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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151872
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】金融商品取引管理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052452
(22)【出願日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2021053579
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB55
(57)【要約】
【課題】利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる金融商品取引管理装置を提供する。
【解決手段】金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16は、特定の金融商品について先に取引を行う注文としての第一注文と、後で取引を行う注文としての第二注文とについて、1の第一注文と1の第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させるための利益値幅設定情報と、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を演算により算出させる利益金額演算手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の売買を行うための金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の売買を行うための情報としての注文情報を生成する注文情報生成手段を備え、
該注文情報生成手段は、
特定の前記金融商品について先に取引を行う注文としての第一注文と、後で取引を行う注文としての第二注文とについて、1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させるための利益値幅設定情報と、
前記1の前記第一注文の注文金額、及び/又は、前記1の前記第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、前記1の前記第一注文と前記1の前記第二注文との取引によって得られる利益金額を演算により算出させる利益金額演算手段を備えたことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項2】
金融商品の売買を行うための金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の売買を行うための情報としての注文情報を生成する注文情報生成手段を備え、
該注文情報生成手段は、
特定の前記金融商品について先に取引を行う注文としての第一注文と、後で取引を行う注文としての第二注文とについて、1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益金額を設定させるための利益金額設定情報と、
前記1の前記第一注文の注文金額、及び/又は、前記1の前記第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、前記1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益の大きさとしての利益値幅を演算により算出させる利益値幅演算手段とを備えたことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項3】
前記注文情報生成手段は、既に設定された一の前記利益値幅を他の前記利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、前記金融商品の利益値幅を一の前記利益値幅から他の前記利益値幅に変更させて前記注文情報を生成する利益値幅変更手段を備え、
該利益値幅変更手段は、前記利益値幅変更情報を受けて、前記利益金額を特定の金額で固定させた状態で前記利益値幅を変動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項4】
前記注文情報生成手段は、既に設定された一の前記利益金額を他の前記利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、前記金融商品の利益金額を一の前記利益金額から他の前記利益金額に変更させて前記注文情報を生成する利益金額変更手段を備え、
該利益金額変更手段は、前記利益金額変更情報を受けて、前記利益値幅を特定の値幅で固定させた状態で前記利益金額を変動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項5】
前記注文情報生成手段は、
既に設定された一の前記利益値幅を他の前記利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、前記金融商品の利益値幅を一の前記利益値幅から他の前記利益値幅に変更させて前記注文情報を生成する利益値幅変更手段と、
既に設定された一の前記利益金額を他の前記利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、前記金融商品の利益金額を一の前記利益金額から他の前記利益金額に変更させて前記注文情報を生成する利益金額変更手段とを備え、
前記注文情報生成手段は、前記利益値幅変更手段が、前記利益金額を特定の金額で固定させた状態で前記利益値幅を変動させる処理と、前記利益金額変更手段が、前記利益値幅を特定の金額で固定させた状態で前記利益金額を変動させる処理との何れかの処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項6】
前記注文情報生成手段は、複数の前記第一注文をそれぞれ異なる注文価格に設定すると共に複数の前記第二注文をそれぞれ異なる注文価格に設定するとき、複数の前記第一注文同士の値幅、及び/又は、複数の前記第二注文同士の値幅としての注文値幅と、1の前記第一注文と該第一注文に対応する1の前記第二注文との前記利益値幅と、をそれぞれ同一に設定する注文値幅・利益値幅設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項7】
前記注文情報生成手段は、異なる注文価格に設定される複数の第一注文、及び/又は、異なる注文価格に設定される複数の前記第二注文、による取引を自動的に行うための前記注文情報を生成することと特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項8】
前記注文情報生成手段は、前記第一注文と該第一注文に対応する前記第二注文とによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせるための前記注文情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至8の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の金融商品の取引の管理及び支援を行う技術に関する。本発明は、各種の金融商品の取引を管理及び支援する装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
株式、債券、投資信託、不動産投資信託、コモディティ(商品)、外国為替、株価指数、暗号資産等、相場価格が変動する各種の金融商品の取引方法として、成行注文(注文発注時点の相場価格で取引を行う注文形態)や指値注文(相場価格が予め指定された価格になった時点で取引を行う形態)等が知られている。従来、これらの注文形態、例えば指値注文による取引を、コンピュータシステムを用いて行う発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この発明においては、予め設定された価格をポジションとする金融商品の注文を発注し、金融商品の相場価格がこの価格に至ったときにその注文を約定させることで取引を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-99787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コンピュータシステムを用いて、第一注文と対応する第二注文による取引を行う場合、利益を得るためには注文価格の設定が重要になる。従来、第一注文や第二注文の注文価格は、第一注文や第二注文の利益金額等を基準に設定が行われることが一般的である。
【0005】
しかし、利益金額等を基準とした注文価格の設定は、金融商品の取引を行う取引者が金融商品の種類や金融商品ごとの相場の変動傾向などを熟知していない場合、売買に好適な価格や価格帯に注文価格を設定することは困難である。そして、上記特許文献1においては、注文価格の設定の利便性を図るための特段の構成は設けられていない。そのため、上記特許文献1は、取引者が金融商品の種類や金融商品ごとの相場の変動傾向などを熟知していない場合、売買に好適な価格や価格帯に注文価格を設定することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、第一注文と対応する第二注文による取引を行う際の注文価格の設定を行う際に、利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる金融商品取引管理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、金融商品の売買を行うための金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の売買を行うための情報としての注文情報を生成する注文情報生成手段を備え、該注文情報生成手段は、特定の前記金融商品について先に取引を行う注文としての第一注文と、後で取引を行う注文としての第二注文とについて、1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させるための利益値幅設定情報と、前記1の前記第一注文の注文金額、及び/又は、前記1の前記第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、前記1の前記第一注文と前記1の前記第二注文との取引によって得られる利益金額を演算により算出させる利益金額演算手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、金融商品の売買を行うための金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の売買を行うための情報としての注文情報を生成する注文情報生成手段を備え、該注文情報生成手段は、特定の前記金融商品について先に取引を行う注文としての第一注文と、後で取引を行う注文としての第二注文とについて、1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益金額を設定させるための利益金額設定情報と、前記1の前記第一注文の注文金額、及び/又は、前記1の前記第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、前記1の前記第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益の大きさとしての利益値幅を演算により算出させる利益値幅演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、既に設定された一の前記利益値幅を他の前記利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、前記金融商品の利益値幅を一の前記利益値幅から他の前記利益値幅に変更させて前記注文情報を生成する利益値幅変更手段を備え、該利益値幅変更手段は、前記利益値幅変更情報を受けて、前記利益金額を特定の金額で固定させた状態で前記利益値幅を変動させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、既に設定された一の前記利益金額を他の前記利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、前記金融商品の利益金額を一の前記利益金額から他の前記利益金額に変更させて前記注文情報を生成する利益金額変更手段を備え、該利益金額変更手段は、前記利益金額変更情報を受けて、前記利益値幅を特定の値幅で固定させた状態で前記利益金額を変動させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、
既に設定された一の前記利益値幅を他の前記利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、前記金融商品の利益値幅を一の前記利益値幅から他の前記利益値幅に変更させて前記注文情報を生成する利益値幅変更手段と、既に設定された一の前記利益金額を他の前記利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、前記金融商品の利益金額を一の前記利益金額から他の前記利益金額に変更させて前記注文情報を生成する利益金額変更手段とを備え、前記注文情報生成手段は、前記利益値幅変更手段が、前記利益金額を特定の金額で固定させた状態で前記利益値幅を変動させる処理と、前記利益金額変更手段が、前記利益値幅を特定の金額で固定させた状態で前記利益金額を変動させる処理との何れかの処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、複数の前記第一注文をそれぞれ異なる注文価格に設定すると共に複数の前記第二注文をそれぞれ異なる注文価格に設定するとき、複数の前記第一注文同士の値幅、及び/又は、複数の前記第二注文同士の値幅としての注文値幅と、1の前記第一注文と該第一注文に対応する1の前記第二注文との前記利益値幅と、をそれぞれ同一に設定する注文値幅・利益値幅設定手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、異なる注文価格に設定される複数の第一注文、及び/又は、異なる注文価格に設定される複数の前記第二注文、による取引を自動的に行うための前記注文情報を生成することと特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成手段は、前記第一注文と該第一注文に対応する前記第二注文とによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせるための前記注文情報を生成することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを請求項1乃至8の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、1の第一注文と1の第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させ、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を演算により算出させる構成を備えたことにより、利益値幅を設定するための情報を取得したときに、この情報に基づいて利益金額を算出し設定することが可能となる。このため、利益値幅の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することが可能となる。そして、金融商品取引管理装置の利用者等に所望する利益値幅の情報を入力させること等により、第一注文や第二注文を、利益を得やすい注文価格や注文金額に容易に設定できる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、第一注文と対応する第二注文による取引を行う際の注文価格の設定を行う際に、利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を設定させるための利益金額設定情報と、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益値幅を演算により算出させることにより、利益金額を設定するための情報を取得したときに、この情報に基づいて利益値幅を算出し設定することが可能となる。