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特開2022-151896気体清浄装置および気体清浄装置用集液部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151896
(43)【公開日】2022-10-11
(54)【発明の名称】気体清浄装置および気体清浄装置用集液部材
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/08 20060101AFI20221003BHJP
   B01D 47/02 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B01D45/08 Z
B01D47/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054451
(22)【出願日】2021-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】596173193
【氏名又は名称】石丸 武三
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】石丸 武三
【テーマコード(参考)】
4D031
4D032
【Fターム(参考)】
4D031AB01
4D031AB26
4D031BA03
4D031BA07
4D031DA04
4D031EA01
4D032AA11
4D032AC08
4D032AC39
4D032BA06
4D032DA02
4D032DA04
(57)【要約】
【課題】
気体中から液体を効果的に除去し回収できる気体清浄装置および気体清浄装置用集液部材を提供する。
【解決手段】
気体清浄装置用集液部材15は、液体流路となる溝16を備え、断面において、所定の方向に凸な曲線である第1曲線部17および第2曲線部18と、第1曲線部の第1端部17aから第2曲線部の第1端部18aを結ぶ滑らかな曲線である第3曲線部19と、第1曲線部の第2端部17bから第2曲線部の第4端部18bを結ぶ滑らかな曲線である第4曲線部20とを有し、第1曲線部17、第2曲線部18、第3曲線部19および第4曲線部20により断面における外周となる閉曲線が形成されており、第2曲線部18により溝16が形成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路となる溝を備え、
断面において、所定の方向に凸な曲線である第1曲線部および第2曲線部と、
第1曲線部の第1端部から第2曲線部の第1端部を結ぶ滑らかな曲線である第3曲線部と、
第1曲線部の第2端部から第2曲線部の第2端部を結ぶ滑らかな曲線である第4曲線部とを有し、
第1曲線部、第2曲線部、第3曲線部および第4曲線部により断面における外周となる閉曲線が形成されており、
第2曲線部により溝が形成されている気体清浄装置用集液部材。
【請求項2】
中空管により形成され、
断面において一部の壁部が対向する側の壁部の方向に入り込んで溝部を形成している請求項1に記載の気体清浄装置用集液部材。
【請求項3】
第1室と、第2室と、第1室と第2室を仕切る仕切り壁と、第1室に設けられた気体導入口と、第2室に設けられた排気口と、第1室と第2室の下に設けられた液槽と、第1室と第2室の境界部において液槽中に設けられる液体噴き上げ部材と、気体に含まれる液体を除去する液体回収部材を有し、
液体回収部材は複数の集液部材を備え、
集液部材は流体流路となる溝を備え、断面において、所定の方向に凸な曲線である第1曲線部および第2曲線部と、第1曲線部の第1端部から第2曲線部の第1端部を結ぶ滑らかな曲線である第3曲線部と、第1曲線部の第2端部から第2曲線部の第2端部を結ぶ滑らかな曲線である第4曲線部とを有し、第1曲線部、第2曲線部、第3曲線部および第4曲線部により断面における外周となる閉曲線が形成されており、第2曲線部により溝が形成されていて、
集液部材の第1曲線部は液体噴き上げ部材を通過した気体の流れの風上側に向けられ、
集液部材が溝部を上向きにして斜めにあるいは垂直に設置されている気体清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体中に浮遊する異物を除去する気体清浄装置に関し、特に気体を液体に接触させることによって異物を除去する湿式の気体清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装場や工作現場では、塗料の粉や工作材料の切削屑などの異物が粉塵として空気中に浮遊する。そのような浮遊物を含む気体を効果的に浄化するために、湿式の集塵装置が普及している。異物を含む気体を水などの液体に接触させて、気体中の異物を液体に捕捉させる。こうして、気体から異物が除去される。
【0003】
