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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151784
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】パネル係止金具及び耐力構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E04B2/74 511D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046180
(22)【出願日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2021048270
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】永島 周平
(72)【発明者】
【氏名】多田 優樹
(72)【発明者】
【氏名】西出 昂平
(57)【要約】
【課題】 施工性及び耐震性に優れたパネル係止金具及びパネル係止金具を使用した耐力構造を提供する。
【解決手段】 パネル係止金具70は、スタッド20に固定される本体部71と、本体部の前側の端部に形成される第1ツメ72と、本体部の後側の端部に形成される挿入片73を備える。第1ツメは前側のパネルのスリット11に引っ掛かることで前側のパネルをスタッドに係止する。挿入片は後側のパネルのスリットに挿入されるものであり、少なくともその一部の長さが前記スリットの長さと実質的に同一である。地震等が発生した場合、挿入片がスリットに対してほぼ隙間なく嵌り込んだ状態であるため、スタッドの変形を後側のパネルが抑制する。従来のパネル係止金具だけでパネルをスタッドに固定した場合と比較してスタッドの変形量が小さくなるので表側のパネルと裏側のパネルがスタッドから脱落する事態を防止でき、耐震性を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側と後側のパネルをスタッドに係止するパネル係止金具において、
前記スタッドに固定される本体部と、前記本体部の前側の端部に形成される第1ツメと、前記本体部の後側の端部に形成される挿入片を備えており、
前記第1ツメは前記前側のパネルのスリットに引っ掛かることで前記前側のパネルを前記スタッドに係止するものであり、
前記挿入片は前記後側のパネルの前記スリットに挿入されるものであり、少なくともその一部の長さが前記スリットの長さと実質的に同一であることを特徴とするパネル係止金具。
【請求項2】
前記挿入片が、前記スリットに引っ掛かることで前記後側のパネルを前記スタッドに係止する第2ツメを備えることを特徴とする請求項1に記載のパネル係止金具。
【請求項3】
前記挿入片が、その先端において水平方向に屈曲して成る屈曲部を備えることを特徴とする請求項1に記載のパネル係止金具。
【請求項4】
前記本体部が位置決め用凸部と開口とを備えており、前記位置決め用凸部を前記スタッドの所定位置に形成された凹部に嵌め込んだ状態で、前記開口を介して固定手段により前記スタッドの側面に固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のパネル係止金具。
【請求項5】
前側と後側のパネルをスタッドに係止するパネル係止金具において、
前記スタッドに固定される第1本体部と、前記第1本体部の前側の端部に形成される第1ツメとを有する第1金具と、
前記スタッドに固定される第2本体部と、前記第2本体部の後側の端部に形成される挿入片とを有する第2金具とを少なくとも備えており、
前記第1ツメは前記前側のパネルのスリットに引っ掛かることで前記前側のパネルを前記スタッドに係止するものであり、
前記挿入片は前記後側のパネルの前記スリットに挿入されるものであり、少なくともその一部の長さが前記スリットの長さと実質的に同一であることを特徴とするパネル係止金具。
【請求項6】
前記挿入片が、前記スリットに引っ掛かることで前記後側のパネルを前記スタッドに係止する第2ツメを備えることを特徴とする請求項5に記載のパネル係止金具。
【請求項7】
前記挿入片が、その先端において水平方向に屈曲して成る屈曲部を備えることを特徴とする請求項5に記載のパネル係止金具。
【請求項8】
スタッドと、前記スタッドに固定された状態の請求項1又は5に記載のパネル係止金具と、前記挿入片が前記スリットに挿入された状態の前記後側のパネルから成ることを特徴とする耐力構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り装置のスタッドにパネルを係止する際に使用するパネル係止金具及びパネル係止金具を使用した耐力構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のパネルをその幅方向(左右方向)に連結させることで空間を適当な広さに仕切るための間仕切り装置において、各パネルはパネル係止金具を介してスタッドに係止される。
