(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151736
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】遠隔画像表示システム、遠隔画像表示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
A61B5/00 101A
A61B5/00 M
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041392
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2021048615
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 修二
(72)【発明者】
【氏名】千葉 崇人
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB11
4C117XB13
4C117XE43
4C117XE60
4C117XG22
4C117XG34
4C117XG51
4C117XJ14
4C117XJ16
4C117XK09
(57)【要約】
【課題】スペクトルカメラを用いずに被写体のスペクトル画像を取得することで、安価かつ容易に遠隔診療や化粧品のオンラインカウンセリングの精度を向上することが可能な遠隔画像表示システム、遠隔画像表示方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】観察者が表示を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示システムであって、RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された被写体の撮像画像から、被写体の分光反射率を推定する分光反射率推定部と、推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成するスペクトル画像生成部と、観察者の選択に応じて、撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、観察者端末に表示させる出力制御部と、を備える、遠隔画像表示システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示システムであって、
RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する分光反射率推定部と、
前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成するスペクトル画像生成部と、
前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる出力制御部と、
を備える、遠隔画像表示システム。
【請求項2】
前記観察者によって選択された画像の表示領域が1つのみ存在し、かつ前記表示領域に表示される画像が前記観察者によって複数選択されている場合、1つの前記表示領域に対して、前記観察者によって選択された複数の画像を切り替えて表示させる表示切替部、
をさらに備える、請求項1に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記観察者によって選択された画像の表示領域が複数存在し、かつ前記表示領域に表示される画像が前記観察者によって複数選択されている場合に、前記観察者によって選択された複数の画像をそれぞれ対応する前記表示領域に表示させる、
請求項1又は請求項2に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項4】
過去に撮像された前記被写体の撮像画像と、前記撮像画像から推定された前記分光反射率とを関連付けて記憶する過去画像記憶部、
をさらに備え、
前記出力制御部は、前記観察者が前記観察者端末に表示したい画像として前記被写体の過去の画像が選択された場合、該当する画像を前記過去画像記憶部に記憶された情報に基づき取得し、前記観察者端末に表示させる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項5】
前記撮像画像と、前記撮像画像から推定された前記分光反射率と、前記撮像画像に写る被写体に関する症状とを関連付けて記憶する過去画像記憶部、
をさらに備え、
前記出力制御部は、前記観察者が前記観察者端末に表示したい画像に関する症状が入力された場合、前記入力された症状と対応する画像を前記過去画像記憶部に記憶された情報に基づき取得し、前記観察者端末に表示させる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項6】
前記分光反射率推定部は、前記撮像画像から、所定の波長間隔ごとに前記被写体の分光反射率を推定し、
前記スペクトル画像生成部は、前記観察者端末に表示させる前記スペクトル画像の波長が指定された場合、前記指定された波長における前記スペクトル画像を生成する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項7】
前記スペクトル画像生成部は、前記観察者端末に表示させる前記スペクトル画像の波長が所定の範囲で指定された場合、前記指定された範囲内の各波長におけるスペクトルの積分値から前記スペクトル画像を生成する、
請求項6に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記推定された分光反射率と、前記観察者が観察を行う場所の光源に関する光源データとに基づき、前記撮像画像の色を補正する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項9】
前記出力制御部は、前記観察者が前記観察者端末に表示したい画像の撮影時刻、撮影場所の気温もしくは室温、湿度、気圧の少なくともいずれかを前記観察者端末に表示させる、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項10】
前記出力制御部は、前記観察者が前記観察者端末に表示したい画像の撮影時における被写体の体温、血圧の少なくともいずれかを前記観察者端末に表示させる、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の遠隔画像表示システム。
【請求項11】
観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示方法であって、
分光反射率推定部が、RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する過程と、
スペクトル画像生成部が、前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成する過程と、
出力制御部が、前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる過程と、
を含む、遠隔画像表示方法。
【請求項12】
観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示システムとしてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する分光反射率推定手段と、
前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成するスペクトル画像生成手段と、
前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる出力制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔画像表示システム、遠隔画像表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔診療(オンライン診療)や化粧品のオンラインカウンセリングなど、観察者が観察対象である被写体の画像を遠隔からオンラインで観察可能なシステム(以下、「遠隔画像表示システム」とも称される)を利用したオンラインサービスの需要が高まっている。例えば、遠隔診療では、患者が医療機関から遠隔にある場所にて患部等の画像(被写体の画像の一例)を撮像し、医師(観察者の一例)が医療機関にある端末に表示された当該画像に基づき診療を行う。そのため、当該オンラインサービスの需要の高まりに伴い、遠隔地にて撮像された画像を表示するための技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、患者が家にて診断対象を撮像した画像と、当該画像を画素ごとに定量化した画像データから得られる所定データの特徴を示す画像とを、遠隔にある病院の端末に表示する技術が開示されている。当該技術では、画素ごとの4波長(R(Red)、G(Green)、B(Blue)、IR(Infrared))の各色データから、血液濃度、その酸素飽和度、メラニンなどの色素沈着レベルなどの診断に必要な各所定データが算出される。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、スペクトル解析を行っていないため、特定波長のスペクトルを見ることはできない。視診においては、細かい波長ごとのスペクトル画像を見た方が視診の精度が向上する場合がある。そのため、例えば遠隔診療の正確性を向上するためには、医療機関の端末にて患者の患部が撮像された画像のスペクトル画像を表示できることが好ましい。
【0005】
下記特許文献2には、スペクトルカメラで被写体の顔を撮像して得られる分光反射画像(スペクトル画像)を用いて、被写体の皮膚の評価を行う技術が開示されている。当該技術のようにスペクトルカメラを用いることで、例えば患者の患部のスペクトル画像を容易に取得することは可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3417235号公報
【特許文献2】特許第6001245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スペクトルカメラは高価かつ構造が複雑なため、設置環境が限られてしまう。例えば、患者の自宅や救急車内等にスペクトルカメラを設けることは困難である。そこで、スペクトルカメラを用いずに被写体のスペクトル画像を取得することで、安価かつ容易に遠隔診療の精度を向上することが望まれる。