このため、利益金額の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することが可能となる。そして、金融商品取引管理装置の利用者等に所望する利益金額の情報を入力させること等により、第一注文や第二注文を、利益を得やすい注文価格や注文金額に容易に設定できる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、第一注文と対応する第二注文による取引を行う際の注文価格の設定を行う際に、利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、既に設定された一の利益値幅を他の利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、利益金額を特定の金額で固定させた状態で利益値幅を一の利益値幅から他の利益値幅に変更させて注文情報を生成することにより、変更のパラメーターを利益値幅のみとした、利用者が変更の内容をわかりやすい状態を形成し、既に設定された利益値幅を利用者の操作等によって変更させながら、第一注文や第二注文の注文価格や注文金額を、利用者が希望する注文価格や注文金額に容易に設定させることが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、既に設定された一の利益金額を他の利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、利益値幅を特定の値幅で固定させた状態で利益金額を一の利益金額から他の利益金額に変更させて注文情報を生成することにより、変更のパラメーターを利益金額のみとした、利用者が変更の内容をわかりやすい状態を形成し、既に設定された利益値幅を利用者の操作等によって変更させながら、第一注文や第二注文の注文価格や注文金額を、利用者が希望する注文価格や注文金額に容易に設定させることが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、利益金額を特定の金額で固定させた状態で利益値幅を変動させる処理と、利益値幅を特定の金額で固定させた状態で利益金額を変動させる処理との何れかの処理を行うことが可能となり、利益値幅に基づく注文価格の設定と利益金額に基づく注文価格の設定との双方を、利用者が変更の内容をわかりやすい状態としつつ、利用者にいずれかの注文価格の設定を選択させることができる。これにより、注文価格の設定方法のバリエーションを増やしつつ、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置を提供できる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、注文値幅と利益値幅とをそれぞれ同一に設定することにより、注文値幅と利益値幅との設定や変更の内容を利用者にわかりやすい状態で提供できる。これにより、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置を提供できる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、異なる注文価格に設定される複数の第一注文、及び/又は、異なる注文価格に設定される複数の第二注文の注文価格を、利用者が希望する注文価格や取引による利益を得る可能性の高い注文価格として容易に設定できる状態を実現できる。これにより、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置を提供できる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、第一注文と該第一注文に対応する第二注文とによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせる際の第一注文や第二注文の注文価格を、利用者が希望する注文価格や取引による利益を得る可能性の高い注文価格として容易に設定できる状態を実現できる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、本発明を、多様なコンピュータや多様なコンピュータシステムにおいて構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び第一の金融商品取引管理装置及び第二の金融商品取引管理装置の構成を概念的に示すブロック図である。
図2図1に示された第二の金融商品取引管理装置に格納される注文テーブルのフィールド定義を示す図である。
図3】この実施の形態1に係る金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における、注文情報生成の手順を示すフローチャートである。
図4】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理システムにおいて、(a)クライアント端末に表示される注文入力画面において利益値幅入力選択ボタンが選択されてデフォルト値による演算が行われた状態を模式的に示す図、(b)同注文入力画面において利益値幅入力選択ボタンが選択されてデフォルト値の注文金額を変更して演算が行われた状態を模式的に示す図である。
図5】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理システムにおいて、(a)クライアント端末に表示される注文入力画面において利益金額入力選択ボタンが選択されてデフォルト値による演算が行われた状態を模式的に示す図、(b)同注文入力画面において利益金額入力選択ボタンが選択されてデフォルト値の注文金額を変更して演算が行われた状態を模式的に示す図である。
図6】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理システムにおいて、(a)図4の(a)に示す注文入力画面の状態から注文情報が生成された際の第一注文や第二注文の取引態様を模式的に示した図、(b)図4の(b)に示す注文入力画面の状態から注文情報が生成された際の第一注文や第二注文の取引態様を模式的に示した図である。
図7】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理システムにおいて、(a)図5の(a)に示す注文入力画面の状態から注文情報が生成された際の第一注文や第二注文の取引態様を模式的に示した図、(b)図5の(b)に示す注文入力画面の状態から注文情報が生成された際の第一注文や第二注文の取引態様を模式的に示した図である。
図8】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において、図4の(b)に示す状態で入力された場合に注文情報生成部が生成した注文情報群を模式的に示した図である。
図9】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における処理に基づいて生成された注文情報によって行われる、取引の態様を模式的に示すチャートである。
図10】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における処理に基づいて生成された注文情報によって行われる、「シフト機能」を伴う取引の態様を模式的に示すチャートである。
図11】この実施の形態2の金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理システムにおける、クライアント端末に表示される注文入力画面であって、「決済トレール」と「ストップロス注文」の選択と数値入力がされた状態を模式的に示す図である。
図12】同上金融商品取引管理システム及び第一、第二の金融商品取引管理装置において、注文情報生成部が生成した注文情報群を模式的に示した図である。
図13】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における処理に基づいて生成された注文情報によって行われる、「決済トレール」の取引の態様を模式的に示すチャートである。
図14】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における処理に基づいて生成された注文情報によって行われる、「決済トレール」の取引の態様を模式的に示すチャートである。
図15】同上金融商品取引管理システム及び金融商品取引管理装置における処理に基づいて生成された注文情報によって行われる、「決済トレール」の取引の態様を模式的に示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[発明の実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。
【0027】
[システム構成]
図1乃至図9に、この発明の実施の形態1を示す。
【0028】
図1は、この実施の形態1の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、N個(N≧1)のクライアント端末2~2とを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末2~2は、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。
【0029】
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。クライアント端末2,・・・,2は、金融商品の売買を行う個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末2,・・・,2は、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部21,・・・,21、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり操作部21,・・・,21から入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部22,・・・,22を有している。クライアント端末2,・・・,2の操作部21,・・・,21と表示部22,・・・,22は、指やタッチペン等のポインティングデバイスの接触位置の座標情報等に基づいて各種入力を行う、タッチパネル式のディスプレイとして構成されていてもよい。なお、クライアント端末2,・・・,2、操作部21,・・・,21、表示部22,・・・,22は同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2、操作部21、表示部22とする。
【0030】
図1には図示しないが、金融商品取引管理装置1やクライアント端末2は、それぞれ、少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されており、これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
【0031】
なお、金融商品取引管理装置1は、1のサーバコンピュータによって形成されていても、複数のネットワークコンピュータシステムによって形成されていてもよい。また、金融商品取引管理装置1は、クラウドコンピュータシステム等、インターネット3上に存在する複数のハードウェアによって構成されるシステムであっていてもよい。
【0032】
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、注文入力受付部12、入出金情報生成部13、「約定情報生成手段」としての約定情報生成部14、口座情報生成部15、「注文情報生成手段」としての注文情報生成部16、データベース(DB)接続基底部17、価格情報受信管理部19を有している。
【0033】
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。また、金融商品の取引に必要な証拠金の額を算出する。
【0034】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0035】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文、逆指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。
【0036】
注文情報生成部16は、イフダンオーダー及び逆指値注文を生成する際に、第一注文が新規の指値注文又は逆指値注文となるように第一注文の注文情報を生成し、第二注文が決済の指値注文となるように第二注文の注文情報を生成し、逆指値注文が決済の逆指値注文となるように逆指値注文の注文情報を生成する。なお、第一注文、第二注文、逆指値注文の如何は後述する注文テーブル181のフィールド定義に基づいて区別、記録される。
【0037】
なお、注文情報生成部16は、1の第一注文と1の第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させるための利益値幅設定情報と、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額(後述)を演算により算出させる「利益金額演算手段」としての機能を備える。また、注文情報生成部16は、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を設定させるための利益金額設定情報と、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益の大きさとしての利益値幅を演算により算出させる「利益値幅演算手段」としての機能を備える。
【0038】
また、注文情報生成部16は、既に設定された一の利益値幅を他の利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、金融商品の利益値幅(後述)を一の利益値幅から他の利益値幅に変更させて注文情報を生成する「利益値幅変更手段」としての機能も備える。
【0039】
また、注文情報生成部16は、既に設定された一の利益金額を他の利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、金融商品の利益金額(後述)を一の利益金額から他の利益金額に変更させて注文情報を生成する「利益金額変更手段」としての機能も備える。
【0040】
また、注文情報生成部16は、複数の第一注文をそれぞれ異なる注文価格に設定すると共に複数の第二注文をそれぞれ異なる注文価格に設定するとき、複数の第一注文同士の値幅、及び/又は、複数の第二注文同士の値幅としての注文値幅と、1の第一注文と該第一注文に対応する1の第二注文との利益値幅と、をそれぞれ同一に設定する「注文値幅・利益値幅設定手段」としての機能を備える。
【0041】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を取引者のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、取引者の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。後述する通り、この実施の形態1において約定が成立すると、外国為替の売買が行われ、その結果、約定情報生成部14の指示に基づいて、口座情報生成部15が売買額に応じて証拠金情報(後述)を変換し、更に、入出金情報生成部13が入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載する。また、約定情報生成部14は、約定が成立すると、クライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、また、売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う。
【0042】
