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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151956
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20221004BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20221004BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20221004BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221004BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H29/70
B65H45/18
G03G15/00 430
B65H5/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054528
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 直樹
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
3F053
3F101
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
2H072JA02
2H072JA04
3F049AA01
3F049DA12
3F049DB11
3F049LA01
3F049LB01
3F053HA03
3F053HA08
3F053HA12
3F053HB01
3F053HB11
3F053HB15
3F053LA01
3F053LB01
3F101FA01
3F101FB02
3F101FC16
3F101FE04
3F101FE11
3F101LA01
3F101LB01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108BA09
3F108BB03
3F108BB23
3F108CC01
3F108CD04
(57)【要約】
【課題】 搬送経路におけるシートの搬送不良を低減することができるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 シートをガイドする一対のガイド部材13、15からなる搬送経路18cを備え、一方のガイド部材15を、搬送経路18cを形成するガイド位置PBと搬送経路18cを開放する退避位置PCに移動可能に構成し、シートの先端を開放された搬送経路18cから外側に搬送させた後に、一方のガイド部材15をガイド位置PBに移動させる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートをガイドする一対のガイド部材からなる搬送経路と、前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、を備えたシート搬送装置において、
前記一対の前記ガイド部材の一方を、前記搬送経路を形成する第1の位置と前記搬送経路を開放する第2の位置に移動させる移動手段を設け、
前記搬送手段は、シートの先端を開放された前記搬送経路から該搬送経路の外側に搬送させ、前記移動手段は、前記搬送経路の外側に搬送されたシートの先端を前記搬送経路内に案内するように前記第1のガイド部材を第2の位置から第1の位置に移動させるシート搬送装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記搬送経路に沿って前記一方のガイド部材を移動させる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記一方のガイド部材は、他方のガイド部材よりも下方に設けられ、
前記搬送手段は、シートの先端を前記搬送経路の外側に垂下させる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送経路の上流側に前記搬送経路にシートを案内する上流側搬送経路を備え、
前記上流側搬送経路と前記搬送経路とが連結する連結部は屈曲している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
シートを送る送りローラ対と、
シートの所定位置をニップしてシートを折る折りローラ対と、
