(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151944
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】空調機ユニット及びその設置撤去方法
(51)【国際特許分類】
F24F 1/32 20110101AFI20221004BHJP
F24F 1/60 20110101ALI20221004BHJP
F24F 1/005 20190101ALI20221004BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20221004BHJP
F25B 41/40 20210101ALI20221004BHJP
【FI】
F24F1/32
F24F1/60
F24F1/005
F24F11/86
F25B41/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054506
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】598022956
【氏名又は名称】株式会社大同機械
(74)【代理人】
【識別番号】100169591
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】宮本 幸伯
【テーマコード(参考)】
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BB03
3L054BD03
3L260AB02
3L260BA61
3L260CB17
3L260FB02
(57)【要約】
【課題】エレベータに載せられる程度のコンパクトさと可搬性を備えながら、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とされた空調機ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の空調機ユニットは、第1冷媒回路を構成する第1熱交換器と圧縮機と第1圧力調整器とを備える室外機と、第2冷媒回路を構成する第2熱交換器と第2圧力調整器とを備える室内機と、第1と第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管とを備える空調機ユニットであって、室外機と室内機は、それぞれキャスタを備えて移動可能とされ、少なくとも一方は、第1及び第2冷媒配管を着脱可能なジョイント部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒回路を構成する第1熱交換器と圧縮機と第1圧力調整器とを備える室外機と、第2冷媒回路を構成する第2熱交換器と第2圧力調整器とを備える室内機と、前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管とを備える空調機ユニットであって、
前記室外機と前記室内機は、それぞれキャスタを備えて移動可能とされ、
前記室外機と前記室内機のうちの少なくとも一方は、前記第1及び第2冷媒配管を着脱可能なジョイント部を備える、
空調機ユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記室外機は前記第1冷媒回路に、前記第1熱交換器と前記第1及び第2冷媒配管とを遮断可能な第1弁及び第2弁と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1熱交換器側に冷媒回収器と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1及び第2冷媒配管側に排気ポンプとを備える、
空調機ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記室外機と前記室内機の少なくとも一方は、当該室外機または室内機が設置されたときに前記キャスタを床面から浮かせて、当該室外機または室内機を固定することが可能な固定機構をさらに備える、
空調機ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項において、前記室外機と前記室内機の少なくとも一方は、長手方向に自重を支えるに十分な剛性を持つ部材を、短手方向に略水平な位置に少なくとも2カ所備える、
空調機ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項において、前記室外機は制御部を備え、前記室内機は前記第2冷媒回路の少なくとも一部の冷媒の圧力を検知する圧力センサを備え、前記制御部は前記圧力センサが検知する圧力に基づいて前記圧縮機の出力を制御する、
空調機ユニット。
【請求項6】
請求項5において、前記制御部を第1制御部とし、前記室内機は第2制御部と温度センサとユーザーインターフェースとを備え、
前記第2制御部は、前記圧力センサが検知する圧力値と、前記温度センサが検出する温度と、前記ユーザーインターフェースから入力される制御情報とを前記第1制御部に伝送し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から入力される前記圧力値と前記温度と前記制御情報に基づいて、前記圧縮機の動作を制御する、
空調機ユニット。
【請求項7】
それぞれがキャスタを備えて移動可能とされる室外機と室内機と、前記室外機と前記室内機を接続し着脱が可能な第1及び第2冷媒配管とを備える空調機ユニットの設置及び撤去方法であって、
前記室外機は、第1熱交換器と圧縮機と第1圧力調整器とを含む第1冷媒回路を備え、
前記室内機は、第2熱交換器と第2圧力調整器とを含む第2冷媒回路を備え、
前記空調機ユニットは、前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管とを備え、
前記室外機は、さらに前記第1冷媒回路に、前記第1熱交換器と前記第1及び第2冷媒配管とを遮断可能な第1弁及び第2弁と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1熱交換器側に冷媒回収器と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1及び第2冷媒配管側に排気ポンプを備え、
前記空調機ユニットを設置する際には、