口座情報生成部15は、取引者の預金残高情報を生成し、当該預金残高情報を証拠金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)を管理する機能を有する。なお、口座情報生成部15において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、取引者の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
【0043】
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
【0044】
データベース18は、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態1におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、注文テーブル181、取引者の口座が存在する金融機関、口座名、残高等の情報を定義する顧客口座情報テーブル182、取引される通貨の組合せ等に関する情報を定義する通貨ペア注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184が記録されている。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。注文テーブル181の詳細については後述する。
【0045】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22にされる画像データを作成し、作成した画像データをクライアント端末2に送信する。
【0046】
価格情報受信管理部19は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の価格についての情報を取得し、取得した情報に対し、データ処理部10にて用いるために必要な処理と管理を行う。この実施の形態1においては、価格情報受信管理部19は外為の相場価格の情報を定期的に取得し、記録し管理する。
【0047】
なお図示しないが、金融商品取引管理装置1は日時の情報を取得し管理するタイマと、このタイマから取得された日時の情報に基づいて第一注文、第二注文、逆指値注文の有効期限の管理を行う期限管理手段とを有する。
【0048】
図2は注文テーブル181のフィールド定義の模式図である。この図に示す通り、注文テーブル181は項目数分のフィールドを有し、フィールドの名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。
【0049】
[注文の種類]
この実施の形態1においては、注文情報生成部16は、生成する注文情報に基づいて、後述する各種の取引形態における第一注文や第二注文を、どのような種類の注文によって行うこともできる。具体的には、例えば、注文情報生成部16は、成行注文、指値注文、逆指値注文の何れかによって第一注文や第二注文を行うように、注文情報を生成できる。
【0050】
より具体的には、例えば、注文情報生成部16は、指値注文によって、相場価格が特定の注文価格に一致したときに約定するように注文情報を生成することができる。同様に、注文情報生成部16は、逆指値注文によって、相場価格が特定の注文価格に一致したときに約定するように注文情報を生成することができる。さらには、注文情報生成部16は、相場価格が特定の価格に至ったときに成行注文を発注して、その特定の価格に同一又は近似した価格で約定するように構成した成行注文(以下単に「トリガ成行」と称する。)を行うように、注文情報を生成することもできる。
【0051】
また、注文情報生成部16は、同様に、後述する各種の取引形態における第一注文や第二注文を、指値注文によって行わせたり、逆指値注文によって行わせたり(例えば、相場価格が、第一注文や第二注文の約定価格を一旦越えて下落(又は上昇)し、再び上昇(又は下落)して再び約定価格に一致したときに約定させる構成が考えられる。)、トリガ成行によって行わせたりするように、注文情報を生成することができる。また、注文情報生成部16は、第一注文と第二注文を、異なる種類の注文の組み合わせ(例えば第一注文が成行注文で第二注文が指値注文の組み合わせ)によって構成されるように注文情報を生成することもできる。
【0052】
なお、この実施の形態1においては、注文情報生成部16は、後述する各種の取引形態における第一注文や第二注文のうち一方又は双方が、相場の変動に追随して約定価格が変動するトレール機能を持つように注文情報を生成させることができる。
【0053】
また、この実施の形態1においては、注文情報生成部16は、後述する各種の取引形態における第一注文や第二注文のうち一方又は双方が、買い注文と売り注文とが約定した後に、買い注文と売り注文との順番が逆になるように(例えば、買いの第一注文と売りの第二注文とが発注と約定とをした後、売りの第一注文と買いの第二注文とが発注と約定とをし、その後、買いの第一注文と売りの第二注文とが発注と約定とをし・・・等)注文情報を生成させることができる。
【0054】
また、この実施の形態1においては、注文情報生成部16は、後述する各種の取引形態における第一注文や第二注文の他に、相場の急激な下落又は急激な上昇による大幅な損失を抑止させるための注文である、ストップロス注文(逆指値注文)を生成することができる(後述の[発明の実施の形態2]に記載。図13図15参照。)。このストップロス注文は、それぞれの注文ごとにストップロス注文を設定することもできるし、又は、それぞれの第一注文やそれぞれの第二注文ごとに設定することもできるし、全ての注文、あるいは、全ての第一注文や全ての第二注文に対して一のストップロス注文を設定することもできる。また、ストップロス注文が約定した場合、その後の全ての注文や全ての第一注文及び第二注文の取引がキャンセルされる(取引が強制的に終了される)ように構成されていてもよいし、条件つきで一部又は全ての取引が継続するように構成されていてもよい。このストップロス注文は、後述する[発明の実施の形態2]の注文入力画面100(図11参照)に示すストップロス選択ボタン118やストップロス価格入力欄119を、後述するこの実施の形態1の注文入力画面100(図4図5参照)に表示させて、クライアント端末2の利用者の手動操作によって設定させることもできる。
【0055】
また、この実施の形態1においては、相場価格の変動や特定の注文の約定を基準に、既に発注済の注文や発注予定の注文の注文価格よりも高値側や安値側に新たな注文価格の注文を発注させたり、相場価格の変動方向側から最も離れた注文価格である発注済の注文や発注予定の注文を消去させたりする、「シフト機能」を設けてもよい(この「シフト機能」については後述する。図10参照。)。
【0056】
[この実施の形態1における取引形態について]
この実施の形態1においては、金融商品取引管理システム1Aを以下に示す取引方法に適用する場合を一例として示す。ただし、この実施の形態1においては、金融商品取引管理システム1Aは、他のいかなる取引方法に適用されてもよい。
【0057】
この実施の形態1において、金融商品取引管理システム1Aは「らくトラ」という取引方法に適用され、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16は「らくトラ」による取引を行うための注文情報を生成する。
【0058】
この「らくトラ」とは、所定の上限価格や所定の下限価格との間に設定される価格範囲、あるいは、上限価格や下限価格を基準に設定される価格範囲に、以下に示す「トラップリピートイフダン」としての取引を行うための第一注文や第二注文を設定する注文方法である。
【0059】
ここで、「らくトラ」において実現される「トラップリピートイフダン」とは、同一種類の複数の金融商品を、第一注文と、第一注文の約定によって発注される第二注文と(イフダン注文)の組み合わせが複数存在し、第一注文同士の値幅と第二注文同士の値幅が一定であり、それぞれの第一注文と対応するそれぞれの第二注文との利幅(後述する「利益金額」のこと。)が一定であるように設定され、第一注文とそれに対応する第二注文とが約定すると、約定した第一注文に対応する新たな第一注文と約定した第二注文に対応する新たな第二注文とによるイフダン注文が繰り返される取引のことである(以下この注文形態を単に「トラップリピートイフダン」と称する。)。
【0060】
この実施の形態1において、注文情報生成部16は、この「トラップリピートイフダン」を「らくトラ」によって実現するための注文情報を生成する。すなわち、注文情報生成部16は、所定の上限価格や所定の下限価格との間に設定される価格範囲、あるいは、上限価格や下限価格を基準に設定される価格範囲に、第一注文や第二注文による取引を行なうための注文情報を生成する。
【0061】
なお、上限価格と下限価格は同一価格であってもよい。この場合、注文情報生成部16は、トラップ本数が1つ、つまり、1つの注文価格の第一注文と1つの注文価格の第二注文により取引を行なうための第一注文情報と第二注文情報を生成することになる。
【0062】
この実施の形態1において、「らくトラ」を実現するための上限価格や下限価格は、例えば、注文情報生成部16が、取引者によって入力された数値によって設定したり、注文情報生成部16が、所定期間の相場価格の最高価格と最低価格とに基づいて所定の演算によって設定されたりという方法が考えられる。
【0063】
また、例えば、「らくトラ」を実現するための上限価格や下限価格は、注文情報生成部16が注文情報を生成する際の相場価格に基づいて設定されてもよい。この場合の相場価格は、確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)がクリックされた瞬間の相場価格であってもよいし、注文入力画面100の確認ボタン115がクリックされた瞬間の相場価格であってもよいし、注文情報によって双方のボタンがクリックされた瞬間の相場価格が別個に適用されてもよい(例えば、1回目に生成される注文情報群18100(後述)を構成する際の上限価格や下限価格は注文入力画面100の確認ボタン115がクリックされた瞬間の相場価格であり、2回目以降に生成される注文情報群18100(後述)を構成する際の上限価格や下限価格は確認画面(図示せず)の実行ボタン(図示せず)がクリックされた瞬間の相場価格であるように構成されてもよい。)。また、上述の構成以外のどのような方法で、上限価格や下限価格が設定されてもよい。
【0064】
また、「らくトラ」を実現する価格範囲は、たとえば、注文情報生成部16が、取引者によって入力された、上限価格と価格範囲、下限価格と価格範囲、のような数値によって設定したり、注文情報生成部16が、所定期間の相場価格の変動範囲に基づいて所定の演算によって設定したりする方法が考えられる。これ以外にも、どのような方法で設定されてもよい。
【0065】
この「らくトラ」においてそれぞれの第一注文や第二注文の注文価格を設定する手順としては、例えば、注文情報生成部16は、価格範囲の上限価格や下限価格に「トラップトレード」の最高値の注文価格や最安値の注文価格が一致するようにそれぞれの注文の注文価格を設定したり、価格範囲の中央の値を全ての注文価格の平均値に一致するようにそれぞれの注文価格を設定したりすることが考えられる。
【0066】
また、例えば「らくトラ」においてそれぞれの注文価格を設定する手順として、注文情報生成部16は、価格範囲の上限価格や下限価格に「トラップリピートイフダン」の最高値の第一注文の注文価格、あるいは最高値の第二注文の注文価格や、最安値の第一注文の注文価格、あるいは最安値の第二注文の注文価格が一致するようにそれぞれの第一注文や第二注文の注文価格を設定したり、価格範囲の下限価格に最安値の第一注文の注文価格が一致し、上限価格に最高値の第二注文の注文価格が一致するようにそれぞれの第一注文や第二注文の注文価格を設定したりすることが考えられる。
【0067】
さらに、例えば「らくトラ」においてそれぞれの注文価格を設定する手順として、注文情報生成部16は、価格範囲の中央の値を全ての第一注文の注文価格の平均値に一致するようにそれぞれの第一注文の注文価格を設定したり、価格範囲の中央の値を全ての第一注文の注文価格の平均値に一致するようにそれぞれの第二注文の注文価格を設定したりすることが考えられる。
【0068】
なお、この実施の形態1の「らくトラ」において実現されるこの実施の形態1の「トラップリピートイフダン」も、上述の態様以外のさまざまなバリエーションが考えられる。
【0069】
例えば、「トラップリピートイフダン」のバリエーションとして、注文情報生成部16が生成する注文情報による金融商品同士の値幅は常に一定である必要はなく、特定の注文、例えば最高値の第一注文とその一つ安値側の第一注文との値幅、あるいは最高値の第二注文とその一つ安値側の第二注文との値幅や、最安値の第一注文とその一つ高値側の第一注文との値幅、あるいは最安値の第二注文とその一つ高値側の第二注文との値幅が、他の注文価格の第一注文同士の一定の値幅とは異なるものであってもよいし、最高値の第一注文と最高値から2番目の第一注文、最高値から3番目の第一注文と4番目の第一注文・・・、あるいは最高値の第二注文と最高値から2番目の第二注文、最高値から3番目の第二注文と4番目の第二注文・・・のように、所定の第一注文の組同士だけや所定の第二注文の組同士だけが等しい値幅になっているような構成であってもよい。
【0070】
また、例えば、「トラップリピートイフダン」のバリエーションとして、特定の第一注文とこの第一注文に対応する第二注文とがそれぞれ約定した後に表れる、注文情報生成部16が生成する注文情報による新たな第一注文と新たな第二注文とが、元の第一注文の注文金額や注文価格と同一である必要はない。例えば、特定の第一注文と特定の第二注文とが約定した後に、新たな第一注文と新たな第二注文とが、元の第一注文の注文価格や元の第二注文の注文価格よりも所定価格(例えばそれぞれ0.1円ずつ)高値側(又は安値側)に変動した価格で発注されたり、新たな第一注文と新たな第二注文とが、元の第一注文や元の第二注文の注文数量よりも所定の注文数量(例えば0.1通貨単位)だけ増加(又は減少)した注文数量で発注されたりしてもよい。
【0071】
また、例えば、「トラップリピートイフダン」のバリエーションとして、相場価格の変動等に伴い、特定の第一注文とこの第一注文に対応する第二注文とがそれぞれ約定した後に、注文情報生成部16が生成する注文情報により、相場の変動方向に新たな第一注文と新たな第二注文とが発注されるように構成されるように構成されてもよい。
【0072】
さらに、例えば、「トラップリピートイフダン」のバリエーションとして、相場価格の変動に伴い、最高値の第一注文と最高値の第二注文とが約定した後に、注文情報生成部16は、最高値の第一注文よりも高値側に新たな第一注文が発注され、最高値の第二注文よりも高値側に新たな第二注文が発注されるように新たな注文情報を生成するように構成されていてもよい。なお、この場合、新たに生成される第一注文と元の最高値の第一注文との値幅や、新たに生成される第二注文と元の最高値の第二注文との値幅は、元の第一注文同士の値幅や元の第二注文同士の値幅と同一であってもよいし、異なる値幅(例えば直近の所定期間における相場の変動に基づいて所定の演算によって算出された値幅)であってもよい。また、新たに生成される第一注文と新たに生成される第二注文との利幅は、元の第一注文と元の第二注文との利幅と同一でも異なるものでもよい。
【0073】
また、この実施の形態1の「らくトラ」において実現される「トラップリピートイフダン」が、複数の注文価格に設定された複数の第一注文や、複数の注文価格に設定された複数の第二注文が1回のイフダン注文を実現するように構成される注文方法(以下これを「トラップトレード」と称する。)や、1の注文価格の第一注文と1の注文価格の第二注文とによって行われるイフダン注文が繰り返される注文方法(以下これを「リピートイフダン」と称する。)の態様であってもよい。
【0074】
なお、この実施の形態1において「トラップトレード」を実現させる際、金融商品同士の値幅は常に一定である必要はなく、特定の注文、例えば最高値の注文とその一つ安値側の注文との値幅や、最安値の注文とその一つ高値側の注文との値幅が、他の注文価格の注文同士の一定の値幅とは異なるものであってもよいし、最高値の注文と最高値から2番目の注文、最高値から3番目の注文と4番目の注文・・・のように、所定の注文の組同士だけが等しい値幅になっているような構成であってもよい。
【0075】
