(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152015
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/375 20220101AFI20221004BHJP
【FI】
F24H4/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054618
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】内倉 政治
(72)【発明者】
【氏名】土屋 友範
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA72
3L122AA73
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BB03
3L122BB13
3L122BB14
3L122CA05
3L122DA21
3L122EA09
3L122GA07
(57)【要約】
【課題】商用電源の停電時に、太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて貯湯し、給湯不能の事態を防止するように構成された貯湯給湯システムを提供すること。
【解決手段】太陽光発電蓄電システム及び商用電源から供給される電力により湯水を加熱するヒートポンプ式熱源機と、燃料の燃焼熱で湯水を加熱する燃焼式熱源機と、貯湯槽と、ヒートポンプ式熱源機で加熱した湯水を貯湯槽に貯湯する貯湯運転を制御する制御手段を有する貯湯給湯システムにおいて、制御手段は、商用電源の停電検出時に、太陽光発電蓄電システムの電力を使用する自立モードに移行し、取得した燃料供給状態と太陽光発電蓄電システムの発電状態と蓄電量に関する燃料電力情報に基づいて、給湯使用履歴に応じた熱量を貯湯する第1貯湯運転と、貯湯槽の最大熱量を貯湯する第2貯湯運転と、第2貯湯運転よりも少ない熱量を貯湯する第3貯湯運転のうち何れか1つを選択する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光で発電して蓄電する太陽光発電蓄電システム及び商用電源から供給される電力を使用して湯水を加熱するヒートポンプ式熱源機と、燃料の燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式熱源機と、貯湯槽と、制御手段を有し、前記制御手段が前記ヒートポンプ式熱源機により加熱された湯水を前記貯湯槽に貯湯する貯湯運転を制御する貯湯給湯システムにおいて、
前記制御手段は、前記商用電源の停電検出時に、前記太陽光発電蓄電システムから供給される電力を使用する自立モードに移行して、前記燃焼式熱源機の燃料供給状態と前記太陽光発電蓄電システムの発電状態と蓄電量に関する燃料電力情報を取得し、前記燃料電力情報に基づいて、給湯使用履歴に応じた熱量を貯湯する第1貯湯運転と、前記貯湯槽の最大熱量を貯湯する第2貯湯運転と、前記第2貯湯運転よりも少ない熱量を貯湯する第3貯湯運転のうち何れか1つを選択して制御することを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値以上であると共に、前記燃料供給状態が燃料を供給可能な状態又は前記発電状態が非発電の場合に、前記第1貯湯運転を選択することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値以上であると共に、前記燃料供給状態が燃料を供給不能な状態且つ前記発電状態が発電中の場合に、前記第2貯湯運転を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯給湯システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値未満である場合に、前記第3貯湯運転を選択することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式熱源機で加熱して貯湯槽に貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムに関し、特に太陽光発電の電力を蓄電する太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて自立運転可能に構成された貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー源として太陽光を利用して発電する太陽光発電システムが、一般家庭において広く利用されている。太陽光で発電した電力は家庭内で使用され、使用されなかった余剰電力は商用電源を介して売電される。また、余剰電力を蓄電装置に蓄電しておき、例えば太陽光による発電ができないとき又は商用電源の停電のときに、蓄電装置から電力を供給する太陽光発電蓄電システムの利用も拡大している。
