(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151859
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】シザーズドア用の機械式作動スイッチを備えた電子式車両ハンドルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20220929BHJP
E05B 85/10 20140101ALI20220929BHJP
【FI】
B60J5/04 H
E05B85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022050154
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】21165329.0
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】マルコ サヴァント
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250PP12
2E250QQ02
2E250SS01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一方向に制限される限られた空間に組み込むことができる自動化された車両ドアハンドルアセンブリを提供する。
【解決手段】回転軸Yに沿って延在し、回転軸Yの周りを回転する回転可能なフラップと、車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信する電気信号を生成し、回転可能なフラップの回転により作動する機械式作動スイッチ28と、ロックスイッチボタンを有しており、車両ドアをロックするために車両ドアコントローラに送信する電気信号を生成するロック機構46とを備えていることを特徴とする車両ドアハンドルアセンブリである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 休止位置とドア開放位置との間で回転軸(Y)に沿って延在し、前記回転軸(Y)の周りを回転する回転可能なフラップ(20)と、
- 車両ドア(8)を解放するために車両ドアコントローラに送信する電気信号を生成し、前記回転可能なフラップ(20)の回転により作動する機械式作動スイッチ(28)と、
- 車両ドア(8)をロックまたはロック解除するロックスイッチボタン(48)とを備える車両ドアハンドルアセンブリ(10)であって、
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、前記回転可能なフラップ(20)の回転軸(Y)に沿って延びる一体物で作られており、かつ、前記回転可能なフラップ(20)をヒンジで取り付けている細長いベースプレート(14)も備えており、前記ベースプレート(14)は、前記機械式作動スイッチ(28)および前記ロックスイッチボタン(48)を収容しており、前記機械式作動スイッチ(28)および前記ロックスイッチボタン(48)は、前記回転可能なフラップ(20)の側部のいずれかに配置されていることを特徴とする車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記ベースプレート(14)は、前記回転可能なフラップ(20)が収容されている窪み(17)と、前記ロックスイッチボタン(48)が収容されているロック開口部(50)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)はまた、ハンドルボウル(15)とハウジング(12)とを備えており、前記ハンドルボウル(15)と前記ベースプレート(14)とは、前記ハウジング(12)に組み込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記ハンドルボウル(15)は、U字形受容面(15S)を備えており、前記ベースプレート(14)は、前記U字形受容面(15S)に面していることを特徴とする請求項3に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記ベースプレート(14)は、前記ハウジング(12)の対応するサポートレール(12R)と係合する前記ベースプレート(14)の両側に配置されたアセンブリタブ(14T)を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)は、前記車両ドア(8)の背面(8R)に固定されるドアハンドルサポート(13)も備えており、前記ハウジング(12)は、前記ドアハンドルサポート(13)の背面(13