【0008】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、スペクトルカメラを用いずに被写体のスペクトル画像を取得することで、安価かつ容易に遠隔診療や化粧品のオンラインカウンセリングの精度を向上することが可能な遠隔画像表示システム、遠隔画像表示方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る遠隔画像表示システムは、観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示システムであって、RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する分光反射率推定部と、前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成するスペクトル画像生成部と、前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる出力制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る遠隔画像表示方法は、観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示方法であって、分光反射率推定部が、RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する過程と、スペクトル画像生成部が、前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成する過程と、出力制御部が、前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる過程と、を含む。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、観察者が観察を行う場所とは異なる場所にて撮影された被写体の撮像画像を、観察者端末に表示させる遠隔画像表示システムとしてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、RGB画像を撮像する撮像装置によって撮像された前記撮像画像から、前記被写体の分光反射率を推定する分光反射率推定手段と、前記推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成するスペクトル画像生成手段と、前記観察者の選択に応じて、前記撮像画像又は前記スペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、前記観察者端末に表示させる出力制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スペクトルカメラを用いずに被写体のスペクトル画像を取得することで、安価かつ容易に遠隔診療や化粧品のオンラインカウンセリングの精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る遠隔診療システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る分光反射率の推定を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る分光反射率の推定を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る分光反射率の推定を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る分光反射率の推定を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る医師端末における患部画像の表示の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る遠隔診療システムにおける処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システムにおける画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システムにおける表示切替処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る医師端末における患部画像の表示の第1の変形例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システムにおける画像表示処理の流れの第1の変形例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態に係る医師端末における患部画像の表示の第2の変形例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る医師端末における患部画像の表示の第2の変形例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システムにおける画像表示処理の流れの第2の変形例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態に係る患部画像表示画面の変形例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る詳細情報表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
本発明は、観察者が観察対象である被写体の画像を遠隔からオンラインで観察可能なシステム(以下、「遠隔画像表示システム」とも称される)に関する。当該遠隔画像表示システムは、例えば、遠隔診療(オンライン診療)や化粧品のオンラインカウンセリングなどで用いられる。以下の実施形態では、一例として、遠隔画像表示システムが遠隔診療に用いられる例について説明する。
【0015】
<1.遠隔診療システムの構成>
図1を参照して、本実施形態に係る一例として遠隔診療システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る遠隔診療システムの構成の一例を示す図である。遠隔診療システム1000は、医師が患者に対して遠隔診療を行うためのシステムである。本実施形態において、遠隔診療は、医師と患者が距離を隔てたところでインターネット等の情報通信技術を用いて診療を行う行為である。本発明では医師が観察者、患者が被写体にそれぞれ該当する。
以下、本実施形態では、患者宅PHにいる患者が遠隔診療システム1000を利用して、患者宅PHから遠隔地にある病院HSにいる医師より、遠隔診療を受ける例について説明する。
【0016】
図1に示すように、遠隔診療システム1000は、撮像装置10、患者端末20、遠隔診療用画像表示システム30(遠隔画像表示システムの一例)、及び医師端末40(観察者端末の一例)を備えている。撮像装置10及び患者端末20は、患者宅PHに存在している。医師端末40は、病院HSに存在している。
遠隔診療システム1000において、患者端末20、遠隔診療用画像表示システム30、及び医師端末40の各々は、ネットワークNWによって接続されている。
【0017】
(1)撮像装置10
撮像装置10は、RGB画像を撮像する撮像装置である。撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、Webカメラ、ビデオカメラ等である。患者は、撮像装置10を用いて、患部を撮像する。撮像装置10が撮像した患者の患部の撮像画像は、患者端末20を介して、遠隔診療用画像表示システム30へ出力される。
なお、撮像装置10は、患者端末20とは独立したカメラあってもよいし、患者端末20に組み込まれたカメラであってもよい。撮像装置10が患者端末20とは独立したカメラである場合、患者は、有線通信、無線通信、あるいは記憶媒体等を利用して、撮像装置10が撮像した画像を患者端末20へ出力する。
また、患者が患部の撮像に用いる撮像装置10の台数は1台に限定されず、複数台であってもよい。
【0018】
(2)患者端末20
患者端末20は、患者が医師からの遠隔診療を受けるために用いる端末である。患者端末20は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末等である。患者端末20は、ネットワークNWを介して、遠隔診療用画像表示システム30と接続されている。患者は、患者端末20から遠隔診療用画像表示システム30へアクセスし、撮像装置10を用いて撮像した患部の撮像画像を遠隔診療用画像表示システム30へアップロードする。患者は、遠隔診療用画像表示システム30へアップロードした画像をもとにした遠隔診療を医師から受ける。
図1に示すように、患者端末20は、通信部21、入力部22、出力部23、記憶部24、及び制御部25を備える。
【0019】
(2-1)通信部21
通信部21は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部21は、患者の患部の撮像画像や音声を遠隔診療用画像表示システム30へ送信する。また、通信部21は、遠隔診療用画像表示システム30から送信される画像を受信する。通信部21が受信する画像は、例えば、病院HSにて遠隔診療を行う医師の画像や音声である。
【0020】
(2-2)入力部22
入力部22は、患者による入力を受け付ける機能を有する。入力部22は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置によって実現される。当該入力装置は、患者端末20がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、患者端末20に外部接続される装置であってもよい。
【0021】
(2-3)出力部23
出力部23は、各種情報を出力する機能を有する。出力部23は、例えば、ディスプレイ等の表示装置やスピーカ等の音声出力装置によって実現される。当該表示装置及び音声出力装置は、患者端末20がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、患者端末20に外部接続される装置であってもよい。出力部23は、例えば、撮像装置10で撮像した患者の患部の撮像画像を表示装置に表示したり、遠隔診療において表示装置に医師の画像を表示し、音声出力装置から医師の音声を出力したりする。
【0022】
(2-4)記憶部24
記憶部24は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部24は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0023】
