(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152038
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】固形化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20221004BHJP
A61K 8/897 20060101ALI20221004BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221004BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20221004BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20221004BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20221004BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20221004BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/897
A61K8/31
A61K8/25
A61Q1/10
A61Q1/08
A61Q1/12
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054653
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健一
(72)【発明者】
【氏名】東 竜太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB132
4C083AB152
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB372
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC662
4C083AC792
4C083AC852
4C083AC862
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD662
4C083BB14
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC14
4C083CC17
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD21
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 本発明は、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性の全て満たす固形化粧料の開発を課題とする。
【解決手段】 次の成分(A)~(D);
(A)油溶性ポリウレタン
(B)フッ素変性シリコーン樹脂
(C)揮発性油剤
(D)粉体
を含有する固形化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)油溶性ポリウレタン
(B)フッ素変性シリコーン樹脂
(C)揮発性油剤
(D)粉体
を含有する固形化粧料。
【請求項2】
前記成分(D)粉体の含有量(粉体総量)及び前記成分(A)~(C)を含む油性成分の含有量の総和(油性成分総量)において、粉体総量に対する油性成分総量の質量含有割合(油性成分総量)/(粉体総量)が0.50~1.50である請求項1に記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、エチレングリコール、及び1,4-ブタンジオールよりなる群から選択される1種または2種以上を構造中に含む請求項1または2に記載の固形化粧料。
【請求項4】
前記成分(D)粉体が、(D1)板状粉体を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の固形化粧料。
【請求項5】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が0.5~3.0である請求項1~4のいずれか1項に記載の固形化粧料。
【請求項6】
さらに、成分(E)煙霧状シリカを含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の固形化粧料。
【請求項7】
さらに、成分(F)フェニル変性シリコーンを含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
固形化粧料は使用性と携帯性に優れることからファンデーションやアイシャドウ等に広く用いられる剤型である。中でも粉体を主体とする粉末固形剤型には、使用時の伸び広がりのよさやべたつかない仕上がり等の品質が好まれている。また、油剤を主体とした油性固形剤型は、密着性や光沢感に優れた特徴を有しており、これらの剤型は機能性や仕上がり等に応じて使い分けられている。
【0003】
一方で、粉末固形剤型では肌への密着性が弱く経時で落ちてしまうといった課題や、粉体の光散乱による光沢感の低下といった課題があり、油性固形剤型では、油剤によるべたつきや経時での化粧ヨレといった課題があり、これらの課題を解決する種々の検討が行われてきた。近年では粉末固形剤型と油性固形剤型の両方の長所を併せ持つような化粧料の開発がなされており、例えば、粉体成分と、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体と、油性成分と、を含有する油性固形化粧料により、塗布時のしっとり感と指での取れやすさを向上し、耐衝撃性に優れた技術(特許文献1参照)やデキストリン脂肪酸エステル及び又はイヌリン脂肪酸エステルを3~15重量%と液状油性成分を15~40重量%及び粉体成分を50~80重量%含む油性固形化粧料でべたつきをおさえパウダリーな感触と伸展性を有する技術(特許文献2参照)等がある。また、粉体40~75質量%と1気圧、25℃の条件下で流動性を有する油性成分20~50質量%とを含有することを特徴とする、を有するファニキュラー領域の化粧料等が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-15675号公報
【特許文献2】特開2011-79767号公報
【特許文献3】特開2006-1883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、塗布時の伸び広がりやべたつきのなさ、耐衝撃性を満たす化粧料の開発はされているものの、前記課題を解決しながらも肌への密着性、光沢感を満たす化粧料の開発は行われていなかった。
【0006】
