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  • 特開-制御装置 図1
  • 特開-制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151817
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20220929BHJP
   B60W 30/188 20120101ALI20220929BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
B60W30/02 300
B60W30/188
B60W40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047462
(22)【出願日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2021051362
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(72)【発明者】
【氏名】堀米 辰弥
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BB05
3D241BB21
3D241BB52
3D241BC01
3D241CC18
3D241DB02Z
3D241DB23Z
3D241DB26Z
3D241DB42Z
3D241DB46Z
3D241DB47Z
3D241DC45Z
3D241DC46Z
3D241DC47Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両の発進時に駆動軸のタイヤがスリップする事態を発生しづらくする。
【解決手段】制御装置30は、発進補助装置20の動作を制御する制御装置30であって、車両1が存在する存在場所の路面状態を特定する路面状態特定部321と、車両1の重量と、存在場所の路面勾配とに基づいて、車両1を発進させるために必要となるタイヤの必要駆動力を算出する第1算出部322と、路面状態に基づいて存在場所の路面とタイヤとの間の摩擦の大きさを特定し、特定した摩擦の大きさと、タイヤの荷重とに基づいて、タイヤの駆動力の限界である限界駆動力を算出する第2算出部323と、必要駆動力と、限界駆動力との関係に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する判定部324と、判定部324が発進補助装置20の作動が必要であると判定した場合に、発進補助装置20を作動させる装置制御部325と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の発進時に駆動軸のタイヤの接地圧を増加させる発進補助装置の動作を制御する制御装置であって、
前記車両が存在する存在場所の路面状態を特定する路面状態特定部と、
前記車両の重量と、前記存在場所の路面勾配とに基づいて、前記車両を発進させるために必要となる前記タイヤの必要駆動力を算出する第1算出部と、
前記路面状態に基づいて前記存在場所の路面と前記タイヤとの間の摩擦の大きさを特定し、特定した前記摩擦の大きさと、前記タイヤの荷重とに基づいて、前記タイヤの駆動力の限界である限界駆動力を算出する第2算出部と、
前記必要駆動力と、前記限界駆動力との関係に基づいて、前記発進補助装置の作動が必要であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記発進補助装置の作動が必要であると判定した場合に、前記発進補助装置を作動させる装置制御部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を下回る場合に、前記発進補助装置の作動が必要であると判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を上回る場合であって、前記存在場所の路面が濡れていることを前記路面状態が示す場合に、前記発進補助装置の作動が必要であると判定する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車両の走行状態を特定する走行状態特定部をさらに有し、
前記判定部は、前記車両が停車していることを前記走行状態特定部によって特定された前記走行状態が示している間に、前記発進補助装置の作動が必要であるか否かを判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記装置制御部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を下回る場合、前記限界駆動力と前記必要駆動力との差に基づいて、前記接地圧の大きさを決定し、決定した前記接地圧になるように前記発進補助装置を制御する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記装置制御部は、前記差が大きいほど前記接地圧を大きく決定し、前記差が小さいほど前記接地圧を小さく決定する、
