(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152016
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】温度センサ診断装置及び温度センサ診断方法
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20221004BHJP
【FI】
F24H1/00 602Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054619
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】五島 大輔
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC09
3L024CC30
3L024DD06
3L024DD17
3L024DD22
3L024DD27
3L024EE02
3L024FF04
3L024FF15
3L024GG03
3L024GG04
3L024GG05
3L024GG06
3L024GG12
3L024GG41
3L024HH01
3L024HH15
3L024HH31
3L024HH58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】給水圧の影響を受けずに、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる温度センサ診断装置を提供すること。
【解決手段】上水を加熱して給湯する給湯機能と、非加熱の上水又は給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置に、湯水供給機能を実行させて湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を用いて故障診断を行う温度センサ診断装置において、故障診断の対象に、追焚機能の実行時に浴槽の湯水を導入するポンプを備えた第1通路の第1温度センサと、追焚機能の実行時に浴槽に湯水を戻す第2通路の第2温度センサを含む場合には、故障診断の際に、湯水供給機能を実行させながらポンプを作動させて、第1通路から直接供給する経路と、第1通路から第2通路を経由する経路の両方から湯水を浴槽に供給させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水を加熱して外部に給湯する給湯機能と、非加熱の上水又は前記給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、前記浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置に対し、前記湯水供給機能を実行させ、前記湯水供給機能の実行時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を用いて故障診断を行う温度センサ診断装置において、
前記故障診断の対象に、前記追焚機能の実行時に前記浴槽の湯水を導入するためのポンプを備えた第1通路に配設された第1温度センサと、前記追焚機能の実行時に前記浴槽に湯水を戻す第2通路に配設された第2温度センサを含む場合には、前記故障診断の際に、前記湯水供給機能を実行させながら前記ポンプを作動させて、前記第1通路から前記浴槽に直接供給する経路と、前記第1通路から前記第2通路を経由して前記浴槽に供給する経路の両経路から前記浴槽に湯水を供給させることを特徴とする温度センサ診断装置。
【請求項2】
前記給湯装置は、上水を導入する給水通路と、前記給湯機能の実行時に加熱された高温水と上水を混合するための混合手段に高温水を供給する出湯通路と、前記混合手段で混合された温水を給湯する給湯通路を備え、
前記故障診断の対象に前記第1温度センサと前記第2温度センサを含み、且つ前記故障診断の際に非加熱の前記湯水供給機能を実行させる場合には、前記給水通路に配設された給水温度センサと、前記出湯通路に配設された出湯温度センサと、前記給湯通路に配設された給湯温度センサも前記故障診断の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の温度センサ診断装置。
【請求項3】
前記給湯装置は、上水を導入する給水通路と、前記給湯機能の実行時に加熱された高温水と上水を混合するための混合手段と、前記混合手段で混合された温水を給湯する給湯通路を備え、
前記故障診断の対象に前記第1温度センサと前記第2温度センサを含み、且つ前記故障診断の際に加熱を伴う前記湯水供給機能を実行させる場合には、前記給湯通路に配設された給湯温度センサも前記故障診断の対象とし、前記給水通路に配設された給水温度センサを前記故障診断の対象に含まないことを特徴とする請求項1に記載の温度センサ診断装置。
【請求項4】
前記故障診断の対象の複数の温度センサが夫々検知した検知温度と、これら検知温度の中央値との比較によって前記故障診断を行うことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の温度センサ診断装置。