前記送りローラ対からのシートを前記折りローラ対に案内する搬送経路と、
前記送りローラ対と前記折りローラ対との間でシートにループを形成するループ空間部と、
ループが形成されたシートを突いて、所定位置を前記折りローラ対にニップさせる突き部材と、
前記搬送経路の一部を形成し、シートをガイドする第1の位置と、前記搬送経路を開放して前記ループ形成部にシートのループが形成可能とする第2の位置と、シートの前記所定位置を前記折りローラ対にニップさせる第3の位置に前記突き部材を移動させる移動手段と、
を備えたシート搬送装置において、
前記搬送経路は、シートを折りローラ対に案内する第1の経路と、この第1の経路の上流に設けられ、前記送りローラ対にて送られるシートを前記第1の経路の外側に設けられた前記ループ空間部に向かって案内する第2の経路を有し、
前記送りローラ対は、シートの先端を前記ループ形成部に搬送し、前記移動手段は、前記ループ形成部に搬送されたシートの先端を前記第1の経路内に案内するように前記突き部材を第2位置から第1位置に移動させるシート搬送装置。
【請求項6】
前記第2の経路は前記第1の経路のシート案内方向に対して交差する方向にシートを案内し、前記第1の経路と前記第2の経路の連接部は屈曲した経路を形成する請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記ループ空間部は、前記第1の経路と前記第2の経路の屈曲した連接部の外側に設けられる請求項6に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートを搬送するシート搬送装置に関し、詳しくは搬送経路に沿って搬送されるシートをガイドするガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置や、画像が形成されたシートに後処理を施すシート後処理装置などを含むシート搬送装置が知られている。このシート搬送装置には、シートに綴じを施すシート綴じ装置やシートに折りを施すシート折り装置もある。シート折り装置は、シートをファイリングしたり、コンパクトに収納したりする際に用いられ、シートに2つ折りや3つ折り(Z折り)等を自動で施す。
【0003】
例えば、特許文献1には、折りローラ対にシートの下流端をニップした状態でシートの上流側を送り込むことによってループを形成し、このループの所定箇所を突き板で突きながら折りローラ対のニップ位置に向けて押し込み、折りローラ対を回転させながらシートの下流端にループの所定箇所を重ねることによってZ折りを行うシート折り装置が開示されている。また、特許文献1では、折りローラにシートを案内する経路の下方にループを形成するループ形成部を設けており、突き板は、シートの先端を折りローラ対に案内する際に、経路を形成する下ガイドとして上ガイドに対向する位置にあり、シートにループが形成される際は、上ガイドに対向する位置から退避して経路を開放し、経路とループ空間部とを連通する位置に移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-93855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、シートにループが形成し易くするために、経路の上流にループ形成部に向かってシートを案内する上流経路が設けられている。しかしながら、ループ形成部に向かってシートを案内する上流経路は、経路に対して傾斜して形成され、経路との連接部が屈曲している。このような屈曲した搬送経路では屈曲部で紙詰まりが発生する恐れがある。特に、カール紙等の画像形成装置による画像形成で変形したシートでは紙詰まりが発生し易いとの問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、搬送経路におけるシートの搬送不良を低減することができるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、シートを案内する一対のガイド部材からなる搬送経路と、搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、を備えたシート搬送装置において、一方のガイド部材を、搬送経路を形成する第1の位置と搬送経路開放する第2の位置に移動させる移動手段を設け、搬送手段は、シートの先端を開放された搬送経路から搬送経路の外側に搬送させ、移動手段は、搬送経路の外側に搬送されたシートの先端を搬送経路内に案内するように第1のガイド部材を第2の位置から第1の位置に移動させるものである。
