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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151832
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ロールスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20220929BHJP
   H02S 30/20 20140101ALI20220929BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20220929BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20220929BHJP
【FI】
E06B5/00 A
H02S30/20
E06B9/13 A
E06B9/42 Z
H01L31/04 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048182
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2021050818
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 久史
【テーマコード(参考)】
2E239
5F151
【Fターム(参考)】
2E239AA01
2E239AA09
5F151AA02
5F151EA17
5F151EA19
5F151FA04
5F151GA03
5F151JA04
5F151JA05
5F151JA13
(57)【要約】
【課題】配線ケーブルが絡まる事態を回避しつつ、太陽電池セルで発生した電力を好適に外部に取り出す。
【解決手段】ロールスクリーン装置10は、スクリーン部12と、巻取機構19とを備える。スクリーン部12は、太陽電池セルと、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36とを備える。巻取機構19は、回転軸40と、回転軸40まわりに回転可能であり、スクリーン部12の上端部12aが固着された巻取ドラム41と、回転軸40に対して固定された導電性筒状体44と、導電性筒状体44の外周面に当接しながら、巻取ドラム41とともに回転軸まわりに回転する、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36が電気的に接続された正極用導電性回転体45および負極用導電性回転体46と、導電性筒状体44の内周面に電気的に接続された第2正極用配線ケーブル48および第2負極用配線ケーブル49とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に構成されるスクリーン部と、前記スクリーン部を巻き取る巻取機構とを備えるロールスクリーン装置であって、
前記スクリーン部は、
太陽電池セルと、
前記スクリーン部の上端部から引き出された、前記太陽電池セルで生じた電力を取り出すための第1の配線ケーブルと、
を備え、
前記巻取機構は、
回転軸と、
前記回転軸まわりに回転可能であり、前記スクリーン部の上端部が固着された巻取ドラムと、
前記回転軸に対して固定された導電性筒状体と、
前記導電性筒状体の周面に当接しながら、前記巻取ドラムとともに前記回転軸まわりに回転する導電性部材であって、前記第1の配線ケーブルが電気的に接続された導電性部材と、
前記導電性筒状体に電気的に接続された第2の配線ケーブルと、
を備えることを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
前記導電性部材は、前記導電性筒状体の周面上を回転移動するように配置された導電性回転体であることを特徴とする請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、前記導電性筒状体の周面上を摺動するように配置された導電性摺動体であることを特徴とする請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項4】
前記第2の配線ケーブルは、前記回転軸の内部を通って前記巻取機構の外部に引き出されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロールスクリーン装置。
【請求項5】
前記第1の配線ケーブルが接続されるコネクタと、
