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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151900
(43)【公開日】2022-10-11
(54)【発明の名称】がん治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20221003BHJP
   A61F 7/12 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61F7/00 320B
A61F7/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021168416
(22)【出願日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2021054452
(32)【優先日】2021-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521132657
【氏名又は名称】坂本 義明
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義明
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA14
4C099CA20
4C099EA02
4C099EA05
4C099GA30
4C099JA01
(57)【要約】
【課題】加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御に頼らなくても正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができる低コストのがん治療装置を提供する。
【解決手段】患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、
開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部と、を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項2】
前記加熱送風部を停止した状態で取り付けられることにより前記送風口を遮蔽し、前記加熱送風部の作動に先立たせて取り外されることにより前記送風口を開放するごみ侵入防止カバーを有することを特徴とする請求項1に記載のがん治療装置。
【請求項3】
前記加熱送風部は、前記送風口へ向かって加熱空気の送風断面積が小さくなるノズル部を有することを特徴とする請求項1に記載のがん治療装置。
【請求項4】
前記送風口を通じて送風される加熱空気を加湿する加湿部を有することを特徴とする請求項1に記載のがん治療装置。
【請求項5】
前記加湿部は、前記送風口を覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料と、前記シート材料に水を噴射する噴射器と、を有することを特徴とする請求項4に記載のがん治療装置。
【請求項6】
前記加湿部は、前記送風口を覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料と、前記シート材料に水を点滴する点滴部と、を有することを特徴とする請求項4に記載のがん治療装置。
【請求項7】
水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項8】
前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項9】
前記送風口は、開口した患者の口の外側の顔面にも加熱空気の送風が及ぶ円形の開口を有し、前記送風口における加熱空気の温度が60度C以下であることを特徴とする請求項1に記載のがん治療装置。
【請求項10】
前記加熱送風部は、ヘアドライヤーに用いられる円柱形の加熱送風部、又は小物品の加熱/乾燥に用いられるノズル付き円錐形の加熱送風部を有することを特徴とする請求項1に記載のがん治療装置。
【請求項11】
前記支持部は、前記加熱送風部を着脱可能に保持して、前記加熱送風部の高さと傾きを調整可能なスタンドであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項12】
口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む前記領域は、患者の呼吸に伴って声帯を通過する加熱空気により加温される喉頭であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項13】
患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、
開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部と、を有し、
前記がん組織を含む領域は、患者の呼吸に伴って口腔内を通過する加熱空気により加温されることを特徴とするがん治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を加熱空気により加温するがん治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体のがん組織を含む領域を体温よりも高い所定温度に加温したとき、がん細胞は人体の正常細胞に比べてより低い温度で増殖が停止したり死滅したりすることが知られている。そして、このようながん細胞の性質を利用して、周囲の正常細胞に重篤な被害を与えない範囲の体温よりも高い温度で人体のがん組織を含む領域を加温する各種のがん治療装置が開発されている。
【0003】
特許文献1には、人体のがん組織を含む領域を加温する加温装置と、加温される組織の温度を検出する温度検出装置と、検出された温度と予め設定した温度と時間の条件により加温装置をコントロールする制御装置と、を有するがん治療装置が提案されている。そして、特許文献1の段落0011には、肺、気管、咽頭等のがんの治療を行う形態として、気体を加温して噴出させる加温装置の記載がある。
【0004】
ここで、口腔内又は咽頭又は喉頭は粘膜で覆われており、粘膜の乾燥は好ましくない。このため、噴出させる気体として常識的にはスチーム(水蒸気)が考えられる。特許文献2には、ボイラで生じたスチームに水を噴霧して水と水蒸気の混合気体を形成し、混合気体の吐出口を患者の口に位置決めて、混合気体を患者の口で受け止める呼吸器系の治療装置が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-314437号公報
【特許文献2】特開2000-261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたがん治療装置は、人体のがん組織と正常組織を含む狭い範囲の領域を加温装置で加熱するものであるから、正常組織の過剰な温度上昇を防ぐために、加温される組織の温度検出装置を用いて精密な温度制御をしている。また、温度制御系を含めて病院への設置を前提とした大型の医療装置であるため、装置コストに加えて運転コスト、管理コストが高くなる。
【0007】