【0003】
一方、エネルギー効率が高い電動のヒートポンプ式熱源機によって加熱された高温の湯水を貯湯槽に貯湯し、この貯湯槽の高温の湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムが広く利用されている。そして、貯湯するときに無駄な電力消費を抑制するために、学習記憶した給湯使用履歴に基づいて予測した熱量を予測した給湯使用時刻の前に貯湯する貯湯給湯システムも知られている。このような貯湯給湯システムは、例えば予測した熱量を超える給湯使用によって貯湯槽の高温の湯水を使い果たして給湯不能となる事態を防ぐために、燃料の燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式熱源機を備えている。
【0004】
ところで、例えば災害の発生に伴う商用電源の停電時には、商用電源の電力供給が短期間で復旧しない虞がある。この商用電源の停電時にも給湯することができるように、太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて、ヒートポンプ式熱源機によって貯湯する自立運転可能に構成された貯湯給湯システムが知られている。例えば特許文献1には、商用電源の停電時には蓄電された電力を使用してヒートポンプ式熱源機で湯水を加熱する自立運転の場合に、蓄電量に応じて消費電力を抑制する制御を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害の発生に伴う商用電源の停電時には、燃焼式熱源機の燃料の供給も遮断されて、燃焼式熱源機を使用することができない場合がある。このとき、自立運転において電力消費を抑制することよりも、給湯不能の事態の防止を優先することが要求されている。しかし、商用電源の停電時に、給湯不能の事態の防止を優先するために貯湯槽に貯湯する熱量を調整するように構成された貯湯給湯システムは無かった。また、特許文献1は、蓄電量に基づき消費電力を抑制して貯湯する又は貯湯を禁止するものであり、貯湯槽に貯湯する熱量の調整について記載されていない。
【0007】
本発明の目的は、商用電源の停電時に、太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて貯湯し、給湯不能の事態を防止するように構成された貯湯給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の貯湯給湯システムは、太陽光で発電して蓄電する太陽光発電蓄電システム及び商用電源から供給される電力を使用して湯水を加熱するヒートポンプ式熱源機と、燃料の燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式熱源機と、貯湯槽と、制御手段を有し、前記制御手段が前記ヒートポンプ式熱源機により加熱された湯水を前記貯湯槽に貯湯する貯湯運転を制御する貯湯給湯システムにおいて、前記制御手段は、前記商用電源の停電検出時に、前記太陽光発電蓄電システムから供給される電力を使用する自立モードに移行して、前記燃焼式熱源機の燃料供給状態と前記太陽光発電蓄電システムの発電状態と蓄電量に関する燃料電力情報を取得し、前記燃料電力情報に基づいて、給湯使用履歴に応じた熱量を貯湯する第1貯湯運転と、前記貯湯槽の最大熱量を貯湯する第2貯湯運転と、前記第2貯湯運転よりも少ない熱量を貯湯する第3貯湯運転のうち何れか1つを選択して制御することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、貯湯給湯システムは、商用電源が停電したときの自立モードにおいて、取得した燃料電力情報に基づいて、第1~第3貯湯運転の何れか1つを選択して制御する。自立モードでは、太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて第1~第3貯湯運転の何れか1つを選択して貯湯するので、貯湯した湯水を給湯に使用することができ、給湯不能の事態を防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値以上であると共に、前記燃料供給状態が燃料を供給可能な状態又は前記発電状態が非発電の場合に、前記第1貯湯運転を選択することを特徴としている。
