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  • 特開-温室システム 図1
  • 特開-温室システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151831
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】温室システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048164
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】21164921.5
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503314705
【氏名又は名称】ユングハインリヒ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロールヴァ, フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】カヴェリウス, イェルク
(72)【発明者】
【氏名】リープハーバー, マルクス
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NE01
2B327TA04
2B327TC02
2B327TC05
2B327TC17
2B327TC25
2B327UB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブロック貯蔵装置、少なくとも1つのブロック貯蔵要素、及び少なくとも1つの車両を備えた温室システムを作動させるための方法。
【解決手段】温室システム1を作動させる方法であって、各ブロック貯蔵要素は、キャリヤフレーム及び植物受け部10を有し、植物受け部10は、キャリヤフレームに取り外し可能に係合され、ブロック貯蔵装置は、少なくとも1つの第1の領域4及び1つの第2の領域5を有し、少なくとも1つの第1のキャリヤフレーム及び少なくとも1つの第2のキャリヤフレームを有し、第1の領域4内の植物受け部10は、第1のキャリヤフレームに取り外し可能に係合され、植物受け部10は、その後に第2の領域5内に移送され、第1の領域4から第2の領域5への移送の枠内で、第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームへ移送され、第2の領域5内の植物受け部10は、第2のキャリヤフレームに取り外し可能に係合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック貯蔵装置、少なくとも1つのブロック貯蔵要素、及び少なくとも1つの車両を有する温室システム(1)を作動させる方法であって、各ブロック貯蔵要素が、キャリヤフレーム及び植物受け部(10)を有し、該植物受け部(10)は、キャリヤフレームと取り外し可能に係合され、ブロック貯蔵装置は、少なくとも1つの第1の領域(4)及び少なくとも1つの第2の領域(5)、ならびに少なくとも1つの第1のキャリヤフレーム及び少なくとも1つの第2のキャリヤフレームを有し、
第1の領域(4)の植物受け部(10)は、第1のキャリヤフレームと取り外し可能に係合され、
植物受け部(10)は、続いて、第2の領域(5)に移送され、
植物受け部(10)は、第1の領域(4)から第2の領域(5)への移送の枠内で、第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームへ移送され、
第2の領域(5)の植物受け部(10)は、第2のキャリヤフレームに取り外し可能に係合する、方法。
【請求項2】
苗及び/又は植物を蓄えた前記植物受け部(10)が、重力方向にて上方に配置された第1のキャリヤフレームの第1の照明システムによって第1の成長段階中に第1の領域(4)で照明され、
及び/又は植物を有する前記植物受け部(10)が、重力方向にて上方に配置された第2のキャリヤフレームの第2の照明システムによって第2の成長段階中に第2の領域(5)で照明される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物受け部(10)がブロック貯蔵装置の外側の備蓄場所(3)に苗及び/又は植物を貯蔵し、その後、第1のキャリヤフレームに係合して、ブロック貯蔵装置の第1の領域(4)に貯蔵される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のキャリヤフレームから前記第2のキャリヤフレームへの移送の枠内で、前記植物受け部(10)が移転場所(3)に移転される、請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
