IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
  • 特開-半導体装置 図9
  • 特開-半導体装置 図10
  • 特開-半導体装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152026
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/24 20060101AFI20221004BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G11C16/24 110
G11C16/04 170
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054637
(22)【出願日】2021-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225CA11
5B225DA03
5B225DA04
5B225DE08
5B225EA05
5B225ED09
5B225EE09
5B225EE12
5B225EE19
5B225FA01
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】 プリチャージ時間の増加によるプリチャージ電圧の変動を抑制する読出し方法を提供する。
【解決手段】 本発明のNAND型フラッシュメモリの読出し方法は、ビット線に接続されたトランジスタBLCLAMPのゲートに第1の電圧(VCLMP1+Vth)を印加し、当該トランジスタBLCLAMPを介してビット線に電圧を供給してビット線のプリチャージを開始するステップと、第1の電圧の印加によるプリチャージ時間が一定時間を経過したとき、トランジスタBLCLAMPのゲートに第1の電圧よりも低い第2の電圧(VCLMP1+Vth-α)を印加するステップとを含む。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
ビット線に接続されたトランジスタのゲートに第1の電圧を印加し、当該トランジスタを介してビット線に電圧を供給してビット線のプリチャージを開始するステップと、
前記第1の電圧の印加によるプリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加するステップと、
を含む読み出し方法。
【請求項2】
前記第2の電圧は、ビット線にプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項3】
前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項4】
前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項5】
前記第2の電圧を印加するステップは、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加する、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項6】
前記第2の電圧を印加するステップは、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される、請求項5に記載の読み出し方法。
【請求項7】
前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される、請求項5または6に記載の読出し方法。
【請求項8】
読み出し方法はさらに、ビット線のプリチャージ後に、前記ラッチ回路を初期化するステップを含む、請求項5に記載の読み出し方法。
【請求項9】
前記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施される、請求項1ないし8いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項10】
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを、外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路に保持されたデータを誤り検出・訂正することを含む、請求項9に記載の読出し方法。
【請求項11】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、
前記ページバッファ/センス回路は、ビット線にプリチャージ電圧を供給するためのトランジスタを含み、
前記ページバッファ/センス回路は、ビット線のプリチャージを行うとき、前記トランジスタのゲートに第1の電圧を印加してプリチャージを開始し、プリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加する、半導体装置。
【請求項12】
前記第2の電圧は、ビット線のプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ページバッファ/センス回路は、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加し、第2の電圧の印加は、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記読出し手段はさらに、ビット線のプリチャージ後に、前記ラッチ回路を初期化する、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行う、請求項11ないし17いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記ページバッファ/センス回路さらに、前記ラッチ回路に保持されたデータを受け取る別のラッチ回路を含み、