上記構成によれば、蓄電量が基準値以上で余裕がある場合であって、燃料供給可能な状態で燃焼式熱源機を使用できる場合に、第1貯湯運転で給湯使用履歴に応じた熱量を貯湯する。蓄電量に余裕があって燃料も使えるので、第1貯湯運転によって給湯に必要であると予測される熱量を貯湯して、太陽光発電蓄電システムに蓄えられた電力の必要以上の使用を抑制することができる。また、蓄電量が基準値以上で余裕がある場合であって、発電できない場合でも、第1貯湯運転を選択して、太陽光発電蓄電システムに蓄えられた電力の必要以上の使用を抑制することができる。
【0011】
請求項3の発明の貯湯給湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値以上であると共に、前記燃料供給状態が燃料を供給不能な状態且つ前記発電状態が発電中の場合に、前記第2貯湯運転を選択することを特徴としている。
上記構成によれば、蓄電量が基準値以上で余裕がある場合であって、燃料供給不能な状態で燃焼式熱源機を使用できないが太陽光発電蓄電システムが発電中である場合に、第2貯湯運転で貯湯槽に蓄えられる最大熱量を貯湯する。給湯使用履歴に基づき予測した熱量よりも多い給湯使用があっても、貯湯槽に最大限の熱量を貯湯して給湯できる湯水を最大限確保するので、燃料が使えない場合でも給湯不能の事態を防ぐことができる。
【0012】
請求項4の発明の貯湯給湯システムは、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記制御手段は、前記燃料電力情報に基づいて、前記蓄電量が予め設定された基準値未満である場合に、前記第3貯湯運転を選択することを特徴としている。
上記構成によれば、蓄電量が基準値未満で余裕がない場合には、第3貯湯運転により貯湯槽の最大熱量よりも少ない熱量を貯湯する。蓄電量に余裕がないため、家庭の他の機器への電力配分に配慮しながら貯湯槽に貯湯して、給湯することができる湯水を確保するので、燃料の供給状態によらず、すぐに給湯不能となることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貯湯給湯システムによれば、商用電源の停電時に、太陽光発電蓄電システムから電力供給を受けて貯湯して、給湯不能の事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯システムの周辺構成の説明図である。
【
図2】実施例に係る貯湯給湯システムの説明図である。
【
図4】実施例に係る貯湯制御のフローチャートである。
【
図5】実施例に係る自立運転時の貯湯運転テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0016】
最初に、貯湯給湯システム1の周辺構成について、
図1に基づいて説明する。
貯湯給湯システム1は、商用電源2及び太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けることができるように電力切替ユニット4に接続されている。電力切替ユニット4は、商用電源2に接続された一般的な分電盤の機能と、貯湯給湯システム1が受ける電力を商用電源2の電力又は太陽光発電蓄電システム3の電力に切り替える機能を有する。
【0017】
太陽光発電蓄電システム3は、太陽光を利用して発電する太陽電池パネル5と、発電した電力を蓄電する蓄電装置6と、発電した電力及び蓄電した電力を直流から交流に変換して電力切替ユニット4に供給するパワーコンディショナ7を有する。太陽電池パネル5で発電された電力は家庭内での使用が優先され、使用されない余剰電力が蓄電装置6に蓄電される。蓄電装置6に余剰電力を蓄電できない場合には、商用電源2を介して余剰電力が売電される。
【0018】
貯湯給湯システム1は、ヒートポンプ式熱源機10と貯湯給湯ユニット20を有し、太陽光発電蓄電システム3の電力及び商用電源2の電力を夫々単独で使用して、又はこれらを併用して駆動される。貯湯給湯システム1に供給される電力は、電力線8aを介して貯湯給湯ユニット20に供給され、貯湯給湯ユニット20から電源線8bを介してヒートポンプ式熱源機10に供給される。
【0019】
貯湯給湯システム1について、
図2に基づいて説明する。
貯湯給湯ユニット20は、湯水を貯湯するための貯湯槽21と、燃料の燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式熱源機22と、高温の湯水と上水を混合する混合弁23と、貯湯給湯システム1を制御する制御部24(制御手段)を備えている。貯湯給湯システム1は、ヒートポンプ式熱源機10によって外気の熱を利用して貯湯槽21の湯水を加熱した高温の湯水を貯湯槽21に貯湯し、貯湯槽21の高温の湯水と上水を混合弁23で混合して、給湯設定温度の湯水を例えば給湯栓9に給湯するように構成されている。