本発明は、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御に頼らなくても正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができる低コストのがん治療装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1のがん治療装置は、患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部と、を有する。
【0009】
請求項2のがん治療装置は、前記加熱送風部を停止した状態で取り付けられることにより前記送風口を遮蔽し、前記加熱送風部の作動に先立たせて取り外されることにより前記送風口を開放するごみ侵入防止カバーを有する。
【0010】
請求項3のがん治療装置は、前記加熱送風部は、前記送風口へ向かって加熱空気の送風断面積が小さくなるノズル部を有する。
【0011】
請求項4のがん治療装置は、前記送風口を通じて送風される加熱空気を加湿する加湿部を有する。
【0012】
請求項5のがん治療装置は、前記加湿部が、前記送風口を覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料と、前記シート材料に水を噴射する噴射器と、を有する。
【0013】
請求項6のがん治療装置は、前記加湿部が、前記送風口を覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料と、前記シート材料に水を点滴する点滴部と、を有する。
【0014】
請求項7のがん治療装置は、水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有する。
【0015】
請求項8のがん治療装置は、前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有する。
【0016】
請求項9のがん治療装置は、前記送風口が、開口した患者の口の外側の顔面にも加熱空気の送風が及ぶ円形の開口を有し、前記送風口における加熱空気の温度が60度C以下である。
【0017】
請求項10のがん治療装置は、前記加熱送風部が、ヘアドライヤーに用いられる円柱形の加熱送風部、又は小物品の加熱/乾燥に用いられるノズル付き円錐形の加熱送風部を有する。
【0018】
請求項11のがん治療装置は、前記支持部が、前記加熱送風部を着脱可能に保持して、前記加熱送風部の高さと傾きを調整可能なスタンドであることを特徴とする。
【0019】
請求項12のがん治療装置は、口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む前記領域が、患者の呼吸に伴って声帯を通過する加熱空気により加温される喉頭である。
【0020】
請求項13のがん治療装置は、患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部と、を有し、前記がん組織を含む領域は、患者の呼吸に伴って口腔内を通過する加熱空気により加温されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1のがん治療装置によれば、口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を加熱空気で加熱するので、人体が有する正常な体温調節機能と呼吸機能が維持されて、当該領域の加温の継続が苦痛になり難い。また、正常な体温調節機能によって正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができるため、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御をする必要がなく、温度制御系を含めて全体を小型の機器にまとめることが容易になり、装置コスト、運転コスト、管理コストが低くなる。また、支持部を有するため、加熱送風部を手持ち保持する必要がない。したがって、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御に頼らなくても正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができる低コストのがん治療装置を提供することができる。
【0022】
請求項2のがん治療装置によれば、ごみ侵入防止カバーを取り付けて加熱送風部が停止している間に送風口からごみが侵入することを防止できるから、加熱送風部の長時間停止後の動作時にごみを患者の気管に誤飲させる可能性を減らすことができる。
【0023】
請求項3のがん治療装置によれば、ノズル部によって加熱送風部が送風する加熱空気を開口した口の中に集中できるので、開口した口の周りに加熱空気が強く送風されることによる苦痛を軽減できる。
【0024】
請求項4のがん治療装置によれば、加湿部を有するため、乾燥した加熱空気による口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜の過剰な水分蒸発や乾燥による粘膜損傷を回避することができる。
【0025】
請求項5のがん治療装置によれば、噴射器によって水を噴射されたシート材料を加熱空気が通過する際に加熱空気が加湿される。
【0026】
請求項6のがん治療装置によれば、点滴部によって水を点滴されたシート材料を加熱空気が通過する際に加熱空気が加湿される。
【0027】
請求項7のがん治療装置によれば、水の噴射器から口を通じて口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜に水分供給するため、乾燥した加熱空気による口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜の過剰な水分蒸発や乾燥による粘膜損傷を回避することができる。
【0028】
請求項8のがん治療装置によれば、患者が直接水分補給指示部の指示に従って口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給を行うので、前記加熱送風部による加温の継続に伴って口腔内及び咽頭及び喉頭に発生するおそれがある粘膜の部分的な乾燥を、未然に阻止することができる。
【0029】
請求項9のがん治療装置によれば、送風口を形成する円形の開口の中心部を通過する強い流れの加熱空気が患者の口を通じて口腔内又は咽頭又は喉頭の奥まで届く一方、送風口の円形の開口の周縁部を通過する弱い流れの加熱空気が患者の口の周囲に吹き付けて患者に加熱空気の温度を感じさせる。患者は、口の周りや口腔内の温度に敏感な部分で加熱空気を受けて、加熱空気の温度や送風方向のずれを認識し、自ら顔を動かして、あるいは加熱送風部の向きや位置を調整して、加熱空気の温度や送風方向のずれを調整できる。
【0030】
請求項10のがん治療装置によれば、加熱及び送風機能に関して既存のヘアドライヤー又は小物品の加熱/乾燥装置の分野で実績のある加熱送風部を利用するため、信頼性と安全性が高い加熱送風部を低コストで調達できる。
【0031】
請求項11のがん治療装置によれば、支持部から加熱送風部を着脱して交換することが容易である。支持部を調整して加熱送風部の高さと傾きを容易に設定可能である。
【0032】
請求項12のがん治療装置によれば、がん組織を含む喉頭の領域が、患者の呼吸に伴って患者の声帯を通過する加熱空気により加温される。
