、又は二軸スクリュー押出機での直接押出を行うことを含み得る。より具体的な溶解混合プロセスは、熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを組み合わせることと、熱可塑性ポリマー及び圧電粒子を含む溶解物を形成することと、任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成することと、溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマーと実質的に非凝集形態で溶解混合された圧電粒子を含む複合フィラメントを形成することと、を含み得る。圧電粒子は、熱可塑性ポリマー中に分散され得、複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有する。圧電粒子は、実質的に凝集せず、複合フィラメントの長さに沿って分散される。前述の形成すること、混合すること、及び押出しすることは、順次又は同時に行われ得る。前述の圧電粒子及び熱可塑性ポリマーのいずれも、この様式で処理されて、圧電粒子が十分な量存在するとき、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能である複合フィラメントを提供する。
【0043】
本開示の複合ペレットは、同様の方法で形成することができるが、フィラメント形態への直接押出は行われない。その代わりに、複合フィラメントと同様の形態を有する複合ペレットを得るために、複合体は、切断、細断、粉砕、磨砕され得る、より大きな直径の繊維に押出されてもよい。
【0044】
更なる実施形態では、溶解混合物は、任意選択的に、押出前に追加で処理されてもよい(例えば、溶解混合が押出前に行われる場合)。具体的には、溶解混合物は、(例えば、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度未満に)冷却及び固化され得、溶解混合物は、固化後及び溶解混合物の押出前に極低温粉砕されてもよい。極低温粉砕は、当業者に周知されており、熱可塑性ポリマー及び/又は圧電粒子の局所加熱が行われて劣化を促進するリスクが低く、溶解混合物の粒径を低減するように実施され得る。極低温粉砕が有利であり得るが、非極低温粉砕も行うことができる、又は、溶解混合物は、代替のプロセス変形で最初に冷却及び固化されることなく、直接押出され得ることを理解されたい。溶解混合物の細断又は磨砕はまた、代替のプロセス変形として押出前に行うこともできる。場合によっては、溶解混合圧電ペレットは、二次押出プロセスを進めることなく得ることができる。
【0045】
いくつかの又は他の特定の実施形態では、溶解混合物を形成するために用いられる圧電粒子は、プローブ超音波処理、具体的には、より大きな圧電粒子又はその凝集体のプローブ超音波処理によって得ることができ、これにより、音波エネルギーの印加によって適切な粒径及び非凝集形態に縮小される。より具体的な実施例では、プローブ超音波処理によって処理されるPZT粒子又は同様の圧電粒子は、約1マイクロメートル~約5マイクロメートル、又は約1マイクロメートル~約2マイクロメートルの範囲の粒径など、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有し得る。これらの圧電粒子サイズは、溶解混合によって生成された複合フィラメント又は複合ペレット内に維持され得、圧電粒子は、本明細書に開示される複合フィラメント及び複合ペレットにおいて実質的に非凝集形態の状態を保ち得る。
【0046】
本開示による溶融フィラメント製造によって行われる積層造形プロセスは、本明細書に記載される複合フィラメントを提供することと、複合フィラメントを融点又は軟化温度以上で加熱して軟化複合材料を形成する、加熱することと、軟化複合材料を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成する、堆積することとを含み得る。複合フィラメントは、単独で、又は連続フィラメントから堆積された適切な除去可能な支持材料と組み合わせて一層ずつ堆積されて、(適切なポーリング後に)圧電特性を有する印刷部品を形成し得る。圧電特性を有する適切なタイプの部品は、本開示において特に限定されないと考えられる。そのような方法は、印刷部品の少なくとも一部分をポーリングして、圧電特性を引き起こす又は増強することを更に含み得る。
【0047】
本明細書に開示される実施形態は以下を含む。
【0048】
A.溶融フィラメント製造に適合する溶解混合複合フィラメント。溶解混合複合フィラメントは、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含む。溶解混合複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、溶解混合複合フィラメント。
【0049】
B.溶融フィラメント製造に適合する溶解混合複合フィラメントの作製方法。本方法は、熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマーと実質的に非凝集形態で溶解混合された圧電粒子を含む溶解混合複合フィラメントを形成する、押出することと、を含む。
【0050】
