(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151858
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】品質評価のための試験方法および被覆された容器
(51)【国際特許分類】
G01N 33/44 20060101AFI20220929BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20220929BHJP
【FI】
G01N33/44
C08J7/04 U CER
C08J7/04 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022050035
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】21164881
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Xevo
(71)【出願人】
【識別番号】519037740
【氏名又は名称】ショット シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ロートハール
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエラ クラウゼ
(72)【発明者】
【氏名】フロランス ブシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ブレヒラー
(72)【発明者】
【氏名】エヴリーヌ ルディジエ-フォークト
(72)【発明者】
【氏名】ヨヴァナ ジョルジェヴィチ-ライス
(72)【発明者】
【氏名】ハートムート バオホ
(72)【発明者】
【氏名】ジルヴィア ビーデンベンダー
【テーマコード(参考)】
4F006
【Fターム(参考)】
4F006AA12
4F006AB72
4F006BA17
4F006CA09
(57)【要約】
【課題】迅速であり、信頼性が高く、安価であり、容易に実施される、品質評価のための試験方法および被覆された容器を開示する。
【解決手段】前記の課題は、以下の段階: 被覆された容器を準備する段階; 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階; 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階; および前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階を含む、被覆された容器の品質評価方法によって解決される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された容器の品質評価方法であって、以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を含む、前記方法。
【請求項2】
以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の少なくとも一部の上で熱処理を実施して、熱処理された表面を得る段階、
・ 前記熱処理された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ処理が、以下の段階:
・ pH7超~14、好ましくは9~13、より好ましくは9.5~12.5、より好ましくは11.7を示すアルカリ溶液を、前記被覆された容器の表面の、好ましくは熱処理された表面の少なくとも一部と接触させる段階、および
・ アルカリ処理された表面の少なくとも一部を超純水で、好ましくは2回以上、より好ましくは3回、好ましくは満たし且つ濯ぐ段階
を含む、好ましくはこれらの段階からなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
以下の条件の1つ以上が満たされる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法:
i) 前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~5時間、より好ましくは3時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力+1barに設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは90%の体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および塩基、好ましくは1つの塩基、より好ましくはXOH(前記XはNa、K、Liから選択される)、より好ましくはKOHを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vi) 前記塩基の濃度は0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.001mol/l~0.11mol/l、より好ましくは0.003mol/l~0.020mol/l、より好ましくは0.005mol/lである、且つ/または
vii) 前記容器は、前記アルカリ処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【請求項5】
前記熱処理が、前記容器を焼戻しする段階を含み、好ましくは前記段階からなり、好ましくは以下の条件の1つ以上が満たされる、請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法:
i) 焼戻しの時間は、1分~1日、好ましくは30分~6時間、より好ましくは60分である、且つ/または
ii) 前記焼戻しの間の容器の外側の温度は、25℃~容器の基材のTg、好ましくは50℃~500℃、より好ましくは100℃~400℃、より好ましくは300℃~400℃、より好ましくは330℃に設定される、且つ/または
iii) 前記焼戻しの間の圧力は、0.1bar~10barに設定され、好ましくは周囲圧力である。
【請求項6】
前記酸処理が、pH7未満、好ましくは0~6、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、より好ましくは1を有する酸溶液を、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸処理が、酸溶液を、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなり、ここで以下の条件の1つ以上が満たされる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法:
i) 前記アルカリされた表面の少なくとも一部の上での前記酸溶液の接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~10時間、より好ましくは6時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力+1bar上に設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、ISO 4802-2:2016(E); 第7.2節に準拠する充填体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは90%の体積に達するまで前記溶液で充填される、且つ/または
vi) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および酸、好ましくは1つの酸、より好ましくはHX(前記XはF、Cl、Brおよび/またはIから選択される)、より好ましくはHClを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vii) 前記酸の濃度は、0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.01mol/l~0.5mol/l、より好ましくは0.05mol/l~0.2mol/l、より好ましくは0.1mol/lである、且つ/または
viii) 前記溶液は、有機溶剤、好ましくはアルコール、エステルおよび/またはエーテル、より好ましくはアルコール、より好ましくはイソプロパノールを含む、且つ/または
ix) 水の有機溶剤に対する比[体積/体積]は、0.1~10、好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.6、より好ましくは0.5である、且つ/または
x) 前記容器は、前記酸処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【請求項8】
前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることが、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物の含有率を定量化して品質評価結果を得ることであり、より好ましくは、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオン、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくは[Na]イオンの含有率を定量化して品質評価結果を得ることである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることが、前記処理された酸溶液中の
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
の含有率を定量化して品質評価結果を得ることである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
以下の段階:
・ 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られる品質評価結果を使用して、溶液、好ましくは医薬品溶液の保管について、被覆された容器の適性を評価する段階、および/または
・ 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られる品質評価結果を使用して、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器のコーティングの安定性を評価する段階、および/または
・ 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られる品質評価結果を、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器に関連付ける、且つ/または結びつける段階、
を含む、好ましくは請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
以下の段階:
・ 同じ製造方法で第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを製造する段階、
・ 請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法、好ましくは本願内に記載される方法Liによって前記第1の容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、および
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定し、且つ/または前記品質評価結果を使用して、前記第1の被覆された容器および/または前記第2の被覆された容器を品質管理する段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで、前記第1の被覆された容器は、タイプ1のガラス容器についての耐加水分解性の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、より好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、ISO 4802-2:2016(E)、第9.2節、クラスHCF1およびHCF2 ISO 4802-2:2016(E)に準拠する、容器表面の耐加水分解性試験における最大値の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、10.00mg/l以下、好ましくは5.00mg/l以下、より好ましくは4.5mg/l以下、より好ましくは4.1mg/l以下、より好ましくは3.2mg/l以下、より好ましくは2.5mg/l以下、より好ましくは2.0mg/l以下、より好ましくは1.5mg/l以下、より好ましくは1.2mg/l以下、より好ましくは1.0mg/l以下、より好ましくは0.75mg/l以下、より好ましくは0.50mg/l以下、より好ましくは0.40mg/l以下、より好ましくは0.30mg/l以下、より好ましくは0.2mg/l以下、より好ましくは0.1mg/l以下の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を示す、前記段階
を含む、好ましくは請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
溶液、好ましくは医薬品溶液の保管についての、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器の適性を評価するための、および/または被覆された容器の製造の品質管理のための、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法により得られる品質評価結果の使用。
【請求項13】
前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法によって得られ、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られ、且つ前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が5.00mg/l以下である、被覆された容器。
【請求項14】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出がaであり、ここで、
a≦b×cであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が≦1mlである場合、bは5.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>1ml且つ≦2mlである場合、bは4.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>2ml且つ≦3mlである場合、bは4.10mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>3ml且つ≦5mlである場合、bは3.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>5ml且つ≦10mlである場合、bは2.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>10ml且つ≦20mlである場合、bは2.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>20ml且つ≦50mlである場合、bは1.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>50ml且つ≦100mlである場合、bは1.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>100ml且つ≦200mlである場合、bは1.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>200ml且つ≦500mlである場合、bは0.75mg/lであり、且つ
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>500mlである場合、bは0.50mg/lであり、且つ
cは1.00、好ましくは0.90、より好ましくは0.80、より好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.15、より好ましくは0.10、より好ましくは0.08、より好ましくは0.05である、
請求項13に記載の被覆された容器。
【請求項15】
前記被覆された容器が内部表面と外部表面とを含み、前記内部表面の少なくとも一部がコーティングによって被覆されており、且つ
前記被覆された容器が以下の式:
i/o≦d
において、0.90、好ましくは0.80、より好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.14、より好ましくは0.10、より好ましくは0.07の値d([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは請求項1から11までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ/または本願内で記載される方法Loによって得られる、
請求項13または14に記載の被覆された容器。
【請求項16】
i) 被覆された容器、好ましくは請求項13から15までのいずれか1項に記載の被覆された容器、および
ii) 請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法によって得られる品質評価結果を含むデータシートまたは記憶媒体
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆された容器、特に容器表面上のコーティングの付着性の品質評価方法、および広いpH範囲での長期間の安定性が高められた被覆された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
何十年もの間、医薬組成物は容器、例えばバイアル、アンプル、カートリッジまたはシリンジに包装されてきた。前記容器に対する高い要件が、容器のための新規材料の継続的な開発をみちびいた。しかしながら、容器のバルク材料、例えばガラス組成のさらなる開発のためのコストは利益を上回る点があり、且つ特定の点では、容器の材料をさらに改善することができない。容器の性能をさらに改善するためにコーティングを施与することができ、複数のコーティングが、例えば欧州特許第0821079号明細書(EP0821079)および欧州特許第0811367号明細書(EP0811367)において公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0821079号明細書
