(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015184
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ゴルフクラブケース
(51)【国際特許分類】
A63B 55/40 20150101AFI20220114BHJP
A63B 55/57 20150101ALI20220114BHJP
A63B 60/62 20150101ALI20220114BHJP
【FI】
A63B55/40
A63B55/57
A63B60/62
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117866
(22)【出願日】2020-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】518029982
【氏名又は名称】株式会社アースリード
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】肖 航
(57)【要約】
【課題】ゴルフクラブのグリップ部分での互いの絡み合いを解消することにより、ケース本体部を傾けた状態で使用する場合でも、他のゴルフクラブの出し入れ作業を円滑に行うことが可能となる、ゴルフクラブケースを提供する。
【解決手段】クラブケース1は、長手方向における一方の開口部2aと他方の底部2bとを備える筒状のケース本体部2と、ケース本体部2の背面2Rにおける開口部2aの近傍に一端部が回動可能に支持される二本の支持脚3・3と、を備え、背面2Rが下側を向くようにケース本体部2を傾けた状態で二本の支持脚3・3が開かれる自立状態と、二本の支持脚3・3が閉じられる収納状態と、の間を遷移可能とされ、ケース本体部2における長手方向の中途部には、ケース本体部2の内部と外部とを連通するとともにファスナー42により開閉可能とされる孔部41が長手方向に沿って形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向における一方の開口部と他方の底部とを備える筒状のケース本体部と、該ケース本体部の背面における前記開口部の近傍に一端部が回動可能に支持されて開閉可能とされる二本の支持脚と、を備え、前記背面が下側を向くように前記ケース本体部を傾けた状態で前記二本の支持脚が開かれる自立状態と、前記二本の支持脚が閉じられる収納状態と、の間を遷移可能なゴルフクラブケースであって、
前記ケース本体部における長手方向の中途部には、前記ケース本体部の内部と外部とを連通するとともに開閉機構により開閉可能とされる孔部が長手方向に沿って形成される、ゴルフクラブケース。
【請求項2】
前記ケース本体部の正面における前記開口部の近傍に把持部が形成され、
前記孔部は前記ケース本体部の側面に形成される、請求項1に記載のゴルフクラブケース。
【請求項3】
前記ケース本体部の正面には収納部が設けられ、
前記孔部と前記収納部とは、前記ケース本体部の長手方向において一部又は全部が重複して配置される、請求項2に記載のゴルフクラブケース。
【請求項4】
前記ケース本体部は、正面側に設けられる第一の布体と、背面側に設けられる第二の布体と、を備え、
前記開閉機構として、ファスナーが前記第一の布体と前記第二の布体との接合部に沿って設けられる、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のゴルフクラブケース。
【請求項5】
前記孔部は、前記底部からの距離が15cm以上30cm以下の箇所に下端部が配置される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のゴルフクラブケース。
【請求項6】
前記孔部の長さが25cm以上35cm以下で形成される、請求項1から請求項5の何れか1項に記載のゴルフクラブケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブケースに関し、詳細には、ゴルフのラウンド中に使用者が持ち運び可能な携帯型のゴルフクラブケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフのラウンド中にプレイヤーがフェアウェイ等で持ち運び可能なゴルフクラブケースが用いられている。このようなゴルフクラブケースにおいては、ケース本体部を傾けた状態で、二本の支持脚によりケース本体部を支持する技術が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載のゴルフクラブケースの場合、複数のゴルフクラブがケース本体部の内部で絡まって、ゴルフクラブが出し入れし難くなることがあった。