そこで本発明は、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性の全て満たす固形化粧料の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った。まず、肌との親和性が高く、柔軟性に優れる油溶性ポリウレタンに着目した。固形化粧料に油溶性ポリウレタンと軽い伸び広がりを特徴とする揮発性油剤を用いることで、肌への密着性、塗布時の伸び広がり、光沢感、耐衝撃性が得られるものの、成膜後の塗膜のべたつきのなさを満足させる必要があった。そこで、肌への密着性、塗布時の伸び広がり、光沢感、耐衝撃性を維持しつつ、更に成膜後の塗膜のべたつきのなさを向上させる検討を行った。種々の成分を比較し、皮膜形成成分が有用であることを見出し、その中でもフッ素変性シリコーン樹脂が特に優れた効果を発揮することを見出した。本発明の固形化粧料において、肌との親和性が高い油溶性ポリウレタンと、軽い伸び広がりに寄与する揮発性油剤、及び粉体を組み合わせることにより、肌への密着性を高めながらも、塗布時に軽く均一に延び広がるため、高い光沢感を得られた。また、伸縮性の高い油溶性ポリウレタンにより固形化粧料を落下させた際の耐衝撃性を高め、撥油性に優れるフッ素変性シリコーン樹脂を組み合わせた場合に、成膜後のべたつきが低減することを見出した。その結果、油溶性ポリウレタン、フッ素変性シリコーン樹脂、揮発性油剤、及び粉体を含有する固形化粧料が、塗布時の伸び広がりと肌への密着性を向上させるとともに、光沢感、成膜後の塗膜のべたつきのなさ、耐衝撃性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)~(D);
(A)油溶性ポリウレタン
(B)フッ素変性シリコーン樹脂
(C)揮発性油剤
(D)粉体
を含有する固形化粧料に関するものである。
【0009】
前記成分(D)粉体の含有量(粉体総量)及び前記成分(A)~(C)を含む油性成分の含有量の総和(油性成分総量)において、粉体総量に対する油性成分総量の質量含有割合(油性成分総量)/(粉体総量)が0.50~1.50である前記記載の固形化粧料に関するものである。
【0010】
前記成分(A)が、エチレングリコール、及び1,4-ブタンジオールよりなる群から選択される1種または2種以上を構造中に含む前記記載の固形化粧料に関するものである。
【0011】
前記成分(D)粉体が、(D1)板状粉体を含有する前記記載の固形化粧料に関するものである。
【0012】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が0.5~3である前記記載の固形化粧料に関するものである。
【0013】
さらに、成分(E)煙霧状シリカを含有する前記記載の固形化粧料に関するものである。
【0014】
さらに、成分(F)フェニル変性シリコーンを含有する前記記載の固形化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきのなさ、及び耐衝撃性に優れる固形化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本発明所において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0017】
本発明における成分(A)油溶性ポリウレタンは、ウレタン結合を有する油溶性の重合体である。ウレタン結合は、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物との反応で得ることができる。本発明の成分(A)油溶性ポリウレタンにおいて、イソシアネート基を有する化合物は、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、本発明の成分(A)油溶性ポリウレタンにおいて、水酸基を有する化合物は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、及び1,4-ブタンジオールよりなる群から選択される1種または2種以上が好ましい。
【0018】
また、本発明の成分(A)油溶性ポリウレタンは、ウレタン結合を有していれば良く、その構造中に任意の成分を含んでいても良い。例えば、有機酸、高級アルコール、有機酸エステル、ポリエーテル等が挙げられる。本発明における成分(A)油溶性ポリウレタンは、特に限定されないが、肌への密着性、耐衝撃性の観点から油溶性ポリウレタンゲルであることが好ましい。ここで油溶性ポリウレタンゲルとは、油溶性ポリウレタン分子内の疎水部で油剤に接触することで、増粘し、弾力性のあるゲルを形成するものをいう。油溶性ポリウレタンゲルとする場合に、油剤等の分散溶媒に分散したものを用いても良い。分散溶媒は特に限定されないが、アルコール類、油剤等が挙げられ、これらから1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
【0019】
分散溶媒は、特に限定されないが、アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール等が挙げられる。
【0020】
また、油剤としては、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、流動イソパラフィン、スクワラン、水添ポリデセン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソノイソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチリル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソステアリル、ラウリン酸ヘキシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、カプリン酸セチル、カプリル酸セチル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、エルカ酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸イソステアリル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリトリデシル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、デカイソステリン酸デカグリセリル、デカ2-エチルヘキサン酸デカグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル等のエステル油、ヤシ油、オリーブ油、パーム油、マカデミアンナッツ油、メドウフォーム油、ホホバ油、菜種油、コメヌカ油等の植物油、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、分散溶媒は油剤が好ましく、エステル油がより好ましく、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルよりなる群から選択される1種または2種以上がさらにより好ましく、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、デカイソステリン酸デカグリセリル、デカ2-エチルヘキサン酸デカグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリルよりなる群から選択される1種または2種以上が最も好ましい。分散溶媒を前記成分から選択することで、油溶性ポリウレタンを固形化粧料により効率的に分散させることができるため、より好ましい。特にポリレウタンはウレタン結合を有するため、極性油に親和性が高く、分散溶媒としてエステル油を選択することで、粉体と混合する際により均一に分散することができ、より好ましい。