前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させる、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行うECC回路を含み、
前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路の第1の部分に保持されたデータが前記ECC回路によりECC処理されている間に、前記別のラッチ回路の第2の部分に保持されたECC処理されたデータを出力させる、請求項18に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型フラッシュメモリ等を含む半導体装置に関し、特にフラッシュメモリの読出しに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型のフラッシュメモリには、外部からのコマンドに応答して複数のページを連続で読み出す連続読出し機能(バースト読出し機能)が搭載されている。ページバッファ/センス回路は、例えば2つのラッチを含み、連続読出し動作が行われるとき、一方のラッチにアレイから読み出されたデータを保持する間に、他方のラッチに保持されたデータの出力を可能にしている(例えば、特許文献1、2等)。特許文献3は、連続読出しのさらなる高速化を図る読出し方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5323170号公報
【特許文献2】特許5667143号公報
【特許文献3】特許6744950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に、オンチップECC機能を搭載したNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す。フラッシュメモリは、NANDストリングを含むメモリセルアレイ10と、ページバッファ/センス回路20と、データ転送回路30、32と、誤り検出訂正回路(以下、ECC回路)40と、入出力回路50とを含む。ページバッファ/センス回路20は、読出しデータや入力データを保持する2つのラッチL1、L2(1つのラッチは、例えば4KB)を含み、ラッチL1、L2は、それぞれキャッシュC0とキャッシュC1(1つのキャッシュは、例えば2KB)とを含む。データ転送回路30、32は、ページバッファ/センス回路20とECC回路および入出力回路50との間で、キャッシュ単位の双方向のデータ転送を可能にする
【0005】
図2に、特許文献3に開示された複数ページの連続読出しを行うときのタイミングチャートを示す。メモリセルアレイ10から読み出されたページP0のデータがラッチL1のキャッシュC0、C1に保持され(P0C0、P0C1)、次に、ラッチL1に保持されたページP0のデータがラッチL2のキャッシュC0、C1に転送され、キャッシュC0、C1のデータがECC回路40によりECCデコードされ、誤りが検出された場合には、ラッチL2のキャッシュC0、C1のデータが訂正される。
【0006】
次のページP1のデータがラッチL1のキャッシュC0、C1に読み出され、この間、ラッチL2のキャッシュC0のデータが入出力回路50によって外部クロック信号ExCLKに同期して出力される。次に、ラッチL2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から外部クロック信号ExCLKに同期して出力され、この間、ラッチL1の第1のキャッシュC0のページP1のデータがラッチL2に転送され、かつECC回路40によりECC処理が行われる。次に、ラッチL1のキャッシュC1のデータがラッチL2に転送され、ラッチL2のキャッシュC0のデータが入出力回路50から出力される間に、ラッチL2のキャッシュC1のデータがECC処理され、次いで、ラッチL2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から出力される間に、次のページP2のデータがラッチL1のキャッシュC0、C1に読み出され、かつキャッシュC0のデータがラッチL2に転送され、ECC処理される。
【0007】
図3(A)は、NAND型フラッシュメモリの通常のページ読出しの動作フローである。読出し動作が開始されると、先ず、ビット線のプリチャージを行う前にラッチL1がリセットされる(S10)。ラッチL1のリセットは、センスノードからの電荷を正確に受け取るためである。次に、ビット線のプリチャージが開始される(S12)。ビット線のプリチャージは、クランプ用トランジスタから電圧を供給することにより行われる。クランプ用トランジスタのゲートには、VCLMP1+Vth(Vthは、トランジスタの閾値)が印加され、ビット線には、電圧VCLMP1が供給される。クランプ用トランジスタは、プリチャージ時間TPRの期間中オンされ、その後オフされる(S14)。ビット線のプリチャージ後、選択メモリセルのセンシングのためにNANDストリングのディスチャージを行い(S16)、その後、センスノードの電荷をラッチL1に転送する(S18)。
【0008】
特許文献3は、外部クロック信号ExCLKの周波数を最大化して高速読出しを実現するため、アレイの読出し開始タイミングを、ラッチL1からラッチL2へのデータ転送の終了時ではなく、それよりも早いラッチL1のキャッシュC0のデータをラッチL2に転送する時点に変更している。しかし、アレイの読出し開始タイミングを早くすると、ラッチL1をリセットするための時間を十分に確保できなくなるおそれがある。そこで、本発明者は、先の出願(特願2020-074503号)においてビット線のプリチャージ後にラッチL1をリセットする方法を開示している。この動作フローを図3(B)に示す。ビット線のプリチャージを開始し(S20)、プリチャージ時間TPRを待ってプリチャージを完了し(S22)。その後、ラッチL1をリセットし(S24)、NANDストリングをディスチャージし(S26)、センスノードの電荷をラッチL1へ転送(S28)する。