【特許文献2】欧州特許第0811367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬組成物が非常に敏感な薬品、例えば生物学的製剤を含む場合、それらをアルカリ緩衝液中で保管すれば有益であることがある。被覆された容器がアルカリ条件下で浸出および/または剥離に対して耐性があるかどうかを試験するために、今までは非常に時間のかかる保管研究を実施しなければならず、このことが、容器が敏感な薬品をアルカリ溶液中で保管するために適しているか否かを迅速に評価することを妨げている。本発明者らは、この問題を認識し、そして被覆された容器の品質評価、特に容器表面上のコーティングの付着性および容器表面の化学的安定性のための試験方法であって、
・ 迅速であり、且つ/または
・ 信頼性が高く、且つ/または
・ 安価であり、且つ/または
・ 容易に実施される、
前記方法を開発した。
【0005】
さらに、本発明者らは、この方法の利益を認識し、そして前記方法を使用して、改善された特性を有する被覆された容器、つまり、
・ 広いpH範囲における優れた耐性、および/または
・ 高いpH値での改善された耐性、および/または
・ 高い化学的安定性、および/または
・ 優れた付着特性
を有する、被覆された容器を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、被覆された容器の品質評価方法であって、以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を含む、前記方法によって解決される。
【0007】
さらに、上述の課題は、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、本願内に記載される方法によって得られ、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られ、且つ前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が5.00mg/l以下である、被覆された容器によって解決される。
【0008】
方法
本発明によれば、被覆された容器の品質評価方法は、以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を、好ましくはこの順序で含む。
【0009】
(好ましい)実施態様において、前記方法は、以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の少なくとも一部の上で熱処理を実施して、熱処理された表面を得る段階、
・ 前記熱処理された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を、好ましくはこの順序で含む。
【0010】
前記熱処理に起因して、コーティングにさらにストレスがかけられ、且つ品質評価結果によって、コーティングがより耐熱性であることを同定できる。
【0011】
好ましい実施態様において、前記アルカリ処理は、以下の段階:
・ pH7超~14、好ましくは9~13、より好ましくは9.5~12.5、より好ましくは約11.7を示すアルカリ溶液を、被覆された容器の表面の、好ましくは熱処理された表面の少なくとも一部と接触させる段階、および
・ アルカリ処理された表面の少なくとも一部を超純水で、好ましくは2回以上、より好ましくは3回、好ましくは満たして濯ぐ段階
を含み、好ましくはこれらの段階からなる。
【0012】
特に9.0以上、好ましくは9.5以上のpHが有利であり、なぜならこの高いpH値でコーティングにさらにストレスがかけられ、ひいては、得られる品質評価結果が、高いpHに対する耐性に関するコーティングの特性におけるより詳細な調査を反映するからである。
【0013】
好ましい実施態様において、以下の条件の1つ以上が満たされる:
i) 前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~5時間、より好ましくは約3時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力+約1barに設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは約121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは約90%の体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および塩基、好ましくは1つの塩基、より好ましくはXOH(前記XはNa、K、Liから選択される)、より好ましくはKOHを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vi) 前記塩基の濃度は0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.001mol/l~0.11mol/l、より好ましくは0.003mol/l~0.020mol/l、より好ましくは約0.005mol/lである、且つ/または
vii) 前記容器は、前記アルカリ処理の間、好ましくは封止シール、例えばアルミニウム箔、または栓によって閉じられている。
【0014】
上記の条件i)~vii)の1つ以上、好ましくは条件i)~vii)の全てが満たされる場合、コーティングにさらにストレスがかけられ、ひいては、得られる品質評価結果が、高いpHに対する耐性に関するコーティングの特性におけるより詳細な調査を反映する。
【0015】
好ましい実施態様において、以下の条件の1つ以上が満たされる:
i) 前記アルカリ溶液と前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は1時間~5時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は0.5bar~4barに設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は100℃~150℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、約90%の体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記溶液は、超純水および塩基XOH(前記XはNa、K、Liから選択される)、好ましくはKOHからなる、且つ/または
vi) 前記塩基の濃度は0.003mol/l~0.020mol/lである、且つ/または
vii) 前記容器は、前記アルカリ処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【0016】
1つの実施態様において、前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~5時間、より好ましくは約3時間である。1つの実施態様において、前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒以上、1分以上、1時間以上、または約3時間である。1つの実施態様において、前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1週間以下、1日以下、または5時間以下である。
【0017】
1つの実施態様において、前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、0.5bar~4bar、または周囲圧力+約1barに設定される。1つの実施態様において、前記容器の外側の圧力は、0.1bar以上、または0.5bar以上、または周囲圧力+約1barに設定される。1つの実施態様において、前記容器の外側の圧力は、10bar以下、または4bar以下に設定される。
【0018】
1つの実施態様において、前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、50℃~200℃、100℃~150℃、または約121℃に設定される。1つの実施態様において、前記容器の外側の温度は、20℃以上、50℃以上、100℃以上、または約121℃に設定される。1つの実施態様において、前記容器の外側の温度は、200℃以下、または150℃以下に設定される。
【0019】
1つの実施態様において、前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、30%~95%、または約90%の体積まで前記溶液で充填される。1つの実施態様において、前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%以上、または30%以上の体積まで前記溶液で充填される。1つの実施態様において、前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、100%以下、または95%以下の体積まで前記溶液で充填される。
【0020】
1つの実施態様において、前記溶液は、水、好ましくは超純水、および塩基、好ましくは1つの塩基、より好ましくはXOH(前記XはNa、K、Liから選択される)、より好ましくはKOHを含み、好ましくはそれらからなる。1つの実施態様において、前記溶液は、超純水および塩基としてのKOHからなる。
【0021】
1つの実施態様において、前記塩基の濃度は0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.001mol/l~0.10mol/l、より好ましくは0.003mol/l~0.020mol/l、より好ましくは約0.005mol/lである。1つの実施態様において、前記塩基の濃度は0.0001mol/l以上、0.001mol/l以上、0.003mol/l以上、または0.005mol/lである。1つの実施態様において、前記塩基の濃度は1mol/l以下、0.10mol/l以下、または0.020mol/l以下である。
【0022】
1つの実施態様において、前記容器は、前記アルカリ処理の間、好ましくは封止シール、例えばアルミニウム箔、または栓によって閉じられている。
【0023】
好ましい実施態様において、前記熱処理は前記容器を焼戻しする段階を含み、好ましくは前記段階からなり、より好ましくは以下の条件の1つ以上が満たされる:
i) 焼戻しの時間は1分~1日、好ましくは30分~6時間、より好ましくは約60分である、且つ/または
ii) 前記焼戻しの間の容器の外側の温度は25℃~容器の基材のTg、好ましくは50℃~500℃、より好ましくは100℃~400℃、より好ましくは300℃~400℃、より好ましくは約330℃に設定される、且つ/または
iii) 前記焼戻しの間の圧力は、0.1bar~10barに設定され、好ましくは周囲圧力に設定される。
【0024】
上記の条件i)~iii)の1つ以上、好ましくは条件i)~iii)の全てが満たされる場合、コーティングにさらにストレスがかけられ、ひいては、得られる品質評価結果が、高温に対する耐性に関するコーティングの特性におけるより詳細な調査を反映する。
【0025】
好ましい実施態様において、前記熱処理は前記容器を焼戻しする段階を含み、好ましくは前記段階からなり、以下の条件が満たされる:
i) 焼戻しの時間は30分~6時間である、
ii) 前記焼戻しの間の容器の外側の温度は300℃~400℃に設定される、且つ
iii) 前記焼戻しの間の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは周囲圧力に設定される。
【0026】
好ましい実施態様において、前記酸処理は、pH7未満、好ましくは0~6、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、より好ましくは約1を有する酸溶液を、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなる。
【0027】
特に6以下、好ましくは3以下のpHが有利であり、なぜならこの低いpH値で、コーティングにさらにストレスがかけられ、ひいては、得られる品質評価結果が、低いpHに対する耐性に関するコーティングの特性におけるより詳細な調査を反映するからである。
【0028】
好ましい実施態様において、前記酸処理は、酸溶液を前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなり、以下の条件の1つ以上が満たされる:
i) 前記酸溶液と、前記アルカリされた表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~10時間、より好ましくは約6時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力+約1barに設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは約121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、ISO 4802-2:2016(E); 第7.2節に準拠する充填体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは約90%の体積に達するまで前記溶液で充填される、且つ/または
vi) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および酸、好ましくは1つの酸、より好ましくはHX(前記XはF、Cl、Brおよび/またはIから選択される)、より好ましくはHClを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vii) 前記酸の濃度は0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.01mol/l~0.5mol/l、より好ましくは0.05mol/l~0.2mol/l、より好ましくは約0.1mol/lである、且つ/または
viii) 前記溶液は、有機溶剤、好ましくはアルコール、エステルおよび/またはエーテル、より好ましくはアルコール、より好ましくはイソプロパノールを含む、且つ/または
ix) 水の有機溶剤に対する比[体積/体積]は、0.1~10、好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.6、より好ましくは約0.5である、且つ/または
x) 前記容器は、前記酸処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【0029】
上記の条件i)~x)の1つ以上、好ましくは上記の条件i)~vii)およびx)、より好ましくは上記の条件i)~x)の全てが満たされる場合、コーティングにさらにストレスがかけられ、ひいては、得られる品質評価結果が、低いpHを有する溶液に対する耐性に関するコーティングの特性におけるより詳細な調査を反映する。
【0030】
1つの実施態様において、前記酸処理は、酸溶液を前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、以下の条件が満たされる:
i) 前記酸溶液と、前記アルカリされた表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1時間~10時間、好ましくは約6時間である、
ii) 前記容器の外側の圧力は、周囲圧力+約1barに設定される、
iii) 前記容器の外側の温度は、約121℃に設定される、
iv) 前記容器は、ISO 4802-2:2016(E); 第7.2節に準拠する充填体積まで前記溶液で充填される、
v) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、90%の体積に達するまで前記溶液で充填される、
vi) 前記溶液は、超純水、および酸としてのHClからなる、
vii) 前記酸の濃度は0.1mol/lである、
viii) 前記溶液はイソプロパノールを含む、
ix) 水の有機溶剤に対する比[体積/体積]は0.5である、
x) 前記容器は、前記酸処理の間、封止シールによって閉じられている。
【0031】
酸処理の1つの実施態様において、前記酸溶液と、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~10時間、より好ましくは約6時間である。1つの実施態様において、前記酸溶液と、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒以上、1分以上、1時間以上、または約6時間である。1つの実施態様において、前記酸溶液と、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1週間以下、1日以下、または10時間以下である。
【0032】
酸処理の1つの実施態様において、前記容器の外側の圧力および温度は、0.5bar~4bar且つ100℃~150℃、周囲圧力+約1bar且つ100℃~150℃、0.5bar~4bar且つ121℃、または周囲圧力+約1bar且つ約121℃に設定される。
【0033】
酸処理の1つの実施態様において、前記溶液は、超純水、および酸としてのHClからなる。酸処理の1つの実施態様において、前記溶液は、超純水、および0.1mol/lのHClからなる。酸処理の1つの実施態様において、前記溶液は、超純水、および0.1mol/lの酸HXからなり、ここでXはF、Cl、Brから選択される。酸処理の1つの実施態様において、前記溶液は、超純水、および0.05mol/l~0.2mol/lの酸HXからなり、ここでXはF、Cl、Brから選択される。酸処理の1つの実施態様において、前記溶液は、水、および0.05mol/l~0.2mol/lのHClを含む。
【0034】
酸処理の1つの実施態様において、前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、90%の体積に達するまで前記溶液で充填される。
【0035】
好ましい実施態様において、前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることは、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物の含有率を定量化して品質評価結果を得ることである。従って、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を信頼性高く特定することができ、且つ、これはさらなる抽出段階が必要ではないので、迅速且つ安価である。
【0036】
