IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-磁気センサ 図1
  • 特開-磁気センサ 図2
  • 特開-磁気センサ 図3
  • 特開-磁気センサ 図4
  • 特開-磁気センサ 図5
  • 特開-磁気センサ 図6
  • 特開-磁気センサ 図7
  • 特開-磁気センサ 図8
  • 特開-磁気センサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152036
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G01R33/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054651
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】悪七 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】笠島 多聞
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AC07
2G017AD55
2G017BA09
2G017CB02
2G017CB10
2G017CB20
(57)【要約】
【課題】微小領域の磁束を検出可能な磁気センサを提供する。
【解決手段】磁気センサ1は、磁性体10,20と、磁性体10の一端11と磁性体20の一端21の間を通る磁束φを検出する磁気検出部30とを備える。磁性体10の他端12と磁性体20の他端22は、互いに近接することにより検出プローブPを構成する。このように、2つの磁性体10,20の先端が検出プローブPを構成していることから、微小領域の磁束を検出することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の磁性体と、
前記第1の磁性体の一端と前記第2の磁性体の一端の間を通る磁束を検出する磁気検出部と、を備え、
前記第1の磁性体の他端と前記第2の磁性体の他端は、互いに近接することを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記第1の磁性体の前記他端と前記第2の磁性体の前記他端は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1及び第2の磁性体は、前記他端に向かうにつれて断面積が小さくなる形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第1の磁性体の前記他端側における延在方向と、前記第2の磁性体の前記他端側における延在方向が成す角度は、鈍角であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気センサに関し、特に、微小領域の磁束を検出可能な磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棒状の磁性体を用いてセンサチップに磁束を集めることにより検出感度を高めた磁気センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6610178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の磁気センサは、比較的広範囲の磁束に対して感度を有することから、微小領域の磁束を検出することは容易ではなかった。
【0005】
したがって、本発明は、微小領域の磁束を検出可能な磁気センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による磁気センサは、第1及び第2の磁性体と、第1の磁性体の一端と第2の磁性体の一端の間を通る磁束を検出する磁気検出部とを備え、第1の磁性体の他端と第2の磁性体の他端は、互いに近接することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、2つの磁性体の先端が検出プローブを構成していることから、微小領域の磁束を検出することが可能となる。
【0008】
本発明において、第1の磁性体の他端と第2の磁性体の他端は、同一平面上に位置していても構わない。これによれば、検出対象物の平坦な表面に検出プローブを近づけやすくなる。
【0009】
本発明において、第1及び第2の磁性体は、他端に向かうにつれて断面積が小さくなる形状を有していても構わない。これによれば、検出プローブをより微細化することが可能となる。
【0010】
本発明において、第1の磁性体の他端側における延在方向と、第2の磁性体の他端側における延在方向が成す角度は、鈍角であっても構わない。これによれば、水平方向の磁束をより効率よく集磁することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、微小領域の磁束を検出可能な磁気センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の構造を説明するための模式図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の構造を説明するための模式図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の構造を説明するための模式図である。
図4図4は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の構造を説明するための略斜視図である。