C.溶解混合複合フィラメントを用いて溶融フィラメント製造を実行する方法。本方法は、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含む溶解混合複合フィラメントを提供することであって、溶解混合複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、ことと、溶解混合複合フィラメントを軟化温度超で加熱して軟化複合材料を形成する、加熱することと、軟化複合材料を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成する、堆積することと、を含む。任意選択的に、印刷部品の少なくとも一部分がポーリングされ得る。
【0051】
D.溶解混合複合ペレット。溶解混合複合ペレットは、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含み、ペレット形態を画定するように成形され、溶解混合複合ペレットが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する。
【0052】
実施形態A~C及びDの各々は、以下の追加要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有してもよい。
【0053】
要素1:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する。
【0054】
要素2:圧電粒子が、複合フィラメントの約25体積%~約70体積%を含む。
【0055】
要素3:溶解混合複合フィラメントが、空隙を実質的に含まない。
【0056】
要素4:溶解混合複合フィラメントは、相溶化剤及び/又は溶媒を実質的に含まない。
【0057】
要素5:溶解混合複合フィラメントは、約1mm~約10mmの範囲の直径を有する。
【0058】
要素6:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0059】
要素7:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む。
【0060】
要素8:複合フィラメントが、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲の厚さを有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る。
【0061】
要素9:複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの単層膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る。
【0062】
要素10:圧電粒子が、熱可塑性ポリマーと組み合わされる前に、プローブ超音波処理によって処理される。
【0063】
要素11:本方法が、均一な溶解混合物を冷却及び固化させることと、固化後及び均一な溶解混合物の押出前に、均一な溶解混合物を極低温粉砕する、又は均一な溶解混合物を細断することとを更に含む。
【0064】
要素12:印刷部品の少なくとも一部分がポーリングされる。
【0065】
非限定的な実施例として、A~CとDに適用可能な例示的な組み合わせとしては、これらに限定されないが、1と2;1と3及び/又は4;1と5;1と6;1、6と7;1と8;1と10;2と3及び/又は4;2と5;2と6;2、6及び7;2と8;2と10;3及び/又は4と5;3及び/又は4と6;3及び/又は4と7;3及び/又は4と6及び7;3及び/又は4と8;3及び/又は4と10;5と6;5と7、5~7;5と8;5と10;6と7;6と8;6と10;7と8;7と10;並びに8と10が挙げられる。前述のいずれかが12と更に組み合わされてもよい。Bに関して、1~8及び10は、9、11、又は9及び11と更に組み合わせてもよく、又は9及び11は、1~8及び10なしに互いに組み合わせて存在してもよい。
【0066】
本明細書に開示される追加の実施形態は以下を含む。
【0067】
A’.複合フィラメント。複合フィラメントは、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含み、複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子が、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている。
【0068】
B’.複合フィラメントの作製プロセス。本プロセスは、熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを形成する、押出することと、を含み、複合フィラメントが、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子が、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されており、任意選択的に形成すること、混合すること、及び押出しすることが、順次又は同時に行われる。
【0069】
C’.積層造形プロセス。積層造形プロセスは、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の圧電粒子を含む複合フィラメントを提供することであって、複合フィラメントは、溶融フィラメント製造と適合し、溶融フィラメント製造と適合する長さ及び直径を有し、圧電粒子が、複合フィラメントの長さに沿って実質的に凝集されず、分散されている、提供することと、複合フィラメントを融点又は軟化温度以上で加熱して軟化複合材料を形成する、加熱することと、軟化複合材料を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成する、堆積することと、を含み得、加熱すること及び堆積することが順次又は同時に行われる。