【0008】
第2の発明は、シートを送る送りローラ対と、シートの所定位置をニップしてシートを折る折りローラ対と、送りローラ対からのシートを折りローラ対に案内する搬送経路と、送りローラ対と折りローラ対との間でシートにループを形成するループ空間部と、ループが形成されたシートを突いて、所定位置を前記折りローラ対にニップさせる突き部材と、搬送経路の一部を形成し、シートをガイドする第1の位置と、搬送経路を開放してループ形成部にシートのループが形成可能とする第2の位置と、シートの所定位置を折りローラ対にニップさせる第3の位置に突き部材を移動させる移動手段と、を備えたシート搬送装置において、搬送経路は、シートを折りローラ対に案内する第1の経路と、この第1の経路の上流に設けられ、送りローラ対にて送られるシートを第1の経路の外側に設けられたループ空間部に向かって案内する第2の経路を有し、送りローラ対は、シートの先端をループ形成部に搬送し、移動手段は、ループ形成部に搬送されたシートの先端を第1の経路内に案内するように突き部材を第2位置から第1位置に移動させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送経路におけるシートの搬送不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のシート搬送装置としての折り機を備えた画像形成システム全体の構成図である。
図2】折り機の主要構成を示した構成図である。
図3】折り機の制御系の構成を説明する説明図である。
図4】折り機の動作を示すメイン動作フローチャート図である。
図5】折り機の折りループ処理における動作を示す動作フローチャート図である。
図6】折り機の折り処理における動作を示す動作フローチャート図である。
図7】折り機の折りループ処理、折り処理におけるシートの状態を示す状態図(その1)である。
図8】折り機の折りループ処理、折り処理におけるシートの状態を示す状態図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明のシート搬送装置としてのシート折り装置を備えた画像形成システム全体の構成図である。図1に示すように、本発明のシート搬送装置としてのシート折り装置(折り機)Cは、画像形成装置(複写機)Aとシート綴じ装置(綴じ機)Bとの間に配置され、複写機Aから搬送されてくるシートに対して、各種の折り処理を行った後、綴じ機Bに送られる。本実施形態では、複写機Aとして複写機を用い、この複写機の排紙口に折り機Cが連接され、その下流側において綴じ機Bが連接される。
【0012】
複写機Aは、原稿送り部5で送られる原稿を画像読取部4で読み取り、読み取られた画像を給紙部3から送られたシートに画像形成部2で画像を形成する。複写機Aの洞内部には中継搬送ユニット6が取り付けられている。シートに折り処理や綴じ処理を行わない場合は、第1中継パスP20から排紙トレイ7に搬送される。一方、シートに折り処理や綴じ処理を施す場合は、第2中継パスP21を介して排出ローラ対8から折り機Cに送られる。
【0013】
綴じ機Bは、第1パスP1から第3パスP3を介して綴じ処理トレイ9aにシートを排出し、綴じ処理トレイ9a上のシートの角または一辺の2カ所にステープラ9bで針綴じを施し、第2排紙トレイ12bに排出する。なお、針綴じ処理しない場合は、折り機Cから送られてくるシートをそのまま第1パスP1及び第2パスP2を介して第1排紙トレイ12aに排出する。
【0014】
図2は、折り機Cの主要構成を示した構成図である。また、図3は折り機Cの制御系の構成を説明する説明図である。折り機Cは、図1に示すように複写機Aの排出ローラ対8から排出されてくるシートを受けて下流側に送り出す送りローラ対10と、送りローラ対10の下流側で、シートに折り処理を施す折りローラ対11が設けられている。送りローラ対10と折りローラ対11との間には、図2に示すようにループ形成部20と、シートに設けられる所定の折り目を折りローラ対11のニップ部11cに向けて案内する突き板(突き部材)15と、シートを送りローラ対10から折りローラ対11に向けて案内する搬送路18と、を備えている。シートの折り動作は、最初にシート搬送方向におけるシートの下流端側を折りローラ対11のニップ部11cでニップさせた状態で停止する。この状態で送りローラ対10からシートを送ることによってループ形成部20に所定長さのループ部を形成する。そして、最初の第1の折り目に設定されるループ部の第1の折り位置を突き板15によって前記ニップ部11cに導き、折りローラ対11を搬送方向に回転させる。これによって、第1の折り目と、この第1の折り目の上流側に形成される第2の折り目とを有した3つ折り(Z折り)処理が施される。