【0020】
燃焼式熱源機22は、送風ファン22a、バーナ22b、熱交換器22c等を備え、外部から供給される燃料(例えば都市ガス)の燃焼熱を利用して上水を加熱する。制御部24は、学習記憶した給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用の予測を行い、予測した給湯使用量に相当する熱量を予測した給湯使用の前に貯湯槽21に貯湯するように貯湯運転を制御する。
【0021】
貯湯槽21の下部には、ヒートポンプ式熱源機10に貯湯槽21の湯水を供給する循環往き通路25が接続され、貯湯槽21の上部には、ヒートポンプ式熱源機10で加熱した湯水を貯湯槽21に戻す循環戻り通路26が接続されている。循環往き通路25は、貯湯槽21の湯水をヒートポンプ式熱源機10に送るための貯湯ポンプ27を備えている。尚、ヒートポンプ式熱源機10が貯湯ポンプ27に相当するものを備えていてもよい。
【0022】
循環往き通路25には、ヒートポンプ式熱源機10に供給する湯水の温度を検知する循環往き温度センサ25aが配設されている。循環戻り通路26には、ヒートポンプ式熱源機10で加熱された湯水の温度を検知する循環戻り温度センサ26aが配設されている。
【0023】
また、貯湯槽21の下部には、貯湯槽21に上水を供給するための給水通路28が接続されている。給水通路28には上水の温度を検知する給水温度センサ28aが配設され、給水通路28の貯湯槽21との接続部の近傍には、排水栓29aを備えた排水通路29が接続されている。排水栓29aは、断水時に貯湯槽21の湯水を取り出すためにも使用される。貯湯槽21の上部(頂部)には、上水の給水圧により貯湯槽21の湯水を出湯するための出湯通路30が接続されている。
【0024】
貯湯槽21には、その内部の湯水の温度を検知するために、貯湯槽21の高さ方向に所定の間隔を空けて並ぶように、複数の貯湯温度センサ21a~21eが配設されている。出湯通路30の貯湯槽21との接続部の近傍には、貯湯槽21から出湯通路30に出湯される湯水の温度を検知するための貯湯槽出湯温度センサ21fが配設されている。貯湯槽21は、貯湯温度センサ21a~21eと貯湯槽出湯温度センサ21fを含めて不図示の断熱部材に覆われており、貯湯運転により貯湯した湯水の放熱を防いで温度低下を緩やかにしている。
【0025】
混合弁23には、給水通路28から分岐された第1分岐通路31と、出湯通路30と給湯通路32が接続されている。この混合弁23は、出湯通路30から供給される高温の湯水と第1分岐通路31から供給される低温の上水の混合比を調整可能に構成されている。混合弁23で混合された湯水は、給湯通路32に供給されて給湯栓9等から給湯される。
【0026】
混合弁23の高温水入口近傍の出湯通路30には、混合弁23に供給される湯水の温度を検知する混合弁入口温度センサ30aが配設されている。給湯通路32には、給湯流量を検知する給湯流量センサ32aと、給湯温度を検知する給湯温度センサ32bと、給湯流量を調整する給湯流量調整弁32cが配設されている。
【0027】
給水通路28からさらに第2分岐通路33が分岐され、この第2分岐通路33が追焚用循環通路34に接続されて、給水通路28から追焚用循環通路34に上水を供給可能に構成されている。追焚用循環通路34は、燃焼式熱源機22と追焚用熱交換器35に接続され、燃焼式熱源機22に湯水を供給するために燃焼式熱源機22の湯水の入口側に循環ポンプ36を有する。
【0028】
追焚用循環通路34の循環ポンプ36の出口と燃焼式熱源機22の入口の間には、燃焼式熱源機22に供給される湯水の温度を検知する燃焼式熱源機入口温度センサ34aと、その流量を検知する循環流量センサ34bが配設されている。そして、燃焼式熱源機22で加熱された湯水温度を検知する燃焼式熱源機出口温度センサ34cが、燃焼式熱源機22の湯水の出口側の追焚用循環通路34に配設されている。また、追焚用循環通路34は、追焚用熱交換器35の出口側に追焚用循環通路34を開閉するための開閉電磁弁34dを有する。第2分岐通路33は、循環ポンプ36と開閉電磁弁34dの間に接続されている。
【0029】