また、この実施の形態1において「リピートイフダン」を実現させる際、第一注文と第二注文の注文価格は常に同一である必要はなく、第一注文と第二注文とを繰り返すたびに注文価格が所定の規則性により、あるいはランダムに変化する構成であってもよいし、取引開始後の相場価格の上昇や下落を基準に第一注文や第二注文の注文価格が変動する構成であってもよい。
【0076】
なお、上述の「らくトラ」によって実現される「トラップリピートイフダン」、あるいは「トラップトレード」「リピートイフダン」において、注文価格ごとの注文や第一注文や第二注文の注文数量は、原則として注文発注から約定まで同一であり、以下は、そのような注文数量で取引が行われる場合について説明する。ただし、この実施の形態1において、注文数量は注文発注から約定までの間に変動してもよい(例えば、発注時の注文金額が「1000」だったものが、相場の変動と共に注文金額が変動し、約定時の注文金額が「1100」になるようなものであってもよい)。
【0077】
[処理手順(注文情報の生成)]
図3は、この実施の形態1の金融商品取引管理装置1の処理手順を示すフローチャートである。以下、同フローチャートを用いてこの実施の形態1の処理手順について説明する。
【0078】
ここで、注文情報の生成とは、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおいて金融商品の注文の発注や約定を行うためのデータを形成することをいう。そして、後述するように、この実施の形態1においては、これらの注文情報に基づいて注文の発注や約定が行われる。
【0079】
[ステップS1(1):注文入力画面の表示]
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末2を用いて金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末2の表示部22に、図4の(a)や(b)(及び図5の(a)や(b))に示す注文入力画面100を表示させる。
【0080】
図4の(a)や(b)に示す注文入力画面100には、「トラップリピートイフダン」による取引(ここでは、「らくトラ」注文による取引を含む。)を選択するためのトラリピ注文選択ボタン101、「トラップリピートイフダン」以外による取引のための注文(以下これを「通常注文」と称する。)を選択するための通常注文選択ボタン102、売買を行う通貨の組を選択するための通貨ペア選択ボタン103が表示されている。
【0081】
また、注文入力画面100には、第一注文(新規注文)として買い注文・売り注文のいずれかを選択するための売買種類選択ボタン104、複数の注文価格に設定される第一注文同士や第二注文同士の値幅としての「トラップ値幅」を設定する(「通常注文」としての注文を指定する。)トラップ値幅指定ボタン105、「らくトラ」注文の下限価格を設定する下限価格入力欄106a、上限価格を設定する上限価格入力欄106b、「注文金額(後述)」を設定する注文金額設定ボタン107が表示されている。
【0082】
また、注文入力画面100には、異なる注文価格に設定される複数の第一注文の本数や複数の第二注文の本数としての「トラップ本数」を設定するためのトラップ本数設定ボタン108、演算の結果設定された「トラップ値幅」が表示されるトラップ値幅表示欄109が表示されている。
【0083】
図4の(a)において、トラップ値幅表示欄109には、上限価格を設定する上限価格入力欄106bに入力された上限価格(図4の(a)では110.000(円))の数値から下限価格入力欄106aに入力された下限価格(図4の(a)では100.000(円))の数値を引いた数値である10.000(円)(この数値が、第一注文や第二注文が設定される価格帯としての注文価格帯(以下単に「注文価格帯」と称する。))を、トラップ本数設定ボタン108に入力された「トラップ本数」の数値から1を引いた値(図4の(a)では21(本)-1=20)で割った値、つまり、10.000÷20=0.500(円)が「トラップ値幅」として表示された状態を示している。このトラップ値幅表示欄109に表示された「トラップ値幅」は、上限価格入力欄106bに入力された上限価格の数値、下限価格入力欄106aに入力された下限価格の数値、トラップ本数設定ボタン108に入力された「トラップ本数」の数値が注文情報生成部16に送られ、注文情報生成部16が演算した結果である。
【0084】
また、注文入力画面100には、「利益値幅(後述)」の入力による注文設定を選択するための利益値幅入力選択ボタン110、「利益値幅(後述)」を入力したり表示させたりするための利益値幅入力表示欄111が表示されている。この、利益値幅入力表示欄111において入力された利益値幅の値は、利益値幅を設定させるため「利益値幅設定情報」となる。また、利益値幅入力表示欄111において入力された利益値幅の値は、既に設定された一の前記利益値幅を他の前記利益値幅に変更させるための「利益値幅変更情報」となる。
【0085】
また、注文入力画面100には、「利益金額(後述)」の入力による注文設定を選択するための利益金額入力選択ボタン112、「利益金額(後述)」を入力したり表示させたりするための利益金額入力表示欄113が表示されている。この利益金額入力表示欄113において入力された利益金額の値は、利益金額を設定させるため「利益金額設定情報」となる。また、利益金額入力表示欄113において入力された利益金額の値は、既に設定された一の利益金額を他の利益金額に変更させるための「利益金額変更情報」となる。さらに、注文入力画面100には、各入力欄103~113に入力された注文の種類や数値によって「トラップリピートイフダン」による取引を行なった場合のリスクの試算を演算によって行わせるためのリスク試算実行ボタン114、各入力欄103~113に入力された注文の数値や種類によって取引を行なうための最終確認表示画面(図示せず)を表示させる確認ボタン115が表示されている。
【0086】
クライアント端末2の利用者は、この注文入力画面100に必要な数値の入力や選択を行い、確認画面(図示せず)で、生成される予定の注文の内容を確認する(ステップS1)。
【0087】
図4の(a)においては、トラリピ注文選択ボタン101が選択され、通貨ペア選択ボタン103において米国ドル/日本円の通貨ペアが選択され、売買種類選択ボタン104において第一注文として買い注文が選択され、下限価格入力欄106aに100.000円が入力され、上限価格入力欄106bに110.000円が入力され、注文金額設定ボタン107にて0.5万円(つまり5千円)が設定され、トラップ本数設定ボタン108にて21本が設定され、トラップ値幅表示欄109に0.500が表示され、利益値幅入力選択ボタン110が選択され、利益値幅入力表示欄111に0.500が入力され、利益金額入力選択ボタン112が未選択で、利益金額入力表示欄113に2,500円が表示された状態が示されている。
【0088】
図4の(a)に示す状態でリスク試算実行ボタン114がクリックされると、各入力欄や選択欄に入力された数値や選択された注文態様の情報が注文情報生成部16に送られ、注文情報生成部16はこれらの数値や注文態様に基づいた所定のリスク試算を行う。また、この状態で確認ボタン115がクリックされると、表示部23には確認画面(図示せず)が表示される。この確認画面(図示せず)には、各入力欄や選択欄に入力された数値や選択された注文態様に基づいて注文情報生成部16において行われた演算の結果である、それぞれの第一注文や第二注文の注文情報の全体又は一部(例えばそれぞれの注文情報の注文価格と注文金額など。)を表示させる。そして、確認画面(図示せず)の実行ボタン(図示せず)をクリックすると、注文情報生成部16は、後述するステップS2~S10の処理ののちに確認画面(図示せず)に表示された注文情報を生成することになる。そして、金融商品取引管理装置1は、生成された注文情報に基づく第一注文と第二注文による取引を開始することになる。
【0089】
[ステップS1(2):注文金額と利益金額と利益値幅]
この実施の形態1における「注文金額」とは、第一注文や第二注文の1本あたりの注文量のことである。
【0090】
また、この実施の形態1における「利益金額」とは、第一注文(新規注文)の1回の取引と、それに対応する第二注文(決済注文)の1回の取引とが成立するごとに得られる利益の金額のことである。
【0091】
また、この実施の形態1における「利益値幅」とは、1本の第一注文に対する1本の第二注文において狙う値上がりや値下がりの幅のことである。
【0092】
そして、この実施の形態1において、「注文金額」「利益金額」「利益値幅」の間には、下記式(1)及び式(2)に示す関係が存在する。
利益金額=注文金額×利益値幅(ただし小数点以下は四捨五入)・・・式(1)
利益値幅=利益金額÷注文金額(ただし小数点以下は四捨五入)・・・式(2)
この実施の形態1の注文情報生成部16は、上記式(1)や上記式(2)に基づいて演算を行うことで第一注文や第二注文の取引を行なうための注文情報を生成する。
【0093】
これを具体例として示す。たとえば、図6の(a)に模式的に示すチャートにおいて、1ドル100.00円に設定された買い注文の第一注文が1本1000ドル、1ドル101.00円に設定された売り注文の第二注文が1本1000ドルであり、第一注文と第二注文とがイフダン注文による取引を行なうものとして設定されている場合を考える。そしてこの場合、1本の第一注文の約定に対して1本の第二注文の約定によって1000円の利益が出るものとする。また、1本の第一注文に対する1本の第二注文の値上がりの幅は1円である。
【0094】
このときの「注文金額」は1000ドルである。
また、「利益金額」は、上記式(1)により、
利益金額=1000(注文金額)×1(利益値幅)=1000(円)
である。
また、「利益値幅」は、上記式(2)により、
利益値幅=1000(利益金額)÷1000(注文金額)=1(円)
である。
【0095】
[ステップS1(3):注文入力画面への入力と注文情報生成部の演算]
この実施の形態1において、フロントページ配信部11は、注文入力画面100に入力された選択情報に基づいて、入力できる情報が限定された注文入力画面100をクライアント端末2に送信して表示部23に表示させる。また、注文情報生成部16は、注文入力画面100における入力できる情報の限定等の条件に基づいて、所定の数値を固定値として扱った状態での演算を行う。
【0096】
[ステップS1(4):演算態様1]
例えば、注文入力画面100において利益値幅入力選択ボタン110が選択された場合、フロントページ配信部11は、図4の(a)に示すように利益値幅入力表示欄111に利益値幅の数値を入力できる一方、利益金額入力表示欄113に数値を入力できない態様の画面を表示する。なお、この状態で、利益金額入力表示欄113には、演算の結果算出された利益金額の数値が表示される。
【0097】
このとき、クライアント端末2の利用者が、注文金額設定ボタン107に注文金額の数値を入力したり、すでに注文金額設定ボタン107に入力された注文金額の数値を変更したりした場合、注文情報生成部16の演算によって、すでに利益値幅入力表示欄111に利益値幅の数値が入力されているときにはこの利益値幅の数値が自動的に変動されることはない一方、利益金額入力表示欄113に表示された利益金額の数値が自動的に変動される。
【0098】
具体的には、この実施の形態1において、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16は、利益金額、注文金額、利益値幅、について、下記式(1)の演算で算出する。
利益金額=注文金額×利益値幅(ただし小数点以下は四捨五入)・・・式(1)
そして、上記の注文入力画面100においては、注文情報生成部16が上記式(1)の演算を行うにあたり、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅を固定値とし、利益金額入力表示欄113に表示される利益金額を上記式(1)の演算によって演算された変動値とする。
【0099】
一方、上記の注文入力画面100において、クライアント端末2の利用者が、注文金額設定ボタン107に入力された注文金額の数値を変更させず、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅の数値を変更させた場合、注文情報生成部16は変更された利益値幅に基づいて再度式(1)の演算を行い、演算の結果として、利益金額入力表示欄113には、上記式(1)に演算によって算出された利益金額の値が表示される。
【0100】
このようにすることで、この実施の形態1においては、クライアント端末2の利用者が注文入力画面100に注文金額の数値や利益値幅の数値を入力することによって、利益金額を演算によって算出できる。この場合、クライアント端末2の表示部23には利益値幅入力表示欄111に利益値幅を入力して表示させる構成が存在し、利用者が数値を変更させない限りは利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅の数値は変更されずに上記式(1)の演算が行われることにより、利用者は、利益値幅の数値を意識した状態で、第一注文と第二注文の取引による利益金額を算出することができる。また、利用者は、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅の数値を変更して注文情報生成部16に演算を行わせることを繰り返しながら、自分の所望する利益値幅や利益金額を得られる第一注文と第二注文の注文価格を設定し、第一注文と第二注文による取引を行なうことが可能となる。
【0101】
[ステップS1(5):演算態様2]
また例えば、図5の(a)に示すとおり、注文入力画面100において利益金額入力選択ボタン112が選択された場合、フロントページ配信部11は、利益金額入力表示欄113に利益値幅の数値を入力できる一方、利益値幅入力表示欄111に数値を入力できない態様の画面を表示する。なお、この状態で、利益値幅入力表示欄111には、演算の結果算出された利益値幅の数値が表示される。
【0102】
このとき、クライアント端末2の利用者が、注文金額設定ボタン107に注文金額の数値を入力したり、すでに注文金額設定ボタン107に入力された注文金額の数値を変更したりした場合、注文情報生成部16の演算によって、すでに利益金額入力表示欄113に利益金額の数値が入力されているときにはこの利益金額の数値が自動的に変動されることはない一方、利益値幅入力表示欄111に表示された利益値幅の数値が自動的に変動される。
【0103】
この場合、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16は、利益金額、注文金額、利益値幅、について、下記式(2)の演算で算出する。
利益値幅=利益金額÷注文金額(ただし小数点以下は四捨五入)・・・式(2)
そして、上記の注文入力画面100においては、注文情報生成部16が上記式(2)の演算を行うにあたり、利益金額入力表示欄113に入力された利益金額を固定値とし、利益値幅入力表示欄111に表示される利益値幅を上記式(2)の演算によって演算された変動値とする。
【0104】
一方、上記の注文入力画面100において、クライアント端末2の利用者が、注文金額設定ボタン107にて選択された注文金額の数値を変更させず、利益金額入力表示欄113に入力された利益金額の数値を変更させた場合、注文情報生成部16は変更された利益金額に基づいて再度式(2)の演算を行い、演算の結果として、利益値幅入力表示欄111には、上記式(2)に演算によって算出された利益値幅の値が表示される。
【0105】
このようにすることで、この実施の形態1においては、クライアント端末2の利用者が注文入力画面100に注文金額の数値や利益金額の数値を入力することによって、利益値幅を演算によって算出できる。この場合、クライアント端末2の表示部23には利益金額入力表示欄113に利益金額を入力して表示させる構成が存在し、利用者が数値を変更させない限りは利益金額入力表示欄113に入力された利益金額の数値は変更されずに上記式(2)の演算が行われることにより、利用者は、利益金額の数値を意識した状態で、第一注文と第二注文の取引による利益値幅を算出することができる。また、利用者は、利益金額入力表示欄113に入力された利益金額の数値を変更して注文情報生成部16に演算を行わせることを繰り返しながら、自分の所望する利益値幅や利益金額を得られる第一注文と第二注文の注文価格を設定し、第一注文と第二注文による取引を行なうことが可能となる。