収穫可能な植物を有する植物受け部(10)を備えたキャリヤフレームが取り出し場所(2)に移送され、該取り出し場所(2)にて植物受け部(10)がキャリヤフレームから分離される、請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記植物受け部(10)が、取り出し場所(2)から備蓄場所(3)に進み、植物受け部(10)が取り出し場所(2)から備蓄場所(3)に至る途中で洗浄される、請求項1乃至5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
温室システム(1)は、第1のバッファ(6)と第2のバッファ(6)を有し、植物受け部(10)が搭載されていない又は植物受け部(10)がない状態で輸送される第1のキャリヤフレームは、第1のバッファ(6)に取り外し可能に備蓄され、植物受け部(10)が搭載されていない又は植物受け部(10)がない状態で輸送される第2のキャリヤフレームは、第2のバッファ(6)に取り外し可能に備蓄される、請求項1乃至6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
ブロック貯蔵装置と、少なくとも1つのブロック貯蔵要素と、少なくとも1つの車両とを備え、少なくとも1つのブロック貯蔵要素は前記ブロック貯蔵装置に一時的に収容される温室システム(1)において、
前記ブロック貯蔵要素は、キャリヤフレームと、該キャリヤフレームに取り外し可能に係合する植物受け部(10)とを有し、
前記ブロック貯蔵装置は、少なくとも1つの第1の領域(4)及び少なくとも1つの第2の領域(5)を有し、
第1のキャリヤフレームは、前記植物受け部(10)と共に第1のブロック貯蔵要素を形成し、
第2のキャリヤフレームは、前記植物受け部(10)と共に第2のブロック貯蔵要素を形成し、
前記第1のブロック貯蔵要素は、前記第1の領域(4)に備蓄されることができ、前記第2のブロック貯蔵要素は、前記第2の領域(5)に備蓄されることができ、前記植物受け部(10)は第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームに移送される、温室システム。
【請求項9】
第1のキャリヤフレームは第1の照明システムを有し、第2のキャリヤフレームは第2の照明システムを有する、請求項8に記載の温室システム。
【請求項10】
第1のキャリヤフレームの重力方向における植物の成長は、第2のキャリヤフレームの重力方向における植物の成長よりも小さい、請求項8又は9に記載の温室システム。
【請求項11】
温室システム(1)は、備蓄場所(3)、取り出し場所(2)及び移転場所(3)を有する、請求項8又は10に記載の温室システム。
【請求項12】
前記備蓄場所(3)及び/又は取り出し場所(2)は、前記移転場所(3)を備え、及び/又は前記備蓄場所(3)は、前記取り出し場所(2)を備える、請求項8乃至11の何れかに記載の温室システム。
【請求項13】
前記取り出し場所(2)と備蓄場所(3)との間に移送システム(8)が配備される、請求項8乃至12の何れかに記載の温室システム。
【請求項14】
前記移送システム(8)が洗浄装置(9)を備えている、請求項8乃至13の何れかに記載の温室システム。
【請求項15】
温室システムは、少なくとも1つの輸送される第1のキャリヤフレームを収容するための第1のバッファ(6)と、少なくとも1つの輸送される第2のキャリヤフレームを収容するための第2のバッファ(6)を有する、請求項8乃至14の何れかに記載の温室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック貯蔵装置、少なくとも1つのブロック貯蔵要素、及び少なくとも1つの車両を備えた温室システムを作動させるための方法に関する。
本発明はさらにブロック貯蔵装置、少なくとも1つのブロック貯蔵要素、及び少なくとも1つの車両を備えた温室システムに関し、少なくとも1つのブロック貯蔵要素をブロック貯蔵装置に一時的に収容することができる。
【背景技術】
【0002】