具体的には、パネル係止金具は前側のパネルを係止するためのツメと後側のパネルを係止するためのツメを備えた板状の部材であり、スタッドの側面に複数(例えば上下に一つずつ)固定される。パネルの内面には予めツメの位置に対応してスリットが形成されている。作業者はパネルをパネル係止金具の方向に移動させてスリットの内部にツメを通した後、パネルを下方に移動させてツメを引っ掛けることでパネルをスタッドに係止する(特許文献1参照)。
【0003】
このような一般的なパネル係止金具では地震等でスタッドに大きな衝撃がかかった際にスタッドが大きく変形してしまい、パネルがスタッドから外れて脱落するおそれがある。
そこで、例えば特許文献2には左右のパネルの間の目字溝に固定する脱落防止具が開示されている。この脱落防止具はパネルの面内変位を許容して面外変位を規制するものであり、パネルがスタッドから脱落する事態を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-255017号公報
【特許文献2】特開2017-214778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献2に開示された技術では脱落防止具をスタッドに固定する作業に手間がかかるという問題がある。施工性の観点からは従来のようにパネル係止金具のツメにパネルを引っ掛けるだけでスタッドへのパネルの係止作業が完了するのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような問題を考慮して、施工性及び耐震性に優れたパネル係止金具及びパネル係止金具を使用した耐力構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパネル係止金具は、前側と後側のパネルをスタッドに係止するパネル係止金具において、前記スタッドに固定される本体部と、前記本体部の前側の端部に形成される第1ツメと、前記本体部の後側の端部に形成される挿入片を備えており、前記第1ツメは前記前側のパネルのスリットに引っ掛かることで前記前側のパネルを前記スタッドに係止するものであり、前記挿入片は前記後側のパネルの前記スリットに挿入されるものであり、少なくともその一部の長さが前記スリットの長さと実質的に同一であることを特徴とする。
また、前記挿入片が、前記スリットに引っ掛かることで前記後側のパネルを前記スタッドに係止する第2ツメを備えることを特徴とする。
また、前記挿入片が、その先端において水平方向に屈曲して成る屈曲部を備えることを特徴とする。
また、前記本体部が位置決め用凸部と開口とを備えており、前記位置決め用凸部を前記スタッドの所定位置に形成された凹部に嵌め込んだ状態で、前記開口を介して固定手段により前記スタッドの側面に固定されることを特徴とする。
本発明のパネル係止金具は、前側と後側のパネルをスタッドに係止するパネル係止金具において、前記スタッドに固定される第1本体部と、前記第1本体部の前側の端部に形成される第1ツメとを有する第1金具と、前記スタッドに固定される第2本体部と、前記第2本体部の後側の端部に形成される挿入片とを有する第2金具とを少なくとも備えており、前記第1ツメは前記前側のパネルのスリットに引っ掛かることで前記前側のパネルを前記スタッドに係止するものであり、前記挿入片は前記後側のパネルの前記スリットに挿入されるものであり、少なくともその一部の長さが前記スリットの長さと実質的に同一であることを特徴とする。
また、前記挿入片が、前記スリットに引っ掛かることで前記後側のパネルを前記スタッドに係止する第2ツメを備えることを特徴とする。
また、前記挿入片が、その先端において水平方向に屈曲して成る屈曲部を備えることを特徴とする。
本発明の耐力構造は、スタッドと、前記スタッドに固定された状態の請求項1又は5に記載のパネル係止金具と、前記挿入片が前記スリットに挿入された状態の前記後側のパネルから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
挿入片は少なくともその一部の長さがスリットの長さと実質的に同一であり、後側のパネルのスリットに対してほぼ隙間なく嵌り込むため、スタッドと後側のパネルとが本体部及び挿入片を介して疑似的に連結された状態になる。したがって、前側と後側のパネルをスタッドに係止した状態で地震等が発生した場合、スタッドの変形を後側のパネルで抑制することができる。このように、従来のパネル係止金具だけで前側と後側のパネルをスタッドに係止した場合と比較して、本発明のパネル係止金具及びこのパネル係止金具を使用した耐力構造によれば、地震等が発生した際のスタッドの変形量が小さくなるので表側のパネルと裏側のパネルがスタッドから脱落する事態を防止でき、耐震性を高めることができる。