しかし、接触した液体は霧状に吹き上がり、気体中には相当の量の液体が液滴として含まれる。そこで、気体を排出する前に気体中に含まれる液体を除去する必要がある。特許文献1には複数の箇所にアングルを配している。アングルに接触した際に、ミストに含まれる液部の微小な粒子が集合してより大きな液滴へと変わる。また、液分を含有する気体から液分を除去する液切板を配している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-40012号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
湿式の除塵装置においては特許文献1のアングルや液切板のように気体の流れを妨げる部材が置かれる。このような部材を置くと、気体中の液体はその部材に液摘として一時的に付着する。しかし、その付着した液体は簡単には液槽には回収されない。付着した液体は、気体の流れによってアングルなどの部材表面に押し当てられるので、滴として落下しにくい。
【0006】
さらに、液摘が成長してアングル等の表面を離脱しても、風圧によってふたたび巻き上げられて大部分が気体中に戻ってしまう。したがって、液体の気体からの除去は十分ではなく、液体を粉塵成分とともに回収することは困難である。十分な回収をするためには、アングルなどの部材の段数を増やす必要があるが、装置は複雑・高価となり、また、多数の段数のアングル間の気体の通過のために大きな送風装置が必要となる。
【0007】
この発明は、気体中から液体を効果的に除去し回収できる気体清浄装置および気体清浄装置用集液部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明の気体清浄装置用集液部材は、液体流路となる溝を備え、断面において、所定の方向に凸な曲線である第1曲線部および第2曲線部と、第1曲線部の第1端部から第2曲線部の第1端部を結ぶ滑らかな曲線である第3曲線部と、第1曲線部の第2端部から第2曲線部の第2端部を結ぶ滑らかな曲線である第4曲線部とを有し、第1曲線部、第2曲線部、第3曲線部および第4曲線部により断面における外周となる閉曲線が形成されており、第1曲線部により溝が形成されている。また、中空管により形成し、断面において一部の壁部が対向する側の壁部の方向に入り込んで溝部を形成するようにすることによって、薄肉円筒管から容易に製造することができる。
【0009】
この発明の気体清浄装置は、気体清浄装置用集液部材を備えており、第1室と、第2室と、第1室と第2室を仕切る仕切り壁と、第1室に設けられた気体導入口と、第2室に設けられた排気口と、第1室と第2室の下に設けられた液槽と、第1室と第2室の境界部において液槽中に設けられる液体噴き上げ部材と、気体に含まれる液体を除去する液体回収部材を有し、
液体回収部材は複数の集液部材を備え、
集液部材は流体流路となる溝を備え、断面において、所定の方向に凸な曲線である第1曲線部および第2曲線部と、第1曲線部の第1端部から第2曲線部の第1端部を結ぶ滑らかな曲線である第3曲線部と、第1曲線部の第2端部から第2曲線部の第2端部を結ぶ滑らかな曲線である第4曲線部とを有し、第1曲線部、第2曲線部、第3曲線部および第4曲線部により断面における外周となる閉曲線が形成されており、第2曲線部により溝が形成されていて、
集液部材の第1曲線部は液体噴き上げ部材を通過した気体の流れの風上側に向けられ、
集液部材が溝部を上向きにして斜めにあるいは垂直に設置されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の気体清浄装置および気体清浄装置用集液部材は、集液部材により気体中に含まれる液体を付着させ、再び気体中に拡散させることなく効率的に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】気体清浄装置の構造を模式的に示す断面図である。
図2】噴霧ノズルの配置を示すA矢視図である。
図3】噴き出しゲート板を示す拡大正面図である。
図4】同B矢視図である。
図5】液体回収部材を示すC矢視図である。
図6】集液部材を示す正面図である。
図7】同平面図である。
図8】同断面図である。
図9】集液部材の別の例を示す同断面図である。
図10】気体清浄装置の外観を示す断面図である。
図11】同右側面図である。
図12】同平面図である。
図13】気体清浄装置の使用方法の例を示す概念図である。
図14】気体清浄装置の作用を示す正面図である。
図15】同E断面図である。
図16】集液部材の作用を示す概念図である。
図17】同断面図である。
図18】気体清浄装置の使用方法の別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は気体清浄装置の構造を模式的に示す断面図である。
【0013】