【請求項5】
前記給湯装置に通信接続される通信手段と情報の入力手段を備え、
前記給湯装置との通信により取得される情報又は前記入力手段から入力される情報により、前記故障診断の対象を設定することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の温度センサ診断装置。
【請求項6】
上水を加熱して外部に給湯する給湯機能と、非加熱の上水又は前記給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、前記浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置に対し、前記湯水供給機能を実行させ、前記湯水供給機能の実行時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を用いて故障診断を行う温度センサ診断方法において、
前記故障診断の対象に、前記追焚機能の実行時に前記浴槽の湯水を前記給湯装置に供給するためのポンプを備えた第1通路に配設された第1温度センサと、前記追焚機能の実行時に前記給湯装置から前記浴槽に湯水を戻す第2通路に配設された第2温度センサを含み、
前記湯水供給機能の実行と前記ポンプの作動を開始させる開始工程と、前記第1通路から前記浴槽に直接供給する経路と、前記第1通路から前記第2通路を経由して前記浴槽に供給する経路の両経路から前記浴槽に湯水が供給される状態で前記第1温度センサと前記第2温度センサを含む前記複数の温度センサの検知温度を取得する温度取得工程と、取得した前記複数の温度センサの検知温度を用いて診断する診断工程を有することを特徴とする温度センサ診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機能と浴槽への湯水供給機能と浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置内の湯水流通路に装備された複数の温度センサについて、故障診断を行う温度センサ診断装置及び温度センサ診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上水を加熱して温度調整した温水を外部の給湯栓に供給する給湯機能と、上水又は給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、浴槽の湯水を再加熱する追焚機能を有する給湯装置が、一般家庭において広く利用されている。給湯機能は、給湯する湯水の温度(給湯温度)が予め設定された給湯設定温度となるように、上水の温度(給水温度)と上水を加熱した高温水の温度(出湯温度)に基づいて、高温水と上水の混合比を調整して給湯する。
【0003】
また、追焚機能は、浴槽の湯水の温度(浴槽温度)が、予め設定された浴槽設定温度となるように、浴槽の湯水を循環させながら再加熱する。このとき、ユーザが意図しない高温の湯水が浴槽に流入することを防止するために、再加熱された湯水の温度(浴槽出湯温度)を管理している。
【0004】
上記の給水温度、出湯温度、給湯温度、浴槽温度、浴槽出湯温度は、給湯装置内の湯水流通路の対応部分に夫々配設された温度センサ(例えばサーミスタ)によって検知される。温度センサは、経年劣化によって、検知温度が実際の湯水温度からずれてしまう場合がある。この場合、給湯機能、追焚機能によって加熱された湯水の温度を、給湯設定温度、浴槽設定温度にすることが困難になる。
【0005】
そのため、湯水流通路に一定温度の上水又は温水を流通させ、このときの複数の温度センサの検知温度を用いて温度センサの故障診断を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、追焚用のポンプを停止させた状態で、加熱動作させない加熱部を通過した非加熱の上水を浴槽に供給させ、給水温度、出湯温度、給湯温度、浴槽温度を夫々検知する複数の温度センサの検知温度を比較して故障診断を行うことが記載されている。しかし、特許文献1には、再加熱(追焚)時の浴槽出湯温度を検知する温度センサが含まれていない。
【0006】
一方、例えば特許文献2には、追焚用のポンプを停止させた状態で、追焚機能における浴槽の湯水の導入通路と浴槽へ湯水を戻す戻り通路の両方から上水又は温水を浴槽に供給する両搬送の際に、給湯温度、浴槽温度、浴槽出湯温度を夫々検知する複数の温度センサの検知温度を比較して故障診断を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3687078号公報
【特許文献2】特許第6745028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように非加熱の上水を浴槽に供給する際に、特許文献2のように両搬送させることによって、上記の給水温度、出湯温度、給湯温度、浴槽温度、浴槽出湯温度に対応する複数の温度センサの故障診断を同時に行うことが可能になる。これら複数の温度センサの故障診断を同時に行うことによって、所要時間が短縮され、給湯装置のメンテナンスを行う作業者の負担が軽減される。
【0009】