前記第1弁及び前記第2弁を閉じた状態で前記第1及び第2冷媒配管によって前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路とを接続する第1ステップと、
前記排気ポンプを動作させて前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内を排気する第2ステップと、
前記第1弁及び前記第2弁を開いて前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内に冷媒を供給する第3ステップを順次行い、
前記空調機ユニットを撤去する際には、
前記第1弁及び前記第2弁を開いた状態で、前記冷媒回収器を動作させて、前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内に冷媒を回収する第4ステップと、
前記第1弁及び前記第2弁を閉じる第5ステップと、
前記第1及び第2冷媒配管を外して前記室外機と前記室内機を分離する第6ステップを順次行う、
空調機ユニットの設置及び撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機ユニット及びその設置/撤去方法に関し、特に、建設現場等における仮設に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場等では近年の猛暑・酷暑により、熱中症対策をより強化する必要に迫られている。そこで、可搬性に優れる空調機ユニットが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載される空調機ユニットでは、室内機と室外機とが一つのユニットフレームに上下に配置され、ユニットフレームにキャスタが備えられて可搬性が改善されている。
【0004】
特許文献2に記載されるエアコン据付台、エアコン装置、及びエアコン付仮設設備では、キャスタが備えられたエアコン据付台の上に室外機と立設部とその立設部に据え付けられた室内機とが配置され、立設部が仮設設備の隔壁に接するように設置することができ、仮設設備の内側と外側での空気の流れが遮断できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-198023号公報
【特許文献2】特開2020-193718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。
【0007】
特許文献1及び2に記載される空調機は、建設現場等、開放されたまたは大規模な空間への仮設には適していない。建設現場では、屋外など開放された空間や、ビルなどの建造物であっても壁や天井の施工前であったり、施工後であっても細かい部屋に区画されていないために、大規模な空間での作業が必要である。そのため、このような開放されたまたは大規模な空間への空調機の仮設が求められている。一方、エレベータに載せられる程度のコンパクトさも求められている。上層階の現場に仮設するためには、施工前には工事用エレベータによって現場である上層階に空調機を運搬して設置し、施工後は既に撤去された工事用エレベータに代えて、施工済みの一般の乗用または人荷用エレベータを使って搬出できることが求められるからである。
【0008】
特許文献1及び2に記載される空調機は、キャスタを備えた台車の上にコンパクトに構成されているため可搬性があり、エレベータに載せることも可能であると思われる。特許文献1の空調機は、テントへの設置を前提に考案されており、室内機の吹き出し口がテント内に接続され、仕切り板によって内外の空気の流れが遮断されている。特許文献2の空調機は、仮設設備の内外を隔てる隔壁部分への設置したときに、内外の空気の流れが遮断できるような発明となっている。いずれも室内と屋外の空気の流れを遮断することができるために、空調能力は最小限でよい。即ち、室外機、室内機ともに、コンパクトなもので構成することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2に記載される空調機は、いずれも室内と屋外を隔てる壁面部分へ設置することが必須(前提)とされており、建設現場等、開放されたまたは大規模な空間への仮設には適していない。
【0010】
本発明の目的は、エレベータに載せられる程度のコンパクトさと可搬性を備え、設置と撤去の繰り返しを容易としながら、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とされた空調機ユニットを提供することである。また、そのような空調機ユニットを設置する際の冷媒への不純物の混入を抑え、撤去する際の冷媒の損失を抑えることができる、設置/撤去方法を提供することである。
【0011】
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の空調機ユニットは、第1冷媒回路を構成する第1熱交換器と圧縮機と第1圧力調整器とを備える室外機と、第2冷媒回路を構成する第2熱交換器と第2圧力調整器とを備える室内機と、第1と第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管とを備える空調機ユニットであって、室外機と室内機は、それぞれキャスタを備えて移動可能とされ、少なくとも一方は、第1及び第2冷媒配管を着脱可能なジョイント部を備える。
【0013】
上述の本発明の空調機ユニットの室外機はさらに前記第1冷媒回路に、前記第1熱交換器と前記第1及び第2冷媒配管とを遮断可能な第1弁及び第2弁と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1熱交換器側に冷媒回収器と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1及び第2冷媒配管側に排気ポンプを備え、その空調機ユニットの設置方法は、以下の各ステップを順次行う。
【0014】
第1ステップ:第1弁及び第2弁を閉じた状態で第1及び第2冷媒配管によって第1冷媒回路と第2冷媒回路とを接続する。
第2ステップ:排気ポンプを動作させて第1及び第2冷媒配管と室内機の第2冷媒回路内を排気する。
第3ステップ:第1弁及び第2弁を開いて第1及び第2冷媒配管と第2冷媒回路内に冷媒を供給する。
【0015】
また、本発明の空調機ユニットの撤去方法は、以下の各ステップを順次行う。