気体清浄装置1は相互に分離された第1室2と第2室3を備える。第1室2と第2室3の間には仕切り壁4が設けられている。また、第1室2と第2室3の下には液槽5が設けられている。第1室2には気体導入口6が、第2室3には排気口7がそれぞれ設けられている。第1室2には気体導入口6から液槽5へ流れる気体に液体を噴霧する噴霧ノズル8が設けられる。
【0014】
液槽5には使用時に基準となる高さまで液体が入れられる。仕切り壁4は基準高さの液面の近くまで設けられている。そして、仕切り壁4の下端に続いて、噴き出しゲート板9が設けられる。この噴き出しゲート板9の下端部は基準高さにある液面よりも下に延びている。さらに、第1室2と第2室3の境界部において液槽中に液体噴き上げ部材10が噴き出しゲート板9に対向して設けられている。
【0015】
第2室3には、液体回収部材11が備えられ、さらにその下流には除湿棒12が設けられている。
【0016】
図2は噴霧ノズルの配置を示すA矢視図である。気体導入口6の近くに、複数の噴霧ノズル8のが並列して設けられる。液槽4にストレーナ13が設けられ、ここを通過した液体が給液管14を介して噴霧ノズル8に供給される。隣接する噴霧ノズル8の噴霧範囲が一部重複するようになっていて、気体導入口6から液槽5へ流れる気体に対してミストがまんべんなく噴射される。
【0017】
図3は噴き出しゲート板を示す拡大正面図、図4は同B矢視図である。噴き出しゲート板9は略長方形の板材であり、その幅は仕切り壁4の幅と同じである。下端部にはのこぎり状の凹凸が形成されている。仕切り壁4の下端に続いて取り付けられ、下側が第2室3に向くように傾斜している。そして液槽4に基準高さの液体があり、まだ気体の導入がなされていない状態において、噴き出しゲート板9の下端部は液面よりも下に位置するように配置される。
【0018】
液体噴き上げ部材10の板状の部材であり、一端部は丸く曲げられており、それ以外の部分は平面である。平面の部分は液槽5の液中にあり、第2室3の側に突き出すように上斜め向きに配置される。曲面部は液中から液面より上に突き出すように配置され、噴き出しゲート板9の下端部に対して所定の距離をおいて対向している。
【0019】
液体回収部材11について詳細に説明する。図5は液体回収部材を示すC矢視図である。液体回収部材11は複数の集液部材15を備えている。図6は集液部材を示す正面図、図7は同平面図、図8は同断面図である。
【0020】
集液部材15は溝16を有する棒状の部材である。断面において、同じ方向に凸な曲線である第1曲線部17および第2曲線部18が形成されている。第1曲線部17は外に向いて突き出す曲線であり、第2曲線部18は第1曲線部17の中に入り込むように内向きに凸な曲線である。そして、この第2曲線部18が溝16の底面を形成する。第1曲線部17と第2曲線部18は滑らかな曲線であることが好ましい。
【0021】
第1曲線部17と第2曲線部18は滑らかな曲線により結ばれる。第1曲線部17と第2曲線部18のそれぞれの同じ側の端部(例えば図8において左側の端部17a,18a)を結ぶ曲線を第3曲線部19とする。また、第1曲線部17と第2曲線部18のそれぞれの別の側の端部(例えば図8において右側の端部17b,18b)を結ぶ曲線を第4曲線部20とする。この第3曲線部19と第4曲線部20は滑らかな曲線、すなわち微分可能な関数によって表現できる曲線またはそれに同一視できる形状の曲線であることが好ましく、しかもその端点において接続される第1曲線部17または第2曲線部18の端点と同じ傾きであることが好ましい。
【0022】
また、第1曲線部17、第3曲線部19、第2曲線部18および第4曲線部20によって閉曲線が形成され、これが集液部材15の断面における外周となる。
【0023】
本例の集液部材15は金属などの材料を口金を通して同一断面の棒状の部材に形成している。このため、正確な寸法で製造することができる。第3曲線部19と第4曲線部20の位置にそれぞれ貫通孔21が長さ方向に設けられており、材料の節約と軽量化がはかられている。後述の通りこの集液部材15は除湿棒としても使用することができるが、その場合にはこの貫通孔21を冷媒の通路として使用することができる。
【0024】
図9は集液部材の別の例を示す同断面図である。この例では、薄肉の円筒管を素材としている。円筒管の側面をプレス型などによって押し込むことによって溝部を形成し、さきの例の集液部材に類似した外形にする。薄肉の円筒管を使用することによって、軽くすることができ、また簡易な設備で製造することができる。また、除湿棒としても使用する場合には内部の中空部を冷媒の通路として使用することができる。
【0025】
