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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152040
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両の内装部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20221004BHJP
   B32B 3/08 20060101ALI20221004BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B60R7/06 G
B32B3/08
B29C65/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054657
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 正司
【テーマコード(参考)】
3D022
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
3D022CA08
3D022CC01
3D022CD11
4F100AK03A
4F100AK07B
4F100AL09A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA26A
4F100BA26B
4F100DB20A
4F100DB20B
4F100EC10A
4F100EC10B
4F100GB32
4F100HB00A
4F100JK13A
4F100JK13B
4F211AH26
4F211TA06
4F211TC02
4F211TD02
4F211TN78
(57)【要約】
【課題】車両の内装部品の部品本体部の表面の窪み部と装飾用部材の窪み被覆部間の接着を不要にすること、及び部品本体部と装飾用部材との位置ずれを防止する。
【解決手段】部品本体部240と、その部品本体部240の表面を覆う装飾用部材210とを備える車両の内装部品であって、部品本体部240の窪み部245には、被嵌合部31が設けられており、装飾用部材210の窪み被覆部215には、部品本体部240の被嵌合部31と嵌合可能な嵌合部33が設けられており、部品本体部240の窪み部245には、嵌合阻止部245sが設けられており、部品本体部240に対して装飾用部材210が位置ずれしたときに、嵌合阻止部245sが装飾用部材210の嵌合部33に対して嵌合方向から当接し、装飾用部材210の嵌合部33と部品本体部240の被嵌合部31との嵌合が妨げられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体部と、その部品本体部の表面を覆う装飾用部材とを備える車両の内装部品であって、
前記部品本体部の表面に形成された窪み部には、被嵌合部が設けられており、
前記部品本体部の窪み部を覆う前記装飾用部材の窪み被覆部には、前記部品本体部の被嵌合部と嵌合可能な嵌合部が設けられており、
前記部品本体部の窪み部、あるいは前記装飾用部材の窪み被覆部には、嵌合阻止部が設けられており、
前記部品本体部に対して前記装飾用部材が位置ずれしたときに、前記嵌合阻止部が前記装飾用部材の嵌合部、あるいは前記部品本体部の被嵌合部に対して嵌合方向から当接し、前記装飾用部材の嵌合部と前記部品本体部の被嵌合部との嵌合が妨げられる車両の内装部品。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の内装部品であって、
前記部品本体部の被嵌合部は、複数の突起と、前記複数の突起に囲まれた凹部とから構成されており、
前記嵌合阻止部は、前記部品本体部の複数の突起の周囲を囲む壁部であり、
前記装飾用部材の窪み被覆部の嵌合部は、複数の突起と、前記複数の突起に囲まれた凹部とにより形成されており、
前記装飾用部材の前記突起と前記凹部とがそれぞれ前記部品本体部の前記凹部と前記突起とに嵌合することで、前記部品本体部の窪み部に対して前記装飾用部材の窪み被覆部が保持される構成であり、
前記部品本体部の壁部は、前記部品本体部に対して前記装飾用部材が位置ずれしたときに、その装飾用部材の突起の先端が当たる位置に形成されている車両の内装部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の車両の内装部品であって、
前記装飾用部材は表皮状の部材であり、前記部品本体部よりも柔らかい材料で形成されている車両の内装部品。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載の車両の内装部品であって、