【0009】
上記の連続読出しにおいて、外部クロック信号ExCLKの周波数が下限値よりも小さくなると、プリチャージ時間TPRが決められた時間よりも長くなり、ビット線のプリチャージ電圧が設計した最適レベルよりも高くなり、読出しデータの誤判定を生じさせるおそれがある。
【0010】
図4(A)は、高速周波数で連続読出しを行ったときのタイミングチャート、図4(B)は、低速周波数で連続読出しを行ったときのタイミングチャートである。図中、”Precharge”は、選択ビット線GBL(例えば、偶数ビット線)へのプリチャージを示し、“L1 SET L”は、ラッチL1の初期化を示し、“Discharge”は、ソース線側選択トランジスタ導通してNANDストリングをソース線に接続し、選択メモリセルに読出し電圧を印加し、非選択メモリセルに読出しパス電圧を印加するシーケンスを示し、“SNS to L1”は、センスノードの電荷をラッチL1へ転送することを示す。TPR_NORMALは、通常の読出し時または高速周波数の連続読出し時のプリチャージ時間、TPR_ADDは、低速周波数の連続読出し時の超過したプリチャージ時間である。
【0011】
図5(A)に、プリチャージ電圧の波形を示す。縦軸は電圧、横軸は時間である。同図に示すように、ビット線に電圧VCLMP1を供給した場合、ビット線のプリチャージ電圧が飽和し一定になるには、ある程度の長い時間を要する。これは、ビット線の容量に対して、クランプ用トランジスタからビット線に供給する電流量が小さいためである。このため、ビット線のプリチャージ電圧は、プリチャージ時間を規定することによってそのレベルが設定される。
【0012】
図5(B)は、図5(A)のA部の拡大図である。通常のプリチャージ時間TPR_NORMALで終了したときのプリチャージ電圧は、VPR_NORMALであり、プリチャージ電圧VPR_NORMALは、予め設計された最適な電圧である。一方、図4(B)に示すように低速周波数で読出しを行った場合、プリチャージ時間TPR_NORMAL+TPR_ADDは、通常のプリチャージ時間TPR_NORMALよりも長くなり、このときのプリチャージ電圧は、VPR_ADDであり、VPR_NORMAL<VPR_ADDとなる。プリチャージ電圧VPR_ADDが最適なプリチャージ電圧VPR_NORMALよりも必要以上に大きくなると、NANDストリングのディスチャージにおいて、選択メモリセルが導通してもビット線の電位が十分に下がらず、センスノードに想定よりも大きな電荷が保持され、ラッチL1で読出しデータを誤判定するおそれがある。
【0013】
ビット線のプリチャージ時間TPR_NORMALの超過またへ延長は、上記の連続読出し以外にも、図3(A)に示すような通常のページ読出しにおいても生じ得る。例えば、フラッシュメモリの動作解析においてビット線のプリチャージ電圧を測定するとき、読出しシーケンスを一時的に停止すると、クランプ用トランジスタのオン状態が継続し、その結果、ビット線のプリチャージ電圧が上昇してしまう。そうすると、測定したプリチャージ電圧と実際のプリチャージ電圧との間に差が生じてしまい、正確な動作解析を行うことができなくなってしまう。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決し、プリチャージ時間の増加によるプリチャージ電圧の変動を抑制する半導体装置および読出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るNAND型フラッシュメモリの読出し方法は、ビット線に接続されたトランジスタのゲートに第1の電圧を印加し、当該トランジスタを介してビット線に電圧を供給してビット線のプリチャージを開始するステップと、前記第1の電圧の印加によるプリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加するステップとを含む。
【0016】
ある実施態様では、前記第2の電圧は、ビット線にプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである。ある実施態様では、前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである。ある実施態様では、前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である。ある実施態様では、前記第2の電圧を印加するステップは、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加する。ある実施態様では、前記第2の電圧を印加するステップは、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される。ある実施態様では、前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される。ある実施態様では、読み出し方法はさらに、ビット線のプリチャージ後に、前記ラッチ回路を初期化するステップを含む。ある実施態様では、前記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施される。ある実施態様では、前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、前記別のラッチ回路に保持したデータを、外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、前記別のラッチ回路に保持されたデータを誤り検出・訂正することを含む。
【0017】