さらに好ましい実施態様において、前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることは、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオン、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくは[Na]イオンの含有率を定量化して品質評価結果を得ることである。前記容器がガラス容器であり且つ前記容器の基材がNa、例えばNa2Oを含む場合、Naイオンの定量化が特に好ましい。従って、好ましい実施態様において、前記容器はガラス容器であり、且つ前記容器の基材はNa、例えばNa2Oを含む。
【0037】
さらに好ましい実施態様において、前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることは、前記処理された酸溶液中の、
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
の含有率を定量化して品質評価結果を得ることである。
【0038】
前記容器がポリマー容器であり、且つ前記容器の基材が1つ以上のモノマー、および/または、好ましくはまたは、酸化防止剤を含む場合、1種以上のモノマー、および/または、好ましくはまたは、酸化防止剤の定量化が特に好ましい。従って、好ましい実施態様において、前記容器はポリマー容器であり、且つ前記容器の基材が1つ以上のモノマー、および/または、好ましくはまたは、酸化防止剤、好ましくは上述のモノマーの1つ、および/または、好ましくはまたは、酸化防止剤を含む。
【0039】
好ましい実施態様において、前記定量化は、クロマトグラフィー、好ましくはガスクロマトグラフィー(GC)、好ましくはヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HS-GC)、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、および/またはヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析(HS-GC-MS)、および/または液体クロマトグラフィー(LC)、好ましくは液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)を使用して実施され、且つ/または
前記定量化は、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)、黒鉛炉原子吸光分析(GFAAS)、および/または火炎原子吸光分析(FAAS)を使用して実施され、且つ/または
前記定量化は、滴定法を使用して実施される。
【0040】
それらの方法は特に好ましく、なぜなら、それらの方法ではイオンおよび/または化合物の含有率が信頼性高く特定され得るからである。
【0041】
1つの(好ましい)実施態様において、前記方法は以下の段階:
・ 本願内に記載される方法によって得られる品質評価結果を使用して、溶液、好ましくは医薬品溶液の保管について、被覆された容器の適性を評価する段階、および/または
・ 本願内に記載される方法によって得られる品質評価結果を使用して、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器のコーティングの安定性を評価する段階、および/または
・ 本願内に記載される方法によって得られる品質評価結果を、被覆された容器、好ましくは本願内に記載される被覆された容器、より好ましくは被覆された医薬品容器、より好ましくは本願内に記載される被覆された医薬品容器に関連付ける、且つ/または結びつける段階、
を含む。
【0042】
前記方法が上記の段階の1つ以上を含む場合、品質評価結果は、苦情、ひいてはコストを低減するために使用される。それらの段階を、前記容器が製造および/または試験される工場で実施でき、且つ/またはそれらの段階を任意の他のところ、例えば被覆された容器が充填される工場、または被覆された容器が販売および/または宣伝されるところで実施できる。
【0043】
1つの(好ましい)実施態様において、前記方法は以下の段階:
・ 同じ製造方法で第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを製造する段階、
・ 先述の請求項のいずれか1項に記載の方法、好ましくは本願内に記載される方法Liによって前記第1の容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、および
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定し、且つ/または前記第1の被覆された容器および/または前記第2の被覆された容器の品質制御のために品質評価結果を使用する段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで、前記第1の被覆された容器は、タイプ1のガラス容器についての耐加水分解性の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、より好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、ISO 4802-2:2016(E)、第9.2節、クラスHCF1およびHCF2 ISO 4802-2:2016(E)に準拠する、容器表面の耐加水分解性試験における最大値の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、より好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、10.00mg/l以下、好ましくは5.00mg/l以下、より好ましくは4.5mg/l以下、より好ましくは4.1mg/l以下、より好ましくは3.2mg/l以下、より好ましくは2.5mg/l以下、より好ましくは2.0mg/l以下、より好ましくは1.5mg/l以下、より好ましくは1.2mg/l以下、より好ましくは1.0mg/l以下、より好ましくは0.75mg/l以下、より好ましくは0.50mg/l以下、より好ましくは0.40mg/l以下、より好ましくは0.30mg/l以下、より好ましくは0.2mg/l以下、より好ましくは0.1mg/l以下の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を示す、前記段階
を好ましくはこの順序で含む。
【0044】
前記方法が上記の段階の1つ以上を含む場合、品質評価結果は、苦情、ひいてはコストを低減するために使用される。それらの段階を、前記容器が製造および/または試験される工場で実施でき、且つ/またはそれらの段階を任意の他のところ、例えば被覆された容器が充填される工場、または被覆された容器が販売および/または宣伝されるところで実施できる。
【0045】
1つの実施態様において、同じ製造方法で第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを製造することは、
・ 第1の容器と第2の容器とを準備すること、ここで好ましくは前記第1の容器と前記第2の容器とはガラス容器であり、前記第1の容器と前記第2の容器は各々表面を含む、
・ 前記第1の容器と前記第2の容器の少なくとも一部、好ましくは内部表面上で、以下の段階:
a) 前記第1の容器と前記第2の容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1で取り囲む段階、および
b) 前記前駆体P1を照射してプラズマを生成する段階
を含む被覆プロセスを実施すること
を含み、ここで被覆パラメータの一式は、前記第1の容器と前記第2の容器とを被覆するためのものと同一であり、前記被覆パラメータは、プロセス温度PT1、パルス持続時間PD1、マイクロ波発生器の照射周波数、マイクロ波発生器の入力電力IP1、前駆体P1、パルス照射、2つのパルス間のパルス休止時間PP1、照射の合計時間TT1、全てのパルス持続時間PD1[μs]対全てのパルス休止時間PP1[ms]の比[μs/ms]、プロセス圧力PR1、被覆プロセスの間のプロセス温度の低下、および前駆体P1の流量のリストから選択される。
【0046】
1つの実施態様において、前記方法は、以下の段階:
・ 第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを準備する段階、
・ 侵出方法によって前記第1の被覆された容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用して、溶液の保管について前記第2の被覆された容器の適性を特定するか、または前記品質評価結果を使用して前記第2の容器を品質管理する段階
を、好ましくはこの順序で含む。
【0047】
1つの実施態様において、前記方法は、以下の段階:
・ 第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを準備する段階、
・ 侵出方法によって前記第1の被覆された容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用して、溶液の保管について前記第2の被覆された容器の適性を特定するか、または前記品質評価結果を使用して、前記第2の容器を品質管理する段階
を、好ましくはこの順で含み、ここで、前記侵出方法は以下の段階:
・ 容器、好ましくは被覆された容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似(purity 1 analogue DIN ISO 3696)の超純水))を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シール、例えばアルミニウム箔または栓で閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記容器を3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、または
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))およびイソプロパノール(1:1/体積%:体積%)、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01)に入れる段階、
・ 前記容器を6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの含有率(mg/l)を、FAAS分析によって、例えばVarian SpectrAA 280 FS(PE 3-004)を使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは0.9×縁までの体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた内部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくはNaイオンまたは酸化防止剤の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値iを得る段階、
を含む。
【0048】
1つの実施態様において、前記方法は、以下の段階:
・ 第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを準備する段階、
・ 侵出方法によって前記第1の被覆された容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用して、溶液の保管について前記第2の被覆された容器の適性を特定するか、または前記品質評価結果を使用して前記第2の容器を品質管理する段階
を、好ましくはこの順で含み、ここで、前記侵出方法は以下の段階:
・ 容器、好ましくは被覆された容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水))を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シール、例えばアルミニウム箔または栓で閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記容器を3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01)に入れる段階、
・ 前記容器を6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 前記容器を、好ましくは空気で乾燥させる段階、
・ 0.9×(縁までの体積)のn-ヘキサン、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記医薬品容器をオービタルシェーカー(80rpm)で30分間、室温で振とうする段階、
・ 前記ヘキサン溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは0.9×縁までの体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた内部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくはNaイオンまたは酸化防止剤の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値iを得る段階、
を含む。
【0049】
1つの実施態様において、前記方法は、以下の段階:
・ 第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを準備する段階、
・ 侵出方法によって前記第1の被覆された容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用して、溶液の保管について前記第2の被覆された容器の適性を特定するか、または前記品質評価結果を使用して前記第2の容器を品質管理する段階
を、好ましくはこの順で含み、ここで、前記侵出方法は以下の段階:
・ 容器、好ましくは上記の方法Liのために使用されたものと同じ容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の溶液を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をビーカー、例えばステンレス鋼またはアルミニウムビーカーに入れる段階、
・ 前記ビーカーに、0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで充填する段階、
・ 前記ビーカーを封止材で閉じる段階、
・ 前記ビーカーをオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記ビーカーを3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記ビーカーの封止材を開く段階、
・ 前記ビーカーを空にする段階、
・ 前記ビーカーを脱イオン水で2回満たして濯ぎ、且つ前記容器の外側を脱イオン水で濯ぐことによって、前記容器の外側を洗浄する段階、
・ 前記容器を再度、ビーカー、例えばステンレス鋼またはアルミニウムビーカーに入れる段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記ビーカーに、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を充填する段階、または
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記ビーカーに、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))およびイソプロパノール(1:1/体積%:体積%)を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を充填する段階、
・ 前記ビーカーを封止材で閉じる段階、
・ 前記ビーカーをオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記ビーカーを6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記ビーカーを開く段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの含有率(mg/l)を、FAAS分析によって、例えばVarian SpectrAA 280 FS(PE 3-004)を使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは前記ビーカー中の溶液の体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた外部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値oを得る段階、
を含む。
【0050】
好ましい実施態様において、前記方法は以下の段階: 被覆された容器、好ましくは第2の被覆された容器に、溶液、好ましくは医薬組成物、より好ましくはpH4~14を有する、好ましくはpH7超~12を有する、より好ましくはpH9~11を有する医薬品溶液を充填する段階を含む。好ましい実施態様において、前記医薬組成物は、国際公開第2018/157097号(WO2018/157097 A1)において明示的に言及される1つ以上の化合物を含み、前記文献は参照をもって本願内に組み込まれるものとする。
【0051】
本発明の1つの実施態様は、溶液、好ましくは医薬品溶液の保管についての、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器の適性を評価するための、および/または被覆された容器の製造の品質管理のための、本願内に記載される方法により得られる品質評価結果の使用である。前記品質評価結果の使用は、苦情、ひいてはコストを低減する。前記品質評価結果を、前記容器が製造および/または試験される工場で、且つ/または任意の他のところ、例えば前記被覆された容器が充填される工場、または被覆された容器が販売および/または宣伝されるところで使用できる。
【0052】
被覆された容器
本発明の1つの実施態様は、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が本願内に記載される方法によって得られ、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られ、前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が5.00mg/l以下である、被覆された容器である。
