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特開2022-151816接続フィルム、及び接続構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151816
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】接続フィルム、及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220929BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047405
(22)【出願日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2021054274
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】野田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
(72)【発明者】
【氏名】白岩 俊紀
【テーマコード(参考)】
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5F142AA54
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB11
5F142CD02
5F142FA32
5F142GA01
5G435AA17
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】レーザー光の照射によるチップ部品の優れた着弾性を得ることができる接続フィルム、及び接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】接続フィルムは、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、0.2~60MPaである。また、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとをさらに含有し、硬化後のJIS K7244に準拠した引張モードで測定された温度30℃における貯蔵弾性率が、0.1GPa以上である。これにより、レーザー光の照射によるチップ部品の優れた着弾性を得ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である接続フィルム。
【請求項2】
膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとをさらに含有し、硬化後のJIS K7244に準拠した引張モードで測定された温度30℃における貯蔵弾性率が、0.1GPa以上である請求項1記載の接続フィルム。
【請求項3】
導電粒子をさらに含有し、前記導電粒子が面方向に整列して構成されている請求項2記載の接続フィルム。
【請求項4】
前記ゴム成分が、アクリルゴム、シリコーンゴムから選択される1種以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続フィルム。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ化合物を含み、
前記硬化剤が、カチオン重合開始剤である請求項2乃至4のいずれか1項に記載の接続フィルム。
【請求項6】
前記ゴム成分の含有量が、前記膜形成樹脂と、前記熱硬化性樹脂と、前記硬化剤と、前記無機フィラーと、前記ゴム成分との合計100質量部に対し、2~10質量部であり、
前記無機フィラーの含有量が、前記膜形成樹脂と、前記熱硬化性樹脂と、前記硬化剤と、前記無機フィラーと、前記ゴム成分との合計100質量部に対し、8~12質量部である請求項2乃至5のいずれか1項に記載の接続フィルム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接続フィルムと
レーザー光に対して透過性を有する基材と
を備える接続フィルム基板。
【請求項8】
前記接続フィルムと前記基材との間にリリース材をさらに備える請求項7記載の接続フィルム基板。
【請求項9】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板上の接続フィルムとを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記接続フィルム上に着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である接続構造体の製造方法。
【請求項10】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記接続フィルムの個片を前記配線基板上に転写する転写工程をさらに有し、
前記着弾工程では、前記チップ部品を前記接続フィルムの個片上に着弾させる請求項9記載の接続構造体の製造方法。
【請求項11】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記接続フィルムの個片を前記配線基板上に電極単位で転写する転写工程をさらに有し、
前記着弾工程では、前記チップ部品を対応する電極の個片上に着弾させる請求項9記載の接続構造体の製造方法。
【請求項12】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品の電極面の接続フィルムと、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板上に前記接続フィルムを介して着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である接続構造体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、チップ部品を基板に接続させる接続フィルム、及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)の次世代ディスプレイとしてマイクロLEDの開発が活発である。マイクロLEDの課題として、マイクロサイズのLEDをパネル基板に実装するマストランスファーと呼ばれる技術が必要であり、各所で研究されている。
【0003】
マストランスファーの現在主力な方式として、スタンプ材を用いてパネル基板側にLEDを移送させる方法がある。図15は、スタンプ方式のマストランスファーを模式的に示す図である。スタンプ方式では、図15A及び図15Bに示すにように、LED101を転写材102からスタンプ材103に転写してピックアップし、図15C及び図15Dに示すように、パネル基板104の接続フィルム105上にLED101を貼り付ける。しかしながら、スタンプ材を用いる方法は、LED101のピッチはスタンプ材103のパターンに依存しており、設計の自由度が低く、チップ転写率も低く、時間も非常に掛かるため量産に適していない。
【0004】
そこで、現在注目を集めているのは、レーザーを用いたチップ配置工法である(例えば、特許文献1乃至4参照。)。図16は、レーザー方式のマストランスファーを模式的に示す図である。レーザー方式では、図16A及び図16Bに示すにように、LED111を転写材112からリリース材113に転写してピックアップし、図15Cに示すように、レーザー光をリリース材113に照射してLED111をパネル基板114の接続フィルム115上に着弾させる。レーザー方式によるチップ転写は、スタンプ材と比べて設計の自由度が高く、チップ移送タクトが非常に速い。