前記コネクタと接続される第3の配線ケーブルと、
をさらに備え、
前記第1の配線ケーブルは、前記コネクタおよび前記第3の配線ケーブルを介して、前記導電性部材に電気的に接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロールスクリーン装置。
【請求項6】
前記コネクタを保持するコネクタホルダをさらに備え、
前記コネクタホルダは前記巻取ドラム内に固定されることを特徴とする請求項5に記載のロールスクリーン装置。
【請求項7】
前記巻取機構は、前記巻取ドラムを前記回転軸まわりに回転させる管状モータをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のロールスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルを備えたロールスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン部分に太陽電池セルを設けたロールスクリーン装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-179193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなロールスクリーン装置では、太陽電池セルで発生した電力を外部に取り出す方法が課題となる。スクリーン部の下端部から配線ケーブルを引き出す方法の場合、構造は簡易となるが、スクリーン部の上下動と一緒に配線ケーブルも上下に移動することとなるため、配線ケーブルの処理が容易ではない。
【0005】
一方、スクリーン部の上端部から配線ケーブルを引き出す方法の場合、上端部では巻取機構によってスクリーンが巻き取られるので、配線ケーブルの上下動は生じない。しかしながら、この場合、スクリーン部の巻き取りとともに配線ケーブルが回転移動することとなるため、配線ケーブルの絡まりや傷みが生じやすく、配線が動きシャフト内壁にぶつかることで撥音するという課題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、太陽電池セルを備えたロールスクリーン装置(シャッター等の巻取り装置も含む)において、配線ケーブルが絡まるといった事態を回避しつつ、太陽電池セルで発生した電力を好適に外部に取り出すことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のロールスクリーン装置は、シート状に構成されるスクリーン部と、スクリーン部を巻き取る巻取機構とを備える。スクリーン部は、太陽電池セルと、スクリーン部の上端部から引き出された、太陽電池セルで生じた電力を取り出すための第1の配線ケーブルとを備える。巻取機構は、回転軸と、回転軸まわりに回転可能であり、スクリーン部の上端部が固着された巻取ドラムと、回転軸に対して固定された導電性筒状体と、導電性筒状体の周面に当接しながら、巻取ドラムとともに回転軸まわりに回転する導電性部材であって、第1の配線ケーブルが電気的に接続された導電性部材と、導電性筒状体に電気的に接続された第2の配線ケーブルとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の概略正面図である。
図2】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の概略水平断面図である。
図3】巻取機構の構成を説明するための概略断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、巻取機構の動作を説明するための図である。
図5】巻取機構の変形例の構成説明するための概略断面図である。
図6】巻取ドラム内における配線ケーブルの配索方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。以下の構成は本開示を理解するための例示を目的とするものであり、本開示の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ定まる。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置10の概略正面図である。ロールスクリーン装置10は、建物の開口部に取り付けて使用される。
【0011】
ロールスクリーン装置10は、スクリーン部12と、スクリーン部12を吊り下げ保持する保持部14と、スクリーン部12の昇降を案内する一対のガイドレール16,17とを備える。