しかし、追焚機能に使用される加熱部は一般的に通水抵抗が高いため、給湯装置から浴槽に湯水を供給する際に湯水が流通し難い。そして、浴槽への湯水の供給は、上水源の供給圧(給水圧)によって行われるので、給水圧が低い地域では両搬送が困難になる。それ故、複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができない場合がある。
【0010】
本発明の目的は、給水圧の影響を受けずに、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる温度センサ診断装置及び温度センサ診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の温度センサ診断装置は、上水を加熱して外部に給湯する給湯機能と、非加熱の上水又は前記給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、前記浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置に対し、前記湯水供給機能を実行させ、前記湯水供給機能の実行時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を用いて故障診断を行う温度センサ診断装置において、前記故障診断の対象に、前記追焚機能の実行時に前記浴槽の湯水を導入するためのポンプを備えた第1通路に配設された第1温度センサと、前記追焚機能の実行時に前記浴槽に湯水を戻す第2通路に配設された第2温度センサを含む場合には、前記故障診断の際に、前記湯水供給機能を実行させながら前記ポンプを作動させて、前記第1通路から前記浴槽に直接供給する経路と、前記第1通路から前記第2通路を経由して前記浴槽に供給する経路の両経路から前記浴槽に湯水を供給させることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、温度センサ診断装置は、給湯装置にその湯水供給機能によって上水又は温水を浴槽に供給させる。このとき、温度センサ診断装置は、上水又は湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサに故障が無い場合にこれらの検知温度が揃うことを利用して、これら温度センサの故障診断を行う。この故障診断の対象に、追焚機能の実行時に加熱前の浴槽の湯水の温度(浴槽温度)を検知する第1温度センサと、追焚機能の実行時に加熱された湯水の温度(浴槽出湯温度)を検知する第2温度センサが含まれている場合、湯水供給機能を実行させると共に、湯水供給機能では使用しない浴槽の湯水を導入するためのポンプを作動させる。これにより湯水の一部が第1通路から通水抵抗が高い側の第2通路に運ばれて、第1通路から供給される経路と第2通路から供給される経路の両方の経路から浴槽に湯水が供給される両搬送の状態になる。従って、給水圧が低い場合でも、第1通路に配設された第1温度センサと第2通路に配設された第2温度センサは、湯水の温度を夫々検知することができる。それ故、給水圧の影響を受けずに、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。
【0013】
請求項2の発明の温度センサ診断装置は、請求項1の発明において、前記給湯装置は、上水を導入する給水通路と、前記給湯機能の実行時に加熱された高温水と上水を混合するための混合手段に高温水を供給する出湯通路と、前記混合手段で混合された温水を給湯する給湯通路を備え、前記故障診断の対象に前記第1温度センサと前記第2温度センサを含み、且つ前記故障診断の際に非加熱の前記湯水供給機能を実行させる場合には、前記給水通路に配設された給水温度センサと、前記出湯通路に配設された出湯温度センサと、前記給湯通路に配設された給湯温度センサも前記故障診断の対象とすることを特徴としている。
上記構成によれば、故障診断の対象に第1温度センサと第2温度センサが含まれ、且つ非加熱の上水を浴槽に供給させる場合には、非加熱の上水が流通する湯水流通路に配設された給水温度センサ、出湯温度センサ、給湯温度センサも故障診断の対象とする。従って、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された温度センサの全てを同時に診断することができる。
【0014】
請求項3の発明の温度センサ診断装置は、請求項1の発明において、前記給湯装置は、上水を導入する給水通路と、前記給湯機能の実行時に加熱された高温水と上水を混合するための混合手段と、前記混合手段で混合された温水を給湯する給湯通路を備え、前記故障診断の対象に前記第1温度センサと前記第2温度センサを含み、且つ前記故障診断の際に加熱を伴う前記湯水供給機能を実行させる場合には、前記給湯通路に配設された給湯温度センサも前記故障診断の対象とし、前記給水通路に配設された給水温度センサを前記故障診断の対象に含まないことを特徴としている。
上記構成によれば、故障診断の対象に第1温度センサと第2温度センサが含まれ、且つ加熱した湯水を浴槽に供給させる場合には、加熱した湯水が流通する湯水流通路に配設された給湯温度センサも故障診断の対象とし、給水温度センサを前記故障診断の対象に含まない。従って、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された温度センサのうち、加熱した湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサを同時に診断することができる。