(2-5)制御部25
制御部25は、患者端末20の動作全般を制御する機能を有する。制御部25は、例えば、患者端末20がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0024】
(3)遠隔診療用画像表示システム30
遠隔診療用画像表示システム30は、医師が遠隔診療を行う場所とは異なる場所にて医師による遠隔診療を受ける患者の患部を示す患部画像を、医師が遠隔診療に用いる医師端末40に表示させるシステムである。遠隔診療用画像表示システム30は、例えば、サーバ装置等の端末である。遠隔診療用画像表示システム30は、ネットワークNWを介して、患者端末20及び医師端末40のそれぞれと接続されている。
図1に示すように、遠隔診療用画像表示システム30は、通信部31、記憶部32、及び制御部33を備える。
【0025】
(3-1)通信部31
通信部31は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部31は、患者端末20から患者の患部の撮像画像や音声を受信したり、医師端末40から医師の画像や音声、医師が入力した情報を受信したりする。通信部31は、患者端末20から受信した患者の患部の撮像画像を過去画像データベース324(請求項における過去画像記憶部の一例)に書き込んで記憶させる。過去画像データベース324への書き込みは、例えばバックグラウンドで自動的に行われてもよいし、医師側の操作に基づき行われてもよい。
また、通信部41は、医師端末40に出力させる情報(例えば患者の患部を示す患部画像や音声)を医師端末40へ送信したり、患者端末20に出力させる情報(例えば医師の画像や音声)を患者端末20へ送信したりする。
【0026】
(3-2)記憶部32
記憶部32は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部32は、記憶媒体、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
図1に示すように、記憶部32は、撮像装置分光感度データベース321、分光反射率データベース322、光源データベース323、及び過去画像データベース324を備える。
【0027】
(3-2-1)撮像装置分光感度データベース321
撮像装置分光感度データベース321には、撮像装置10の各々の識別情報と、当該識別情報の示す撮像装置10の分光感度とが組として、予め書き込まれて記憶されている。
【0028】
(3-2-2)分光反射率データベース322
分光反射率データベース322には、色見本の各々の識別情報と、当該識別情報の示す色見本の分光反射率との組、または、撮像対象(例えば人体表面)の各々の識別情報と、当該識別情報の示す撮像対象の分光反射率との組が、予め書き込まれて記憶されている。
【0029】
なお、分光反射率データベース322に色見本の分光反射率が記憶されている場合、患者は、患部と色見本とが一緒に写るように撮像装置10で患部と色見本とを撮像する。
【0030】
(3-2-3)光源データベース323
光源データベース323には、光源の各々の識別情報と、当該識別情報の示す光源の分光分布(光源分光分布)とが組として、予め書き込まれて記憶されている。光源は、例えば、太陽光、蛍光灯等である。
【0031】
(3-2-4)過去画像データベース324
過去画像データベース324は、過去に撮像された患者の患部の撮像画像、過去に推定された分光反射率、当該分光反射率の各々の波長毎のスペクトル強度の推定結果、各種症例に対応する画像が記憶されている。
【0032】
(3-3)制御部33
制御部33は、遠隔診療用画像表示システム30の動作全般を制御する機能を有する。制御部33は、例えば、遠隔診療用画像表示システム30がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。
図1に示すように、制御部33は、データ取得部331、分光反射率推定部332、画像選択部333、スペクトル画像生成部334、出力制御部335、及び表示切替部336を備える。
【0033】
(3-3-1)データ取得部331
データ取得部331は、各種データを取得する機能を有する。例えば、データ取得部331は、分光反射率の推定に必要なデータを各データベースから取得する。具体的に、データ取得部331は、撮像装置分光感度データベース321から、患者が患部の撮像に用いた撮像装置10の分光感度を取得する。また、データ取得部331は、分光反射率データベース322から、色見本の分光反射率、あるいは撮像対象の分光反射率を取得する。また、データ取得部331は、光源データベース323から、患者が患部を撮像した際の光源の分光分布を取得する。また、データ取得部331は、過去画像データベース324から撮像画像を取得する。
【0034】
(3-3-2)分光反射率推定部332
分光反射率推定部332は、撮像装置10によって撮像された患者の患部の撮像画像から、患部の分光反射率を推定する機能を有する。分光反射率推定部332は、撮像画像の画素毎に分光反射率を推定する。分光反射率推定部332は、推定した分光反射率を撮像画像と関連付けて過去画像データベース324に書き込んで記憶させる。
具体的に、分光反射率推定部332は、撮像装置分光感度データベース321に記憶された撮像装置の分光感度(RGB画像の各々の分光感度)、分光反射率データベース322に記憶されている基底ベクトル群、光源データベース323に記憶された撮像光源の分光分布、及びデータ取得部331によって過去画像データベース324から取得された患者の患部が撮像されたRGB画像の画像データから、患者の患部の分光反射率を推定する。
【0035】
本実施形態において、分光反射率推定部332は、例えば、データ取得部331が取得した患部の撮像画像から、所定の波長間隔ごとに患部の分光反射率を推定する。一例として、分光反射率推定部332は、400nmから700nmの範囲で10nmごとに分光反射率を推定する。即ち、分光反射率推定部332は、400nmから700nmの波長単位を、10nm刻みでサンプリングして、31次元ベクトルとして分光反射率を推定する。
【0036】
ここで、分光反射率の推定処理について、具体的に説明する。
一般に、ある対象物を汎用的な撮像装置(以下、カメラという)により撮像した場合、取得される画像データの画像座標xにおける輝度値pm,k(x)は、以下の(1)式で表される。ここで、mはカメラに付した番号、kはカメラのチャネル、s(λ,x)は画像座標xにおける波長λの分光反射率、l(λ)は光源における波長λの分光分布、cm,k(x)は画像座標xにおけるカメラmのチャネルkの分光感度、をそれぞれ示している。なお、チャネルは、カメラが撮像可能な色の要素を示しており、例えば、RGB画像を撮像するカメラであれば、R、G、Bの別を表す。
【0037】
【0038】
(1)式に示すように、画像座標xにおけるカメラmのチャネルkの輝度値pm,k(x)は、画像座標xにおけるカメラmのチャネルkの分光反射率s(λ,x)と、光源の分光分布l(λ)と、画像座標xにおけるカメラmのチャネルkの分光感度cm,k(x)との積を、波長λで積分した積分値で示される。
参考文献1(Do It Yourself Hyperspectral Imaging with Everyday Digital Cameras, Seoung Wug Oh, 2016 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)によれば、光源の分光分布l(λ)は、分光分布基底ベクトルと、基底係数を用いて、以下の(2)式で定義される。ここで、ajはj番目の基底ベクトルに乗算する基底係数、ejはj番目の分光分布基底ベクトル、をそれぞれ示している。
【0039】
【0040】
(2)式において、参考文献1によれば、Na=6を用いている。Na=6の場合、光源の分光分布l(λ)は1番目の分光分布基底ベクトルから6番目の分光分布基底ベクトルに各々の基底係数ajを乗算したものを加算したデータとして表現される。すなわち、この場合において、光源の分光分布l(λ)は第1主成分から第6主成分までを用いて表現される。
【0041】
ここで、光源の分光分布l(λ)を、幾つの主成分を用いて表現するかは、制御部33の演算処理能力や、表現する分光分布データに要求される精度に応じて任意に決定されてよい。一般に、主成分分析においては、多くの主成分を用いてデータを表現する方が精度よくデータを表現することが可能であるが、その一方で、主成分の数が多くなる程、扱う変数の数が多く処理負荷が重くなる。また、主成分の数が多くなる程ノイズの影響を受けて処理が不安定になり易い傾向にあり、主成分にノイズがない状態であれば精度よくデータを表現できるが、ノイズがある状態では表現するデータの精度が著しく劣化する場合がある。
【0042】
参考文献1によれば、画像座標xにおける対象物の分光反射率s(λ,x)は、分光反射率基底ベクトルと、基底係数を用いて、以下の(3)式で定義される。ここで、rj(x)は画像座標xにおけるj番目の基底ベクトルに乗算する基底係数、bjはj番目の分光分布基底ベクトル、をそれぞれ示している。
【0043】
【0044】
(3)式において、参考文献1によれば、Nr=8を用いている。Nr=8の場合、画像座標xにおける対象物の分光反射率s(λ,x)は1番目の分光反射率基底ベクトルから8番目の分光反射率基底ベクトルに各々の基底係数rj(x)を乗算したものを加算したデータとして表現される。すなわち、この場合において、対象物の分光反射率s(λ,x)は第1主成分から第8主成分までを用いて表現される。
【0045】
ここで、対象物の分光反射率s(λ,x)を、幾つの主成分を用いて表現するかは、主成分として扱うことが可能な数の上限を超えない範囲において、制御部33の演算処理能力や、表現する分光反射率データに要求される精度に応じて任意に決定されてよい。
【0046】
分光反射率データにおいて主成分として扱うことが可能な数の上限は、例えば、撮像条件(撮像時におけるカメラの分光感度)の数に基づいて決定される。この上限は、互いに分光感度が異なる複数のカメラの各々によりRGB画像を撮像した場合、カメラの台数にチャネル数を乗算した値から1を引いた数である。例えば、3台のカメラの各々によりRGB画像を撮像した場合、上限は、(カメラの台数=3)×(チャネル数=3)-1、つまり8である。
【0047】
上述した(2)式、及び(3)式を、(1)式に適応することにより、画像座標xにおける輝度値pm,k(x)は、以下の(4)式で表される。ここで、太字のAは積分記号により表される積分項を行列に置き換えて表したものである。Am,k(i,j)は、カメラmのチャネルkについての積分項における(i、j)成分を示している。