本発明に係る半導体装置は、NAND型のメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、前記ページバッファ/センス回路は、ビット線にプリチャージ電圧を供給するためのトランジスタを含み、前記ページバッファ/センス回路は、ビット線のプリチャージを行うとき、前記トランジスタのゲートに第1の電圧を印加してプリチャージを開始し、プリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加する。
【0018】
ある実施態様では、前記第2の電圧は、ビット線のプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである。ある実施態様では、前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである。ある実施態様では、前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である。ある実施態様では、前記ページバッファ/センス回路は、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加し、第2の電圧の印加は、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される。ある実施態様では、前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される。ある実施態様では、前記読出し手段はさらに、ビット線のプリチャージ後に、前記ラッチ回路を初期化する。ある実施態様では、前記読出し手段は、ページの連続読出しを行う。ある実施態様では、前記ページバッファ/センス回路さらに、前記ラッチ回路に保持されたデータを受け取る別のラッチ回路を含み、前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させる。ある実施態様では、半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行うECC回路を含み、前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路の第1の部分に保持されたデータが前記ECC回路によりECC処理されている間に、前記別のラッチ回路の第2の部分に保持されたECC処理されたデータを出力させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビット線のプリチャージ時間が一定時間を経過した場合には、ビット線に電圧を供給するトランジスタのゲート電圧を下げるようにしたので、プリチャージ時間が長くなったとしても、ビット線のプリチャージ電圧を一定範囲内に収めることができ、読出しデータの誤判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す図である。
図2】従来のNAND型フラッシュメモリにおいてページの連続読出しを行うときのタイミングチャートである。
図3】従来のNAND型フラッシュメモリの読出し動作を説明するフローである。
図4図4(A)は、高速周波数で連続読出しを行ったときのタイミングチャート、図4(B)は、低速周波数で連続読出しを行ったときのタイミングチャートである。
図5】プリチャージ電圧の遷移波形の例示である。
図6】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのビット線選択回路の構成を示す図である。
図8】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのページバッファ/センス回路の構成を示す図である。
図9】本発明の実施例に係るビット線のプリチャージ動作を説明するフローである。
図10】本発明の実施例によるプリチャージ電圧の遷移波形である。
図11】本発明の実施例に係るフラッシュメモリにおけるラッチ回路のリセット動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体装置は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、あるいはこのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどである。以下の説明では、NAND型フラッシュメモリを例示する。1つの実施態様では、NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリとの互換性を図るため、SPI(Serial Peripheral Interface)を搭載し、外部クロック信号に同期した複数のページの連続読出しを可能にする。
【実施例0022】
図6は、本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。本実施例に係るフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリアレイ110と、外部入出力端子に接続され、かつ外部クロック信号ExCLKに応答して読出しデータを外部に出力したり、外部から入力されるデータを取り込む入出力回路120と、プログラムすべきデータの符号生成や読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC回路130と、入出力回路120を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ140と、入出力回路120を介して受け取ったコマンドデータや端子に印加された制御信号に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ140から行アドレス情報Axを受け取り、行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへプログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ140から列アドレス情報Ayを受け取り、列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路170内の列の選択等を行う列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0023】