ブロック貯蔵装置又はブロック貯蔵システムは、少なくとも1つのブロック貯蔵要素の受入室を備えた貯蔵システムを記載する。積層可能なブロック貯蔵要素はブロック貯蔵要素の受入室に貯蔵され、ブロック貯蔵要素の受入室から取り出される。この目的のために、少なくとも1つのブロック貯蔵要素は、装填室を通じてブロック貯蔵要素の受入室に貯蔵され又は受入室から取り出される。装填室は、重力方向にブロック貯蔵要素の受入室の上下に配置されることができるので、貯蔵又は取り出しの方向は重力方向又は重力の反対方向に向けられる。装填室がブロック貯蔵要素の受入室の上方に配置されると、貯蔵方向は重力方向を向き、取り出し方向は重力方向と逆向きである。装填室がブロック貯蔵要素の重力方向にて受入室の下方に配置されると、貯蔵方向は重力の反対方向であり、取り出し方向は重力方向である。ブロック貯蔵要素のいくつかが、ブロック貯蔵要素の受入室に貯蔵されている場合、ブロック貯蔵要素の積層が生じる。ブロック貯蔵装置の更なる指定は、積層体貯蔵装置又はコンテナ貯蔵装置である。
なお、以下の説明では、ブロック貯蔵要素の受入室は重力方向にて装填室の上方に配置されている。
植物は温室システムのフレームワーク内で育てられる。このために、植物又は苗は、適切な養分供給、照明などを備えた対応する環境を必要とする。
【0003】
本発明は、温室システムに効率的な構成を与えることを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
ここで各ブロック貯蔵要素は、キャリヤフレーム及び植物受け部を有し、植物受け部は、キャリヤフレームと取り外し可能に係合し、ここで、ブロック貯蔵要素は、少なくとも1つの第1の領域及び少なくとも1つの第2の領域、ならびに少なくとも1つの第1のキャリヤフレーム及び少なくとも1つの第2のキャリヤフレームを有し、第1の領域内の植物受け部は、第1のキャリヤフレームと取り外し可能に係合し、植物受け部は、その後、第2の領域内に移送され、ここで植物受け部は、第1の領域から第2の領域への移送の枠組み内で、第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームに移送され、第2の領域内の植物受け部は、第2のキャリヤフレームと取り外し可能に係合している。
【0005】
例えば、ここでの第1のキャリヤフレームと第2のキャリヤフレームは、その特徴、形状等が異なる。さらに、例えば、第1の領域及び第2の領域においては異なった状況、例えば、CO濃度、湿度等が見られる(prevail in)。
これにより、貯蔵された植物の成長段階に合わせて夫々の状況を調整することができ、良好な効率が得られる。
【0006】
苗及び/又は植物が貯蔵された植物受け部が、第1の領域にて、重力方向にて上方に配置された第1のキャリヤフレームの第1の照明システムによって、第1の成長段階中に照明されること、及び/又は植物を有する植物受け部が、第2の領域にて、重力方向にて上方に配置された第2のキャリヤフレームの第2の照明システムによって、第2の成長段階中に照明されることが好ましい。たとえば苗は、発芽などのために新たに蒔かれた種子も含む。
成長段階に調整された照明システムは、エネルギー節約を可能にする、何故なら第1の成長段階における苗及び/又は小規模植物が、例えば、後の成長段階における植物よりも照明を必要とせず、又は低い照明強度しか必要としないからである。
さらに、これにより、苗及び/又は植物が最適な成長条件に直面するように、条件、特に照明を成長段階に調整することが可能になる。その結果、苗及び/又は植物は急速に成長する。この結果、温室システムの良好な処理能力が向上する。
【0007】
植物受け部は、苗及び/又は植物とともに望ましくは、ブロック貯蔵装置の外側の備蓄場所で貯蔵され、その後、第1のキャリヤフレームに係合し、ブロック貯蔵装置の第1の領域に貯蔵される。ブロック貯蔵装置の外側では、苗及び/又は植物は、例えば人による、及び/又はロボットによる自動的に植物受け部内に移送することができる。
ブロック貯蔵装置内の実際の貯蔵場所から備蓄工程を分離することにより、ブロック貯蔵装置内の対応する大気を維持することができる。更に、備蓄工程を分離することで、植物を植え付ける点では、ブロック貯蔵装置にある植物及び/又は苗が人々に汚染されることを防ぎ、それによって作動工程の混乱を防ぐことができる。
【0008】