【0048】
【0049】
(4)式のΣ(シグマ)記号で示される項をベクトル(行列の積)に置き換えることで、以下の(5)式に示すように、画像座標xにおける輝度値pm,k(x)は、行列式で表現することができる。ここで、太字のrは画像座標xにおける分光反射率基底ベクトル群の各々の基底係数を示す行列、太字のaは分光分布基底ベクトル群の各々の基底係数を示す行列、太字のAはカメラmのチャネルkについての積分項の各々を示すNr×Naの行列を示している。
【0050】
【0051】
(5)式の左辺は画像座標xにおける輝度値pm,k(x)を示し、右辺はスペクトル情報を示している。輝度値pm,k(x)は、RGB画像であれば、ある一つの画素におけるRGB値を表す。すなわち、(5)式はある一つの画素におけるRGB値とスペクトル情報との関係を示すということができる。(5)式に対して、RGB画像を構成するn個の各画素におけるRGB値とスペクトル情報との関係は、以下の(6)式で表される。ここで、太字のpは各画像座標における輝度値を示す行列、太字のRは各画像座標における分光反射率基底ベクトル群の各々の基底係数を示すNr×nの行列、太字のaは分光分布基底ベクトル群の各々の基底係数を示す行列、太字のAはカメラmのチャネルkについての積分項の各々を示すNr×Naの行列を示している。なお、nはRGB画像全体の画素数(pixel(ピクセル)数)を示している。
【0052】
【0053】
分光反射率推定部332は、データ取得部331から取得した画像データについて、上述した(6)式が成立し得る行列R(分光反射率の基底係数)、及び行列a(光源分光分布の基底係数)を、最小二乗法により推定する。分光反射率推定部332は、推定した行列Rを(3)式に代入することにより患者の患部の分光反射率s(λ,x)を推定することができる。また、分光反射率推定部332は、推定した行列aを(2)式に代入することにより撮像光源の分光分布l(λ)を推定することができる。
【0054】
ここで、
図2から
図5を参照して、分光反射率推定部332が、最小二乗法により(6)式における行列R、及び行列aを推定する方法について説明する。
図2~
図5は、本発明の実施形態に係る分光反射率の推定を説明するための図である。
【0055】
図2は、(6)式に最小二乗法を適用した式である(7)式を示している。(7)式において、左辺の^(ハット)付き太字のRは分光反射率の基底係数の推定値、^(ハット)付き太字のaは分光分布の基底係数の推定値を示している。(7)式の右辺は(6)式における左辺と右辺との差分(ベクトル空間における距離)の二乗を、全てのチャネル、全てのカメラについて加算したものが最小となる行列R、及び行列aの組合せを示している。
【0056】
分光反射率推定部332は、データ取得部331から取得した画像データにおけるRGB画像の輝度値を、(7)式の輝度値pm,kに代入する。また、分光反射率推定部332は、分光反射率データベース322から取得した分光分布基底ベクトル群、分光反射率基底ベクトル群、及びデータ取得部331から取得した画像データにおける分光感度を、(7)式の行列Aに代入する。そして、分光反射率推定部332は、各々を代入した(7)式を解くことにより、分光反射率の基底係数の推定値、及び分光分布の基底係数の推定値を算出する。
【0057】
図3は(7)式に平滑化を示す項を加えた式である(8)式を示している。(8)式において、平滑化パラメータα及びβは、平滑化を示す項(平滑化項)に乗算される係数であり、平滑化を行う度合い(強さ)に応じて定まる任意の正の実数である。
【0058】
最小二乗法においては、ノイズなどの外乱の影響を強く受け易い。このため、分光反射率推定部332は、データ取得部331から取得した画像データに誤差がある場合、(7)式を解いても適切な推定を行うことが困難となる。そこで、分光反射率推定部332は、(7)式に平滑化項を加えた(8)式を解くようにしてもよい。ここで、平滑化項は、分光反射率s(λ,x)に関する項と、分光分布l(λ)に関する項があってよい。分光反射率s(λ,x)に関する平滑化項は、分光反射率s(λ,x)を波長λにより二次微分した値の二乗値を波長λについて積分したものを、全画素について加算したものである。分光分布l(λ)に関する平滑化項は、分光分布l(λ)を波長λにより二次微分した値の二乗値を波長λについて積分したものを、全画素について加算したものである。
【0059】
分光反射率推定部332は、(7)式に平滑化項を加えた(8)式を解くことにより、画像データに誤差ある場合であっても、より適切な推定を行うことが可能である。なお、平滑化項は、分光反射率に関する平滑化項と、分光分布に関する平滑化項との両方あってもよいし、何れか一方のみであってもよい。
【0060】
図4は、(8)式に制約条件を付した式である(9)式を示している。(8)式における分光反射率s(λ,x)、及び分光分布l(λ)は負の値となることはない。このため、分光反射率推定部332は、(9)式に示すように、(8)式の分光反射率s(λ,x)、及び分光分布l(λ)が共に正の値となる制約条件を課して、分光反射率の基底係数の推定値、及び分光分布の基底係数の推定値を算出する。これにより、分光反射率s(λ,x)、及び分光分布l(λ)の少なくとも一方が負となる場合が理論上あったとしても、それを除いた推定を行うことができる。
【0061】
図5は、(9)式を行列形式で示した式である(10)式を示している。(10)式において分光反射率s(λ,x)に関する平滑化項は、二次微分行列W、分光反射率基底ベクトル行列B、及び分光反射率の基底係数行列Rの積で示される。また、分光分布l(λ)に関する平滑化項は、二次微分行列W、分光分布基底ベクトル行列E、及び分光分布の基底係数行列aの積で示される。ここで、行列B
v,iはバンドvにおけるi番目の分光反射率基底ベクトルを示す。行列E
v,jはバンドvにおけるj番目の分光分布基底ベクトルを示す。なお、バンドは、スペクトル画像における分光された帯域を示しており、例えば、波長400nmから700nmまでの帯域を10nm毎にサンプリングした31バンドで構成される。
【0062】
一般に、(9)式について、行列R、及び行列aの双方を同時に解くことは困難である。そこで、分光反射率推定部332は、行列Rに対する最適化と、行列aに対する最適化とを交互に行い、行列Rと行列aとを収束させる。
【0063】
(3-3-3)画像選択部333
画像選択部333は、医師端末40に表示させる画像を選択する機能を有する。画像選択部333は、例えば、医師によって選択された画像を医師端末40に表示させる画像として選択する。
【0064】
具体的に、医師が撮像画像を選択した場合、画像選択部333は、撮像画像を医師端末40に表示させる画像として選択する。この場合、撮像装置10で撮影された撮像画像が、医師端末40に表示される撮像画像として取得される。
【0065】
一方、医師がスペクトル画像を選択した場合、画像選択部333は、スペクトル画像を医師端末40に表示させる画像として選択する。この場合、後述するスペクトル画像生成部334によって生成されるスペクトル画像が、医師端末40に表示されるスペクトル画像として取得される。
【0066】
本実施形態において医師は、後述する医師端末40の表示画面に表示される患部画像表示画面にて、医師端末40に表示させる画像を2つ選択することができる。なお、医師は、患部画像表示画面にてスペクトル画像を選択した場合、医師端末40に表示させるスペクトル画像の生成に用いる分光反射率の波長を指定することができる。
【0067】
(3-3-4)スペクトル画像生成部334
スペクトル画像生成部334は、推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成する機能を有する。スペクトル画像生成部334は、生成したスペクトル画像を撮像画像と関連付けて過去画像データベース324に書き込んで記憶させる。
【0068】
例えば、スペクトル画像生成部334は、医師端末40に表示させるスペクトル画像の波長が指定された場合、指定された波長におけるスペクトル画像を生成する。一例として、医師が、医師端末40に表示させるスペクトル画像の波長に540nmを指定したとする。この場合、スペクトル画像生成部334は、分光反射率推定部332によって推定された分光反射率の波長540nmにおけるスペクトルから、スペクトル画像を生成する。
また、スペクトル画像生成部334は、医師端末40に表示させるスペクトル画像の波長が所定の範囲で指定された場合、指定された範囲内の各波長におけるスペクトルの積分値からスペクトル画像を生成する。一例として、医師が、医師端末40に表示させるスペクトル画像の波長を波長540nmから波長550nmの範囲で指定したとする。この場合、スペクトル画像生成部334は、分光反射率推定部332によって推定された分光反射率の波長540nmにおけるスペクトルと、波長540nmにおけるスペクトルとの積分値からスペクトル画像を生成する。
【0069】
なお、スペクトル画像生成部334は、医師に指定された波長における分光反射率が分光反射率推定部332によって推定されていない場合、推定されている分光反射率の内、指定された波長の近傍の分光反射率に基づき、スペクトル画像を生成する。
例えば、医師が、医師端末40に表示させるスペクトル画像の波長として543nmを指定したとする。本実施形態において分光反射率推定部332は、400nmから700nmの範囲内で10nmごとに分光反射率を推定する。そのため、波長543nmの分光反射率は、分光反射率推定部332によって推定されていない。この場合、スペクトル画像生成部334は、波長543nmの近傍である540nmと550nmの分光反射率を重み付き平均した値を用いて、スペクトル画像を生成する。
【0070】
なお、各分光反射率に対する重み付けの値には、任意の値が設定されてよい。例えば、指定された波長が543nmである場合、波長543nmは、波長540nm寄りの値である。この場合、スペクトル画像生成部334は、波長540nmの分光反射率に対する重みに、波長550nmの分光反射率に対する重みよりも大きい値を設定する。
また、指定された波長が545nmである場合、波長545nmは、波長540nmと波長550nmの中間値である。この場合、スペクトル画像生成部334は、波長540nmの分光反射率に対する重みと波長550nmの分光反射率に対する重みに同じ値を設定する。
【0071】
なお、スペクトル画像生成部334は、分光反射率をカラースケール化した画像をスペクトル画像として生成してもよいし、光源データベース323から選択した光源に応じてRGB画像化した画像をスペクトル画像として生成してもよい。