追焚用熱交換器35には、図示外の浴槽の湯水を流通させるために浴槽ポンプ37を備えた追焚通路38が接続されている。この追焚用熱交換器35は、燃焼式熱源機22が加熱した高温の湯水との熱交換によって、追焚通路38を流通する浴槽の湯水を加熱する。追焚通路38には、給湯流量調整弁32cにおいて給湯通路32から分岐された注湯通路39が接続され、追焚通路38を介して浴槽に注湯(湯張り)可能なように構成されている。
【0030】
燃焼式熱源機出口温度センサ34cと追焚用熱交換器35の間の追焚用循環通路34から、燃焼出湯通路40が分岐されて出湯通路30に接続されている。燃焼出湯通路40は、出湯通路30に供給する湯水量を調整するための流量調整弁40aを備えている。燃焼式熱源機22で加熱された湯水は、燃焼出湯通路40を介して出湯通路30に供給可能である。
【0031】
制御部24は、貯湯温度センサ21a等の各部に配設された温度センサの検知温度、給湯流量センサ32a等の検知流量等に基づいて、各部に配設された弁、ポンプ等の機器類を作動させて各種運転制御等を行う。また、制御部24は、計時機能、給湯使用履歴を学習記憶する機能を備えている。この制御部24には、操作端末24aが通信可能に接続されている。操作端末24aは、貯湯給湯システム1の運転操作、給湯設定温度等の各種設定操作のための操作部と表示部と、家庭内の通信ネットワーク(ホームネットワーク)に通信接続するための通信部を有する。ホームネットワークは、商用電源2の停電時にも、太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けて通信可能に維持される。
【0032】
ヒートポンプ式熱源機10について、
図3に基づいて説明する。
ヒートポンプ式熱源機10は、圧縮機11、凝縮熱交換器12、膨張弁13、蒸発熱交換器14を冷媒回路15により接続して構成されている。このヒートポンプ式熱源機10は、冷媒回路15に封入された冷媒を圧縮機11で圧縮して高温にする。そして、貯湯ポンプ27の駆動により循環往き通路25から供給される貯湯槽21の湯水を、凝縮熱交換器12において高温の冷媒との熱交換により加熱する。熱交換後の温度が下がった冷媒は、膨張弁13において膨張して外気より低温になり、蒸発熱交換器14で外気から吸熱した後、再び圧縮機11に導入される。蒸発熱交換器14は、送風機16と外気温度を検知する外気温度センサ17を備えている。
【0033】
次に、貯湯運転について説明する。
制御部24は、例えば学習記憶した給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用時刻と給湯使用量を予測し、予測した給湯使用の直前に貯湯が完了するように貯湯運転を制御する。このとき制御部24は、貯湯ポンプ27とヒートポンプ式熱源機10を作動させて貯湯運転を開始し、予測した給湯使用量に相当する熱量を貯湯すると貯湯運転を終了する。
【0034】
次に、給湯運転について説明する。
給湯設定温度の給湯を行う給湯運転は、制御部24が、混合弁入口温度センサ30aと給水温度センサ28aと給湯温度センサ32bの夫々の検知温度に基づいて、混合弁23の混合比を調整することによって給湯設定温度に調整した湯水を給湯する。このとき制御部24は、貯湯運転によって貯湯槽21に貯湯された湯水を使用して給湯運転を行う。また制御部24は、給湯運転において、例えば給湯使用時刻(給湯使用時間)、給湯流量センサ32aが検知した給湯流量、給湯使用時間と給湯流量と混合弁23の混合比から求められる貯湯槽21の出湯量等を含む給湯使用履歴を学習記憶する。
【0035】
例えば給湯運転中に貯湯された湯水を使い切ってしまい、貯湯槽21に給湯に使用できる温度の湯水がない場合には、制御部24は、循環ポンプ36を駆動し、給水通路28から供給される上水を燃焼式熱源機22で加熱した高温の湯水を使用して給湯運転を行う。また、例えば給湯設定温度の変更により、貯湯された湯水よりも高温の給湯を行う場合にも、制御部24は、給水通路28から供給される上水を燃焼式熱源機22で加熱した高温の湯水を使用して給湯運転を行う。
【0036】
制御部24には、上記の貯湯運転、給湯運転以外にも、各種センサの検知信号等に基づいて湯張り運転、追焚運転等の制御を行う制御プログラムが格納されている。また、制御部24は、ヒートポンプ式熱源機10への入水温度と外気温度に基づいて、ヒートポンプ式熱源機10を制御する。
【0037】
貯湯給湯システム1は、通常時には、太陽光発電蓄電システム3と商用電源2の一方又は両方から電力供給を受けて、通常モードの貯湯運転及び給湯運転を行う。しかし、商用電源2は、例えば台風、地震等の災害発生に伴い停電する虞がある。そのため、貯湯給湯システム1は、商用電源2の停電時に太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けて貯湯運転、給湯運転を行う自立モードを有する。