請求項5に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の発進補助装置の動作を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックをはじめとする、貨物を積載している積載時の重量と、貨物を積載していない空積時の重量との差が大きい車両では、空積時において駆動軸のタイヤのスリップを低減させるための装置が搭載されている。特許文献1には、車両の発進時に駆動軸のタイヤの接地圧を増加させる発進補助装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-237425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発進補助装置が作動することにより、空積時において駆動軸のタイヤのスリップを低減させることができる。発進補助装置が作動するためには、ドライバーが発進補助装置を作動するための作動操作を行う必要がある。しかしながら、発進補助装置の作動をドライバーに委ねると、ドライバーが発進補助装置の存在を知らなかったり、ドライバーが作動操作を行うことを忘れてしまったりしてしまう可能性が生じ得る。そのため、車両に発進補助装置が搭載されていても、車両の発進時に駆動軸のタイヤがスリップしまう事態が生じてしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両の発進時に駆動軸のタイヤがスリップする事態を発生しづらくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、車両の発進時に駆動軸のタイヤの接地圧を増加させる発進補助装置の動作を制御する制御装置であって、前記車両が存在する存在場所の路面状態を特定する路面状態特定部と、前記車両の重量と、前記存在場所の路面勾配とに基づいて、前記車両を発進させるために必要となる前記タイヤの必要駆動力を算出する第1算出部と、前記路面状態に基づいて前記存在場所の路面と前記タイヤとの間の摩擦の大きさを特定し、特定した前記摩擦の大きさと、前記タイヤの荷重とに基づいて、前記タイヤの駆動力の限界である限界駆動力を算出する第2算出部と、前記必要駆動力と、前記限界駆動力との関係に基づいて、前記発進補助装置の作動が必要であるか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記発進補助装置の作動が必要であると判定した場合に、前記発進補助装置を作動させる装置制御部と、を有する。
【0007】
前記判定部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を下回る場合に、前記発進補助装置の作動が必要であると判定してもよい。
前記判定部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を上回る場合であって、前記存在場所の路面が濡れていることを前記路面状態が示す場合に、前記発進補助装置の作動が必要であると判定してもよい。
【0008】
前記制御装置は、前記車両の走行状態を特定する走行状態特定部をさらに有し、前記判定部は、前記車両が停車していることを前記走行状態特定部によって特定された前記走行状態が示している間に、前記発進補助装置の作動が必要であるか否かを判定してもよい。
【0009】
前記装置制御部は、前記限界駆動力が前記必要駆動力を下回る場合、前記限界駆動力と前記必要駆動力との差に基づいて、前記接地圧の大きさを決定し、決定した前記接地圧になるように前記発進補助装置を制御してもよい。
前記装置制御部は、前記差が大きいほど前記接地圧を大きく決定し、前記差が小さいほど前記接地圧を小さく決定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の発進時に駆動軸のタイヤがスリップする事態を発生しづらくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両の構成の一例を説明するためのブロック図である。
図2】制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<車両1の構成>
本発明の一の実施形態に係る制御装置30が搭載された車両1の構成について説明する。図1は、車両1の構成の一例を説明するためのブロック図である。車両1は、例えばトラックである。図1に示すように、車両1は、センサ10と、発進補助装置20と、制御装置30とを有する。
【0013】
センサ10は、ワイパー状態検出器、カメラ、路面状態検出器、圧力測定器、加速度センサ及び速度測定器のうちの少なくともいずれかを含む。ワイパー状態検出器は、ワイパーの状態を検出する機器である。カメラは、車両1の外部を撮像する機器である。路面状態検出器は、赤外線又はマイクロ波等を用いて車両1が存在する存在場所の路面状態を検出する機器である。圧力測定器は、エアサスペンションに加わる圧力を測定する機器である。速度測定器は、車輪の回転速度を測定する機器である。センサ10が検出、撮像又は測定した結果を示す情報は、制御装置30に出力される。
【0014】
発進補助装置20は、車両1の発進時に駆動軸のタイヤの接地圧を増加させる装置である。発進補助装置20が、車両1の発進時に駆動軸のタイヤの接地圧を増加させることにより、駆動軸のタイヤと、当該タイヤが接地する路面との間の摩擦が大きくなり、駆動軸のタイヤのスリップが発生しにくくなる。
【0015】
制御装置30は、発進補助装置20の動作を制御する。詳細については後述するが、制御装置30は、センサ10が出力した情報に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定し、発進補助装置20の作動が必要であると判定した場合に、発進補助装置20を作動させる。
【0016】
このようにすることで、制御装置30は、ドライバーが発進補助装置20を作動するための作動操作を行わなくても、自動で発進補助装置20を作動させることができる。これにより、制御装置30は、発進補助装置20の作動が必要である状況において、発進補助装置20が作動しない事態を低減させることができる。その結果、制御装置30は、車両1の発進時に駆動軸のタイヤがスリップしまう事態を発生しづらくすることができる。
【0017】
<制御装置30の詳細構成>
制御装置30の詳細構成について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、制御装置30は、記憶部31と、制御部32とを有する。
【0018】