【0015】
請求項4の発明の温度センサ診断装置は、請求項1~3の何れか1項の発明において、 前記故障診断の対象の複数の温度センサが夫々検知した検知温度と、これら検知温度の中央値との比較によって前記故障診断を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、診断対象の複数の温度センサの検知温度の中央値を基準にして故障診断を行うので、浴槽に供給する湯水の温度に依らずに故障診断を行うことができる。また、複数の温度センサが同時に故障する場合は少ないので、故障した温度センサがあっても基準が大きく変わることが無く、故障判定が正確になる。
【0016】
請求項5の発明の温度センサ診断装置は、請求項1~4の何れか1項の発明において、 前記給湯装置に通信接続される通信手段と情報の入力手段を備え、前記給湯装置との通信により取得される情報又は前記入力手段から入力される情報により、前記故障診断の対象を設定することを特徴としている。
上記構成によれば、温度センサ診断装置を給湯装置に接続して温度センサの故障診断を行うことができるので、作業者の点検作業の負担が軽減される。その上、1台の温度センサ診断装置で様々な機種の給湯装置に対応できるので、機種別の温度センサ診断装置を準備する場合よりも作業者の負担が軽減される。
【0017】
請求項6の発明の温度センサ診断方法は、上水を加熱して外部に給湯する給湯機能と、非加熱の上水又は前記給湯機能による温水を浴槽に供給する湯水供給機能と、前記浴槽の湯水の追焚機能を有する給湯装置に対し、前記湯水供給機能を実行させ、前記湯水供給機能の実行時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を用いて故障診断を行う温度センサ診断方法において、前記故障診断の対象に、前記追焚機能の実行時に前記浴槽の湯水を前記給湯装置に供給するためのポンプを備えた第1通路に配設された第1温度センサと、前記追焚機能の実行時に前記給湯装置から前記浴槽に湯水を戻す第2通路に配設された第2温度センサを含み、前記湯水供給機能の実行と前記ポンプの作動を開始させる開始工程と、前記第1通路から前記浴槽に直接供給する経路と、前記第1通路から前記第2通路を経由して前記浴槽に供給する経路の両経路から前記浴槽に湯水が供給される状態で前記第1温度センサと前記第2温度センサを含む前記複数の温度センサの検知温度を取得する温度取得工程と、取得した前記複数の温度センサの検知温度を用いて診断する診断工程を有することを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、故障診断の対象に、追焚機能の実行時に加熱する前の浴槽の湯水の温度(浴槽温度)を検知する第1温度センサと、追焚機能の実行時に加熱された湯水の温度(浴槽出湯温度)を検知する第2温度センサが含まれている場合、開始工程で湯水供給機能を実行させると共に、湯水供給機能では使用しない浴槽の湯水を導入するためのポンプを作動させる。これにより湯水の一部が第1通路から通水抵抗が高い側の第2通路に運ばれて、第1通路から供給される経路と第2通路から供給される経路の両方の経路から浴槽に湯水が供給される。そして、温度取得工程で、上水が流通する湯水流通路又は温水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を取得する。最後に診断工程で、上水又は湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサに故障が無い場合にこれらの検知温度が揃うことを利用して、複数の温度センサの検知温度を用いてこれら温度センサの故障診断を行う。給水圧が低い場合でも、第1通路に配設された第1温度センサと第2通路に配設された第2温度センサが、湯水の温度を夫々検知することができるので、給水圧の影響を受けずに浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の温度センサ診断装置及び温度センサ診断方法によれば、給水圧の影響を受けずに、浴槽への湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例に係る温度センサ診断装置が接続された給湯装置の説明図である。
【
図2】温度センサ診断装置による故障診断フローチャートである。
【
図3】浴槽への湯水供給経路の温度センサ故障診断フローチャートである。
【
図4】給湯栓への給湯経路の温度センサ故障診断フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0022】
最初に、給湯装置1について、
図1に基づいて説明する。