【0005】
しかしながら、レーザーを用いたチップ配置工法では、LEDを弾き飛ばし、非常に速いスピードでパネル基板側に着弾させるため、例えば図16Dに示すようにLEDがずれたり、変形、抜け、破壊などが発生したりし、不良を起こしてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-096144号公報
【特許文献2】特開2020-145243号公報
【特許文献3】特開2019-176154号公報
【特許文献4】特開2020-053558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、レーザー光の照射によるチップ部品の優れた着弾性を得ることができる接続フィルム、及び接続構造体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係る接続フィルムは、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。
【0009】
本技術に係る接続フィルム基板は、前述の接続フィルムと、レーザー光に対して透過性を有する基材とを備える。
【0010】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板上の接続フィルムとを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記接続フィルム上に着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。
【0011】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品の電極面の接続フィルムと、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板上に前記接続フィルムを介して着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。
【発明の効果】
【0012】
本技術によれば、優れた衝撃吸収性が得られるため、チップ部品の優れた着弾性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の異方性導電フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、対向させた発光素子と配線基板上の接続フィルムとを示す拡大図である。
図3図3は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図4図4は、配線基板に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。
図5図5は、基材に設けられた異方性導電フィルムと、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図6図6は、基板側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルムの個片を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図7図7は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の異方性導電フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図8図8は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図9図9は、配線基板の所定位置に配列した個片上に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。
図10図10は、基板側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルムの個片を配線基板上に電極単位で転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図11図11は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上に電極単位で転写、配列された個片とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図12図12は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を対応する電極上の個片に着弾させ、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図13図13は、配線基板の個片上に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。
図14図14は、発光素子の電極面に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図15図15は、スタンプ方式のマストランスファーを模式的に示す図である。
図16図16は、レーザー方式のマストランスファーを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接続フィルム
2.接続構造体の製造方法
3.第1の実施例
4.第2の実施例
【0015】
<1.接続フィルム>
本実施の形態に係る接続フィルムは、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。これにより、優れた衝撃吸収性が得られるため、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、レーザー光の照射によるチップ部品の転写率を向上させることができる。
【0016】
ゴム成分は、クッション性(衝撃吸収性)の高いエラストマーであれば特に限定されるものではなく、具体例として、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)などを挙げることができる。これらの中でも、ゴム成分は、アクリルゴム、シリコーンゴムから選択される1種以上であることが好ましい。ゴム成分の含有量は1~100wt%であってもよく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを含有する場合のゴム成分の含有量は、好ましくは1~20wt%、より好ましくは2~10wt%である。
【0017】
接続フィルムのデュロメータA硬度は、20~40であり、好ましくは20~35、より好ましくは20~30である。デュロメータA硬度が高すぎる場合、接続フィルムが硬すぎて、チップ部品の変形、破壊などの不良が発生し易くなる傾向にあり、デュロメータA硬度が低すぎる場合、接続フィルムが柔らかすぎて、チップ部品のずれなどの不良が発生し易くなる傾向にある。接続フィルムのデュロメータA硬度は、JIS K 6253に準拠し、デュロメータAを用いてゴム硬度(日本工業規格JIS-A硬度)で測定することができる。
【0018】
接続フィルムの押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率は、60MPa以下であり、好ましくは30MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が高すぎる場合、レーザー照射で高速に弾き出されたチップ部品の衝撃を吸収できず、チップ部品の転写率が低下する傾向にある。温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率は、押し込み試験装置を用い、例えば、直径100μmのフラットパンチを用い、目標押し込み深さを1μmとし、周波数1~200Hzの範囲を掃引して測定することができる。