また、後側のパネルのスリットに挿入片を挿入し、前側のパネルのスリットに第1ツメを引っ掛けるだけでスタッドへの前後のパネルの係止作業が完了するので従来の脱落防止具を用いる場合と比較して施工性を高めることができる。
また、前側のパネルのスリットに第1ツメを引っ掛けるので、前側のパネルの前後方向への湾曲を防止できる。
【0009】
挿入片が第2ツメを備えることにすれば、挿入片がスリットに対してほぼ隙間なく嵌った状態になるだけでなく、第2ツメに裏側のパネルを引っ掛けることができるので、地震等が発生した場合に裏側のパネルがスタッドから脱落する事態を更に防止できる。
挿入片が屈曲部を備えることにすれば、地震等の際に後側のパネルに対して前後方向の力が作用した場合でも、屈曲部が後側のパネルの内面に引っ掛かるので後側のパネルがスタッドから脱落する事態を更に防止できる。
本体部に設けた位置決め用凸部を利用すれば、パネル係止金具をスタッドに固定する際の位置決めが容易になり施工性が向上するだけでなく、本体部に設けた1つの開口を利用して1本のボルト、ねじ等の周知の固定手段によりパネル係止金具をスタッドの側面に固定できるのでボルト等の使用本数を減らすことができる。
パネル係止金具を第1金具と第2金具の二枚一組で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】間仕切り装置の正面図
図2】パネルの正面図(a)、背面図(b)及びA-A線断面図(c)
図3】第1の実施の形態のパネル係止金具の正面図
図4】従来のパネル係止金具をスタッドに固定した状態を示す側面図
図5】前後のパネルをスタッドに係止する手順を示す側面図(a)~(c)
図6】前後のパネルをスタッドに係止する手順を示す側面図(a)~(c)
図7】前後のパネルをスタッドに係止する手順を示す側面図(a)及び(b)
図8】パネル係止金具の変形例の正面図
図9】第2の実施の形態のパネル係止金具の正面図
図10】パネル係止金具をスタッドに固定する手順を示す側面図(a)~(c)
図11】第3の実施の形態のパネル係止金具の正面図(a)及び平面図(b)
図12】第4の実施の形態のパネル係止金具の正面図(a)及び平面図(b)
図13】パネル係止金具をスタッドに固定する手順を示す側面図(a)及び(b)
図14】パネル係止金具の変形例を示す正面図(a)及び平面図(b)
図15】第5の実施の形態のパネル係止金具の正面図(a)及び変形例の正面図(b)
図16】パネル係止金具の変形例を示す正面図(a)及び平面図(b)
図17】前後のパネルをスタッドに係止する手順を示す側面図(a)~(c)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
本発明のパネル係止金具の第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、間仕切り装置100はパネル10、スタッド20、天井レール40、床レール60等から概略構成される。
パネル10の左右の端部をパネル係止金具70を利用してスタッド20で支持しており、パネル10の上端及び下端を天井レール40及び床レール60で支持している。
【0012】
図2に示すようにパネル10は矩形状の板体である。パネル10の構成は周知であるため詳細な説明は省略する。パネル10の材質は特に限定されず、例えば紙製のハニカムコア、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、ベニヤ板等を用いることができる。パネル10の表面を表面材で覆ってもよい。パネル10の裏側の左右の側縁には複数(本実施の形態では5つ)のスリット11が形成されている。スリット11の数は適宜変更可能である。
スタッド20は垂直に起立する部材であり、その前後にパネル10が係止される。スタッド20の構成は周知であるため詳細な説明は省略するが、本実施の形態のスタッド20は水平面に沿った断面が四角形の中空の部材である。スタッド20としていわゆる角パイプを使用してもよい。
【0013】
図3に示すようにパネル係止金具70は本体部71、第1ツメ72及び挿入片73を備える。
本体部71、第1ツメ72及び挿入片73の材料は特に限定されないが鉄、アルミニウム等の金属や樹脂を用いることができる。
本体部71は薄板から成り、その複数個所に開口74を備える。本体部71は開口74を介してボルト、ねじ等の周知の固定手段によりスタッド20の側面に固定される。