前記部品本体部の壁部は、前記複数の突起の周囲を囲む段差である車両の内装部品。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の車両の内装部品であって、
前記装飾用部材の突起の突出寸法は、前記部品本体部の突起の突出寸法よりも大きな値に設定されている車両の内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品本体部と、その部品本体部の表面を覆う装飾用部材とを備える車両の内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内装部品に関する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の内装部品はドアトリム100であり、図12に示すように、基材102の表面に表皮材104を接着することにより構成されている。表皮材104の接着面(裏面)104cには、円柱状の小突起(図示省略)が一定のピッチで形成されている。これにより、表皮材104のクッション性が確保されている。しかし、基材102と表皮材104とを接着する方式では、設備と手間が掛かる。
【0003】
この問題を解決するため、図13に示すように、基材112の表面112fが凸形状の内装部品110では、表皮113に対して張力を加えた状態で基材112の表面112fに被せ、表皮113の端縁を基材112の裏面に固定部材115で固定することが行われている。これにより、基材112と表皮113との溶着や接着を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-159122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、基材112の表面112fに凸形状以外の窪み形状がある部品の場合、表皮113に対して張力を加えると、基材112の表面112fの窪み形状の部分で表皮113が浮き上がり、窪み形状に沿って表皮113を保持できなくなる。このため、基材112の表面112fに窪み形状がある場合には、基材112の表面112fの窪み形状、及び表皮113の一部(窪み被覆部)をプライマー剤と接着剤とを塗布することにより基材112の窪み形状に接着することが行われている。したがって、表皮113の端縁を基材112に固定する前に、プライマー処理を含む接着工程が必要になる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両の内装部品の部品本体部の表面の窪み部と装飾用部材の窪み被覆部間の接着を不要にすること、及び部品本体部と装飾用部材との位置ずれを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各発明によって解決される。第1の発明は、部品本体部と、その部品本体部の表面を覆う装飾用部材とを備える車両の内装部品であって、前記部品本体部の表面に形成された窪み部には、被嵌合部が設けられており、前記部品本体部の窪み部を覆う前記装飾用部材の窪み被覆部には、前記部品本体部の被嵌合部と嵌合可能な嵌合部が設けられており、前記部品本体部の窪み部、あるいは前記装飾用部材の窪み被覆部には、嵌合阻止部が設けられており、前記部品本体部に対して前記装飾用部材が位置ずれしたときに、前記嵌合阻止部が前記装飾用部材の嵌合部、あるいは前記部品本体部の被嵌合部に対して嵌合方向から当接し、前記装飾用部材の嵌合部と前記部品本体部の被嵌合部との嵌合が妨げられる。
【0008】
本発明によると、部品本体部の窪み部の被嵌合部と装飾用部材の窪み被覆部の嵌合部とが嵌合することで、前記部品本体部の窪み部に対して前記装飾用部材の窪み被覆部が保持される。このため、装飾用部材に対して張力を加えても、その装飾用部材の窪み被覆部が部品本体部の窪み部に対して浮き上がるようなことがない。したがって、従来必要とされた部品本体部の窪み部と装飾用部材の窪み被覆部間の接着が不要になる。また、部品本体部に対して装飾用部材が位置ずれしたときには、嵌合阻止部が装飾用部材の嵌合部、あるいは部品本体部の被嵌合部に対して嵌合方向から当接し、前記装飾用部材の嵌合部と前記部品本体部の被嵌合部との嵌合が妨げられる。このため、部品本体部の表面が位置ずれした状態の装飾用部材に覆われてしまうような不具合が生じない。
【0009】
第2の発明によると、部品本体部の被嵌合部は、複数の突起と、前記複数の突起に囲まれた凹部とから構成されており、嵌合阻止部は、前記部品本体部の複数の突起の周囲を囲む壁部であり、装飾用部材の窪み被覆部の嵌合部は、複数の突起と、前記複数の突起に囲まれた凹部とにより形成されており、前記装飾用部材の前記突起と前記凹部とがそれぞれ前記部品本体部の前記凹部と前記突起とに嵌合することで、前記部品本体部の窪み部に対して前記装飾用部材の窪み被覆部が保持される構成であり、前記部品本体部の壁部は、前記部品本体部に対して前記装飾用部材が位置ずれしたときに、その装飾用部材の突起の先端が当たる位置に形成されている。