【0022】
このような成分(A)は、特に限定されないが、例えば、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient Labeling Names)が、Polyurethane-1、Polyurethane-2、Polyurethane-4、Polyurethane-6、Polyurethane-7、Polyurethane-8、Polyurethane-9、Polyurethane-10、Polyurethane-11、Polyurethane-14、Polyurethane-15、Polyurethane-16、Polyurethane-21、Polyurethane-23、Polyurethane-24、Polyurethane-26、Polyurethane-27、Polyurethane-32、Polyurethane-33、Polyurethane-34、Polyurethane-35、Polyurethane-39、Polyurethane-40、Polyurethane-42、Polyurethane-43、Polyurethane-44、Polyurethane-45、Polyurethane-46、Polyurethane-48、Polyurethane-49、Polyurethane-50、Polyurethane-51、Polyurethane-52、Polyurethane-53、Polyurethane-54、Polyurethane-55、Polyurethane-57、Polyurethane-58、Polyurethane-59、Polyurethane-61、Polyurethane-62、Polyurethane-64、Polyurethane-66、Polyurethane-67、Polyurethane-74、Polyurethane-75、Polyurethane-79、Polyurethane-82、Polyurethane-85、Polyurethane-86、Polyurethane-93、Polyurethane-95、Polyurethane-96、Polyurethane-97、Polyurethane-98、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、(アジピン酸/メチルペンタンジオール/HDI)コポリマー、(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマー、(1,4-ブタンジオール/コハク酸/アジピン酸/HDI)コポリマー等が挙げられ、これらから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、Polyurethane-4、Polyurethane-14、Polyurethane-44、Polyurethane-59、Polyurethane-64、Polyurethane-79、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、及び(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマーよりなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、Polyurethane-4、Polyurethane-14、Polyurethane-79、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、及び(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマーよりなる群から選択される1種または2種以上がより好ましく、Polyurethane-14、Polyurethane-79、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、及び(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマーよりなる群から選択される1種または2種以上がさらにより好ましい。
【0023】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、1質量%(以下、単に「%」と略す)以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらにより好ましい。また、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、7%以下がさらにより好ましい。また、1~10%が好ましく、3~8%がより好ましく、5~7%がさらにより好ましい。この範囲であれば、光沢感、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0024】
本発明における成分(B)フッ素変性シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂構造中にフッ素元素が導入されているものである。例えば、下記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
R1
aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1~8の炭化水素基、フェニル基、水酸基又は一般式-R2-Rf(R2は炭素数2~6の2価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す)であって、水酸基及び一般式-R2-Rfを必須とする官能基から任意に選ばれ、aは平均数で1.0≦a≦1.8である)
【0025】
本発明において、フッ素変性シリコーン樹脂は、肌への密着性の観点から、分子内にシラノール基を有し、シラノール基中のOH基の割合が、樹脂質量に対して0.1~5%であるのが好ましく、0.5~5%がより好ましい。
【0026】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらにより好ましい。また、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらにより好ましい。また、1~10%が好ましく、2~8%がより好ましく、3~6%がさらにより好ましい。この範囲であれば、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0027】