【0038】
通常モードでは、給湯使用履歴に基づいて予測した熱量を、ヒートポンプ式熱源機10によって貯湯槽21に貯湯する。そして、この貯湯槽21に貯湯された湯水が給湯に使用される。貯湯槽21の湯水を給湯に使用できない場合には、上水を燃焼式熱源機22で加熱して給湯する。
【0039】
一方、自立モードでは、太陽光発電蓄電システム3から供給される電力を使用して、ヒートポンプ式熱源機10によって貯湯運転を行い、給湯用の高温の湯水を貯湯する。このとき、災害による停電は短期間で復旧しない場合があり、燃焼式熱源機22が使用する燃料の供給が遮断される場合もある。このような状況で家庭内の機器への電力供給と給湯用の湯水確保を両立するために、制御部24は、太陽光発電蓄電システム3の発電状況、蓄電状況に応じて貯湯運転の制御を行う。この貯湯給湯システム1の制御部24による貯湯制御について、
図4の貯湯制御フローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0040】
貯湯制御が開始されるとS1において、学習記憶した給湯使用履歴に基づいて、将来の給湯の予測を行い、S2に進む。この予測には、給湯使用量の予測と、給湯使用時刻の予測が含まれる。
【0041】
S2において、貯湯タイミングの到来を判定する。例えば、S1で予測した給湯使用時刻の前に予測した給湯使用量に相当する熱量の貯湯が完了するように、貯湯を開始する時刻になったか否か判定する。S2の判定がYesの場合はS3に進み、S2の判定がNoの場合はS2の判定を繰り返す。
【0042】
S3において、商用電源2が停電しているか否か判定する。商用電源2の電力供給状況は、ホームネットワークを介した電力切替ユニット4との通信によって取得する。尚、制御部24と電力切替ユニット4と太陽光発電蓄電システム3との間における通信は、ホームネットワークを介して例えばエコーネットライト(ECHONETLite(登録商標))と呼ばれる通信規格に基づいて行われる。S3の判定がNoの場合(商用電源2が電力供給中の場合)にはS4に進み、S4において、通常モードの貯湯運転を行ってリターンする。S3の判定がYesの場合(商用電源2の停電検出の場合)には、S5に進む。
【0043】
S5において、太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けて運転する自立モードに移行し、S6に進む。そしてS6において、燃料電力情報を取得してS7に進む。燃料電力情報には、燃料供給状態(燃料供給の可否)と太陽光発電蓄電システム3の太陽光による発電状態と蓄電量が含まれる。太陽光による発電状態と蓄電状態は、太陽光発電蓄電システム3との通信によって取得する。燃料供給状態は、燃焼式熱源機22において着火動作を行い、実際に燃焼可能か否か試行して確認する。
【0044】
S7において、取得した蓄電量が予め設定された基準値以上であるか否か判定する。蓄電された電力は、家庭内の他の機器にも分配されるので、蓄電量に応じて貯湯する熱量を調整することが好ましいためである。S7の判定がYesの場合(基準値以上の場合)にはS8に進む。
【0045】
S8において、取得した燃料電力情報に基づいて燃料供給可能か否か判定する。S8の判定がYesの場合(燃料供給可能の場合)にはS9に進み、S9において第1貯湯運転を選択して実行する。この第1貯湯運転は、S1で給湯使用履歴に基づいて予測した給湯使用量に相当する熱量を貯湯する。基準値以上の十分な蓄電量があるので、太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けて予測した熱量を貯湯することができ、燃料供給可能なので、燃焼式熱源機22を使用することにより給湯不能の事態を防ぐことができる。第1貯湯運転を実行して貯湯完了後にはS10に進み、S10において通常モードに移行してリターンする。
【0046】
S8の判定がNoの場合(燃料供給不能の場合)にはS11に進む。そしてS11において、取得した燃料電力情報に基づいて太陽光発電による発電中か否か判定する。S11の判定がYesの場合(発電中の場合)にはS12に進み、S12において第2貯湯運転を選択して実行する。第2貯湯運転は、給湯使用履歴に基づき予測した熱量ではなく、貯湯槽21に貯湯可能な最大熱量を貯湯する。この第2貯湯運転は、燃料供給不能のため燃焼式熱源機22を使用できないが、基準値以上の蓄電量があり且つ太陽光発電が発電中のため十分に電力があるので、この電力を使用して給湯用の高温の湯水を最大限確保するものである。
