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特開2022-151819プリント回路基板を有する回路及びその回路を有する車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151819
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】プリント回路基板を有する回路及びその回路を有する車両
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220929BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K1/18 J
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047578
(22)【出願日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2021 202 801.2
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520361450
【氏名又は名称】ハンオン システムズ エーエフペー ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイジ アウリシオ
【テーマコード(参考)】
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB01
5E336BC01
5E336CC31
5E336CC53
5E336EE01
5E336GG03
5E338AA01
5E338BB05
5E338BB13
5E338BB17
5E338BB75
5E338EE02
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】安全性の点で改善された回路を作成することを目的とする。
【解決手段】プリント回路基板(12)と少なくとも1つの多層セラミックコンデンサ(MLCC)(10)とを有する回路が記載され、プリント回路基板(12)は、プリント回路基板(12)上のMLCC(10)の投影領域に少なくとも1つの開口(16)を有することを特徴とする。
また、少なくとも1つの開口部(16)が、MLCC(10)のコンタクト列に平行な方向に延びており、少なくとも1つの開口部(16)の少なくとも1つの境界が、プリント回路基板(12)上のMLCC(10)の投影に一致し、プリント回路基板(12)におけるMLCC(10)の投影面積の20%以上及び/又は50%以下の面積を有し、少なくとも1つの湾曲境界を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(12)と少なくとも1つの多層セラミックコンデンサ(MLCC)(10)とを有する回路であって、プリント回路基板(12)上のMLCC(10)の投影領域に少なくとも1つの開口部(16)を有することを特徴とするプリント回路基板を有する回路。
【請求項2】
少なくとも1つの開口部(16)が、MLCC(10)のコンタクト列に平行な方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項3】
少なくとも1つの開口部(16)の少なくとも1つの境界が、プリント回路基板(12)上のMLCC(10)の投影に一致することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項4】
少なくとも1つの開口部(16)が、プリント回路基板(12)におけるMLCC(10)の投影面積の20%以上及び/又は50%以下の面積を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項5】
少なくとも1つの開口部(16)が少なくとも1つの湾曲境界を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項6】
少なくとも1つの開口部(16)が少なくとも2つの平行な境界を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項7】
プリント回路基板(12)がFR4材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項8】
少なくとも1つの開口部(16)が、2つ以上のMLCC(10)の投影にわたって延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項9】
前記プリント回路基板(12)に、さらに部品が実装されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項10】
プリント回路基板(12)がストリップ導体(18)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項11】
少なくとも1つの開口部(16)がコーティングされていないことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項12】
12V及び/又は48Vの動作電圧用に設計されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項13】
少なくとも1つの開口部(16)が、いかなる材料も含まないことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のプリント回路基板を有する回路を有する車両、特に電気自動車またはハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板を有する回路及びそのような回路を有する車両に係りより詳しくは、安全性の点で改善された回路を作成することを目的とするプリント回路基板を有する回路及びそのような回路を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工学の分野では、特にEMC(電磁干渉)フィルタリングに多層セラミックコンデンサ、以下MLCCと呼ばれるものが用いられる。しかし、これらの構成要素は、誤動作することがあり、特にショートの影響を受けることがあり、これは、結果として発生する熱と/または炎により直接影響を受ける構成要素から車両に拡散することがあるという点で、安全に重要である。