【0012】
スクリーン部12は、可撓性を有する長方形のシート状体に構成される。このスクリーン部12は、その長手方向の上端部が保持部14内の巻取機構19に連結され、下端部にボトムレール18が設けられている。ボトムレール18は、スクリーン部12を下方向に引き降ろす方向に力を加えると共に、スクリーン部12に張力を付与して平面性を高める作用を及ぼす。
【0013】
スクリーン部12は、複数の太陽電池セル20を内蔵している。図1に示す例では、複数の長方形状の太陽電池セル20が上下方向(高さ方向)に並べて配列されているが、太陽電池セル20のサイズ、形状、配列方法については特に限定されず、自由なサイズ、形状、配列が可能である。例えば、平面視正方形の複数の太陽電池セル20がスクリーン部12全域にマトリクス状に配置されていてもよい。一般に、結晶系シリコン太陽電池セルにおいてはマトリクス配置が多用されている。太陽電池セル20は光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換するように構成される。スクリーン部12の層構成については後述する。
【0014】
各太陽電池セル20には、正と負の取り出し電極31,32が形成されている。各太陽電池セル20に形成された正の取り出し電極31は、正極用配線33により互いに接続される。同様に、各太陽電池セル20に形成された負の取り出し電極32は、負極用配線34により互いに接続される。複数の太陽電池セル20は、このように正極用配線33および負極用配線34により互いに接続される。正極用配線33および負極用配線34は、それぞれ、スクリーン部12の上端部において、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36によってスクリーン部12の外部に引き出されている。第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36は、まとめて「第1の配線ケーブル」とも呼ばれる。配線形式は直列、並列を問わず配置可能であり、ここでは、それを限定するものではない。
【0015】
保持部14は、スクリーン部12を巻き取るための巻取機構19と、巻取機構19を収容するケース15とを備える。スクリーン部12の昇降操作は、プルコード式、チェーン式などの既知の方式を採用することができる。あるいは、ケース15内に電動モータを設け、電動式としてもよい。巻取機構19の詳細については後述する。
【0016】
ガイドレール16,17は、スクリーン部12の左右両端に配置されており、スクリーン部12の端部を挟み込むように構成されている。
【0017】
また、太陽電池セル20を内蔵したスクリーン部12は、太陽電池セルを内蔵していないファブリック製のスクリーンと比較して皺や凹凸面が発生しやすいという性質がある。ガイドレール16,17を設けることにより、スクリーン部12の皺や凹凸面を低減することができる。ガイドレールとロールスクリーンの隙間はモヘヤなどで塞いでもよい。
【0018】
図2は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置10の概略水平断面図である。スクリーン部12は、太陽電池セル20と、太陽電池セル20の受光面(発電面、表面とも呼ばれる)20a上に形成される受光面側封止層24と、太陽電池セル20の裏面(非受光面とも呼ばれる)20b上に形成される裏面側封止層26と、受光面側封止層24上に形成される受光面側被覆層28と、裏面側封止層26上に形成される裏面側被覆層30と、を備える。ロールスクリーン装置10は、太陽電池セル20の受光面が室外側を向き、太陽電池セル20の裏面が室内側を向くように建物の開口部に取り付けられる。スクリーン部12の厚さは、例えば0.5mm~2.0mmであってよい。
【0019】
太陽電池セル20は、例えばポリイミド基板21と、ポリイミド基板21上に形成される例えば薄膜シリコン22と、薄膜シリコン22上に形成される透明導電膜(ITO)23とを備える。太陽電池セルは、薄膜シリコンに限定されず、有機薄膜、色素増感、ペロブスカイト、CIGS、CIS、これらのタンデム構造などでもよい。
【0020】
受光面側封止層24は、太陽電池セル20の受光面20aを覆うように設けられている。また、裏面側封止層26は、太陽電池セル20の裏面20bを覆うように設けられている。封止層の材料としては、オレフィン系エラストマー(TPO)を用いることができる。
【0021】