R)に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記ベースプレート(14)は、その輪郭の周りに防水ガスケット(52)を備えており、好ましくは、前記防水ガスケット(52)は、前記ベースプレート(14)上にオーバーモールドされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記防水ガスケット(52)は、窪み(17)を取り囲む中空型の第1セクション(54)と、ロック開口部(50)を取り囲み、前記ベースプレート(14)の前記ロック開口部(50)が設けられている部分を覆う全面型の第2セクション(56)とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記回転可能なフラップ(20)は、ほぼ平面であり、一方では、前記回転軸(Y)に沿って延びる2つの平行な直線状の長手方向側部(20L)によって、他方では、前記回転軸(Y)にほぼ直角な方向に沿って延びる2つの平行な直線状の左右側部(20l)によって区切られていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記車両ドアハンドルアセンブリ(10)はまた、カムホルダー(30)と前記カムホルダー(30)によって支持されるカム(32)とを備えており、前記カムホルダー(30)は、前記回転可能なフラップ(20)に接続されており、これにより、前記カムホルダー(30)が前記回転軸(Y)の周りを回転可能であり、前記回転可能なフラップ(20)の回転が前記カムホルダー(30)の回転を引き起こし、前記カムホルダー(30)の回転により、前記カム(32)が前記機械式作動スイッチ(28)を作動させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記カムホルダー(30)は、縦方向に沿って延びるカムレバー(34)を備えており、前記カムレバー(34)は、前記回転可能なフラップ(20)の前記回転軸(Y)にヒンジで取り付けられた第1端部(34A)と第1端部(34A)の反対側で前記カム(32)を支えている第2端部(34B)とを備えていることを特徴とする請求項10に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項12】
前記カムレバー(34)が前記回転可能なフラップ(20)の左右側部(20l)にほぼ平行になるように、前記カムホルダー(30)が回転可能な軸は、前記回転軸(Y)に沿って前記回転可能なフラップ(20)に開いた穴(37)に挿入される前記カムレバー(34)の前記第1端部(34A)から分岐しているピン(36)であることを特徴とする請求項10および11に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項13】
前記機械式作動スイッチ(28)は、可撓性ブレード(40)を備えており、前記カムホルダー(30)の回転中に、前記カム(32)の接触面(32S)が前記回転軸Yを横切る少なくとも1つの方向で前記可撓性ブレード(40)と接触し、これを押し込むようになることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【請求項14】
前記機械式作動スイッチ(28)は、押しボタン(44)を備えており、前記車両ドアを解放するために、前記カムホルダー(30)の回転中に、前記可撓性ブレード(40)が前記押しボタン(44)と接触し、これを押し込むようになり、前記押しボタン(44)を押し込むことにより、車両ドアコントローラに送信するための電気信号が生成されることを特徴とする請求項13に記載の車両ドアハンドルアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、機械的に作動するドアハンドルレバーまたはノブを用いずに電気的手段を介して制御する自動ドアラッチにおいて、車両ドアの開放を制御するためのドア開放アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアラッチは、自動化された方法で車両のドアパネルを選択的にロックまたは解放する。自動ドアラッチとは、本明細書では、ユーザがハンドルレバー、ノブなどをつかんで動かすことによってラッチを作動させるような力を必要としない特定のドアラッチをいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドアパネルが解放されると、ユーザまたは電動パネルアクチュエータがドアパネルをスイングまたはスライドさせて、車両に物理的にアクセスすることができる。自動ドアラッチは、通常の状況では、車両の外面に膨らんだハンドルレバーを必要としない。その結果、車両の空気抵抗を減らすことができ、車両を視覚的に流線型にすることができる。