図10に示すように、MLCC10は、例えばEMCフィルタ20を形成し、コントローラ22、送電部24とともに制御ユニット26に収容する。この制御ユニット26と車両のバッテリ28との間にヒューズ30を設ける。また、制御ユニット26は、車両のモータ32、典型的にはブラシレス直流モータに接続されている。
図11に示すとおり、MLCC10は、誘電体材料36が介在する導電層34を有するように構成されている。
図12からより明確にわかるように、特にリーク電流38が発生する危険性があるが、これは保護対策を起動するものではなく、消費電力が増加して発熱し、MLCC10以下の領域でもプリント回路基板12に火災が発生するおそれがある。図12aにおいて、40は、2つの導電層34間の欠陥を示しており、これにより、図12bに示す故障電流42が発生し、発熱する。これにより、図12cに示すように、プリント回路基板12のMLCC10よりも下方の領域も加熱され、ここにも故障電流44が流れることになり、プリント回路基板12の焼損、剥離、燃焼が発生し、大きな損傷が生じる。
【0003】
図14からわかるように、MLCCに障害があると、一方で回路が開放され、レベル46から例えば48で示す50Aに電流が低下する可能性がある。その後、電流の流れが中断され、電圧がレベル50から負荷のないレベル14Vに低下する。これは52に示されている。
ただし、図15によると、レベル46からレベル48に最初に電流が減少したにもかかわらず、MLCCが故障した後、52で示される電圧が最初に減少する可能性がある。しかし、その後、プリント回路基板に電流が流れるため、上記のような危険な状況が発生する可能性がある。
米国特許出願公開2016/0120027号明細書によれば、MLCCは中間層を介してプリント回路基板上に実装される。中間層は、開口部を有することができる。
米国特許出願公開2015/0029674号明細書は、プリント回路基板に取り付けられた電子部品を開口部の上に開示しており、開口部は熱伝導性材料で満たされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安全性の点で改善された回路を作成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、請求項1によって達成される。
回路は、プリント回路基板と、少なくとも1つのMLCCとを含み、プリント回路基板は、プリント回路基板上のMLCCの投影領域に少なくとも1つの開口を有することを特徴とする。これは材料で満たされておらず、MLCCが誤動作した場合、MLCCとプリント回路基板の間に熱が蓄積されることを根本的に防止し、プリント回路基板の材料が発火し、焦げることがある
好ましい実施形態は、さらに請求項に記載されている。
MLCCのコンタクト列に平行な方向に少なくとも1つの開口部を長くすることにより、プリント回路基板上におけるMLCCのコンタクト配列の損傷を有利に防止することができる。言い換えれば、開口部は、コンタクトが配置されたブロックまたはパッドの間および平行に延びている。
【0006】
したがって、少なくとも1つの開口の少なくとも1つの境界がプリント回路基板上のMLCCの投影と一致する場合に、特に安全性を向上させる、特に大きな開口を作成することができる。同時に、MLCCの方向から見ても開口部は見えないので、これは回路のレイアウトにわずかに影響する。
少なくとも1つの開口部がプリント回路基板上のMLCCの投影面積の少なくとも20%および/または少なくとも50%の面積を有する場合、特に良好な特性が期待される。したがって、開口部の寸法はMLCCのサイズに依存する。特に、EIAコード1206または1209を有するMLCCの場合には、良好な結果が期待される。
少なくとも1つの曲線境界がある場合、開口部の作成に有利である。これは、たとえば、このプロセスで使用されるドリルまたはエンドミルの曲率によって作成できる。
同時に、少なくとも1つの開口部が、例えばドリルまたはエンドミルの並進運動によって作成される少なくとも2つの平行境界を有する場合、作成を簡単にすることができる。
【0007】
本発明による回路は、特にプリント回路基板がFR4材料からなる場合の利点を示す。これは特に焦げる傾向があるので、本発明による開口部によって特に好ましくない効果を相殺することができる。
複数のMLCCが存在する場合、少なくとも1つの開口部が2つ以上のMLCCの投影にわたって延びていれば、効率的に作成できるという利点がある。
本発明による回路は、さらに、プリント回路基板上に実装され、かつ/またはプリント回路基板がストリップ導体を有することを特徴とする。 すなわち、プリント回路基板は何らかの中間素子ではなく、電子部品及び/又はストリップ導体を実装したプリント回路基板自体を、安全性が向上するように有利に改質する。
これは、プリント回路基板の少なくとも一方の開口部および/またはプリント回路基板の厚さに沿って延びる開口部の内面の周囲を被覆しない実施形態にも適用される。その結果、この領域に電流が流れる可能性を低くすることにより、望ましくない火炎伝播の促進を防止することができる。
特に、本発明による回路は、動作電圧が12Vまたは48Vのときに使用することができる。最後に、本発明による開口部は、好ましくは、いかなる材料も含まないことを再度強調する必要がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明による回路は、主バッテリに火炎が伝播する危険性がある場合に特に危険が生じるため、電気自動車またはハイブリッド車両で使用することが好ましい。しかしながら、本発明に係る回路は、火炎伝播のリスクを回避するための任意の車両に適している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、図面に例示的に示される発明の実施形態をより詳細に説明する。図面には次の内容が示されている。