【0072】
(3-3-5)出力制御部335
出力制御部335は、医師端末40に表示させる患部画像の出力を制御する機能を有する。例えば、出力制御部335は、医師の選択に応じて、撮像画像又はスペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、患部画像として医師端末40に表示させる。なお、出力制御部335は、通信部31が患者端末20から受信した患部画像をそのまま医師端末40に表示させてもよいし、過去画像データベース324に記憶されている患部画像を取得して医師端末40に表示させてもよい。
本実施形態では、医師は、医師端末40の表示画面に表示される患部画像表示画面にて、患部画像表示画面に表示させる患部画像を2つ選択することができる。ただし、当該患部画像表示画面に患部画像が表示される表示領域が1つのみであるとする。即ち、出力制御部335は、医師が2つの画像を選択した後の患部画像表示画面の初期表示において、選択した2つの画像の内のいずれか一方の画像のみを当該表示領域に表示させる。
なお、当該初期表示にて表示領域に表示されなかった方の患部画像は、後述する表示切替部336の機能によって、初期表示以降に患部画像表示画面の表示領域に表示され得る。
【0073】
(3-3-6)表示切替部336
表示切替部336は、医師端末40に表示させる患部画像の表示を切り替える機能を有する。例えば、医師によって選択された画像の表示領域が患部画像表示画面に1つのみ存在し、かつ当該表示領域に表示される画像が医師によって複数選択されているとする。この場合、表示切替部336は、1つの表示領域に対して、医師によって選択された複数の画像を切り替えて表示させる。
かかる構成により、医師は、複数の患部画像を見比べながら遠隔診療を行うことができる。
【0074】
一例として、患部画像表示画面に表示させる患部画像として、医師が撮像画像とスペクトル画像の2つの患部画像を選択したとする。この場合、表示切替部336は、撮像画像とスペクトル画像を交互に切り替えながら表示領域に表示させる。
表示切替部336は、例えば、医師による表示切替操作が入力された際に、表示領域に表示する患部画像を切り替える。例えば、患部画像表示画面に表示切替ボタンが設けられているとする。この場合、表示切替部336は、医師が当該表示切替ボタンを押す表示切替操作を行うごとに、表示領域に表示する患部画像を切り替える。
【0075】
なお、表示切替部336は、医師による表示切替操作が入力されなくても、表示領域に表示する患部画像を所定の時間間隔で継時的に切り替えてもよい。かかる構成により、表示切替部336は、医師が表示切替操作を入力する手間を省くことができる。
【0076】
(4)医師端末40
医師端末40は、医師が患者に対して遠隔診療を行うために用いる端末である。医師端末40は、例えば、PC、スマートフォン、タブレット端末等である。医師端末40は、ネットワークNWを介して、遠隔診療用画像表示システム30と接続されている。医師は、医師端末40から遠隔診療用画像表示システム30へアクセスし、医師端末40に表示される患者の患部画像をもとに、患者に対して遠隔診療を行う。
図1に示すように、医師端末40は、通信部41、入力部42、出力部43、記憶部44、及び制御部45を備える。
【0077】
(4-1)通信部41
通信部41は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部41は、医師の画像を遠隔診療用画像表示システム30へ送信する。また、通信部41は、遠隔診療用画像表示システム30から送信される画像や音声を受信する。通信部41が受信する画像は、例えば、遠隔診療を受ける患者の患部を示す患部画像や患者の音声である。
【0078】
(4-2)入力部42
入力部42は、医師による入力を受け付ける機能を有する。入力部42は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置によって実現される。当該入力装置は、医師端末40がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、医師端末40に外部接続される装置であってもよい。
医師は、入力部42を操作して、出力部43に表示された画面に対して各種入力を行う。例えば、医師は、遠隔診療用画像表示システム30へアクセスし、診療対象である患者を識別する識別情報を入力する。患者を識別する情報は、例えば診察券番号、救急医療の際に付与される患者番号などである。また、同一の患者であっても、複数の患部が存在する場合、患者番号の他に、患部を識別する患部番号を入力してもよい。また、医師は、出力部43に表示させる患部画像の種類を選択する操作を入力する。
【0079】
(4-3)出力部43
出力部43は、各種情報を出力する機能を有する。出力部43は、例えば、ディスプレイ等の表示装置やスピーカ等の音声出力装置によって実現される。当該表示装置及び音声出力装置は、医師端末40がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、医師端末40に外部接続される装置であってもよい。出力部43は、例えば、遠隔診療において表示装置に患者の患部画像を表示し、音声出力装置から患者の音声を出力する。
【0080】
ここで、
図6を参照して、本実施形態に係る医師端末40における患部画像の表示について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る医師端末40における患部画像の表示の一例を示す図である。医師端末40には、例えば、
図6に示す患部画像表示画面50が表示される。
【0081】
患部画像表示画面50において、「画像1」の選択欄51は、撮像装置10によって撮像された患者の患部の撮像画像か、あるいは当該撮像画像から推定された分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像のいずれを表示するかを選択する欄である。
欄52は、スペクトル画像を選択欄51で選択した場合に、表示するスペクトル画像の最小波長を入力する欄である。
欄53は、スペクトル画像を選択欄51で選択した場合に、表示するスペクトル画像の最大波長を入力する欄である。
欄52及び欄53における入力形式は、例えば、テキスト入力やプルダウンである。プルダウンの場合、所定の波長間隔(例えば10nm間隔)で波長を選択可能とする。
【0082】
ここで、欄52における最小波長のみを設定し、欄53には設定を行わない場合、欄52の波長のスペクトル画像のカラースケール化した画像が表示される。
一方、欄52及び欄53の各々に最小波長、最大波長それぞれを設定した場合、欄52から欄53の各波長におけるスペクトル画像の積分値、すなわちそれぞれの画素のスペクトルの積算値をカラースケール化した画像が表示される。
【0083】
同様に、「画像2」の選択欄54は、撮像装置10によって撮像された患者の患部の撮像画像か、あるいは当該撮像画像から推定された分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像のいずれを表示するかを選択する欄である。
欄55は、スペクトル画像を選択欄54で選択した場合に、表示するスペクトル画像の最小波長を入力する欄である。
欄56は、スペクトル画像を選択欄54で選択した場合に、表示するスペクトル画像の最大波長を入力する欄である。
欄55及び欄56における入力形式は、例えば、テキスト入力やプルダウンである。プルダウンの場合、所定の波長間隔(例えば10nm間隔)で波長を選択可能とする。
【0084】
ここで、欄55における最小波長のみを設定し、欄56には設定を行わない場合、欄55の波長のスペクトル画像のカラースケール化した画像が表示される。
一方、欄55及び欄56の各々に最小波長、最大波長それぞれを設定した場合、欄55から欄56の各波長のスペクトル画像の積分値、すなわちそれぞれの画素のスペクトルの積算値をカラースケール化した画像が表示される。
【0085】
表示領域57は、選択欄51で選択された表示画像58a、あるいは選択欄54で選択された表示画像58bのいずれかが表示される領域である。
【0086】
表示切替ボタン59は、マウス等で押下される毎に、表示領域57に表示される画像を切り替える。例えば、表示切替ボタン59は、マウス等で押下される毎に、選択欄51で選択された表示画像58aと、選択欄54で選択された表示画像58bとを順次切り替えて、表示領域57に表示させる。
【0087】
なお、患部画像表示画面50における画像1と画像2の組み合わせは、
図6に示した撮像画像とスペクトル画像の組み合わせに限定されない。例えば、画像1と画像2の組み合わせは、スペクトル画像と撮像画像の組み合わせ、撮像画像と撮像画像の組み合わせ、スペクトル画像とスペクトル画像の組み合わせのいずれであってもよい。
【0088】
(4-4)記憶部44
記憶部44は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部44は、記憶媒体、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0089】
(4-5)制御部45
制御部45は、医師端末40の動作全般を制御する機能を有する。制御部45は、例えば、医師端末40がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。
【0090】
<2.処理の流れ>
続いて、
図7から
図9を参照して、本実施形態に係る処理の流れについて説明する。なお、以下で説明する処理の流れでは、患部画像表示画面にて選択可能な画像数は2つで、患部画像表示画面に表示可能な患部画像数は1つであるとする。
【0091】
(1)遠隔診療システムにおける処理の流れ
まず、
図7を参照して、遠隔診療システム1000における処理の流れについて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る遠隔診療システム1000における処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0092】
図7に示すように、まず、患者は、撮像装置10に対して撮像操作を行う(ステップS101)。
撮像装置10は、患者からの撮像操作を受けて、患者の患部を撮像する(ステップS102)。
撮像後、撮像装置10は、患者の患部の撮像画像を患者端末20へ送信する(ステップS103)。
患者は、患者端末20から遠隔診療用画像表示システム30へアクセスする。患者は、患者端末20に表示されるアップロード画面を操作して、遠隔診療用画像表示システム30へ撮像画像をアップロードする操作を行う(ステップS104)。