【0016】
第4ステップ:第1弁及び第2弁を開いた状態で、冷媒回収器を動作させて、第1及び第2冷媒配管と室内機の第2冷媒回路内に冷媒を回収する。
第5ステップ:第1弁及び前記第2弁を閉じる。
第6ステップ:第1及び第2冷媒配管を外して室外機と室内機を分離する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0018】
すなわち、エレベータに載せられる程度のコンパクトさと可搬性を備えながら、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とされた空調機ユニットを提供することができる。また、室外機と室内機が分離可能な空調機ユニットを設置する際の冷媒への不純物の混入を抑え、撤去する際の冷媒の損失を抑えることができる、設置/撤去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の空調機ユニットの構成例を模式的に示す説明図である。
【
図2】
図2は、室内機の実装例を俯瞰して示す説明図である。
【
図3】
図3は、室外機や室内機を実装する台車の例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、冷房と暖房を切り替える機能を有する空調機ユニットを実現する場合の冷媒回路を示す説明図である。
【
図5】
図5は、1台の室外機に対して2台の室外機を接続することができるように構成した空調機ユニットの冷媒回路を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の空調機ユニットの設置方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の空調機ユニットの撤去方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ジョイント部と冷媒配管との一構成例の断面を示す説明図である。
【
図9】
図9は、ジョイント部と冷媒配管との別の構成例の断面を示す説明図である。
【
図10】
図10は、台車上への室外機や室内機の取付け構造を示す説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の空調機ユニットの排水機構の構成例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、室外機と室内機の配置例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、室内機のファンへの風向ガイドの取付けを示す説明図である。
【
図14】
図14は、室外機への排気ダクトの取付けを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0021】
〔1〕室外機と室内機とを分離して移動可能(
図1)
本願において開示される代表的な実施の形態は、第1冷媒回路を構成する第1熱交換器(1)と圧縮機(2)と第1圧力調整器(4)とを備える室外機(10)と、第2冷媒回路を構成する第2熱交換器(21)と第2圧力調整器(24)とを備える室内機(20)と、前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管(11,12)とを備える空調機ユニットであって、以下のように構成される。
【0022】
前記室外機と前記室内機は、それぞれキャスタ(13)を備えて移動可能とされる。
【0023】
前記室外機と前記室内機のうちの少なくとも一方は、前記第1及び第2冷媒配管を着脱可能なジョイント部(6)を備える。
【0024】
これにより、エレベータに載せられる程度のコンパクトさと可搬性を備えながら、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とされた空調機ユニットを提供することができる。開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とするために、室外機と室内機を大型化しても、冷媒配管を着脱可能とし、それぞれがキャスタを備えて独立して移動することができるため、それぞれの大きさをエレベータに載せられる程度にコンパクトに抑えることができる。
【0025】
〔2〕室外機と室内機を分離/連結(設置)する際の冷媒の回収/供給(
図1)
〔1〕項の空調機ユニットにおいて、前記室外機は前記第1冷媒回路に、前記第1熱交換器と前記第1及び第2冷媒配管とを遮断可能な第1弁(V1)及び第2弁(V2)と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1熱交換器側に冷媒回収器(3)と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1及び第2冷媒配管側に排気ポンプ(5)とを備える。
【0026】
なお、第1弁(V1)、第2弁(V2)など、本明細書で言う「弁」は、外来語の「バルブ」と言い換えることもでき、阻止弁、逆止弁、電磁弁、ゲートバルブ、グローブバルブなど種々の態様で実現することができる。また2個の弁を三方弁、四方弁など多機能な弁に置き換えることも任意である。
【0027】
これにより、室外機と室内機とを分離する際の冷媒の損失を抑え、連結(設置)して冷媒を冷媒回路全体に供給する際の冷媒への不純物の混入を抑えることができる。
【0028】
〔3〕アウトリガー(
図1、
図2)
〔1〕項または〔2〕項の空調機ユニットにおいて、前記室外機と前記室内機の少なくとも一方は、当該室外機または室内機が設置されたときに前記キャスタを床面から浮かせて、当該室外機または室内機を固定することが可能な固定機構(14)をさらに備える。(
図1では、室外機10と室内機20それぞれの右奥にのみ固定機構14の一例を図示し、他の箇所への図示は省略する。)固定機構(14)の一例は、
図2に示されるようなアウトリガーである。
【0029】
これにより、室外機と室内機の少なくとも一方は、設置されたときに、床面に対して安定させることができる。
【0030】
〔4〕底部強化(
図3)
〔1〕項から〔3〕項のうちのいずれか1項の空調機ユニットにおいて、前記室外機と前記室内機の少なくとも一方は、長手方向に自重を支えるに十分な剛性を持つ部材を、短手方向に略水平な位置に少なくとも2カ所備える(