メモリアレイ110は、例えば、列方向に配置されたm個のメモリブロックBLKを有し、1つのメモリブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングが複数形成される。1つのNANDストリングは、直列に接続された複数のメモリセルと、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを含む。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線に接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線に接続される。メモリセルのコントロールゲートは、ワード線に接続され、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタの各ゲートは、選択ゲート線にそれぞれ接続される。ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づき選択ゲート線を介してビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタを駆動し、ブロックやワードを選択する。NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。
【0024】
図7に、ビット線選択回路の構成を示す。同図は、1つの偶数ビット線GBLeと1つの奇数ビット線GBLoによって共有される1つのページバッファ/センス回路170に接続されたビット線選択回路200を例示している。ビット線選択回路200は、偶数ビット線GBLeを選択するためのトランジスタBLSe、奇数ビット線GBLoを選択するためのトランジスタBLSo、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBLeに接続するためのトランジスタYBLe、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBLoに接続するためのトランジスタYBLoを含み、偶数ビット線GBLeとソース線SLとの間にNANDストリングが接続され、奇数ビット線GBLoとソース線SLとの間にNANDストリングが接続される。例えば、読出し動作では、偶数ビット線GBLeが選択されるとき、奇数ビット線GBLoが非選択され、奇数ビット線GBLoが選択されるとき、偶数ビット線GBLeが非選択される。非選択されたビット線は、仮想電源VIRPWRを介してGNDレベルに接続される。
【0025】
図8に、ページバッファ/センス回路170の構成を示す。同図は、1つのページバッファ/センス回路を示している。便宜上、トランジスタのゲートに印加される信号がそのトランジスタを表すものとする。ページバッファ/センス回路170は、2つのラッチL1、L2を含み、ラッチL1とラッチL2との間には、転送ゲート(トランジスタCACHE)が接続され、転送ゲートをオンすることでラッチL1からラッチL2、あるいはラッチL2からラッチL1への双方向のデータ転送が可能になる。
【0026】
ラッチL1は、ノードSLR1がトランジスタBLCD1およびトランジスタDTGの共通S/Dに接続され、ノードSLS1が判定回路210に接続される。判定回路210は、例えば、プログラムベリファイや消去ベリファイの合否を判定する。トランジスタDTGは、プログラムベリファイ等において、電圧供給ノードV2からノードSLR1をVddに選択的に充電し、あるいはノードSLR1を選択的にGNDに放電するときに導通される。さらに、ラッチL1は、トランジスタEQによってノードSLR1、SLS1の短絡が可能である。
【0027】
ラッチL1のノードSLR1、SLS1は、それぞれトランジスタCACHEを介してラッチL2のノードSLS2、SLR2に接続される。ラッチL2のノードSLR2がトランジスタBLCD2を介してセンスノードSNSに接続され、ノードSLS2がトランジスタRESET2に接続される。トランジスタRESET2は、ラッチL2をリセットするときに導通される。また、ノードSLS2、SLR2は、データラインDL、/DLを介して差動センスアンプSAに接続され、センスアンプSAの出力が入出力回路120に接続される。
【0028】
電圧供給ノードV2とセンスノードSNSとの間には、トランジスタVGおよびトランジスタREGが直列に接続され、トランジスタVGのゲートは、トランジスタDTGのS/Dに接続される。電圧供給ノードV1は、トランジスタBLPREを介してセンスノードSNSに接続される。電圧供給ノードV1は、後述するように、ビット線をプリチャージするとき内部供給電圧Vddを供給し、ラッチL1をリセットするときGND電位を供給する。センスノードSNSとビット線選択回路200のノードBLSとの間には、トランジスタBLCNおよびトランジスタBLCLAMPが直列に接続される。
【0029】
ワード線選択回路160および列選択回路180は、行アドレスAxおよび列アドレスAyに従いページ内のデータの読出し開始位置を選択したり、あるいは行アドレスおよび列アドレスを用いることなくページの先頭位置からデータを自動的に読み出す。さらにワード線選択回路160および列選択回路180は、クロック信号に応答して行アドレスおよび列アドレスをインクリメントする行アドレスカウンタおよび列アドレスカウンタを含むことができる。