【0004】
ほとんどの自動ドアラッチは、作動信号を受信するとボルト、フック、またはレバーを動かして、車両ドアを解放する電動アクチュエータを備えている。このような電動アクチュエータは、電気式または機械式スイッチを使用して作動させることができる。電気式スイッチは、機械式スイッチと比較して、変位する機械部品のストロークに必要なスペースを設ける必要がないため、ドアアセンブリのスペースを節約できるという利点がある。しかし、機械式スイッチとは異なり、コストアップとなり、ドアアセンブリの電子機器が複雑になる。
【0005】
さらに、特定のタイプのドア、特にシザーズドア、またはいわゆる「ランボ」ドアまたは「ビートルウィング」ドアの場合、ドアハンドルは通常、作動スイッチまたは回転可能なフラップがドアの回転軸に平行な軸の周りを、即ち、車両の長手方向軸、即ち、車両のローリング軸またはY軸に沿って回転するようになっている。特に、車両ドアハンドルアセンブリを収容するために利用可能なスペースは、長手方向以外の方向において特に制限されている。そのため、これらの制約に適合した車両ドアハンドルアセンブリを提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、機械式作動スイッチを作動させるためのより安価な製造コストおよびより少ない空間を実現し、特に、ほとんど一方向に制限されている限られた空間に組み込むことができる自動化された車両ドアハンドルアセンブリを提供することである。
【0007】
そのために、本発明は、車両ドアハンドルアセンブリに関し、
- 休止位置とドア開放位置との間で回転軸に沿って延在し、前記回転軸の周りを回転する回転可能なフラップと、
- 車両ドアを解放するために車両ドアコントローラに送信する電気信号を生成し、前記回転可能なフラップの回転により作動する機械式作動スイッチと、
- 車両ドアをロックまたはロック解除するロックスイッチボタンとを備える車両ドアハンドルアセンブリであって、
前記車両ドアハンドルアセンブリは、前記回転可能なフラップの回転軸に沿って延びる一体物で作られており、かつ、前記回転可能なフラップをヒンジで取り付けている細長いベースプレートも備えており、前記ベースプレートは、前記機械式作動スイッチおよび前記ロックスイッチボタンを収容しており、前記機械式作動スイッチおよび前記ロックスイッチボタンは、前記回転可能なフラップのいずれかの側部に配置されていることを特徴とする。
【0008】
一方向に沿って延びるものからなる単一のベースプレートが回転可能なフラップ、並びに、この回転可能なフラップの両側に配置された作動スイッチおよびロックスイッチボタンを収容しているという事実のために、主に一方向に沿って延びるスペースに取り付けることができる車両ドアハンドルアセンブリを提供することが可能である。
【0009】
本発明の車両ドアハンドルアセンブリは、単独でまたは組み合わせて、以下に記述する態様の1つまたはいくつかを提示することができる。
【0010】
一実施形態によれば、ベースプレートは、例えば、前記回転可能なフラップが収容されている窪みと、前記ロックスイッチボタンが収容されているロック開口部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
一実施形態によれば、前記車両ドアハンドルアセンブリはまた、例えば、ハンドルボウルとハウジングとを備えており、前記ハンドルボウルと前記ベースプレートとは、前記ハウジングに組み込まれていることを特徴とする。
【0012】
一実施形態によれば、前記ハンドルボウルは、例えば、U字形受容面を備えており、前記ベースプレートは、前記U字形受容面に面していることを特徴とする。
【0013】
一実施形態によれば、前記ベースプレートは、例えば、前記ハウジングの対応するサポートレールと係合する前記ベースプレートの両側に配置されたアセンブリタブを備えていることを特徴とする。
【0014】
一実施形態によれば、前記車両ドアハンドルアセンブリは、例えば、前記車両ドアの背面に固定されているドアハンドルサポートも備えており、前記ハウジングは、前記ドアハンドルサポートの背面に固定されていることを特徴とする。
【0015】
一実施形態によれば、前記ベースプレートは、例えば、その輪郭の周りに防水ガスケットを備えており、好ましくは、前記防水ガスケット(52)は、前記ベースプレート上にオーバーモールドされていることを特徴とする。これにより、ドアハンドルアセンブリに水が入るのを防いでいる。
【0016】