【0106】
[ステップS1(6):注文入力画面の上記構成による作用効果]
この実施の形態1では、注文入力画面100において、[演算態様1][演算態様2]を選択可能な画面構成とすることで、第一注文や第二注文の設定を、複数のバリエーションを持たせて提供することが可能となる。これにより、利用者が所望する、利用者が利益獲得の可能性が高いと考える容易に行うことのできる取引態様を複数提示し、利用者の利便性を向上させることができる。
【0107】
また、この実施の形態1では、図4の(a)に示すように、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅を固定値とし、利益金額入力表示欄113に表示される利益金額を変動値として表示して、注文情報生成部16が上記式(1)や式(2)に示す演算を行うことにより、利用者に利益値幅を入力させ、入力させた利益値幅を表示させた状態で、演算によって第一注文や第二注文の注文金額等を設定できるので、利用者に、利益値幅を意識した第一注文や第二注文の設定を行わせ、利用者が所望する、利用者が利益獲得の可能性が高いと考える容易に行うことのできる取引態様での注文の設定を容易に行わせることが可能となる。
【0108】
さらに、この実施の形態1では、利用者が、注文金額設定ボタン107にて設定された注文金額の数値を変更させず、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅の数値を変更させた場合、注文情報生成部16は変更された利益値幅に基づいて再度式(1)や式(2)の演算を行い、演算の結果として、利益金額入力表示欄113には、上記式(1)や式(2)に演算によって算出された利益金額の値が表示されることにより、利用者は、利益値幅入力表示欄111に入力された利益値幅の値を変更する試行錯誤により第一注文や第二注文を設定することができるので、利用者が、利益値幅に基づいて第一注文や第二注文の設定を行うことで、利用者が所望する第一注文や第二注文の設定を行いやすい場合に、利用者の利便性の高い金融商品取引管理システム1Aを提供できる。
【0109】
特に、例えば利用者が日本人で取引通貨が日本国以外の通貨同士(例えばオーストラリアドルとニュージーランドドル)である場合のような、金融商品の1回の売買によってどの程度の利益が得られるのかを利用者が感覚的に把握することが難しいような場合、この実施の形態1の図4の(a)や(b)に示す注文入力画面100(あるいは図5の(a)や(b)に示す注文入力画面100)において、注文情報生成部16が[演算態様1]に示すような演算を行い、演算結果を注文入力画面100に示すことで、利用者にとって馴染みの薄い通貨同士の取引においても、画面上に入力した注文金額や利益値幅の値によって、1回の売買でどの程度の利益を得ることができるのかを利用者が感覚的に把握しやすくなり、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0110】
[ステップS1(7):トラップ値幅と利益値幅とのデフォルト値の関係]
この実施の形態1において、注文情報生成部16は、トラップ値幅と利益値幅のデフォルト値を同一値として算出するように設定されている。
【0111】
具体的には、例えば、図4の(a)に示す注文入力画面100において、下限価格入力欄106aと上限価格入力欄106bとトラップ本数設定ボタン108への数値の入力に基づいて、注文情報生成部16がトラップ値幅の演算を行うが、このとき、注文情報生成部16は、トラップ値幅と利益値幅のデフォルト値を同一値として算出する。そして、注文情報生成部16は、図4の(a)に示すように、利益値幅入力表示欄111に、トラップ値幅表示欄109に表示されたトラップ値幅の値(図4の(a)では0.500(千円))同一額である500(円)が、デフォルトの利益値幅として表示された状態が示されている。
【0112】
そして、クライアント端末2の利用者が、デフォルトの利益値幅を変更したい場合、利用者は、注文入力画面100の利益値幅入力表示欄111に表示されたデフォルトの利益値幅の数値を、所望の利益値幅の数値に変更する。この状態で、利用者が注文入力画面100の確認ボタン115をクリックすると、注文情報生成部16は利益値幅入力表示欄111に新たに入力された利益値幅の数値を用いて上記式(1)によって演算を行い、利益金額を算出する。そして、注文入力画面100の利益金額入力表示欄113には、上記式(1)によって新たに算出された利益金額が表示される。
【0113】
このように、この実施の形態1においては、トラップ値幅と利益値幅のデフォルト値を同一値として算出することにより、利用者が、トラップ値幅と利益値幅の数値を混同することなく、容易に把握することが可能となる。また、この実施の形態1においては、利用者によるクライアント端末2の操作によって、利益値幅入力表示欄111に表示されたデフォルトの利益値幅の数値を、所望の利益値幅の数値に変更することができるので、利用者は、利益値幅を自由に変更させながら所望の利益値幅や利益金額にて第一注文や第二注文の設定を行い、取引を行なうことが可能となる。
【0114】
[ステップS1(8):利益値幅の変更と、利益金額の変更の具体例]
図6及び図7に、利益値幅を変更した場合のチャートを模式的に示す。
図6は、図4に示す注文入力画面100の状態で注文情報生成部16が注文情報を生成して取引を行なう場合を模式的に示した図である。
【0115】
図6の(a)は、図4の(a)に示す状態で注文入力画面100に数値入力や選択が行われた状態で生成された注文情報に基づいて、第一注文や第二注文の取引を行う場合のチャートを模式的に示したものである。
【0116】
図6の(b)は、図4の(b)に示す状態で注文入力画面100に数値入力や選択が行われた状態で生成された注文情報に基づいて、第一注文や第二注文の取引を行う場合のチャートを模式的に示したものである。
【0117】
図4に示す注文入力画面100で、図4の(a)から図4の(b)に示すように、注文金額設定ボタン107による注文金額の変更を行うと、設定される注文は図6の(a)から図6の(b)に示す状態に変化する。すなわち、利益値幅は一定で、利益金額が変更された状態でそれぞれの注文が設定されることになる。
【0118】
一方、図7は、図5に示す注文入力画面100の状態で注文情報生成部16が注文情報を生成して取引を行なう場合を模式的に示した図である。
【0119】
図7の(a)は、図5の(a)に示す状態で注文入力画面100に数値入力や選択が行われた状態で生成された注文情報に基づいて、第一注文や第二注文の取引を行う場合のチャートを模式的に示したものである。
【0120】
図7の(b)は、図5の(b)に示す状態で注文入力画面100に数値入力や選択が行われた状態で生成された注文情報に基づいて、第一注文や第二注文の取引を行う場合のチャートを模式的に示したものである。
【0121】
図5に示す注文入力画面100で、図5の(a)から図5の(b)に示すように、利益金額入力表示欄113による利益金額の変更を行うと、設定される注文は図7の(a)から図7の(b)に示す状態に変化する。すなわち、利益金額は一定で、利益値幅が変更された状態でそれぞれの注文が設定されることになる。
【0122】
このように、注文入力画面100の設定と入力する数値等を変化させることにより、金融商品取引管理システム1Aの利用者は、多様な方法で簡易に所望の注文情報の設定を行うことが可能となる。
【0123】
[ステップS2~S10の手順]
図4の(a)及び(b)、又は図5の(a)及び(b)に示す状態で、クライアント端末2の利用者が確認ボタン115をクリックすると、注文入力画面100において入力・選択されたデータが第一の金融商品取引管理装置1に供給される。第一の金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、入力された注文の内容を確認する。さらに、注文入力受付部12は、それぞれの注文価格について検査を行う(ステップS2)。
【0124】
具体的には、例えば、注文入力受付部12は、選択された金融商品について、下限価格入力欄106aと上限価格入力欄106bとの間の注文価格帯や、利益値幅入力表示欄111に入力又は表示された数値の価格に基づいて取引を行えば利益が得られるか否かを所定の演算に基づいて確認する。また例えば、注文入力受付部12は、選択された金融商品の、現在の相場価格と、注文入力画面52から入力された、注文の基準となる価格とを比較し、確認ボタン115や注文ボタン(図示せず)がクリックされた時点の相場の実勢価格に対し、この基準となる価格が低いか否か(又は高いか否か)等を確認する構成であってもよい。また、例えば、注文入力受付部12は、第一注文が買い注文の場合には第一注文の希望する約定価格が確認ボタン115や注文ボタン(図示せず)がクリックされた時点の相場の実勢価格よりも低いか否かを確認したり、第二注文の希望する約定価格が実勢第一注文の希望する約定価格よりも高いか否かを確認するように構成してもよい。
【0125】
ステップS2での確認の結果、入力された価格が適正である場合(例えば、注文入力受付部12に、その入力価格に基づいて取引を行えば利益が得られる場合のみ適正であるという設定がされている場合には、その設定が満たされた場合)、注文入力受付部12は、入力された価格は適正価格であると判断する。
【0126】
買い注文の価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の資金情報を取得する。
【0127】
注文入力受付部12は、取得された資金情報と顧客の注文総額とを対比し、資金の額が注文許容額以上であるか否かを確認する。
【0128】
ここで、「注文許容額」とは、注文に必要な金額のことである(本明細書において同じ)。
【0129】
注文情報生成部16は、資金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、後述する「注文情報」や、「注文情報」を含む「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみに注文を受け付けることができる。
【0130】
資金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述したもの以外の注文の各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
【0131】
注文の各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0132】
注文の各種条件を満たしている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述の注文に必要な条件を全て満たしているものと判定された場合、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、確認画面(図示せず)がポップアップ表示させる。この確認画面(図示せず)においては、注文入力画面100において入力された数値や選択された条件等に基づいて生成される注文の内容が表示される。
【0133】
この状態で利用者が確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)をクリックすると、注文情報生成部16は、ステップS1において注文入力画面100に入力され、クライアント端末2から金融商品取引管理装置1に送信された情報に基づいて注文情報を生成する(ステップS8)。
【0134】
具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。なおこのとき、シーケンス番号テーブル184には、注文情報に使用されたシーケンス番号を未使用の番号と識別するための情報が付与される。一回のステップS8の手順にて生成される複数の注文情報は、同一種類の金融商品を第一注文価格(後述)にて注文する注文情報、及び第二注文価格(後述)にて注文する注文情報から成る注文情報群(以下単に「注文情報群」と称する。)を形成する。生成された注文情報や、注文情報に基づく注文は、注文情報生成部16の処理によりクライアント端末2の表示部22に表示されることになる。
【0135】
注文情報生成部16は、生成された注文情報群の情報を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。注文情報は、図2に示す各フィールドの定義に基づいて注文テーブル181に記録される。
【0136】
例えば、注文テーブル181の“ord_seq”フィールド181bは、ステップS8にて付与されたシーケンス番号の定義である(図8に示す注文番号181Aと同じ。)。“cust_seq”フィールド181cは顧客ごとに一意に定められた顧客番号の、“style_id”フィールド181dは商品名の定義である。“com_id”フィールド181eは金融商品毎に一意に定められたID番号の定義である。このID番号と金融商品との組合せはデータベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“ord_amnt”フィールド181fは注文数量入力欄56に入力された注文数量(あるいは、その数量に基づいて規定される株価指数等の数量でもよい。)の定義である。“buy_sell_id”フィールド181gには注文種類入力欄54で選択された売り注文、買い注文のいずれであるかを定義し、“ord_rate”フィールド181hには注文価格を定義し、“limit_time”フィールド181iには注文期限を定義する。“ord_cond”フィールド181jは売買選択欄53で選択された注文種別を定義する。“trail_range”フィールド181kはトレール幅([発明の実施の形態2]参照)を定義し、“through_range”フィールド181mはスルー値幅([発明の実施の形態2]参照。)を定義し、
“new_close”フィールド181nには新規注文、決済注文のいずれであるかを定義する。なお図2には図示しないが、注文テーブル181には、注文入力画面100に入力されたその他のデータを定義するフィールドも設けられる。これらのフィールドによって、注文入力画面52に入力されたデータは全て注文テーブル181に記録される。以上の手順より、この実施の形態1における注文の受け付け処理は完了する。
【0137】
なお、ステップS3において買い注文の価格、及び売り注文の価格のうち少なくとも何れか一方が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、又は、ステップS5において資金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受け付けを拒絶する(ステップS10)。この場合、注文情報(後述)は生成されず、クライアント端末2の表示部22には注文の受け付けが拒絶されたことを示す文字情報等が表示される。
【0138】
なお、注文入力画面100に入力された情報が金融商品取引管理装置1に送信されるタイミングは、確認ボタン115がクリックされた時でもよいし、あるいは確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)がクリックされた時でもよい。また、注文情報生成部16に送信される情報は、後述する第一注文情報や第二注文情報を各種演算によって生成することができる情報であれば、各入力欄・選択欄103~113に入力される情報以外のいかなる情報であってもよい。具体的には、例えば、注文が発注される期間や、期間内に獲得したい利益額や、取引に用いる資金の金額等であってもよい。
【0139】
また、ステップS8に示す注文情報の生成は、確認ボタン115や確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)がクリックされた際に全ての注文情報(や注文情報群)が一度に生成されてもよいし、第一注文や第二注文が発注される際に生成されてもよいし、第一注文や第二注文が繰り返して発注される場合には繰り返しの度に生成されてもよいし、第一注文価格(後述)や第二注文価格(後述)が変更されるタイミングで生成されてもよいし、その他どのようなタイミングで生成されてもよい。
【0140】