第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームへの移送の枠組み内で、植物受け部は移転場所に移転される。植物及び/又は苗が一定の規模に達するとすぐに、完備した植物受け部は、第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームに移送される。ここで第1のキャリヤフレームは第1の成長段階に調整され、第2のキャリヤフレームは第2の成長段階に調整される。従って、例えば、第1のキャリヤフレームの重力方向の成長は、第2のキャリヤフレームの重力方向の成長よりも小さい。移転は、夫々の成長段階における工場のニーズに取り組み、植物が成長するようにする。従って、第2のキャリヤフレームよりも多くの第1のキャリヤフレームを、重力方向に規定される成長を伴って、部屋に配置することができる。
【0009】
収穫可能な植物を有する植物受け部を有するキャリヤフレームは、好ましくは取り出し場所に移され、該取り出し場所にて植物受け部はキャリヤフレームから分離される。植物受け部をキャリヤフレーム、ここでは第2のキャリヤフレームから分離することにより、植物受け部は容易にアクセス可能となり、その結果、例えば、人及び/又はロボットによる収穫が行われ得る。これにより、植物の効率的な収穫が可能となる。
【0010】
植物受け部は、取り出し場所から備蓄場所に移されるのが好ましく、そこでは取り出し場所から備蓄場所にかけて植物受け部が洗浄される。洗浄工程は、植物受け部から汚染が全てなくなるため、備蓄されるべき苗や植物はきれいな植物受け部に遭遇し、カビの形成や病害虫の出現などの危険を抑えることができる。
【0011】
例えば、キャリヤフレームは、移転場所に案内され、ここでは、キャリヤフレームは、例えば、サービスされ又は洗浄されることができる。これにより、キャリヤフレームの寿命が長くなる。
例えば、ここでは植物受け部は取り出し場所から備蓄場所に、ブロック貯蔵装置の外側に移送され、そこでは植物受け部はまたブロック貯蔵装置の外側で洗浄される。
【0012】
温室システムは、好ましくは、第1のバッファ及び第2のバッファを有し、植物受け部が搭載されていない又は植物受け部がない輸送される第1のキャリヤフレームは、第1のバッファに取り外し可能に備蓄され、植物受け部が搭載されていない又は植物受け部がない輸送される第2のキャリヤフレームは、第2のバッファに取り外し可能に備蓄される。これにより緩衝容量が生成され、温室システムの円滑な運用が確保される。
例えば、第1のバッファを第2のバッファに統合することができる。これにより、必要なスペースを小さくできる。
【0013】
さらに、請求項8の特徴によって目的が達成される。
このために、ブロック貯蔵要素は、キャリヤフレームと、該キャリヤフレームに取り外し可能に係合する植物受け部とを有し、前記ブロック貯蔵装置は、少なくとも1つの第1の領域及び少なくとも1つの第2の領域を有し、第1のキャリヤフレームは、前記植物受け部と共に第1のブロック貯蔵要素を形成し、第2のキャリヤフレームは、前記植物受け部と共に第2のブロック貯蔵要素を形成し、前記第1のブロック貯蔵要素は、前記第1の領域に備蓄されることができ、前記第2のブロック貯蔵要素は、前記第2の領域に備蓄されることができ、前記植物受け部は第1のキャリヤフレームから第2のキャリヤフレームに移送される。
【0014】
このような構成の結果、キャリヤフレームは植物受け部とは別に取り扱うことができる。これにより、苗及び/又は植物を第1の領域にとどまり収穫する間で、「植え替える」必要がなくなる。これにより、植物及び/又は苗の成長中のストレスが軽減され、植物及び/又は苗が、新しい根系を生成することなく、邪魔されずに成長することができる。
【0015】
苗及び/又は植物は、植物と言及され、この用途では種子などから収穫可能な植物まで、植物のすべての成長段階を意味する。
第1の領域はここでは植物の第1の成長段階に調整され、この第1の成長段階の中で植物が最適な成長条件に直面する。たとえば、第2の領域は植物の第2の成長段階に調整されるので、第2の成長段階内で最適な成長条件に直面する。その結果、植物は急速に成長し、ブロック貯蔵装置と温室システムに高い処理能力が達成される。
【0016】
第1のキャリヤフレームが、第1の照明システムを有し、及び/又は第2のキャリヤフレームが第2の照明システムを有することが好ましい。これらの照明システムにより、成長段階に応じて植物を照明することができ、例えば、第1の成長段階では、第2の成長段階よりも、植物は強度が低く照明される。照明システムをそれぞれの成長段階に調整することで、植物の良好な成長が可能になる。