ユーザからアップロード操作を入力された患者端末20は、撮像装置10から受信した撮像画像を、通信部21からネットワークNW経由で遠隔診療用画像表示システム30へ送信する(ステップS105)。
【0093】
遠隔診療用画像表示システム30の通信部31は、患者端末20から受信した撮像画像を過去画像データベース324に書き込んで記憶させる(ステップS106)。
データ取得部331は、分光反射率の推定に必要なデータを各データベースから取得する(ステップS107)。具体的に、データ取得部331は、撮像装置分光感度データベース321から撮像装置10の分光感度、分光反射率データベース322から撮像対象の分光反射率、光源データベース323から光源の分光分布、過去画像データベース324から撮像画像を取得する。
分光反射率推定部332は、データ取得部331が取得した各データに基づき、撮像画像に写る患者の患部の分光反射率を推定する(ステップS108)。
【0094】
医師は、患者が患部の撮像画像を遠隔診療用画像表示システム30へアップロードした後に、医師端末40から遠隔診療用画像表示システム30へアクセスする。医師は、医師端末40に表示される患部画像表示画面を操作して、患部画像表示画面に表示したい画像を選択する操作を行う(ステップS111)。
医師によって画像選択操作を入力された医師端末40は、医師が選択した画像の情報を示す選択情報を遠隔診療用画像表示システム30へ送信する(ステップS112)。
遠隔診療用画像表示システム30は、医師端末40から受信した選択情報に基づき、画像表示処理を行う(ステップS113)。なお、画像表示処理の詳細は後述する。
画像表示処理後、遠隔診療用画像表示システム30は、医師が選択した画像を患部画像として、医師端末40に表示させる(ステップS114)。
【0095】
医師は、医師端末40に患部画像が表示された後に、医師端末40に表示された患部画像表示画面を操作して、患部画像の表示を切り替える操作を行う(ステップS121)。
医師によって表示切替操作を入力された医師端末40は、医師が表示切替操作を行ったことを示す切替情報を遠隔診療用画像表示システム30へ送信する(ステップS122)。
遠隔診療用画像表示システム30は、医師端末40から受信した切替情報に基づき、表示切替処理を行う(ステップS123)。なお、表示切替処理の詳細は後述する。
表示切替処理後、遠隔診療用画像表示システム30は、切替後の画像を患部画像として、医師端末40に表示させる(ステップS124)。
【0096】
(2)遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れ
次に、
図8を参照して、遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れについて説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、画像表示処理において、定数Nは、患部画像表示画面にて選択可能な画像数を示す。変数nは、画像の選択処理が行われた回数を示す。
【0097】
図8に示すように、まず、画像選択部333は、医師によって選択された画像を選択するために、初期化処理を行う(ステップS201)。初期化処理では、定数Nに対して患部画像表示画面にて選択可能な画像数(例えば2)を設定し、変数nには0を設定する。
画像選択部333は、n<Nであるか否かを判定する(ステップS202)。n<Nである場合(ステップS202/YES)、画像選択部333は、処理をステップS203へ進める。一方、n<Nでない場合(ステップS202/NO)、画像選択部333は、処理をステップS207へ進める。
【0098】
ステップS203にて、画像選択部333は、医師によって選択された画像nの種類が撮像画像であるか否かを判定する。医師によって選択された画像nの種類が撮像画像である場合(ステップS203/YES)、画像選択部333は、処理をステップS204へ進める。一方、医師によって選択された画像nの種類が撮像画像でない場合(ステップS203/NO)、画像選択部333は、処理をステップS205へ進める。
【0099】
ステップS204にて、データ取得部331は、過去画像データベース324から撮像画像を取得し、処理をステップS206へ進める。
ステップS205にて、スペクトル画像生成部334は、分光反射率推定部332が推定した分光反射率に基づき、スペクトル画像を生成し、処理をステップS206へ進める。
ステップS206にて、画像選択部333は、変数nの値を1だけカウントアップする。カウントアップ後、画像選択部333は、n<Nでなくなるまで、処理をステップS202から繰り返す。
【0100】
ステップS207にて、出力制御部335は、医師が画像1として選択した画像を医師端末40に表示させる。画像1の表示後、画像表示処理を終了する。
なお、出力制御部335は、医師が画像2として選択した画像を医師端末40に表示させてもよい。
【0101】
(3)遠隔診療用画像表示システム30における表示切替処理の流れ
次に、
図9を参照して、遠隔診療用画像表示システム30における表示切替処理の流れについて説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30における表示切替処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0102】
図9に示すように、まず、表示切替部336は、医師端末40に画像1が表示されているか否かを判定する(ステップS301)。
医師端末40に画像1が表示されている場合(ステップS301/YES)、表示切替部336は、医師端末40に表示させる画像を画像1から画像2へ切り替える(ステップS302)。
一方、医師端末40に画像2が表示されている場合(ステップS301/NO)、表示切替部336は、医師端末40に表示させる画像を画像2から画像1へ切り替える(ステップS303)。
画像の切替後、表示切替処理を終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30は、医師が遠隔診療を行う場所とは異なる場所にて、当該医師による遠隔診療を受ける患者の患部を示す患部画像を、医師が遠隔診療に用いる医師端末40に表示させるシステムである。
遠隔診療用画像表示システム30は、分光反射率推定部332、スペクトル画像生成部334、及び出力制御部335を備える。
分光反射率推定部332は、RGB画像を撮像する撮像装置10によって撮像された患部の撮像画像から、患部の分光反射率を推定する。
スペクトル画像生成部334は、推定された分光反射率の所定の波長におけるスペクトルからスペクトル画像を生成する。
出力制御部335は、医師の選択に応じて、撮像画像又はスペクトル画像の少なくともいずれか一方の画像を、患部画像として医師端末40に表示させる。
【0104】
かかる構成により、本実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30は、RGB画像からスペクトル画像を生成することができるため、スペクトル画像の取得のために高価なスペクトルカメラを備える必要がない。また、患者及び医師は、スペクトルカメラを用いるための設備環境を整える必要がないため、容易に本システムを利用することができる。また、医師は、遠隔診療用画像表示システム30の機能によって生成されるスペクトル画像により、患者の患部の色を視認する際における特性が統一されるため、遠隔診療の精度を向上することができる。
【0105】
よって、本実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30は、スペクトルカメラを用いずに患者の患部のスペクトル画像を取得することで、安価かつ容易に遠隔診療の精度を向上することを可能とする。
【0106】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明した。続いて、本発明の実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0107】
(1)第1の変形例
上述の実施形態では、医師によって選択された画像の表示領域が患部画像表示画面に1つのみ存在する例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、医師によって選択された画像の表示領域は、患部画像表示画面に複数存在してもよい。
この場合、出力制御部335は、表示領域に表示される画像が医師によって複数選択されている場合に、医師によって選択された複数の画像をそれぞれ対応する表示領域に表示させる。
かかる構成により、患部画像表示画面には、複数の患部画像が表示される。これにより、医師は、表示切替操作を行うことなく、複数の患部画像を見比べながら遠隔診療を行うことができる。
【0108】
ここで、
図10及び
図11を参照して、医師端末40における患部画像の表示と、遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れの第1の変形例について説明する。なお、
図10及び
図11に示す例では、患部画像表示画面にて選択可能な画像数は2つで、患部画像表示画面に表示可能な患部画像数は2つであるとする。
【0109】
(1-1)医師端末40における患部画像の表示
図10は、本発明の実施形態に係る医師端末40における患部画像の表示の第1の変形例を示す図である。
図10に示す患部画像表示画面60における選択欄61、欄62、欄63、選択欄64、欄65、及び欄66の機能は、
図6を参照して説明した患部画像表示画面50における選択欄51、欄52、欄53、選択欄54、欄55、及び欄56の機能とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0110】
表示領域67aは、選択欄61で選択された表示画像68aが表示される領域である。
図10に示す例では、表示画像68aは撮像画像である。
表示領域67bは、選択欄64で選択された表示画像68bが表示される領域である。
図10に示す例では、表示画像68bはスペクトル画像である。
【0111】
なお、患部画像表示画面60における画像1と画像2の組み合わせは、
図10に示した撮像画像とスペクトル画像の組み合わせに限定されない。例えば、画像1と画像2の組み合わせは、スペクトル画像と撮像画像の組み合わせ、撮像画像と撮像画像の組み合わせ、スペクトル画像とスペクトル画像の組み合わせのいずれであってもよい。
【0112】
なお、