【0030】
フラッシュメモリの読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15~20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0031】
次に、本実施例のフラッシュメモリ100のビット線のプリチャージ動作について説明する。図9は、プリチャージ後にラッチL1をリセットする場合のプリチャージ動作を説明するフローである。コントローラ150は、例えば、ページの連続読出し動作において次のページのアレイ読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路170を介して先ずビット線のプリチャージを開始する(S100)。
【0032】
コントローラ150は、電圧供給ノードV1を供給電圧Vddに切替え、トランジスタBLPREを導通させ、センスノードSNSをVddレベルに充電する。次に、トランジスタBLCLAMPのゲートに電圧VCLMP1+Vth(Vthは、トランジスタBLCLAMPの閾値)を印加し、ノードTOBLに電圧VCLMP1を充電する。トランジスタBLCNは、ノードTOBLとノードBLSとの間の電気的接続を行うものであり、トランジスタBLCNのゲートに供給電圧Vddを印加し、トランジスタBLCNを導通させ、ノードBLSを電圧VCLMP1に充電する。なお、供給電圧Vdd≧VCLMP1の関係にある。また、トランジスタBLCD1、BLCD2、トランジスタREGは非導通である。
【0033】
コントローラ150はさらに、ビット線選択回路200を介して選択ビット線をプリチャージする。ここでは、偶数ビット線GBLeが選択されるものとし、トランジスタBLSeが導通され、ノードBLSが偶数ビット線GBLeに電気的に接続される。また、偶数ビット線GBLeに接続されたNANDストリングのビット線側選択トランジスタを導通させ、ソース線側選択トランジスタを非導通にし、選択ページおよび非選択ページにパス電圧を印加する。これにより、偶数ビット線GBLeに電圧VCLMP1が供給される(S110)。他方、非選択の奇数ビット線GBLoは、トランジスタYBLoを介して仮想電源VIRPWRのGNDに電気的に接続される。
【0034】
次に、選択ビット線への電圧VCLMP1の供給を一定時間継続した後、コントローラ150は、ラッチL1のリセットが可能か否かを判定する(S120)。一定時間は、ビット線に設計された最適のプリチャージ電圧VPR_NORMALを生成するためのプリチャージ時間TPR_NORMALよりも幾分短い時間である(図4図5を参照)。ある態様では、一定時間は、ラッチL1の初期化が可能か否か判定するために必要な時間TRSTを考慮して決定される。つまり、一定時間は、TPR_NORMAL-TRSTであり、そうすることで、一定時間経過したときにラッチL1のリセットが可能である場合には、プリチャージ時間は、最適なプリチャージ時間TPR_NORMALとなり、ビット線には最適なプリチャージ電圧VPR_NORMALが生成される。例えば、最適なプリチャージ時間TPR_NORMALが約6usであるとき、ラッチL1の初期化が可能か判定に要する時間TRSTが約0.2usであり、一定時間は、約5.8usである。コントローラ150は、例えば、読出し動作のタイミングを制御する内部クロック信号をカウントすることで一定時間を計測することができる。
【0035】
ラッチL1がリセット可能か否かの判定方法は、特に限定されないが、例えば、ラッチL1のデータをラッチL2に転送するためのトランジスタCACHEがオンされた場合にラッチL1のリセットが可能と判定したり、あるいは、ラッチL1からラッチL2へのデータ転送が行われたことを示すフラグを参照してラッチL1のリセットが可能と判定する。この判定を行うことにより、ラッチL1に格納されたデータがラッチL2に転送する前にラッチL1が初期化され、データ破壊が発生するのを防ぐ。
【0036】
コントローラ150は、ラッチL1のリセットが可能でないと判定した場合、つまり、ビット線のプリチャージ時間が最適なプリチャージ時間TPR_NORMALを超えると判定した場合(S120)、トランジスタBLCLAMPのゲート電圧をVCLMP1+Vth-αに下げる(S130)。これにより、ビット線には、VCLMP1-αの電圧が供給され、ビット線のプリチャージ電圧が増加するのを抑制する。αが小さ過ぎればビット線のプリチャージ電圧が増加し、αが大きすぎればビット線のプリチャージ電圧が減少し、あるいはビット線がフローティング状態になってしまう。そこで、αの大きさは、電圧VCLMP1の供給によってビット線に生成されたプリチャージ電圧が、最適なプリチャージ時間TPR_NORMALを超過しても一定範囲内に収まるように設定される。
【0037】
図10は、最適なαを設定したときのプリチャージ電圧の遷移を示す。最適なプリチャージ電圧VPR_NORMALを得るための最適なプリチャージ時間TPR_NORMALを超過したプリチャージ時間TPR_NORMAL+TPR_ADDで得られるプリチャージ電圧VPR_ADDは、概ね一定となるように、即ち、|VPR_NORAML-VPR_ADD|<一定範囲となるように、αが設定される。より好ましくは、VPR_NORAML≒VPR_ADDである。
【0038】
また、ビット線のプリチャージ電圧は、フラッシュメモリ100の動作温度にも依存する。動作温度が高い場合には、低温の場合よりもビット線のプリチャージ電圧の増加が大きくなるので、αは、低温の場合よりも高温で大きくし、トランジスタBLCLAMPのゲート電圧をより小さくすることが望まれる。ある態様として、フラッシュメモリ100は温度センサを搭載し、コントローラ150は、温度センサの検出温度が閾値を超える場合にはα1を選択し、閾値以下である場合にはα2を選択し(α1>α2)、動作温度に応じてトランジスタBLCLAMPのゲート電圧を変更するようにしてもよい。例えば、α1、α2は、動作条件などを格納するフューズメモリに保持させることができる。