また、ステップS1~ステップS10の順序は、図3に示すもののみには限定されず、どのような順序であってもよい。さらにまた、確認ボタン115や確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)が利用者にクリックされるタイミングとステップS1~S10の処理が行われるタイミングとはどのようなものであってもよく、例えば、確認ボタン115や確認画面(図示せず)の注文ボタン(図示せず)がクリックされた後に、注文情報生成部16がステップS1~ステップS10の処理が行う構成であってもよい。
【0141】
さらに、ステップS1~ステップS10の処理のうち少なくとも一部は、クライアント端末2において行われるものでもよい。例えば、ステップS9において、注文情報生成部16が、生成された注文情報をクライアント端末2に送信し、クライアント端末2はこの注文情報をクライアント端末2に生成された注文テーブル(図示せず)に記録する構成等であってもよい。
【0142】
[注文情報や注文情報群の構成]
図8は、この実施の形態1においてクライアント端末2の表示部22に表示される、注文情報生成後の取引表示画面を模式的に示す図である。この取引表示画面24には、図4の(b)に示す注文入力画面100の態様で数値の入力や条件の選択が行われた状態で、注文情報生成部16によって生成された注文情報(第一注文情報と第二注文情報)及び注文情報群が示されている。これらの注文情報は、上述のステップS1~S10の手順によって生成されたものである。
【0143】
図8に示す、この実施の形態1に係る注文情報群18110は、第一注文(新規注文、つまり約定することでポジションを保有する注文)を構成する21個の第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121と、第二注文(決済注文、つまり第一注文が約定すると発注され、約定することで、第一注文の約定によって保有したポジションを決済する注文)を構成する21個の第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142とから成る。なお、注文情報群18110に他の注文情報(例えばストップロス注文を構成する逆指値注文情報等)が更に含まれていてもよい。また、図8に示す注文情報群18110は、注文入力画面100への数値の入力によって注文情報生成部16が21本のトラップ本数を算出したことにより、21個の第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121と、21個の第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142とを生成したものであり、注文情報生成部16が算出したトラップ本数の数により、第一注文情報の個数や第二注文情報の個数は上記以外のいかなる個数となってもよい。
【0144】
図8に示す通り、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、IDとして機能する注文番号181A、顧客(金融商品取引管理システム1Aの利用者)を識別する番号として機能する顧客番号181B、金融商品の種類(ここでは売買を行う通貨の種類)を示す通貨ペア情報181C、それぞれの注文の注文金額を示す注文金額情報181D、注文情報が生成された日時を示す注文日時情報181Eを備える。
【0145】
また、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、それぞれの注文が買い注文、売り注文の何れであるかを示す売買情報181F、それぞれの注文の決済希望価格(顧客が約定させたい価格のこと。指値注文の約定価格や、「トリガ成行」による注文のトリガ価格がこれに該当する。)としての注文価格情報181G、それぞれの注文の有効期限を示す注文期限情報181Hを備える。
【0146】
また、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、注文の種類(同図では、複数の価格で複数の第一注文と複数の第二注文が複数発注され、それぞれの第一注文とそれぞれの第二注文とが繰り返される「トラップリピートイフダン」であることを示す「トラリピ」という注文の種類が示されている。)を示す注文種類情報181J、利益値幅の大きさの数値を示す利益値幅情報181K、利益金額の数量を示す利益金額情報181Lを備える。
【0147】
また、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、それぞれの注文が、イフダン注文の新規注文を示す「新規」、決済注文を示す「決済」のいずれであるかを示す新規・決済情報181M、それぞれの注文が「指値注文」「成行注文」「逆指値注文」「ストップロス注文」等の何れであるかを示す執行条件情報181Nを備える。
【0148】
また、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、それぞれの注文が注文中(発注済約定前の状態)、待機中(未発注の状態)、約定(約定された状態)の何れかの状態を示す注文状態情報181P(ただしこれら3つの状態のうち一部が示されない場合や、これら3つの状態以外の状態が示される場合もある。)、「決済トレール注文([発明の実施の形態2]で説明する。)」の指定がされた注文を行う注文情報か否かを特定するための決済トレール情報181Q、ストップロス注文を行う注文情報か否かを特定するためのストップロス情報181R、を属性情報として備えている。
【0149】
なお、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142が、上記各情報181A~181R以外の、取引を行うために必要な属性情報(例えば、イフダン注文を行うために関連付けられた第一注文と第二注文とを識別するための情報など。)を備えていてもよい。さらには、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、他の構成によって第一注文や第二注文による取引を適切に行える場合には、上記各情報181A~181Rのうちの少なくともいずれか一つの不要な属性情報を備えていなくてもよい。
【0150】
ここでの一の注文情報群18100を構成する特定の第一注文情報例えば第一注文情報18111と、対応付けられた特定の第二注文情報例えば第二注文情報18122とによって、1回の第一注文の発注及び約定と、1回の第二注文の発注及び約定とが行われる。具体的には、一の第一注文情報例えば第一注文情報18111によって一の第一注文(新規注文)の発注と約定が行われて金融商品のポジションを保有し、第一注文の約定に基づいて、一の第二注文情報例えば第二注文情報18222によって一の第二注文(決済注文)が発注され、第二注文(決済注文)の約定によって、保有したポジションの決済が行われる。従って、第一注文と第二注文とが繰り返される場合、複数の注文情報群18100,18100,18100・・・が必要となる。
【0151】
この実施の形態1においては、注文情報群18100によって第一注文と第二注文とが繰り返される場合、注文情報群18100は繰り返しの際(例えば第二注文情報18122に基づいて第二注文の約定が行われた際)に新たな注文情報群18100が生成される。ただし、確認ボタン115や注文ボタン(図示せず)がクリックされた際に、第一注文と第二注文とを繰り返すための複数の注文情報群18100,18100,18100・・・がまとめて生成される構成であってもよい。
【0152】
なお、顧客の使用するクライアント端末2の表示部22には、注文情報生成部16や約定情報生成部14の処理によって、図8に示すような注文情報群18100の表と共に、図9に示すような、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142に基づいて行われる取引のチャートが表示され、顧客が生成された注文情報や注文の発注や約定、及び注文に基づく取引状態等を容易に把握できるようになっていてもよい。
【0153】
[注文情報生成後の処理手順]
図9は、この実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおける処理に基づいて生成された注文情報と、相場の変動に伴う取引の態様を模式的に示すチャートである。
【0154】
以下の記載において、注文の発注等に係る、注文情報の生成等は、基本的に注文情報生成部16の処理によって行われるが、約定情報生成部14によって行われてもよい。また、注文の約定等に係る注文情報の書き替えや消去等は、基本的に約定情報生成部14の処理によって行われるが、注文情報生成部16によって行われてもよい。さらに、システム構成やデータ構成の状態等によって、それぞれの処理が上述の機能手段以外によって行われるようにすることも可能である。また、一つの処理を複数の機能手段、例えば注文情報生成部16と約定情報生成部14とが協働して行う態様で処理が行われるように構成することも可能である。
【0155】
一の注文情報群18100が生成されたときに、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121の注文状態情報181Pは、「発注済かつ未約定」の状態を示す「発注」となる。またこのとき、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の注文状態情報181Pは、「未発注かつ未約定」の状態を示す「未発注」となる。
【0156】
そして、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121に基づいて、第一注文8111,8112,・・・8120,8121が発注済かつ未約定の状態となり、取引が開始される。
【0157】
例えば、図9に示すように、取引開始時の相場価格30が1ドル111.00円であり、相場価格30が1ドル110.00円まで下落した場合を考える。このとき、価格情報受信管理部19が、相場価格30が1ドル110.00円となった情報を取得する。この相場価格30の情報が取得されると、約定情報生成部14は第一注文情報18111の注文状態情報181Pを「発注」から「約定」に変えて、第一注文8111が約定されてポジションを保有したものとして処理を行う。そして、注文情報生成部16は、第二注文情報18122の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させて、第一注文8111に対応する第二注文8122が発注されたものとする。
【0158】
そして、図9に示すように、相場価格30が下落から上昇に転じて1ドル110.50円になった場合を考える。この相場価格30の変動を価格情報受信管理部19が受信すると、約定情報生成部14は第二注文情報18122の注文状態情報181Pを「発注済」から「約定」に変化させて、第二注文8122が約定され、保有されたポジションが決済されたものとする。以上の処理により、第一注文8111を新規注文、第二注文8122を決済注文とするイフダン注文の売買取引が完了する。
【0159】
そして、第二注文情報18122の注文状態情報181Pを「発注済」から「約定」に変化すると、注文情報生成部16は新たな注文情報群18100を生成し、第一注文情報18111の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させ、新たな第一注文8111が発注された状態とする。
【0160】
その後、図9に示すように、相場価格30が再度下落して1ドル110.00円に至ると、約定情報生成部14は第一注文情報18111の注文状態情報181Pを「発注」から「約定」に変えて、第一注文8111が約定された状態とし、注文情報生成部16は、第二注文情報18122の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させて、第一注文8111に対応する第二注文8122が発注されたものとする。
【0161】
そして、相場価格30が下落から再度上昇に転じて1ドル110.50円になると、約定情報生成部14は第二注文情報18122の注文状態情報181Pを「発注済」から「約定」に変化させて、第二注文8122が約定されたものとする。以上の処理により、第一注文8111を新規注文、第二注文8122を決済注文とするイフダン注文の売買取引が完了する。この後、注文情報生成部16は再度新たな注文情報群18100を生成して第一注文情報18111の注文状態情報181Pを「発注」として第一注文8111を発注済の状態とし、以後、第一注文情報18111と第二注文情報18122に基づく同様のイフダン注文が繰り返される。
【0162】
また、図9に図示しないが、相場価格が1ドル110.00から更に下落して1ドル109.00円、1ドル108.00円・・・1ドル100.00円に順次至った場合、約定情報生成部14は第一注文情報18112,18113,・・・18121の注文状態情報181Pを順次「発注済」から「約定」に変えて第一注文8111,8112,・・・8121,が約定した状態とし、注文情報生成部16は第二注文情報18122,18123,・・・18142の注文状態情報181Pを順次「未発注」から「発注済」に変える。これにより、第一注文8112,8113,・・・8121が順次約定してポジションを持ち、第一注文8112に対応する第二注文8123、第一注文8113に対応する第二注文8124,・・・第一注文8121に対応する第二注文8142が順次発注したものとする。
【0163】
そして、図9に図示しないが、相場価格30が上昇して1ドル100.50円、1ドル101.50円・・・1ドル109.50円に順次至った場合、約定情報生成部14は第二注文情報18142,18141,・・・18122の注文状態情報181Pを順次「発注済」から「約定」に変えて第二注文8142,8141,・・・8122,が順次約定した状態となって保有したポジションが決済された状態となる。
【0164】
その後、第一注文情報18121,18120,・・・,18112に基づいて、第一注文8121,8120,・・・8112が発注済かつ未約定の状態となって、以後、第一注文情報18112,18113,・・・18121と第二注文情報18123,18124,・・・18142に基づく同様のイフダン注文が繰り返される。
【0165】
なお、この実施の形態1では、図8に示す全ての注文情報群18100,18100,18100・・・の第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121の注文価格情報181Gと第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の注文価格情報181Gが全て同一で、図9に示すそれぞれの第一注文例えば第一注文8111,8111,8111,・・・や、それぞれの第二注文例えば第二注文8122,8122,8122,・・・が同一の注文価格での発注・約定が繰り返される構成としたが、それぞれの注文情報群18100,18100,18100・・・の第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121の注文価格情報181Gや第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の注文価格情報181Gが相違し、それにより、イフダン注文の繰り返しで取引が行われる、それぞれの第一注文例えば図8に示す第一注文8111,8111,8111,・・・の注文価格や、それぞれの第二注文例えば第二注文8122,8122,8122,・・・の注文価格が順次変化する構成(一例を出すと、取引の繰り返しであらわれる第一注文例えば第一注文8111,8111,8111,・・・の注文価格が1ドル110.00円、1ドル110.01円、1ドル110.02円・・・と1円ずつ順次変化し、取引の繰り返しであらわれる第二注文例えば第二注文8122,8122,8122,・・・の注文価格が1ドル110.05円、1ドル110.06円、1ドル110.07円・・・と1円ずつ順次変化するような構成等が考えられる。)であってもよい。
【0166】