本発明において、成分(A)~(D)は種々の含有量とすることができるが、含有質量割合を特定することで、肌への密着性、成膜後のベタつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。このような前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)は、特に限定されないが、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、1.0以上がさらにより好ましい。また、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.0以下がさらにより好ましい。また、0.5~3.0が好ましく、0.7~2.5がより好ましく、1.0~2.0がさらにより好ましい。含有質量割合をより好ましい範囲にすることで、さらに肌への密着性、成膜後のべたつきのなさこの範囲であれば肌への密着性、成膜後の塗膜のベタつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0028】
本発明における成分(C)揮発性油剤は、常温で揮発性を有する油剤である。常温で揮発性を有するとは、常圧での沸点が260℃以下であるものを意味する。本発明における成分(C)は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油等が挙げられる。揮発性炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられ、揮発性シリコーン油としては、メチルトリメチコン、カプリリルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられ、これらから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、揮発性炭化水素が好ましく、イソドデカンがより好ましい。
【0029】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらにより好ましい。また、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらにより好ましい。また、1~30%が好ましく、5~25%がより好ましく、10~20%がさらにより好ましい。この範囲であれば、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0030】
本発明における成分(D)粉体は、通常化粧料に使用されるものであれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、いずれのものも使用できる。無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、マイカ、セリサイト、合成金雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、雲母チタン、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化鉄酸化チタン被覆合成金雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ガラス末、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、アクリルデンプン、コメデンプン等のデンプン粉末、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の繊維等が挙げられる。これらはフッ素化合物、シリコ-ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0031】
本発明における成分(D)は、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性の観点で(D1)板状粉体を含有していることが好ましく、中でも光輝性を有する粉体を含有していることが特に好ましい。好ましい形態として、板状粉体であれば、その組成は特に限定されず、例えば、上記粉体から用いることができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、窒化ホウ素、マイカ、セリサイト、合成金雲母、オキシ塩化ビスマス、セルロース末、ラウロイルリシン、ガラス末及び光輝性粉体よりなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、合成金雲母、オキシ塩化ビスマス、セルロース末、ラウロイルリシン、ガラス末、及び光輝性粉体よりなる群から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、合成金雲母、ガラス末、及び光輝性粉体よりなる群から選ばれる1種または2種以上がさらにより好ましい。好ましい光輝性粉体としては、例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青処理雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化鉄酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、アルミニウム末、シリカ被覆アルミニウム末等が挙げられる。
【0032】
本発明の成分(D)における光輝性粉体の市販品としては、例えば、COSMETICA SUPER WHITE 8000S、BLONDIEE SUPER BRONZE N―2220S(以上CQV社製)、HELIOS R10R、HELIOS R100R、HELIOS R300R(以上トピー工業社製)、COSMICOLOR CELESTE CRYSTAL SL(東洋アルミニウム社製)、TWINCLEPEARL 430(日本光研社製)、メタシャインMT1080RR、メタシャインMT1080TA(以上日本板硝子社製)、FRAMENCO RED 420C、FRAMENCO SPARKLE RED 420C、CLOISONNE BLUE 626C、DUOCROME BG、REFLECKS MULTIDIMENTIONS CHANGING CHERRY(以上BASF社製)、COLORONA BLACKSTAR RED(メルク社製)等が挙げられる。
【0033】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上がさらにより好ましい。また、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下がさらにより好ましい。また、30~70%が好ましく、35~65%がより好ましく、40~60%がさらにより好ましい。この範囲であれば、塗布時の伸び広がり、光沢感、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0034】