集液部材15は一定の間隔で同一平面に平行に設けられ、さらにこれらを複数段にしてちどり状に配置している。本例では各段に18本程度を並列し、それを4段に設けている。上部保持板22を仕切り壁5の上部に取り付けて集液部材15の一端部を固定し、下部保持板23を液槽4の液面よりやや上の位置に設置して集液部材15が斜めまたは垂直に設けられている。集液部材15の第1曲線部17は下向きで、噴き出しゲート板9や液体噴き上げ部材10の方に面している。一方、溝16が形成される第2曲線部18は噴き出しゲート板9や液体噴き上げ部材10とは逆側に面しており、仕切り壁5から遠ざかりながら下る。
【0026】
除湿棒12は液体回収部材11と排気口7の間に設けられる。内部を冷媒が流れる金属の中空管が複数で平行に設けられており、その両端部にはそれぞれ冷媒循環管24が接続されている。本例では、気体清浄装置の集液部材15と同じ断面形状を有する中空管、すなわち図8または図9に示すような断面形状の部材を使用している。やはり、第1曲線部に該当する面を液体回収部材11の側、すなわち風上に向ける。一方、第2曲線部に該当する面を風下に向け、溝を上向きにした状態で斜めに設置され、樋が形成されている。集液部材15は垂直に設置してもよく、それで溝の水滴を下に導く流路が形成されるが、本例のように斜めに設置することが好ましい。冷媒によって表面が冷却され、接触した気体に含まれる液体成分が表面、特に第1曲線部に結露し、空気中から除去される。結露した液体は風圧によって第2曲線部に移動し、溝に入ると溝に沿って下りながら液槽5へ回収される。
【0027】
外部から液槽5に液体を供給する供給管25が接続されており、供給口26が基準高さよりも上に設けられている。また、水面位置を測定するためのフロート27も設けられており、液面が基準高さを下回ったときには供給口26より液体が補給され、液面を基準高さ以上に保っている。
【0028】
一方、液槽5の底の近くには排出口28が設けられ、バルブ29を開くと液槽5の底部の液体が外部に排出される。これにより、液槽5の底部に堆積した粉塵などを排出することができる。
【0029】
図10は気体清浄装置の外観を示す断面図、図11は同右側面図、図12は同平面図である。気体清浄装置1は密閉された筐体の内部に設けられており、第1室2の気体導入口6および第2室3の排気口7により気体は筐体内を通過する。正面側および右側面側にそれぞれ扉30,31が設けられ、点検、集液部材15や除湿管12の清掃、液槽5の堆積物の取り出しなどが行えるようになっている。
【0030】
図13は気体清浄装置の使用方法の例を示す概念図である。作業場40は、例えば塗装工場や切削などを行う工作場などであり、そこでは塗料の粉や切削屑などの粉塵が発生し、それらの粉塵が空気中に浮遊する。この作業場40の排気口41から気体清浄装置1の気体導入口6へ送風機43により作業場40の空気を送る。また、気体清浄装置1の排気口7は作業場40の気体導入口42に接続され、気体清浄装置1で浄化された空気が作業場40に戻されるという循環型になっている。そのため、本例では、図1に示すように除湿管12を設けて空気中に残った水分も十分に取り除いた上で循環することが好ましい。
【0031】
本例に基いて、気体清浄装置の使用方法および作用について説明する。液槽5には液体として水を基準高さまで入れておく。送風機43を作動させることによって、空気を気体導入口6より第1室2に送り込む。噴霧ノズル8により液槽5の水をミストとして第1室2に噴出する。空気は進行しながらミストと混合され、空気中に含まれる粉塵の一部は水滴中に取り込まれる。
【0032】
空気は液槽5へ向けて進行し、液面に当たる。図14は気体清浄装置の作用を示す正面図、図15は同E断面図である。液面に達した空気は、噴き出しゲート板9に沿って先端方向に流れ、噴き出しゲート板9の先端で水を水滴として噴き上げながら液体噴き上げ部材10の先端部の曲面部に当たる。この曲面部は上向きになっており、空気は水滴を噴き上げて第2室3に進入する。空気中の粉塵などの異物の一部は液槽5の水に取り込まれて液槽5に沈殿するが、残りの異物は水滴に取り込まれる。
【0033】
液体噴き上げ部材10を通過して、水滴と共に噴き上げられた空気は、液体回収部材11を通る。図16は集液部材の作用を示す概念図、図17は同断面図である。水滴を含む空気は多数本の集液部材15に接しながら進行する。第1曲線部17が風上側に面しているので、風は第1曲線部17に強く当たる。空気中に含まれる水滴は、この第1曲線部17に付着する。また、第1室2および液槽5を通過する際に水に接触せずに空気中に残った粉塵は、集液部材15の表面に付着した水滴と接することによって、水滴中に取り込まれる。
【0034】
付着した水滴は風圧を受けて、第1曲線部17に沿って移動する。そして、第3曲線部19または第4曲線部20を経て、第2曲線部18で形成される溝に入る。集液部材15の外周は連続した滑らかな曲線で構成されているので、水滴は第1曲線部17から溝16までスムーズに移動する。付着した水滴は風圧によって風下側の溝16まで導かれ、移動中に再び空気中に戻りにくい。
【0035】