【0053】
1つの(好ましい)実施態様において、本願内に記載される方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出は、10.00mg/l以下、好ましくは5.00mg/l以下、より好ましくは4.5mg/l以下、より好ましくは4.1mg/l以下、より好ましくは3.2mg/l以下、より好ましくは2.5mg/l以下、より好ましくは2.0mg/l以下、より好ましくは1.5mg/l以下、より好ましくは1.2mg/l以下、より好ましくは1.0mg/l以下、より好ましくは0.75mg/l以下、より好ましくは0.50mg/l以下、より好ましくは0.40mg/l以下、より好ましくは0.30mg/l以下、より好ましくは0.2mg/l以下、より好ましくは0.1mg/l以下である。従って、広いpH範囲、特に高いpH値での耐性がさらに改善され得る。
【0054】
1つの(好ましい)実施態様において、本願内に記載される方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出は、ISO 4802-2:2016(E)、第9.2節、クラスHCF1およびHCF2 ISO 4802-2:2016(E)に準拠する容器表面の耐加水分解性試験における最大値の制限に対して100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは1%以上、且つ30%以下である。従って、広いpH範囲、特に高いpH値での耐性がさらに改善され得る。
【0055】
1つの(好ましい)実施態様において、本願内に記載される方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出がaであり、ここで
a≦b×cであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が≦1mlである場合、bは5.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>1ml且つ≦2mlである場合、bは4.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>2ml且つ≦3mlである場合、bは4.10mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>3ml且つ≦5mlである場合、bは3.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>5ml且つ≦10mlである場合、bは2.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>10ml且つ≦20mlである場合、bは2.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>20ml且つ≦50mlである場合、bは1.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>50ml且つ≦100mlである場合、bは1.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>100ml且つ≦200mlである場合、bは1.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>200ml且つ≦500mlである場合、bは0.75mg/lであり、且つ
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>500mlである場合、bは0.50mg/lであり、且つ
cは1.00、好ましくは0.90、より好ましくは0.80、より好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.15、より好ましくは0.10、より好ましくは0.08、より好ましくは0.05である。侵出は容器のサイズに依存するので(ISO 4802-2:2016(E)参照)、上記のパラメータは特に非常に小さい容器および大きい容器にとって好ましい。前記パラメータが満たされる場合、広いpH範囲、特に高いpH値での耐性がさらに改善され得る。さらに好ましい実施態様において、aは0mg/l以上、好ましくは0.001mg/l以上、より好ましくは0.01mg/l以上、より好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.2mg/l以上である。
【0056】
1つの(好ましい)実施態様において、前記被覆された容器は内部表面と外部表面とを含み、前記内部表面の少なくとも一部がコーティングによって被覆されており、且つ
前記被覆された容器は、以下の式:
i/o≦d
において、0.90の値d([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは本願内に記載される方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ/または本願内で記載される方法Loによって得られる。このパラメータが満たされる場合、容器内側に保管される医薬組成物の保護が改善され、同じであるが被覆はされていない容器に比して特に改善される。容器用の公知のコーティングの大半は、本願内で記載される方法の一部および本願内で記載される方法Liの一部でもあるアルカリ処理および酸処理に対して全く耐性がないので、上記のパラメータが満たされる場合、被覆された容器のコーティングは、高いpHまたは低いpHを有する溶液に対する優れた耐性を示す。
【0057】
1つの実施態様において、前記被覆された容器は内部表面と外部表面とを含み、前記内部表面の少なくとも一部がコーティングによって被覆されており、且つ
前記被覆された容器は、以下の式:
i/o≦d
において、0.90の値d([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは前記方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ前記方法Loによって得られる。
【0058】
1つの実施態様において、前記被覆された容器は内部表面と外部表面とを含み、前記内部表面の少なくとも一部がコーティングによって被覆されており、且つ
前記被覆された容器は、以下の式:
i/o≦d
において、0.90の値d([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは前記方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ前記方法Loによって得られ、
前記方法Liによって得られる1種以上のイオンおよび/または化合物は、被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物と同じ種のイオンおよび/または化合物であり、且つ前記方法Loによって得られる。
【0059】
さらに好ましい実施態様において、dは0.80、好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.14、より好ましくは0.10、より好ましくは0.07である。従って、前記容器の内側に保管される医薬組成物の保護がさらに改善される。
【0060】
1つの(好ましい)実施態様において、前記被覆された容器は、以下の式
i/o≧e
において、0.00、好ましくは0.01、より好ましくは0.02、より好ましくは0.05、より好ましくは0.10、より好ましくは0.12、より好ましくは0.14の値e([mg/cm2]/[mg/cm2])を示す。
【0061】
さらに好ましい実施態様において、iは1.0×10-10mg/cm2~1.0×10-3mg/cm2、好ましくは1.0×10-8mg/cm2~6.5×10-4mg/cm2、より好ましくは1.0×10-7mg/cm2~6.0×10-4mg/cm2、より好ましくは1.0×10-6mg/cm2~3.0×10-4mg/cm2、より好ましくは7.0×10-6mg/cm2~3.0×10-5mg/cm2である。従って、前記容器の内側に保管される医薬組成物の保護がさらに改善される。
【0062】
さらに好ましい実施態様において、oは1.1×10-5mg/cm2~1.0×10-1mg/cm2、好ましくは1.0×10-4mg/cm2~1.0×10-2mg/cm2、より好ましくは6.5×10-4mg/cm2~1.0×10-3mg/cm2、より好ましくは6.8×10-4mg/cm2~7.5×10-4mg/cm2である。前記値oが低いほど、容器自体の基材の耐性が良好になる。従って、前記値oが低いほど、前記容器の内側に保管される医薬組成物の保護が良好になる。
【0063】
さらに好ましい実施態様において、iは本願内に記載される方法Liによって得られる1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ/またはoは本願内に記載される方法Loによって得られる1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)である。従って、値iおよびoを信頼性高く特定することができ、且つ両方のパラメータを特定するために1つだけの容器が必要とされる。前記方法Loはまた、外部表面が例えばシリコーンコーティングによって、またはPICVDコーティングによって得られる他のコーティングによって被覆される場合に使用できる。好ましくは、前記方法Loが使用される場合、外部表面は被覆されない。
【0064】
さらに好ましい実施態様において、oは被覆されていない容器から侵出する1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、前記被覆されていない容器は、前記被覆された容器と同じ製造方法(しかしコーティングは施与されない)によって得られ、ここでoは本願内に記載される方法によって得られ、且つ/または本願内に記載される方法Liによって得られる。従って、前記値oおよびiを、1つだけの方法によって信頼性高く特定することができる。
【0065】
さらに好ましい実施態様において、前記1種以上のイオンおよび/または化合物はアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオン、好ましくはNaイオンおよび/またはKイオン、より好ましくはNaイオンである。前記容器がガラス容器であり且つ前記容器の基材がNa、例えばNa2Oを含む場合、Naイオンの定量化が特に好ましい。従って、好ましい実施態様において、前記容器はガラス容器であり、且つ前記容器の基材はNa、例えばNa2Oを含む。
【0066】
さらに好ましい実施態様において、前記1種以上のイオンおよび/または化合物は、
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
である。
【0067】
好ましい実施態様において、前記容器はポリマー容器であり、且つ前記容器の基材は1つ以上の酸化防止剤、および/または、好ましくはまたは、モノマーを含む。
【0068】
被覆された容器を得るための被覆プロセスは特に限定されない。さらに好ましい実施態様において、前記コーティングは、被覆プロセス、好ましくはCVD法、より好ましくはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法、プラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法またはプラズマ援用化学気相堆積(PACVD)法、好ましくはプラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法によって得られるコーティングである。この方法は、広いpH範囲における優れた耐性、高いpH値での改善された耐性、高い化学的安定性、および優れた付着特性を有するコーティングを施与するために特に適している。
【0069】
さらに好ましい実施態様において、前記コーティングは、前処理および被覆プロセス、好ましくはCVD法、より好ましくはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法、プラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法またはプラズマ援用化学気相堆積(PACVD)法、好ましくはプラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法によって得られるコーティングであり、ここで前記前処理は被覆プロセスの前に実施される。この方法は、コーティングを施与するために特に適しており、広いpH範囲における、および高いpH値での耐性をさらに改善し、且つ化学的安定性および付着特性をさらに改善する。
【0070】
さらに好ましい実施態様において、前記被覆プロセスは以下の段階:
・ 表面を含む容器、好ましくはガラス容器を準備する段階、
・ 前記容器の少なくとも一部、好ましくは内部表面上で被覆プロセスを実施する段階であって、
a) 前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1で取り囲む段階、および
b) 前記前駆体P1を照射してプラズマを生成する段階、
を含む前記段階を含み、ここで、以下のパラメータの少なくとも1つ、好ましくは全てが満たされる:
i) プロセス温度PT1は、200℃~ガラス部材のガラスのTg、好ましくは200℃~500℃、より好ましくは220℃~450℃、より好ましくは240℃~320℃、より好ましくは250℃~300℃である、且つ/または
ii) 前記プラズマのパルス持続時間PD1は、50μs以下、好ましくは40μs以下、好ましくは30μs以下、より好ましくは20μs以下、より好ましくは15μs以下、より好ましくは12μs以下、より好ましくは8μs以下、より好ましくは6μs以下、より好ましくは4μs以下、より好ましくは約3μsである、且つ/または
iii) 前記プラズマのパルス持続時間PD1は、0.1μs以上、好ましくは0.5μs以上、より好ましくは1μs以上、より好ましくは6μs以上である、且つ/または
iv) 前記照射をマイクロ波発生器によって行い、好ましくはその光線は周波数300MHz~300GHz、より好ましくは600MHz~100GHz、より好ましくは800MHz~10GHz、より好ましくは900MHz~3GHz、より好ましくは約2.45GHzを有する、且つ/または
v) 入力電力IP1、好ましくは前記マイクロ波発生器の入力電力IP1は、1000W~10000W,好ましくは2100W~8000W、より好ましくは2500W~6700W、より好ましくは3000W~6000W、より好ましくは3200W~5500W、より好ましくは4000W~5000Wである、且つ/または
vi) 前駆体P1は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシラン(TMS)、トリメチルボラゾール(TMB)、トリ(ジメチルアミノシリル)-アミノ-ジ(ジメチルアミノ)ボラン(TDADB)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCTSO)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、デカメチルシクロペンタシロキサン(DMCPS)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(DMCHS)、ジアセトキシ-ジ-t-ブトキシシラン(DADBS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン(TTMSVS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)の1つ以上、および/またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは前記前駆体P1はHMDSOである、且つ/または
vii) 前記前駆体P1は、好ましくは元素Si、C、OおよびHを含み、好ましくは前記元素からなる、且つ/または
viii) 2つのパルス間のパルス休止時間PP1は、1μs以上好ましくは10μs以上、より好ましくは1μs~5s、より好ましくは0.1ms~10ms、より好ましくは0.2ms~2.0ms、より好ましくは0.3ms~1.2ms、より好ましくは0.4ms~0.8msである、且つ/または
ix) 照射の合計時間TT1は、0.1秒以上、好ましくは1秒以上、より好ましくは1秒~5分、より好ましくは3秒~90秒、より好ましくは5秒~40秒である、且つ/または
x) 全てのパルス持続時間PD1[μs]の全てのパルス休止時間PP1[ms]に対する比[μs/ms]は、1以上好ましくは2以上、より好ましくは2~50、より好ましくは3~8である、且つ/または
xi) プロセス圧力PR1は、0.01mbar~500mbar、好ましくは0.1mbar~10mbar、より好ましくは0.3mbar~5mbar、より好ましくは0.6mbar~2.0mbar、より好ましくは約0.8mbarである、且つ/または
xii) 被覆プロセスの間、前記プロセス温度を上昇させ、好ましくは定常的に上昇させる、且つ/または
xiii) 前記プロセス温度PT1は、少なくとも部分的に、好ましくは被覆プロセスが開始するときに、220℃以上好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、より好ましくは255℃以上、より好ましくは270℃以上、より好ましくは280℃以上である、且つ/または
xiv) 前記前駆体P1の流量は0.1~500sccm、好ましくは5~100sccm、より好ましくは8~30sccm、より好ましくは10~15sccmである。
【0071】
好ましくは、上記パラメータの全てが満たされる。この方法は、コーティングを施与するために特に適しており、広いpH範囲における、および高いpH値での耐性をさらに改善し、且つ化学的安定性および付着特性をさらに改善する。
【0072】
1つの実施態様において、前記被覆プロセスを国際公開第03015122号(WO03015122 A1)による装置において実施する。
【0073】
1つの実施態様において、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1で取り囲むことは、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1に曝露するとして理解され得る。
【0074】
1つの実施態様において、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1で取り囲むことは、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1に供するとして理解され得る。