本発明における成分(D1)の含有量は、特に限定されないが、粉体総量に対し、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらにより好ましい。また、100%%以下が好ましく、99%以下がより好ましく、98%以下がさらにより好ましい。また、50~100%が好ましく、60~99%がより好ましく、70~98%がさらにより好ましい。この範囲であれば、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性により優れるため、より好ましい。
【0035】
本発明において、油剤及び(D)粉体は種々の含有量とすることができるが、含有質量割合を特定することで、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後のべたつきの無さ、及び耐衝撃性により優れるため、より好ましい。前記成分(D)粉体の含有量を(粉体総量)とし、前記成分(A)~(C)を含む油性成分の含有量の総和を(油性成分総量)と呼ぶ。このような粉体総量に対する油性成分総量の含有質量割合(油性成分総量)/(粉体総量)は、特に限定されないが、0.50以上が好ましく、0.55以上がより好ましく、0.60以上がさらにより好ましい。また、1.50以下が好ましく、1.40以下がより好ましく、1.30以下がさらにより好ましい。また、0.50~1.50が好ましく、0.55~1.40がより好ましく、0.60~1.30がさらにより好ましい。
【0036】
本発明はさらに成分(E)煙霧状シリカを含有することができる。本発明において、煙霧状シリカとは、平均粒子径が50nm以下の非晶質のシリカである。本発明に用いる成分(E)は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、四塩化ケイ素を酸水素炎中で加水分解して得られるものが挙げられる。これらの煙霧状シリカの一次粒子径は50nm以下が好ましく、20nm以下が特に好ましい。尚、一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定することができる。また、前記煙霧状シリカは、疎水化処理してもよく、その処理方法としては、例えばジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。
【0037】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.15%以上がさらにより好ましい。また、1%以下が好ましく、0.75%以下がより好ましく、0.5%以下がさらにより好ましい。また、0.05~1%が好ましく、0.1~0.75%がより好ましく、0.15~0.5%がさらにより好ましい。この範囲であれば、成膜後のベタつきのなさ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0038】
本発明はさらに成分(F)フェニル変性シリコーンを含有することができる。本発明において、フェニル変性シリコーンとは、ポリシロキサンの一部にフェニル基を有するものである。例えば、以下の化学式(2)に示される構造を有するものが好ましい。
【化1】
(式中、R
1~R
6は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状の炭素数1~30炭化水素系基であり、R
1~R
6は、炭素数1~30アルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、R
1~R
6はメチル基がより好ましい。m,n,lは互いに独立な0~900の整数であり、m+n+l≠0である。m,n,lは互いに独立であり、0~100の整数で、m+n+l≠0であると好ましく、l=0であり、m及びnは、互いに独立な1~100の間の整数もしくは、m=0であり、n及びlが、1~100の整数であることがより好ましい。)
【0039】
具体的には、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられる。本発明の成分(F)は、これらから1種又は2種以上選択して用いることができる。特に、密着性、耐衝撃性の観点からフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、及びジフェニルシロキシフェニルトリメチコンよりなる群から選択される1種または2種以上であると好ましい。
【0040】
本発明における成分(F)フェニル変性シリコーンの含有量は、特に限定されないが、化粧料全量に対し、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、4%以上がさらにより好ましい。また、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらにより好ましい。また、1~15%が好ましく、3~10%がより好ましく、4~8%がさらにより好ましい。この範囲であれば、光沢感、滑らかな伸び広がり、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、耐衝撃性により優れるため、より好ましい。
【0041】
本発明の固形化粧料は、上記の成分(A)~(F)の他に、通常化粧料に使用される成分、油性成分、界面活性剤、繊維、油溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0042】
本発明の固形化粧料は、通常公知の製法で得ることができる。以下に製造方法の例を示すが、これに限定されるものではない。例えば、成分(A)~(C)、(E)、及び(F)を混合し、成分(D)及びその他の成分を添加混合し、圧縮成型する乾式成型方法が挙げられる。また、成分(A)~(F)及びその他の成分を混合して得た組成物と、揮発性溶媒とを混合してスラリー状とし、これを充填成型した後、該揮発性溶媒を除去して成型する湿式成型方法等が挙げられる。このとき、各成分をより良好に混合させるために、60~120℃程度で加温してもよい。
【0043】
成型に用いられる充填機器としては、特に限定されないが、弾力性を有する組成物や、流動性を有しない粘土状の組成物等の充填に用いられる充填機器が好ましく、例えば、スクリューフィーダー付充填機、枡型充填機等が挙げられる。
【0044】
本発明における固形化粧料の硬度は、特に限定されず、例えば、0.5N以上が好ましく、0.8N以上がより好ましく、1.0N以上がさらにより好ましい。また、3.0N以下が好ましく、2.8N以下がより好ましく、2.5N以下がさらにより好ましい。また、0.5~3.0Nが好ましく、0.8~2.8Nがより好ましく、1.0~2.5Nがさらにより好ましい。硬度は荷重測定器(レオテック社製、FUDOHレオメーターRT-2002D・D)により、2cmΦ球状アダプター、2cm/min、1mm針入の条件下で測定することができる。尚、後述の実施例の硬度は、荷重測定器(レオテック社製、FUDOHレオメーターRT-2002D・D)により、2cmΦ球状アダプター、2cm/min、1mm針入の条件下で測定したものである。