【0033】
請求項13のがん治療装置によれば、患者の口から送られた加熱空気は、酸素を多く含み、咽頭、声帯を通り気管支に入り、肺胞まで届きそこで、体内から戻って来た二酸化炭素と酸素が交換される。その為気管支にも、また食道や胃にも熱風が並行して届く為、あるいは加熱空気による加温が及ぶため、それらのがん組織を含む組織が体温よりも高い温度に加温される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施の形態1のがん治療装置の説明図であって、(a)はシート材料への水供給時、(b)は加温治療時である。
図2図1に示すがん治療装置の加熱送風部の構成を説明する模式的な断面図である。
図3】実施の形態1のがん治療装置による治療開始前の患者の喉頭のがん組織を含む領域の写真である。
図4】実施の形態1のがん治療装置による治療を90日続けた患者の喉頭のがん組織を含む領域の写真である。
図5】実施の形態2のがん治療装置の説明図である。
図6】実施の形態3のがん治療装置の説明図であって、(a)は加温治療位置、(b)は水分供給位置である。
図7】実施の形態4のがん治療装置の説明図であって、温度制御無しの小物品の加熱/乾燥に用いられる加熱送風部を使用した加熱送風部の模式的な断面図である。
図8】実施の形態4のがん治療装置における加温治療位置の説明図である。
図9】実施の形態4のがん治療装置による治療をさらに3.5カ月間頻度を落として続けた患者の喉頭がん消滅画像の写真である。
図10】数年前の患者の食道の写真である。白い範囲は表在がんで、それ以外はがんでは無いが表面が粗くがん化し易いと予測される。
図11】実施の形態1のがん治療装置による治療を受けた後の患者の食道の写真である。図10に比較してとても綺麗であり、がん化しそうも無い表面で、内視鏡検査も5分程度の短時間で終了した。検査医師も同様な発言をしていた。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の実施の形態1は、患者Kの実体験に基づいている。患者Kは、喉頭に喉頭がんのがん組織を有し、定期的に耳鼻咽喉科の病院に通って、放射線治療や手術等を受けることなく、がん組織の経過観察を受けている。患者Kは、市販の筒型のヘアドライヤーを改造して本発明に係るがん治療装置を自ら製作し、このがん治療装置を用いて自らの喉頭を加温する治療を行った。
【0036】
<実施の形態1>
図1(b)に示すように、実施の形態1における患者Kの口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域は、喉頭1の領域3,4であって、喉頭がんと診断されたがん組織を有する。領域3,4は、患者Kの口6から喉頭蓋2を越えて奥まった、加熱空気Eの直接の送風が届きにくい位置にあるが、呼吸に伴って領域3,4を通過する加熱空気Eによって効率的に加温される。
【0037】
がん治療装置10は、加熱空気Eにより患者Kのがん組織を含む領域3,4を加温する。加熱送風部11は、送風口11dを有し、開口した患者Kの口6に向かって外から送風口11dを通じて加熱空気Eを領域3,4に送風する。
【0038】
がん治療装置10は、開口した患者Kの口に向かって送風口11dを通じて加熱空気Eを送風するので、患者Kは、口6の周りや口腔内の温度に敏感な部分で加熱空気Eを受けて、加熱空気Eの温度や送風方向のずれを認識し、自ら顔を動かして、あるいは加熱送風部11の向きや位置を調整して、加熱空気Eの温度や送風方向のずれを調整できる。したがって、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御に頼らなくても、正常組織の過剰な温度上昇を防ぎつつ、がん組織を安定して加温し続けることができる。
【0039】
図2に示すように、加熱送風部11は、市販の筒型のヘアドライヤーの部品を改造した円柱形の加熱送風部であって、送風部(11f、11m)と加熱部(11g、11h、15b)と、を有する。加熱送風部11は、電源コード11aを通じて電力供給され、ファン11fをモーター11mで回転させて送風を行う。モーター11mの下流側にヒーターユニット11gが配置され、ヒーターユニット11gがファン11fの送風を加熱して加熱空気Eを形成する。一例として、加熱送風部11の長さは222mm、直径は40mm、送風口11dの内径は35mmである。100V仕様で出力450Wである。実施の形態1では、既存の筒型のヘアドライヤーの部品を転用することにより、信頼性と安全性が高い加熱送風部11を低コストで調達している。
【0040】
送風口11dは、開口した患者の口6の外側の顔面にも加熱空気Eの送風が及ぶ円形の開口11eを有する。具体的には、開口11eの内径は35mmである。送風口11dを形成する円形の開口11eの中心部を通過する強い流れの加熱空気Eが患者Kの口6を通じて口腔内又は咽頭又は喉頭の奥まで届く一方、送風口11dの開口11eの周縁部を通過する弱い流れの加熱空気が患者の口6の周囲に吹き付けて患者Kに加熱空気Eの温度と送風方向を感じさせる。
【0041】
制御部15及び直接水分補給指示部14は、加熱送風部11の外側面に設けられている。制御部15は、スイッチ15cを操作するごとに加熱送風部11をON/OFFさせるON/OFF制御部15aと、加熱空気Eの温度を所定温度に制御する温度制御部15bと、を有する。後者に関して、ヒーターユニット11gの出口側には温度センサー11hが設けられ、温度制御部15bがヒーターユニット11gの出口側の温度を所定温度に保つようにヒーターユニット11gへの供給電力を制御する。このため、周囲の気温によらず、加熱送風部11の送風口11dから送風される加熱空気Eの温度は所定温度に保たれる。
【0042】
ところで、現代医療における三大がん治療は、外科手術、放射線療法、抗がん剤療法と言われているが、これらは大きな副作用や後遺症を伴う。その理由の1つは、治療に伴ってがん組織だけでなく、多くの正常組織も切除したり、死滅させたりしているからである。ここで紹介した患者Kも外科手術及び放射線療法の治療を受けたが、後者では酷い嚥下障害を起こして全工程の2/3で治療継続を断念している。このような背景の下、本願の発明者は、がん組織だけを死滅又は衰弱させ、正常組織は温存させる方法論を思考した。先ず調べた事は、両者の物理的相違点である。それは、組織の弾力性が組織の死滅温度に違いをもたらしていることであった。がん細胞で構成されるがん組織は弾力が無く伸び縮み出来ないため、温度が上昇しても繋がっている血管サイズが変わらず、冷却効率に影響する血流量も変わらない。そのため、高温に弱いと考えられる。一方、弾力があって伸び縮み出来る正常細胞で構成される正常組織は、温度が上がると繋がっている血管が太くなり、血流が大きくなるため、冷却効率が上がる。そのため、高温に耐え得ると考えられる。具体的には、多くのがん細胞は42.5度で死滅し、多くの正常細胞は45度でも生き残ると言われている。したがって、42.5度と45度の中間温度を維持していれば、がん細胞のみが死滅することになる。
【0043】
そして、実施の形態1又は後述する実施の形態4のがん治療装置の最大の利点は、温度計等の測定器や温度センサーを使用せず、患者自身の口腔内の熱さ感覚で治療することである。
【0044】