【0015】
送りローラ対10は、モータ駆動によって回転する送り上ローラ10aと、この送り上ローラ10aの回転に従動して回転する送り下ローラ10bによって構成されている。送りローラ対10は、シートを整合し、折りローラ対11に向けて搬送する。
【0016】
搬送路18は、送りローラ対10のニップ部10cから水平方向に延びる第1搬送路18aと、第1搬送路18aの下流側から下方に傾斜して延びる第2搬送路18bと、第2搬送路18bの下流側から水平方向に延びて折りローラ対11に至る第3搬送路18cと、で構成されている。第1搬送路18aと第2搬送路18bは、送り上ガイド13、送り下ガイド14及び突き板15とを備えている。第3搬送路18cは、折り上ガイド16と折り下ガイド17と、によって形成されている。また、折り下ガイド17は、水平方向に延びる水平ガイド部17aと、傾斜した傾斜ガイド部17bと、垂直方向に延設された垂直ガイド部17cと、によって形成されている。
【0017】
折りローラ対11は、折り上ローラ11aと折り下ローラ11bとで構成され、送りローラ対10のニップ部10cから水平方向に延ばした延長線よりも下方に配置されている。つまり、折りローラ対11と送りローラ対10は上下方向にずれた状態で配置されている。折りローラ対11は、送りローラ対10から搬送されてくるシートの先端側(下流側の端部)をニップした状態で、突き板15で突かれた所定箇所(折り目)をニップして搬送することでシートにZ折りを施す。
【0018】
突き板15は、シート幅方向に延設された板状部材であって、送り下ガイド14の下方に配置されている。突き板15は、その先端部15aが折り上ガイド16と折り下ガイド17との間に進入し、シートの折り目を折りローラ対11のニップ部11cに向けて案内する。また、突き板15は、送り上ガイド13の下流側と対向し、第3搬送路18cの一部を形成するためのガイドとしても機能する。さらに、第3搬送路18cを開放してループ形成部20に連通させる。つまり、突き板15は、シートの折り目を折りローラ対11のニップ部11cにニップさせる突き位置PAと、第3搬送路18cの一部としてシートを案内するガイド位置PBと、ループ形成空間部20にループを形成させるための退避位置PCとに移動する。突き板15をガイドとする第3搬送路18cの部分におけるギャップは、第2搬送路18bのギャップよりも狭くなっている。本実施の形態では、突き板15をガイドとする第3搬送路18cの部分におけるギャップを2.0mmとし、第2搬送路18bのギャップを4.0mmとしている。なお、図2では突き板15を第3搬送路18cの一部としてシートを案内するガイド位置PBに移動させた状態を示している。
【0019】
折りローラ対11の下流側には、増折部(増折機)50が配置されている。増折機50は、図3に示すように、シートの搬送方向と直交するシートの幅方向に対して回転自在に設けられる複数のコロ52を有する増折ユニット51と、この増折ユニット51を上下方向及びシートの幅方向に移動させる増折モータMT4及び移動機構(図示せず)を備えている。増折機50は、折りローラ対11によって加圧台59上に搬送されてくるシートの折り目を複数のコロ52で挟んで加圧することによって、シートの折り目を平らに整えることができる。
【0020】
図3に基づき制御系について説明する。図3に示すように折り機Cは、送りローラ対10の上流側でシートの先後端を検出する入口センサS1と、折りローラ対11の上流側に配置され、折り処理されるシートの先後端を検出する折りセンサS2と、突き板15の移動位置を検出する突きセンサS3を備えている。これらのセンサにてシートや突き板15の位置を検出する。
【0021】
また、折り機Cには、駆動伝達機構(図示せず)を介して送り上ローラ10aを駆動する送りモータMT1と、伝達機構(図示せず)を介して折りローラ対11の折り上ローラ11a、折り下ローラ11bを駆動する折りモータMT2と、突き板15を移動させる突きモータMT3と、増折ユニット51を上下方向及びシートの幅方向に移動させる増折モータMT4と、を備えている。
【0022】