裏面側被覆層30は、裏面側封止層26を覆うように設けられている。裏面側被覆層30は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの繊維類やプラスチック類(合成樹脂)で形成されてよい。裏面側被覆層30に遮光性を持たせるために、例えば有色で不透明な樹脂を用いてもよい。あるいは、裏面側被覆層30上に別途遮光層が設けられてもよい。
【0022】
受光面側被覆層28は、受光面側封止層24を覆うように設けられている。受光面側被覆層28は、ETFE(Ethylene Tetra Fluoro Ethylene)などの透明または半透明な樹脂で形成されてよい。あるいは受光面側被覆層28は、デザイン性の向上等を目的として、有色の樹脂で形成されてもよいし、デザインパターンを印字もしくは凹凸加工してもよい。また、デザイン性向上のため、受光面側封止層24自体に有色で半透明やデザインパターンを印字してもよい。
【0023】
上述したように、第1実施形態に係るロールスクリーン装置10では、スクリーン部12の左側の端部28aと右側の端部28bがガイドレール16,17によって挟み込まれている。このような構成とすることにより、スクリーン部12の横側からの光漏れおよび熱漏れを防ぐことができるので、遮光性能、遮熱性能および断熱性能を向上することができる。また、スクリーン部12の皺を抑制する効果も期待できる。
【0024】
図3は、巻取機構19の構成を説明するための概略断面図である。巻取機構19は、回転軸40と、巻取ドラム41と、管状モータ42と、駆動伝達部43と、を備える。
【0025】
回転軸40は、中空の棒状体であり、ケース15の左側面部15aに固定される。回転軸40は、絶縁材料で構成されるか、絶縁処理が施された材料で構成される。巻取ドラム41は、中空の筒状体であり、回転軸40まわりに回転可能に配置される。管状モータ42は、固定子42aと、固定子42aに対して回転する管状の回転子42bとを備える。固定子42aは、ケース15の右側面部15bに固定される。回転子42bは、巻取ドラム41内に挿入される。回転子42bは、駆動伝達部43を介して巻取ドラム41に連結される。電力の供給により回転子42bが回転すると、回転力が駆動伝達部43を介して巻取ドラム41に伝達され、巻取ドラム41が回転軸40まわりに回転する。
【0026】
巻取ドラム41の外周面には、スクリーン部12の上端部12aが固着されている。巻取ドラム41が回転すると、スクリーン部12が巻取ドラム41の外周面上に巻き取られ、スクリーン部12をケース15内に収納することができる。
【0027】
本実施形態において、巻取機構19はさらに、導電性筒状体44と、正極用導電性回転体45と、負極用導電性回転体46と、支持部材47と、第2正極用配線ケーブル48と、第2負極用配線ケーブル49と、を備える。第2正極用配線ケーブル48および第2負極用配線ケーブル49は、まとめて「第2の配線ケーブル」とも呼ばれる。
【0028】
導電性筒状体44は、主として銅・銅合金やアルミニウム・アルミニウム合金などの導電性の金属で形成された、もしくは電力取出し部に金など導電性の金属によるコーティングが施され樹脂等で形成された、長手方向に垂直な断面が円形の筒状体である。導電性筒状体44は、回転軸40と同軸且つ回転軸40を取り囲むように配置される。導電性筒状体44は、絶縁性固定部材50によって、回転軸40に対して固定される。すなわち、この導電性筒状体44は、ケース15に対して固定されており、巻取ドラム41とともに回転しない。
【0029】
導電性筒状体44は、正極用筒状部44aと、負極用筒状部44bと、正極用筒状部44aと負極用筒状部44bの間に形成された絶縁用筒状部44cとから成る。絶縁用筒状部44cは、正極用筒状部44aと負極用筒状部44bとを絶縁している。正極用筒状部44a、負極用筒状部44bおよび絶縁用筒状部44cは、一体に形成されてもよいし、組み合わされてもよい。
【0030】
支持部材47は、巻取ドラム41の左端部に固定されており、回転軸40に対して巻取ドラム41を回転可能に軸支している。この支持部材47は、巻取ドラム41とともに回転する。支持部材47は、絶縁材料で構成されるか、絶縁処理を施された材料で構成される。
【0031】
正極用導電性回転体45および負極用導電性回転体46は、主として銅・銅合金やアルミニウム・アルミニウム合金などの導電性の金属で形成された略円盤状の回転体である。正極用導電性回転体45は、導電性筒状体44の正極用筒状部44aと当接するように、支持部材47に設けられた回転軸51に回転可能に軸支されている。同様に、負極用導電性回転体46は、導電性筒状体44の負極用筒状部44bと当接するように、支持部材47に設けられた回転軸52に回転可能に軸支されている。