記憶部31は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部31は、制御部32が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。
【0019】
制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部32は、記憶部31に記憶されたプログラムを実行することにより、車両1に関する処理を行う。図1に示すように、制御部32は、路面状態特定部321、第1算出部322、第2算出部323、判定部324、装置制御部325及び走行状態特定部326として機能する。
【0020】
路面状態特定部321は、車両1が存在する存在場所の路面状態を特定する。路面状態は、例えば、路面が乾いている状態、又は路面が濡れている状態等である。具体的には、路面状態特定部321は、センサ10が出力した情報に基づいて、路面状態を特定する。
【0021】
例えば、路面状態特定部321は、センサ10が有するワイパー状態検出器が検出したワイパーの稼働の有無に基づいて、路面状態を特定する。路面状態特定部321は、例えば、ワイパーが稼働していることをセンサ10が検出した場合、又はワイパーが稼働したことをセンサ10が検出してから所定の期間(例えば、5分又は30分等)が経過していない場合に、路面が濡れている状態であると特定する。一方、路面状態特定部321は、ワイパーが稼働していないことをセンサ10が検出した場合、又はワイパーが稼働したことをセンサ10が検出してから所定の期間が経過した場合に、路面が乾いている状態であると特定する。
【0022】
また、例えば、路面状態特定部321は、センサ10が有するカメラが撮像した撮像画像を解析し、解析した車両1の存在場所の天候状態に基づいて、路面状態を特定する。路面状態特定部321は、例えば、解析した天候状態が晴れ又は曇りである場合、路面状態が乾いている状態であると特定する。また、路面状態特定部321は、例えば、解析した天候状態が雨である場合、路面状態が濡れている状態であると特定する。
【0023】
路面状態特定部321は、気象予想を管理する不図示のサーバから車両1の存在場所の天気予報を取得し、取得した天気予報に基づいて、路面状態を特定してもよい。路面状態特定部321は、センサ10が有する路面状態検出器が検出した結果に基づいて、路面状態を特定してもよい。
【0024】
第1算出部322は、車両1の重量と、車両1の存在場所の路面勾配とに基づいて、車両1を発進させるために必要となる駆動軸のタイヤの必要駆動力を算出する。例えば、第1算出部322は、センサ10が有する圧力測定器が測定した圧力を用いて車両1の重量を算出する。
【0025】
例えば、まず、第1算出部322は、センサ10が測定したエアサスペンションの空気圧(各輪に搭載されているエアサスペンションの空気圧)と、各エアサスペンションの有効断面積との積の総和によって算出されるエアサスペンション上の重量を算出する。そして、第1算出部322は、エアサスペンション上の重量にエアサスペンション下の重量を加算することにより、車両1の重量を算出する。エアサスペンションの有効断面積と、エアサスペンション下の重量とにおいては、それぞれ予め制御装置30に設定されている。第1算出部322は、車両1の重量が大きいほど、大きい必要駆動力を算出し、車両1の重量が小さいほど、小さい必要駆動力を算出する。
【0026】
第1算出部322は、センサ10が有する加速度センサが測定した加速度を用いて存在場所の路面勾配を算出する。第1算出部322は、地図データを用いて路面勾配を算出してもよい。第1算出部322は、例えば、路面勾配が大きいほど、大きい必要駆動力を算出し、路面勾配が小さいほど、小さい必要駆動力を算出する。
【0027】
第2算出部323は、駆動軸のタイヤの駆動力の限界である限界駆動力を算出する。具体的には、まず、第2算出部323は、車両1の存在位置の路面状態に基づいて、車両1の存在場所の路面と駆動軸のタイヤとの間の摩擦の大きさを特定する。例えば、路面状態ごとに、当該路面状態と駆動軸のタイヤとの間における摩擦係数が記憶部31に記憶されており、第2算出部323は、路面状態特定部321が特定した路面状態に対応する摩擦係数を特定することにより、車両1の存在場所の路面と駆動軸のタイヤとの間の摩擦の大きさを特定する。そして、第2算出部323は、特定した摩擦の大きさと、駆動輪の荷重とに基づいて、駆動軸のタイヤの限界駆動力を算出する。第2算出部323は、摩擦又は荷重が大きいほど大きくなり、摩擦又は荷重が小さいほど小さくなる限界駆動力を算出する。
【0028】
判定部324は、必要駆動力と、限界駆動力との関係に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する。判定部324は、限界駆動力が必要駆動力を下回る場合に、発進補助装置20の作動が必要であると判定する。一方、判定部324は、限界駆動力が必要駆動力を上回る場合に、発進補助装置20の作動が必要ではないと判定する。限界駆動力が必要駆動力を下回ると、駆動軸のタイヤがスリップする蓋然性が高くなるため、制御装置30は、発進補助装置20を作動させる必要がある。そのため、制御装置30は、限界駆動力が必要駆動力を下回る場合に、発進補助装置20の作動が必要であると判定することにより、駆動輪のタイヤがスリップする蓋然性が高い状況で、発進補助装置20を作動させることができる。その結果、制御装置30は、駆動軸のタイヤがスリップしてしまう事態を低減することができる。
【0029】