図10に示す患部画像表示画面60は、医師によって選択された患部画像を全て表示可能である。そのため、患部画像表示画面60には表示切替ボタンが設けられていない。
【0113】
(1-2)遠隔診療用画像表示システムにおける画像表示処理
図11は、本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れの第1の変形例を示すフローチャートである。
図11に示すステップS401からステップS406の処理は、
図8を参照して説明したステップS201からステップS206の処理とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0114】
図11に示すフローチャートにおいて、
図8に示したフローチャートと異なる処理であるステップS407では、出力制御部335は、医師が画像1として選択した画像と、医師が画像2として選択した画像を、それぞれ医師端末40に表示させる。
【0115】
(2)第2の変形例
上述の実施形態では、患部画像表示画面にて選択できる画像の種類が撮像画像とスペクトル画像の2種類であったが、かかる例に限定されない。例えば、患部画像表示画面にて、患者の患部の経過観察を示す画像や、症状に関する検索結果(例えば症例の検索結果)を示す画像を選択可能であってもよい。
【0116】
患部画像表示画面にて、患者の患部の経過観察を示す画像を選択可能にしたとする。この場合、過去画像データベース324は、過去に撮像された患者の患部の撮像画像と、当該撮像画像から推定された分光反射率とを関連付けて記憶する。出力制御部335は、医師が医師端末40に表示したい患部画像として患者の過去の画像(即ち経過観察を示す画像)が選択された場合、該当する画像を過去画像データベース324に記憶された情報に基づき取得し、医師端末40に表示させる。例えば、経過観察を示す画像として撮像画像が選択された場合、出力制御部335は、該当する撮像画像を過去画像データベース324から取得し、医師端末40に表示させる。一方、経過観察を示す画像としてスペクトル画像が選択された場合、出力制御部335は、過去画像データベース324に記憶されている分光反射率に基づきスペクトル画像生成部334によって生成されたスペクトル画像を取得し、医師端末40に表示させる。
【0117】
かかる構成により、患部画像表示画面には、同一患者の画像であって、撮像日時が異なる2つの画像が表示される。例えば患者の患部の現在の様子を示す画像と、患者の患部の過去の様子を示す画像が並列表示される。これにより、医師は、表示された画像を比較することで、患者の患部の様子の経過を観察することができる。患者の患部の様子の経過は、例えば、症状が改善または悪化したか否か、薬による治療効果が出ているか否か等である。
なお、過去の患部画像は、診療対象の患者と同一人物の画像であってもよいし、他人の画像であってもよい。
【0118】
また、患部画像表示画面にて、症例の検索結果を示す画像を選択可能にしたとする。この場合、過去画像データベース324は、撮像画像と、当該撮像画像から推定された分光反射率と、撮像画像に写る患部に関する症例(症状)とを関連付けて記憶する。医師が医師端末40に表示したい患部画像に関する症例を患部画像表示画面に入力したとする。この場合、出力制御部335は、入力された症例をキーに過去画像データベース324を検索し、入力された症例と関連付けられている情報に基づき、医師端末40に表示させる画像を取得する。そして、出力制御部335は、取得した画像を医師端末40に表示させる。例えば、症例の検索結果を示す画像として撮像画像が選択された場合、出力制御部335は、入力された症例と関連付けられている撮像画像を過去画像データベース324から取得し、医師端末40に表示させる。一方、症例の検索結果を示す画像としてスペクトル画像が選択された場合、出力制御部335は、入力された症例と関連付けられている分光反射率に基づきスペクトル画像生成部334によって生成されたスペクトル画像を取得し、医師端末40に表示させる。
【0119】
かかる構成により、患部画像表示画面には、例えば患者の患部の画像と、各種の症例を示す画像が並列表示される。例えば、診療対象の患者の患部画像と、異なる患者の患部画像との各々を、2個の表示枠のそれぞれ並列に表示して比較、例えば診療対象の患者と正常人との比較や、すでに診療により病状が確定した患者との比較を行うように表示する。これにより、医師は、表示された画像を比較することで、患者の患部の症例が、比較対象として表示されている画像の症例に当てはまるか否かを判定することができる。即ち、医師は、過去の症例を参考に診療を行うことができる。また、医師は、症例の検索を繰り返して多くの画像と比較することで、患者の患部の症例の判定精度を高めることもできる。
【0120】
ここで、
図12から
図14を参照して、医師端末40における患部画像の表示と、遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れの第2の変形例について説明する。なお、
図12から
図14に示す例では、患部画像表示画面にて選択可能な画像数は2つで、患部画像表示画面に表示可能な患部画像数は2つであるとする。
【0121】
(2-1)医師端末40における患部画像の表示
図12及び
図13は、本発明の実施形態に係る医師端末40における患部画像の表示の第2の変形例を示す図である。
図12には、画像2として患者の患部の経過観察を示す画像を選択した場合の例が示されている。
図13には、画像2として症例の検索結果を示す画像を選択した場合の例が示されている。
【0122】
図12に示す患部画像表示画面70における選択欄71、欄72、欄73、及び表示領域76aの機能と、表示領域76aに表示されている表示画像77aは、
図10を参照して説明した患部画像表示画面60における選択欄61、欄62、欄63、及び表示領域67aの機能と、表示領域67aに表示されている表示画像68aとそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0123】
「画像2」の選択欄74は、撮像装置10によって撮像された患者の患部の撮像画像か、当該撮像画像から推定された分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像か、患者の患部の過去の画像(即ち経過観察を示す画像)のいずれを表示するかを選択する欄である。患者の患部の過去の画像は、撮像画像とスペクトル画像のいずれを表示させるかを選択欄74にて選択可能であってもよい。
選択欄75は、経過観察を選択欄74で選択した場合に、表示する経過観察を示す画像を選択する欄である。経過観察を示す画像として撮像画像を表示させる場合、医師は、例えば、選択欄74にて経過観察を示す撮像画像を選択し、選択欄75のアイコンを押下して表示されるダイアログボックスを操作して、表示領域76bに表示させる撮像画像のファイルを選択する。また、医師は、選択欄75に対して、表示領域76bに表示させる撮像画像のファイルをドラッグアンドドロップによって設定してもよい。経過観察を示す画像としてスペクトル画像を表示させる場合、医師は、例えば、撮像画像を表示させる場合と同様にしてスペクトル画像を選択する。これにより、選択されたスペクトル画像が表示領域76bに表示される。また、医師は、経過観察を示す画像として表示領域76bにスペクトル画像を表示させる場合であっても、選択欄75にて撮像画像を選択してもよい。この場合、選択された撮像画像に関連付けられた分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像が表示領域76bに表示される。
表示領域76bは、選択欄75で選択された表示画像77bが表示される領域である。
図12に示す例では、表示画像77bは前回診療時に撮像された撮像画像である。
【0124】
なお、患部画像表示画面70における画像1と画像2の組み合わせは、
図12に示した撮像画像と経過観察を示す画像の組み合わせに限定されない。例えば、画像1と画像2の組み合わせは、撮像画像、スペクトル画像、及び経過観察を示す画像の3種類から2種類を選ぶ場合の組み合わせのいずれであってもよい。
【0125】
図13に示す患部画像表示画面80における選択欄81、欄82、欄83、及び表示領域86aの機能と、表示領域86aに表示されている表示画像87aは、
図10を参照して説明した患部画像表示画面60における選択欄61、欄62、欄63、及び表示領域67aの機能と、表示領域67aに表示されている表示画像68aとそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0126】
「画像2」の選択欄84は、撮像装置10によって撮像された患者の患部の撮像画像か、当該撮像画像から推定された分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像か、症例の検索結果を示す画像のいずれを表示するかを選択する欄である。症例の検索結果を示す画像は、撮像画像とスペクトル画像のいずれを表示させるかを選択欄84にて選択可能であってもよい。
検索欄85は、症例検索を選択欄84で選択した場合に、検索したい症例を入力する欄である。医師は、例えば、テキスト入力やプルダウンによって検索欄85へ症例を入力する。症例の検索結果を示す画像として撮像画像を表示させる場合、医師は、例えば、選択欄84にて症例の検索結果を示す撮像画像を選択した上で、検索欄85に症例を入力する。これにより、入力された症例に関連付けられた撮像画像が表示領域86bに表示される。症例の検索結果を示す画像としてスペクトル画像を表示させる場合、医師は、例えば、選択欄84にて症例の検索結果を示すスペクトル画像を選択した上で、検索欄85に症例を入力する。これにより、入力された症例に関連付けられた分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像が表示領域86bに表示される。
表示領域86bは、検索欄85で入力された症例を示す表示画像87bが表示される領域である。
図13に示す例では、表示画像87bは症例が脳梗塞である患者の撮像画像である。
【0127】
なお、患部画像表示画面80における画像1と画像2の組み合わせは、
図13に示した撮像画像と症例の検索結果を示す画像の組み合わせに限定されない。例えば、画像1と画像2の組み合わせは、撮像画像、スペクトル画像、及び症例の検索結果を示す画像の3種類から2種類を選ぶ場合の組み合わせのいずれであってもよい。
【0128】
(2-2)遠隔診療用画像表示システムにおける画像表示処理
図14は、本発明の実施形態に係る遠隔診療用画像表示システム30における画像表示処理の流れの第2の変形例を示すフローチャートである。