【0032】
正極用導電性回転体45は、巻取ドラム41が回転するとき、正極用筒状部44aの外周面上を回転移動しながら、巻取ドラム41とともに回転軸40まわりに回転する。同様に、負極用導電性回転体46は、巻取ドラム41が回転するとき、負極用筒状部44bの外周面上を回転移動しながら、巻取ドラム41とともに回転軸40まわりに回転する。
【0033】
上述したように本実施形態においては、スクリーン部12の上端部12aから、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36が引き出されている。第1正極用配線ケーブル35は、支持部材47に形成された貫通孔を介して、正極用導電性回転体45に電気的に接続されている。同様に、第1負極用配線ケーブル36は、支持部材47に形成された貫通孔を介して、負極用導電性回転体46に電気的に接続されている。これらのケーブルは全て被覆されており、絶縁性が保たれているものとする。
【0034】
第2正極用配線ケーブル48は、正極用筒状部44aの内周面に電気的に接続されている。同様に、第2負極用配線ケーブル49は、負極用筒状部44bの内周面に電気的に接続されている。第2正極用配線ケーブル48および第2負極用配線ケーブル49は、図3に示すように、回転軸40に形成された貫通孔を介して、中空の回転軸40の内部に挿通され、回転軸40の内部を通って巻取機構19の外部に引き出されている。
【0035】
上記のように構成された巻取機構19において、第1正極用配線ケーブル35は、正極用導電性回転体45および正極用筒状部44aを介して第2正極用配線ケーブル48と導通している。同様に、第1負極用配線ケーブル36は、負極用導電性回転体46および負極用筒状部44bを介して第2負極用配線ケーブル49と導通している。
【0036】
図4(a)~図4(c)は、巻取機構19の動作を説明するための図である。図4(a)~図4(c)は、巻取機構19を軸方向から見た概略図である。図4(a)~図4(c)では、説明を簡略化するために負極用導電性回転体46のみを図示しており、以下では主に負極側の動作について説明する。
【0037】
図4(a)は、スクリーン部12の巻き取り開始前の状態を示している。スクリーン部12から引き出された第1負極用配線ケーブル36は負極用導電性回転体46に接続され、負極用導電性回転体46は負極用筒状部44bの外周面に当接しており、負極用筒状部44bの内周面に第2負極用配線ケーブル49が接続されている。したがって、第1負極用配線ケーブル36と第2負極用配線ケーブル49は導通しており、スクリーン部12に設けられた太陽電池セルで生じた電力は、第2負極用配線ケーブル49によって取り出される。
【0038】
図4(b)は、スクリーン部12の巻き取り開始直後の状態を示している。また、図4(c)は、スクリーン部12の巻き取りが進んだ状態を示している。管状モータ42が駆動されると、巻取ドラム41が回転してスクリーン部12が巻取ドラム41上に巻き取られる。巻取ドラム41の回転とともに、負極用導電性回転体46も回転軸40まわりに回転する。このとき、負極用導電性回転体46は負極用導電性回転体46の外周面上を回転移動する。負極用導電性回転体46は常に負極用筒状部44bの外周面に当接しているので、第1負極用配線ケーブル36と第2負極用配線ケーブル49の導通は保たれたままである。また、第1負極用配線ケーブル36と第2負極用配線ケーブル49は物理的には切り離されているので、巻取ドラム41とともに第1負極用配線ケーブル36が回転軸40まわりに回転した場合でも、第2負極用配線ケーブル49は影響を受けず、静止したままである。
【0039】
上記の動作は正極側についても同様である。導電性筒状体44においては、正極用筒状部44aと負極用筒状部44bとが絶縁用筒状部44cによって絶縁されているので、正極と負極のショート状態を防ぐことができる。
【0040】
このように、本実施形態に係る巻取機構19においては、巻取ドラム41とともに第1の配線ケーブル(第1正極用配線ケーブル35、第1負極用配線ケーブル36)が回転軸40まわりに回転した場合でも、第2の配線ケーブル(第2正極用配線ケーブル48、第2負極用配線ケーブル49)は静止したままである。また、第1の配線ケーブルと第2の配線ケーブルの導通は常に維持されている。従って、本実施形態に係る巻取機構19によれば、スクリーン部12の巻き取りとともに配線ケーブルが絡まるといった事態を回避しつつ、太陽電池セルで生じた電極を好適に取り出すことができる。