【0070】
要素1’:複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が十分な量で存在する。
【0071】
要素2’:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する。
【0072】
要素3’:圧電粒子が、複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む。
【0073】
要素4’:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む。
【0074】
要素5’:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0075】
要素6’:複合フィラメントがスプール可能な長さである、及び/又は圧電粒子が、熱可塑性ポリマーと組み合わされる前に、プローブ超音波処理によって処理される。
【0076】
要素7’:プロセスが、印刷部品の少なくとも一部分をポーリングすることを更に含む。
【0077】
非限定的な実施例として、A’、B’、及びC’に適用可能な例示的な組み合わせとしては、1’と2’;1’と3’;1’-3’;1’と4’;1’、2’、及び4’;1’、3’、及び4’;1’と5’;1’と6’;2’と3’;2’-4’;2’、3’、及び5’;2’と6’;3’と4’;3’と5’;3’-5’;4’と5’;並びに4’と6’が挙げられる。7が、前述のいずれかと更に組み合わされてもよい。
開示項
【0078】
条項1:溶融フィラメント製造と適合する溶解混合複合フィラメントであって、
熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含み、
溶解混合複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、溶解混合複合フィラメント。
【0079】
条項2:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、条項1に記載の複合フィラメント。
【0080】
条項3:圧電粒子が、複合フィラメントの約25体積%~約70体積%を含む、条項1に記載の複合フィラメント。
【0081】
条項4:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、条項1に記載の複合フィラメント。
【0082】
条項5:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、条項1に記載の複合フィラメント。
【0083】
条項6:複合フィラメントが、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲の厚さを有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る、条項1に記載の複合フィラメント。
【0084】
条項7:溶融フィラメント製造と適合する溶解混合複合フィラメントを形成する方法であって、
熱可塑性ポリマーと複数の圧電粒子とを含む溶解物を形成することと、
任意選択的に撹拌しながら溶解物を混合して、圧電粒子が内部に分布された溶解混合物を形成する、混合することと、
溶解混合物を押出して、熱可塑性ポリマーと実質的に非凝集形態で溶解混合された圧電粒子を含む溶解混合複合フィラメントを形成する、押出することと、を含む、方法。
【0085】
条項8:溶解混合複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの単層膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が十分な量で存在する、条項7に記載の方法。
【0086】
条項9:圧電粒子が、熱可塑性ポリマーと組み合わされる前にプローブ超音波処理によって処理される、条項7に記載の方法。
【0087】
条項10:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、条項7に記載の方法。
【0088】
条項11:
溶解混合物を冷却及び固化することと、
固化後及び溶解混合物の押出前に、溶解混合物を極低温粉砕する、又は溶解混合物を細断することと、を更に含む、条項7に記載の方法。
【0089】
条項12:圧電粒子が、溶解混合複合フィラメントの約25体積%~約70体積%を含む、条項7に記載の方法。
【0090】
条項13:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、条項7に記載の方法。
【0091】
条項14:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、条項7に記載の方法。
【0092】
条項15:複合フィラメントが、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲の厚さを有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得る、条項7に記載の方法。