図3等の台車(30))。
【0031】
これにより、室外機と室内機の少なくとも一方は、フォークリフトによる移動を可能とする強度を、その底面に備える。
【0032】
〔5〕制御部(
図1)
〔1〕項から〔4〕項のうちのいずれか1項の空調機ユニットにおいて、前記室外機は制御部(8)を備え、前記室内機は前記第2冷媒回路の少なくとも一部の冷媒の圧力を検知する圧力センサ(P1)を備え、前記制御部は前記圧力センサが検知する圧力に基づいて前記圧縮機の出力を制御する。
【0033】
これにより、室外機と室内機とを接続する第1及び第2冷媒配管の長さ、即ち冷媒の流れに対する抵抗に応じて、室外機からの冷媒の吐出圧力を適切に制御することができ、空調機ユニットの設置場所の自由度を高めることができる。即ち、空調機ユニットの設置場所に応じて、適切な長さの冷媒配管を選択することができるように構成することができる。
【0034】
〔6〕リモコン(
図1)
〔5〕項の空調機ユニットにおいて、前記制御部を第1制御部(8)とし、前記室内機は第2制御部(28)と温度センサ(不図示)とユーザーインターフェース(不図示)とを備え、前記第2制御部は、前記圧力センサが検知する圧力値と、前記温度センサが検出する温度と、前記ユーザーインターフェースから入力される制御情報とを前記第1制御部に伝送し、前記第1制御部は、前記第2制御部から入力される前記圧力値と前記温度と前記制御情報に基づいて、前記圧縮機の動作を制御する。
【0035】
これにより、室外機を室内機側から制御することができる。第2制御部(28)は、室内機(20)に備えられ、有線で室外機(10)と接続されても良いし、無線により接続されてもよい。または第2制御部は、第1制御部との情報の送受信を行う通信部と、その通信部と無線で接続されたユーザーインターフェースを備えるリモコンで構成されてもよい。
【0036】
〔7〕分離・移動可能な室外機と室内機の設置/撤去方法(
図1,
図6,
図7)
本願において開示される代表的な実施の形態は、それぞれがキャスタ(13)を備えて移動可能とされる室外機(10)と室内機(20)と、前記室外機と前記室内機を接続し着脱が可能な第1及び第2冷媒配管(11,12)とを備える空調機ユニットの設置及び撤去方法であって、空調機ユニットは以下のように構成される。
【0037】
前記室外機は、第1熱交換器(1)と圧縮機(2)と第1圧力調整器(4)とを含む第1冷媒回路を備え、前記室内機は、第2熱交換器(21)と第2圧力調整器(24)とを含む第2冷媒回路を備える。
【0038】
前記空調機ユニットは、前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路の間を接続して冷媒回路を形成する第1及び第2冷媒配管(11,12)とを備える。
【0039】
前記室外機は、さらに前記第1冷媒回路に、前記第1熱交換器と前記第1及び第2冷媒配管とを遮断可能な第1弁(V1)及び第2弁(V2)と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1熱交換器側に冷媒回収器(3)と、前記第1弁または前記第2弁よりも前記第1及び第2冷媒配管側に排気ポンプ(5)を備える。
【0040】
空調機ユニットの設置方法は、以下の各ステップを順次行う(
図6)。
【0041】
第1ステップ(S1):前記第1弁及び前記第2弁を閉じた状態で前記第1及び第2冷媒配管によって前記第1冷媒回路と前記第2冷媒回路とを接続する。
【0042】
第2ステップ(S2):前記排気ポンプを動作させて前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内を排気する。
【0043】
第3ステップ(S4):前記第1弁及び前記第2弁を開いて前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内に冷媒を供給する。
【0044】
空調機ユニットの撤去方法は、以下の各ステップを順次行う(
図7)。
【0045】
第4ステップ(S5):前記第1弁及び前記第2弁を開いた状態で、前記冷媒回収器を動作させて、前記第1及び第2冷媒配管と前記第2冷媒回路内に冷媒を回収する。
【0046】
第5ステップ(S6):前記第1弁及び前記第2弁を閉じる。
【0047】
第6ステップ(S7):前記第1及び第2冷媒配管を外して前記室外機と前記室内機を分離する。
【0048】
これにより、室外機と室内機が分離可能な空調機ユニットを設置する際の冷媒への不純物の混入を抑え、撤去する際の冷媒の損失を抑えることができる、設置/撤去方法を提供することができる。
【0049】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0050】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の空調機ユニットの構成例を模式的に示す説明図である。
【0051】
本発明の空調機ユニットは、冷媒配管11,12で接続された室外機10と室内機20とが、それぞれキャスタ13を備えて構成されている。接続された状態では空調機として機能するが、冷媒配管11,12を取り外して室外機10と室内機20を分離した状態では、それぞれを自由に移動させることができる。室外機10は、熱交換器1と圧縮機2とアキュムレータ3と圧力調整器4とで構成される冷媒回路(第1冷媒回路)を備え、室内機20は熱交換器21と圧力調整器24とで構成される冷媒回路(第2冷媒回路)を備える。室外機10の熱交換器1と室内機20の熱交換器21は、それぞれ外気との熱交換を助けるファン7,27をそれぞれ備えるとよい。室外機10側の第1冷媒回路と室内機20側の第2冷媒回路とは、冷媒配管11,12で接続されて一体の冷媒回路を構成する。冷媒配管11,12を着脱可能とするために、室外機10と室内機20の一方または両方に、ジョイント部6を備える。
【0052】
ジョイント部6は、冷媒配管11,12の端部をフレア加工し、その端部と密着する構造(例えばコーン状の構造)を持ち、冷媒配管11,12の端部をその構造に押し付けた状態で固定することができ、また手動または簡単な工具を使って着脱することができるように構成すると好適である。
【0053】
一方、冷媒配管11,12の端部を加工することなく着脱を可能とすればより好適である。
図8及び