特に、ケース本体部を傾けた状態で使用する場合は、ケース本体部を鉛直方向に立てた状態で使用する場合と比較してゴルフクラブのグリップ付近の摩擦力が大きくなる。このため、ゴルフクラブのグリップ部分で互いに絡み合い、他のゴルフクラブの出し入れ作業が煩雑になる場合があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ゴルフクラブのグリップ部分での互いの絡み合いを解消することにより、ケース本体部を傾けた状態で使用する場合でも、他のゴルフクラブの出し入れ作業を円滑に行うことが可能となる、ゴルフクラブケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明に係るゴルフクラブケースは、長手方向における一方の開口部と他方の底部とを備える筒状のケース本体部と、該ケース本体部の背面における前記開口部の近傍に一端部が回動可能に支持されて開閉可能とされる二本の支持脚と、を備え、前記背面が下側を向くように前記ケース本体部を傾けた状態で前記二本の支持脚が開かれる自立状態と、前記二本の支持脚が閉じられる収納状態と、の間を遷移可能なゴルフクラブケースであって、前記ケース本体部における長手方向の中途部には、前記ケース本体部の内部と外部とを連通するとともに開閉機構により開閉可能とされる孔部が長手方向に沿って形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るゴルフクラブケースによれば、ゴルフクラブのグリップ部分での互いの絡み合いを解消することにより、ケース本体部を傾けた状態で使用する場合でも、他のゴルフクラブの出し入れ作業を円滑に行うことが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るゴルフクラブケースの自立状態を示す斜視図。
【
図2】ゴルフクラブケースの収納状態を示す側面図。
【
図3】ゴルフクラブケースの収納状態で孔部を開口した際の側面図。
【
図4】ゴルフクラブケースの自立状態で孔部を開口した際の側面図。
【
図5】ゴルフクラブケースの自立状態における孔部周辺の拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では
図1から
図5を用いて、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブケース(以下、単に「クラブケース」と記載する)1について説明する。
図1中に示す矢印は、クラブケース1における左右方向を規定している。また、
図2中に示す矢印は、クラブケース1における前後方向を規定している。
【0011】
本実施形態に係るクラブケース1は、ケース本体部2と、ケース本体部2に設けられる二本の支持脚3・3と、を備える。ケース本体部2は、クラブケース1の使用者が
図2から
図5に示す如く複数本(3本~7本程度、本実施形態においては5本)のゴルフクラブCのヘッドの側を外部に延出した状態で、グリップG(
図5を参照)の側を内部に収容するための部材である。
【0012】
ケース本体部2は、樹脂製部材と布製部材とを組み合わせて構成される有底筒状の部材である。本実施形態に係るケース本体部2は
図1から
図4に示す如く、長手方向における一方(上方)の開口部2aと、他方(下方)の底部2bとを備える。本実施形態においては、クラブケース1の前面側をケース本体部2の正面2Fとし、クラブケース1の後面側をケース本体部2の背面2Rとして説明する。
【0013】
ケース本体部2の正面2Fにおける開口部2aの近傍には、使用者がクラブケース1を持ち上げる際に手で掴むことのできる把持部21が形成されている。ケース本体部2の開口部2aには図示しないベルトが設けられ、クラブケース1の使用者がベルトを肩に掛けてケース本体部2を持ち上げることを可能としている。また、ケース本体部2の正面2Fにおける長手方向中途部には、ゴルフボールや手袋等の小物類を収容可能な収納部である収納ポケット22が設けられている。収納ポケット22の上部はファスナーにより開閉部22aが設けられて開閉可能とされている。
【0014】
ケース本体部2の開口部2aは仕切り板23により仕切られている。また、ケース本体部2は、正面2Fの側に設けられる第一の布体である前布24aと、背面2Rの側に設けられる第二の布体である後布24bと、を備える。本実施形態においては、前布24aに収納ポケット22が設けられる。
【0015】