【0010】
第3の発明によると、装飾用部材は表皮状の部材であり、部品本体部よりも柔らかい材料で形成されている。このため、装飾用部材の突起と凹部とをそれぞれ部品本体部の凹部と突起とに嵌合させる際、装飾用部材の突起と凹部とが変形可能なため、装飾用部材の窪み被覆部と部品本体部の窪み部との結合力を大きくできる。
【0011】
第4の発明によると、部品本体部の壁部は、複数の突起の周囲を囲む段差である。
【0012】
第5の発明によると、装飾用部材の突起の突出寸法は、部品本体部の突起の突出寸法よりも大きな値に設定されている。このため、装飾用部材の突起を部品本体部の凹部の奥まで押し込むことができる。また、この状態で、部品本体部の突起が装飾用部材の裏面に接触していないため、装飾用部材の表面側から部品本体部の突起の押圧痕が見えるような不具合がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、車両の内装部品の部品本体部の表面の窪み部と装飾用部材の窪み被覆部間の接着を不要にできる。また、部品本体部と装飾用部材との位置ずれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る車両の内装部品であるインストルメントパネル、及びグローブボックスを表す模式斜視図である。
図2】前記グローブボックスのボックス本体部の縦断面図である。
図3】外板(部品本体部)の窪み部と表皮(装飾用部材)の窪み被覆部との嵌合機構を表す縦断面図(図2のIII矢視拡大図)である。
図4】前記嵌合機構の嵌合前の状態を表す縦断面図である。
図5図2のV矢視拡大図である。
図6】前記嵌合機構の突起、及び角形凹部の平断面図(図3のVI矢視平断面図)である。
図7】前記嵌合機構の突起、及び角形凹部の側面図(図6のVII-VII矢視側面図)である。
図8】変形例1の内装部品の突起、及び角形塀部の平断面図である。
図9】変形例1の内装部品の突起、及び角形塀部の側面図(図8のIX-IX矢視側面図)である。
図10】変形例2の内装部品の外板(部品本体部)の窪み部の角枠状突起部(被嵌合部、嵌合阻止部)の平面図である。
図11】変形例2の内装部品の外板(部品本体部)の窪み部の角枠状突起部、及び表皮(装飾用部材)の窪み被覆部の角枠状受け部(嵌合部、嵌合阻止部)との関係を表す縦断面図である。
図12】従来の内装部品の分解斜視図である。
図13】従来の別の内装部品の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
以下、図1から図11に基づいて本発明の実施形態1に係る車両の内装部品について説明する。本実施形態に係る車両の内装部品は、例えば、車室内のインストルメントパネルに設けられるグローブボックスのボックス本体部である。ここで、図中に示す前後左右及び上下は、グローブボックスを備える車両の前後左右及び上下に対応している。
【0016】
<グローブボックス10の概要について>
インストルメントパネル2には、図1に示すように、助手席(図示省略)に対向する部位に略角形の開口部2hが形成されており、この開口部2hの位置にグローブボックス10が取付けられている。グローブボックス10は、図1図2に示すように、ボックス本体部20と、そのボックス本体部20を収納する収納箱部(図示省略)とを備えている。前記収納箱部は、インストルメントパネル2内に取付けられており、その収納箱部の開口部がインストルメントパネル2の開口部2hの位置に合わせられている。
【0017】
ボックス本体部20は、図1に示すように、上下回動可能な状態で前記収納箱部に収納されており、その収納箱部の開口部とインストルメントパネル2の開口部2hとを開閉できるように構成されている。ボックス本体部20は、図2に示すように、上部開放形の容器部22と、その容器部22の後側面を塞ぐように、その容器部22に接合されたドア部24とを備えている。ドア部24は、外板240と内板250との二重構造で内部には仕切り状の補強材253が設けられている。そして、ドア部24の外板240の表面と内板250の上下端縁部、即ち、ドア部24の表側であって外から見える部分が表皮210によって覆われている。
【0018】
<ボックス本体部20のドア部24の概要について>