図1】本発明に係る回路の断面を示す斜視図である。
図2】MLCCなしの図1による斜視図である。
図3】複数のMLCCが互いに並列に電気的に接続された代替実施形態の平面図である。
図4】コンタクトブロックに対する開口部の位置を見ることができる図1の実施形態のさらなる平面図である。
図5】典型的なMLCCパッケージの2つのビューと寸法を示した図である。
図6図1の実施形態を、プリント回路基板上にその周囲を示す図である。
図7図6のMLCCのセクションを示す図である。
図8図3の実施形態におけるMLCCとその周辺をプリント回路基板上に3箇所配置した場合の実施例を示す図である。
図9】2つのMLCCを有する図8のセクションを示す図である。
図10】電源ラインにEMCフィルタを配置した典型的な配置で提供されるMLCCのブロック図である。
図11】MLCCの内部層の構造を模式的に示す図である。
図12】a~cは、MLCCの周辺の障害の発展を示す図である。
図13】a~cは、本発明による欠陥の防止を示す図である。
図14】従来使用されていたMLCCに障害が発生した場合の電流および電圧図を示す。
図15】従来使用されていたMLCCに障害が発生した場合の電流および電圧図を示す。
図16】本発明に従って組み込まれたMLCCに障害が発生した場合の電流および電圧図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、MLCC10は、プリント回路基板12のブロック14に、図1には見えない、左右の外縁に平行に延びるコンタクトが接触するようにプリント回路基板12に実装されている。ブロック14と平行に、またブロック14間において、開口部16の端部を図1に示すが、図2に示す方が見やすい。
図2は、ブロック14の略矩形デザインと、これに平行な開口部16の細長いデザインとを示す。図示の場合、開口部16は、ブロック14の長辺と実質的に平行な2つの平行な側縁を有する。開口部16の端部は実質的に半円形に形成されており、これにより、直径がほぼ平行エッジ間の距離に対応するドリルまたはエンドミルによって効率的に開口部16を作成することができる。これは、開口部16が破線で示される複数のMLCC10の下に延びている図3の実施形態にも適用される。
破線は、基本的にプリント回路基板上のそれぞれのMLCCの投影を示す。また、各ブロック14は、図2のブロック14に対応して、開口16のみが複数のMLCCに対応して長い。図3によれば、開口部は、図3に示すように、最上段および最下段のMLCCの突出部をわずかに超えて突出しているが、それぞれの端部が突出部の縁に一致していてもよいし、開口部16が短くなっていてもよい。
【0011】
例えば、ブロック14の長い側面は、長さ1.5~2.8mmであり、互いに1.5~2mmの間隔を置くことができる。この場合、開口部16の平行な縁は、互いに0.9~1mm間隔で間隔を置くことができ、開口部16の全長は2.6~3.9mmである。これは、図2図3の左側から右側に測定された3.0~3.4mmのMLCCに適用される。図3によれば、隣接するMLCCのブロックは、例えば0.8mm間隔で配置することができる。特に、本発明による利点は、前記寸法規則によって特に良好に達成できる。
図4は、図1の実施形態において、2つのブロック14、MLCC10の投影、ブロック14間の開口16を示す。これは、図3の例によって示される3つのMLCCのうちの1つの周辺の状況に実質的に対応しており、上記の例示的な寸法が適用される。
図5の上部は、コンタクトがハッチングされた典型的なMLCCの平面図である。下部には、拡大縮小ではなく側面図が表示されているが、設計Lによっては、3.0~3.4mm、Sは1.5~2.3mm、Wは1.4~2.7mm、Tは0.25~0.75mmであることに注意しなければならない。特に、上記のブロックと開口部の例示的な寸法は、そのような測定に適用される。
【0012】
次の表は、MLCCのタイプに応じて、図4図5に従って有利な寸法を示す。
図6において、図1の実施形態によれば、プリント回路基板12上のストリップ導体18がブロック14に沿っており、ストリップ導体18がさらに電子部品に接続されていてもよいことが分かる。図7は、MLCC10が1つある場合の図6のセクションを示す。これは、図1に示すように、両端の開口部16の両端がMLCC10の投影面からわずかに突出している場合に相当する。
図8は、図3の実施形態と同様の断面図であり、この場合、3対のブロック14と、対応する長い開口16とを備える。
図9に示すように、このような実施形態は2つのMLCCのみである3つのMLCCに適している。その周囲には、再びストリップ導体18が見える。
図13a,図13bによれば、本発明に係る溶液の場合におけるリーク電流発生時の展開は、図12を参照して説明したものと当初は同じであるが、MLCC10の下方領域のプリント回路基板12の開口部16を考慮すると、プリント回路基板12及びcのチャリングが行われる。その爆発を防止することができる。
図16から分かるように、特に図15と比較すると、プリント回路基板に電流が流れず、電流と電圧が安全なレベルまで低下してMLCCだけが破損するが、焼損、剥離、火炎伝播は発生しない。
【符号の説明】
【0013】
10 MLCC、多層セラミックコンデンサ
12 プリント回路基板
14 ブロック
16 開口部
20 EMCフィルタ
22 コントローラ
24 送電部
26 制御ユニット
28 車両のバッテリ
30 ヒューズ
32 モータ
36 誘電体材料
34 導電層
38 リーク電流
42、44 故障電流
46、48 レベル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16