【0045】
本発明の固形化粧料は、特に限定されず、種々の化粧料として用いることができる。例えば、ファンデーション、下地、BBクリーム、白粉、コンシーラー、ハイライター、頬紅、口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、ボディーパウダー、日焼け止め、毛髪着色料、毛髪保護料等が挙げられる。特に、ファンデーション、下地、白粉、コンシーラー、ハイライター、頬紅、口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー等のメイクアップ化粧料が好ましく、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、及びアイライナーよりなる群から選択される1種または2種以上がより好ましく、ファンデーション、アイシャドウ、アイブロウよりなる群から選択される1種または2種以上がさらにより好ましい。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
実施例1~20及び比較例1~7:アイシャドウ
下記表1~3に示す処方のアイシャドウを下記製造方法にて調製し、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきのなさ、耐衝撃性について下記評価方法により評価・判定し、その結果を表1~3に示す。
【0048】
【0049】
※1:OILKEMIA 5S polymer(ルーブリゾール社製)
※2:BLONDIEE SUPER RUSSET N―2660S(CQV社製)
※3:PDM-20L(トピー工業社製)
【0050】
【0051】
【0052】
(製造方法)
A:成分(15)~(19)をヘンシェルミキサーで均一に混合する。
B:成分(1)~(14)を溶解槽で80℃に加熱し、均一に分散する。
C:AにBを添加し、常温で均一に分散する。
D:Cをスクリューフィーダー付充填機を用いて容器に充填し、成形してアイシャドウを得た。
【0053】
(評価項目)
1.塗布時の伸び広がり
2.光沢感
3.肌への密着性
【0054】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
1.塗布時の伸び広がり、2.光沢感、及び3.肌への密着性については、化粧料専門パネル10名による使用テストを行った。パネル各人が下記評価基準にて5段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。1.塗布時の伸び広がりについては、アイシャドウを塗布した際に、滑らかで均一にムラなく伸び広がるかどうか、2.光沢感については、塗布膜を目視した時にツヤのある光沢感を感じられたかどうか、3.肌への密着性については、アイシャドウを指またはチップを用いて肌に塗布する際に、アイシャドウの肌への付着性が高く、密着感を感じられたかどうかを評価した。
【0055】
<評価基準>
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :4点を超える
○ :3点を超え、4点以下
△ :2点を超え、3点以下
× :2点以下
【0056】
(評価項目)
4.成膜後の塗膜のべたつきの無さ
【0057】
(評価方法)
人工皮革に3cm×3cmの範囲で、アイシャドウ0.01gを均一に指で塗布し、成膜後に膜表面に接地させたプレートを引張した際の応力を静・動摩擦測定器(トリニティラボ社製)を用いて測定した。化粧膜は塗布後一昼夜室温(25℃)に静置し、測定は室温で実施した。応力が大きいものほどべたつきがあるものとし、応力がより小さいものほどべたつきがないものとし、下記判定基準に基づき判定をした。
【0058】
<判定基準>
(評価結果):(判定)
◎ :0.1N未満
〇 :0.1N以上0.2N未満
△ :0.2N以上0.3N未満
× :0.3N以上
【0059】
(評価項目)
5.耐衝撃性:化粧料を50cmの高さより落とした際の状態変化
【0060】
(評価方法)
前記実施例及び比較例のアイシャドウを各5個用意し、木製硬板上へ50cmの高さから落下させ、耐衝撃性を評価した。5個のサンプルについて落下による変化(壊れ、剥れ、ひび、片寄り)の有無を調べ、その程度に従って下記判定基準により耐衝撃性を評価した。尚、変化があるとは、壊れ、剥れ、ひび、片寄りのいずれかがあるものを意味する。
【0061】
<判定基準>
(評価結果):(判定)
◎ :5個とも全く変化がない
〇 :5個のうち1個に変化がある
△ :5個のうち2個に変化がある
× :5個のうち3個以上に変化がある
【0062】
表1~3の結果から明らかなように、本発明の実施例は、比較例に比べ、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきのなさ、耐衝撃性の全てにおいて、優れたものであった。一方、成分(A)をパルミチン酸デキストリンや(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーに置き換えた比較例1、2では、伸び広がりや光沢感の点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(A)を含有しない比較例3では、塗布時の伸び広がり、光沢感、耐衝撃性に満足のいくものが得られなかった。成分(B)をトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、パーフルオロポリエーテルに置き換えた比較例4~6では肌への密着性や成膜後のべたつきの無さ、耐衝撃性等の点で満足のいくものが得られなかった。また、成分(C)を不揮発性油剤に置き換えた比較例7では、成膜後のべたつきのなさの点で満足のいくものが得られなかった。
【0063】
実施例21:チークカラー
(成分) (%)
1.多孔質セルロースパウダー(球状、平均粒子径5μm) 10
2.(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)
クロスコポリマー(球状、平均粒子径5μm) 5
3.赤色226号 0.4
4.赤色202号 0.2
5.黄色4号 0.2
6.ベンガラ 0.2
7.板状黄色酸化鉄(平均粒子径5μm) 0.5
8.マイカ(板状、平均粒子径20μm) 残量
9.セリサイト(板状、平均粒子径12μm) 5
10.ジメチコン2%処理合成金雲母
(板状、平均粒子径12μm) 5
11.煙霧状ジメチルシリル化シリカ※4 0.5
12.ベンガラ被覆雲母※5 14
13.ガラス末※6 2
14.酸化亜鉛(六角板状 平均粒子径0.3μm) 0.5
15.油溶性ポリウレタン ※1 5