給湯装置1は、外部から供給される燃料ガスの燃焼熱を利用して湯水を加熱する熱源機2を有する。熱源機2は、燃焼用の空気を供給する燃焼ファン3と、燃料ガスと空気を混合して燃焼させる複数の燃焼管を有する給湯バーナ4及び追焚バーナ5を有し、燃焼ガスを発生させる。この熱源機2は、燃焼ガスとの熱交換により上水を加熱する給湯熱交換器6と、燃焼ガスとの熱交換により浴槽Bの湯水を加熱する追焚熱交換器7と、中和器8と、燃料ガスを給湯バーナ4と追焚バーナ5に供給する燃料供給通路9を有する。
【0023】
給湯熱交換器6は、燃焼ガスの顕熱により上水を加熱する給湯一次熱交換器6aと燃焼ガスの潜熱により上水を加熱する給湯二次熱交換器6bを有する。給湯二次熱交換器6bには上水を導入するための給水通路11が接続され、給湯一次熱交換器6aには加熱された高温の湯水の出湯通路12が接続されている。そして、給湯一次熱交換器6aと給湯二次熱交換器6bが、通路部6cにより接続されている。
【0024】
追焚熱交換器7は、燃焼ガスの顕熱により湯水を加熱する追焚一次熱交換器7aと燃焼ガスの潜熱により湯水を加熱する追焚二次熱交換器7bを有する。追焚二次熱交換器7bには、浴槽Bの湯水を導入するためのポンプ20を備えた第1通路21が接続されている。追焚一次熱交換器7aには、加熱された浴槽Bの湯水を浴槽Bに戻すための第2通路22が接続されている。そして追焚一次熱交換器7aと追焚二次熱交換器7bは、通路部7cにより接続されている。
【0025】
第1通路21には、ポンプ20の下流側に、浴槽Bから導入される湯水の流通を検知する水流検知スイッチ21aが配設されている。また、ポンプ20の上流側には、導入される浴槽Bの湯水の温度を検知する第1温度センサ21bが配設されている。さらに、第1通路21には浴槽Bの水位を検知する水位センサ21cが配設されている。一方、第2通路22には、追焚熱交換器7によって加熱された浴槽Bの湯水の温度を検知するための第2温度センサ22aが配設されている。この第2温度センサ22aは、ユーザが意図しない高温の湯水が浴槽Bに流入することを検知して防ぐためのものである。
【0026】
燃焼ガスは、給湯熱交換器6、追焚熱交換器7で湯水との熱交換を終えた後、熱源機2の外部に排気される。燃焼ガスに含まれる水分は、給湯二次熱交換器6b、追焚二次熱交換器7bにおいて降温により凝縮して酸性の凝縮水となり、中和剤が収容された中和器8を通って中和されて外部に排出される。
【0027】
給水通路11は、上水を熱源機2の給湯熱交換器6に供給する。この給水通路11には、給湯熱交換器6への給水量を検知するための給水流量センサ11aと、上水の温度を検知する給水温度センサ11bと、分配弁14が配設されている。分配弁14は、出湯通路12に接続されたバイパス通路15に上水を分配する。この分配弁14とバイパス通路15によって、給湯熱交換器6から出湯された湯水に上水を混合する混合手段が構成されている。出湯通路12とバイパス通路15の接続部より下流側は、混合手段によって例えば給湯設定温度となるように温度調整された温水が流通する給湯通路16である。尚、混合手段は、分配弁14の代わりに、バイパス通路15の出湯通路12との接続部に混合弁を配設することにより構成されてもよい。
【0028】
給湯通路16は、給湯熱交換器6で加熱されて温度調整された温水を、外部の例えば給湯栓Fに給湯する。給湯通路16には、給湯栓Fに給湯する湯水の流量を調節する流量調整弁17が配設されている。この流量調整弁17の上流側には、給湯通路16を流通する湯水の温度を検知する給湯温度センサ16aが配設されている。また、給湯通路16から浴槽Bに湯水を供給するための湯水供給通路18が、流量調整弁17を介して分岐されている。
【0029】
湯水供給通路18には、流量センサ18aと開閉電磁弁18bと逆止弁18cが配設されている。開閉電磁弁18bを開けた場合には、上水の給水圧によって給湯通路16から湯水供給通路18に湯水が供給される。流量センサ18aの検知流量と検知時間によって浴槽Bへの湯水供給量を算出することができる。
【0030】
湯水供給通路18は、ポンプ20を介して第1通路21に接続されている。給水圧が十分に高い場合には、湯水供給通路18から供給される湯水は、第1通路21から浴槽Bに直接供給されると同時に、通水抵抗が高い追焚熱交換器7を流通し、第2通路22を経由して浴槽Bに供給される両搬送によって浴槽Bに供給される。一方、給水圧が低い地域では、追焚熱交換器7の通水抵抗が高いため、第2通路22から浴槽Bに湯水を供給することが困難であり、両搬送ができない場合がある。
【0031】
給湯装置1は、熱源機2、分配弁14、開閉電磁弁18b、ポンプ20を駆動して給湯機能、湯水供給機能、追焚機能を実行するための制御プログラムを実行する制御部25を備えている。給湯栓Fへの給湯機能の実行時には、ユーザが操作リモコン26により設定した給湯設定温度の給湯となるように、給水温度と出湯温度と給湯温度と給水流量に基づいて給湯バーナ4の燃焼と分配弁14を制御して温水を供給する。
【0032】
浴槽Bへの湯水供給機能の実行時には、開閉電磁弁18bを開け、給湯機能の実行と同様にして浴槽設定温度に調整した温水を浴槽Bに供給する。給水圧が十分高い場合には、湯水供給通路18を流れる湯水は、第1通路21から供給する経路と通水抵抗が高い側の第2通路22から供給する経路の両経路を通って浴槽Bへ搬送される(両搬送)。このとき追焚バーナ5の燃焼を禁止するので、湯水供給通路18、第1通路21、第2通路22を流れる湯水は同じ温度である。制御部25は、流量センサ18aの検知流量に基づいて湯水供給通路18を流れて浴槽Bに供給された湯水の量を算出して、所定の量の湯水が浴槽Bに供給された場合に湯水供給機能の実行を終了する。