本実施の形態では突き板15を移動させるための機構として、突き板15のシート幅方向の一端に設けられた第1のラック30と、他端に設けられた第2のラック31と、第1のラック30に歯合する第1のピニオン32と、第1のラック30と同軸34上に設けられ、第2のラック31に歯合する第2のピニオン32を備えている。つまり、突きモータMT3を駆動すると、第1のピニオン32が回転する。この第1のピンオン32が回転すると、第2のピニオン33も軸34を介して回転する。そして、第1のピニオン32に歯合する第1のラック30と、第2のピニオン33に歯合する第2のラック31が同期して移動する。これによって、突き板15が水平方向に往復移動するようになっている。なお、図3では突き板15をループ形成空間部20にループを形成させるための退避位置PCに移動させた状態を示している。
【0023】
折り機Cには、制御部100が設けられており、複写機Aに備わる操作パネルで設定されるシートの種類や折りモード等の情報を、綴じ機Bを介して受信する。そして、制御部100は、複写機Aからの各種の情報と各センサS1、S2、S3によるシートの検出結果に基づいて、各モータMT1、MT2、MT3、MT4の駆動を制御する。これによって、シートの搬送、折り動作が実行される。また、制御部100では、綴じ機Bを介してシートの搬送状況などの情報を複写機Aに送信し、折り機Cによる搬送不良等を使用者に報知する機能を備えている。
【0024】
図4は折り機Cのメイン動作フローを示したものである。本実施形態の折り機Cは、シートにZ折りを施す「折り有り」モードと、折り処理を施さない「折り無し」モードとを備えている。最初に、入口センサS1がシートの先端(下流端)を検出したことをトリガとして、シートのサイズ、材質、紙厚等のシート情報や折りモード等の後処理情報を複写機Aから綴じ機Bを介して取得する(ST01、ST02)。取得した情報に「折り有り」を指示する情報があれば(ST03)、シートサイズなどのシート情報に基づきシートを折るための各種の値を設定する折り動作設定処理を実行(ST04)し、レジスト処理にてシートの先端を送りローラ対10に突き当てて整合してシートスキューを矯正する(ST05)。そして、折りループ処理にてシートにループ部を形成する(ST06)し、折り処理にて突き板15でループ部の所定位置を突いて折りローラ対11にニップさせ、折りローラにて第1、第2の折り目を形成する(ST07)。また、この折り処理では折機50を作動させて折りローラにて形成された2つの折り目を順次に加圧し、折り目の膨らみを平坦にする。最後に排出処理にて、下流側の綴じ機Bに搬出する(ST09)。
【0025】
一方、取得した情報に「折り有り」を指定する情報がなければ(ST03)、通常処理(折り無し処理)が実行される(ST08)。この通常処理は、折り機Cに受け入れたシートに折り有りモードにおける一連の処理及び増折機50による折り目に対する加圧を行うことなく綴じ機Bに搬出する(ST09)。
【0026】
ここで、複写機Aでは、画像を定着させる定着器の熱と圧力の影響で、シートにカール(円弧状変形)が発生する。このカールの発生したシートは搬送路18の屈曲部において紙詰まりし易い。特に第2搬送路18bと第3搬送路18cの連接部は、突き板15をガイドとして使用しているため図2に示すように送り下ガイド14と突き板15との間に空間(スペース)SPが生じ、シートの先端が座屈し易い。さらに、突き板15をガイドとする第3搬送路18cのギャップは、第2搬送路18bのギャップよりも狭くなっているので、シートの先端が第2搬送路18bから第3搬送路18cに案内される際に紙詰まりし易い。
【0027】
このようなカールの発生したシートの搬送不良の対策として本実施の形態では、突き板15によるアシスト動作を行っている。このアシスト動作は、図7(a)に示すように突き板15を退避位置PCにある状態で、送りローラ対10に搬送されるシートの先端をループ空間に垂下させ、突き板15を退避位置PCからガイド位置PBに移動させる。これによって、図7(b)、図7(c)に示すようにループ空間20に垂下したシートの先端が突き板15にて掬い上げながら搬送され、カールが発生したシートであっても良好に搬送することができる。
【0028】
具体的には、搬送ローラ対10のニップ位置から第2搬送路18bと第3搬送路18cの連接位置に至る距離に一定距離を加えた距離に相当する駆動量を予め設定する。そして、搬送ローラ対10がシートの搬送を開始してから予め設定された駆動量を駆動した時点で突き板15の移動を開始する。このとき突き板15の移動速度は搬送ローラ対10によるシート搬送速度よりも速い速度とする。これによって、シートの先端部はループ形成部20に垂下した状態から突き板15によって掬い上げられ、突き板15がガイド位置に到達した時点でシートは第3搬送路18c内を搬送される。なお、このような構成は、カールの発生したシート以外のシートであっても適用可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0029】