図9に、ジョイント部6と冷媒配管11,12との構成例を示す。冷媒配管11,12を着脱可能とし、且つ、その着脱を繰り返し行うことができるようにするためには、ジョイント部6と冷媒配管11,12とを接続して固定しまた取外すことが可能な固定部材と、ジョイント部6と冷媒配管11,12との間を封止する封止部材を設けるとよい。
【0054】
図8は、ジョイント部6と冷媒配管11,12との一構成例の断面を示す説明図である。ジョイント部6の外周面にはネジ山が形成されており、冷媒配管11,12が貫通するナット61のネジ山と噛み合って、ジョイント部6に冷媒配管11,12を接続して固定することができるように構成されている。即ち、ジョイント部6の外周面のネジ山とナット61が、上述の固定部材として機能する。ナット61の内側(ジョイント部に近い側、これを「前方」と呼ぶ)には、冷媒配管11,12が貫通しその外周に接する前方フェルール62と後方フェルール63とが、封止部材として設けられている。ジョイント部6は最も前方で冷媒配管11,12の外周面に接しており、後方に進むにしたがって冷媒配管11,12の外周面との隙間が広がっている。前方フェルール62は、その隙間に嵌まり込んで、前方がジョイント部6と冷媒配管11,12の外周面に接し、配管の内部から冷媒が漏れないように、また外気が配管の内部に侵入しないように、封止部材として機能する。前方フェルール62の後端部は、冷媒配管11,12の外周面との間に隙間を作るように広がっており、後方フェルール63の前方が嵌まり込んで、その隙間をより拡げる方向に力が加わるように構成されている。ナット61を締め付けることによって、後方フェルール63は前方に押され、前方フェルール62の後端を押し広げる。前方フェルール62はその後端を押し広げられることによって、その外周面がジョイント部6のもつ上記隙間に押し付けられ、封止効果が向上される。また同時に、前方フェルール62が前方に押し込まれることにより、前方フェルール62の内周面が配管11,12の外周面に押し付けられ、これによっても封止効果が向上される。ジョイント部6、冷媒配管11,12、ナット61、前方及び後方フェルール62,63は、例えば、ステンレスなどの金属で実現される。金属は押し付けられる力によって表面の微細な凹凸が変形して封止効果を奏するが、その変形は微細であるので、冷媒配管11,12を繰り返し着脱してもその変形が著しく大きくなることはない。そのため、封止効果が損なわれるほどの大きな変形に至るまでには、相当回数の繰り返しの使用が可能となる。なお、冷媒配管11,12は、ジョイント部6が設けられている室外機10や室内機20の内部配管16の内径と同じ内径とし、段差なく接触させると、冷媒の流れに対する抵抗を低く抑えることができ、より好適である。
【0055】
図9(a)は、ジョイント部6と冷媒配管11,12と別の構成例の断面を示す説明図である。封止部材として、前方及び後方フェルール62,63に代えて、Oリング64を備える。Oリング64はジョイント部6の内周面に形成された溝に嵌め込まれており、冷媒配管11,12の外周面に接することにより封止効果を奏する。固定部材としては、
図8の構成例と同様に、外周面にネジ山が設けられたジョイント部6とナット61によって構成する例を示した。ナット61の内周面は前方ほど広がる傾斜面とし、後方ほど狭まる傾斜面を持つジョイント部6の外周面に接するように構成されている。ナット61を締め付けることにより、ナット61の内周面の傾斜は、ジョイント部6の外周面の傾斜を冷媒配管11,12の外周方向に押し付ける力をOリング64に加え、封止効果を高めることができる。Oリング64は、
図9(b)に示すように円形の断面を持ち、ジョイント部6に形成された溝と冷媒配管11,12の外周面とに接することによって、冷媒を封止することができる。
図9(c)に示すようにOリング64に代えて、D字型の断面をもつリング(「Dリング」と呼ぶ)を用いることもできる。Dリング65は、一方がジョイント部6に形成された溝に合わせた方形であり、他方が円形となっている。Dリング65は、ジョイント部6の溝との間が面で接するため、封止効果が高く、さらに円形の面を冷媒配管11,12の外周面に押し付ける力も大きく伝達することになるので、全体として封止効果を高めることができる。なお、
図9(a)に例示したように、Oリング64は複数本、例えば図示のとおり2本設けるのが好ましい。また、2本設ける場合に、一方または両方をDリング65に代えることにより、封止効果をさらに高めることができる。なお、冷媒配管11,12は、ジョイント部6が設けられている室外機10や室内機20の内部配管16の内径と同じ内径とし、段差なく接触させると、冷媒の流れに対する抵抗を低く抑えることができ、より好適である。
【0056】
OリングまたはDリングには、その材質として、例えば、水素化ニトリルゴム(HNBR)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)を用いることができる。空調機の冷媒として汎用されている例えばR410Aを用いるとき、圧力は概ね0.5~3.2MPa、温度は概ね-20℃~60℃となるが、これよりも低温となる場合には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)がより適している。また、高圧となる場合には、OリングよりもDリングの方が適している。
【0057】
このように、室外機10と室内機20を分離することができるため、空調機ユニット全体としての空調能力を高めるためにそれぞれのサイズが大きくなった場合にも、エレベータに載せられる程度の大きさに抑える設計が可能となる。またそれぞれにキャスタ13を備えているために、別々に移動することができる。エレベータに載せられる程度のコンパクトさと可搬性を備え、設置と撤去の繰り返しを容易としながら、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とされた空調機ユニットを提供することができる。即ち、開放されたまたは大規模な空間での使用を可能とするために、室外機10と室内機20を大型化しても、冷媒配管11,12を着脱可能とし、それぞれがキャスタ13を備えて独立して移動することができるため、それぞれの大きさをエレベータに載せられる程度にコンパクトに抑えることができるのである。
【0058】
本実施形態の空調機ユニットは、室外機10と室内機20を分離する前に、冷媒回路内の冷媒を回収することができるように構成されている。