図14に示すステップS501からステップS504、ステップS506、及びステップS510の処理は、
図8を参照して説明したステップS201からステップS204、ステップS205、及びステップS206の処理とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0129】
図14に示すフローチャートにおいて、ステップS505では、画像選択部333は、医師によって選択された画像nの種類がスペクトル画像であるか否かを判定する。医師によって選択された画像nの種類がスペクトル画像である場合(ステップS505/YES)、画像選択部333は、処理をステップS506へ進める。一方、医師によって選択された画像nの種類がスペクトル画像でない場合(ステップS505/NO)、画像選択部333は、処理をステップS507へ進める。
【0130】
ステップS507にて、画像選択部333は、医師によって選択された画像nの種類が経過観察を示す画像であるか否かを判定する。医師によって選択された画像nの種類が経過観察を示す画像である場合(ステップS507/YES)、画像選択部333は、処理をステップS508へ進める。一方、医師によって選択された画像nの種類が経過観察を示す画像でない場合(ステップS507/NO)、画像選択部333は、処理をステップS509へ進める。
【0131】
ステップS508にて、データ取得部331は、過去画像データベース324から該当する撮像画像を過去画像として取得し、処理をステップS510へ進める。
ステップS509にて、出力制御部335(あるいはデータ取得部331)は、過去画像データベース324から検索した症例に関連付けられている撮像画像を取得し、処理をステップS510へ進める。
【0132】
ステップS511にて、出力制御部335は、医師が画像1として選択した画像と、医師が画像2として選択した画像を、それぞれ医師端末40に表示させる。
【0133】
(3)第3の変形例
上述の実施形態では、患部画像表示画面の表示領域に対して、過去画像データベース324から取得した撮像画像やスペクトル画像生成部334が生成したスペクトル画像をそのまま表示させる例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、出力制御部335は、表示領域に対して、画像を補正してから表示させてもよい。
【0134】
具体的に、出力制御部335は、分光反射率推定部332によって推定された分光反射率と、医師が遠隔診療を行う場所の光源に関する光源データとに基づき、撮像画像の色を補正する。医師が遠隔診療を行う場所(例えば診察室)の光源に関する光源データは、例えば、光源データベース323に予め書き込んで記憶させておく。
具体的に、出力制御部335は、スペクトル画像の各々(即ち、分光反射率)と、医師が使用する診察室の光源の分光分布とにより、撮像画像の色を診察室で診療を行う際の色に補正する。
かかる構成により、医師は、患者の患部の観察を通常の環境下における診察と同様に行うことができ、光源の分光分布の違いによる色の変化を気にする必要がなくなる。これにより、医師は、より正確な患部の病状の診察を行うことができる。また、医師は、診察時間を短縮して迅速な対応を取ることもできる。
【0135】
(4)第4の変形例
上述の実施形態では、診療対象の患者が患者宅(自宅)にて遠隔診療を受ける例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、診療対象の患者が遠隔診療を受ける場所は、事故現場、災害現場、救急現場、救急車の車内等であってもよい。また、患者の患部の画像の撮像者は、患者自身に限定されず、その場に居合わせた他人(例えば救急隊員)であってもよい。
【0136】
(5)第5の変形例
上述の実施形態では、遠隔画像表示システムが遠隔診療に用いられる例について説明したが、かかる例に限定されない。遠隔画像表示システムは、化粧品のオンラインカウンセリングに用いられてもよい。ここで、遠隔画像表示システムが用いられた化粧品のオンラインカウンセリングシステムについて説明する。オンラインカウンセリングシステムでは、相談者が自身の肌の色や状態に適した化粧品の選定や使い方等についてBA(ビューティーアドバイザー)にオンラインで相談を行う。オンラインカウンセリングシステムの構成としては上述した遠隔診療システム1と同じでよく、患者(被写体)を相談者、医師(観察者)をBAと置き換えればよい。
また、過去画像データベース324については、素肌または化粧時の画像を、その時の肌の症状(目のクマやシミの有無等)と関連付けて記憶しておけばよい。
かかる構成により、BAは相談者の肌の色や状態を正確に把握することができる。
【0137】
(6)第6の変形例
上述の実施形態では、患部画像表示画面50において、患者の患部の撮像画像か、あるいは当該撮像画像から推定された分光反射率に基づき生成されたスペクトル画像のいずれを表示して確認できる例について説明したが、かかる例に限定されない。患部画像表示画面50において、医師が表示したい撮像画像又はスペクトル画像に関連付けられている情報をさらに表示してもよい。撮像画像又はスペクトル画像に関連付けられている情報は、例えば、環境情報や患者情報などの情報である。環境情報は、例えば、撮像画像の撮影時刻、撮影場所の気温もしくは室温、湿度、気圧などを示す情報である。患者情報は、例えば、撮像画像の撮影時における患者の体温、血圧などを示す情報ある。
患者の皮膚表面等の色は撮影時の撮影環境や患者の体調によって変化し得る。このため、医師は、撮影画像又はスペクトル画像とともに、気温もしくは室温、湿度、気圧、体温、血圧などの情報も確認できることで、これらの情報も考慮した診療を行うことができる。そこで、本変形例では、患部画像表示画面50に撮影画像又はスペクトル画像とともに環境情報や患者情報も合わせて表示することを可能とする。これにより、医師は、画像のみが表示される場合と比較して遠隔診療の精度をさらに向上することができる。
【0138】
環境情報及び患者情報の取得方法は、特に限定されない。例えば、環境情報や患者情報は、各情報を検出可能なセンサ装置によって検出された情報であってもよいし、患者が各情報を測定可能な測定装置を用いて測定した情報であってもよいし、各情報を取得可能なサービスを利用して取得された情報であってもよい。環境情報及び患者情報は、各装置やサービスから患者端末20へ入力されてもよいし、患者によって患者端末20へ入力されてもよい。また、患者端末20が撮像機能と測定機能を有するスマートフォン等の装置である場合には、患者端末20自身が環境情報及び患者情報を取得してもよい。
【0139】
患者端末20へ入力された環境情報及び患者情報は、例えば
図7に示したステップS105において、撮像画像に関連付けられて遠隔診療用画像表示システム30へアップロードされ、記憶部32に記憶される。
また、
図7に示したステップS111において、患部画像表示画面50にて医師によって選択された画像に環境情報又は患者情報が関連付けられているとする。この場合、遠隔診療用画像表示システム30の出力制御部335は、環境情報又は患者情報も医師端末40に表示する。例えば、出力制御部335は、患部画像表示画面50上にボタンを表示し、当該ボタンが医師によって押下された場合に環境情報又は患者情報を示す画面(以下、「詳細情報表示画面」とも称される)を別ウィンドウで表示する。なお、出力制御部335は、環境情報又は患者情報を画像ともに患部画像表示画面50に表示してもよい。
また、
図7に示したステップS121において、患部画像表示画面50にて医師によって表示切替された画像に環境情報又は患者情報が関連付けられているとする。この場合、遠隔診療用画像表示システム30は、表示されている画像とともに環境情報又は患者情報の表示も切り替える。
【0140】
ここで、
図15及び
図16を参照して、本変形例における患部画像表示画面と詳細情報表示画面の一例について説明する。
図15は、本発明の実施形態に係る患部画像表示画面の変形例を示す図である。
図16は、本発明の実施形態に係る詳細情報表示画面の一例を示す図である。
【0141】
図15に示す患部画像表示画面50には、
図6に示した患部画像表示画面50に対して、詳細情報ボタン91と詳細情報ボタン92がさらに設けられている。詳細情報ボタン91は、選択欄51にて選択された画像について詳細情報表示画面を表示するためのボタンである。詳細情報ボタン92は、選択欄54にて選択された画像について詳細情報表示画面を表示するためのボタンである。
詳細情報ボタン91又は詳細情報ボタン92が押下されると、例えば
図16に示す詳細情報表示画面93が表示される。詳細情報表示画面93には、患者情報の一例として、患者の体温が「36.5℃」、血圧が「80~110」であることが示されている。また、詳細情報表示画面93には、環境情報の一例として、気温/室温が「25.0℃」、湿度が「50%」であることが示されている。
【0142】
なお、詳細情報ボタン91及び92が表示される位置は、
図15に示す位置に限定されず、任意の位置に表示されてもよい。また、患者情報及び環境情報は、別ウィンドウを用いずに、患部画像表示画面50上に表示されてもよい。また、患者情報及び環境情報は、患部画像表示画面50の表示領域57に表示されている表示画像58aを押下することで表示されてもよい。
また、
図15及び
図16を参照して説明した例が適用される画面は患部画像表示画面50に限定されず、
図10に示した患部画像表示画面60、
図12に示した患部画像表示画面70、
図13に示した患部画像表示画面80にも同様に適用されてよい。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述した実施形態における遠隔画像表示システムが備える構成の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0144】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0145】
10…撮像装置
20…患者端末
21…通信部
22…入力部
23…出力部
24…記憶部
25…制御部
30…遠隔診療用画像表示システム
31…通信部
32…記憶部
33…制御部
40…医師端末
41…通信部
42…入力部
43…出力部
44…記憶部
45…制御部
321…撮像装置分光感度データベース
322…分光反射率データベース
323…光源データベース
324…過去画像データベース
331…データ取得部
332…分光反射率推定部
333…画像選択部
334…スペクトル画像生成部
335…出力制御部
336…表示切替部
1000…遠隔診療システム