次に、上述したアシスト動作が実行される折りループ処理とシートに折りを施す折り処理について詳細に説明する。図5は折りループ処理(ST06)の動作フローチャート図であり、図6は折り処理(ST07)の動作フローチャート図である。また、図7及び図8は折りループ処理、折り処理におけるシートの状態を示す状態図である。
【0030】
折りループ処理では、先ず送りモータMT1、折りモータMT2を駆動し、折りローラ対11を回転させる(ST06-1)。これによって、レジスト処理にて先端が整合されたシートが搬送ローラ対10によって折りローラ対11に向けて搬送を開始し、アシスト動作を行う。アシスト動作では、送りモータMT1が駆動を開始した時点から第1設定量を駆動した時点で突き板15のガイド処理を実行する(ST06-2、ST06-3)。第1設定量は送りローラ対10のニップ位置10cからループ形成部20内の予め定められた位置に至る距離に相当する送りモータMT1の駆動量である。これによって、送りローラ対10にてシートが搬送され、シートの先端が図7(a)のようにループ空間20内に垂下する。
【0031】
ガイド処理では、突きモータMT3を正転駆動し、突きモータMTを一定量駆動させ、突きモータMT3を停止する。一定量は突き板15が退避位置PCからガイド位置PBに移動させる駆動量である。突きモータMT3を、所定駆動量を駆動することで、図7(a)~図7(c)に示すように突き板15が退避位置PCからガイド位置PBに移動する。このとき、突きモータMT3による突き板15の移動速度を送りモータMT2による送りローラ対10のシート搬送速度よりも速くする。これによって、図7(b)、図7(c)に示すようにループ空間20内に垂下したシートの先端側は突き板15によって掬い上げつつ搬送される。つまり、このアシスト動作では、図7(a)~図7(c)に示すように、シートの先端がループ空間20に垂下したタイミングで突き板15をガイド位置PBに向けて移動させることで、突き板15がシートの先端を掬い上げつつ搬送するようになっている。
【0032】
そして、折りセンサS2がシートの先端を検出したならば、突き板15の退避処理が実行される(ST06-4、ST06-5)。また、折りセンサS2がシートの先端を検出した時点からの送りモータMT2の駆動量が第2設定量に到達すると折りモータMT2を停止する(ST06-6、ST06-7)。これによって、シートの先端は、図7(d)に示すように折りローラ対11にニップされた状態で停止する。なお、第2設定量はシートの先端が折りローラ対11にニップするに到達するのに要する送りモータMT2の駆動量である。また、退避処理では、突きモータMT3を逆転駆動し、突き板15の検出フラグFGを突きセンサS3が検出されると突きモータMT3を停止する。これによって、ガイド位置PBから退避位置PCに移動し、図7(d)に示すように第3搬送路18cが開放される。
【0033】
その後、折りローラ対11がシートをニップした状態で停止し、送りローラ対10はシートの送りを継続するので、シートは図8(a)に示すようにループ空間20にシートが撓み、ループが形成される。そして、折りループカウンタがカウントアップすると折り処理が実行される(ST06-8、ST07)。なお、折りループカウンタは、シートのサイズによる折り位置によって決定され、送りローラ対10がシートの搬送を開始してからシートの折り位置が突き板15にて突かれる位置に到達するまでの送りローラ対10の搬送量である。このループカウンタの値が「0」、すなわちカウントアップするタイミングで突き板15によってシートの折り位置が突かれる。
【0034】
次に、図6の動作フローチャートに基づき折り処理について説明すると、折りループカウンタがカウントアップし、図8(a)に示すようにシートを折るためのループがループ空間20に形成されると突き板15の突き処理が実行される(ST07-1)。突き処理は、突きモータMT3を正転駆動し、突き板15を移動させ、突き板15が突き位置PAに到達すると突きモータMT3を停止する。これによって、突き板15はシートのループ部分の折り位置(Z折りシートにおける第2の折り目に相当)を押しつつ、折りローラ対11側に向かって移動する。そして、突き板15は図8(b)に示すように第3の経路18cの折り上ガイド16と折り下ガイド17の間に進入して突き位置PAで停止する。なお、本実施の形態において、送りローラ対10は突き板15がシート送り方向に移動中もシートを送り続けており、突き板15の移動速度は送りローラ対10で送られるシートの移動速度と同一速度となるように制御している。