【0093】
条項16:積層造形プロセスであって、
熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含む溶解混合複合フィラメントを提供することであって、
溶解混合複合フィラメントが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、提供することと、
溶解混合複合フィラメントを軟化温度超に加熱して、軟化複合材料を形成する、加熱することと、
軟化複合材料を一層ずつ堆積させて、印刷部品を形成する、堆積することと、を含む、積層造形プロセス。
【0094】
条項17:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、条項16に記載の積層造形プロセス。
【0095】
条項18:圧電粒子が、溶解混合複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む、条項16に記載の積層造形プロセス。
【0096】
条項19:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、条項16に記載の積層造形プロセス。
【0097】
条項20:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、条項16に記載の積層造形プロセス。
【0098】
条項21:印刷部品の少なくとも一部分をポーリングすることを更に含む、条項16に記載の積層造形プロセス。
【0099】
条項22:溶解混合複合ペレットであって、
熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含み、
溶解混合複合ペレットが、APC International Wide-Range d33メータを使用して測定されるように、ポーリング後、約200マイクロメートルの膜厚で約1pC/N以上のd33値を有する単層薄膜として印刷されることが可能であり得るように、圧電粒子が実質的に凝集されず、十分な量で存在する、溶解混合複合ペレット。
【0100】
条項23:溶解混合複合ペレットであって、
熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含み、
圧電粒子が、実質的に凝集されない、溶解混合複合ペレット。
【0101】
条項24:溶融フィラメント製造と適合する溶解混合複合フィラメントであって、
熱可塑性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと溶解混合された複数の圧電粒子とを含み、
圧電粒子が、実質的に凝集されない、溶解混合複合ペレット。
【0102】
条項25:圧電粒子が、約10マイクロメートル以下の平均粒径を有する、条項24に記載の複合フィラメント。
【0103】
条項26:圧電粒子が、複合フィラメントの約10体積%~約85体積%を含む、条項24に記載の複合フィラメント。
【0104】
条項27:熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-ビニルアセテート)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、条項24に記載の複合フィラメント。
【0105】
条項28:圧電粒子が、ジルコン酸チタン酸鉛、ドープドジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛、ニオブ酸マグネシウム鉛-チタン酸鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、チタン酸カルシウム銅、チタン酸ビスマスナトリウム、リン酸ガリウム、石英、トルマリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される圧電材料を含む、条項24に記載の複合フィラメント。
【0106】
条項29:圧電粒子が、ポーリング後に印刷部品に圧電特性を伝達するのに十分な量で存在する、条項24に記載の複合フィラメント。
【0107】
条項30:圧電粒子が、複合フィラメントに圧電性の少なくとも1つの二次特性を伝達するのに十分な量で存在する、請求項24に記載の複合フィラメント。
【0108】
本開示のより良好な理解を促進するために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、決して、本発明の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0109】
粒子凝集体を分解するために、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT、APC International,Ltd.)を、25%の振幅で水中で30分間、Bransonデジタルプローブ超音波装置を使用して超音波処理した。約100マイクロメートルの元のPZT凝集体サイズは、超音波処理後、1~5マイクロメートルのサイズ範囲のPZT粒子をもたらした。
【0110】