【0019】
また、接続フィルムは、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとをさらに含有し、硬化後のJIS K7244に準拠した引張モードで測定された温度30℃における貯蔵弾性率が、100MPa以上であることが好ましく、2000MPa以上であることがさらに好ましい。温度30℃における貯蔵弾性率が低すぎる場合、良好な導通性が得られず、接続信頼性も低下する傾向にある。温度30℃における貯蔵弾性率は、JIS K7244に準拠し、粘弾性試験機(バイブロン)を用いた引張モードで、例えば、周波数11Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で測定することができる。
【0020】
膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する熱硬化型バインダーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリルモノマー(オリゴマー)、及びメタクリルモノマー(オリゴマー)のいずれも含む意味である。
【0021】
これらの熱硬化型バインダーの中でも、熱硬化性樹脂が、エポキシ化合物を含み、硬化剤が、熱カチオン重合開始剤であることが好ましい。これにより、レーザー光による硬化反応を抑制し、熱により速硬化させることができる。以下では、具体例として、膜形成樹脂と、エポキシ化合物と、熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物を例に挙げて説明する。
【0022】
膜形成樹脂としては、例えば平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000~80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等の種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂を用いることが好ましい。膜形成樹脂の含有量は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、好ましくは20~50質量部、より好ましくは25~45質量部以下、さらに好ましくは35~45質量部である。
【0023】
エポキシ化合物は、分子内に1つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であってもよく、ウレタン変性のエポキシ樹脂であっても構わない。これらの中でも、高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば三菱ケミカル社製の商品名「YL980」を挙げることができる。エポキシ化合物の含有量は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、好ましくは30~60質量部、より好ましくは35~55質量部以下、さらに好ましくは35~45質量部である。
【0024】
熱カチオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱カチオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、カチオン重合型化合物をカチオン重合させ得る酸を発生するものであり、公知のヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類等を用いることができる。これらの中でも、温度に対して良好な潜在性を示す芳香族スルホニウム塩を好ましく使用することができる。芳香族スルホニウム塩系の重合開始剤の具体例としては、例えば三新化学工業株式会社製の商品名「SI-60L」を挙げることができる。熱カチオン重合開始剤の含有量は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、好ましくは1~15質量部、より好ましくは1~10質量部以下、さらに好ましくは3~8質量部である。
【0025】
無機フィラーは、熱硬化型バインダーのデュロメータA硬度、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率、及び硬化後の貯蔵弾性率を調整する目的で用いることができる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。無機フィラーは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0026】
無機フィラーの含有量は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、好ましくは1~20質量部、より好ましくは5~15質量部以下、さらに好ましくは8~12質量部である。無機フィラーを2種以上併用する場合、熱硬化型バインダー中の無機フィラーの含有量の合計が、上述した範囲内であることが好ましい。特に、ゴム成分の含有量が、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、2~10質量部であり、無機フィラーの含有量が、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機フィラーと、ゴム成分との合計100質量部に対し、8~12質量部であることにより、所望のデュロメータA硬度、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率、及び硬化後の貯蔵弾性率を得ることが可能となる。
【0027】
なお、熱硬化型バインダーに配合する他の添加物として、必要に応じて、シランカップリング剤、希釈用モノマー、充填剤、軟化剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤などを配合してもよい。
【0028】
また、接続フィルムは、導電粒子をさらに含有し、異方性導電フィルムであってもよい。導電粒子としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、半田などの金属粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケル、金などの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。これにより、チップ部品に半田バンプなどの接続部位が設けられていない場合でも、導通が可能となる。
【0029】
また、導電粒子は、面方向に整列して構成されていることが好ましい。導電粒子が面方向に整列して構成されていることにより、粒子面密度が均一となり、レーザー光の照射によるチップ部品の転写率をさらに向上させることができる。
【0030】
導電粒子の粒子径は、特に制限されないが、粒子径の下限は、2μm以上であることが好ましく、粒子径の上限は、例えば、接続構造体における導電粒子の捕捉効率の観点から、例えば50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。なお、導電粒子の粒子径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン社製)により測定した値とすることができる。この個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。また、導電粒子の粒子面密度は、チップ部品の電極面積などに応じて決定することができ、例えば、500~100000pcs/mmの範囲とすることができる。