より具体的には、前記防水ガスケットは、窪みを取り囲む中空型の第1セクションと、ロック開口部を取り囲み、前記ロック開口部が設けられている前記ベースプレートの部分を覆う全面型の第2セクションとを備えていることを特徴とする。
【0017】
別の実施形態によれば、前記回転可能なフラップは、特に、ほぼ平面であり、一方では、前記回転軸に沿って延びる2つの平行な直線状の長手方向側部によって、他方では、前記回転軸にほぼ直角な方向に沿って延びる2つの平行な直線状の左右側部によって区切られていることを特徴とする。このような形状の前記回転可能なフラップは、スペースをほとんど必要とせず、ユーザにとって製造と操作の両方が容易である。
【0018】
一実施形態によれば、前記車両ドアハンドルアセンブリはまた、カムホルダーと前記カムホルダーによって支持されるカムとを備えており、前記カムホルダーは、前記回転可能なフラップに接続されており、これにより、前記カムホルダーが前記回転軸の周りを回転可能であり、前記回転可能なフラップの回転が前記カムホルダーの回転を引き起こし、前記カムホルダーの回転により、前記カムが前記機械式作動スイッチを作動させることを特徴とする。
【0019】
車両ドアハンドルアセンブリは、カムホルダーが回転軸の周りを回転可能であるように回転可能なフラップに接続されたカムホルダーを備えており、かつ、回転可能なフラップの回転がカムホルダーの回転および前記機械式作動スイッチの作動を引き起こすという事実のために、回転可能なフラップを回転させるためのスペースがほとんどない場合、つまりストロークスペースがほとんどない場合でも、スイッチを作動させることができる。このような配置は、実際、回転軸に沿ったスペースのみを必要とし、回転可能なフラップのストローク方向に沿ったスペースを必要としない。
【0020】
一実施形態によれば、前記カムホルダーは、縦方向に沿って延びるカムレバーを備えており、前記カムレバーは、前記回転可能なフラップの前記回転軸にヒンジで取り付けられた第1端部と第1端部の反対側で前記カムを支えている第2端部とを備えていることを特徴とする。この特定の構成により、レバー構造の優位性を利用して、前記回転可能なフラップの非常に小さな旋回運動を、スイッチを作動させるためのカムの十分な運動に変換することができる。
【0021】
車両ドアハンドルアセンブリが占めるスペースをさらに制限するために、前記カムレバーが前記回転可能なフラップの左右側部にほぼ平行になるように、前記カムホルダーが回転可能な軸は、例えば、前記回転軸に沿って前記回転可能なフラップに開いた穴に挿入される前記カムレバーの前記第1端部から分岐しているピン(36)を備えていることを特徴とする。
【0022】
車両ドアハンドルアセンブリが占めるスペースをさらにより制限するために、カムレバーの長さは、特に、回転可能なフラップの左右側部の長さと少なくとも同じである。
【0023】
さらなる態様によれば、前記機械式作動スイッチは、例えば、可撓性ブレードを備えており、前記カムホルダーの回転中に、前記カムの接触面が前記回転軸を横切る少なくとも1つの方向で前記可撓性ブレードと接触し、これを押し込むことを特徴とする。
【0024】
別の態様によれば、可撓性ブレードは、回転可能なフラップの回転軸に対して直角に向けることができる。この特定の構成では、回転可能なフラップの非常に小さな運動を、スイッチを作動させるための十分な運動に変換することもできる。
【0025】
別の態様によれば、前記機械式作動スイッチ(28)は、例えば、押しボタンを備えており、前記車両ドアを解放するために、前記カムホルダーの回転中に、前記可撓性ブレードが前記押しボタンと接触し、これを押し込むようになり、前記押しボタンを押し込むことにより、車両ドアコントローラに送信するための電気信号が生成されることを特徴とする。
【0026】
さらに、カムの接触面は、2つのほぼ直線的な面を繋ぐ傾斜面で形成することができる。この構成により、傾斜面42の勾配は、押しボタンを押し込むためのストローク速度を決定する。
【0027】
ユーザにとって触りやすいハンドルであるが、十分な耐性を有するように、回転可能なフラップは、例えば、ゴムなどのエラストマーで作られたセクションを備えており、硬質プラスチック、例えば、ポリプロピレンで作られたセクション上にオーバーモールドされている。
【0028】
本発明は、以下の記述を考慮し、以下の図を参照することにより、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の特定の実施形態によるハンドルドアアセンブリを備える車両ドアの斜視図である。
【
図2】
図1の車両ドアおよびハンドルドアアセンブリの分解図である。
【
図3】ハンドルドアアセンブリのハウジングを省いた
図1の車両ドアの背面斜視図である。
【
図6】