実施例1:1:1の形成(重量:重量)ポリアミド:PZT複合体。ポリアミド-12をRTP Companyから入手し、600P Haakeバッチミキサーを使用して、1:1ポリアミド(ポリアミド-12):PZT複合体に加工した。3つのプレート全てについて温度を230℃に設定し、作動させたときにロータ速度を約200rpmに設定した。30gのポリアミド(PA)ペレットを、アイドル中に230℃でミキサーに添加し、ポリアミドを溶解させた(約5分)。溶解が生じた後、ロータを始動させて、スパチュラを使用してPZT(30g)をミキサーにゆっくりと供給した。PZTの添加が完了したら、ミキサーの上部をそのラム装置で閉鎖し、更に30分間、撹拌しながら混合を継続した。30分後、ロータを停止し、得られた溶融複合混合物をアルミニウムパイプレートに排出し、周囲条件下で冷却した。完全に冷却及び固化されると、工業用プレスを使用して、押出物の大きな塊を粉砕した。粒径の更なる低減は、固化した押出物を小型携帯IKAミルで極低温粉砕することによって達成された。極低温粉砕は、固化した押出物の小片を液体窒素に約1分間浸漬し、続いて約15~20秒間粉砕することによって行った。
【0111】
実施例1A:1:3(重量:重量)ポリアミド:PZT複合体。1:3ポリアミド:PZT複合体を、39gのポリアミド-12及び117gのPZTを使用したことを除いて、実施例1の1:1のポリアミド:PZT複合体と同様に調製した。
【0112】
実施例1B:1:3(重量:重量)ポリカプロラクトン:PZT複合体。ポリカプロラクトンをHappy Wire Dog,LLCから入手し、600P Haakeバッチミキサーを使用して、1:3ポリカプロラクトン:PZT複合体に加工した。3つのプレート全てについて温度を最初に80℃に設定し、作動させたときにロータ速度を約200rpmに設定した。30gのポリカプロラクトンのペレットを、アイドル中に80℃でミキサーに添加した。次いで、温度を約250℃まで上昇させ、ポリカプロラクトンを溶解させた(約5分)。溶解が生じた後、ロータを始動させて、スパチュラを使用してPZT(90g)をミキサーにゆっくりと供給した。PZTの添加が完了したら、ミキサーの上部をそのラム装置で閉鎖し、更に30分間、撹拌しながら混合を継続した。30分後、ロータを停止し、得られた溶融複合混合物をアルミニウムパイプレートに排出し、周囲条件下で冷却した。完全に冷却及び固化されると、押出物の大きな塊を、3devo Shred-itポリマー粉砕機を使用して粒状化した。
【0113】
実施例1C:1:1.8の形成(重量:重量)ポリフッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン:PZT複合体。ヘキサフルオロプロピレンとのポリフッ化ビニリデンコポリマー(PVDF-co-HFP、KYNAR FLEX2800-20、Arkema)を、600P Haakeバッチミキサーを使用して、1:1.8PVDF:PZT複合体に加工した。3つのプレート全てについて温度を最初に230℃に設定し、作動させたときにロータ速度を約200rpmに設定した。56gのPVDFを、アイドル中に230℃でミキサーに添加し、ポリマーを溶解させた(約5分)。溶解が生じた後、ロータを始動させて、スパチュラを使用してPZT(103.4g)をミキサーにゆっくりと供給した。粘度の増加により、PZTの添加中にロータ速度が徐々に低下した。PZTの添加が完了したら、ミキサーの上部をそのラム装置で閉鎖し、更に30分間、撹拌しながら混合を継続した。溶解温度は、実行中に設定温度にわたって約10℃まで上昇した。30分後、ロータを停止し、得られた溶融複合混合物をアルミニウムパイプレートに排出し、周囲条件下で冷却した。完全に冷却及び固化されると、押出物の大きな塊を、3devo Shred-itポリマー粉砕機を使用して粒状化した。
【0114】
上記のように調製された複合材料の複数のバッチを組み合わせて、フィラメント押出に十分な材料を得た。実施例1A~1Cは各々、複合体の体積に対して約30体積%のPZTを含有した。
【0115】
実施例1D:スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン:PZT複合体。上記のHaakeミキサーで、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SEBS、Kraton G1657)中のPZTの複合体を調製して、SEBS中で30体積%、40体積%、50体積%、及び60体積%のPZT充填量を有する複合体を得た(それぞれ実施例1D-a、1D-b、1D-c、及び1D-d)。PZT充填量以外、同様の手順を使用して、各複合体を以下の方法で調製した。SEBSポリマーペレットを最初にミキサーに添加し、以下の表1に指定された条件下で約2分間混合及び溶解させた。これらの実験では窒素パージを使用せず、ミキサー供給ポートは開放したままにした。次いで、PZTをゆっくりと添加した。全てのPZTが添加されると、材料を15分間混合し、次いでスチールパンに放出し、周囲条件下で冷却した。冷却及び固化すると、押出物を粉砕ミル内で粉砕し、真空オーブンに入れて乾燥させた。
【表1】
【0116】
実施例2A~2D:フィラメント押出。上記の実施例1A~1Dで調製された複合体を、デジタル電圧読み取り値で修正されたFilabot EX6フィラメント押出機を使用して押出し、モータ速度及び押出速度を制御した。Filabot EX6フィラメント押出機は、供給ポートノズル、後部区域、中間区域、及び前部区域間で区域温度変更が可能である。Filabot EX6フィラメント押出機の空気経路は、供給ポートノズルからの距離に対して、又はジャッキ上の空気経路を上昇させることによって更に調節され得る。この実施例では、空気経路の高さを一定に保ち(出口ノズルポートの2.5cm下方)、押出中に100%の気流を使用した。実質的に一定のフィラメント直径を得るように、空気経路距離を変化させた。以下の表2は、実施例1A~1Dの複合体から複合フィラメントを調製する際に使用される押出条件及びフィラメント特性を要約する。インライン厚さゲージを使用して、フィラメント直径の測定を行った。