【0039】
コントローラ150は、トランジスタBLCLAMPのゲート電圧をVCLMP1+Vth-αに下げた後、一定時間待機し(S140)、再び、ラッチL1がリセット可能か否かを判定する(S120)。このループは、ラッチL1がリセット可能と判定されるまで継続され、その間、ビット線のプリチャージ電圧が概ね一定レベルに維持される。コントローラ150は、ラッチL1のリセットが可能と判定すると、トランジスタBLSeを非導通にして選択ビット線をノードBLSから切り離し、選択ビット線のプリチャージを終了させた後、ラッチL1をリセットする(S150)。ラッチL1のリセットは、ノードSLR1をLレベル(GND)することにより行われる。この詳細な動作については後述する。
【0040】
コントローラ150は、ラッチL1のリセット後、選択メモリセルのデータをセンシングするためNANDストリングのディスチャージを行う。つまり、ソース線側選択トランジスタを導通してNANDストリングをソース線に接続し、選択メモリセルのワード線に読出し電圧を印加し、非選択メモリセルのワード線に読出しパス電圧を印加する。並行して、センスのために、トランジスタBLCLAMPのゲート電圧をVCLMP2+Vthにし、VCLMP2をセンス電圧とする(VCLMP1>VCLMP2の関係にある)。ディスチャージ時間経過後、トランジスタBLPREを非導通にし、トランジスタBLSe、トランジスタBLCNを導通させ、さらにソース線側選択トランジスタを非導通にする。これにより、選択メモリセルが導通した場合には、選択ビット線の電荷がソース線に放電され、センスノードSNSにはセンス電圧VCLMP2より低い電圧が保持され、他方、選択メモリセルが非導通の場合には、ビット線の電荷は殆ど変化せずセンス電圧VCLMP2より高い電圧が維持されるため、センスノードSNSには、Vddが保持される。
【0041】
図4(B)に示すように、低速周波数の外部クロック信号ExCLKで連続読出しを行った場合に最適なプリチャージ時間TPR_NORMALを超過したとしても、選択ビット線のプリチャージ電圧VPR_ADDは、最適なプリチャージ電圧VPR_NORAMLと概ね等しいため、選択ビット線の電荷を放電したとき選択ビット線の電位を十分にVCLMP2より低い電圧に低下させることができる。
【0042】
次に、コントローラ150は、トランジスタBLCD1を導通させ、センスノードSNSの電荷をラッチL1のノードSLR1に転送する(S170)。ラッチL1は、転送された電荷が閾値以上であればデータ「1」、閾値未満であればデータ「0」と判定し、そのデータを保持する。センスノードSNSには、ビット線のプリチャージ時間が延びた場合でも正確な電荷が保持されるため、ラッチL1は、選択メモリセルのデータを正確に判定することができる。
【0043】
次に、ビット線のプリチャージ後のラッチL1のリセットの動作について図11のタイミングチャートを参照して説明する。ビット線のプリチャージ後、ラッチL1のリセットが行われる。リセット期間中、トランジスタBLPRE、トランジスタBLCN、トランジスタBLCLAMPは導通状態である。時刻t1で、トランジスタBLSeを非導通にし、偶数ビット線GBLeがページバッファ/センス回路170から電気的に切り離される。次に、時刻t2で、電圧供給ノードV1がGNDに遷移される。これにより、センスノードSNSが供給電圧VddからGNDレベルに降下し、ノードTOBLおよびノードBLSがクランプ電圧VCLMP1からGNDレベルに降下する。
【0044】
次に、時刻t3で、ラッチL1をリセットするためのラッチイネーブル信号LAT1がHレベルからLレベルに遷移され、ラッチL1がリセット可能な状態に置かれる。次に、時刻t4で、トランジスタEQを一定期間導通させ、ノードSLR1、SLS1を同電位に短絡した後、時刻t5で、トランジスタBLCD1を一定期間導通する。これにより、ノードSLR1の電荷がセンスノードSNSを介して電圧供給ノードV1のGNDに放電され、ラッチL1のリセットが完了する。
【0045】
ラッチL1のリセット後、センスノードSNS等のリカバリーが行われる。すなわち、センスノードSNS、ノードTOBL、ノードBLSを再充電し、これらのノードの電圧をラッチL1のリセット前のプリチャージ状態に回復させる。時刻t6で、電圧供給ノードV1がGNDから供給電圧Vddに遷移され、これによりセンスノードSNSがVddに再充電され、ノードTOBLおよびノードBLSがクランプ電圧VCLMP1に再充電される。次に、時刻t7で、トランジスタBLSeを導通し、偶数ビット線GBLeがページバッファ/センス回路170に電気的に接続される。ラッチL1のリセット後に、NANDストリングのディスチャージが行われる。
【0046】
次に、本発明の他の実施例について説明する。上記実施例では、ビット線のプリチャージ後にラッチL1をリセットする連続読出し時のプリチャージ動作を例示したが、本発明は、これ以外にも通常のページ読出し時のプリチャージ動作にも適用することができる。例えば、フラッシュメモリの動作解析においてビット線のプリチャージ電圧を測定するとき、読出しシーケンスを一時的に停止すると、トランジスタBLCLAMPの導通状態に継続され、ビット線のプリチャージ時間が最適なプリチャージ時間TPR_NORMALを超過する。
【0047】
コントローラ150は、プリチャージ時間TPR_NORMALを超過する場合には、トランジスタBLCLAMPのゲート電圧を、先の実施例と同様に、VCLMP1+VthからVCLMP1+Vth-αに下げ、ビット線のプリチャージ電圧が最適なプリチャージ電圧VPR_NORMALから上昇するのを防ぐ。これにより、測定したプリチャージ電圧と実際のプリチャージ電圧との差が概ね生じないようにし、正確な動作解析を行うことができる。