ドア部24は、図2に示すように、外板240の周縁と内板250の周縁とが表裏から互いに合わせられて、接合されることにより中空閉断面状に形成されている。ドア部24の外板240は、上端部241と下端部242とが外側(後側)に凸となるように湾曲しており、上端部241と下端部242間の中央部分が緩やかに窪む窪み部245となっている。また、内板250の上端部251と下端部252とは、外側に凸となるように形成されている。表皮210は、張力を加えられた状態でドア部24の表側に被せられる構成であり、ドア部24の上端部と下端部とを覆う上端縁211と下端縁212、及びドア部24(外板240)の窪み部245を覆う窪み被覆部215とを備えている。
【0019】
表皮210は、図2に示すように、上端縁211が嵌合機構30によって内板250の上端部251に固定され、窪み被覆部215が別の複数の嵌合機構30によって外板240の窪み部245に固定されている。また、表皮210の下端縁212がフック部252fにより内板250の下端部252に固定されている。外板240の窪み部245には、図2図4に示すように、窪みの深い部分に角形凹部245sが形成されており、その角形凹部245s内に嵌合機構30の突起31が設けられている。また、内板250の上端部241には、図5に示すように、角形凹部251sが形成されており、その角形凹部251s内に嵌合機構30の突起31が設けられている。さらに、内板250の下端部252は、図2に示すように、断面半円状に形成されており、その内板250の下端部252に表皮210の下端縁212が掛けられる前記フック部252fが設けられている。ここで、ドア部24の外板240と内板250とは、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)により形成されており、表皮210は、例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)により形成されている。
【0020】
<嵌合機構30について>
嵌合機構30は、上記したように、表皮210の上端縁211を内板250の上端部241の表面に固定するとともに、表皮210の窪み被覆部215を外板240の窪み部245に固定する機構である。ここで、表皮210の上端縁211を固定する嵌合機構30(図5)と、表皮210の窪み被覆部215を固定する嵌合機構30(図3図4)とは等しい構成のため、代表して表皮210の窪み被覆部215を固定する機構について説明する。
【0021】
嵌合機構30は、図3図4に示すように、外板240の窪み部245の角形凹部245s内に形成された多数の突起31と表皮210の窪み被覆部215の裏面に形成された多数の突起33とから構成されている。外板240の突起31と表皮210の突起33とは、図6図7に示すように、円柱形に成形されており、その先端が半球状に成形されている。そして、外板240の突起31の高さ寸法(軸方向の突出寸法)がH1、表皮210の突起33の高さ寸法(軸方向の突出寸法)がH2(>H1)に設定されている。また、外板240の突起31の径寸法(直径)と表皮210の突起33の径寸法とが共にWに設定されている。ここで、本実施形態では、H1=約3mm、H2=約3mm+α(0.1~0.2mm)、W=約2mmに設定されている。なお、外板240の厚み寸法は、約3mm、表皮210の厚み寸法は、約1mmに設定されている。
【0022】
また、外板240の突起31の配置は、図6に示すように、図中の縦方向(上下方向)と横方向(左右方向)とに等間隔で配列されている。そして、斜め方向に隣り合う突起31と突起31間の間隔が突起31の直径に等しい寸法、即ち、寸法W(=約2mm)に設定されている。表皮210の突起33の配置も、図6に示すように、縦方向と横方向とに等間隔で配列されて、斜め方向に隣り合う突起33と突起33間の間隔が寸法W(=約2mm)に設定されている。さらに、外板240の突起31と角形凹部245sの側壁面間の寸法Tは、図6図7に示すように、突起31の径寸法Wよりも十分に小さな寸法、例えば、約1mmに設定されている。このため、表皮210の突起33が外板240の突起31と角形凹部245sの側壁面間に挿入されることはない。ここで、外板240の突起31は、外板240を射出成形する際に一体で成形される。また、表皮210の突起33は、表皮210を射出成形する際に一体で成形される。なお、表皮210の突起33は、金型を利用した熱転写により成形することも可能である。
【0023】
上記構成により、図6図7に示すように、表皮210の突起33の一本が、外板240の四本の突起31に囲まれた凹部(図番省略)に軸方向から挿入される。これにより、外板240の四本の突起31に囲まれた凹部と表皮210の一本の突起33とが嵌合する。同様に、外板240の突起31の一本が、表皮210の四本の突起33に囲まれた凹部(図番省略)に軸方向から挿入される。これにより、外板240の一本の突起31と表皮210の四本の突起33に囲まれた凹部とが嵌合する。