図1のハンドルドアアセンブリの斜視図である。
【
図7】
図6のハンドルドアアセンブリのベースプレートの正面図である。
【
図9】
図8の機械式作動スイッチおよびカムレバーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特定の実施形態による車両ドアハンドルアセンブリ10を備える車両ドア8は、
図1から
図3に示されている。
【0031】
特に車両ドア8は、シザーズドア、またはいわゆる「ランボ」ドアまたは「ビートルウィング」ドアである。よって、ドアの回転軸は、車両の長手方向軸、即ち、ローリング軸またはY軸である。
【0032】
車両ドア8は、ドアハンドルアセンブリ10が車両ドア8の背面8R、即ち、ドアが組み立てられた後の車両の内側から組み込まれるドア開口部9を備えている。
【0033】
ドアハンドルアセンブリ10は、
図2に示すように、ハウジング12、ドアハンドルサポート13、ベースプレート14(
図6参照)、およびハンドルボウル15を備えている。
【0034】
図3に最もよく示すように、ドアハンドルサポート13は、ハンドルサポートフランジ13Fを備えており、その前面は、車両ドア8の背面8Rに接触し、接続しており、ボウル形のハンドルボウル15(
図1参照)を受け入れる中央開口部13Oを備えている。この特定の実施形態では、ハンドルサポートフランジ13Fの前面は、車両ドアの背面8Rに接着している。より具体的には、中央開口部13Oは、ほぼ長方形の輪郭を有しており、その寸法は、ハンドルボウル15の寸法および形状に適合している。
【0035】
ドアハンドルサポート13は、ドアハンドルアセンブリ10が車両ドア8に取り付けられると、フラットなハンドルサポートフランジ13Fから車両の内側に向かって直角に延びる上壁13Tも備えている。この上壁13Tは、ボウル形のハンドルボウル15に沿って、ユーザがハンドルを操作するときに手を挿入するドア開口部9(
図1参照)の空間部V(
図6参照)を区切っている。
【0036】
図2および
図6に示すように、ハンドルボウル15は、ドアハンドルサポート13のハンドルサポートフランジ13Fの背面に接するフラットフランジ15Fと、U字形受容面15Sとを備えている。
【0037】
図2、
図4および
図6に示すように、ハンドルボウル15およびベースプレート14は、ハウジング12に組み込まれている。そのために、この特定の実施形態では、ハウジング12は、ハンドルボウル15とベースプレート14の両方を収容するための主開口部12Oを備えている。
【0038】
ハウジング12は、主開口部12Oの両側に配置された2つのハウジングタブ16も備えている。ハウジングタブ16は、ハンドルサポートフランジ13Fから延びるドアハンドルサポートピン13Pを挿入してハウジング12をドアハンドルサポート13に接続する、即ち、ハウジング12を車両ドア8に接続するためのハウジング開口部16Oを備えている。
【0039】
図6に示すように、ハウジング12は、ベースプレート14の両側に配置された2つのアセンブリタブ14Tと係合するようになっている2つのサポートレール12Rも備えている。
【0040】
ベースプレート14は、例えばプラスチック製の一体物でできている。好ましくは、製造を容易にするために、ベースプレート14は、一体に成形されている。
【0041】
図6から
図8に示すように、ベースプレート14は、U字形受容面15Sに面している。そのために、この特定の実施例では、ベースプレート14は、車両ドア8に局所的にほぼ直角である平面に沿って延びるように、主開口部12Oの頂部に組み込まれている。より具体的には、ベースプレート14は、空間部Vの頂部に、ドアハンドルサポートの上壁13Tに近接して配置されている。
【0042】
ベースプレート14は、軸Yに沿って延びている(長方形の長辺は軸Yに沿って延びている)。
【0043】
より具体的には、ベースプレート14は、一方では、軸Yに沿って延びる2つの平行な直線状の長手方向側部14Lによって、他方では、回転軸Yにほぼ直角な方向に沿って延びる2つの平行な直線状の左右側部14lによって区切られている。
【0044】
ベースプレート14は、回転可能なフラップ20を収容する窪み17を備えている。窪み17は、ほぼ長方形の形状を有する回転可能なフラップ20の形状に適合したほぼ長方形の輪郭を有している。
【0045】
図7に示すように、回転可能なフラップ20は、ベースプレート14が延びる方向に対応する軸Yの周りを回転する。より正確には、回転可能なフラップ20は、図に示す位置に対応する休止位置とドア開放位置(図示せず)との間で回転軸Yを中心に回転するようになっている。
【0046】