実施の形態1又は実施の形態4では、熱を感じる部位は喉頭又は喉頭蓋で熱風方向と直交している。この部位で熱さを感じ、熱過ぎる場合は、熱風源を口元から少し遠ざける。熱さ不足の場合は熱風源を口元に近づける。極めて単純で直観的な温度制御である。これを毎日繰り返し、数日~数週間単位でがん組織の患部画像変遷を確認する治療日程を採用すればよい。この治療法によれば正常細胞は生き残り癌細胞だけが死滅する。その為、副作用や後遺症の無い理想的ながん治療装置が実現する。
【0045】
実施の形態1では、がん治療装置10の送風口11dにおける加熱空気の温度は60度C以下である。具体的には、送風口11dの下流側3~4cmの位置で加熱空気Eの温度が56度C、風速が6.1m/secであった。また、後述する実施の形態4のがん治療装置40では、同様の位置で温度106.5℃、風速6.2m/secであった。
【0046】
正常細胞の組織に比較して弾力の無いがん組織の中にある血管は、温められても拡張することができない為、がん組織の中の多くのがん細胞は比較的に低温の42.5度C付近でも死んでいくと考えられる。これに対して弾力の有る正常細胞の組織では、温められると血管が拡張して血液がたくさん流れることによって血液が車のラジエーターのように細胞から熱を運び去ってくれる為、多くの正常細胞は、より高温の45度C付近に温められても生き残ると考えられる。
【0047】
これに対して、上述した加熱空気Eと同じ温度の水蒸気で領域3,4を加熱する場合、水蒸気の潜熱で正常組織を蒸し焼きにする可能性がある。粘膜の乾燥は回避できるが、水分蒸発による体温調整が機能しなくなり、正常細胞の過剰な温度上昇を招く場合がある。水蒸気では、呼吸の継続が困難で息苦しさや苦痛を伴うこともあるから、領域3,4の加温と温度保持を加熱空気ほどには長時間継続できない。
【0048】
また、加熱送風部11は、シリコンゴムを用いて加熱送風部11の先端部を封止して密着保持されるように形成されたごみ侵入防止カバー11kを有する。ごみ侵入防止カバー11kは、加熱送風部11を停止した状態で取り付けられて送風口11dを遮蔽し、加熱送風部11の作動に先立たせて取り外されて送風口11dを開放する。ごみ侵入防止カバー11kは、加熱送風部11の停止中に侵入したごみが次の作動時に送風口11dから放出されることを防止して、加熱送風部の停止後の作動時にごみを気管に誤飲させる可能性を減らす。
【0049】
また、がん治療装置10又は後述するがん治療装置40は、支持部12を有するため、領域3,4の加温を行っている間、加熱送風部11を手持ち保持する必要がない。支持部12は、加熱送風部11を着脱可能に保持する。支持部12は、市販のマイクスタンドを改造したものであって、マイクロフォンの代わりに加熱送風部11の円筒部11bを着脱自在に保持するクランプ部12aを取り付けている。ベース12dには伸縮可能な柱部12cが固定されている。柱部12cとクランプ部12aとは、角度調整可能な関節部12bで連結されている。患者Kは、支持部12の前に着席して、支持部12の柱部12cの長さと関節部12bの角度を調整することにより、開口した患者Kの口6に加熱送風部11の送風口11dを位置決めることができる。
【0050】
図1(a)に示すように、加湿部13は、送風口11dを通じて患者Kの口6に向かって送風される加熱空気Eを加湿する。加湿部13は、送風口11dを覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料11cと、シート材料11cに水を噴射する噴射器13aと、を有する。噴射器13aは、スプレー13cを指で押し込むと、スプレーボトル13bから吸い上げた水をスプレー13cから噴射する。そして、噴射器13aによって水を噴射されて濡れたシート材料11cを加熱空気Eが通過する際に加熱空気Eがシート材料11cを介して間接的に加湿される。実施の形態1では、図1(a)に示すように、患者Kは、1分に1回の頻度で加湿部13を操作してシート材料11cに水を含ませる。続いて、図1(b)に示すように、加熱送風部11を作動させて、送風口11dを通じて喉頭1に加熱空気Eを送風する。送風される加熱空気Eはシート材料11cを通過する過程で加湿される。
【0051】
加湿部13は、加熱空気Eを加湿するので、乾燥した加熱空気による口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜の過剰な水分蒸発を阻止して、粘膜表面の乾燥に伴う粘膜損傷や感染症を回避することができる。粘膜表面の乾燥を避けることで、粘膜の正常な温度調整機能や免疫機能が維持される。したがって、がん治療装置10は、加熱空気Eの呼吸を継続しつつ、粘膜の生体機能を損なうことなく、長時間にわたって口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域3,4を加温し続けることができる。
【0052】
ところで、がん治療装置10を用いた加温の途中で口腔内及び咽頭及び喉頭の粘膜に直接水分補給を行うことは、これらの粘膜の機能を維持する観点から好ましい。このため、図2に示すように、直接水分補給指示部14を設けている。直接水分補給指示部14は、加熱送風部11の連続運転時間が所定時間に達すると、患者が口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給を行うようにディスプレイ14aの表示とスピーカー14bの音声とで指示する。具体的にはディスプレイ14aに60秒間のカウントダウンを数字にて表示し、カウントが0になるとスピーカー14bからブザー音を再生している。なお、口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給は、患者Kがペットボトルの水を飲むことでもよく、後述する実施の形態3のように、患者が噴射部33を操作することにより、口腔内8又は咽頭7又は喉頭1に水分を直接噴射してもよい。また、直接水分補給指示部14には、患者Kが噴射器13aを用いたシート材料11cへの水の噴射をうっかり忘れないための注意を喚起する目的もある。
【0053】
以上のように構成されたがん治療装置10を用いて、患者Kは、領域3,4に対する1日30分~2時間の加温治療を90日間継続した。
【0054】
図3に示すように、内視鏡で撮影された治療開始前2020年9月2日の患者Kの喉頭1の写真には、喉頭1の右仮声帯である領域3と左仮声帯である領域4とが撮影されている。領域3と領域4の内側に右声帯3a、左声帯4aが連続し、領域3,4の手前側は喉頭蓋2である。領域3には破線で囲んだ盛り上がりDがある。盛り上がりDは喉頭がんと診断されていた。
【0055】
図4に示すように、治療継続後2021年2月3日の患者Kの喉頭1の写真には、喉頭1の右仮声帯である領域3と左仮声帯である領域4とが撮影されている。図4の領域3の破線で囲んだ喉頭がんの盛り上がりDは、図3の領域3の破線で囲んだ盛り上がりDよりも縮小していた。
【0056】
これに伴って、患者Kは、自覚症状として、発声及び会話が楽になり、会話が増えて声も大きくなった。患者Kは、喉頭の喉頭がんのがん組織が縮小している旨の医師の診断結果を受けて、声帯の全摘出手術を免れた。その後、患者Kは、喉頭がんの更なる縮小を目指して、又がんの温熱抗体を避ける為、頻度を週2回、1回の治療時間を1~2時間に減らして、後述する実施の形態4のがん治療装置40を用いた口腔内の加熱治療を継続している。図9は、実施の形態4のがん治療装置40による治療を、このように頻度を落としてさらに3.5か月間続けた患者Kの喉頭領域の写真である。図4と比較して喉頭がんの盛り上がりがさらに減少している。その後、診断した担当医師から、患者Kは、喉頭がんがほぼ消滅していることを告知された。がんは弾力が無い(固い)為、動画で喉頭観察すると発声時の動きがスムーズではない。最終的には動的観察も含め結論付けている。