第1ツメ72は本体部71の前側の端部に設けられるものであり、前側のパネル10のスリット11に引っ掛かることで前側のパネル10をスタッド20に係止する。第1ツメ72と本体部71の間に凹部75が形成されている。
【0014】
挿入片73は後側のパネル10のスリット11に挿入されるものであり、本体部71の後側の端部に形成される。
図2(c)に示すようにスリット11の長さをLとした場合に、図3に示すように挿入片73は少なくともその一部の長さL1がスリット11の長さLと実質的に同一になっている。「実質的に同一」とは挿入片73の少なくとも一部をスリット11に挿入でき、かつ挿入片73とスリット11の間にほぼ隙間が生じない程度に長さL1とLが等しいという意味である。
【0015】
本発明のパネル係止金具70を用いてパネル10をスタッド20に係止する手順について説明する。
まず、図4に示すように作業者はスタッド20の側面の上下2箇所に従来のパネル係止金具80をボルト、ねじ等の周知の固定手段で固定する。なお、図4図7及び図10において理解を容易にするためにパネル係止金具70、スリット11等の縮尺を実際よりも大きくして描いている。
従来のパネル係止金具80は本体部81の前側と後側に同一形状のツメ82を備える。ツメ82と本体部81の間に凹部83が形成されている。
図5(a)に示すように作業者は後側のパネル10をスタッド20の方向に移動させ、図5(b)に示すようにツメ82をスリット11に挿入した後、図5(c)に示すようにパネル10を下方に移動させることにより、後側のパネル10が凹部83に嵌り込み、これにより後側のパネル10がスタッド20に係止される。この状態では後側のパネル10を上方に移動させてから後方に移動させることで後側のパネル10をスタッド20から取り外すことができる。
【0016】
次に図6(a)に示すように作業者は本発明のパネル係止金具70を取り出す。そして図6(b)に示すように挿入片73を後側のパネル10のスリット11に挿入し、本体部71をスタッド20に周知の固定手段により固定する。挿入片73の長さL1はスリット11の高さLと実質的に同一であり、挿入片73がスリット11に対してほぼ隙間なく嵌り込んでいるため、この状態では後側のパネル10をスタッド20から取り外すことができない。
次に図6(c)に示すように作業者は前側のパネル10をスタッド20の方向に移動させ、図7(a)に示すようにツメ82及び第1ツメ72をスリット11に挿入した後、図7(b)に示すように前側のパネル10を下方に移動させることにより、前側のパネル10が凹部83及び75に嵌り込み、これにより前側のパネル10がスタッド20に係止される。
【0017】
本発明のパネル係止金具70を用いて前後のパネル10をスタッド20に係止した状態で地震等が発生した場合、挿入片73がスリット11に対してほぼ隙間なく嵌り込んでいるため、スタッド20の変形を後側のパネル10が抑制する。従来のパネル係止金具70だけで前後のパネル10をスタッド20に固定した場合と比較してスタッド20の変形量が小さくなるので表側のパネル10と裏側のパネル10がスタッド20から脱落する事態を防止できる。
挿入片73の形状としては図3に示したような四角形だけに限らず、例えば図8に示すような円弧形状であってもよい。
図6に示すように、スタッド20と、スタッド20に固定された状態のパネル係止金具70と、挿入片73がスリット11に挿入された状態の後側のパネル10とによって本発明の耐力構造が構成される。
【0018】
[第2の実施の形態]
本発明のパネル係止金具の第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように本実施の形態ではパネル係止金具90が第2ツメ91を備える点に特徴を有する。
このパネル係止金具90は挿入片92の一部の長さL1がスリット11の長さLと実質的に同一になっており、挿入片92の上部に第2ツメ91を備える。
【0019】
図10(a)に示すようにスタッド20の側面の上下2箇所に従来のパネル係止金具70を固定した状態から、図10(b)に示すように作業者は本体部93の後側が前側よりも低くなるように反時計回りに回転させた状態で、まず第2ツメ91をスリット11に挿入し、凹部94に後側のパネル10を嵌め込んだ後、図10(c)に示すように挿入片92を時計回りに回転させながらスリット11に挿入し、本体部93をスタッド20に固定する。
第2ツメ91を備えることにより、挿入片92がスリット11に対してほぼ隙間なく嵌り込んだ状態になるだけでなく、凹部94に裏側のパネル10が嵌ることになるので、地震等が発生した場合にスタッド20の変形量を更に抑えられ、且つ裏側のパネル10がスタッド20から脱落する事態を更に防止できる。
【0020】