溝16は風下を向いており、ほとんど風圧を受けない。溝16に進入した水滴は、重力により溝16を通って下降する。すなわち、この集液部材15は空気中の水滴を付着させて回収するとともに、溝16によって液槽5に導く樋として作用する。
【0036】
集液部材15は上部保持板22と下部保持板23によって支持されている。上部保持板22と下部保持板23には集液部材15を通すための穴が集液部材15の本数分の個数形成されている。集液部材15の下端部の第1曲線部には、ストッパーとなる突起部15aが設けられている。集液部材15の上端部を上部保持板22の穴に通し、ついで下端部を下部保持板23の穴に通せば、簡単に集液部材15を設置できる。突起部15aがスットパーとして機能し、集液部材15の下降が妨げられるのでネジ等を使用しなくても設置できる。取り外しおよび交換も簡単である。上部保持板22の穴は集液部材15の外周とほぼ同形状であり、装着したときに隙間がほとんど生じない。したがって、空気はほとんど通過しない。下部保持板23の穴は、下部は集液部材15の第1曲線部17に沿っているが、上部は大きく開いており集液部材15の溝16を塞がないようになっている。この上部の穴の広い部分が液体通過領域となっている。溝16を通って降りてきた水分は、下部保持板23を通過して液槽5に落下する。こうして、水滴中に含まれた粉塵等の異物とともに液槽5に回収される。
【0037】
液体回収部材11を通過した空気は水分と共に粉塵等も除去され、清浄になっている。これを排気口7より排出してもよいが、本例では液体回収部材11と排気口7の間に除湿管12が設けられている。除湿管12は中を通る冷媒によって冷却されている。空気が除湿管12の間を通るとき、含まれている水蒸気が除湿管12の表面で水滴となって付着し、空気から除去される。こうして、湿度を下げた後に排気口7より排出されて、作業場40へ戻される。なお、排気口7の入口や、排気口7から作業場40の気体導入口42までの途中にフィルターを入れて、浄化を高めてもよい。すでに気体中に残留している異物は少ないので、フィルターは汚れにくく、フィルターの寿命は長い。
【0038】
気体清浄装置1によって気体から除去された粉塵等の異物は液槽5に溜まる。液体中に溶けない成分は、液槽5の底に沈殿・堆積する。バルブを常時、あるいは定期的に開いて堆積物を排出してもよい。また、定期的に気体清浄装置1を停止して、点検・保全を行う際に、液槽5から堆積物をかき出して、扉30より取り出してもよい。
【0039】
図18は気体清浄装置の使用方法の別の例を示す概念図である。作業場50の排気口51と気体清浄装置1の気体導入口6は接続されていている。作業場50は塗料の粉や粉塵などの発生しやすい場所であり、たとえば塗装工場などである。本例の気体清浄装置1も図1に示すものと同じでよいが、冷媒循環管24は省略してもよい。作業場50と気体清浄装置1は建屋60の中に設けられている。
【0040】
作業場50で発生した異物を含む空気は気体導入口6より気体清浄装置1に導入される。気体清浄装置1による浄化は前述の例と同様である。浄化された空気は排気口7より気体清浄装置1から排出される。本例では、この空気は作業場50に戻されず、排気管52を通して建屋60の外に排出される。
【0041】
排気管52は建屋60の外では、壁に沿って上に延び、屋根の高さまで達してから、屋根の方向に向いて曲がった屈曲部を有する。そして、この先端は建屋60の屋根に向いている。気体清浄装置1を通過した空気は浄化されているが、それを外部に向けて直接放出することを避けることによって印象を良くし、近隣との関係を良好にするのに資する。
【0042】
以上、塗装工場や工作場などの空気の浄化を説明したが、この発明は精密機器生産工場用クリーンルームや病院の無菌室、あるいはイベント会場の空気浄化などにも適用できる。この場合、除湿棒の下流にはフィルターを設けることが好ましい。また、液体としては水以外を使用してもよい。たとえば、ウィルス対策として、次亜塩素酸水を使用し、ウィルスを破壊することができる。
【符号の説明】
【0043】
1.気体清浄装置
2.第1室
3.第2室
4.仕切り壁
5.液槽
6.気体導入口
7.排気口
8.噴霧ノズル
9.噴き出しゲート板
10.液体噴き上げ部材
11.液体回収部材
12.除湿管
13.ストレーナ
14.給液管
15.集液部材
16.溝
17.第1曲線部
18.第2曲線部
19.第3曲線部
20.第4曲線部
21.貫通孔
22.上部保持板
23.下部保持板
24.冷媒循環管
25.供給管
26.供給口
27.フロート
28.排出口
29.バルブ
30.扉
31.扉
40.作業場
41.排気口
42.気体導入口
43.送風機
50.作業場
51.排気
52.排気管
60.建屋
図1
図2
図3
図4
図5
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