【0031】
接続フィルムの厚みの下限は、例えば導電粒子の粒子径と同じであってもよく、好ましくは導電粒子径の1.3倍以上もしくは3μm以上とすることができる。また、接続フィルムの厚みの上限は、例えば20μm以下もしくは導電粒子の粒子径の2倍以下とすることができる。また、接続フィルムは、導電粒子を含有していない接着剤層や粘着剤層を積層してもよく、その層数や積層面は、対象や目的に合わせて適宜選択することができる。また、接着剤層や粘着剤層の絶縁性樹脂としては、接続フィルムと同様のものを使用することができる。フィルム厚みは、公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージを用いて測定することができる。フィルム厚みは、例えば10箇所以上を測定し、平均して求めればよい。
<2.接続構造体の製造方法>
【0032】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板上の接続フィルムとを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射してチップ部品を接続フィルム上に着弾させる着弾工程と、チップ部品と配線基板とを接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。これにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0033】
チップ部品としては、半導体チップ、LEDチップなどが挙げられ、特に限定されるものではないが、本技術に係る接続構造体の製造方法は、マイクロサイズの大量のLEDチップを配線基板であるパネル基板に実装するマストランスファーに好適に用いることができる。
【0034】
以下、接続構造体の製造方法として、LEDチップである発光素子をパネル基板である配線基板に複数個配列させて発光素子アレイを構成する表示装置の製造方法について説明する。
【0035】
発光素子としては、片面に第1導電型電極と第2導電型電極とを有する所謂フリップチップ型のLEDを用いることができる。発光素子は、1画素を構成する各サブピクセルに対応して基板上に配列され、発光素子アレイを構成する。1画素は、例えば、R(赤)G(緑)B(青)の3個のサブピクセルで構成しても、RGBW(白)、RGBY(黄)の4個のサブピクセルで構成しても、RG、GBの2個のサブピクセルで構成してもよい。
【0036】
サブピクセルの配列方法としては、例えば、RGBの場合、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが挙げられる。ストライプ配列は、RGBを縦ストライプ状に配列したものであり、高精細化を図ることができる。また、モザイク配列は、RGBの同一色を斜めに配置したものであり、ストライプ配列より自然な画像を得ることができる。また、デルタ配列は、RGBを三角形に配列し、各ドットがフィールド毎に半ピッチずれたものであり、自然な画像表示を得ることができる。
【0037】
表1に、RGBの各チップを横方向に並べた場合のPPI(Pixels Per Inch)に対する推定RGB間横ピッチ、推定チップサイズ、及び推定電極サイズを示す。チップ間距離は最小で5μmと仮定し、推定RGB間距離は均等間隔に配置するときを最大とした。これは、用途を明確にして本技術を検討するための参考値として算出したものである。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、チップサイズを10×20μmとすることで、500PPIまで対応可能であることが分かる。また、チップサイズを7×14μmとすることで、1000PPIまで対応可能であり、チップサイズをさらに小さくすることにより、1000PPI以上が実現可能である。なお、チップは、必ずしも長方形である必要はなく、正方形であってもよい。
【0040】
以下、図1図4を参照して、レーザー光を照射して発光素子を異方性導電フィルム上に着弾させる着弾工程(A1)、及び発光素子と配線基板とを接続させる接続工程(B1)について説明する。
【0041】
[着弾工程(A1)]
図1は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の異方性導電フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図であり、図2は、対向させた発光素子と配線基板上の接続フィルムとを示す拡大図である。図1及び図2に示すように、先ず、着弾工程(A1)では、チップ部品基板10と配線基板30上の異方性導電フィルム40とを対向させる。
【0042】
チップ部品基板10は、基材11とリリース材12と発光素子20とを備え、リリース材12表面に発光素子30が貼り付けられている。基板11は、レーザー光に対して透過性を有するものであればよく、中でも全波長に亘って高い光透過率を有する石英ガラスであることが好ましい。
【0043】
リリース材12は、レーザー光の波長に対して吸収特性を有すればよく、レーザー光の照射により衝撃波を発生し、発光素子20を配線基板30側に向けて弾き飛ばす。リリース材12としては、例えばポリイミドを挙げることができる。リリース材12の厚みT12は、例えば1μm以上である。
【0044】
発光素子20は、本体21と、第1導電型電極22と、第2導電型電極23とを備え、第1導電型電極22と第2導電型電極23とが、同一面側に配置された水平構造を有する。本体21は、例えばn-GaNからなる第1導電型クラッド層と、例えばInAlGa1-x-yN層からなる活性層と、例えばp-GaNからなる第2導電型クラッド層とを備え、いわゆるダブルヘテロ構造を有する。第1導電型電極22は、パッシベーション層により第1導電型クラッド層の一部に形成され、第2導電型電極23は、第2導電型クラッド層の一部に形成される。第1導電型電極22と第2導電型電極23との間に電圧が印加されると、活性層にキャリアが集中し、再結合することにより発光が生じる。
【0045】
発光素子20の幅W20は、例えば1~100μmであり、発光素子20の厚みT20は、例えば1~20μmである。
【0046】
配線基板30は、基材31上に第1導電型用回路パターンと、第2導電型用回路パターンとを備え、発光素子が1画素を構成するサブピクセル(副画素)単位で配置されるように、例えばp側の第1導電型電極及びn側の第2導電型電極に対応する位置にそれぞれ第1電極32及び第2電極33を有する。また、配線基板30は、例えばマトリクス配線のデータ線、アドレス線などの回路パターンを形成し、1画素を構成する各サブピクセルに対応する発光素子をオンオフ可能とする。また、配線基板30は、透光基板であることが好ましく、基材31は、ガラス、PET(Polyethylene Terephthalate)などであることが好ましく、回路パターン、第1電極32及び第2電極33は、ITO(Indium-Tin-Oxide)、IZO(Indium-Zinc-Oxide)、ZnO(Zinc-Oxide)、IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)などの透明導電膜であることが好ましい。
【0047】