【0057】
ところで、上述した喉頭がんの治療において、実施の形態1のがん治療装置10は、食道がんと胃がんと気管支がんと肺がんのうちのいずれかの器官におけるがん治療装置としても利用できることが判明した。喉頭がんの治療期間において、患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官の組織を含む領域が体温よりも高い温度に継続して加温されていた。食道及び胃系統は、咽頭及び喉頭と同様性質の経路である故に、同様のがん治療で効果が有ると考えられる。食道や咽頭の壁面は、熱風圧力が相対的に小さいので、表在がんのように浅いがん組織に対してより有効的である。その為、食道の表面は綺麗であった。ちなみに喉頭がんは分厚かったが、送風方向と直交していたから大きな圧力を受けて必要な温度上昇とがん消滅力が得られたと考えられる。
【0058】
<実施の形態2>
図5に示すように、実施の形態2のがん治療装置20は、実施の形態1で説明した加熱送風部11と同一の構成部材を含む。このため、図5の加熱送風部11には、図1図2と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0059】
がん治療装置20の加湿部23は、加熱送風部11に設けたシート材料11cに対する水の供給を自動的に実行する。加湿部23は、送風口11dを覆って設けた通風性及び親水性を有するシート材料11cと、シート材料11cに水を点滴する点滴部23aと、を有する。
【0060】
点滴部23aは、水容器23bから取り出した水を、点滴筒23cにより点滴し、流量調節器23d及びチューブ23eを経由してシート材料11cに供給する。流量調節器23dは、点滴筒23cの点滴速度を調整する。そして、加熱送風部11を作動させたとき、点滴部23aによって水を供給されたシート材料11cを加熱空気Eが通過する際に加熱空気Eが加湿される。そして、加湿された加熱空気Eによる領域3,4の加熱治療は、実施の形態1と同様に再現される。
【0061】
<実施の形態3>
図6(a)、(b)に示すように、実施の形態3のがん治療装置30は、実施の形態1で説明した構成部材と同一の構成部材を含む。このため、図6(a)、(b)の加熱送風部11及び噴射器13aには、図1図2の対応する構成部材と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
がん治療装置30は、患者Kがターンテーブル31を操作して、加熱送風部11と噴射部33を交換可能である。ターンテーブル31は、ベース34とテーブル32を回転軸35により回転自在に連結したものである。図6(a)は加温治療位置、図6(b)は加湿位置である。
【0063】
図6(a)に示すように、患者Kは、がん治療装置30を加温治療位置に設定して加熱送風部11を作動させることにより、加熱空気Eにより喉頭1の領域3,4を加温する。そして、加熱空気Eによる喉頭1の領域3,4の加熱治療は、実施の形態1と同様に再現される。
【0064】
図6(b)に示すように、患者Kは、がん治療装置30を水分供給位置に設定して噴射部33を操作することにより、口腔内8又は咽頭7又は喉頭1のがん組織を含む領域3,4に水分を直接噴射して供給する。このため、加熱送風部11は、実施の形態1のシート材料(11c:図1)を有しない。
【0065】
噴射部33は、噴射器13aを有し、開口した患者Kの口腔内8に噴射器13aにより水を噴射する。加熱送風部11を用いた前回の加温治療によって水分が少なくなった表面粘膜に水分を散布して、次回の加温治療における加熱空気Eの加湿に備える。噴射器13aは、スプレー13cを指で押し込むと、スプレーボトル13bから吸い上げた水をスプレー13cから噴射する。
【0066】
噴射部33は、患者の口6を通じて口腔内8又は咽頭7又は喉頭1の粘膜に直接水分供給するため、乾燥した加熱空気による口腔内8又は咽頭7又は喉頭1の粘膜の過剰な水分蒸発や乾燥による粘膜損傷や感染症を回避することができる。
【0067】
図2に示すように、直接水分補給指示部14は、加熱送風部11による所定時間の加温継続ごとに、患者に対して、患者自身による口腔内及び咽頭及び喉頭への直接水分補給を指示する。直接水分補給指示部14は、加熱送風部11による加熱空気の送風時間が所定時間に達すると、患者が口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給を行うようにディスプレイ14aの表示とスピーカー14bの音声とで指示する。直接水分補給指示部14の指示に応じて、患者は、スイッチ15cを操作して加熱送風部11を停止させた後に、噴射部33を操作して、口腔内8又は咽頭7又は喉頭1に水分を直接噴射する。なお、上述したように、口腔内及び咽頭及び喉頭に対する直接の水分補給は、患者がペットボトルの水を飲むことでもよい。
【0068】
<実施の形態4>
実施の形態1では、ヘアドライヤーに用いられる円柱形の加熱送風部を改造した加熱送風部を使用した実施の形態を説明した。しかし、実施の形態1のがん治療装置10は、加熱空気Eの一部が口6の周りに送風されるため、患者Kは、時間経過に伴って加熱空気Eによる口6の周りの加熱による不快感が高まることが判明した。そこで、実施の形態4では、空気加熱ツールに用いられるノズル付き円錐形の加熱送風部を改造した加熱送風部を使用している。この空気加熱ツールは、小物品の加熱/乾燥に用いられる市販品であってノズル部で絞り込まれた先端から加熱空気を送風する。この空気加熱ツールの加熱送風部は、ヘアドライヤーの加熱送風部よりも少ない送風量と高い温度で加熱空気を先端から円錐状に送風するものであって、熱収縮材料の収縮加工、手工芸材料の乾燥/加熱/硬化、塗装の乾燥、接着剤の硬化等、多目的に利用されている。図7図8に示すように、実施の形態4のがん治療装置40は、実施の形態1で説明したがん治療装置10と殆ど同一であるが、図2に示す温度センサー11h及び温度制御部15bを有しないオープンループの加熱を行う。また、図1に示すシート材料11cを有さず、図7に示すように直接水分補給指示部14が指示したら、実施の形態3で説明したように、患者が噴射器13a等を操作して自ら口腔内の加湿を行うものである。なお、図7図8中、実施の形態1~3で説明した構成と共通する構成には図1図6と共通の符号を付して重複する説明を省略している。
【0069】