16.フッ素変性シリコーン樹脂 ※7 5
17.セスキイソステアリン酸ソルビタン 1
18.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 7
19.流動パラフィン(25℃動粘度 10cSt) 10
20.ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル 10
21.メチルフェニルポリシロキサン 8
22.イソドデカン 5
23.セージ油 0.3
24.アーモンド油 0.3
25.香料 0.2
※4:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
※5:BLONDIEE SUPER BRONZE N-2220S(CQV社製)
※6:マイクログラスシルキーフレークFTD025FY-F12(日本板硝子社製)
※7:XS66-B8226(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
【0064】
(製造方法)
A.成分(1)~(14)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(15)~(25)を90℃にて均一に混合溶解する。
C.25℃で(A)に(B)を添加し万能攪拌機で均一に混合する。
D.Cを容器に充填し、チークカラーを得た。
【0065】
得られたチークカラーは塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。
【0066】
実施例22:ファンデーション
(成分) (%)
1.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理黄色酸化鉄 2
2.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理赤色酸化鉄 0.8
3.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理黒色酸化鉄 0.3
4.ラウロイルリシン(板状) 2
5.アミノ変性シリコーン1%処理合成金雲母 8
6.ラウリン酸亜鉛2%処理タルク(不定形) 残量
7.酸化チタン被覆合成金雲母※8 8
8.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa2%処理酸化チタン※9 8
9.酸化亜鉛※10 3
10.ポリウレタン-79 5.5
11.(トリフルオロプロピルジメチコン/ビニルトリフルオロプロピルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 2.5
12.パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
13.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3
14.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5
15.スクワラン 5
16.メドウフォーム油 5
17.コハク酸ジエチルヘキシル 8
18.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5
19.パルミチン酸デキストリン 1
20.リンゴ酸ジイソステアリル 1
21.イソドデカン 5
22.トリプロピレングリコール 3
23.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.2
24.ヒアルロン酸Na 0.01
25.トコフェロール 0.1
26.1,3-ブチレングリコール 0.5
27.グリセリン 1
28.精製水 1
※8:HERIOS R10R(トピー工業社製)
※9:MP-70(テイカ社製)
※10:XZ-3000F(堺化学工業社製)
【0067】
(製造方法)
A.成分(1)~(11)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(12)~(21)を80℃にて均一に混合溶解する。
C.成分(22)~(28)を均一に混合する。
D.25℃でAにBとCを添加し万能攪拌機で均一に混合する。
E.Dを容器に充填し、ファンデーションを得た。
【0068】
得られたファンデーションは、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。
【0069】
実施例23:アイライナー
(成分) (%)
1.オクチルトリエトキシシラン3%処理黒色酸化鉄 2
2.オクチルトリエトキシシラン3%処理群青 0.5
3.カーボンブラック 0.3
4.ナイロンパウダー(球状、平均粒子径22μm) 5
5.ラウリン酸亜鉛3%処理タルク(不定形) 15
6.ミリスチン酸亜鉛2%処理マイカ(板状、平均粒子径13μm) 残量
7.(水添ポリブタジエン/グリコール/HDI)コポリマー 3
8.イソドデカン 10
9.トリメチルシロキシケイ酸※11 15
10.ポリメチルシルセスキオキサン※12 5
11.フッ素変性シリコーン樹脂※7 3
12.ジメチコノール※13 1
13.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5
14.カプリリルメチコン 3
15.トリイソステアリン酸ジグリセリル 4
16.トリメリト酸トリトリデシル 8
17.カプリリルグリコール 0.3
18.煙霧状シリカ 0.2
19.香料 0.1
※11:KF-9021(50%シクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製)
※12:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※13:XF49-C4996(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
【0070】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(7)~(19)を80℃にて均一に混合溶解する。
C.25℃で(A)に(B)を添加し万能攪拌機で均一に混合する。
D.Cを容器に充填し、アイライナーを得た。
【0071】
得られたアイライナーは、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。
【0072】
実施例24:白粉
(成分) (%)
1.窒化ホウ素(板状、平均粒子径6μm) 4
2.アミノ変性シリコーン2%処理タルク
(板状、平均粒子径10μm) 残量
3.雲母チタン※14 20
4.ベンガラ被覆酸化チタン(平均粒子径400nm) 7
5.シリカ(球状多孔質、平均粒子径5μm) 12
6.ステアリン酸亜鉛※15 2
7.煙霧状シリカ 0.2
8.油溶性ポリウレタン※1 3
9.フッ素変性シリコーン樹脂※7 2
10.ジメチルポリシロキサン(25℃動粘度 2CS) 5