異方性導電フィルム40は、バインダー中に導電粒子を含有し、異方性導電フィルム40の厚みT40は、例えば20μm以下である。また、発光素子20と異方性導電フィルム40との間の距離Dは、好ましくは10~1000μm、より好ましくは50~500μm、さらに好ましくは80~200μmである。
【0048】
図3は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。図2及び図3に示すように、着弾工程(A1)では、基板11側からレーザー光50を照射し、発光素子20を配線基板21の所定位置に転写し、配列させる。
【0049】
発光素子20の転写には、例えば、リフト(LIFT:Laser Induced Forward Transfer)装置を用いることができる。リスト装置は、例えば、レーザー装置から出射されたパルスレーザ光を平行光にするテレスコープと、テレスコープを通過したパルスレーザ光の空間強度分布を均一に整形する整形光学系と、整形光学系により整形されたパルスレーザ光を所定のパターンにて通過させるマスクと、整形光学系とマスクとの間に位置するフィールドレンズと、マスクのパターンを通過したレーザー光をドナー基板に縮小投影する投影レンズとを備え、ドナー基板であるチップ部品基板10をドナーステージに保持し、レセプター基板である配線基板30をレセプターステージに保持する。
【0050】
レーザー装置としては、例えば波長180nm~360nmのレーザー光を発振するエキシマレーザーを用いることができる。エキシマレーザーの発振波長は、例えば193、248、308、351nmであり、これらの発振波長の中からリリース12の材料の光吸収性に応じて好適に選択することができる。
【0051】
マスクは、基材11とリリース材12との境界面における投影が、所望のレーザー光の配列となるように、所定ピッチで所定サイズの窓の配列が形成されたパターンを用いる。マスクには、基材11に例えばクロムメッキにてパターンが施され、クロムメッキが施されていない窓部分はレーザー光を透過し、クロムメッキが施されている部分はレーザー光を遮断する。
【0052】
レーザー装置からの出射光はテレスコープ光学系に入射し、その先の整形光学系へと伝搬する。整形光学系に入射する直前におけるレーザー光は、このドナーステージのX軸の移動範囲内のいずれの位置においても、概ね平行光となるよう、テレスコープ光学系により調整されているため、常に、整形光学系に対し、概ね、同一サイズ、同一角度(垂直)により入射する。
【0053】
整形光学系を通過したレーザー光は、投影レンズとの組み合わせにおいて像側テレセントリック縮小投影光学系を構成するフィールドレンズを経てマスクに入射する。マスクパターンを通過したレーザー光は、その伝搬方向を落射ミラーにより鉛直下方に変え、投影レンズに入射する。投影レンズから出射されたレーザー光は、基材11側から入射し、その表面(下面)に形成されているリリース材12の所定の位置に対し、マスクパターンの縮小サイズにて正確に投影される。
【0054】
異方性導電接着層と基材との界面に照射される結像されるレーザー光のパルスエネルギーは、好ましくは0.001~2J、より好ましくは0.01~1.5Jであり、さらに好ましくは0.1~1Jである。フルーエンス(fluence)は、好ましくは0.001~2J/cmであり、より好ましくは0.01~1J/cmであり、さらに好ましくは0.05~0.5J/cmである。パルス幅(照射時間)は、好ましくは0.01~1×10ピコ秒であり、より好ましくは0.1~1×107ピコ秒であり、さらに好ましくは1~1×10ピコ秒である。パルス周波数は、好ましくは0.1~10000Hz、より好ましくは1~1000Hz、さらに好ましくは1~100Hzである。照射パルス数は、好ましくは1~30,000,000である。
【0055】
このようなリフト装置を用いることにより、基材11とリリース材12との境界面において、レーザー光を照射されたリリース材12に衝撃波を発生させ、複数の発光素子20を基材11から剥離して配線基板30に向けてリフトし、複数の発光素子20を配線基板30の所定位置に異方性導電フィルム40を介して着弾させることができる。これにより、発光素子20のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、発光素子20を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0056】
[接続工程(B1)]
図4は、配線基板に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。図3に示すように、接続工程(B1)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。
【0057】
発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法としては、公知の異方性導電フィルムにおいて用いられている接続方法を適宜選択して使用することができる。熱圧着条件としては、例えば、温度120℃~260℃、圧力5MPa~60MPa、時間5秒~300秒である。異方性導電フィルムが硬化することにより、異方性導電膜が形成される。
【0058】
第1の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下であることにより、着弾工程(A1)において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、配線基板上に接続フィルムを貼り付けることとしたが、レーザー光を照射して接続フィルムの個片を配線基板上の所定位置に転写し、着弾工程(A1)において、チップ部品を接続フィルムの個片上に着弾させるようにしてもよい。
【0060】
すなわち、第2の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射して接続フィルムの個片を配線基板上に転写する転写工程と、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板上の接続フィルムとを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射してチップ部品を接続フィルムの個片上に着弾させる着弾工程と、チップ部品と配線基板とを接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。
【0061】
これにより、レーザー光の照射により接続フィルムの個片を高精度及び高効率に転写、配列させることができる。また、第1の実施の形態と同様に、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0062】
以下、図5図9を参照して、異方性導電フィルムの個片を配線基板の所定位置に転写し、配列させる転写工程(X)、レーザー光を照射して発光素子を異方性導電フィルムの個片上に着弾させる着弾工程(A2)、及び発光素子と配線基板とを接続させる接続工程(B2)について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0063】
[転写工程(X)]
図5は、基材に設けられた異方性導電フィルムと、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。図5に示すように、先ず、転写工程(X)では、異方性導電フィルム基板60と配線基板30とを対向させる。
【0064】
異方性導電フィルム基板60は、基材61と異方性導電フィルム70とを備え、基材61表面に異方性導電フィルム70が設けられている。基板61は、レーザー光に対して透過性を有するものであればよく、中でも全波長に亘って高い光透過率を有する石英ガラスであることが好ましい。なお、基材61と異方性導電フィルム70との間にリリース材をさらに備えてもよい。