【0033】
浴槽Bの湯水の追焚機能の実行時には、追焚バーナ5の燃焼とポンプ20の駆動を制御して、浴槽Bの湯水を循環させながら加熱し、浴槽Bの湯水の温度を浴槽設定温度に調整する。制御部25は、給湯装置1に何らかの異常、作動エラー等が発生した場合には、操作リモコン26の表示、音声によってユーザに報知する。
【0034】
給湯装置1のメンテナンス時には、その作業者によってメンテナンス用端末27が、制御部25に直接又は操作リモコン26を介して通信接続される。メンテナンス用端末27は、表示部、入力部(入力手段)、通信部(通信手段)等を備えたタブレット型又はノート型のコンピュータであり、複数機種の給湯装置に関する情報、給湯装置の点検用プログラムが格納されている。そして、通信接続されている給湯装置1との通信によって、又は作業者が入力部から入力した機種名等の入力情報に基づいて、メンテナンス用端末27は給湯装置1に関する情報を取得し、給湯装置1に対応する点検用プログラムを実行して、給湯装置1に各種動作を実行させる。このメンテナンス用端末27が温度センサ診断装置に相当する。
【0035】
次に、メンテナンス用端末27(温度センサ診断装置)による上水を用いた給湯装置1内の複数の温度センサの故障診断について、
図2~
図4に基づいて説明する。尚、図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
図2のS1において、メンテナンス用端末27が給湯装置1の制御部25に通信接続され、S2に進む。S2において、メンテナンス用端末27は、制御部25との通信によって給湯装置1に関する情報を取得してS3に進む。尚、給湯装置1に関する情報は、作業者の入力情報に基づいて取得する場合もある。
【0036】
S3において、給湯装置1に関する情報に基づき、浴槽Bに関する機能(浴槽Bへの湯水供給機能、浴槽Bの湯水の追焚機能)の有無を判定する。S3の判定がYesの場合(浴槽Bに関する機能を有する場合)はS4に進み、S4において浴槽Bへの湯水供給経路の温度センサ故障診断を実行する。S3の判定がNoの場合(浴槽Bに関する機能が無い場合)はS5に進み、S5において給湯経路の温度センサ故障診断を実行する。
【0037】
次に、
図2のS4の湯水供給経路の温度センサ故障診断について、
図3に基づいて説明する。S11において、給湯栓Fの閉栓指示をメンテナンス用端末27に表示してS12に進む。そしてS12において、給水流量センサ11aの検知流量(給水流量)が非検知(流量ゼロ)か否か判定する。浴槽Bへの湯水供給経路(湯水供給機能実行時の湯水流通路)には、給湯装置1の給水通路11、出湯通路12、給湯通路16、湯水供給通路18、第1通路21、第2通路22が含まれている。給湯通路16の下流の給湯栓Fが開いている場合には、浴槽Bへの湯水の供給量が不十分になって誤った診断結果となる虞があるので、S11,S12は給湯栓Fの閉栓を確認するための工程である。S12の判定がNoの場合(給湯流量検知の場合)にはS11に戻る。S12の判定がYesの場合(給湯流量非検知の場合)はS13に進む。
【0038】
S13において、湯水供給経路のパージを実行する。浴槽Bへの湯水供給経路に温度が異なる湯水が存在している場合があるので、S13は、湯水供給経路の冷却と、この湯水供給経路内を一定温度の上水に置換するための工程である。例えば給湯バーナ4の燃焼を禁止し、開閉電磁弁18bを開けて上水を湯水供給通路18に導入し、ポンプ20を駆動する。これにより給水圧に関係なく、浴槽Bに上水を第1通路21から直接供給すると共に、追焚熱交換器7を通過させて第2通路22を経由して供給する(両搬送)。所定の供給量だけ流通させた後、S14に進む。
【0039】
S14において、非加熱の湯水供給機能を実行してS15に進み、S15においてポンプ20を駆動してS16に進む。S14,S15は、一定温度の湯水(この場合は上水)の流通を開始させるための工程(開始工程)である。S13のパージ終了後にそのまま上水の供給を続行して、上水が湯水供給経路を流通して浴槽Bに供給される両搬送の状態を維持するようにしてもよい。そしてS16において、湯水供給経路の複数の温度センサ(給水温度センサ11b、出湯温度センサ12a、給湯温度センサ16a、第1温度センサ21b、第2温度センサ22a)の検知温度を取得してS17に進む。このS16は、温度取得工程に相当する。
【0040】
S17において、取得した検知温度が所定の正常範囲内か否か判定する。このとき、複数の温度センサが取得した検知温度の中央値を基準にして、この中央値との比較により、中央値に対する検知温度の差が所定の正常範囲内(例えば+/-4℃以内)の温度センサは正常であると判定する。S17の判定がYesの場合(複数の温度センサが全て正常範囲内の場合)には、S18に進む。そしてS18において、メンテナンス用端末27に複数の温度センサが全て正常であることを表示する。
【0041】