【0041】
また、本実施形態に係る巻取機構19においては、第2正極用配線ケーブル48および第2負極用配線ケーブル49を回転軸40の内部を通して巻取機構19の外部に引き出しているので、配線ケーブルの配索を容易にすることができる。
【0042】
上述の実施形態では、導電性回転体が筒状部の外周面上を回転移動するように構成したが、導電性回転体が筒状部の内周面上を回転移動するように構成されてもよい。また、上述の実施形態では、第2の配線ケーブルを筒状部の内周面に接続したが、第2の配線ケーブルの筒状部への接続位置は、電気的接続が確保され且つ回転する構成要素の妨げにならない位置であれば特に限定されない。
【0043】
図5は、巻取機構の変形例の構成説明するための概略断面図である。図5に示す巻取機構59は、正極用導電性回転体45および負極用導電性回転体46に代えて、正極用導電性摺動体55および負極用導電性摺動体56を備える点において、図3に示す巻取機構19と異なる。
【0044】
正極用導電性摺動体55および負極用導電性摺動体56は、例えば静止物体と移動物体とを導通するための電気摺動接触機構であり、例えば摺動ブラシや摺動シートであってよい。正極用導電性摺動体55は、支持部61により、正極用筒状部44aの外周面上を摺動するように支持されている。負極用導電性摺動体56は、支持部62により、負極用筒状部44bの外周面上を摺動するように支持されている。正極用導電性摺動体55には第1正極用配線ケーブル35が電気的に接続されており、負極用導電性摺動体56には第1負極用配線ケーブル36が電気的に接続されている。なお、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36の先端に摺動機能を持たせることにより、支持部61、62を省略することも可能である。
【0045】
本変形例に係る巻取機構59においても、第1の配線ケーブル(第1正極用配線ケーブル35、第1負極用配線ケーブル36)と第2の配線ケーブル(第2正極用配線ケーブル48、第2負極用配線ケーブル49)とは、電気的に接続されているが、物理的には切り離されている。したがって、上述の巻取機構19と同様に、スクリーン部12の巻き取りとともに配線ケーブルが絡まるといった事態を回避しつつ、太陽電池セルで生じた電極を好適に取り出すことができる。
【0046】
上述の変形例では、導電性摺動体が筒状部の外周面上を摺動するように構成されているが、導電性摺動体が筒状部の内周面上を摺動するように構成されてもよい。また、本変形例では、第2の配線ケーブルを筒状部の内周面に接続したが、第2の配線ケーブルの筒状部への接続位置は、電気的接続が確保され且つ回転する構成要素の妨げにならない位置であれば特に限定されない
【0047】
図6は、巻取ドラム41内における配線ケーブルの配索方法を説明するための図である。図6に示す巻取機構19において、回転軸40は、端部ブラケット60に固定されている。端部ブラケット60は中央部に孔が設けられており、該孔を介して回転軸40の内部を通る第2正極用配線ケーブル48および第2負極用配線ケーブル49を外部に引き出し可能となっている。端部ブラケット60は、端部ブラケット支持金物70を介して上部のフレーム72に取り付けられる。端部ブラケット支持金物70を覆う端部カバー74が設けられてもよい。
【0048】
支持部材47は、巻取ドラム41の内壁に固定されており、回転軸40に対して巻取ドラム41を回転可能に軸支している。支持部材47は、巻取ドラム41とともに回転する。支持部材47の内部における構成は、図3に示す実施形態と同様である。
【0049】
本実施形態においても、図6に示すように、スクリーン部12の上端部から、第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36が引き出されている。第1正極用配線ケーブル35および第1負極用配線ケーブル36は、巻取ドラム41に形成された貫通孔を介して、巻取ドラム41内に引き込まれている。
【0050】
図6に示す実施形態に係る巻取機構19は、巻取ドラム41内に正極用コネクタ64、負極用コネクタ65およびコネクタホルダ68が配置されている点が図3に示す実施形態と異なる。正極用コネクタ64および負極用コネクタ65は、コネクタホルダ68により保持される。コネクタホルダ68は、巻取ドラム41の内壁に固定される。
【0051】