図5図5は、磁気検出部30を構成するセンサチップと磁性体10,20を分離した状態を示す略分解斜視図である。
図6図6は、磁気検出部30を構成するセンサチップの略平面図である。
図7図7は、図6のB-B線に沿った略断面図である。
図8図8は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の構造を説明するための略斜視図である。
図9図9は、本発明の第6の実施形態による磁気センサ6の構造を説明するための略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の構造を説明するための模式図である。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態による磁気センサ1は、磁性体10,20と磁気検出部30とを備えている。磁性体10,20は、フェライトなどの高透磁率材料によって構成され、いずれもy方向を長手方向とする略棒状体である。磁気検出部30は、磁性体10の一端11と磁性体20の一端21の間に配置され、これにより磁性体10の一端11と磁性体20の一端21の間を通る磁束φの向き及び強度を検出する。
【0016】
磁性体10の他端12と磁性体20の他端22は、互いに向かい合うようx方向に折り曲げられ、これにより互いに近接する検出プローブPを構成する。検出プローブPは、検出対象物Aから生じる磁束を集磁する役割を果たす。検出対象物Aは、例えば、磁性体10の他端12と磁性体20の他端22の間あるいはその近傍に配置される。これにより、検出対象物Aから生じるx方向の磁束φが磁性体10,20によって集磁され、磁気検出部30に印加される。つまり、検出プローブPを介して磁性体10,20及び磁気検出部30が磁気ループを構成することから、検出プローブPの近傍に位置する検出対象物Aから生じる磁束を高感度に検出することが可能となる。
【0017】
このように、本実施形態による磁気センサ1は、磁性体10の他端12と磁性体20の他端22が検出プローブPを構成していることから、微小領域の磁束を高感度に検出することが可能となる。
【0018】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の構造を説明するための模式図である。
【0019】
図2に示すように、第2の実施形態による磁気センサ2は、磁性体10の他端12と磁性体20の他端22の間に樹脂などからなる非磁性体40が配置されている点において、第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
非磁性体40は、磁性体10の他端12と磁性体20の他端22に接着されており、これにより両者を位置決め固定する役割を果たす。このような非磁性体40を用いれば、検出プローブPのx方向における間隔が固定されるだけでなく、検出プローブPの機械的強度を高めることが可能となる。
【0021】
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の構造を説明するための模式図である。
【0022】
図3に示すように、第3の実施形態による磁気センサ3は、磁性体10,20の断面積が検出プローブPに向かうにつれて小さくなる形状を有する点において、第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
磁性体10,20をこのような形状とすれば、検出プローブPの先端が微細化されるため、検出プローブPの先端を検出対象物Aに近づけやすくなるとともに、より微細な領域の磁束を検出することが可能となる。
【0024】
<第4の実施形態>
図4は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の構造を説明するための略斜視図である。
【0025】
図4に示すように、第4の実施形態による磁気センサ4は、磁性体10,20がカギ型に折れ曲がった形状を有するとともに、磁気検出部30としてセンサチップが用いられている点において、第3の実施形態による磁気センサ3と相違している。その他の基本的な構成は第3の実施形態による磁気センサ3と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
磁性体10は、一端11から他端12に向かって直角及び鈍角に2回折れ曲がる形状を有している。また、磁性体20は、一端21a,21bが2つに分割され、且つ、一端21a,21bから他端22に向かって直角及び鈍角に2回折れ曲がる形状を有している。検出プローブPを構成する磁性体10の他端12と磁性体20の他端22は、いずれもxz平面を構成し、且つ、同一平面上に位置している。これにより、検出プローブPを検出対象物Aのxz平面に近づけやすくなるだけでなく、検出対象物Aのxz平面に接触させることも可能となる。
【0027】
また、本実施形態においては、磁性体10の他端12側における延在方向と、磁性体20の他端22側における延在方向が成す角度θが鈍角である。これにより、検出対象物Aから生じるx方向の磁束をより効率よく集磁することが可能である。
【0028】
図5は、磁気検出部30を構成するセンサチップと磁性体10,20を分離した状態を示す略分解斜視図である。
【0029】