【表2】
試料2Aのフィラメント(
図3A及び
図3B)及び試料2B(
図4A及び
図4B)のSEM画像は、PZTがポリマーマトリックス内に十分に分散され、フィラメントが実質的に空隙を含まないことを示した。
【0117】
実施例3:密度測定。複合体(実施例1A~1C)及び対応するフィラメント(実施例2A~2C)の密度値を、AccuPyc1330ガス比重計を使用して判定し、理論密度値と比較した。表3は、密度値を要約する。
【表3】
【0118】
実施例4:印刷試料。上記の実施例2A及び2Bで調製したフィラメントを、以下の表4に指定された条件下でHyrel 30M 3-Dプリンタを使用して印刷した。正方形部品を更なる圧電特性試験のために印刷し(実施例5)、ドッグボーン部品を機械的特性試験のために印刷した(実施例6)。印刷部品の各層は約200μmであった。
【表4】
【0119】
実施例5:圧電特性。2cm
2の正方形試料の圧電特性を、APC International Wide-Range d
33メータを使用して、d
33値を測定することによって評価した。d
33メータは、110Hzの動作周波数及び0.25Nの振幅で1~2000pC/Nのd
33値を測定可能である。d
33値は、圧電材料が設定された印加力(振幅)に供されたときに生成される電荷の量を表す。試験試料を、印刷試料(試料4A及び4B)とした、又は射出成形によって形成した(比較試料)。射出成形比較試料を、Minijector 45及びアルミニウム金型を使用して形成した。実施例1Dの圧電複合体に基づく追加の実験試料を、熱プレスによって形成した。試料及びそれらの圧電特性の更なる説明を以下の表5で提供する。d
33測定を行う前に、全ての試料を、2~10分の範囲の時間、コロナ放電に試料を曝露するコロナポーリング法によってポーリングした。コロナポーリング法では、試料の片側を銀塗料でコーティングし、ワイヤ発生コロナに曝露した。約300μm
2の表面積が所与の時間、コロナに曝露され、コロナへの曝露によって表面全体をポーリングするように試料を移動させた。ポーリングプロセスの変動及びルーチンの試料間の厚さ不整合が、以下の表5に示すd
33値の変動の理由であり得る。更に、ポーリングプロセスは最適化されなかった。
【表5】
他の点では同等の試料中でも、いくらかの変動が存在するが、各試料について測定可能な圧電応答を得た。
【0120】
実施例6:機械的特性。ドッグボーン試料の機械的特性を、Instron3367機器上でASTM D638-14標準試験方法を使用して評価した。実施例2Aの複合フィラメントを使用して作製された印刷ドッグボーン試料とポリアミド単独から調製された印刷ドッグボーン試料とを比較し、実施例1Bのポリアミド複合体から調製された射出成形試料とポリアミド単独から調製された射出成形試料とを比較し、実施例2Aの複合フィラメントとポリアミド単独から作製された比較フィラメントとを比較して分析した。試験結果を以下の表6に示す。
【表6】
【0121】
複合体のヤング率は、各場合においてベースポリマーよりも高く、複合体における剛性の増加を示す。試料のヤング率は、射出成形によって得られたものよりも高く、これは、印刷プロセスの処理パラメータ及び印刷物体自体の構造から生じると考えられる。
【0122】
本明細書に記載される全ての文書は、そのような実施が許可される全ての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載される組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の構成成分、又は組成物を含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙又は開示されていないいかなる工程を欠いてもよい。同様に、用語「備える、含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義であると考えられる。方法、組成物、要素又は要素の群が移行句「備える、含む(comprising)」で先行する場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」で同じ組成物又は要素の群を企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0123】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0124】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
【0125】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0126】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の様式で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。