【0065】
異方性導電フィルム70は、レーザーによる転写性の観点から、導電粒子を面方向に整列して構成されていることが好ましい。また、異方性導電フィルム70は、例えば、波長180nm~360nmに極大吸収波長を持つことが好ましく、高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂などを含むエポキシ系接着剤を好ましく用いることができる。
【0066】
図6は、基板側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルムの個片を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。図6に示すように、転写工程(X)では、基板61側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルム70の個片70aを配線基板30の所定位置に転写し、配列させる。
【0067】
転写工程(X)では、異方性導電フィルム70の個片70aを、1画素単位で配列させることが好ましく、1画素を構成するサブピクセル単位で配列させることがさらに好ましい。これにより、高いPPI(Pixels Per Inch)の発光素子アレイから低いPPIの発光素子アレイまで対応することができる。
【0068】
また、配線基板30の所定位置に配列した個片間の距離は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、個片間の距離の上限は、好ましくは3000μm以下、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下である。個片間の距離が小さ過ぎる場合、異方性導電フィルムを配線基板20全面に貼り付ける方法が好ましくなり、個片間の距離が大き過ぎる場合、異方性導電フィルムを配線基板30の所定位置に貼り付ける方法が好ましくなる。
【0069】
異方性導電フィルム70の個片70aの転写には、前述と同様のリフト装置を用いることができ、ドナー基板である異方性導電フィルム基板60をドナーステージに保持し、レセプター基板である配線基板30をレセプターステージに保持する。異方性導電フィルム70と配線基板30との間の距離は、例えば10~100μmである。レーザー装置の発振波長は、例えば193、248、308、351nmであり、これらの発振波長の中から異方性導電フィルム70又はリリース材の材料の光吸収性に応じて好適に選択することができる。
【0070】
リフト装置を用いることにより、基材61と異方性導電フィルム70との境界面において、レーザー光を照射された異方性導電フィルム70に衝撃波を発生させ、複数の個片70aを基材61から剥離して配線基板30に向けてリフトし、複数の個片70aを配線基板30の所定位置に着弾させることができる。これにより、異方性導電フィルム70の個片70aを高精度及び高効率に配線基板30に転写、配列させることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0071】
転写工程(X)後の異方性導電フィルム70の個片70aの反応率は、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。個片70aの反応率が25%以下であることにより、接続工程(B2)において、発光素子を熱圧着させることが可能となる。反応率の測定は、例えばFT-IRを用いて求めることができる。
【0072】
[着弾工程(A2)]
図7は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の異方性導電フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図であり、図8は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
【0073】
図7に示すように、先ず、着弾工程(A2)では、チップ部品基板10と配線基板30上の異方性導電フィルムの個片70aとを対向させる。そして、図8に示すように、基板11側からレーザー光を照射し、発光素子20を配線基板30の異方性導電フィルムの個片70a上に転写し、配列させる。発光素子20の転写には、第1の実施の形態と同様に、例えばリフト装置を用いることができる。
【0074】
[接続工程(B2)]
図9は、配線基板の所定位置に配列した個片上に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。図9に示すように、接続工程(B2)では、配線基板30の所定位置に配列した個片70a上の発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0075】
第2の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下であることにより、着弾工程(A2)において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0076】
また、発光素子20間に異方性導電フィルムが存在せず、配線基板30が露出した状態で、配線基板30上に発光素子20を異方性接続させることができるため、配線基板30を透光基板とすることにより、異方性導電フィルムを配線基板30の全面に貼り付けた場合に比べて、優れた光透過性を得ることができる。
【0077】
[第2の実施の形態の変形例]
第2の実施の形態の転写工程(X)において、基板61側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルム70の個片を発光素子の電極単位で転写し、配列させてもよい。すなわち、第2の実施の形態の変形例に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射して接続フィルムの個片を配線基板上に電極単位で転写する転写工程をさらに有し、着弾工程では、チップ部品を対応する電極の個片上に着弾させる。
【0078】
これにより、第1導電型電極22と第2導電型電極23とが、同一面側に配置された水平構造を有する発光素子20において、第1導電型電極22と第2導電型電極23との間のショート発生を抑制することができる。
【0079】
以下、図10図13を参照して、異方性導電フィルムの個片を配線基板の所定位置に転写し、配列させる転写工程(X-1)、レーザー光を照射して発光素子を異方性導電フィルムの個片上に着弾させる着弾工程(A2-1)、及び発光素子と配線基板とを接続させる接続工程(B2-1)について説明する。なお、第2の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0080】
[転写工程(X-1)]
先ず、転写工程(X-1)では、第2の実施の形態と転写工程(X)と同様、図5に示すように、異方性導電フィルム基板60と配線基板30とを対向させる。
【0081】
図10は、基板側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルムの個片を配線基板上に電極単位で転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。図10に示すように、転写工程(X-1)では、基板61側からレーザー光を照射し、異方性導電フィルム70の個片72,73を配線基板30上に電極単位で転写し、配列させる。