また、この実施の形態1では、図8に示すそれぞれの注文情報群18100,18100,18100を構成する第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121の執行条件情報181Nと第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の執行条件情報181Nが全て「指値」で、図9に示すそれぞれの第一注文例えば第一注文8111,8111,8111,・・・や、それぞれの第二注文例えば第二注文8122,8122,8122,・・・が指値注文として発注・約定が繰り返される構成としたが、図8に示す、それらの注文情報の執行条件情報181Nが全て「成行」や「逆指値」であったり、あるいは「指値」「成行」「逆指値」が混在したものであってもよい。
【0167】
具体的には、例えば、図9の状態において、取引開始時の相場価格30が注文入力画面100の下限価格入力欄106aに入力された下限価格と、上限価格を設定する上限価格入力欄106bに入力された上限価格の間の価格であって、注文情報生成部16が生成した第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121や第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の注文価格情報181Gの間の価格である場合(例えば図9に示す状態において、取引開始時の相場価格30が1ドル101.22円である場合)、注文情報生成部16は、図8に示す、1回目に生成される注文情報群18100のうち、取引開始時の相場価格30よりも注文価格情報181Gが高値側である第一注文情報18111,18112,・・・18119の執行条件情報181Nを「指値」とし、取引開始時の相場価格30より注文価格情報181Gが高値側である第一注文情報18120,18121の執行条件情報181Nを「逆指値」として生成されて、1回目の第一注文8111,8111,8111,・・・のうち、取引開始時の相場価格30よりも高値側の注文は指値注文、安値側の注文は逆指値注文として取引が行われる構成としてもよい。
【0168】
また例えば、特定の注文情報、例えば、図8に示す、1回目に生成される注文情報群18100を構成する最高値の第一注文情報18111の執行条件情報181Nのみが「成行」で、他の第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121や第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142の執行条件情報181Nのみが「指値」であって、取引開始後1回目に取引が行われる第一注文8111のみが「トリガ成行」に基づく成行注文として取引され、他の注文は指値注文として取引が行われる構成としてもよい。
【0169】
また、執行条件情報181Nの「指値」「成行」「逆指値」は上記以外のいかなる態様で混在していてもよい。
【0170】
注文情報生成部16や約定情報生成部14は、この処理手順における注文情報の生成、注文の発注及び約定、注文の繰り返し等を顧客の使用するクライアント端末2の表示部22に表示させ、また、そのような注文情報の生成を注文テーブル181に記録し、注文テーブル181に記録された注文情報の修正や削除や追加によって、注文の発注及び約定、注文の繰り返し等の管理を行う。
【0171】
[シフト機能]
図10は、この実施の形態1の「らくトラ」において実現される「トラップリピートイフダン」の変形例としての「シフト機能」によって行われる取引を模式的に示すチャート図である。
【0172】
図10に示す「シフト機能」は、相場価格30が、最も高値側にある第二注文8122,8122,8122のうちのいずれか、例えば第二注文8122が約定すると、下記(シフト手順1)(シフト手順2)が行われるよう構成された機能である。
【0173】
(シフト手順1)
図10に示すように、最も高値側の第一注文例えば第一注文8111よりも高値側に新たな第一注文8151が新たに設定され、最も高値側の第二注文例えば第二注文8122よりも高値側に新たな第二注文8152が新たに設定される。図示しないが、このとき、図8に示す注文情報群18100においても、新たに設定された第一注文8151に対応する新たな第一注文情報が生成し、新たに設定された第二注文8152に対応する新たな第二注文情報が生成している。
【0174】
図10においては、新たに設定された第一注文8151も、新たに設定された第二注文8122も、注文金額や利益金額や利益値幅は、他の第一注文や他の第二注文(例えば下記(シフト手順2)で消去される第一注文8121や第二注文8142図9参照))と同じである。すなわち、図10においては、新たに設定された第一注文8151と新たに設定された第二注文8122は、注文金額は0.5万、利益値幅は0.500、利益金額は2500となるように設定されている。
【0175】
ただし、新たに設定される第一注文例えば第一注文8151や新たに設定される第二注文例えば第二注文8122は、他の第一注文や他の第二注文と同一でなくてもよく、どのような注文金額や利益金額や利益値幅に設定されてもよい。
【0176】
(シフト手順2)
図10に示すように、最も安値側に発注予定だった第一注文例えば第一注文8121図9参照)と、最も安値側に発注予定だった第二注文例えば第二注文8142図9参照)とが消去される。このとき、図8に示す注文情報群18100においても、消去された第一注文8121に対応する第一注文情報18121と、消去された第二注文8142に対応する第二注文情報18142が生成されない。
【0177】
上記(シフト手順1)(シフト手順2)によって、第一注文8151,8111,8114,・・・8120によって形成される注文価格の価格帯(1ドル110.50円~1ドル100.50円)や第二注文8152,8122,8123,・・・8142によって形成される注文価格の価格帯(1ドル111.00円~1ドル101.00円)は、元の第一注文の価格帯や第二注文の価格帯よりも、相場価格の変動した高値側に、それぞれ0.50円シフトした状態となる。
【0178】
なお、上記(シフト手順1)(シフト手順2)においては、第一注文と第二注文がそれぞれ高値側にシフトした状態を示したが、第一注文、第二注文のうちいずれか一方のみがシフトされてもよい。また、シフトが行われた際の注文情報の執行条件が変化する(例えば、消去された第一注文8121や消去された第二注文8142が指値注文だった場合に、新たに設定される第一注文81511や新たに設定される第二注文81521が「トリガ成行」の注文として設定されるような状態が考えられる。)ものであってもよい。さらに、(シフト手順1)において複数の注文価格の第一注文や第二注文(例えば、図10に示す第一注文8151、さらに0.50円高値側の1ドル111.00円の第一注文(図示せず)の2つの第一注文と、図10に示す第二注文8152、さらに0.50円高値側の1ドル111.50円の第二注文(図示せず)の2つの第二注文)が設定されたり、(シフト手順2)において複数の注文価格の第一注文や第二注文(例えば、図9に示す第一注文8120,8121という2つの第一注文と、図9に示す第二注文8141,8142という2つの第二注文)が消去されたりしてもよい。さらに、この[シフト機能]は、後述する[発明の実施の形態2]の決済トレールの構成と共に用いられてもよい。
【0179】
以上、この実施の形態1においては、1の第一注文と1の第二注文との取引により得られる利益の大きさとしての利益値幅を設定させ、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を演算により算出させる構成を備えたことにより、利益値幅を設定するための情報を取得したときに、この情報に基づいて利益金額を算出し設定することが可能となる。このため、利益値幅の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することが可能となる。そして、金融商品取引管理装置1の利用者等に所望する利益値幅の情報を入力させること等により、第一注文や第二注文を、利益を得やすい注文価格や注文金額に容易に設定できる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、第一注文と対応する第二注文による取引を行う際の注文価格の設定を行う際に、利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる。
【0180】
この実施の形態1においては、1の第一注文と1の第二注文との取引によって得られる利益金額を設定させ、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第二注文の注文金額を設定させるための注文金額設定情報とを受けて、1の第一注文の注文金額、及び/又は、1の第一注文と1の前記第二注文との取引によって得られる利益値幅を演算により算出させることにより、利益金額を設定するための情報を取得したときに、この情報に基づいて利益値幅を算出し設定することが可能となる。このため、利益金額の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することが可能となる。そして、金融商品取引管理装置の利用者等に所望する利益金額の情報を入力させること等により、第一注文や第二注文を、利益を得やすい注文価格や注文金額に容易に設定できる。これにより、コンピュータシステムを用いて行う金融商品の取引において、第一注文と対応する第二注文による取引を行う際の注文価格の設定を行う際に、利用者が希望する注文価格の設定や取引による利益を得る可能性の高い注文価格の設定を容易に実現できる。
【0181】
この実施の形態1においては、既に設定された一の利益値幅を他の利益値幅に変更させるための利益値幅変更情報を受けて、利益金額を特定の金額で固定させた状態で利益値幅を一の利益値幅から他の利益値幅に変更させて注文情報を生成することにより、変更のパラメーターを利益値幅のみとした、利用者が変更の内容をわかりやすい状態を形成し、既に設定された利益値幅を利用者の操作等によって変更させながら、第一注文や第二注文の注文価格や注文金額を、利用者が希望する注文価格や注文金額に容易に設定させることが可能となる。
【0182】
この実施の形態1においては、既に設定された一の利益金額を他の利益金額に変更させるための利益金額変更情報を受けて、利益値幅を特定の値幅で固定させた状態で利益金額を一の利益金額から他の利益金額に変更させて注文情報を生成することにより、変更のパラメーターを利益金額のみとした、利用者が変更の内容をわかりやすい状態を形成し、既に設定された利益値幅を利用者の操作等によって変更させながら、第一注文や第二注文の注文価格や注文金額を、利用者が希望する注文価格や注文金額に容易に設定させることが可能となる。
【0183】
この実施の形態1においては、利益金額を特定の金額で固定させた状態で利益値幅を変動させる処理と、利益値幅を特定の金額で固定させた状態で利益金額を変動させる処理との何れかの処理を行うことが可能となり、利益値幅に基づく注文価格の設定と利益金額に基づく注文価格の設定との双方を、利用者が変更の内容をわかりやすい状態としつつ、利用者にいずれかの注文価格の設定を選択させることができる。これにより、注文価格の設定方法のバリエーションを増やしつつ、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置1を提供できる。
【0184】
この実施の形態1においては、注文値幅と利益値幅とをそれぞれ同一に設定することにより、注文値幅と利益値幅との設定や変更の内容を利用者にわかりやすい状態で提供できる。これにより、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置を提供できる。
【0185】
この実施の形態1においては、異なる注文価格に設定される複数の第一注文、及び/又は、異なる注文価格に設定される複数の第二注文の注文価格を、利用者が希望する注文価格や取引による利益を得る可能性の高い注文価格として容易に設定できる状態を実現できる。これにより、利用者にとって利便性の高い金融商品取引管理装置を提供できる。
【0186】
この実施の形態1においては、第一注文と該第一注文に対応する第二注文とによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせる際の第一注文や第二注文の注文価格を、利用者が希望する注文価格や取引による利益を得る可能性の高い注文価格として容易に設定できる状態を実現できる。
【0187】
なお、この実施の形態1において、注文情報群18100に逆指値注文情報(図示せず)が存在し、この逆指値注文情報(図示せず)に基づいてストップロス注文の発注と約定が行われる場合、ストップロス注文(図示せず)が約定すると、対応する第一注文(例えば第一注文8111)や第二注文(例えば第二注文8122)がキャンセルされる構成となるが、この場合、発注されたストップロス注文(図示せず)に対応する第一注文(例えば第一注文8111)や第二注文(例えば第二注文8122)のみがキャンセルされてもよいし、対応する第一注文(例えば第一注文8111)や第二注文(例えば第二注文8122)を構成していた注文情報群18100を構成する全ての第一注文や全ての第二注文もキャンセルされてもよい。また、その後に繰り返し発注や約定が行われる予定の第一注文や第二注文もキャンセルされる構成であってもよい。さらに、それらの第一注文(対応する第一注文(例えば第一注文8111)や対応する第二注文(例えば第二注文8122)など)がキャンセルされない構成であってもよい。
【0188】
[発明の実施の形態2]
図11乃至図15に、この発明の実施の形態2を示す。この実施の形態2は、「決済トレール」の取引を行うための構成に本発明を適用するものである。
【0189】
[基本構成]
この実施の形態2のシステム構成図(図1)、基本的なデータ構造(図2)、注文情報生成の手順(図3のステップS1~ステップS10の基本的な処理手順)は、実施の形態1のものと同じである。
【0190】
一方、この実施の形態2においては、第一注文と第二注文のうち、イフダン注文の決済注文である第二注文のみにトレール幅情報が設けられた構成となっている。
【0191】
図11は、この実施の形態2においてクライアント端末2の表示部22に表示される、注文情報生成後の取引表示画面を模式的に示す図である。この取引表示画面24において、注文日時情報181E、注文期限情報181Hの欄は図8に示す取引表示画面24の表示と同一の表示になっているものとする。そして、説明の簡単のため、図11において、注文日時情報181E、注文期限情報181Hの欄は記載を省略している。
【0192】
図11に示す取引表示画面24は、基本的な構成は図8に示す取引表示画面24と同じであるが、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142は、属性情報として、トレールが発生する値幅であるトレール幅を設定するためのトレール幅情報181S、約定予定の価格よりも相場がいくら下落又は上昇したときに未発注の注文を発注させるかの情報であるスルー値幅を設定するためのスルー値幅情報181Tを備えている点が実施の形態1と相違する。
【0193】
また、図11においては、注文種類情報181Jにおいて「決済トレール」が設定された状態、執行条件情報181Nにおいて「逆指値」が設定された状態、決済トレール情報181Qが、「決済トレール」が選択されたことを示す「有」の状態、ストップロス情報181Rが、ストップロス注文が選択されたことを示す「有」の状態となっている点が、図8に示す取引表示画面24と相違している。
【0194】
さらに、図11に示す注文入力画面100においては、ストップロス注文の取引を行うためのストップロス注文情報18143が生成されている状態が示されている点も実施の形態1と相違している。
【0195】
この実施の形態2の「決済トレール」においては、第一注文と第二注文のうち、第二注文(新規注文に対する決済注文)のみにトレールが設定される。そのため、図11においては、注文情報群18110を構成する第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142、ストップロス注文情報18143のうち、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142のみのトレール幅情報181Sに、1ドル0.500円を示す「0.500」が設定されており、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121のトレール幅情報181Sとストップロス注文情報18143のトレール幅情報181Sは「0.000」であってトレールが設定されていないことを示している。