【0024】
ここで、表皮210の突起33は、オレフィン系エラストマー(TPO)により形成されているため可撓性がある。したがって、外板240の突起31の間隙(凹部の内径)が表皮210の突起33の直径Wに等しくても、表皮210の突起33が嵌合する過程で変形することにより、表皮210の突起33と外板240の突起31間の凹部との嵌合が可能になる。そして、図6に示すように、表皮210の一本の突起33の周方向における四か所が外板240の四本の突起31に接触するようになる。同様に、外板240の一本の突起31の周方向における四か所が表皮210の四本の突起33に接触するようになる。これにより、表皮210の突起33と外板240の突起31との接触による摩擦抵抗で、表皮210の窪み被覆部215が外板240の窪み部245に固定される。
【0025】
ここで、仮に外板240の窪み部245の角形凹部245sが存在せず、突起31が外板240の窪み部245の表面に直に形成されている場合を考える。この場合、外板240の窪み部245に対して表皮210の窪み被覆部215が正規の位置から、例えば、左右方向に突起31,33の一列分だけ位置ずれしても、表皮210の突起33が外板240の前記凹部(図番省略)対して軸方向から嵌合することは可能である。この結果、外板240に対する表皮210の誤組付けが行われる可能性がある。しかし、実際には、図6図7に示すように、外板240の窪み部245には角形凹部245sが形成されている。このため、表皮210が外板240に対して、例えば、左右方向に突起31,33の一列分だけ位置ずれすると、表皮210の一部の突起33の先端が外板240の角形凹部245sの上面に当接することになるため(図7の二点鎖線参照)、表皮210の一部の突起33が外板240の前記凹部に嵌合することが不可能になる。この結果、外板240に対する表皮210の誤組付けを防止できる。
【0026】
<ドア部24の表皮210の取付け手順について>
ドア部24の外板240、及び内板250に対して表皮210を取付ける場合には、図2に示すように、先ず、表皮210の下端縁212を内板250の下端部252のフック部252fを掛け、張力を加える。次に、表皮210で内板250の下端部252、及び外板240の下端部242を覆った後、表皮210の窪み被覆部215の突起33を、図4に示すように、外板240の窪み部245の突起31間の凹部に押し込むようにする。そして、表皮210の窪み被覆部215の全ての突起33と外板240の窪み部245の全ての突起31間の凹部とを嵌合させる。これにより、表皮210の窪み被覆部215が外板240の窪み部245に固定される。即ち、外板240の窪み部245に対して表皮210の窪み被覆部215が保持される。
【0027】
次に、張力を加えた状態で、表皮210を外板240の上端部241を内板250の上端部251に被せ、図5に示すように、表皮210の上端縁211の突起33を内板250の上端部251の突起31間の凹部に嵌合させる。これにより、表皮210の上端縁211が内板250の上端部251に固定され、表皮210の取付けが終了する。ここで、表皮210が外板240等に対して位置ずれした場合でも、上記したように、外板240の窪み部245の角形凹部245s、及び内板250の角形凹部251sの働きにより、外板240等に対する表皮210の誤組付けを防止できる。また、表皮210の突起33の高さ寸法H2が外板240、及び内板250の突起31の高さ寸法H1よりも大きな値に設定されている。このため、表皮210の突起33を外板240等の凹部の奥まで押し込むことができる。また、この状態で、外板240等の突起31が表皮210の裏面に接触しないため、表皮210の表面側から外板240等の突起31の押圧痕が見えるような不具合がない。
【0028】
<本実施形態における用語と本発明の用語との対応>
本実施形態におけるグローブボックス10(ボックス本体部20)が本発明の内装部品に相当し、ボックス本体部20のドア部24の外板240、及び内板250が本発明の部品本体部に相当する。また、ボックス本体部20の表皮210が本発明の装飾用部材に相当する。また、外板240、及び内板250の突起31と、4本の突起31に囲まれた凹部とが本発明の被嵌合部に相当し、外板240等の角形凹部245s,251sの側壁面が本発明の嵌合阻止部、及び壁部に相当する。また、表皮210の突起33と、4本の突起33に囲まれた凹部とが本発明における装飾用部材の嵌合部に相当する。
【0029】
<本実施形態に係る内装部品(グローブボックス10)の長所について>