本実施形態に係る巻取機構19において、第1正極用配線ケーブル35は、正極用コネクタ64に接続される。この正極用コネクタ64には第3正極用配線ケーブル66の一端が接続される。正極用コネクタ64により、第1正極用配線ケーブル35と第3正極用配線ケーブル66は電気的に接続される。第3正極用配線ケーブル66の他端は、正極用導電性回転体45に電気的に接続される。従って、本実施形態においては、第1正極用配線ケーブル35は、正極用コネクタ64および第3正極用配線ケーブル66を介して、正極用導電性回転体45に電気的に接続される。正極用導電性回転体45は、正極用筒状部44aを介して第2正極用配線ケーブル48に電気的に接続される。
【0052】
また、第1負極用配線ケーブル36は、負極用コネクタ65に接続される。この負極用コネクタ65には第3負極用配線ケーブル67の一端が接続される。負極用コネクタ65により、第1負極用配線ケーブル36と第3負極用配線ケーブル67は電気的に接続される。第3負極用配線ケーブル67の他端は、負極用導電性回転体46に電気的に接続される。従って、本実施形態においては、第1負極用配線ケーブル36は、負極用コネクタ65および第3負極用配線ケーブル67を介して、負極用導電性回転体46に電気的に接続される。負極用導電性回転体46は、負極用筒状部44bを介して第2負極用配線ケーブル49に電気的に接続される。
【0053】
次に、図6に示す巻取機構19の組み付け方について説明する。まず、巻取ドラム41の外部において、正極用コネクタ64に第1正極用配線ケーブル35および第3正極用配線ケーブル66を接続する。第3正極用配線ケーブル66の他端は正極用導電性回転体45に接続されている。同様に、負極用コネクタ65に第1負極用配線ケーブル36および第3負極用配線ケーブル67を接続する。第3負極用配線ケーブル67の他端は負極用導電性回転体46に接続されている。
【0054】
次に、正極用コネクタ64および負極用コネクタ65をコネクタホルダ68で保持し、該コネクタホルダ68を巻取ドラム41内に挿入し、所定の位置で巻取ドラム41の内壁に固定する。
【0055】
次に、支持部材47および支持部材47に組み付けられた部材(回転軸40等)を巻取ドラム41内に挿入し、支持部材47を巻取ドラム41の内壁に固定する。
【0056】
最後に、端部ブラケット60を回転軸40に差し込み、巻取機構19の組み付けが完成する。組み付けられた巻取機構19は、端部ブラケット支持金物70によりフレーム72に取り付けられる。巻取ドラム41における支持部材47と反対側の端部では、管状モータ42の固定子42aが巻取ドラム41に固定された端部ブラケット60に取り付けられ、端部ブラケット支持金物70によりフレーム72に取り付けられる。このようにして、巻取機構19がフレーム72に固定される。
【0057】
このように、本実施形態に係る巻取機構19によれば、正極用コネクタ64、負極用コネクタ65およびコネクタホルダ68を採用したことにより、配線ケーブルの配索が容易となり、巻取機構19の組み付けをスムーズに行うことができる。
る。
【0058】
また、正極用コネクタ64および負極用コネクタ65がコネクタホルダ68により保持されているため、巻取ドラム41の回転時における配線ケーブルの移動が抑制される。これにより、配線ケーブルの移動に伴う音の発生を抑制できるとともに、配線ケーブルの断線を防止できる。
【0059】
上記では、図3に示す巻取機構19に本配索方法を適用したが、図5に示す巻取機構59に本配索方法を適用することも可能である。
【0060】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0061】
10 ロールスクリーン装置、 12 スクリーン部、 14 保持部、 15 ケース、 16 ガイドレール、 19,59 巻取機構、 20 太陽電池セル、 35 第1正極用配線ケーブル、 36 第1負極用配線ケーブル、 40 回転軸、 41 巻取ドラム、 42 管状モータ、 43 駆動伝達部、 44 導電性筒状体、 45 正極用導電性回転体、 46 負極用導電性回転体、 47 支持部材、 48 第2正極用配線ケーブル、 49 第2負極用配線ケーブル、 55 正極用導電性摺動体、 56 負極用導電性摺動体、 60 端部ブラケット、 64 正極用コネクタ、 65 負極用コネクタ、 66 第3正極用配線ケーブル、 67 第3負極用配線ケーブル、 68 コネクタホルダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6