【0017】
重力方向における第1のキャリヤフレームの植物の成長は、重力方向における第2のキャリヤフレームの植物の成長よりも小さいことが好ましい。その結果、第2のキャリヤフレームよりも多くの第1のキャリヤフレームを、規定される垂直方向の成長を伴って、ブロック貯蔵要素の受入室内に備蓄することができる。従って、第1の領域は、第2の領域よりも構成が小さくなり得る。これにより、必要なスペースを小さくすることができる。
【0018】
温室システムは、備蓄場所、取り出し場所及び移転場所を有するのが好ましい。たとえば、備蓄場所の植物受け部に植物を移送することができる。その後、植物受け部は第1のキャリヤフレームに係合する。移転場所では、植物受け部は、例えば第1のキャリヤフレームから、第2のキャリヤフレームに移送される。取り出し場所では、キャリヤフレームと植物受け部が互いに切り離され、例えば、取り出し場所で収穫が更に行われる。例えば、備蓄場所、取り出し場所又は移転場所の各場所では、夫々の場所のタスクに周辺機能が調整される。その結果、良好な効率性が達成される。
【0019】
備蓄場所及び/又は取り出し場所が、移転場所を構成し、及び/又は備蓄場所が取り出し場所を構成するのが好ましい。この構成により、1つの箇所にて備蓄、移転及び取り出し又は収穫など、いくつかのタスクを実行することができる。これにより、必要なスペースがさらに削減されるため、温室システムがコンパクトになる。
【0020】
移送システムが、取り出し場所と備蓄場所との間で提供されることが好ましい。例えば、移送[システム]は植物受け部を移送する。その結果、植物受け部は、取り出し場所から備蓄場所に移送され、取り出し場所で十分な植物受け部が利用できるようになる。これにより、効率的な運用が可能となる。
【0021】
移送システムは、洗浄装置を備えるのが好ましい。例えば、ここでの洗浄装置は、植物受け部を洗浄する。その結果、植物を清潔な植物受け部に置くことができる。これにより芽生えの負荷が軽減され、その後起こりうる作動上の失敗や農作物の失敗が回避される。
【0022】
ブロック貯蔵要素には、望ましくは、少なくとも1つの輸送される第1のキャリヤフレームを収容するための第1のバッファと、少なくとも1つの輸送される第2のキャリヤフレームを収容するための第2のバッファがある。バッファは、常に輸送される十分なキャリヤフレームを提供できるため、スムーズな運用工程が可能となる。例えば、ここでは第1のバッファを第2のバッファに統合することができる。これは、コンパクトな温室システムにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、図面と併せて好ましい実施形態に基づき、以下に説明される。
図1】温室システムの上面図である。
図2】温室システムを作動させる一連の流れを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、取り出し場所2、備蓄/移転場所3、第1の領域4、第2の領域5、バッファ6、車両(図示せず)の行き来経路7、移送システム8、洗浄装置9及び時々キャリヤフレーム(図示せず)と係合している植物受け部10を備えた温室システム1を示している。第1の領域4、第2の領域5、バッファ6は行き来経路7の一部と共に、ブロック貯蔵装置に配置される。
【0025】
第1の領域4、第2の領域5及びバッファ6にはブロック貯蔵要素の受入室(図では示されていない)があり、その中にブロック貯蔵要素(下記参照)が貯蔵され、重力方向の下方から装填室(図では示されていない)を通って取り出される。
【0026】
図2に基づき、温室システム1の作動時の一連の流れを示す。備蓄/移転場所3では、植物受け部10に種子が蒔かれる。種子が蒔かれた植物受け部10は、さらに、備蓄/移転場所3で第1のキャリヤフレームに係合する。植物受け部10及び第1のキャリヤフレームは、一緒になって第1のブロック貯蔵要素を形成する。
【0027】
第1のブロック貯蔵要素は、第1の領域4に移転されるか、又は第1の領域のブロック貯蔵要素の受入室に移転される。
第1のブロック貯蔵要素は、種子が規定の成長段階に達するまで、規定された期間、第1の領域4に残る。
【0028】
種子が最適な成長環境に出会うために、第1の領域4内の大気が調整される。照明条件は、ここではキャリヤフレーム上の照明システム(図示せず)によって実現される。種子は植物の種類によって、発芽のために光集約的な環境又はやや暗い環境を好む。好みに基づいて、第1のキャリヤフレームに、対応する照明システムが装着される。また、種子及びその苗はその後の成長段階の植物に比べて小さい。従って、第1のキャリヤフレームは、第1の成長段階に調整され、重力方向で測定される成長(expansion)を有する。