本実施形態に係るグローブボックス10によると、外板240(部品本体部)の窪み部245の凹部、及び突起31(被嵌合部)と表皮210(装飾用部材)の窪み被覆部215の突起33、及び凹部(嵌合部)とが嵌合することで、外板240の窪み部245に対して表皮210の窪み被覆部215が保持される。このため、表皮210に対して張力を加えても、その表皮210の窪み被覆部215が外板240の窪み部245に対して浮き上がるようなことがない。したがって、従来必要とされた外板240の窪み部245と表皮210の窪み被覆部215間の接着が不要になる。また、外板240に対して表皮210が位置ずれしたときに、表皮210の一部の突起33の先端が外板240の角形凹部245s(嵌合阻止部)の上面に当接することになる(図7の二点鎖線参照)。このため、表皮210の一部の突起33が外板240の凹部に嵌合することが不可能になり、外板240に対する表皮210の誤組付けを防止できる。
【0030】
また、表皮210(装飾用部材)が外板240(部品本体部)よりも柔らかい材料で形成されているため、表皮210の突起33と凹部とをそれぞれ外板240の凹部と突起31とに嵌合させる際、表皮210の突起33と凹部とが変形可能なため、表皮210の窪み被覆部215と外板240の窪み部245との結合力を大きくできる。また、表皮210の突起33の突出寸法は、外板240の突起31の突出寸法よりも大きな値に設定されている。このため、表皮210の突起33を外板240の凹部の奥まで押し込むことができる。また、この状態で、外板240の突起31の先端が表皮210の裏面に接触していないため、表皮210の表面側から外板240の突起31の押圧痕が見えるような不具合がない。
【0031】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、嵌合阻止部として外板240(部品本体部)の窪み部245に角形凹部245sを形成し、その角形凹部245s内に多数の突起31を形成する例を示した(図6図7参照)。しかし、図8図9に示すように、嵌合阻止部として角形凹部245sの代わりに外板240の窪み部245に角形塀部245wを形成し、その角形塀部245wの内側に多数の突起31を形成することも可能である。ここで、角形塀部245wと突起31間の寸法はTとする。また、本実施形態では、嵌合阻止部を外板240等に形成する例を示したが、表皮210側に嵌合阻止部を形成することも可能である。
【0032】
また、本実施形態では、外板240(部品本体部)の窪み部245の凹部、及び突起31と表皮210(装飾用部材)の窪み被覆部215の突起33及び凹部とが嵌合することで、外板240の窪み部245に対して表皮210の窪み被覆部215を保持する例を示した。しかし、図10に示すように、外板240(部品本体部)の窪み部245に複数の角枠状突起部36を設け、表皮210(装飾用部材)側に、図11に示すように、溝部37yを備える角枠状受け部37を形成し、その角枠状受け部37の溝部37yに対して外板240側の角枠状突起部36を嵌合させる構成でも可能である。これにより、外板240の窪み部245に対する表皮210の窪み被覆部215の保持と、外板240に対する表皮210の位置ずれ時の嵌合阻止とを角枠状突起部36と角枠状受け部37とにより行うことができる。この場合、外板240側の角枠状突起部36が本発明の被嵌合部に相当し、表皮210側の角枠状受け部37の溝部37yが本発明の嵌合部に相当する。また、表皮210側の角枠状受け部37の先端面と外板240側の角枠状突起部36の先端面とが本発明の嵌合阻止部に相当する。
【0033】
ここで、図10図11では、外板240と表皮210とに、角枠状突起部36と角枠状受け部37とを形成する例を示したが、円筒状の突起部と受け部とを形成することも可能であるし、多角筒状の突起部と受け部とを形成することも可能である。また、本実施形態では、内装部品としてグローブボックスを例示したが、インストルメントパネルやドアトリム等に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
20・・・・・ボックス本体部(内装部品)
240・・・・外板(部品本体部)
245s・・・角形凹部(嵌合阻止部)
245w・・・角形塀部(嵌合阻止部)
245・・・・窪み部
250・・・・内板(部品本体部)
251s・・・角形凹部(嵌合阻止部)
210・・・・表皮(装飾用部材)
215・・・・窪み被覆部
30・・・・・嵌合機構
31・・・・・突起(被嵌合部)
33・・・・・突起(嵌合部)
36・・・・・角枠状突起部(被嵌合部、嵌合阻止部)
37y・・・・溝部(嵌合部)
37・・・・・角枠状受け部(嵌合阻止部)
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図13