回転可能なフラップ20は、ベースプレート14にヒンジで取り付けられている。ここで、回転可能なフラップ20は、ベースプレート14の長手方向側部14Lの一方の周りを回転する。回転可能なフラップのヒンジ(図には示されていない)は、窪み17内に収納されている。
【0047】
回転可能なフラップ20は、ほぼ平面であり、一方では、回転軸Yに沿って延びる2つの平行な直線状の長手方向側部20Lによって、他方では、回転軸Yにほぼ直角な方向に沿って延びる2つの平行な直線状の左右側部20lによって区切られている。
【0048】
図5に示すように、ベースプレート14はまた、ドア開口部9から回転可能なフラップ20へのアクセスが行えるように、主開口部12Oに組み込まれている。ハンドルユーザの手を、ドア開口部9を介して空間部Vの内側に挿入し、回転可能なフラップ20を作動させることができる。より正確には、最初に空間部Vの内側に指を挿入し、上方に動かして回転可能なフラップ20と接触するようになる。
【0049】
ここで
図7および
図8を参照する。回転可能なフラップ20は、硬質プラスチック、例えばポリプロピレンで作られた第2セクション24上にオーバーモールドされたゴムなどのエラストマーで作られた第1セクション22を備えている。第1セクション22は、空間部Vに挿入された手が最初に触りやすい表面に接触するように、空間部Vに面して配置されている。
【0050】
好ましくは、回転可能なフラップ20は、ドア開口部9に最も近いその長手方向側部20Lに、好ましくは、長手方向側部20L全体に沿って延びるボス27を備えている。このボス27により、ユーザは、手を空間部Vに挿入するとすぐに、回転可能なフラップ20を容易に認識して、押し込むことができる。
【0051】
図7および
図8に示すように、回転可能なフラップ20の回転は、機械式作動スイッチ28を作動させ、電気信号を生成させて、車両ドアコントローラ(図示せず)に送信して、車両ドアを解放させる。
【0052】
ベースプレート14は、機械式作動スイッチ28を収容している。図に示す特定の実施形態では、機械式作動スイッチ28は、ベースプレート14の左右側部14lの1つに近接するベースプレート14の窪み17内に収容されている。
【0053】
機械式作動スイッチ28を作動させるために、ドアハンドルアセンブリ10は、カムホルダー30およびカムホルダー30によって支持されるカム32も備えている。カムホルダー30は、回転軸Yの周りを回転可能なように回転可能なフラップ20に接続されている。
【0054】
カムホルダー30もベースプレート14内に収容されている。図に示す特定の実施形態では、カムホルダー30は、ベースプレート14の左右側部14lの1つに近接する、ベースプレート14の窪み17内に収容されている。好ましくは、カムホルダー30は、機械式作動スイッチ28の隣に、すなわち、ベースプレート14の同じ左右側部14lに配置されている。
【0055】
本実施形態では、カムホルダー30は、縦方向に沿って延びるカムレバー34を備えている。このカムレバー34は、回転可能なフラップ20の回転軸Yにヒンジで取り付けられた第1端部34Aと、カム32を支持する第1端部とは反対側の第2端部34Bとを備えている。
【0056】
より具体的には、カムレバー34が回転可能なフラップ20の左右側部20lにほぼ平行になるように、カムホルダー30が回転可能な軸は、回転軸Yに沿って回転可能なフラップ20に設けられた第1穴37に挿入されたカムレバーの第1端部34Aから分岐している第1ピン36によって形成される。カムレバー34の第2端部34Bの隣に位置するカムレバー34の孔34Hに挿入された第2ピン38も、回転可能なフラップ20の左右側部20lに沿って第1穴37の反対側に位置する回転可能なフラップ20の第2穴39に挿入される。
【0057】
ここで、
図7および
図8に示すように、カムレバー34の長さは、回転可能なフラップ20の左右側部20lの長さとほぼ同じ長さである。
【0058】
ハンドルアセンブリ10では、回転可能なフラップ20の回転がカムホルダー30の回転を引き起こし、カムホルダー30の回転によりカム32が機械式作動スイッチ28を作動させるようになっている。
【0059】
より具体的には、機械式作動スイッチ28は、可撓性ブレード40を備えており、これにより、カムホルダー30の回転中に、カム32の接触面32Sが、回転軸Yを横切る少なくとも1つの方向で可撓性ブレード40と接触し、これを押し込む。ここで、可撓性ブレード40は、回転可能なフラップ20の回転軸Yにほぼ直角である縦方向軸に沿って延びている。ブレード40の一端部41は、湾曲している。
【0060】
図9によりよく示すように、カム32の接触面32Sは、2つのほぼ直線的な面43と、それらを繋ぐ傾斜面42とで形成されている。この構成により、傾斜面42の勾配は、押しボタン44を押し込むためのストローク速度を決定する。