【0075】
前記方法の1つの実施態様において、前記前駆体P1の流量は0.1~500sccm、好ましくは5~100sccm、より好ましくは8~30sccm、より好ましくは10~15sccmである。前記前駆体P1が少なくとも99質量%の程度で化学的に純粋であることがさらに好ましい。
【0076】
さらに好ましい実施態様において、前記前処理は以下の段階:
・ 表面を含む容器、好ましくはガラス容器を準備する段階、
・ 前記容器の少なくとも一部、好ましくは内部表面上で被覆プロセスを実施する段階であって、
a) 前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2で取り囲む段階、および
b) 前記前駆体P2を照射してプラズマを生成する段階、
を含む前記段階を含む、プラズマ前処理であり、ここで、以下のパラメータの少なくとも1つ、好ましくは全てが満たされる:
i) プロセス温度PT2は、室温~ガラス部材のガラスのTg、好ましくは室温~450℃、より好ましくは室温~400℃、より好ましくは室温~320℃、より好ましくは室温~約280℃である、且つ/または
ii) 前記プラズマのパルス持続時間PD2は、50ms以下、好ましくは40ms以下、好ましくは30ms以下、より好ましくは20ms以下、より好ましくは15ms以下、より好ましくは8ms以下、より好ましくは6ms以下、より好ましくは1ms以下、より好ましくは約0.5msである、且つ/または
iii) 前記プラズマのパルス持続時間PD2は、0.1ms以上、好ましくは0.2ms以上、より好ましくは0.3ms以上、より好ましくは0.5ms以上である、且つ/または
iv) 前記照射をマイクロ波発生器によって行い、好ましくはその光線は周波数300MHz~300GHz、より好ましくは600MHz~100GHz、より好ましくは800MHz~10GHz、より好ましくは900MHz~3GHz、より好ましくは約2.45GHzを有する、且つ/または
v) 入力電力IP2、好ましくは前記マイクロ波発生器の入力電力IP2は、1000W~10000W、好ましくは2500W~8000W、より好ましくは4000W~8000W、より好ましくは5000W~7000W、より好ましくは5000W~6500W、より好ましくは5250W~5750Wである、且つ/または
vi) 前記前駆体P2は、アルゴン、酸素および/または窒素、好ましくは酸素を含み、より好ましくは前駆体P2は空気である、且つ/または
vii) 前記前駆体P2は、元素N、例えばN2、および/またはO、例えばO2、好ましくはN2およびO2、より好ましくはO2を含み、好ましくは前記元素からなる、且つ/または
viii) 2つのパルス間のパルス休止時間PP2は、1μs以上、好ましくは10μs以上、より好ましくは1μs~5s、より好ましくは0.1ms~10ms、より好ましくは0.5ms~2.0ms、より好ましくは1.5ms~2.0ms、より好ましくは約1.8msである、且つ/または
ix) 照射の合計時間TT2は、0.1秒以上、好ましくは1秒以上、より好ましくは1秒~5分、より好ましくは5秒~15秒である、且つ/または
x) 全てのパルス持続時間PD2[ms]の全てのパルス休止時間PP2[ms]に対する比[ms/ms]は、0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15~5、より好ましくは0.2~0.5である、且つ/または
xi) プロセス圧力PR2は、0.01mbar~500mbar、好ましくは0.1mbar~100mbar、より好ましくは0.5mbar~10mbar、より好ましくは0.8mbar~6.0mbar、より好ましくは1.0mbar~4.0mbarである、且つ/または
xii) プラズマ処理の間、前記プロセス温度PT2を上昇させ、好ましくは定常的に上昇させる、且つ/または
xiii) 前記プロセス温度PT2は、少なくとも部分的に、好ましくはプラズマの前処理プロセスが終了するときに、220℃以上、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、より好ましくは255℃以上、より好ましくは270℃以上、より好ましくは約280℃以上である、且つ/または
xiv) 前記前駆体P2の流量は、0.1~500sccm、好ましくは5~100sccm、より好ましくは8~50sccm、より好ましくは20~30sccmである。
【0077】
この方法は、表面を前処理するために特に適しており、広いpH範囲における、および高いpH値での耐性をさらに改善し、且つ化学的安定性および付着特性をさらに改善する。
【0078】
1つの実施態様において、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2で取り囲むことは、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2に曝露するとして理解され得る。
【0079】
1つの実施態様において、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2で取り囲むことは、前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2に供するとして理解され得る。
【0080】
さらに好ましい実施態様において、前記容器の内部表面、好ましくは前記容器の内部表面全体が被覆されている。従って、医薬組成物がさらに保護される。さらに好ましい実施態様において、前記容器の外部表面は被覆されていない。さらに好ましい実施態様において、前記容器の内部表面、好ましくは前記容器の内部表面全体が被覆され、且つ前記容器の外部表面は被覆されていない。従って、医薬組成異物がさらに保護される。外部表面が被覆されていない場合、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出は、前記容器の基材の侵出と類似、好ましくは同一であることができ、好ましくは類似、好ましくは同一である。より好ましくは、前記コーティングは欧州特許出願公開第21164784号明細書(EP21164784)内に記載されるように得られ、前記文献は参照をもって本願内に組み込まれるものとする。
【0081】
さらに好ましい実施態様において、前記被覆された容器の基材は、ガラス、好ましくはホウケイ酸ガラスまたはアルミノホウケイ酸ガラス、より好ましくはホウケイ酸ガラスを含み、好ましくはそれらからなる。さらに好ましい実施態様において、前記ガラスの組成は、質量%で
SiO2: 30~98%、好ましくは50~90%、より好ましくは70.0~74.0%、
B2O3: 0~30%、好ましくは3~20%、より好ましくは7.0~16.0%、
Al2O3: 0~30%、好ましくは1~15%、より好ましくは3.0~6.5%、
X2O: 0~30%、好ましくは1~15%、より好ましくは2.0~7.2%(前記XはNa、K、Liから選択され、好ましくは前記XはNaおよび/またはK、より好ましくはNaである)、
YO: 0~30%、好ましくは0.1~5%、より好ましくは0.5~1.0%(前記YはCa、Mg、Baから選択され、好ましくは前記YはCaおよび/またはMgである)、および
好ましくは不可避の不純物
を含み、好ましくはそれらからなり、より好ましくは、全ての不可避の不純物の合計量は5質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であり、且つ/または、好ましくは且つ、前記不純物はFe、Ti、Zn、Cu、MnおよびCoから選択される。
【0082】
さらに好ましい実施態様において、前記被覆された容器の基材は、ポリマー、好ましくは環状オレフィンコポリマーCOC、および/または環状オレフィンポリマーCOP、より好ましくは環状オレフィンコポリマーCOCを含み、好ましくはそれらからなる。好ましくは、前記ポリマーは酸化防止剤を含む。
【0083】
さらに好ましい実施態様において、前記被覆された容器の基材は、
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
を含む。
【0084】
さらに好ましい実施態様において、前記容器の縁までの体積は、0.1ml~1000ml、好ましくは0.5ml~500ml、より好ましくは1ml~250ml、より好ましくは2ml~30ml、より好ましくは3ml~15ml、より好ましくは約1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、11ml、12ml、13ml、14mlまたは15ml、より好ましくは5~15mlである。さらに好ましい実施態様において、前記被覆された容器は、被覆された医薬品容器、より好ましくは被覆されたバイアル、被覆されたシリンジ、被覆されたアンプルまたは被覆されたカートリッジ、より好ましくは被覆されたバイアルである。さらに好ましい実施態様において、前記被覆された容器は、被覆された医薬品容器、好ましくはカートリッジまたはシリンジ、好ましくはシリンジであり、ここで前記カートリッジまたはシリンジ、好ましくはシリンジの小さい方の開口部は、好ましくは先端キャップおよび/または栓で閉じられている。さらに好ましい実施態様において、前記被覆された表面の少なくとも一部、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部、前記酸処理された表面の少なくとも一部は同一であり、且つ/または前記被覆された表面の少なくとも一部は内部表面の少なくとも一部を含み、好ましくは前記被覆された表面の少なくとも一部は、前記被覆された容器が平らな地面に立てられて、その被覆された容器の縁までの体積[体積/体積]に対して10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは90%の体積を有する溶液で充填される際に溶液と接触する表面であり、且つ/または前記被覆された表面の少なくとも一部は、前記被覆された容器がISO 4802-2:2016(E)、第7.2節に準拠する充填体積まで充填される際に溶液と接触する表面である。上記のパラメータの1つ以上が満たされる場合、前記被覆された容器に保管される間の医薬組成物の安全性がさらに改善され得る。
【0085】
好ましい実施態様において、前記容器の基材は、1種以上のイオンおよび/または化合物を含む。従って、本願内に記載される値の信頼性の高い特定が改善され得る。
【0086】
本発明の1つの実施態様は、
i) 被覆された容器、好ましくは本願内に記載される被覆された容器、および
ii) 本願内に記載される方法により得られる品質評価結果を含むデータシートまたは記憶媒体
を含むキットである。
【0087】
定義
本願内の接触時間とは、組成物、例えば酸組成物が前記表面の少なくとも一部と接触する時間である。接触時間に含まれないのは、試料を準備するために、または試料を次の段階のために準備するために必要とされる時間である。前記接触時間は、稼働し且つ特定の圧力および温度に設定されているオートクレーブ内に試料が存在する時間であってよい。
【0088】
本願において、熱処理された表面とは、熱処理された被覆された表面である。本願において、基材は、被覆されていない容器の材料、例えばガラスまたはポリマーである。本願における周囲圧力および温度は、前記方法が実施される時点で測定される圧力、例えば1bar、および20℃である。
【0089】
本願において、酸組成物は、酸、例えばHClと、溶剤、例えば水および/または有機溶剤とを含む、好ましくはそれらからなる組成物である。
【0090】
特段記載されない限り、本願における比は常に体積比、つまり[体積/体積]に関する。
【0091】
本願において、モノマーとは、ポリマーを含む、好ましくはポリマーからなる被覆された容器の基材を製造するために使用されたモノマーである。ポリマーの工業的な生産方法はよく知られているため、当業者はポリマーから相応のモノマーを問題なく推定する。よく知られているモノマーは例えば、置換または非置換の、好ましくは非置換のノルボルネン、ノルボルナンおよび/またはビシクロペンタンである。
【0092】
本願における不可避の不純物とは、出発材料中に含有され得る不純物、例えばFe、Ti、Zn、Cu、Mn、Coである。好ましくは、前記被覆された容器の基材中の全ての不可避の不純物の合計量は、5質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
【0093】
本願において、照射の合計時間とは、パルス持続時間およびパルス休止時間の全ての総和である。
【0094】
本願における前処理および被覆プロセスの間の温度は、高温計を用いてガラス部材の中央で測定された温度に関する。前記容器が円筒状の部分を有する容器である場合、被覆プロセスの間の温度は、前記容器、例えばバイアルの円筒状の部分の中央で測定される。
【0095】
特段記載されない限り、入力電力は照射線発生器、例えばマイクロ波発生器と、ガラス部材との間で測定された、例えばMWダイオード(ACTP-1502; ダンピング10dB)によって測定された、順方向電圧である。
【0096】
本願において、Tg(ガラス転移温度)は示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0097】
本願における超純水とは、25℃で≦0.1μS/cmを有する、DIN ISO 3696の純度1類似の水である。
【0098】
本願内に記載される品質評価方法が被覆された容器に関するとしても、当業者は前記方法が例えば参照値を得るために被覆されていない容器にも適用できることを認識する。特段記載されない限り、本願における縁までの体積とは、前記容器、好ましくは被覆された容器の縁までの体積に関する。
【0099】
パラメータおよび方法
iについての値は本願内に記載されるとおりに得ることができる。好ましくは、iは以下の方法Liによって特定される。
【0100】
方法Li:
本願において、本発明の特に好ましい実施態様は、以下の段階:
・ 容器、好ましくは被覆された容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シール、例えばアルミニウム箔または栓で閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記容器を3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、または
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))およびイソプロパノール(1:1/体積%:体積%)、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01)に入れる段階、
・ 前記容器を6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの含有率(mg/l)を、FAAS分析によって、例えばVarian SpectrAA 280 FS(PE 3-004)を使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは0.9×縁までの体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた内部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくはNaイオンまたは酸化防止剤の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値iを得る段階、
を含む方法(方法Li)である。
【0101】
代替的な実施態様は、以下の段階:
・ 容器、好ましくは被覆された容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シール、例えばアルミニウム箔または栓で閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記容器を3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.9×(縁までの体積)の0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01)に入れる段階、
・ 前記容器を6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記封止シールを開く段階、
・ 前記容器を空にする段階、
・ 前記容器を脱イオン水で2回充填して濯ぐ段階、
・ 前記容器を、好ましくは空気で乾燥させる段階、
・ 0.9×(縁までの体積)のn-ヘキサン、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記医薬品容器をオービタルシェーカー(80rpm)で30分間、室温で振とうする段階、
・ 前記ヘキサン溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは0.9×縁までの体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた内部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくはNaイオンまたは酸化防止剤の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値iを得る段階、
を含む方法(方法Li)を含む。
【0102】
前記値oは、いくつかの方法によって得ることができ、好ましくは前記値oは本願内に記載されるとおりに特定される。前記値oは前記被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の含有率(mg/cm2)であり、且つ/または、好ましくはまたは、本願内で記載される方法Loによって得られ、より好ましくは前記値oは本願内に記載される方法Loによって得られる。
【0103】
値iを得るために使用される、同じであるが被覆はされていない容器が利用可能である場合、その被覆されていない容器を使用して、値oを上記の方法Liによって得て、前記被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の含有率(mg/cm2)を得ることができる。前記値iとoとが1つだけの容器によって得られるべき場合、値iは上記の方法Liによって得られ、且つ値oは下記の方法Loによって得られる。好ましくは、oは方法Loによって得られる。前記方法Loを、外側で被覆された容器または被覆されていない容器のために使用できるが、好ましくは前記容器は外側では被覆されていない。好ましくは方法LiおよびLoにおいて、最大の開口部は上向きである。
【0104】
方法Lo:
本願において、前記方法Loは、以下の段階:
・ 容器、好ましくは上記の方法Liのために使用されたものと同じ容器を準備する段階、
・ 前記容器が2つの開口部を示す、つまりシリンジを示す場合は、小さい方の開口部を封止材、例えば先端キャップで覆う段階、
・ 0.9×(縁までの体積)の溶液を前記医薬品容器に充填する段階、
・ 前記容器を封止シールで閉じる段階、
・ 前記容器をビーカー、例えばステンレス鋼またはアルミニウムビーカーに入れる段階、
・ 前記ビーカーに、0.005mol/lのKOH溶液(KOH: 水酸化カリウム水和物≧99.995%、Suprapur(登録商標)(Merck)、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで充填する段階、
・ 前記ビーカーを封止材で閉じる段階、
・ 前記ビーカーをオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記ビーカーを3時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上、例えば2barで処理する段階、
・ 前記ビーカーの封止材を開く段階、
・ 前記ビーカーを空にする段階、
・ 前記ビーカーを脱イオン水で2回満たして濯ぎ、且つ外部表面を脱イオン水で濯ぐことによって前記容器の外側を洗浄する段階、
・ 前記容器を再度、ビーカー、例えばステンレス鋼またはアルミニウムビーカーに入れる段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記ビーカーに、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を充填する段階、または
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記ビーカーに、脱塩水(25℃で0.1μS/cm以下を有する、DIN ISO 3696の純度1類似の超純水)で希釈された、0.1mol/lのHCl溶液(塩酸30% Suprapur(登録商標)(Merck))およびイソプロパノール(1:1/体積%:体積%)を、前記容器内の液位と同じ液位に達するまで、つまり前記アルカリ処理において使用されたものと同じ体積を充填する段階、
・ 前記ビーカーを封止材で閉じる段階、
・ 前記ビーカーをオートクレーブ(例えばSystec、モデルDX-150(PM-CA-0001-01))に入れる段階、
・ 前記ビーカーを6時間、121℃且つ周囲圧力より1bar上で処理する段階、
・ 前記ビーカーを開く段階、
・ 前記容器がガラス容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの含有率(mg/l)を、FAAS分析によって、例えばVarian SpectrAA 280 FS(PE 3-004)を使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 前記容器がポリマー容器である場合: 前記0.1mol/lのHCl溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の含有率(mg/l)を、LC-MS、例えばWaters Xevo qTOFを備えたWaters I-Class UPLCシステムを使用して分析して、1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは酸化防止剤および/または有機化合物、より好ましくは酸化防止剤の侵出についての値[mg/l]を得る段階、
・ 以下の式
A×B/C
[式中、
Aは1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての上記の値[mg/l]であり、
Bは前記ビーカー中の溶液の体積であり、且つ
Cは前記容器の濡れた外部表面積(cm2)である]
によって値(mg/cm2)を計算して、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出についての値[mg/cm2]、即ち、値oを得る段階、
を含む。
【0105】
熱処理
好ましい実施態様において、アルカリ処理の前に熱処理を実施してよい。その際、医薬品ガラス容器を330℃で60分間、予熱された炉内で、周囲圧力で焼戻す。アルカリ処理のために、熱処理された医薬品ガラス容器または熱処理されていない医薬品ガラス容器のいずれかを使用できる。特段記載されない限り、医薬品ガラス容器は熱処理されていない医薬品ガラス容器である。
【0106】
LC-MS
ポリマー容器が使用される場合、LC-MSを用いて溶液中の不揮発性有機化合物(NVOC)の含有率を特定した。Waters Xevo qTOF(APCI)を備えたWaters IクラスUPLCシステムを、C18プレ・カラム(USPコードL1)を備えたWaters Ascquity UPLC BEHカラム(100×2.1mm、1.7μm)と共に使用した。以下の実験パラメータを用いた: 注入体積2μl; オーブン温度40℃; 溶離液A: 水+5mmol/Lの酢酸アンモニウム; 溶離液B: メタノール+5mmol/Lの酢酸アンモニウム; 流量: 0.3mL/分; 勾配(A/B) 70/30 / 0.5分(保持)、1.0分以内で20/80に、10.5分以内で16/84に、1.0分以内で6/94に、5.0分以内で0/100 / 7.0分(保持)、0.5分以内で70/30 / 5.5分(保持); APCIプローブ温度: 450℃; ソース温度: 120℃; コーンガス流量: 150L/h; 脱溶媒ガス流量: 1000L/h; コロナ電圧: 3.0kV; スキャン m/z: 100~2000amu(プラスおよびマイナス); イオン源: APCI 大気圧化学イオン化); 方式: MSE; 高CE: 20.00~45.00eV; 低CE: 4.00eV。該LC-MS法についての検出限界は0.05mg/Lと見積もられる。
【0107】
FAAS(ファーネス原子吸光分析)
ガラス容器を調べる場合、FAASを用いて溶液中の無機イオンの含有率を特定した。該FAAS法についての検出限界は0.01mg/Lと見積もられる。
【0108】
項目
要約すると、実施態様および好ましい実施態様は以下である。保護の範囲は請求項によって定義される。2つ以上の実施態様、例えば3、4または8の実施態様の組み合わせがさらに好ましい。本願内の定義および一般的な記述は、好ましくは以下の実施態様および好ましい実施態様にも適用される。
【0109】
1. 被覆された容器の品質評価方法であって、以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を、好ましくはこの順序で含む、前記方法。
【0110】
2. 以下の段階:
・ 被覆された容器を準備する段階、
・ 前記被覆された容器の少なくとも一部の上で熱処理を実施して、熱処理された表面を得る段階、
・ 前記熱処理された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階、
・ 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
・ 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階
を、好ましくはこの順序で含む、好ましくは項目1に記載の、被覆された容器の品質評価方法。
【0111】
3. 前記アルカリ処理が、以下の段階:
・ pH7超~14、好ましくは9~13、より好ましくは9.5~12.5、より好ましくは11.7を示すアルカリ溶液を、前記被覆された容器の表面の、好ましくは熱処理された表面の少なくとも一部と接触させる段階、および
・ アルカリ処理された表面の少なくとも一部を超純水で、好ましくは2回以上、より好ましくは3回、好ましくは満たし且つ濯ぐ段階
を、好ましくはこの順序で含む、好ましくはこれらの段階からなる、項目1または2に記載の方法。
【0112】
4. 以下の条件の1つ以上が満たされる、項目1から3までのいずれか1つに記載の方法:
i) 前記アルカリ溶液と、前記被覆された表面および/または熱処理された表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~5時間、より好ましくは3時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力より1bar上に設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは90%の体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および塩基、好ましくは1つの塩基、より好ましくはXOH(前記XはNa、K、Liから選択される)、より好ましくはKOHを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vi) 前記塩基の濃度は、0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.001mol/l~0.11mol/l、より好ましくは0.003mol/l~0.020mol/l、より好ましくは0.005mol/lである、且つ/または
vii) 前記容器は、前記アルカリ処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【0113】
5. 前記熱処理が、
・ 前記容器を焼戻しする段階
を含む、好ましくは前記段階からなる、項目1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【0114】
6. 以下の条件の1つ以上が満たされる、項目1から5までのいずれか1つに記載の方法:
i) 焼戻しの時間は、1分~1日、好ましくは30分~6時間、より好ましくは60分である、且つ/または
ii) 前記焼戻しの間の容器の外側の温度は、25℃~前記容器の基材のTg、好ましくは50℃~500℃、より好ましくは100℃~400℃、より好ましくは300℃~400℃、より好ましくは330℃に設定される、且つ/または
iii) 前記焼戻しの間の圧力は、0.1bar~10barに設定され、好ましくは周囲圧力である。
【0115】
7. 前記酸処理が、pH7未満、好ましくは0~6、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、より好ましくは1を有する酸溶液を、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなる、項目1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【0116】
8. 前記酸処理が、酸溶液を前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部と接触させて、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階を含み、好ましくは前記段階からなり、ここで以下の条件の1つ以上が満たされる、項目1から7までのいずれか1つに記載の方法:
i) 前記酸溶液と、前記アルカリされた表面の少なくとも一部との接触時間は、1秒~1週間、好ましくは1分~1日、より好ましくは1時間~10時間、より好ましくは6時間である、且つ/または
ii) 前記容器の外側の圧力は、0.1bar~10bar、好ましくは0.5bar~4bar、より好ましくは周囲圧力より1bar上に設定される、且つ/または
iii) 前記容器の外側の温度は、20℃~200℃、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃、より好ましくは121℃に設定される、且つ/または
iv) 前記容器は、ISO 4802-2:2016(E); 第7.2節に準拠する充填体積まで前記溶液で充填される、且つ/または
v) 前記容器は、その容器の縁までの体積に対して[体積/体積]、10%~100%、好ましくは30%~95%、より好ましくは90%の体積に達するまで前記溶液で充填される、且つ/または
vi) 前記溶液は、水、好ましくは超純水、および酸、好ましくは1つの酸、より好ましくはHX(前記XはF、Cl、Brおよび/またはIから選択される)、より好ましくはHClを含み、好ましくはそれらからなる、且つ/または
vii) 前記酸の濃度は、0.0001mol/l~1mol/l、好ましくは0.01mol/l~0.5mol/l、より好ましくは0.05mol/l~0.2mol/l、より好ましくは0.1mol/lである、且つ/または
viii) 前記溶液は、有機溶剤、好ましくはアルコール、エステルおよび/またはエーテル、より好ましくはアルコール、より好ましくはイソプロパノールを含む、且つ/または
ix) 水の有機溶剤に対する比[体積/体積]は、0.1~10、好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.6、より好ましくは0.5である、且つ/または
x) 前記容器は、前記酸処理の間、好ましくは封止シールによって閉じられている。
【0117】
9. 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることが、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオンおよび/または化合物の含有率を定量化して品質評価結果を得ることである、項目1から8までのいずれか1つに記載の方法。
【0118】
10. 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることが、前記処理された酸溶液中の1種以上のイオン、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくは[Na]イオンの含有率を定量化して品質評価結果を得ることである、項目1から9までのいずれか1つに記載の方法。
【0119】
11. 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して品質評価結果を得ることが、前記処理された酸溶液中の
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
の含有率を定量化して品質評価結果を得ることである、項目1から10までのいずれか1つに記載の方法。
【0120】
12. 前記定量化が、クロマトグラフィー、好ましくはガスクロマトグラフィー(GC)、好ましくはヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HS-GC)、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、および/またはヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析(HS-GC-MS)、および/または液体クロマトグラフィー(LC)、好ましくは液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)を使用して実施され、且つ/または
前記定量化が、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)、黒鉛炉原子吸光分析(GFAAS)、および/または火炎原子吸光分析(FAAS)を使用して実施され、且つ/または
前記定量化が、滴定法を使用して実施される、
項目1から11までのいずれか1つに記載の方法。
【0121】
13. 以下の段階:
・ 項目1から12までのいずれか1つに記載の方法によって得られる品質評価結果を使用して、溶液、好ましくは医薬品溶液の保管について、被覆された容器の適性を評価する段階、および/または
・ 項目1から12までのいずれか1つに記載の方法によって得られる品質評価結果を使用して、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器のコーティングの安定性を評価する段階、および/または
・ 項目1から12までのいずれか1つに記載の方法によって得られる品質評価結果を、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器に関連付ける、且つ/または結びつける段階、
を含む、好ましくは項目1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0122】
14. 以下の段階:
・ 同じ製造方法で第1の被覆された容器と第2の被覆された容器とを製造する段階、
・ 項目1から13までのいずれか1つに記載の方法、好ましくは本願内に記載される方法Liによって前記第1の容器の侵出を定量化して、前記第1の被覆された容器の品質評価結果を得る段階、および
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定し、且つ/または前記品質評価結果を使用して、前記第1の被覆された容器および/または前記第2の被覆された容器を品質管理する段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで、前記第1の被覆された容器は、タイプ1のガラス容器についての耐加水分解性の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、より好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、ISO 4802-2:2016(E)、第9.2節、クラスHCF1およびHCF2 ISO 4802-2:2016(E)に準拠する、容器表面の耐加水分解性試験における最大値の制限に対して90%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の1種以上のイオンおよび/または化合物、好ましくは[Na]イオンの侵出を示す、前記段階、および/または
・ 前記第1の被覆された容器の品質評価結果を適用および/または使用して、好ましくは前記第2の容器における溶液の保管について、前記第2の被覆された容器の適性を特定する段階であって、ここで前記第1の被覆された容器は、10.00mg/l以下、好ましくは5.00mg/l以下、より好ましくは4.5mg/l以下、より好ましくは4.1mg/l以下、より好ましくは3.2mg/l以下、より好ましくは2.5mg/l以下、より好ましくは2.0mg/l以下、より好ましくは1.5mg/l以下、より好ましくは1.2mg/l以下、より好ましくは1.0mg/l以下、より好ましくは0.75mg/l以下、より好ましくは0.50mg/l以下、より好ましくは0.40mg/l以下、より好ましくは0.30mg/l以下、より好ましくは0.2mg/l以下、より好ましくは0.1mg/l以下の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を示す、前記段階