【0047】
S11の判定がNoの場合(非発電の場合)にはS9に進んで第1貯湯運転を選択して実行する。第1貯湯運転は、給湯使用履歴に基づき予測した熱量を貯湯するので、必要とされる熱量を貯湯して必要以上の電力消費を抑制することができる。燃料供給不能のため燃焼式熱源機22を使用することはできないが、蓄電量が基準値以上で余裕がある状態で、少なくとも予測した給湯使用量に相当する熱量を貯湯して、通常の給湯使用量の範囲内で給湯不能になることを防ぐ。
【0048】
一方、S7の判定がNoの場合(基準値未満の場合)にはS13に進む。そしてS13において、第3貯湯運転を選択して実行する。第3貯湯運転は、給湯使用履歴に基づき予測した熱量ではなく、基準値未満の少ない蓄電量を家庭の他の機器と分配して使用するために、第2貯湯運転の貯湯槽21に貯湯可能な最大熱量よりも低熱量の貯湯を行う貯湯運転である。第3貯湯運転の目標熱量は、例えば予め設定された熱量として最大熱量の半分の熱量としてもよく、蓄電量に応じた熱量として蓄電量の半分を使用して貯湯可能な熱量としてもよい。これにより、少ない蓄電量のため余裕がない状態で電力配分に配慮して、給湯用の高温の湯水を確保することができる。
【0049】
S12の第2貯湯運転の実行後、S13の第3貯湯運転の実行後には、S14に進み、S14において商用電源2の停電が継続しているか否か判定する。S14の判定がNoの場合(商用電源復旧の場合)にはS10に進み、S14の判定がYesの場合(停電継続の場合)にはS15に進む。
【0050】
S15において、貯湯タイミングの到来を判定する。例えば、給湯に使用した熱量が貯湯した熱量の所定割合を超えた場合に、又は貯湯後の経過時間が所定時間を超えた場合に、貯湯タイミングが到来したと判定する。S15の判定がYesの場合はS6に戻って自立モードの貯湯を行う。S15の判定がNoの場合はS14に戻り、商用電源2が復旧するまで、又は貯湯タイミングが到来するまで、S14とS15の判定を繰り返す。
【0051】
図5は、商用電源2の状態と、燃料供給の状態と、太陽光発電の状態と、蓄電量に基づいて、選択される貯湯運転を示した貯湯運転テーブルである。制御部24は、この貯湯運転テーブルを記憶しておき、商用電源2の状態と取得した燃料電力情報に基づいて第1~第3貯湯運転を選択して実行することもできる。
【0052】
上記貯湯給湯システム1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯システム1は、商用電源2が停電したときの自立モードにおいて、取得した燃料電力情報に基づいて、第1~第3貯湯運転の何れか1つを選択して制御する。自立モードでは、太陽光発電蓄電システム3から電力供給を受けて第1~第3貯湯運転の何れか1つを選択して貯湯するので、貯湯した湯水を給湯に使用することができ、給湯不能の事態を防ぐことができる。また、貯湯給湯システム1が燃料電力情報に基づいて自動的に第1~第3貯湯運転の何れか1つを選択するので、ユーザは燃料供給状態と電力供給状態に基づいて貯湯する操作の必要がなく、ユーザの負担がない。
【0053】
自立モードでは、蓄電量が基準値以上で余裕がある場合であって、燃料供給可能な状態で燃焼式熱源機22を使用できる場合に、第1貯湯運転で給湯使用履歴に応じた熱量を貯湯する。蓄電量に余裕があって燃料も使えるので、第1貯湯運転によって給湯に必要と予測される熱量を貯湯して、太陽光発電蓄電システム3に蓄えられた電力の必要以上の使用を抑制することができる。
【0054】
また、自立モードでは、蓄電量が基準値以上で余裕がある場合であって、燃料供給不能な状態で燃焼式熱源機22を使用できないが、太陽光発電蓄電システム3が発電中である場合に、第2貯湯運転で貯湯槽21に貯湯可能な最大熱量を貯湯する。燃料が使えないため給湯不能の事態となる虞があるので、貯湯槽21に蓄えられる最大熱量を貯湯して給湯できる湯水を最大限確保することによって、給湯不能の事態を防ぐことができる。
【0055】
一方、自立モードにおいて蓄電量が基準値未満であり余裕がない場合には、第3貯湯運転により貯湯槽21の最大熱量よりも少ない熱量を貯湯する。蓄電量に余裕がないため家庭内の他の機器への電力分配に配慮しながら貯湯槽21に貯湯して、給湯可能な高温の湯水を確保するので、燃料の供給状態によらずある程度の給湯を可能にして、給湯不能の事態となることを防ぐことができる。
【0056】
燃焼式熱源機22は、貯湯槽21の湯水を再加熱して出湯通路30に供給可能なように構成されていてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。