【0029】
一定の時間を経て、種子から生まれた苗は、異なった環境と異なった空間条件を必要とする。このために、第1のキャリヤフレーム及び植物受け部10を完備した完全な第1のブロック貯蔵要素は、第1の領域4から備蓄/移転場所3に移送される。備蓄/移転場所3では、植物受け部10が第1のキャリヤフレームから分離される。その後、第1のキャリヤフレームは、例えばバッファ6に移送される。植物受け部10は、第2のキャリヤフレームと係合され、その結果、第2のキャリヤフレームは、植物受け部10と共に第2のブロック貯蔵要素を形成する。例えば、ここで第2のキャリヤフレームはバッファから取り外される。
【0030】
第2のブロック貯蔵要素は、その後、車両から第2の領域5に移され、第2のブロック貯蔵要素は、第2の領域のブロック貯蔵要素の受入室に貯蔵される。第2の領域5では、大気と照明は、植物の生育段階とそれに対応する要件に合わせて調整される。
【0031】
第2のキャリヤフレームも同様に植物の要求条件に合わせて調整される。第2のキャリヤフレームは、重力方向における植物のより大きな成長を可能にする。さらに、後期の成長段階にある植物は、より多くの光を必要とするので、第2のキャリヤフレームは異なる照明システムを有する。照明システムは、ここでは光を重力方向にて下向きに放射するように配置されている。ブロック貯蔵要素の積層体では、1つのブロック貯蔵要素、特に植物受け部10が上から照射される。
【0032】
1つの領域4、5から別の領域5、4へ移転する工程と、それに伴う1つのキャリヤフレームから別のキャリヤフレームへの植物受け部10の移転は、植物のニーズに応じて繰り返される。各領域及び各キャリヤフレームは、対応する成長段階にある植物のニーズに合わせて、ここで調整される。
【0033】
植物が収穫可能な段階に到達するとすぐに、植物は植物受け部10及びここでは第2のキャリヤフレームであるキャリヤフレームと共に、第2のブロック蓄積要素として、第2の領域から車両によって取り出し場所2へ移送される。
【0034】
取り出し場所2では、植物受け部10が第2のキャリヤフレームから分離され、その後、第2のキャリヤフレームが、例えば、バッファ6に移送される。バッファ6は、ここでも第1の領域4及び/又は第2の領域5に配置することができ、例えば、成長の進捗が異なる植物が第1の領域4及び第2の領域5に貯蔵される。
【0035】
植物受け部10の収穫可能な植物は収穫される。植物受け部10は、その後、移送システム8によって、植物受け部10を洗浄及び/又は消毒する洗浄装置9に移送される。その後、植物受け部10が備蓄/移転場所3に持ち込まれ、植物受け部10に再び種子又は苗を装填する。ここでの移送システム8は、植物受け部10を提供する役割を果たす。したがって、移送システム8は、バッファ機能も有する。
【0036】
キャリヤフレームはここでは専ら車両によって移動する。さらに、車両は、キャリヤフレームを植物受け部10から分離することができるので、植物受け部を備蓄/移転場所3及び/又は取り出し場所2でキャリヤフレームから取り外すことができる。さらに、いくつかの車両を提供することができる。
【0037】
例えば、完成したブロック貯蔵要素の積層体は、常に貯蔵され、移転され、又は取り出される。完成したブロック貯蔵要素の積層体は、ブロック貯蔵要素の受入室の最大貯蔵容量に関係する。車両から進んで、ブロック貯蔵要素はここで、ブロック貯蔵要素の受入室から別のブロック貯蔵要素の受入室に個別に移転される。その結果、植物の成長段階の一定期間が、例えば、各ブロック貯蔵要素の受入室に配分される。例えば、第1のブロック貯蔵要素の受入室は成長段階の第1日に、第2のブロック貯蔵要素の受入室は成長段階の第2日にそれぞれ配分される。成長段階の期間に応じて、ブロック貯蔵要素の受入室の数が規定される。
【0038】
図に示すように、領域4、5は互いに空間的に分離されている。しかし、それらはまた相互に隣接することができる。
【符号の説明】
【0039】
符号のリスト
1 温室システム
2 取り出し場所
3 備蓄/移転場所
4 第1の領域
5 第2の領域
6 バッファ
7 行き来経路
8 移送システム
9 洗浄装置
10 植物受け部
図1
図2
【外国語明細書】