【0082】
転写工程(X-1)では、異方性導電フィルム70の個片72,73を、発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23に対応する第1電極32及び第2電極33にそれぞれ転写し、配列させる。第1電極32及び第2電極33にのみ個片72,73を転写し、配列させることにより、第1導電型電極22と第2導電型電極23との間のショート発生を抑制することができる。
【0083】
異方性導電フィルム70の個片72,73の転写には、前述と同様のリフト装置を用いることができ、異方性導電フィルム70の個片72,73を高精度及び高効率に配線基板30上に電極単位で転写、配列させることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0084】
転写工程(X-1)後の異方性導電フィルム70の個片72,73の反応率は、第2の実施の形態と転写工程(X)と同様、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。個片70aの反応率が25%以下であることにより、接続工程(B2-1)において、発光素子を熱圧着させることが可能となる。反応率の測定は、例えばFT-IRを用いて求めることができる。
【0085】
[着弾工程(A2-1)]
図11は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上に電極単位で転写、配列された個片とを対向させた状態を模式的に示す断面図であり、図12は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を対応する電極上の個片に着弾させ、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
【0086】
図11に示すように、先ず、着弾工程(A2-1)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させ、第1電極32及び第2電極33上にそれぞれ転写された個片72,73と、チップ部品基板10に設けられた発光素子20の第1導電型電極22と第2導電型電極23とを位置合わせする。そして、図12に示すように、基板11側からレーザー光を照射し、発光素子20を対応する電極上の個片72,73上に着弾させる。発光素子20の転写には、第1の実施の形態と同様に、例えばリフト装置を用いることができる。
【0087】
[接続工程(B2-1)]
図13は、配線基板の個片上に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。図13に示すように、接続工程(B2-1)では、配線基板30に転写された発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0088】
第2の実施の形態の変形に係る接続構造体の製造方法によれば、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下であることにより、着弾工程(A22-1)において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0089】
また、発光素子20の第1導電型電極22と第2導電型電極23との間に異方性導電フィルムが存在せず、配線基板30が露出した状態で、配線基板30上に発光素子20を異方性接続させることができるため、異方性導電フィルム個片を第1導電型電極22と第2導電型電極23との間に跨って貼り付けた場合に比べて、ショート発生を抑制することができる。
【0090】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態では、レーザー光を照射して接続フィルムの個片を配線基板上の所定位置に転写することとしたが、予めチップ部品の電極に接続フィルムを設けるようにしてもよい。
【0091】
すなわち、第3の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品の電極面の接続フィルムと、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を配線基板上に接続フィルムを介して着弾させる着弾工程と、チップ部品と前記配線基板とを接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である。
【0092】
これにより、第1の実施の形態と同様に、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0093】
以下、図14を参照して、レーザー光を照射して発光素子を異方性導電フィルムの個片上に着弾させる着弾工程(A3)、及び発光素子と配線基板とを接続させる接続工程(B3)について説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0094】
[着弾工程(A3)]
図14は、発光素子の電極面に設けられた接続フィルムと、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。図14に示すように、先ず、着弾工程(A3)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させる。発光素子20の電極面には、異方性導電フィルム80が設けられ、異方性導電フィルム80と配線基板30との間の距離は、例えば10~100μmである。
【0095】
発光素子20の電極面に異方性導電フィルム80を設ける方法は、特に限定されるものではないが、例えば、第2の実施形態の転写工程(X)のように、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられた異方性導電フィルムと、発光素子の電極面とを対向させ、基材側からレーザー光を照射して異方性導電フィルムの個片を発光素子の電極面上に転写するようにしてもよい。
【0096】
次に、基板11側からレーザー光を照射し、発光素子20を配線基板30に異方性導電フィルム80を介して転写し、配列させる。発光素子20の転写には、第1の実施の形態と同様に、例えばリフト装置を用いることができる。
【0097】
[接続工程(B3)]
接続工程(B3)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0098】
第3の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、接続フィルムが、ゴム成分を含有し、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下であることにより、着弾工程(A3)において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0099】
また、発光素子20間に異方性導電フィルムが存在せず、配線基板30が露出した状態で、配線基板30上に発光素子20を異方性接続させることができるため、配線基板30を透光基板とすることにより、異方性導電フィルムを配線基板30の全面に貼り付けた場合に比べて、優れた光透過性を得ることができる。
【実施例0100】
<3.第1の実施例>
第1の実施例では、石英ガラスに設けられたチップ部品とガラス基板上の接続フィルムとを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を接続フィルム上に着弾させた。なお、本実施例は、これらに限定されるものではない。
【0101】