図7に示すように、がん治療装置40の加熱送風部11は、ヒーターユニット11gから送風口11dへ向かって加熱空気の流路11jの断面積(送風断面積)が小さくなる円錐形のノズル部11iを有する。サイズの一例として、加熱送風部11の長さは182mm、直径は32mm、送風口11dの内径は8mmである。がん治療装置40の加熱送風部11は、着脱自在であって加熱送風部11の先端部の一周に密着保持される円錐状のごみ侵入防止カバー11kを有する。がん治療装置40の加熱送風部11は、出力の一例として、100V仕様で出力150Wである。図8に示すように、がん治療装置40の加熱送風部11は、支持部12を調整して、図1に示すがん治療装置10の加熱送風部11よりも送風口11dを口6の近くに位置決めた状態で使用される。がん治療装置40の加熱送風部11は、ノズル部11iを用いて、加熱送風部11が送風する加熱空気Eを開口した患者Kの口腔の中に集中できるので、開口した口6の周りに加熱空気が送風されることによる熱の苦痛を軽減できる。がん治療装置40の加熱送風部11は、実施の形態3のがん治療装置30においても利用可能である。なお、その後の実験を通じて、患者Kは、極めて短期間でがん治療装置40の操作に習熟し、自身の口腔内の加熱空気Eの当たり具合から加熱空気Eの温度や送風方向のずれを認識して、加熱空気Eの温度や送風方向のずれを調整できるようになることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0070】
実施の形態1~4のがん治療装置によれば、正常組織の過剰な温度上昇や表面粘膜の乾燥を回避しつつ、口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に保つ加温治療を安定して行うことができる。そして、実施の形態1~4のがん治療装置によって加温治療が可能な口腔内又は咽頭又は喉頭のがんは、喉頭がん以外に、咽頭がん、口腔がんがある。
【0071】
がん治療装置の具体的な構成及び寸法は、実施の形態1~4で説明した内容には限定されない。実施の形態1~4のがん治療装置は、スプレーの手動操作により水分供給を行ったが、モーター駆動で加圧した水をノズルから噴射して水分供給を行ってもよい。加熱送風部11の運転/停止及び噴射部33の運転/停止はモーターと制御装置を用いて自動化してもよい。加温治療位置と加湿位置の切り替えはターンテーブル31以外の機構、例えばスライドテーブル、エレベータテーブルで行ってもよく、これらの動作はモーターと制御装置を用いて自動化してもよい。
【0072】
実施の形態1及び実施の形態4では、支持部12により支持された加熱送風部11を用いる実施の形態を説明したが、加熱送風部11は手持ち支持されてもよい。すなわち、加熱送風部11から断熱(例えば隙間を介して)加熱送風部11に設けられ、加熱送風部11を手持ち支持して加熱空気の流れを開口した患者の口に位置決め可能な手持ち部の一例として円筒部11bを有する。加熱送風部11から送風された加熱空気が、口腔、咽頭、及び喉頭を通過する過程で、患者が喉頭又は喉頭蓋に当たる加熱空気の温度認識に基づいて自ら手持ち部により加熱送風部11の位置及び傾きを微調整する。即ち、患者自身が喉頭蓋や喉頭を熱いと感じたら、患者自身が少しがん治療装置10の位置を喉頭蓋や喉頭から遠ざける。このとき、口より送り込まれた加熱空気の温度検出を高い感度で認識する部位は、口腔内の送風方向と直交又は交差角度が大きい部位である喉頭蓋、喉頭の二ヶ所である。その理由は、加熱空気Eの圧力を大きく受けるため大きな温度感度を有するからである。
【0073】
なお、加熱送風部は、通過する空気を各種のヒーターで加熱して加熱空気を作り出す加熱送風部を広く含む。加熱送風部は、加熱空気の流量が変化しても所定温度を保った加熱空気を出力するものでもよい。治療室の温度が変化しても所定温度を保った加熱空気を出力するものでもよい。固定のワット数のヒーターに固定の電圧を印加するものでもよい。また、実施の形態1~4では、がん治療装置それ自体は、「口腔内の加熱される組織の温度をフィードバックしないで予め設定された温度の加熱空気を送風して加温を行っている。しかし、医師や技術者が治療行為の予備検査として患者ががん治療装置を所定時間作動させた後に赤外線温度センサー等を用いて治療部分の温度を測定してもよい。医師や技術者がその温度測定結果を考慮して、がん治療の効果が改善される方向にがん治療装置の温度設定を調整してもよい。医師や技術者によって調整されたがん治療装置を持ち帰って、患者が自宅治療を行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 喉頭
2 喉頭蓋
3 領域
4 領域
5 気管
6 口
10 がん治療装置
11 加熱送風部
11a 電源コード
11b 円筒部
11c シート材料
11d 開口部
11f ファン(送風部)
11g ヒーターユニット(加熱部)
11h 温度センサー(加熱部)
11i ノズル部
11j 流路
11k ごみ侵入防止カバー
11m モーター
12 支持部
12a クランプ部
12b 関節部
12c 柱部
12d ベース
13 加湿部
13a 噴射器
13b スプレーボトル
13c スプレー
14 直接水分補給指示部
14a ディスプレイ
14b スピーカー
15 制御部
15a ON/OFF制御部
15b 温度制御部(加熱部)
15c スイッチ
23 加湿部
23a 点滴部
23b 水容器
23c 点滴筒
23d 流量調節器
23e チューブ
31 ターンテーブル
32 テーブル
33 噴射部
34 ベース
35 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の請求項1のがん治療装置は、患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有するとともに、水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2のがん治療装置は、患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有するとともに、前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内に直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項3のがん治療装置は、患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官に おけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有し、前記がん組織を含む領域は、患者の呼吸に伴って口腔内を通過する加熱空気により加温され、水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項4のがん治療装置は、患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有し、前記がん組織を含む領域は、患者の呼吸に伴って口腔内を通過する加熱空気により加温され、前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内に直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項5のがん治療装置は、前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部を有することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項6のがん治療装置は、前記加熱送風部の手持ち位置は、手持ち可能な温度と直径を有するように構成されていることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項7のがん治療装置は、前記加熱送風部を手持ち支持することが可能な手持ち部を有し、前記加熱送風部は、患者が前記手持ち部を手持ち支持して、開口した患者自身の口腔内に送風し、患者が患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項8のがん治療装置は、前記加熱送風部を所定位置に支持する支持部を有し、前記加熱送風部を前記支持部に支持させた状態で患者が前記送風口に開口した口を位置決めて患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、頭を動かして前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の請求項1又は請求項2のがん治療装置によれば、口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を加熱空気で加熱するので、人体が有する正常な体温調節機能と呼吸機能が維持されて、当該領域の加温の継続が苦痛になり難い。