【0059】
室外機10は、第1冷媒回路と第1及び第2冷媒配管11,12とを遮断することができる第1弁V1及び第2弁V2と、第1弁V1及び第2弁V2よりも第1及び第2冷媒配管11,12側に第3弁V3と排気ポンプ5を備える。後述の実施形態3に説明する設置/撤去方法をとることにより、室外機10と室内機20とを分離する際の冷媒の損失を抑え、連結(設置)して冷媒を冷媒回路全体に供給する際の冷媒への不純物の混入を抑えることができる。
【0060】
室外機10と室内機20はそれぞれ、設置されたときに床面に固定することができるような、固定機構を備えるとさらに好適である。
図1には、ゴム足ネジによる簡単なストッパを、固定機構14として例示した。固定するときには、ゴム足ネジの長さを調整してキャスタ13を床から浮かせることによって床面に固定する。固定機構14は、室外機10と室内機20の少なくとも4角に設けるが、
図1にはそれぞれの右奥のみに示され、他の部分の図示は省略されている。
図2は、室内機20の実装例を俯瞰して示す説明図である。ゴム足ネジによる簡単なストッパに代えてアウトリガーを固定機構14として備える。室外機10も同様にアウトリガーを固定機構14として備えるとよい。これにより、室外機10と室内機20は、設置されたときに、床面に対して安定させることができる。例示した固定機構14に代えて、キャスタ13の車輪の回転を止めるストッパを設けてもよい。
【0061】
室外機10と室内機20は、長手方向に自重を支えるに十分な剛性を持つ部材を、短手方向に略水平な位置に少なくとも2カ所備えるとよい。これにより、室外機10と室内機20は、フォークリフトによる移動を可能とする強度を、その底面に備えることができる。
図3は、室外機10や室内機20を実装する台車30の例を示す説明図である。フォークリフトによる移動にも十分に耐えられるような台車30の上部に、室外機10や室内機20を固定することができる支持枠(フレーム)31を取り付けて構成する。室外機10や室内機20の大きさに合わせて、取り付けの位置や固定方法を変更するのが容易になる。台車30は、例えば幅800mm×長さ1200mm×高さ330mmのような、標準的な平床台車を利用すると、好適である。標準的であるが故に、上述したフォークリフトを始め多くの周辺機材との整合が良く、また不使用時の保管や、支持部31を取り外して他に転用するなど、汎用性を高めることができるからである。
【0062】
一方、空調システムの室外機や室内機のサイズは、出力によっては、上述した幅や長さを超える場合がある。そのような場合には、支持枠31の幅や長さ、強度を調整して対応する。また、このような場合には、台車30を含めた室外機10や室内機20の大きさが、エレベータの積載可能な大きさを超える恐れがある。空調機システムを設置する際に想定される工事用エレベータは、通常、十分な大きさを有するものの、撤去時の使用が想定される通常の乗用・人荷用エレベータは、幅や長さが足りない場合があり得る。
【0063】
このような課題を解決するために、室外機10や室内機20を台車30の上で長手方向に回転することができるように構成することができる。
図10は、台車30上への室外機10や室内機20の取付け構造の一例を示す説明図である。室外機10や室内機20の長手方向の面を水平方向の正面から見た様子を模式的に表すもので、(a)は室外機10や室内機20を稼働可能な横長にした状態、(b)は室外機10や室内機20を縦長にした状態を示す。室外機10や室内機20の幅(
図10では横方向)が広く、台車30の幅を超えるばかりか、乗用・人荷用エレベータの積載許容範囲も超えるような場合、長さ方向(
図10では紙面に垂直な方向)を軸に、室外機10や室内機20を回転させられるように構成するとよい。台車30の支持枠31に支点支持枠32を設け、室外機10や室内機20を支持し回転の支点34を中心に回転する回転支持枠33を支持する。例えば、回転の支点34は、室外機10や室内機20の下側に配置されたシャフト、支点支持枠32には、そのシャフトを支持するベアリングを配置して構成することができる。このように回転の支点にシャフトを配置することにより、簡便な構造で十分な強度を保つことができる。
図10(a)は設置された状態を示し、
図10(b)は移動のための状態を示す。
図10(a)では室外機10や室内機20が本来の横長に設置され、稼働できる状態になっている。
図10(b)では幅が台車30の幅以内に抑えられ、乗用・人荷用エレベータにも積載可能な状態になっている。
【0064】
図示は省略するが、別の例によれば、回転の支点34が室外機10や室内機20の重心を通る軸となるように、支点支持枠32を室外機10や室内機20の両側に配置することもできる。重心が回転軸になるので、回転させるために必要な力を小さく抑えることができる。
【0065】
このように、室外機10や室内機20を台車30の上で長手方向に回転することができるように構成することにより、運搬時の自由度を高めることができる。
【0066】
図1の説明に戻る。室外機10は制御部8を備え、室内機20は第2冷媒回路の少なくとも一部の冷媒の圧力を検知する圧力センサP1を備え、制御部8は圧力センサP1が検知する圧力に基づいて圧縮機2の出力を制御することができるように構成するとよい。これにより、室外機10と室内機20とを接続する冷媒配管11,12の長さ、即ち冷媒の流れに対する抵抗に応じて、室外機10からの冷媒の吐出圧力を適切に制御することができ、空調機ユニットの設置場所の自由度を高めることができる。空調機ユニットの設置場所に応じて、適切な長さの冷媒配管11,12を選択することができるためである。
【0067】
さらに、室内機20に制御部28と温度センサ(不図示)とユーザーインターフェース(不図示)とを備えるとよい。温度センサは室内機20の空調対象の温度を検知する位置に設置するとよい。ユーザーインターフェースは制御目標である温度を入力し、または空調モード(冷房、暖房、送風など)をユーザーから入力するためのインターフェースである。室内機20の制御部28は、圧力センサP1が検知する圧力値の他、温度センサが検出する温度と、ユーザーインターフェースから入力される制御情報とを室外機10の制御部8に伝送し、それらの制御情報に基づいて、圧縮機2等室外機10の各構成要素の動作を制御する。これにより、室外機10を室内機20側から制御することができる。制御部28は、室内機20に備えられ、有線で室外機10と接続されても良いし、無線により接続されてもよい。または制御部28は、室外機10の制御部8との情報の送受信を行う通信部と、その通信部と無線で接続されたユーザーインターフェースを備えるリモコンで構成されてもよい。