図5に示すように、磁気検出部30を構成するセンサチップは、yz面を構成する素子形成面31及び裏面32と、xy面を構成する側面33,34と、xz面を構成する側面35,36とを有している。センサチップの素子形成面31上には、後述する感磁素子及び磁性体層M1~M3が形成されている。磁性体10の一端11を構成する部分はx方向を長手方向とする棒状体であり、そのx方向における一端11は、磁性体層M1の一部を覆うよう素子形成面31のz方向における略中央部に位置決めされている。磁性体20は、x方向を長手方向とする棒状の領域23を有している。領域23のセンサチップ側における端部は、2つに分割されてx方向に延在し、さらに互いに向かい合うようz方向に折れ曲がる形状を有している。z方向に折れ曲がった部分は、磁性体20の一端21a,21bを構成する。一端21a,21bは、それぞれ磁性体層M2,M3の一部を覆う。
【0030】
図6は磁気検出部30を構成するセンサチップの略平面図であり、図7図6のB-B線に沿った略断面図である。
【0031】
図6及び図7に示すように、センサチップの素子形成面31には、4つの感磁素子R1~R4が形成されている。感磁素子R1~R4は、磁束の向きによって電気抵抗が変化する素子であれば特に限定されず、例えばMR素子などを用いることができる。感磁素子R1~R4の固定磁化方向は、互いに同じ向き(例えばz方向におけるプラス側)に揃えられている。感磁素子R1~R4は絶縁層37で覆われており、絶縁層37の表面には、パーマロイなどからなる磁性体層M1~M3が形成されている。磁性体層M1~M3は絶縁層38で覆われている。そして、磁性体層M1~M3のうち、y方向における一方側(図7における上側)に位置する部分を磁性体層M11,M21,M31と定義し、y方向における他方側(図7における下側)に位置する部分を磁性体層M12,M22,M32と定義した場合、平面視で(x方向から見て)、感磁素子R1は磁性体層M11と磁性体層M21の間に位置し、感磁素子R2は磁性体層M12と磁性体層M22の間に位置し、感磁素子R3は磁性体層M11と磁性体層M31の間に位置し、感磁素子R4は磁性体層M12と磁性体層M32の間に位置している。これにより、磁気ギャップG1~G4を通過する磁界が感磁素子R1~R4に印加される。ここで、感磁素子R1,R2に印加される磁界の向きと、感磁素子R3,R4に印加される磁界の向きは、互いに180°異なることから、感磁素子R1~R4をブリッジ接続することにより、磁性体10を介して印加される磁束の向き及び強度を検出することができる。
【0032】
但し、本発明において、各感磁素子R1~R4を2つの磁性体層間に配置することは必須でなく、2つの磁性体層からなる磁気ギャップG1~G4の近傍、つまり、磁気ギャップG1~G4によって形成される磁路上に各感磁素子R1~R4が配置されていれば足りる。また、磁気ギャップG1~G4の幅が感磁素子R1~R4の幅よりも広い必要はなく、磁気ギャップG1~G4の幅が感磁素子R1~R4よりも狭くても構わない。
【0033】
図6及び図7において、符号11で示す領域は磁性体10の一端11によって覆われる領域を示し、符号21a,21bで示す領域は磁性体20の一端21a,21bによって覆われる領域を示している。図6及び図7に示すように、磁性体10の一端11は磁性体層M1を覆い、磁性体20の一端21a,21bは磁性体層M2,M3を覆う。
【0034】
このような構成により、検出プローブPを介して磁性体10,20及び磁性体層M1~M3が磁気ループを構成し、磁気ループに含まれる磁気ギャップG1~G4に感磁素子R1~R4が配置されることから、検出プローブPの近傍に位置する検出対象物Aから生じる磁束を高感度に検出することが可能となる。
【0035】
<第5の実施形態>
図8は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の構造を説明するための略斜視図である。
【0036】
図8に示すように、第5の実施形態による磁気センサ5は、磁性体10,20が鋭角に1回折れ曲がった形状を有している点において、第4の実施形態による磁気センサ4と相違している。その他の基本的な構成は第4の実施形態による磁気センサ4と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0037】
図8に示す磁気センサ5が例示するように、磁性体10,20を鋭角に1回折れ曲がった形状とすれば、全体のy方向におけるサイズを小型化することができる。
【0038】
<第6の実施形態>
図9は、本発明の第6の実施形態による磁気センサ6の構造を説明するための略斜視図である。
【0039】
図9に示すように、第6の実施形態による磁気センサ6は、磁性体10が直角に1回折れ曲がった形状を有し、磁性体20が直角及び鈍角に2回折れ曲がる形状を有している点において、第4の実施形態による磁気センサ4と相違している。その他の基本的な構成は第4の実施形態による磁気センサ4と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、磁性体10については、他端12の近傍における断面積が一定であり、より単純な形状を有している。図9に示す磁気センサ6が例示するように、本発明において、磁性体10,20の形状は特に限定されない。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1~6 磁気センサ
10,20 磁性体
11,21,21a,21b 磁性体の一端
12,22 磁性体の他端
23 領域
30 磁気検出部
31 素子形成面
32 裏面
33~36 側面
37,38 絶縁層
40 非磁性体
A 検出対象物
G1~G4 磁気ギャップ
M1~M3,M11,M21,M31,M12,M22,M32 磁性体層
P 検出プローブ
R1~R4 感磁素子
φ 磁束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9