限界駆動力が必要駆動力を上回る場合であっても、路面が濡れていると、駆動軸のタイヤがスリップしてしまう恐れがある。そこで、判定部324は、車両1の存在場所の路面が濡れている場合に、発進補助装置20の作動が必要であると判定してもよい。具体的には、判定部324は、限界駆動力が必要駆動力を上回る場合であって、存在場所の路面が濡れていることを路面状態特定部321が特定した路面状態が示す場合に、発進補助装置20の作動が必要であると判定する。このようにすることで、制御装置30は、駆動軸のタイヤがスリップしてしまう事態を発生しづらくすることができる。なお、判定部324は、必要駆動力と限界駆動力との関係に関わらず、車両1の存在場所の路面状態に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定してもよい。
【0030】
発進補助装置20は、停車中の車両1が発進する前に作動する必要がある。そこで、判定部324は、車両1が停車中であることを条件として、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する判定処理を実行してもよい。具体的には、まず、走行状態特定部326は、車両1の走行状態を特定する。そして、判定部324は、車両1が停車していることを走行状態特定部326によって特定された走行状態が示している間に、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する。
【0031】
走行状態特定部326は、例えば、センサ10が有する速度測定器が測定した車輪の回転速度が0km/hである場合、又は車輪の回転速度が0km/hであるとセンサ10が測定してから所定の期間(例えば5秒等)が経過している場合に、車両1が停車していることを特定する。一方、走行状態特定部326は、センサ10が測定した車輪の回転速度が1km/h以上である場合、又は車輪の回転速度が0km/hであるとセンサ10が測定してから所定の期間が経過していない場合に、車両1が走行していることを特定する。走行状態特定部326は、所定の間隔(例えば、毎秒又は10秒ごと等)で、車両1の走行状態を特定する。このように、制御装置30は、車両1が停車中であることを条件として、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する判定処理を実行することにより、発進補助装置20を作動させる前に車両1が発進したことによって駆動軸のタイヤがスリップしてしまう事態を回避することができる。
【0032】
装置制御部325は、判定部324が発進補助装置20の作動が必要であると判定した場合に、発進補助装置20を作動させる。装置制御部325は、例えば、車両1が停車中であることを条件として、発進補助装置20を作動させる。
【0033】
駆動軸のタイヤの接地圧は、発進補助装置20が作動すると大きくなるが、路面状態に応じて必要な大きさが異なる。そこで、装置制御部325は、限界駆動力と必要駆動力との関係に応じた接地圧になるように、発進補助装置20を制御してもよい。具体的には、まず、装置制御部325は、限界駆動力が必要駆動力を下回る場合、限界駆動力と必要駆動力との差に基づいて、接地圧の大きさを決定する。そして、装置制御部325は、決定した接地圧になるように発進補助装置20を制御する。
【0034】
装置制御部325は、例えば、限界駆動力と必要駆動力との差が大きいほど、大きい接地圧に決定し、限界駆動力と必要駆動力との差が小さいほど、小さい接地圧に決定する。このようにすることで、制御装置30は、路面状態に応じて発進補助装置20を制御することができる。
【0035】
<制御装置30の処理>
続いて、制御装置30の処理の流れを説明する。図2は、制御装置30の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、路面状態特定部321が、車両1が存在する存在場所の路面状態を特定したことを契機として開始する(S1)。
【0036】
第1算出部322は、車両1の重量と、存在場所の路面勾配とに基づいて、駆動軸のタイヤの必要駆動力を算出する(S2)。第2算出部323は、車両1の存在位置の路面状態に基づいて存在場所の路面と駆動軸のタイヤとの間の摩擦の大きさを特定する(S3)。第2算出部323は、特定した摩擦の大きさと、駆動輪の荷重とに基づいて、駆動軸のタイヤの限界駆動力を算出する(S4)。
【0037】
判定部324は、必要駆動力と、限界駆動力との関係に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であるか否かを判定する。具体的には、判定部324は、限界駆動力が必要駆動力を下回るか否かを判定する(S5)。判定部324は、発進補助装置20の作動が必要ではないと判定した場合、すなわち、限界駆動力が必要駆動力を下回らないと判定した場合(S5においてNO)、処理を終了させる。一方、判定部324が発進補助装置20の作動が必要であると判定した場合、すなわち、限界駆動力が必要駆動力を下回ると判定した場合(S5においてYES)、装置制御部325は、発進補助装置20を作動させる(S6)。
【0038】
<本実施形態における効果>
以上説明したとおり、制御装置30は、必要駆動力と、限界駆動力との関係に基づいて、発進補助装置20の作動が必要であると判定した場合に、発進補助装置20を作動させる。このようにすることで、制御装置30は、ドライバーが発進補助装置20を作動するための作動操作を行わなくても、自動で発進補助装置20を作動させることができる。これにより、制御装置30は、発進補助装置20の作動が必要である状況において、発進補助装置20が作動しない事態を低減させることができる。その結果、制御装置30は、車両1の発進時に駆動軸のタイヤがスリップしまう事態を発生しづらくすることができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
10 センサ
20 発進補助装置
30 制御装置
31 記憶部
32 制御部
321 路面状態特定部
322 第1算出部
323 第2算出部
324 判定部
325 装置制御部
326 走行状態特定部
図1
図2