ケース本体部2の背面2Rにおける開口部2aの近傍には、二本の支持脚3・3が回動可能に支持されて開閉可能とされる。具体的には、支持脚3・3におけるそれぞれの基端部3a・3aが、開口部2aの近傍において回動可能に連結されている。支持脚3・3の基端部3a・3aは楕円形状の開口部2aに沿って回動軸が設けられているため、支持脚3・3が後方に回動した際には支持脚3・3の先端部3c・3cが離間し、支持脚3・3が互いに離間した状態に開かれる。
【0016】
図1及び
図4に示す如く、二本の支持脚3・3を開いた際(以下、この状態をクラブケース1の「自立状態」と記載する)は、ケース本体部2(より詳細にはケース本体部2に設けられた押上棒32・32)、支持脚3・3により三脚が形成され、傾斜地等の不安定な場所でも安定的にクラブケース1を地面に配置することができる。クラブケース1を自立状態とした際には、
図1に示す如く、ケース本体部2は背面2Rが下側を向くように傾けられた状態で二本の支持脚3・3が開かれる。
【0017】
一方、
図2及び
図3に示す如く、二本の支持脚3・3を閉じた際(以下、この状態をクラブケース1の「収納状態」と記載する)は、ケース本体部2の把持部21を持ったり、図示しないベルトを肩に掛けたりすることで、クラブケース1が持ち運びやすくなる。このように、クラブケース1は、支持脚3・3が開かれた自立状態と、支持脚3・3が閉じられた収納状態と、の間を遷移可能に構成される。
【0018】
本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2の背面2Rには、長手方向に沿って支柱2Sが設けられている。また、ケース本体部2の後方には、支柱2Sの近傍に弾性を有する二本の押上棒32・32がケース本体部2の長手方向に沿って設けられている。そして、支柱2Sの下端部には押上棒32・32の下部が上下方向に摺動可能に挿通されている。
【0019】
押上棒32・32は支柱2Sの下端部から下方に延出され、押上棒32・32の下端部には接地部31が回転可能に組付けられる。押上棒32・32の上下方向中途部はホルダ33が設けられ、このホルダ33により二本の押上棒32・32が近接又は離間する方向の相対変位が規制される。
【0020】
押上棒32・32の上端部には水平方向に屈曲された押上部32a・32aが形成されている。押上部32a・32aは、支持脚3・3における基端部3a・3aの近傍に形成された動作部3b・3bに連結されている。
【0021】
上記の如く構成されたクラブケース1において支持脚3・3は、ケース本体部2にゴルフクラブCを複数本収納した状態で地面に載置した際に、自動的に開くように構成されている。具体的には、ケース本体部2とゴルフクラブCとを地面に向けて降下させた際に、接地部31が地面に接地しても、ケース本体部2はゴルフクラブCの重さによってさらに下方に変位する。このため、押上棒32・32はケース本体部2に対して相対的に上方に変位し、押上部32a・32aを介して支持脚3・3の動作部3b・3bを押し上げる。これにより、支持脚3・3は後方に向けて回動して開脚し、クラブケース1は自立状態となる。
【0022】
自立状態のクラブケース1において使用者が把持部21又はベルトを使ってケース本体部2を持ち上げた場合、支持脚3・3は自重により下降して閉じられてクラブケース1は
図2に示す如く収納状態となる。
【0023】
本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2の右側面における長手方向の中途部には、ケース本体部2の内部と外部とを連通する孔部41が長手方向に沿って形成される。孔部41は開閉機構であるファスナー42により開閉可能とされる。本実施形態において、ファスナー42は前布24aと後布24bとの接合部に沿って設けられる。また、クラブケース1においては
図5に示す如く、孔部41と収納ポケット22とは、ケース本体部2の長手方向において重複して配置されている。即ち、収納ポケット22と孔部41とはケース本体部2における長手方向の同じ部分に形成されている。
【0024】
上記の如く、本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2の右側面には、ケース本体部2の内部と外部とを連通する孔部41が長手方向に沿って形成されている。これにより、
図4及び
図5に示す如く、複数のゴルフクラブCがケース本体部2の内部で絡まった場合に、使用者が孔部41を介して手を挿入し、ゴルフクラブCの絡みを解消することができる。
【0025】
より詳細には