[第3の実施の形態]
本発明のパネル係止金具の第3の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように本実施の形態では挿入片95がその先端において水平方向に屈曲して成る屈曲部96を備える点に特徴を有する。
作業者は後側のパネル10のスリット11に対してまず屈曲部96を挿入し、次に本体部97を水平方向に約90度回転させて本体部97をスタッド20の側面に固定する。
屈曲部96を備えることにより地震等の際にパネル10に対して前後方向の力が作用した場合でも、屈曲部96が後側のパネル10の内面に引っ掛かるので後側のパネル10がスタッド20から脱落する事態を更に防止できる。
【0021】
[第4の実施の形態]
本発明のパネル係止金具の第4の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように本実施の形態では本体部71が位置決め用凸部110と開口111を備える点に特徴を有する。
【0022】
図13(a)に示すように一般的なスタッド20にはパネル係止金具を固定する際に使用する穴(凹部)112が予め形成されている。上記第1の実施の形態では作業者は本体部71に形成された2つの開口74を利用して2本のボルト、ねじ等の周知の固定手段によりパネル係止金具70をスタッド20の側面に固定したが、本実施の形態では図13(b)に示すように位置決め用凸部110を凹部112に嵌め込んだ状態で本体部71の1つの開口111を利用して1本のボルト、ねじ等の周知の固定手段113によりパネル係止金具をスタッド20の側面に固定する。位置決め用凸部110を利用することでパネル係止金具の位置決めが容易になると共にボルト等の固定手段113の使用本数を減らすことができるので施工性を向上させることができる。
本実施の形態のパネル係止金具としては他にも図14に示すように本体部71の表裏両面に位置決め用凸部110を備えていてもよい。
【0023】
[第5の実施の形態]
本発明のパネル係止金具の第5の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図15(a)に示すように本実施の形態ではパネル係止金具が右側の第1金具120と左側の第2金具130の二枚一組になっている点に特徴を有する。
【0024】
第1金具120はスタッド20に固定される第1本体部121と、第1本体部121の前側の端部に形成される第1ツメ122とを有する。第1ツメ122は第1の実施の形態と同様に前側のパネル10のスリット11に引っ掛かることで前側のパネル10をスタッド20に係止するものである。
第2金具130はスタッド20に固定される第2本体部131と、第2本体部131の後側の端部に形成される挿入片132とを有する。挿入片132は第1の実施の形態と同様に後側のパネル10のスリット11に挿入されるものであり、少なくともその一部の長さL1がスリット11の長さと実質的に同一である。
【0025】
第1金具120と第2金具130としては他にも様々な形状が挙げられる。例えば図15(b)では挿入片132が第2ツメ133を備えている。第2ツメ133はスリット11に引っ掛かることで後側のパネル10をスタッド20に係止する。また、図16では挿入片132が屈曲部134を備えている。屈曲部134はその先端において水平方向に屈曲して成る。図17ではパネル係止金具が下側の第1金具140と上側の第2金具150の上下二枚一組になっている点に特徴を有する。この場合、前側のパネル10と後側のパネル10でスリット11を形成する位置を変える必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、施工性及び耐震性に優れたパネル係止金具及びパネル係止金具を使用した耐力構造であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0027】
10 パネル
11 スリット
20 スタッド
40 天井レール
60 床レール
70 パネル係止金具
71 本体部
72 第1ツメ
73 挿入片
74 開口
75 凹部
80 従来のパネル係止金具
81 本体部
82 ツメ
83 凹部
90 パネル係止金具
91 第2ツメ
92 挿入片
93 本体部
94 凹部
95 挿入片
96 屈曲部
97 本体部
100 間仕切り装置
110 位置決め用凸部
111 開口
112 穴(凹部)
113 固定手段
120 第1金具
121 第1本体部
122 第1ツメ
130 第2金具
131 第2本体部
132 挿入片
133 第2ツメ
134 屈曲部
140 第1金具
150 第2金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17