【0048】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100:フラッシュメモリ 110:メモリセルアレイ
120:入出力回路 130:ECC回路
140:アドレスレジスタ 150:コントローラ
160:ワード線選択回路 170:ページバッファ/センス回路
180:列選択回路 190:内部電圧発生回路
200:ビット線選択回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
ビット線に接続されたトランジスタのゲートに第1の電圧を印加し、当該トランジスタを介してビット線に電圧を供給してビット線のプリチャージを開始するステップと、
前記第1の電圧の印加によるプリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加するステップと、
ビット線のプリチャージ後に、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路を初期化するステップと
を含む読み出し方法。
【請求項2】
前記第2の電圧は、ビット線にプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項3】
前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項4】
前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項5】
前記第2の電圧を印加するステップは、前記ラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加する、請求項1に記載の読み出し方法。
【請求項6】
前記第2の電圧を印加するステップは、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される、請求項5に記載の読み出し方法。
【請求項7】
前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される、請求項5または6に記載の読出し方法。
【請求項8】
前記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施される、請求項1ないしいずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項9】
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを、外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路に保持されたデータを誤り検出・訂正することを含む、請求項に記載の読出し方法。
【請求項10】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、
前記ページバッファ/センス回路は、ビット線にプリチャージ電圧を供給するためのトランジスタを含み、
前記ページバッファ/センス回路は、ビット線のプリチャージを行うとき、前記トランジスタのゲートに第1の電圧を印加してプリチャージを開始し、プリチャージ時間が一定時間を経過したとき、前記トランジスタのゲートに前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加し、
前記読出し手段はさらに、ビット線のプリチャージ後に、センスノードの電荷を受け取るラッチ回路を初期化する、半導体装置。
【請求項11】
前記第2の電圧は、ビット線のプリチャージされた電圧が一定範囲に収まる電圧レベルである、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の電圧は、プリチャージされたビット線がフローティング状態にならない電圧レベルである、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記一定時間は、前記第1の電圧の供給によりビット線に設計された最適のプリチャージ電圧を生成するためのプリチャージ時間よりも短い時間である、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ページバッファ/センス回路は、前記ラッチ回路が初期化できないとき前記第2の電圧を印加し、第2の電圧の印加は、前記ラッチ回路の初期化が可能になるまで継続される、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記一定時間は、前記ラッチ回路の初期化が可能か否かの判定に要する時間に基づき決定される、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行う、請求項10ないし15いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ページバッファ/センス回路さらに、前記ラッチ回路に保持されたデータを受け取る別のラッチ回路を含み、
前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させる、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行うECC回路を含み、
前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路の第1の部分に保持されたデータが前記ECC回路によりECC処理されている間に、前記別のラッチ回路の第2の部分に保持されたECC処理されたデータを出力させる、請求項17に記載の半導体装置。