図4に示す如く、複数のゴルフクラブCがケース本体部2の内部で絡まった場合に、後からケース本体部2に挿入しようとするゴルフクラブCをケース本体部2の底部2bまで入れることができず、突出した状態となる場合がある(以下、この突出したゴルフクラブを「突出クラブCp」と記載し、突出クラブCpのグリップを「突出グリップGp」と記載する)。
【0026】
クラブケース1は、
図4及び
図5に示す如く自立状態とし、ケース本体部2を傾けた状態で使用する場合は、ケース本体部2を
図2又は
図3に示す如く鉛直方向に立てた状態で使用する場合と比較して、ゴルフクラブCのグリップG付近の摩擦力が大きくなる。このような場合でも、使用者が孔部41から手を挿入してゴルフクラブCの絡みを解消することにより、突出クラブCpの突出グリップGpをケース本体部2の底部2bまで挿入することが可能となる。このように、本実施形態に係るクラブケース1によれば、ゴルフクラブCのグリップGの部分での互いの絡み合いを解消することができるため、ケース本体部2を傾けた状態で使用する場合でも、他のゴルフクラブCの出し入れ作業を円滑に行うことが可能となるのである。
【0027】
上記の如く、ゴルフクラブCはグリップGの近傍で摩擦力が大きくなり、互いの絡みが生じやすい。一般的にゴルフクラブCのグリップGは25cm~30cmの長さで形成される場合が多いため、孔部41の下端部は、底部2b(より詳細には底部2bの下端部)からの距離D(
図2を参照)がグリップGの上部が位置する領域である15cm以上30cm以下の箇所に配置されることが好ましい。また、使用者が孔部41に手を挿入した際に手をケース本体部2の長手方向に動かす自由度を確保するために、孔部41の長さは25cm以上35cm以下で形成されることが好ましい。
【0028】
また、本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2の正面2Fにおける開口部2aの近傍に把持部21が形成されている。そして、孔部41はケース本体部2の右側面に形成されている。これにより、クラブケース1の使用者が左手で把持部21を持ちながら、自然な姿勢で右手を孔部41に挿入してゴルフクラブCの整理をすることができる。即ち、クラブケース1の使用者は、把持部21を持ち歩きながらでも、ゴルフクラブCの整理を容易に行うことが可能となる。またこの時、ケース本体部2の内部に落下したボールやティーペグ、グリーンマーカー等の小物類を容易に取り出すこともできる。
【0029】
また、本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2の正面2Fには収納ポケット22が設けられ、孔部41と収納ポケット22とは、ケース本体部2の長手方向において重複して配置されている。このように、ケース本体部2の正面2Fに収納ポケット22が設けられている場合に、ケース本体部2を傾けた状態で使用すると、
図5に示す如く、収納ポケット22に収納したゴルフボールや手袋等の小物類の重みでケース本体部2の内部空間が狭くなるため、ゴルフクラブCのグリップG付近でゴルフクラブCの絡みが発生しやすくなる。このような場面においても、本実施形態に係るクラブケース1によれば、孔部41を介してゴルフクラブCのグリップGの部分での互いの絡み合いを解消することができるため、他のゴルフクラブCの出し入れ作業を円滑に行うことが可能となる。なお、孔部41と収納ポケット22とは、互いの一部または全部が重複していても差し支えない。
【0030】
また、本実施形態に係るクラブケース1において、ケース本体部2は、正面2Fの側に設けられる前布24aと、背面2Rの側に設けられる後布24bと、を備え、孔部41の開閉機構であるファスナー42は、前布24aと後布24bとの接合部に沿って設けられる。これにより、ケース本体部2に孔部41を設けるためにケース本体部2を構成する布体を切り開く必要がなくなるため、孔部41を形成する際の作業を簡素化することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 クラブケース(ゴルフクラブケース)
2 ケース本体部 2a 開口部
2b 底部 2S 支柱
2F 正面 2R 背面
3 支持脚 3a 基端部
3b 動作部 3c 先端部
21 把持部 22 収納ポケット(収納部)
22a 開閉部 23 仕切り板
24a 前布(第一の布体) 24b 後布(第二の布体)
31 接地部 32 押上棒
32a 押上部 33 ホルダ
41 孔部 42 ファスナー(開閉機構)
C ゴルフクラブ Cp 突出クラブ
G グリップ Gp 突出グリップ