S17の判定がNoの場合(検知温度が正常範囲外となった温度センサがある場合)にはS19に進み、S19において所定の故障基準に到達したか否か判定する。このとき例えばS17の中央値に対して+/-10℃以上異なる検知温度の温度センサは、故障していると判定する。S19の判定がYesの場合(故障している温度センサがある場合)にはS20に進み、S20において故障している温度センサをメンテナンス用端末27に表示する。S19の判定がNoの場合(故障している温度センサが無い場合)にはS21に進み、S21において故障予兆が有る温度センサをメンテナンス用端末27に表示する。故障予兆が有る温度センサとは、S17の中央値に対して検知温度が正常範囲内にはないが、故障基準には達しない程度に検知温度がずれた温度センサである。上記S17~S21が複数の温度センサの検知温度を用いて診断する診断工程に相当する。尚、上記の正常範囲の温度、故障基準の温度は一例に過ぎず、安全性を考慮して適切な温度が設定される。
【0042】
S18、S20又はS21の複数の温度センサの診断結果の表示後にはS22に進む。S22において、開閉電磁弁18bを閉じて湯水供給機能を停止させてS23に進む。そしてS23において、ポンプ20の駆動を停止させてリターンし、給湯装置1の温度センサの故障診断を終了する。
【0043】
次に、
図2のS5の給湯経路の温度センサ故障診断について、
図4に基づいて説明する。S31において、給湯栓Fの開栓指示をメンテナンス用端末27に表示してS32に進む。そしてS32において、給水流量センサ11aが所定の流量(給湯流量)を検知しているか否か判定する。給湯経路(給湯機能実行時の湯水流通路)には、給湯装置1の給水通路11、出湯通路12、給湯通路16が含まれている。S32の判定がNoの場合はS31に戻り、S32の判定がYesの場合はS33に進む。このとき、給湯バーナ4の燃焼を禁止して、給湯経路に上水を流動させた状態にする。
【0044】
S33において、給湯経路のパージを実行する。給湯経路に温度が異なる湯水が存在している場合があるので、給湯経路の冷却と、この給湯経路内を一定温度の上水に置換するための工程である。給水流量センサ11aの検知流量に基づいて上水を所定量流通させて、S34に進む。
【0045】
S34において、非加熱の給湯機能を実行してS35に進む。給湯栓Fを閉じなければ、非加熱の上水が給湯経路を流通する状態が維持される。そしてS35において、給湯経路の複数の温度センサ(給水温度センサ11b、出湯温度センサ12a、給湯温度センサ16a)の検知温度を取得してS36に進む。
【0046】
S36において、取得した検知温度が所定の正常範囲内か否か判定する。このとき、複数の温度センサの検知温度の中央値を基準にして、この中央値に対する検知温度の差が所定の正常範囲内(例えば+/-4℃以内)の温度センサは正常であると判定する。S36の判定がYesの場合(複数の温度センサが全て正常範囲内の場合)には、S37に進み、S37において複数の温度センサが全て正常であることをメンテナンス用端末27に表示する。
【0047】
S36の判定がNoの場合(検知温度が正常範囲外の温度センサがある場合)にはS38に進み、S38において所定の故障基準に到達したか否か判定する。このとき例えばS36の中央値に対して+/-10℃以上の温度センサは故障していると判定する。S38の判定がYesの場合(故障している温度センサがある場合)にはS39に進み、S39において故障している温度センサをメンテナンス用端末27に表示する。S38の判定がNoの場合(故障している温度センサが無い場合)にはS40に進み、S40において故障予兆が有る温度センサをメンテナンス用端末27に表示する。故障予兆が有る温度センサとは、S36の中央値に対して検知温度が正常範囲内にはないが、故障基準には達しない程度に検知温度がずれた温度センサである。
【0048】
S37、S39又はS40の複数の温度センサの診断結果の表示後、S41に進む。S41において、例えば診断結果を表示したまま給湯栓Fの閉栓指示をメンテナンス用端末27に表示してS42に進み、S42において給水流量が非検知になったか否か判定する。S42の判定がNoの場合はS41に戻り、S42の判定がYesの場合にはリターンして、給湯装置1の温度センサの故障診断を終了する。
【0049】
非加熱の上水を浴槽B又は給湯栓Fに供給することによって、給水温度センサ11bも含めて、給湯装置1の湯水供給経路又は給湯経路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。上記と同様にして、給湯バーナ4の燃焼により加熱した湯水を用いて湯水供給経路の複数の温度センサの故障診断を行う場合は、給水温度センサ11bについては診断対象から除外される。このとき、診断対象は給湯温度センサ16aと、第1温度センサ21bと、第2温度センサ22aであるが、分配弁14の分配比率についてバイパス通路15側をゼロにすることによって、出湯温度センサ12aを診断対象に含めることができる。
【0050】