【0061】
ブレード40は、最初に、機械式作動スイッチ28をまだ作動させていない第1の直線面43と接触する。機械式作動スイッチ28の作動は、ブレード40が傾斜面42と接触するときに可能になり、これは、ブレード40が、ブレード40の反対側に配置された押しボタン44と接触する時点にも対応している。こうして、カムホルダー30の回転中に、ブレード40は、押しボタン44と接触し、これを押し込む。押しボタン44を押し込むと、電気信号が生成され、車両ドアコントローラに送信されて、車両ドアが解放される。
【0062】
車両ドアアセンブリ10は、車両ドア9をロックまたはロック解除するロックスイッチボタン48も備えている。例えば、ロックスイッチボタン48の作動は、1つ以上の車両ドアのロックを解除またはロックするために、車両ドアコントローラ(図示せず)に送信する電気信号を生成する。ロックスイッチボタン48は、空間部Vからアクセス可能である。
【0063】
ベースプレート14は、ロックスイッチボタン48を収容している。より具体的には、
図7および
図8に示すように、ベースプレート14は、ロックスイッチボタン48が収容されているロック開口部50を備えている。ロック開口部50は、ロックスイッチボタン48の形状に適合した貫通開口部である。ここで、ロックスイッチボタン48が円形の横断面を有するので、ロック開口部50の形状が円形である。当然、他の形状を考慮してもよい。
【0064】
機械式作動スイッチ28およびロックスイッチボタン48は、回転可能なフラップ20の側部のいずれかに配置されている。
【0065】
このように、この特定の実施形態では、ロック開口部50は、ベースプレート14の左右側部14lの1つに近接して配置されており、ここでは、機械式作動スイッチ28に近接する左右側部14lの反対側にある左右側部14lである。
【0066】
水がベースプレート14に入り、機械式作動スイッチ28またはロック機構46に損傷を与えるのを防ぐために、ベースプレート14はまた、その輪郭の周りに、好ましくはベースプレート14上にオーバーモールドされた防水ガスケット52を備えている。このように、図に示す特定の実施形態では、防水ガスケット52は、長方形の輪郭を有している。
【0067】
より良好なシールを確保するために、防水ガスケット52は、窪み17およびロック開口部50の両方を取り囲んでいる。より具体的には、防水ガスケット52は、窪み17を取り囲む中空型の第1セクション54と、ロック開口部50を取り囲み、ロック開口部50が設けられているベースプレート14の部分を覆う全面型の第2セクション56とを備えている。
【0068】
したがって、一方向に沿って延びる一体物、すなわちベースプレート14が回転可能なフラップ20、機械式作動スイッチ28およびロックスイッチボタン48を収容するという事実により、主に一方向、ここではY方向に沿って延びる空間に取り付けることができる車両ドアハンドルアセンブリ10を提供することが可能であることを、ユーザは、明確に理解することになる。
【0069】
したがって、作動のためのより安価な製造コストおよびより少ない空間を実現し、特に、ほとんど一方向、ここではY方向に制限される限られた空間に組み込むことができる自動化された車両ドアハンドルアセンブリ10を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
8 車両ドア
8R 車両ドアの背面
9 ドア開口部
10 車両ドアハンドルアセンブリ
12 ドアハンドルハウジング
12O 主開口部
12R サポートレール
13 ドアハンドルサポート
13F ドアハンドルサポートフランジ
13O 中央開口部
13P ドアハンドルサポートピン
13T 上壁
14 ベースプレート
14L ベースプレートの長手方向側部
14l ベースプレートの左右側部
14T アセンブリタブ
15 ハンドルボウル
15F フラットフランジ
15S U字形受容面
16 ハウジングタブ
16O ハウジング開口部
17 窪み
20 回転可能なフラップ
20L 長手方向側部
20l 左右側部
22 第1セクション
24 第2セクション
27 ボス
28 機械式作動スイッチ
30 カムホルダー
32 カム
32S 接触面
34 カムレバー
34A 第1端部
34B 第2端部
34H カムレバーの孔
36 第1ピン
37 第1穴
38 第2ピン
39 第2穴
40 可撓性ブレード
42 傾斜面
43 直線面
44 押しボタン
46 ロック機構
48 ロックスイッチボタン
50 ロック開口部
52 防水ガスケット
54 中空型の第1セクション
56 全面型の第2セクション
V 空間部
Y 回転軸
【外国語明細書】