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 2
12.メチルフェニルポリシロキサン 4
13.ジメチルポリシロキサン(25℃動粘度 10CS) 12
14.ステアリルジメチコン(融点35℃) 1.5
15.ワセリン(融点40℃) 2
16.トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸
/ステアリン酸)グリセリル 0.3
17.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル) 0.3
18.ミツロウ 0.1
19.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.05
20.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)0.2
21.セバシン酸ジイソプロピル 1
22.ミリスチン酸イソプロピル 0.5
23.酢酸DL-α-トコフェロール 0.05
24.イソプロピルメチルフェノール 0.02
25.l-メントール 0.01
26.カンフル 0.01
27.ラベンダーオイル 0.01
28.センフィフォリアバラ花エキス 0.002
29.ダマスクバラ花エキス 0.002
30.ローズ水 0.005
※14:COSMETICA FINE WHITE N-8000D(CQV社製)
※15:MZ-2(日油社製)
【0073】
(製造方法)
A.成分(1)~(6)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(8)~(27)を80℃にて均一に混合溶解する。
C.Bに成分(7)、(28)~(30)を添加し、均一に混合する。
D.AにCを加え均一に混合する。
E.Dにイソドデカン50部を加え混合し、スラリー状の混合物を得る。
F.丸型の金皿容器(直径7cm)に10.0g乗せ、プレス圧2.0kgf/cm2、プレス時間4秒、紙6枚の条件で2回圧縮し、イソドデカンを一部除去した。その後、70℃で10時間乾燥させ、イソドデカンを除去し、白粉を得た。
【0074】
得られた白粉は、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。
【0075】
実施例25:アイブロウ
(成分) (%)
1.オクチルトリエトキシシラン2%処理黄色酸化鉄 0.8
2.パルミチン酸デキストリン2%処理黒色酸化鉄 0.7
3.レシチン1%処理ベンガラ 0.4
4.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン3%処理酸化チタン 1.2
5.セルロース末(球状、平均粒子径7μm) 1
6.シリコーンエラストマー末※16 2
7.シリカ(球状、無孔質、平均粒子径10μm) 5
8.ベンガラ被覆ガラス末※17 3
9.ベンガラ被覆雲母チタン※18 13
10.銀・シリカ被覆アルミニウム※19 8
11.アミノ変性シリコーン5%処理マイカ
(板状、平均粒子径13μm) 15
12.ジメチコン2%処理タルク(不定形) 残量
13.油溶性ポリウレタン※1 3
14.フッ素変性シリコーン樹脂※7 8
15.イソドデカン 16
16.ポリメチルシルセスキオキサン※20 2
17.(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.6
18.流動パラフィン 3
19.オクチルドデカノール 1
20.イソステアリン酸デキストリン 1
21.トリメリト酸トリトリデシル 4
22.(2-エチルヘキサン酸/パルミチン酸)デキストリン 2
23.メチルフェニルポリシロキサン 4
24.オレイン酸エチル 0.5
25.1,3-ブチレングリコール 0.01
26.フェノキシエタノール 0.05
27.加水分解コラーゲン 0.002
28.加水分解エラスチン 0.001
29.加水分解ヒアルロン酸 0.001
30.精製水 0.206
※16:KSP-101(信越化学工業社製)
※17:マイクログラス メタシャイン MT1080TY(日本板硝子社製)
※18:Timica Radiant Gold 222G(BASF社製)
※19:COSMICOLOR CELESTE TECLA GR(東洋アルミニウム社製)
※20:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
【0076】
(製造方法)
A.成分(1)~(12)をヘンシェルミキサーにて均一に混合する。
B.成分(13)~(24)を溶解槽で90℃に加熱し、均一に混合する。
C.AにBを徐々に添加し、スーパーミキサーにて均一に混合する。
D.Cに成分(25)~(30)を添加し、均一に混合する。
E.Dを金皿に充填し、圧縮成形してアイブロウを得た。
【0077】
得られたアイブロウは、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。
【0078】
実施例26:制汗スティック
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 4
2.ポリエチレンワックス 6
3.ステアリルジメチコン(融点35°) 2
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 残量
5.エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 6
6.油溶性ポリウレタン ※1 4
7.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル) 5
8.ワセリン 15
9.フッ素変性シリコーン樹脂 ※7 3
10.メチル・トリフロロプロピルシクロポリシロキサン 12
11.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1
12.ジメチルポリシロキサン(25℃動粘度2CS) 14
13.メントール 0.5
14.カンファー 0.2
15.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.08
16.球状無孔質シリカ 6
17.球状多孔質シリカ 4
18.エタノール 4
19.イソプロピルメチルフェノール 2
20.チンピエキス 0.02
21.レモンエキス 0.01
【0079】
(製造方法)
A:成分(1)~(15)を90℃で均一に混合する。
B:成分(18)~(21)を室温で均一に混合する。
C:AにBと成分(16)~(17)を添加し、80℃で均一に混合する。
D:Cを100℃に加熱し、スティック状容器に充填し、室温に冷却して制汗スティックを得た。
【0080】
得られた制汗スティックは、塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さ、及び耐衝撃性に優れたものであった。