【0035】
突き板15が突き位置PAで停止し、送りモータMT1が第3設定量を駆動したならば、折りモータMT2を駆動する(ST07-2、ST07-3)。折りモータMT2を駆動させると折りローラ対11が回転し、突き板15によって折りローラ対11のニップ部の手前に位置付けられたシートの第2の折り目が折りローラ対11に巻き込まれてシートが折られる(図8(c)参照)。なお、第3設定量はシートの第2の折り目が突き板15によって折りローラの巻き込まれる位置に到達するまで送りローラ対10を回転させる送りモータMT1の駆動量であり、この量はシートの折り位置に基づいて設定される。
【0036】
第2の折り目が折りローラ対11に巻き込まれると、突き板15の退避処理を実行する(ST07-4)。退避処理では、前述したように突きモータMT3を逆転駆動し、突きセンサS3が突き板15の検出フラグFGを検出したならば、突きモータMT3を停止する。これによって、図8(c)に示すように突き板15は退避位置PCに移動する。
【0037】
その後、折りローラ対11は、シートの先端側と第2の折り目の前後部分を重ねた状態でシートをニップして下流に送る。それによって、ループ空間20のシートループは徐々に小さくなり、第1の折り目が折りローラ対11にニップされるとZ折りシートが生成される。
【0038】
そして、入口センサS1がシートの後端を検出するとガイド処理が実行される(ST07-5、ST07-6)。図示しないが、このガイド処理によって突き板15はガイド位置PBに移動して、搬送されるシートの後端を支持してループ形成部20にシートの後端が垂れ下がることを防止する。なお、ガイド処理が実行されるときにはシートの2つの折り目は折りローラ対11を既に通過しており、ループ形成部20にシートはない状態である。
【0039】
最後に、Z折りされたシートの後端が折りセンサS2で検出され、折りモータMT2を所定量駆動するとシートの後端が折りローラ対11を通過したと判断すると、突き板15の退避処理を実行すると同時に送りモータMT1、折りモータMT2を停止する。(ST07-7~ST07-10)。これによって、突き板15がガイド位置PBから退避位置PCに移動し、送りローラ対10、折りローラ対11の回転が停止する。
【0040】
なお、上述の折り処理の説明では便宜上に第1、第2の折り目に増折機50で加圧する動作を省いて説明したが、ステップ08-3(ST07-3)以降に第2の折り目、第1の折り目が、図2に示す増折位置PPに到達すると、その都度にシートを一旦停止して増折機50にて増し折りを行う。
【0041】
なお、アシスト動作は、シートの種類、またはシートの状態に応じて実行するようにしてもよい。例えば、厚紙はカールが発生し難いため、折り処理が実行できない厚紙では、レジスト処理が完了し、ループ形成処理を実行する前、すなわちステップ06-1(ST06-1)を実行する前に突き板15のガイド処理を実行する。これによって、シートが送りローラ対10にて搬送が開始される際に突き板15はガイド位置PBに移動しているので、支障なくシートの搬送ができる。このように、薄紙、普通紙の場合はアシスト動作を行い、カールが発生し難い厚紙の場合はアシスト動作を行わないようにすることで、アシスト動作をする際の突き板15の最大駆動負荷を小さくすることができる。また、シートの状態によって実行する場合の一例では、カールの状態を認識し、カールが大きい場合は、アシスト動作を行い、カールが小さい場合はアシスト動作を行わないようにすることもできる。
【0042】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
A 複写機
C 折り機
10 送りローラ対
11 折りローラ対
13 送り上ガイド
14 送り下ガイド
15 突き板
16 折り上ガイド
17 折り下ガイド
18 搬送路
18a 第1搬送路
18b 第2搬送路
18c 第3搬送路
20 ループ形成部
30 第1のラック
31 第2のラック
32 第1のピニオン
33 第2のピニオン
100 制御部
MT1 送りモータ
MT2 折りモータ
MT3 突きモータ
S1 入口センサ
S2 折りセンサ
S3 突きセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8