給湯装置1の制御部25は、上記温度センサ診断装置の機能を備えていてもよい。この場合、制御部25が点検用プログラムを実行して給湯装置1自体が複数の温度センサについて故障診断を行うことができるので、温度センサ診断装置を用意して給湯装置1に接続する必要がなく、給湯装置1が有する機能の設定の必要もないので、作業者の負担が軽減される。その上、浴槽Bへの湯張りの際に温度センサの故障診断を行うようにすることも可能であり、温度センサの故障の早期発見に寄与する。
【0051】
上記温度センサ診断装置、その機能を備えた給湯装置、温度センサ診断方法の作用、効果について説明する。
温度センサ診断装置に相当するメンテナンス用端末27は、給湯装置1にその湯水供給機能によって上水又は温水を浴槽Bに供給させる。このとき、温度センサ診断装置は、上水又は湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサに故障が無い場合にこれらの検知温度が揃うことを利用して、これら温度センサの故障診断を行う。この故障診断の対象に、追焚機能の実行時に加熱前の浴槽Bの湯水の温度(浴槽温度)を検知する第1温度センサ21bと、追焚機能の実行時に加熱された湯水の温度(浴槽出湯温度)を検知する第2温度センサ22aが含まれている場合、浴槽Bへの湯水供給機能を実行させると共に、湯水供給機能では使用しない浴槽Bの湯水を導入するためのポンプ20を作動させる。これにより湯水の一部が第1通路21から通水抵抗が高い追焚熱交換器7側の第2通路22に運ばれて、第1通路から供給される経路と第2通路から供給される経路の両方の経路から浴槽Bに湯水が供給される(両搬送)。従って、給水圧が低い場合でも、第1通路21に配設された第1温度センサ21bと第2通路22に配設された第2温度センサ22aは、供給される湯水の温度を夫々検知することができる。それ故、給水圧の影響を受けずに、浴槽Bへの湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。
【0052】
故障診断の対象に第1温度センサ21bと第2温度センサ22aが含まれ、且つ非加熱の上水を浴槽Bに供給させる場合には、非加熱の上水が流通する湯水流通路に配設された給水温度センサ11b、出湯温度センサ12a、給湯温度センサ16aも故障診断の対象とする。従って、温度センサ診断装置は、給湯装置1が浴槽Bに湯水を供給する際に給水温度センサ11bを含む湯水流通路の温度センサの全てを、同時に診断することができる。
【0053】
故障診断の対象に第1温度センサ21bと第2温度センサ22aが含まれ、且つ加熱した湯水を浴槽Bに供給させる場合には、加熱した湯水が流通する湯水流通路に配設された給湯温度センサ16aも故障診断の対象とし、給水温度センサ11bを故障診断の対象に含まない。従って、温度センサ診断装置は、給湯装置1が浴槽Bに加熱した湯水を供給する際に加熱した湯水が流通する湯水流通路の温度センサの全てを、同時に診断することができる。
【0054】
温度センサ診断装置は、診断対象の複数の温度センサの検知温度の中央値を基準にして故障診断を行うので、浴槽Bに供給する湯水の温度に依らずに故障診断を行うことができる。また、複数の温度センサが同時に故障する場合は少ないので、故障した温度センサがあっても基準が大きく変わることが無く、故障判定が正確になる。
【0055】
給湯装置1の制御部25と通信可能に接続された温度センサ診断装置は、給湯装置1の温度センサの故障診断を行うことができるので、給湯装置1のメンテナンス時の作業者の作業負担が軽減される。その上、1台の温度センサ診断装置で様々な機種の給湯装置に対応できるので、機種別の温度センサ診断装置を準備する場合よりも作業者の負担が軽減される。
【0056】
給湯装置1が温度センサ診断装置の機能を備えている場合には、温度センサ診断装置を接続することなく、給湯装置1自体が複数の温度センサについて故障診断を行うことができるので、作業者の負担が一層軽減される。
【0057】
上記温度センサ診断方法によれば、故障診断の対象に、追焚機能の実行時に加熱前の浴槽Bの湯水の温度(浴槽温度)を検知する第1温度センサ21bと、追焚機能実行時に加熱された湯水の温度(浴槽出湯温度)を検知する第2温度センサ22aが含まれている場合、開始工程で湯水供給機能を実行させると共に、湯水供給機能では使用しない浴槽Bの湯水を導入するためのポンプ20を作動させる。これにより湯水の一部が第1通路21から通水抵抗が高い側の第2通路22に運ばれて、第1通路から供給される経路と第2通路から供給される経路の両方の経路から浴槽Bに湯水が供給される。そして、温度取得工程で、湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサの検知温度を取得する。最後に診断工程で、湯水が流通する湯水流通路に配設された複数の温度センサに故障が無い場合にはこれらの検知温度が揃うことを利用して、複数の温度センサの検知温度を用いてこれら温度センサの故障診断を行う。給水圧が低い場合でも、第1通路21に配設された第1温度センサ21bと第2通路22に配設された第2温度センサ22aは、湯水の温度を夫々検知することができる。それ故、給水圧の影響を受けずに浴槽Bへの湯水供給時の湯水流通路に配設された複数の温度センサの故障診断を同時に行うことができる。
【0058】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。