また、正常な体温調節機能によって正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができるため、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御をする必要がなく、温度制御系を含めて全体を小型の機器にまとめることが容易になり、装置コスト、運転コスト、管理コストが低くなる。したがって、加温される組織の温度検出装置を用いた精密な温度制御に頼らなくても正常組織の過剰な温度上昇を防ぐことができる低コストのがん治療装置を提供することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
がん治療装置の一例によれば、ごみ侵入防止カバーを取り付けて加熱送風部が停止している間に送風口からごみが侵入することを防止できるから、加熱送風部の長時間停止後の動作時にごみを患者の気管に誤飲させる可能性を減らすことができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
がん治療装置の一例によれば、ノズル部によって加熱送風部が送風する加熱空気を開口した口の中に集中できるので、開口した口の周りに加熱空気が強く送風されることによる苦痛を軽減できる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
がん治療装置の一例によれば、加湿部を有するため、乾燥した加熱空気による口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜の過剰な水分蒸発や乾燥による粘膜損傷を回避することができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
がん治療装置の一例によれば、噴射器によって水を噴射されたシート材料を加熱空気が通過する際に加熱空気が加湿される。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
がん治療装置の一例によれば、点滴部によって水を点滴されたシート材料を加熱空気が通過する際に加熱空気が加湿される。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
請求項1又は請求項3のがん治療装置によれば、水の噴射器から口を通じて口腔内に水分供給するため、乾燥した加熱空気による口腔内又は咽頭又は喉頭の粘膜の過剰な水分蒸発や乾燥による粘膜損傷を回避することができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
請求項2又は請求項4のがん治療装置によれば、患者が直接水分補給指示部の指示に従って口腔内に対する直接の水分補給を行うので、前記加熱送風部による加温の継続に伴って口腔内及び咽頭及び喉頭に発生するおそれがある粘膜の部分的な乾燥を、未然に阻止することができる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
がん治療装置の一例によれば、送風口を形成する円形の開口の中心部を通過する強い流れの加熱空気が患者の口を通じて口腔内又は咽頭又は喉頭の奥まで届く一方、送風口の円形の開口の周縁部を通過する弱い流れの加熱空気が患者の口の周囲に吹き付けて患者に加熱空気の温度を感じさせる。患者は、口の周りや口腔内の温度に敏感な部分で加熱空気を受けて、加熱空気の温度や送風方向のずれを認識し、自ら顔を動かして、あるいは加熱送風部の向きや位置を調整して、加熱空気の温度や送風方向のずれを調整できる。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
がん治療装置の一例によれば、加熱及び送風機能に関して既存のヘアドライヤー又は小物品の加熱/乾燥装置の分野で実績のある加熱送風部を利用するため、信頼性と安全性が高い加熱送風部を低コストで調達できる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
がん治療装置の一例によれば、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持する支持部を有する。支持部から加熱送風部を着脱して交換することが容易である。支持部を調整して加熱送風部の高さと傾きを容易に設定可能である。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
がん治療装置の一例によれば、がん組織を含む喉頭の領域が、患者の呼吸に伴って患者の声帯を通過する加熱空気により加温される。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
請求項3又は請求項4のがん治療装置によれば、患者の口から送られた加熱空気は、酸素を多く含み、咽頭、声帯を通り気管支に入り、肺胞まで届きそこで、体内から戻って来た二酸化炭素と酸素が交換される。その為気管支にも、また食道や胃にも熱風が並行して届く為、あるいは加熱空気による加温が及ぶため、それらのがん組織を含む組織が体温よりも高い温度に加温される。
【手続補正27】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有するとともに、
水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項2】
患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有するとともに、
前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内に直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項3】
患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有し、
水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項4】
患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部を有し、