【0068】
〔実施形態2〕
冷媒回路は、冷房または暖房のどちらかに特化して構成することも、冷房と暖房を切り替えることができるように構成することもできる。
【0069】
図4は、冷房と暖房を切り替える機能を有する空調機ユニットを実現する場合の冷媒回路を示す説明図である。
図1に示した空調機ユニットにおける冷媒回路に加えて、四方弁VXとレシーバ9を備える。
【0070】
冷房運転時は、四方弁VXにより圧縮機2から吐出されたガス状の冷媒が熱交換器1に送られる。熱交換器1は凝縮器として機能し、ガス状の冷媒を凝縮液化する。熱交換によって発生した熱は、ファン7で室外機10の外へ放出される。液化した冷媒は、膨張装置として機能する圧力調整器4を経て、レシーバ9に送られる。レシーバ9は、余剰の冷媒を貯留する。このとき、不凝縮ガス吸着材99を設けて、酸素や二酸化炭素などの不純物ガスを除くように構成してもよい。冷媒はその後、第2弁V2と冷媒配管12を経て、室内機20に送られ、圧力調整器24(膨張装置)を経て、蒸発器として機能する熱交換器21に送られる。熱交換器21で、冷媒は気化してファン27で送られる外気を冷却する。気化した冷媒は、冷媒配管11と第1弁V1を経て四方弁VXによりアキュムレータ3へ送られ、圧縮機2へ戻る。
【0071】
暖房運転時は、四方弁VXにより圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が、第1弁V1と冷媒配管11とを経て室内機20側の熱交換器21に送出される。室内機20側の熱交換器21は凝集器として機能して冷媒を液化する過程で発熱する。発生した熱はファン27により暖房に使われる。液化され熱交換器21から吐出された冷媒は、圧力調整器24(膨張装置)で減圧された後、冷媒配管12を経て室外機10へ送られる。室外機10では冷媒は、第2弁V2を経てレシーバ9を経て、圧力調整器4から熱交換器1へ送られ、蒸発しガス化される。レシーバ9の作用は、冷房動作時と同様に、余剰冷媒の貯留であり、不凝縮ガス吸着材99を設けた場合の作用も同様である。熱交換器1によってガス化した冷媒は、圧縮機2へ戻る。
【0072】
図1に示した構成と共通する構成は、冷媒配管11,12の着脱も含めて、実施形態1での説明と同様に動作するので、重複した説明を省略する。
【0073】
以上のように、本発明において冷媒回路は任意に変更することができる。例えば、本実施形態において、四方弁VXを導入して冷暖房両用とした他、レシーバ9を追加する変更である。この他、第3弁V3と排気ポンプ5の取り付け位置は、第2弁V2側に変更しても良いし、室内機20側に変更することも可能である。
【0074】
本発明の空調機ユニットの排水機構について説明する。本発明の空調機ユニットにおける冷媒回路は、2台の熱交換器1,21を備えており、上述したように一方が熱を放出し他方が熱を吸収する。熱を吸収する側では、結露にともなって排水が必要となる場合がある。
【0075】
図11に、本発明の空調機ユニットの排水機構の構成例を示す。台車30の上にそれぞれ支持された室外機10と室内機20を側面から見た様子を示している。室外機10と室内機20はそれぞれ台車30上に支持枠31によって支持されている。ただし、
図11では室外機10側の支持枠31は図示が省略されている。室外機10側の台車30上には、ドレンパン40が設けられ、室外機10と室内機20からの排水管41が導入され、それぞれからの排水を貯留することができるように構成されている。台車30上にはさらに排水ポンプ42が設けられ、給水管43を通してドレンパン40から排水を吸い上げ、排水管44により外部に排水する。ドレンパン40には水位センサ45-1を設けて排水ポンプ42の動作を制御するように構成すると好適である。所定の水位に達したときに排水ポンプ42を作動させて排水するように制御する。水位センサ45-1は、排水ポンプ42による排水を開始させるべき水位を検知するための水位センサであるが、それよりも高い水位を検知することができる第2の水位センサ45-2をさらに設けると、より好適である。排水ポンプ42が作動しているにも関わらず水位が下がらず、第2の水位センサ45-2によってより高い水位を検知した場合には、熱交換の動作を停止させる。これにより、異常な高湿度などにより排水能力を上回る排水が発生した場合にも、排水がドレンパン40から溢れる事態を回避することができる。なお、ドレンパン40は排水タンクに代えても良い。
【0076】
図11には、ドレンパン40と排水ポンプ42を室外機10側に設けた例を示したが、室内機20側に設けても良いし、室外機10と室内機20のそれぞれに設けても良い。また、
図11には、室外機10と室内機20は、横方向に並べた例を示したが、配置は任意である。
【0077】
図12は、室外機10と室内機20の配置例を示す説明図である。
図12は上面図で、排気または吸気の方向を示す意味で、ファン7,27が合わせて図示されている。(a)には、室外機10と室内機20が横並びに配置された例が示され、(b)には縦方向に並べて配置された例が示されている。いずれも排気/吸気の方向を逆向きにして、一方の排気が他方から吸気されないように配置されている。また室外機10と室内機20は、設置時にはその台車30どうしを連結することにより、より安定させることができる。一方、室外機10と室内機20とを離して配置することも可能である。冷媒配管11,12の長さが長くなるが、室外機10と室内機20の配置の自由度が向上する。また、一方の排気が他方の吸気に戻ることを防止するような配置上の工夫も可能となる。
【0078】
室内機20のファン27には風向ガイド50を取付け、また、室外機10のファン7には排気ダクト52を取り付けられるように構成することもできる。
図13は、室内機20のファン27への風向ガイド50の取付けを示す説明図、
図14は、室外機10へのダクト52の取付けを示す説明図である。
【0079】
図13に示すように室内機20にはファン27の外側に、風向ガイド50を取り付けて、作業者等、送風の必要な箇所に送風を誘導することができる。風向ガイド50は、例えば鉄製の蛇腹パイプで構成することにより、風向を自由に調整することができる。