【0196】
図11に示す取引表示画面24は、後述する、図12に示す注文入力画面100に数値入力や選択が行われた状態で生成された注文情報に基づいて、図13に示す状態まで取引が行われた際の状態を示している。
【0197】
[注文入力画面の構成と入力]
図12は、この実施の形態2の注文入力画面100を模式的に示す概念図である。
【0198】
この注文入力画面100は、図4図5に示す注文入力画面100と基本的に同じであるが、「追加設定」の指定(図4図5に図示せず)が選択された結果、「決済トレール」による取引を選択するための決済トレール選択ボタン116、「決済トレール」のトレール幅を数値入力するためのトレール幅入力欄117、ストップロス注文の設定を選択するためのストップロス選択ボタン118、ストップロス注文の金額を数値入力するためのストップロス価格入力欄119が表示されている。
【0199】
図12においては、決済トレール選択ボタン116に「決済トレール」を選択するチェックが入力され、トレール幅入力欄に1ドル0.500円のトレール幅を設定するための「0.500」が入力され、ストップロス選択ボタン118にストップロス注文の設定を選択するためのチェックが入力され、ストップロス価格入力欄119に1ドル95.00円をストップロス注文の注文価格とするための「95.00」が入力された状態が示されている。
【0200】
なお、この実施の形態2においては、トレール幅とスルー値幅を同一価格に設定する構成としており、注文入力画面100のトレール幅入力欄117に入力された数値は、トレール幅とスルー値幅の設定に共通して用いられるものとしている。ただし、注文入力画面100において、スルー値幅を入力する欄をトレール幅入力欄117と別個に設け、トレール幅とスルー値幅を別個に設定できるように構成してもよい。
【0201】
[注文情報生成後の処理手順]
図13乃至図15は、この実施の形態2の金融商品取引管理システム1A(図1参照)における処理に基づいて生成された注文情報と、相場の変動に伴う取引の態様を模式的に示すチャートである。なお、実施の形態1の処理手順と共通する部分は説明を割愛する。
【0202】
図12に示す一の注文情報群18100が生成されたときに、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121の注文状態情報181P、及び、第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142、及び、ストップロス注文情報18143の注文状態情報181Pは、「未発注かつ未約定」の状態を示す「未発注」となる。
【0203】
そして、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121に基づいて、第一注文8111,8112,・・・8120,8121、第二注文8122,8123,・・・8141,8142、ストップロス注文8143、が発注済かつ未約定の状態となり、取引が開始される。
【0204】
例えば、図13に示すように、取引開始時の相場価格30が1ドル101.80円であり、相場価格30が1ドル99.40円まで下落した場合を考える。
【0205】
このとき、価格情報受信管理部19が、相場価格30が1ドル101.80円~99.40円となった情報を順次取得する。この相場価格30の情報が順次取得されると、約定情報生成部14は、相場価格30が、注文価格情報181Gを越えてスルー値幅情報181Tの値幅分以上安値側に(つまり注文価格情報181Gよりも1ドル0.500円分以上安値側に)下落している第一注文情報である第一注文情報18118,18119,18120,18121の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させる(このとき取引表示画面24は図11に示す状態となる。)。
【0206】
第一注文情報18118,18119,18120,18121を上記のように変化させることにより、図13に示すように、第一注文8118,8119,8120,8121は「発注済」の状態となる。
【0207】
次に、図14に示すように、相場価格30が下落方向から上昇方向に変動し、1ドル99.40円から1ドル101.70円まで上昇した場合を考える。
【0208】
価格情報受信管理部19が、相場価格30が1ドル99.40円~101.70円となった情報を順次取得すると、約定情報生成部14は、注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化した第一注文情報18118,18119,18120,18121の
相場価格30が、注文価格情報181Gに一致したもの、つまり第一注文情報18119,18120,18121の注文状態情報181Pを「発注」から「約定」に変えて、第一注文8118,8119,8120,8121が約定されてポジションを保有したものする。なお、上述のとおり、第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121にはトレールが設定されていない(トレール幅情報181Sが「0.000」となっている)ので、第一注文情報18118,18119,18120,18121は注文価格情報181Gに当初から設定された注文価格で約定される処理が行われる。その結果、図13に示す通り、第一注文8118,8119,8120,8121は、当初の注文価格である1ドル101.00円、100.50円、100.00円で約定する。
【0209】
そして、注文情報生成部16は、約定した第一注文8118,8119,8120,8121に対応する第二注文8142,8141,8140の取引を行なう第二注文情報18139,18140,18141,18142のうち、相場価格30が、注文価格情報181Gを越えてスルー値幅情報181Tの値幅分以上高値側に(つまり注文価格情報181Gよりも1ドル0.500円分以上高値側に)上昇している第二注文情報18142,18141,18140の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させる。ここでは、図14に示す状態の第二注文8142,8141に対応する、図13の第二注文情報11842,11841の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させる。
【0210】
なお、注文情報生成部16は、最初の第一注文の約定、つまり、図12に示す第一注文情報1812の注文状態情報181Pが「約定」となって図14における第一注文8121が約定されたときに、図12に示すストップロス注文情報18143の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させて、ストップロス注文8143が発注された状態とする。図示しないが、もし、相場価格30がストップロス注文情報18143の注文価格情報181Gに設定された1ドル95.00円に至った場合は、約定情報生成部14は、このストップロス注文情報18143の注文状態情報181Pを「発注済」から「約定」に変更し、ストップロス注文8143が約定した状態とする。これにより、注文情報群18110による取引や、それ以降に生成される予定であった注文情報群18110に基づいて行われる取引は、すべてキャンセルされたものとして処理される。
【0211】
一方、図14において、相場価格30が1ドル100.00円からさらに上昇していった場合、注文情報生成部16は、相場価格30が、注文価格情報181Gを越えてスルー値幅情報181Tの値幅分とトレール幅情報181S分の総和の値以上高値側に(つまり注文価格情報181Gよりも1ドル0.500円+1ドル0.500円=1ドル1.000円分以上高値側に)上昇している第二注文情報18142,18141,18140の注文価格情報181Gを、トレール幅情報181Sに設定された価格分高値側に変更する。ここでは、図14に示す状態の第二注文8142の取引を行なう第二注文情報18142の注文価格情報181Gをトレール幅情報181S分高値側である「101.00」に変更し、第二注文8142の注文価格を1ドル100.50円から1ドル101.00円にトレールさせた状態に変化させる。
【0212】
そして、その後、図15に示すように、相場価格30が101.70円から1ドル102.30円まで上昇し、その後相場価格30が上昇方向から下落方向に変動して1ドル101.30円に至った場合を考える。
【0213】
このとき、相場価格が1ドル102.00円に至ると、注文情報生成部16は第二注文情報18140の注文状態情報181Pを「未発注」から「発注済」に変化させて、第二注文8140が発注された状態とする。
【0214】
また、相場価格が1ドル102.00円に至ると、注文情報生成部16は第二注文情報18142,18141の注文価格情報181Gをトレール幅情報181S分高値側である「101.50」に変更し、第二注文8141,8142の注文価格を1ドル101.00円から1ドル101.50円にトレールさせた状態に変化させる。これにより、図15に示すように、第二注文8140,8141,8142が1ドル101.50円に設定された状態となる。
【0215】
そして、相場価格30が上昇から下落に転じて1ドル101.70円から1ドル101.50に至ると、約定情報生成部14は、第二注文情報18142,18141,18140の注文状態情報181Pを「発注済」から「約定」に変化させて、第二注文8142,8141,8140が約定された状態とする。
【0216】
第二注文8142,8141,8140が約定された状態となったのち、注文情報生成部16は、新たな第一注文情報18119,18120,18121、新たな第二注文情報18140,18141,18142を生成し、約定した第一注文8119,8120,8121、約定した第二注文8140,8141,8142に対応する新たな第一注文8119,8120,8121、新たな第二注文8140,8141,8142を発注可能な状態を形成する。なお、この手順において、注文情報生成部16が、新たな第一注文8119,8120,8121、新たな第二注文8140,8141,8142の取引を行なうための新たな第一注文情報18119,18120,18121、新たな第二注文情報18140,18141,18142を含む、新たな注文情報群18110の生成を行ってもよい。
【0217】
以上に示す取引を、全ての第一注文情報18111,18112,・・・18120,18121、全ての第二注文情報18122,18123,・・・18141,18142について繰り返し行うことにより、「決済トレール」による取引が自動的に繰り返し行われることとなる。
【0218】
以上、この実施の形態2においては、「決済トレール」の取引において、利益値幅の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することや、利益金額の情報に基づいて第一注文や第二注文の注文金額や注文価格を設定することが可能となる。そして、「決済トレール」の取引において、金融商品取引管理装置1の利用者等の所望する利益値幅の情報を入力させることや、利用者等の所望する利益金額の情報を入力させること等により、第一注文や第二注文を、利益を得やすい注文価格や注文金額に容易に設定できる。そのため、この実施の形態2においては、1回の取引で大きな収益を見込める取引態様に本発明を適用することができる。
【0219】
なお、この実施の形態2では、第二注文8122,8123,・・・8141,8142、のみにトレールを設定する構成としたが、第一注文8111,8112,・・・8120,8121にもトレールを設定する構成としたり、第一注文8111,8112,・・・8120,8121のみにトレールを設定する構成としてもよい。
【0220】
[応用例]
なお、上記各実施の形態に示す金融商品取引管理装置1において、注文情報生成部16は、利益値幅や利益金額を自動的に設定する構成とすることもできる。例えば、注文情報生成部16は、注文情報を生成する時点等の特定の時点を基準に所定期間さかのぼった期間中の金融商品の相場の変動範囲の情報を取得し、その間の相場の変動した価格範囲を、第一注文と第二注文の利益値幅や利益金額として、それぞれの注文情報に対して自動的に設定するような構成であってもよい。また、注文情報生成部16等の構成が、人工知能の機械学習の機能を備え、過去の金融商品の相場の変動幅や変動範囲の情報を機械学習等によって学習し、この学習結果に基づいて、利益値幅や利益金額を自動的に算出し、算出結果に基づいて、生成する注文情報の利益値幅や利益金額を自動的に設定する構成であってもよい。
【0221】
[その他]
なお、上記各実施の形態においては、第一注文が買い注文、第二注文が売り注文の場合について説明したが、これに限定されず、第一注文が売り注文、第二注文が買い注文の場合についても適用可能である。
【0222】
また、上記各実施の形態においては、いわゆるOCO注文であってもよい。また、相場が一次中断後再開したときにいわゆる「板寄せ方式」で第一注文8111,8112,・・・8120,8121、や第二注文8122,8123,・・・8141,8142、等を約定させる構成であってもよい。
【0223】
さらに、上記各実施の形態は、「らくトラ」方式によって上限価格と下限価格の間の価格範囲に注文情報を生成する構成としたが、基準となる下限価格よりも高値側に注文情報を設定したり、基準となる上限価格よりも安値側に注文情報を設定したり、あるいは基準となる価格よりも高値側と安値側に注文情報を設定することで「トラップリピートイフダン」「トラップトレード」「リピートイフダン」等の取引を行なうための注文情報を設定するための構成に本発明を適用することもできる。
【0224】
上記各実施の形態においては、金融商品として株価指数を取扱うものとしたが、これに限定されず、例えば株式、債券、投資信託、不動産投資信託、コモディティ(商品)、外国為替、暗号資産等、どのような金融商品を取扱う金融商品取引システムにおいて本発明を適用してもよい。
【0225】
上記各実施の形態においては、金融商品取引管理システム1Aが1つの金融商品取引管理装置1を備えた構成として説明したが、複数の金融商品取引管理装置によって構成し、そのうちの少なくとも一部の金融商品取引管理装置がいわゆる取引所に設けられている構成であってもよい。
【0226】
また、上記各実施の形態においては、全ての機能手段が金融商品取引管理装置1に設けられた構成としたが、これらのうちの少なくとも一部の構成がクライアント端末2に設けられた構成であってもよい。
【0227】
また、上記各実施の形態においては、金融商品取引管理システム1Aをネットワークコンピュータシステムのクライアント・サーバシステムにおいて実現したが、クライアント・サーバシステムを構成しないパーソナルコンピュータ等の各種コンピュータや、携帯端末やタブレット等の各種通信端末・携帯情報端末において金融商品取引管理システム1Aと同じ機能を実現させることもできる。この際、第一の金融商品取引管理装置1や金融商品取引管理システム1Aのシステム構成の少なくとも一部をコンピュータプログラムとして構成し、当該プログラムを各種コンピュータや各種通信端末・携帯情報端末に実装することで実現させることも可能である。
【0228】
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0229】
1A・・・金融商品取引管理システム
1・・・第一の金融商品取引管理装置(金融商品取引管理装置)
16・・・注文情報生成部(注文情報生成手段、利益金額演算手段、利益値幅変更手段、利益金額変更手段)
30・・・相場価格
8111,8112,・・・8120,8121,8111,8112,・・・8120,8121,8111,8112,・・・8120,8121,・・・第一注文
8122,8123,・・・8141,8142,8122,8123,・・・8141,8142,8122,8123,・・・8141,8142,・・・第二注文
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