を、好ましくはこの順序で含む、好ましくは項目1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0123】
15. 以下の段階:
・ 第1の被覆された容器に、溶液、好ましくは医薬組成物、より好ましくはpH4~14を有する、好ましくはpH7超~12を有する、より好ましくはpH9~11を有する医薬品溶液を充填する段階
を含む、項目1から14までのいずれか1つに記載の方法。
【0124】
16. 溶液、好ましくは医薬品溶液の保管についての、被覆された容器、好ましくは被覆された医薬品容器の適性を評価するための、および/または被覆された容器の製造の品質管理のための、項目1から12までのいずれか1つに記載の方法により得られる品質評価結果の使用。
【0125】
17. 1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、項目1から16までのいずれか1つに記載の方法によって得られ、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られ、且つ前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が5.00mg/l以下である、被覆された容器。
【0126】
18. 前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、項目1から17までのいずれか1つに記載の方法によって得られ、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られ、且つ、前記1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、10.00mg/l以下、好ましくは5.00mg/l以下、より好ましくは4.5mg/l以下、より好ましくは4.1mg/l以下、より好ましくは3.2mg/l以下、より好ましくは2.5mg/l以下、より好ましくは2.0mg/l以下、より好ましくは1.5mg/l以下、より好ましくは1.2mg/l以下、より好ましくは1.0mg/l以下、より好ましくは0.75mg/l以下、より好ましくは0.50mg/l以下、より好ましくは0.40mg/l以下、より好ましくは0.30mg/l以下、より好ましくは0.2mg/l以下、より好ましくは0.1mg/l以下である、好ましくは項目1から17までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0127】
19. 項目1から18までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出が、ISO 4802-2:2016(E)、第9.2節、クラスHCF1およびHCF2 ISO 4802-2:2016(E)に準拠する容器表面の耐加水分解性試験における最大値の制限に対して100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは1%以上、且つ30%以下である、好ましくは項目1から18までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0128】
20. 項目1から19までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出がaであり、ここで、
a≦b×cであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が≦1mlである場合、bは5.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>1ml且つ≦2mlである場合、bは4.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>2ml且つ≦3mlである場合、bは4.10mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>3ml且つ≦5mlである場合、bは3.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>5ml且つ≦10mlである場合、bは2.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>10ml且つ≦20mlである場合、bは2.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>20ml且つ≦50mlである場合、bは1.50mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>50ml且つ≦100mlである場合、bは1.20mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>100ml且つ≦200mlである場合、bは1.00mg/lであり、
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>200ml且つ≦500mlである場合、bは0.75mg/lであり、且つ
前記容器の0.9×(縁までの体積)が>500mlである場合、bは0.50mg/lであり、且つ
cは1.00、好ましくは0.90、より好ましくは0.80、より好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.15、より好ましくは0.10、より好ましくは0.08、より好ましくは0.05である、
好ましくは項目1から19までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0129】
21. 項目1から20までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出がaであり、ここで
aは0mg/l以上、好ましくは0.001mg/l以上、より好ましくは0.01mg/l以上、より好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.2mg/l以上である、
好ましくは項目1から20までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0130】
22. 前記被覆された容器が内部表面と外部表面とを含み、前記内部表面の少なくとも一部がコーティングによって被覆されており、且つ
前記被覆された容器が以下の式:
i/o≦d
において0.90の値d([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは項目1から21までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ/または本願内で記載される方法Loによって得られる、
好ましくは項目1から21までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0131】
23. dが0.80、好ましくは0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、より好ましくは0.40、より好ましくは0.30、より好ましくは0.20、より好ましくは0.14、より好ましくは0.10、より好ましくは0.07である、好ましくは項目1から22までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0132】
24. 前記被覆された容器が、以下の式:
i/o≧e
において、0.00、好ましくは0.01、より好ましくは0.02、より好ましくは0.05、より好ましくは0.10、より好ましくは0.12、より好ましくは0.14の値e([mg/cm2]/[mg/cm2])を示し、
前記式中、
iは項目1から23までのいずれか1つに記載の方法によって得られる、好ましくは本願内に記載される方法Liによって得られる、1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oは被覆された容器の基材の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ/または本願内で記載される方法Loによって得られる、
好ましくは項目1から23までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0133】
25. iが1.0×10-10mg/cm2~1.0×10-3mg/cm2、好ましくは1.0×10-8mg/cm2~6.5×10-4mg/cm2、より好ましくは1.0×10-7mg/cm2~6.0×10-4mg/cm2、より好ましくは1.0×10-6mg/cm2~3.0×10-4mg/cm2、より好ましくは7.0×10-6mg/cm2~3.0×10-5mg/cm2である、好ましくは項目1から24までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0134】
26. oが1.1×10-5mg/cm2~1.0×10-1mg/cm2、好ましくは1.0×10-4mg/cm2~1.0×10-2mg/cm2、より好ましくは6.5×10-4mg/cm2~1.0×10-3mg/cm2、より好ましくは6.8×10-4mg/cm2~7.5×10-4mg/cm2である、好ましくは項目1から25までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0135】
27. iが本願内に記載される方法Liによって得られる1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、且つ
oが本願内に記載される方法Loによって得られる1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)である、
好ましくは項目1から26までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0136】
28. oが被覆されていない容器から侵出する1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出(mg/cm2)であり、前記被覆されていない容器は、前記被覆された容器と同じ方法によって得られ、ここでoは項目1から27までのいずれか1つに記載の方法によって得られ、且つ/または本願内に記載される方法Liによって得られる、好ましくは項目1から27までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0137】
29. 前記1種以上のイオンおよび/または化合物が、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオン、好ましくはNaイオンおよび/またはKイオン、より好ましくはNaイオンである、好ましくは項目1から28までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0138】
30. 前記1種以上のイオンおよび/または化合物が、
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
である、好ましくは項目1から29までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0139】
31. 前記コーティングが、被覆プロセス、好ましくはCVD法、より好ましくはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法、プラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法またはプラズマ援用化学気相堆積(PACVD)法、好ましくはプラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法によって得られるコーティングである、好ましくは項目1から30までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0140】
32. 前記コーティングが、前処理および被覆プロセス、好ましくはCVD法、より好ましくはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法、プラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法またはプラズマ援用化学気相堆積(PACVD)法、好ましくはプラズマインパルス化学気相堆積(PICVD)法によって得られるコーティングであり、前記前処理は被覆プロセスの前に実施される、好ましくは項目1から31までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0141】
33. 前記被覆プロセスが以下の段階:
・ 表面を含む容器、好ましくはガラス容器を準備する段階、
・ 前記容器の少なくとも一部、好ましくは内部表面上で被覆プロセスを実施する段階であって、
a) 前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P1で取り囲む段階、および
b) 前記前駆体P1を照射してプラズマを生成する段階、
を含む前記段階を含み、ここで、以下のパラメータの少なくとも1つ、好ましくは全てが満たされる、好ましくは項目1から32までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器:
i) プロセス温度PT1は、200℃~ガラス部材のガラスのTg、好ましくは200℃~500℃、より好ましくは220℃~450℃、より好ましくは240℃~320℃、より好ましくは250℃~300℃である、且つ/または
ii) 前記プラズマのパルス持続時間PD1は、50μs以下、好ましくは40μs以下、好ましくは30μs以下、より好ましくは20μs以下、より好ましくは15μs以下、より好ましくは12μs以下、より好ましくは8μs以下、より好ましくは6μs以下、より好ましくは4μs以下、より好ましくは3μsである、且つ/または
iii) 前記プラズマのパルス持続時間PD1は、0.1μs以上、好ましくは0.5μs以上、より好ましくは1μs以上、より好ましくは6μs以上である、且つ/または
iv) 前記照射をマイクロ波発生器によって行い、好ましくはその光線は周波数300MHz~300GHz、より好ましくは600MHz~100GHz、より好ましくは800MHz~10GHz、より好ましくは900MHz~3GHz、より好ましくは2.45GHzを有する、且つ/または
v) 入力電力IP1、好ましくは前記マイクロ波発生器の入力電力IP1は、1000W~10000W,好ましくは2100W~8000W、より好ましくは2500W~6700W、より好ましくは3000W~6000W、より好ましくは3200W~5500W、より好ましくは4000W~5000Wである、且つ/または
vi) 前駆体P1は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシラン(TMS)、トリメチルボラゾール(TMB)、トリ(ジメチルアミノシリル)-アミノ-ジ(ジメチルアミノ)ボラン(TDADB)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCTSO)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、デカメチルシクロペンタシロキサン(DMCPS)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(DMCHS)、ジアセトキシ-ジ-t-ブトキシシラン(DADBS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン(TTMSVS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)の1つ以上、および/またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは前記前駆体P1はHMDSOである、且つ/または
vii) 前記前駆体P1は、好ましくは元素Si、C、OおよびHを含み、好ましくは前記元素からなる、且つ/または
viii) 2つのパルス間のパルス休止時間PP1は、1μs以上、好ましくは10μs以上、より好ましくは1μs~5s、より好ましくは0.1ms~10ms、より好ましくは0.2ms~2.0ms、より好ましくは0.3ms~1.2ms、より好ましくは0.4ms~0.8msである、且つ/または
ix) 照射の合計時間TT1は、0.1秒以上好ましくは1秒以上、より好ましくは1秒~5分、より好ましくは3秒~90秒、より好ましくは5秒~40秒である、且つ/または
x) 全てのパルス持続時間PD1[μs]の全てのパルス休止時間PP1[ms]に対する比[μs/ms]は、1以上好ましくは2以上、より好ましくは2~50、より好ましくは3~8である、且つ/または
xi) プロセス圧力PR1は、0.01mbar~500mbar、好ましくは0.1mbar~10mbar、より好ましくは0.3mbar~5mbar、より好ましくは0.6mbar~2.0mbar、より好ましくは0.8mbarである、且つ/または
xii) 被覆プロセスの間、前記プロセス温度を上昇させ、好ましくは定常的に上昇させる、且つ/または
xiii) 前記プロセス温度PT1は、少なくとも部分的に、好ましくは被覆プロセスが開始するときに、220℃以上、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、より好ましくは255℃以上、より好ましくは270℃以上、より好ましくは280℃以上である、且つ/または
xiv) 前記前駆体P1の流量は0.1~500sccm、好ましくは5~100sccm、より好ましくは8~30sccm、より好ましくは10~15sccmである。
【0142】
34. 前記前処理が、以下の段階:
・ 表面を含む容器、好ましくはガラス容器を準備する段階、
・ 前記容器の少なくとも一部、好ましくは内部表面上で被覆プロセスを実施する段階であって、
a) 前記容器の表面の少なくとも一部、好ましくは内部表面を前駆体P2で取り囲む段階、および
b) 前記前駆体P2を照射してプラズマを生成する段階、
を含む前記段階を含む、プラズマ前処理であり、ここで、以下のパラメータの少なくとも1つ、好ましくは全てが満たされる、好ましくは項目1から33までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器:
i) プロセス温度PT2は、室温~ガラス部材のガラスのTg、好ましくは室温~450℃、より好ましくは室温~400℃、より好ましくは室温~320℃、より好ましくは室温~280℃である、且つ/または
ii) 前記プラズマのパルス持続時間PD2は、50ms以下、好ましくは40ms以下、好ましくは30ms以下、より好ましくは20ms以下、より好ましくは15ms以下、より好ましくは8ms以下、より好ましくは6ms以下、より好ましくは1ms以下、より好ましくは0.5msである、且つ/または
iii) 前記プラズマのパルス持続時間PD2は、0.1ms以上、好ましくは0.2ms以上、より好ましくは0.3ms以上、より好ましくは0.5ms以上である、且つ/または
iv) 前記照射をマイクロ波発生器によって行い、好ましくはその光線は周波数300MHz~300GHz、より好ましくは600MHz~100GHz、より好ましくは800MHz~10GHz、より好ましくは900MHz~3GHz、より好ましくは2.45GHzを有する、且つ/または
v) 入力電力IP2、好ましくは前記マイクロ波発生器の入力電力IP2は、1000W~10000W、好ましくは2500W~8000W、より好ましくは4000W~8000W、より好ましくは5000W~7000W、より好ましくは5000W~6500W、より好ましくは5250W~5750Wである、且つ/または
vi) 前記前駆体P2は、酸素および/または窒素、好ましくは酸素を含み、より好ましくは前駆体P2は空気である、且つ/または
vii) 前記前駆体P2は、元素N、例えばN2、および/またはO、例えばO2、好ましくはN2およびO2、より好ましくはO2を含み、好ましくは前記元素からなる、且つ/または
viii) 2つのパルス間のパルス休止時間PP2は、1μs以上、好ましくは10μs以上、より好ましくは1μs~5s、より好ましくは0.1ms~10ms、より好ましくは0.5ms~2.0ms、より好ましくは1.5ms~2.0ms、より好ましくは1.8msである、且つ/または
ix) 照射の合計時間TT2は、0.1秒以上、好ましくは1秒以上、より好ましくは1秒~5分、より好ましくは5秒~15秒である、且つ/または
x) 全てのパルス持続時間PD2[ms]の全てのパルス休止時間PP2[ms]に対する比[ms/ms]は、0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15~5、より好ましくは0.2~0.5である、且つ/または
xi) プロセス圧力PR2は、0.01mbar~500mbar、好ましくは0.1mbar~100mbar、より好ましくは0.5mbar~10mbar、より好ましくは0.8mbar~6.0mbar、より好ましくは1.0mbar~4.0mbarである、且つ/または
xii) プラズマ処理の間、前記プロセス温度PT2を上昇させ、好ましくは定常的に上昇させる、且つ/または
xiii) 前記プロセス温度PT2は、少なくとも部分的に、好ましくはプラズマの前処理プロセスが終了するときに、220℃以上、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、より好ましくは255℃以上、より好ましくは270℃以上、より好ましくは280℃以上である、且つ/または
xiv) 前記前駆体P2の流量は、0.1~500sccm、好ましくは5~100sccm、より好ましくは8~50sccm、より好ましくは20~30sccmである。
【0143】
35. 前記容器の内部表面、好ましくは前記容器の内部表面全体が被覆されている、好ましくは項目1から34までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0144】
36. 前記容器の外部表面が被覆されていない、好ましくは項目1から35までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0145】
37. 前記被覆された容器の基材が、ガラス、好ましくはホウケイ酸ガラスまたはアルミノホウケイ酸ガラス、より好ましくはホウケイ酸ガラスを含み、好ましくはそれらからなる、好ましくは項目1から36までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0146】
38. 前記ガラスの組成が、質量%で
SiO2: 30~98%、好ましくは50~90%、より好ましくは70.0~74.0%、
B2O3: 0~30%、好ましくは3~20%、より好ましくは7.0~16.0%、
Al2O3: 0~30%、好ましくは1~15%、より好ましくは3.0~6.5%、
X2O: 0~30%、好ましくは1~15%、より好ましくは2.0~7.2%(前記XはNa、K、Liから選択され、好ましくは前記XはNaおよび/またはK、より好ましくはNaである)、
YO: 0~30%、好ましくは0.1~5%、より好ましくは0.5~1.0%(前記YはCa、Mg、Baから選択され、好ましくは前記YはCaおよび/またはMgである)、および
好ましくは不可避の不純物
を含み、好ましくはそれらからなる、好ましくは項目1から37までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0147】
39. 前記被覆された容器の基材が、ポリマー、好ましくは環状オレフィンコポリマーCOC、および/または環状オレフィンポリマーCOP、より好ましくは環状オレフィンコポリマーCOCを含み、好ましくはそれらからなる、好ましくは項目1から38までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0148】
40. 前記被覆された容器の基材が、
・ Cを含む1つ以上の化合物、好ましくはSiを含む化合物を除くCを含む1つ以上の化合物、および/または
・ 1つ以上のモノマー、好ましくはノルボルネン、ノルボルナン、および/またはビシクロペンタン、および/または
・ 1つ以上の酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはジブチルヒドロキシトルエン(BHT); ホスフィット系酸化防止剤、より好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット; ホスホナイト系酸化防止剤、好ましくはテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト; およびチオエーテル系酸化防止剤からなる群から選択される酸化防止剤、より好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである酸化防止剤
を含む、好ましくは項目1から39までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0149】
41. 前記容器の縁までの体積が、0.1ml~1000ml、好ましくは0.5ml~500ml、より好ましくは1ml~250ml、より好ましくは2ml~30ml、より好ましくは3ml~15ml、より好ましくは約1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、11ml、12ml、13ml、14mlまたは15ml、より好ましくは5~15mlである、好ましくは項目1から40までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0150】
42. 前記被覆された容器が、被覆された医薬品容器、より好ましくは被覆されたバイアル、被覆されたシリンジ、被覆されたアンプルまたは被覆されたカートリッジ、より好ましくは被覆されたバイアルである、好ましくは項目1から41までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0151】
43. 前記被覆された容器が、被覆された医薬品容器、好ましくはカートリッジまたはシリンジ、より好ましくはシリンジであり、ここで前記カートリッジまたはシリンジ、好ましくはシリンジの小さい方の開口部は、好ましくは先端キャップおよび/または栓で閉じられている、好ましくは項目1から42までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0152】
44. 前記被覆された表面の少なくとも一部、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部、前記酸処理された表面の少なくとも一部が同一であり、且つ/または
前記被覆された表面の少なくとも一部は内部表面の少なくとも一部を含み、好ましくは前記被覆された表面の少なくとも一部は、前記被覆された容器が平らな地面に立てられて、その被覆された容器の縁までの体積[体積/体積]に対して10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは90%の体積を有する溶液で充填される際に溶液と接触する表面であり、且つ/または
前記被覆された表面の少なくとも一部は、前記被覆された容器がISO 4802-2:2016(E)、第7.2節に準拠する充填体積まで充填される際に溶液と接触する表面である、
好ましくは項目1から43までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0153】
45. 前記容器の基材が、前記1種以上のイオンおよび/または化合物を含む、好ましくは項目1から44までのいずれか1つに記載の方法、使用および/または被覆された容器。
【0154】
46. i) 被覆された容器、好ましくは項目1から45までのいずれか1つに記載の被覆された容器、および
ii) 項目1から45までのいずれか1つに記載の方法によって得られる品質評価結果を含むデータシートまたは記憶媒体
を含むキット。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【
図1】少なくとも部分的に被覆された表面の模式的な側面図である。
【
図2】少なくとも部分的に前処理され且つ少なくとも部分的に被覆された表面の模式的な側面図である。
【
図4】本発明の実施態様による方法のブロック図である。
【実施例0156】
以下で、本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【0157】
例1
特段記載されない限り、例1は欧州特許出願公開第0821079号明細書(EP0821079 A1)、欧州特許出願公開第EP0811367号明細書(EP0811367 A2)、国際公開第03015122号(WO03015122 A1)および欧州特許出願公開第2106461号明細書(EP2106461 A1)に従って作製された:
2つの10Rバイアル(EVERIC(商標) pure、SCHOTT AG製)を準備した。最初の前処理として、洗浄の前処理を実施し、その際、前記バイアルを、25℃で10μS/cm以下を有する超純水を用いて、2分間、室温で、6分間、40℃で、引き続き25分間、室温で、ラボ用ディッシュウォッシャー(LS-2000、HAMO AG製)において洗浄した。その後、前記バイアルを20分間、300℃で乾燥させた。
【0158】
引き続き、その2つのバイアルを国際公開第03015122号(WO03015122 A1)による装置を使用して同時に処理して被覆した。全てのプラズマ処理について、周波数2.45GHzを有するマイクロ波照射を使用した。反応チャンバはバイアルの内側であった。バイアルの外側は周囲条件が支配していた。
【0159】
まず、バイアルの内側を、0.05mbarの値に達するまで真空引きした。その後、5mbarの圧力に達するまで酸素をバイアルに充填し(両方のバイアルについての流量: 50sccm)、次いでプラズマ前処理を開始した。プラズマは、入力電力6700Wで(両方のバイアルについて)、パルスモードにおいてパルス持続時間0.5msおよびパルス休止時間1.8msで励起された。プラズマ処理を14秒間、バイアルの温度が前記バイアルの円筒状の部分の中央で高温計を用いて測定して280℃になるまで実施した。
【0160】
直後に被覆プロセスを実施した。前記バイアルをHMDSOで充填し(両方のバイアルについての流量:25sccm)、圧力を0.8mbarに設定した。次いで、前記バイアルを0.2秒間照射し(圧力: 0.8mbar、両方のバイアルについての流量: 25sccm HMDSO、入力電力: 6000W、パルス持続時間: 0.050ms、パルス休止時間: 30ms)、引き続き50秒間照射した(圧力: 0.8mbar、両方のバイアルについての流量: 25sccm HMDSO、入力電力: 3250W、パルス持続時間: 0.003ms、パルス休止時間: 1ms)。
【0161】
その後、後処理を実施し、つまり、バイアルにアルゴンを充填し、そのバイアルをアルゴンの存在下で室温に冷却して、2つの等しく被覆されたバイアルが得られた。
【0162】
例2
特段記載されない限り、例2は欧州特許出願公開第0821079号明細書、欧州特許出願公開第EP0811367号明細書、国際公開第03015122号および欧州特許出願公開第2106461号明細書に従って作製された:
2つの10Rバイアル(EVERIC(商標) pure、SCHOTT AG製)を準備した。最初の前処理として、洗浄の前処理を実施し、その際、前記バイアルを、25℃で10μS/cm以下を有する超純水を用いて、2分間、室温で、6分間、40℃で、引き続き25分間、室温で、ラボ用ディッシュウォッシャー(LS-2000、HAMO AG製)において洗浄した。その後、前記バイアルを20分間、300℃で乾燥させた。
【0163】
引き続き、その2つのバイアルを国際公開第03015122号(WO03015122 A1)による装置を使用して同時に処理して被覆した。全てのプラズマ処理について、周波数2.45GHzを有するマイクロ波照射を使用した。反応チャンバはバイアルの内側であった。バイアルの外側は周囲条件が支配していた。
【0164】
まず、バイアルの内側を、0.05mbarの値に達するまで真空引きした。その後、1.2mbarの圧力に達するまで酸素をバイアルに充填し(両方のバイアルについての流量: 50sccm)、次いでプラズマ処理を開始した。プラズマは、入力電力5500Wで、パルスモードにおいてパルス持続時間0.5msおよびパルス休止時間1.8msで励起された。プラズマ処理を27秒間実施して、バイアルの温度は、該バイアルの円筒状の部分の中央で高温計を用いて測定して280℃になった。
【0165】
直後(11秒後)に被覆プロセスを実施した。前記バイアルをHMDSOで充填し(両方のバイアルについての流量:25sccm)、圧力を0.8mbarに設定した。次いで、前記バイアルを0.2秒間照射し(圧力: 0.8mbar、両方のバイアルについての流量: 25sccm HMDSO、入力電力: 6000W、パルス持続時間: 0.050ms、パルス休止時間: 30ms)、引き続き11秒間照射した(圧力: 0.8mbar、両方のバイアルについての流量: 25sccm HMDSO、入力電力: 4500W、パルス持続時間: 0.008ms、パルス休止時間: 0.5ms)。被覆プロセス後、バイアルの温度は、該バイアルの円筒状の部分の中央で高温計を用いて測定して280℃であった。
【0166】
その後、後処理を実施し、つまり、バイアルに酸素を充填し、そのバイアルを酸素の存在下で室温に冷却して、2つの等しく被覆されたバイアルが得られた。
【0167】
例3および4
例3はSCHOTTのTop Lyo(登録商標)10Rバイアルであり、例4は被覆されていないSCHOTTのEveric(商標) pure 10Rバイアルである。
【0168】
本願に記載される方法Liによって得られる例1~4についての値を表1に示す。
【0169】
【0170】
* oは被覆されていない容器の方法Liによって測定される。
【0171】
図面および特に好ましい実施態様(項目)の説明
本発明の教示を有利なようにどのように設計し且つさらに発展させるかについてはいくつかの方法がある。このために、一方では特許請求項に従属する特許請求項が参照され、他方では図面によって説明される本発明の実施態様の好ましい例の以下の説明が参照されるべきである。図面を用いた本発明の好ましい実施態様の説明に関し、教示の一般的に好ましい実施態様およびさらなる発展形が説明される。
【0172】
図1: 少なくとも部分的に被覆された表面の模式的な側面図
図2: 少なくとも部分的に前処理され且つ少なくとも部分的に被覆された表面の模式的な側面図
図3: 本発明の実施態様の模式的な側面図
図4: 本発明の実施態様による方法のブロック図。
【0173】
以下の実施態様の説明において、同じ参照番号は同様の要素を示す。
【0174】
符号の説明
1 ガラス表面
2 コーティング
3 前処理されたガラス表面
4 容器の外部表面
5 容器の内部表面
6 容器冠部の上面
1001 被覆された容器を準備する段階
1002 前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る段階
1003 前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と、処理された酸溶液とを得る段階、および
1004 前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る段階。
【0175】
図1および2は、本発明の実施態様の模式的な側面図を示す。
図1において、ガラス表面1がコーティング2によって部分的に被覆されている。示されたコーティングは単層のコーティングである。その結果、コーティングはガラス表面1と直接接触し、且つ最外層である。
図2において、部分的に前処理されたガラス表面3がコーティング2によって部分的に被覆されている。示されたコーティングは単層のコーティングである。その結果、コーティングはガラス表面1と直接接触し、且つ最外層である。
図3は本発明の実施態様の模式的な側面図を示す。容器の外部表面4は被覆されておらず、且つ容器の内部表面5は被覆されている。容器の冠部の上面は、容器の外部表面4にも容器の内部表面5にも属しておらず、且つ好ましくは被覆されていない。
【0176】
図4は本発明の実施態様による方法のブロック図を示す。まず、被覆された容器を準備し、それは熱処理されていても熱処理されていなくてもよい(1001)。その後、前記被覆された容器の被覆された表面の少なくとも一部の上でアルカリ処理を実施して、アルカリ処理された表面を得る(1002)。その後、前記アルカリ処理された表面の少なくとも一部の上で酸処理を実施して、酸処理された表面と処理された酸溶液とを得る(1003)。最後に、前記酸処理された表面の少なくとも一部の1種以上のイオンおよび/または化合物の侵出を定量化して、品質評価結果を得る(1004)。