前記加熱送風部による加温が所定時間に達すると、患者に対して口腔内に直接の水分補給を指示する直接水分補給指示部を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項5】
前記加熱送風部は、前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項6】
前記加熱送風部の手持ち位置は、手持ち可能な温度と直径を有するように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項7】
前記加熱送風部を手持ち支持することが可能な手持ち部を有し、
前記加熱送風部は、患者が前記手持ち部を手持ち支持して、開口した患者自身の口腔内に送風し、患者が患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【請求項8】
前記加熱送風部を所定位置に支持する支持部を有し、
前記加熱送風部を前記支持部に支持させた状態で患者が前記送風口に開口した口を位置決めて患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、頭を動かして前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のがん治療装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の請求項1のがん治療装置は、患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部と、を有するとともに、前記加熱送風部は、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部の外周を片手で握って手持ち支持することが可能であって前記加熱送風部による前記領域の加温を継続した状態で手持ち可能な温度と直径を有する円筒形の手持ち部と、前記加熱送風部に設けられ、前記送風口から送風された加熱空気が患者の口の周りに送風されないように前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部と、を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2のがん治療装置は、患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射する噴射部と、を有するとともに、前記加熱送風部は、開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部の外周を片手で握って手持ち支持することが可能であって前記加熱送風部による前記領域の加温を継続した状態で手持ち可能な温度と直径を有する円筒形の手持ち部と、前記加熱送風部に設けられ、前記送風口から送風された加熱空気が患者の口の周りに送風されないように前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部と、を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項3のがん治療装置は、前記加熱送風部による前記領域の加温が所定時間に達すると、患者に対して前記噴射部による水分補給を指示する直接水分補給指示部を有する
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項のがん治療装置は、前記加熱送風部は、患者が前記手持ち部を手持ち支持して、開口した患者自身の口腔内に送風し、患者が患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項のがん治療装置は、前記加熱送風部を所定位置に支持する支持部を有し、前記加熱送風部を前記支持部に支持させた状態で患者が前記送風口に開口した口を位置決めて患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、頭を動かして前記加熱送風部を口元 から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔内又は咽頭又は喉頭のがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を先端の送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、
水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射して水分補給を行うことが可能な噴射部と、を有するとともに、
前記加熱送風部は、
開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部の外周を片手で握って手持ち支持することが可能であって前記加熱送風部による前記領域の加温を継続した状態で手持ち可能な温度と直径を有する円筒形の手持ち部と、
前記加熱送風部に設けられ、前記送風口から送風された加熱空気が患者の口の周りに送風されないように前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部と、を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項2】
患者の食道と胃と気管支と肺のうちのいずれかの器官におけるがん組織を含む領域を体温よりも高い温度に加温するがん治療装置であって、
取り入れた空気を加熱及び送風して加熱空気を形成すると共に、形成された加熱空気を先端の送風口から開口した患者の口に向かって送風する加熱送風部と、
水の噴射器を有し、開口した患者の口腔内に前記噴射器により水を噴射して水分補給を行うことが可能な噴射部と、を有するとともに、
前記加熱送風部は、
開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部の外周を片手で握って手持ち支持することが可能であって前記加熱送風部による前記領域の加温を継続した状態で手持ち可能な温度と直径を有する円筒形の手持ち部と、
前記加熱送風部に設けられ、前記送風口から送風された加熱空気が患者の口の周りに送風されないように前記送風口へ向かって送風断面積が小さくなる円錐形のノズル部と、を有することを特徴とするがん治療装置。
【請求項3】
前記加熱送風部による前記領域の加温が所定時間に達すると、患者に対して前記噴射部による水分補給を指示する直接水分補給指示部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のがん治療装置。
【請求項4】
前記加熱送風部は、患者が前記手持ち部を手持ち支持して、開口した患者自身の口腔内に送風し、患者が患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のがん治療装置。
【請求項5】
開口した患者の口に前記送風口を位置決めて前記加熱送風部を支持することが可能な支持部を有し、
前記加熱送風部を前記支持部に支持させた状態で患者が前記送風口に開口した口を位置決めて患者自身の喉頭や喉頭蓋の熱さ感覚により、頭を動かして前記加熱送風部を口元から遠ざけたり近づけたりすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のがん治療装置。