[接続フィルムの作製]
下記材料を準備した。
フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、巴化学工業株式会社製)
高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:YL-980、三菱ケミカル株式会社製)
疎水性シリカ(商品名:R202、日本アエロジル株式会社製)
アクリルゴム(商品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)
カチオン重合開始剤(商品名:SI-60L、三新化学工業株式会社製)
シリコーンゴム(商品名:STP-106T-UV、信越シリコーン株式会社製)
導電粒子(平均粒径2.2μm、樹脂コア金属被覆微粒子、Niメッキ0.2μm厚、積水化学工業株式会社製)
【0102】
表2に示すように各材料を所定質量部配合し、厚み0.5mmのガラス基板上に所定厚みの樹脂層を調製した。得られた樹脂層から導電粒子を特許6187665号記載の方法により、樹脂層の一方の界面と導電粒子が略一致するよう、粒子面密度が58000pcs/mmとなるように整列させ、接続フィルム1~5を作製した。接続フィルム6は、シリコーンゴムをガラス基板に塗布・uv硬化させた。接続フィルム7は、アクリルゴムをガラス基板に熱成形させた。
【0103】
[接続フィルムのゴム硬度の測定]
JIS K 6253に準拠し、デュロメータAを用いてゴム硬度(日本工業規格JIS-A硬度)を測定した。
【0104】
[接続フィルムの貯蔵弾性率の測定]
押し込み試験装置(KLA社製iMicro型ナノインデンター)を用いて、動的粘弾性試験を行った。直径100μmのフラットパンチを用い、目標押し込み深さを1μmとし、周波数1~200Hzの範囲を掃引し、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率を測定した。サンプルのポアソン比を0.5とし、各サンプルの測定点数12の平均値を算出した。
【0105】
[硬化後の接続フィルムの貯蔵弾性率の測定]
硬化後の接続フィルムについて、JIS K7244に準拠し、粘弾性試験機(バイブロン)を用いて引張モードで温度30℃における貯蔵弾性率を測定した。測定条件は、周波数11Hz、昇温速度3℃/minとした。
【0106】
【表2】
【0107】
[チップ部品の転写]
リスト装置(MT-30C200)を用いて、石英ガラスに設けられたチップ部品をガラス基板上の接続フィルムに着弾させた。チップ部品(外形30×50μm、厚み5μm)は、TEG(Test Element Group)を用い、石英ガラスとチップ部品との間にリリース材(ポリイミド)を設けた。
【0108】
前述のように、リスト装置は、レーザー装置から出射されたパルスレーザ光を平行光にするテレスコープと、テレスコープを通過したパルスレーザ光の空間強度分布を均一に整形する整形光学系と、整形光学系により整形されたパルスレーザ光を所定のパターンにて通過させるマスクと、整形光学系とマスクとの間に位置するフィールドレンズと、マスクのパターンを通過したレーザー光をドナー基板に縮小投影する投影レンズとを備えており、ドナー基板であるチップ部品がリリース材で保持された石英基板をドナーステージに保持し、レセプター基板である接続フィルムが貼付されたガラス基板をレセプターステージに保持し、チップ部品と接続フィルムとの間の距離を100μmとした。
【0109】
レーザー装置は、発振波長を248nmとするエキシマレーザーを用いた。レーザー光のパルスエネルギーは、600J、フルーエンス(fluence)は150J/cm、パルス幅(照射時間)は30000ピコ秒、パルス周波数は0.01kHz、照射パルス数は各ACF1小片につき1パルスとした。異方性導電接着層と基材との界面に照射される結像されるレーザー光のパルスエネルギーは、0.001~2Jであり、フルーエンス(fluence)は、0.001~2J/cmであり、パルス幅(照射時間)は、0.01~1×10ピコ秒であり、パルス周波数は、0.1~10000Hzであり、照射パルス数は、1~30,000,000であった。
【0110】
マスクは、ドナー基板である石英ガラスとリリース材の境界面における投影が、チップ部品の外形30×50μmとなるように、所定ピッチで所定サイズの窓の配列が形成されたパターンを用いた。
【0111】
[着弾性の評価]
表3に、接続フィルム1~7のチップ部品転写の評価結果を示す。合計100個のチップ部品を接続フィルムに転写し、接続フィルム上に正常に着弾されているチップ部品の個数を顕微鏡によりカウントした。着弾性の評価は、正常に着弾されたチップ部品の割合に応じて下記A~Dの判定とした。C判定以上あることが望まれる。
A:100%
B:98%以上100%未満
C:90%以上98%未満
D:90%未満
【0112】
【表3】
【0113】
表3に示すように、接続フィルム4はデュロメータA硬度が大きすぎ、接続フィルム5はデュロメータA硬度が小さすぎたため、チップ部品の転写率が90%未満であった。一方、接続フィルム1~3、6、7は、デュロメータA硬度が、20~40であり、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下であることにより、チップ部品の転写率を90%以上とすることができた。
【0114】
<5.第2の実施例>
第2の実施例では、第1の実施例の接続フィルム1~7を用いて、チップ部品と配線基板とを熱圧着させた。なお、本実施例は、これらに限定されるものではない。
【0115】
[接続構造体の作製]
第1の実施例と同様に、チップ部品を配線基板の接続フィルム上に着弾させ、温度150℃-圧力30Mpa-時間30secの条件で熱圧着し、接続構造体を作製した。チップ部品(外形50μm×50μm、厚み150μm)は、チップ部品に1対の電極(Cr/Au-plated bump 10μm×10μm)設けているTEG(Test Element Group)を用いた。配線基板は、ガラス基板(厚み0.5mm、Ti/Al/Ti pattern 10μm×10μm)を用いた。
【0116】
[導通性の評価]
表4に、接続フィルム1~7の導通性の評価結果を示す。
【0117】
配線基板側の導通配線を通して導通抵抗を測定した。導通性の評価は、抵抗値に応じて下記A~Dの判定とした。C判定以上あることが望まれる。
A:50Ω以下
B:50Ω超100Ω以下
C:100Ω超200Ω以下
D:200Ω超
【0118】
【表4】
【0119】
表4に示すように、接続フィルム6、7は、熱硬化ではないため、導通性が悪く、チップ部品に半田バンプなどの接続部位を設けるなどの工夫が必要である。一方、接続フィルム1~5は、硬化後の引張モードで測定された貯蔵弾性率が100MPa以上を超える2000MPa以上であり、良好な導通性を得ることができた。
【符号の説明】
【0120】
10 チップ部品基板、11 基材、12 リリース材、20 発光素子、21 本体、22 第1導電型電極、23 第2導電型電極、30 配線基板、31 基材、32 第1電極、33 第2電極、40 異方性導電フィルム、50 レーザー光、60 異方性導電フィルム基板、61 基材、70 異方性導電フィルム、70a 個片、72 個片、73 個片、80 異方性導電フィルム、101 LED、102 転写材、103 スタンプ材、104 パネル基板、105 接続フィルム、111 LED、112 転写材、113 リリース材、114 パネル基板、115 接続フィルム
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