図13に示すような2個のファン27を持つ室内機20には、両方のファン27それぞれに風向ガイド50を取り付けることができる一方、片方だけに取り付けてもよい。片方だけに取り付けると、風向ガイド50が取り付けられていない側のファン27により室内機20の近くに風が送られ、他方のファン27からは風向ガイド50により遠くに風が導かれる。
【0080】
図14に示すように、室外機10には排気ダクト52を取り付けることができる。空調を必要とする作業箇所が、屋外など排気に適した場所から離れている場合に、排気ダクト52によって排気をその場所まで導くことができる。より具体的には、ダクト52はファン7を覆う排気用フード51を介して室外機10に取り付けられるとよい。また、ダクト52の総延長が長い場合には、
図14に例示されるように、中間に送風機53を設置することができるように構成するとより好適である。
【0081】
〔実施形態3〕
1台の室外機10に対して複数台の室内機20を接続することができるように構成することもできる。
【0082】
図5は、1台の室外機10に対して2台の室内機20-1,20-2を接続することができるように構成した空調機ユニットの冷媒回路を示す説明図である。1台の室外機10に2台の室内機を接続するには、室外機10の冷媒回路を2系統に分けるため、2系統の第1弁V1-1とV1-2、2系統の第2弁V2-1とV2-2、さらに2系統の第3弁V3-1とV3-2、及び、ジョイント部6を2系統備え、室内機20-1,20-2に向けて冷媒配管11-1と11-2,12-1と12-2をそれぞれ独立して着脱可能とする。他の構成は、
図4を参照した実施形態2と同様である。重複する説明は省略する。
【0083】
2台の室内機20-1,20-2をともに接続して動作させるときには、2系統の第1弁V1-1とV1-2、2系統の第2弁V2-1とV2-2をすべて開いて、実施形態2と同様に動作させる。一方のみを接続して動作させるときには、接続しない側、または接続しても動作させない側の系統の第1弁と第2弁を閉止しておく。
【0084】
2台の室内機20-1,20-2をともに接続する設置を行うときには、2系統の第1弁V1-1とV1-2、第2弁V2-1とV2-2をすべて閉じ、2系統の第3弁V3-1とV3-2を開いて、排気ポンプ5によって、2台の室内機20-1,20-2と2系統の冷媒配管11-1と11-2,12-1と12-2から不純物ガスを排気した後に、第3弁V3-1とV3-2を閉じ、第1弁V1-1とV1-2及び第2弁V2-1とV2-2を開いて冷房や暖房の動作を開始させる。室内機20-1,20-2を切り離して撤去するときには、2系統の第1弁V1-1とV1-2、第2弁V2-1とV2-2をすべて開いた状態で、アキュムレータ3に冷媒を回収した後、第1弁V1-1とV1-2、第2弁V2-1とV2-2を閉じて、冷媒配管11-1と11-2,12-1と12-2を取り外す。
【0085】
このように、1台の室外機10に対して複数台の室内機20を接続することができるように構成することもできる。
【0086】
〔実施形態4〕
本発明は、実施形態1,2及び3で説明したような、空調機ユニットについての設置方法/撤去方法についての発明と位置づけることもできる。対象とする空調機ユニットについては、実施形態1,2及び3で説明した実施形態に限定されるものではないが、
図1に示される空調機ユニットを引用して、その設置方法/撤去方法について説明する。
【0087】
本発明の空調機ユニットの設置方法について説明する。
図6は、その一例を示すフローチャートである。
【0088】
空調機ユニットは、室外機10と室内機20を含み、第1及び第2冷媒配管は未接続である。室外機10と室内機20を設置場所まで移動して固定したら、その距離や配管の取り回しを考慮して適切な長さの第1及び第2冷媒配管を選ぶ。
【0089】
設置のためにまず、第1弁及び第2弁(バルブV1とV2)を閉じ、第1及び第2冷媒配管11,12を接続する(S1)。次に、第3弁(バルブV3)を開き、排気ポンプ5を動作させて、第1及び第2冷媒配管11,12及び室内機20内の冷媒回路の中の空気を排気する(S2)。十分に排気されたら、第3弁(バルブV3)を閉じ、排気ポンプ5を停止させる(S3)。排気の程度は、圧力センサP1,P2によって検知してもよいし、所定の排気時間の経過をもって十分に排気されたと判断することもできる。その後、第1弁及び第2弁(バルブV1とV2)を開いて冷媒を供給する(S4)。以上により空調機ユニットの設置が完了する。
【0090】
これにより、室外機と室内機が分離可能な空調機ユニットを設置する際の冷媒への不純物の混入を抑えることができる。
【0091】
空調機ユニットの撤去方法について説明する。
図7は、その一例を示すフローチャートである。
【0092】
第1弁及び第2弁(バルブV1とV2)を開き、圧縮機2を動作させて、室外機10のみならず第1及び第2冷媒配管11,12及び室内機20内の冷媒回路の中の冷媒を、アキュムレータ3に回収する(S5)。次に第1弁及び第2弁(バルブV1とV2)を閉じ、圧縮機2を停止させる(S6)。第1及び第2冷媒配管11,12を外して室外機10と室内機20とを分離する(S7)。その後、室外機10と室内機20をそれぞれ移動して撤去する。
【0093】
これにより、室外機と室内機が分離可能な空調機ユニットを撤去する際の冷媒の損失を抑えることができる。
【0094】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
1 第1熱交換器
2 圧縮機
3 冷媒回収器(アキュムレータ)
4 第1圧力調整器
5 排気ポンプ
6 ジョイント部
7,27 ファン
8,28 制御部
9 レシーバ
99 不凝縮ガス吸着材
10 室外機
11,12 冷媒配管
16 内部配管
13 キャスタ
14 固定機構(アウトリガー)
20 室内機
21 第2熱交換器
24 第2圧力調整器
30 台車
31 支持枠
32 支点支持枠
33 回転支持枠
34 支点
40 ドレンパン,排水タンク
41、44 配水管
42 排水ポンプ
43 排水管
45 水位センサ
50 風向ガイド
51 排気用フード
52 ダクト
53 送風機
60 固定部材
61 ナット
62 前方フェルール
63 後方フェルール
64 Oリング
65 Dリング
V1,V2,V3 弁(バルブ)
VX 四方弁
P1,P2 圧力センサ